JP2008109118A - 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】低電流での磁化反転を可能とするスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層3を含む。磁化可変層2は、磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)からなる磁性合金からなり、V、Cr、Mnのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦20at%(aは含有量)の範囲で含有する。中間層4は、磁化固定層と磁化可変層との間に設けられ、非磁性材料からなる。磁化可変層の磁化の方向は、磁化固定層と中間層と磁化可変層とを貫く双方向電流によって可変とされる。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層3を含む。磁化可変層2は、磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)からなる磁性合金からなり、V、Cr、Mnのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦20at%(aは含有量)の範囲で含有する。中間層4は、磁化固定層と磁化可変層との間に設けられ、非磁性材料からなる。磁化可変層の磁化の方向は、磁化固定層と中間層と磁化可変層とを貫く双方向電流によって可変とされる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリに関し、例えば、スピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果素子に関する。
近年、新しい原理に基づいて情報を記録する固体メモリが多数提案されている。中でも、固体磁気メモリとして、トンネル磁気抵抗効果(TMR: tunneling magnetoresistance)を利用する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetoresistive random access memory)が知られている。MRAMは、磁気抵抗効果を発現するMR素子をメモリセルとして用いて、MR素子の磁化の状態によってメモリセルが情報を記憶する。
MR素子は磁化が可変の層と磁化が固定された層とを含んでいる。磁化が可変の層の磁化の向きが、磁化が固定された層の磁化の向きと平行なときに低抵抗状態となり、反平行のときに高抵抗状態となる。この抵抗状態の違いが情報の記憶に用いられる。
MR素子に情報を書き込む方法として、いわゆる電流磁場書き込み方式が知られている。この方式では、MR素子の近傍に配線が配置され、この配線を流れる電流によって生じる磁場によって、MR素子の磁化の状態を変化させる。MRAMの微細化を行うためにMR素子のサイズを小さくすると、MR素子の保持力Hcが大きくなる。このため、磁場書き込み方式のMRAMでは、微細化の進展に伴い、書き込みに必要な電流が大きくなる傾向がある。この結果、256Mbitを超えるような大容量化に向けたセルサイズの微細化と低電流化の両立は困難である。
この課題を克服する書き込み方式としてスピン角運動量移動(SMT:spin-momentum-transfer)を用いた書き込み(スピン注入書き込み)方式が提案されている(特許文献1)。スピン注入書き込み方式では、トンネル磁気抵抗効果を奏する素子(MR素子)の、各膜が相対する方向に垂直に電流を流すことにより、MR素子の磁化の状態を変化(反転)させる。
スピン注入による磁化反転では、磁化反転に必要な電流Icは、電流密度Jcでよく規定される。従って、MR素子の電流が通過する面の面積が小さくなれば、磁化を反転させるための注入電流Icも小さくなる。電流密度一定で書き込む場合、MR素子サイズが小さくなれば、電流Icも小さくなるために、スピン注入書き込み方式は、原理的には、磁場書き込み方式に比べてスケーラビリティ性に優れる。
しかしながら、スピン注入書き込み方式を利用してMRAMを実現する場合において、磁化反転に必要な電流は、現状、MRAM実現の際に多く利用されている選択トランジスタで発生可能な電流値よりも大きく、実質的にメモリとして動作させることができない。
米国特許第6,256,223号明細書
本発明は、低電流での磁化反転を可能とするスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供しようとするものである。
本発明の1つの視点による磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層と、磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、V、Cr、Mnのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦20at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする。
本発明の1つの視点による磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層と、磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Si、Ge、Gaのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦5at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする。
本発明の1つの視点による磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層と、磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦10at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする。
本発明の1つの視点による磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定された磁化固定層と、磁化の方向が可変で、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agのうちの1つ以上を含有する磁化可変層と、前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする。
本発明によれば、低電流での磁化反転を可能とするスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供できる。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(1)MR素子
(1−1)MR素子の構造
図1、図2は、本発明の実施形態に係るMR素子の主要部を示している。図1、図2において、矢印は磁化方向を示している。以下の図では、MR素子の主要部を示しているが、図示の構成を含んでいれば、さらなる層を含んでいても構わない。
(1−1)MR素子の構造
図1、図2は、本発明の実施形態に係るMR素子の主要部を示している。図1、図2において、矢印は磁化方向を示している。以下の図では、MR素子の主要部を示しているが、図示の構成を含んでいれば、さらなる層を含んでいても構わない。
MR素子1は、各層が相互に面する面(膜面)を貫いて流れる電流の方向に応じて、2つの定常状態の一方を取るように構成された素子である。各定常状態を、“0”データ、“1”データに対応させることによって、MR素子1は2値のデータを記憶できる。そして、MR素子1は、スピン注入書き込み方式によって、磁化の状態が変化し、この状態に応じた情報を記憶する。
図1に示すように、MR素子1は、2つの強磁性層2、3と、強磁性層2、3の間に設けられたスペーサ層(中間層)4を有する。強磁性層2は、膜面に沿った方向に磁化容易軸を有し、膜面に沿って磁化の方向が可変とされている。以下、強磁性層2をフリー層(自由層、磁化自由層、磁化可変層、記録層)と称する。フリー層2の、構成を含む詳細な特徴については、後に詳述する。以下、膜面に沿った磁化を面内磁化と称する。
強磁性層3は、その磁化方向を膜面に沿った方向に固定されている。すなわち、強磁性層3は、面内磁化膜である。または、フリー層2の保持力よりも大きい保持力を有する構成とされていてもよい。以下、強磁性層3を、ピン層(固定層、磁化固定層、参照層、磁化参照層、基準層、磁化基準層)と称する。典型例として、フリー層2の磁化容易軸の方向は、ピン層3の磁化の方向に沿っている。
ピン層3の磁化の固定は、例えば、ピン層3の、スペーサ層4と反対の面上に反強磁性層(図示せぬ)を設けることにより行うことができる。ピン層3は、例えば、Co、Fe、Ni、またはこれらを含む合金から構成することができる。
スペーサ層(中間層)4は、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁膜等から構成される。好ましくは、MgO、CaO、SrO、TiO、TiNなどのNaCl構造を有する酸化物スペーサ層あるいは窒化物スペーサ層である。上記のNaCl構造を有するスペーサ層4は、(100)面配向であることが好ましい。これは、後述するが、(100)面配向を有する体心立方(BCC : body-centered cubic)構造のフリー層2、あるいは、(001)面配向を有するL10規則構造相あるいはL12規則構造相のフリー層2との界面での格子不整合性が小さくなるからである。
書き込みの際は、ピン層3からフリー層2へ、またはフリー層2からピン層3へ、膜面を貫く(典型的には膜面に垂直な)方向に電流を流す。この結果、ピン層3からフリー層2へピン層3のスピンの角運動量が移動され、スピン角運動量の保存則に従い、スピン角運動量がフリー層2のスピンに移動されることで、フリー層2の磁化が反転する。
図2は、フリー層2、ピン層3の磁化の方向が図1と異なる例を示している。すなわち、図2に示すように、フリー層2の磁化容易軸およびピン層3の磁化は、膜面を貫く方向(典型例として膜面に垂直な方向)を向いており、フリー層2の磁化は、膜面と交わる面に沿って回転する。以下、膜面を貫く方向の磁化を垂直磁化と称する。
フリー層2の磁化容易軸を垂直磁化方向にすることで、MR素子サイズ依存性が軽減され、アスペクト比1のMR素子を実現できる。これにより、アスペクト比が小さくなった分だけ、素子面積が減少し、反転電流を低減できる。
垂直磁化を有するピン層3は、フリー層2より膜厚が厚く、飽和磁化Msと膜厚の積Ms・t積、あるいは、一軸磁気異方性エネルギーKuがフリー層2より十分(3倍以上)大きいことが好ましい。これは、ピン層3内でのスピン蓄積効果、すなわち、磁化スピンから伝導電子への角運動量の移動を効率よく行うためであり、フリー層2からのスピンの注入によりピン層3の磁化が揺らぐことを最小限に抑えるためである。
ピン層3が垂直磁化を有する場合、ピン層3からの漏洩磁場を低減することが好ましい。ピン層3の漏洩磁場は、フリー層2の磁化をピン層3に対して平行から反平行への反転を阻害する。従って、ピン層3の見かけ上の飽和磁化Ms(net−Ms)は小さい方が良い。
このための1つの方法として、ピン層3をシンセティックアンチフェロ(SAF)構造とすることができる。SAF構造は、図3に示すように、強磁性層11、中間層12、強磁性層13の積層構造からなる。強磁性層11と強磁性層13は、反平行な磁化配列で安定となるように構成されている。中間層12としては、例えばRuやOsなどの元素が用いられる。なお、図では、垂直磁化を有するMR素子のピン層3にSAF構造を適用した例を示しているが、面内磁化(図1)の構造に適用することももちろん可能である。
また、垂直磁化を有するピン層3の漏洩磁場を減ずるため別の方法として、ピン層3をフェリ磁性材料から構成することができる。この場合、図4に示すように、ピン層3とスペーサ層4との界面に界面ピン層14を挿入し、MR比を発現させる。フェリ磁性材料としては、FeCo−RE材料(REは希土類元素)が代表的である。REとしては、Gd、Tb、Dy、Hoが垂直磁化を安定化する意味では好ましい。FeCo−RE合金はアモルファス構造である。FeCo−RE合金では、補償点付近のRE組成で、飽和磁化Msがほぼゼロになり、飽和磁化Msの担い手がFeCoからRE元素へと移り、保持力Hcが極大化する。よって、RE元素がリッチとなる組成にすることで、界面ピン層14とピン層3を合わせた見かけ上の飽和磁化net−Msをほぼゼロに設定できる。
図1、図2の構造は、積層順序が逆転しても構わない。すなわち、上下が反転していてもよい。
さらに、MR素子1は、ピン層を2つ備えた構造(デュアルピン構造)を有していてもよい。図5は、MR素子の他の例を示している。図5に示すように、フリー層2の、スペーサ層4と反対の面上に、さらなるスペーサ層5、さらなるピン層6が設けられている。フリー層2、ピン層3、6は、図1と同じく面内磁化を有していても(図5中の左側の矢印により示される磁化)、図2と同じく垂直磁化を有していても(図5中の右側の矢印により示される磁化)よい。スペーサ層5の材料はスペーサ層4に用いられるのと同じ材料から選択することができ、ピン層6の材料はピン層3に用いられるのと同じ材料から選択することができる。ピン層3の磁化とピン層6の磁化とは反平行に結合している。
デュアルスピン構造に加えてフリー層2がSAF構造を有していてもよい。SAF構造は、図6に示すように、フリー層2が、強磁性層11、中間層12、磁性層13の積層構造からなる。フリー層2、ピン層3、6は、図1と同じく面内磁化を有していても(図5中の左側の矢印により示される磁化)、図2と同じく垂直磁化を有していても(図5中の右側の矢印により示される磁化)よい。ピン層3の磁化方向とピン層6の磁化方向とは平行であり、且つ強磁性層11の磁化と強磁性層13の磁化とは反平行に結合している。中間層12としては、例えばOs、Ru、Irなどの元素が用いられる。シングルピン構造(図1、図2)のフリー層2をSAF構造とすることももちろん可能である。
SAF構造の利点は、残留磁化状態(外部磁場ゼロの状態)において、SAF構造の見かけ上の飽和磁化net−Msがほぼゼロになることである。この特性によって、MR素子のSAF構造のピン層3、6あるいはSAF構造のフリー層2は、外部磁場に不敏感になり、外部磁場に対する耐性が向上する。
(1−2)フリー層
次に、フリー層2の詳細について説明する。以下の記載は、フリー層2がSAF構造の場合は、強磁性層11、13の両方に適用される。
次に、フリー層2の詳細について説明する。以下の記載は、フリー層2がSAF構造の場合は、強磁性層11、13の両方に適用される。
スピン注入書き込みにおいてフリー層2の磁化を反転させるのに要する電流(反転電流)Iswは、
Isw∝(α/g)・Ms・V(2・Ku/Ms+Hd) (1)
ただし、
α:ダンピング定数
g:効率
Ms:飽和磁化
V:体積
Ku:磁気異方性エネルギー
Hd:反磁界
で表される。なお、反転電流は、フリー層2とピン層3の磁化が平行から反平行への反転時および反平行から平行への反転時の反転電流の平均値を指す。一軸磁気異方性エネルギーKuは、結晶磁気異方性Kcと誘導磁気異方性Kiを足したものである。
Isw∝(α/g)・Ms・V(2・Ku/Ms+Hd) (1)
ただし、
α:ダンピング定数
g:効率
Ms:飽和磁化
V:体積
Ku:磁気異方性エネルギー
Hd:反磁界
で表される。なお、反転電流は、フリー層2とピン層3の磁化が平行から反平行への反転時および反平行から平行への反転時の反転電流の平均値を指す。一軸磁気異方性エネルギーKuは、結晶磁気異方性Kcと誘導磁気異方性Kiを足したものである。
式(1)の右辺のgを除く物理量の値を小さくすることによって、反転電流を小さくでき、その対象となる物理量はいろいろ考えられるが、その1つとして、ダンピング定数αを低下させることが考えられる。
)物理定数であるダンピング定数αは、ミクロな観点から、スピン軌道相互作用(l−sカップリング)に依存する。さらに、マジョリティー電子とマイノリティー電子の電子密度にも依存する。
実際のマクロな観点からは、有限な結晶粒径を有する多結晶膜を用いるための影響も重要となる。多結晶薄膜の場合、膜形態の影響を受け、スピン注入磁化反転電流に寄与するダンピング定数が変化する。たとえば、膜のラフネスが低減すると上記のダンピング定数は減少する。したがって、フリー層の平坦性・平滑性は必要不可欠である。また、結晶配向性は膜の平滑性にも影響を与え、結晶配向性が向上すると、ダンピング定数も低減する。
上述したダンピング定数は、磁性薄膜の飽和磁化に起因する反磁界の変化によっても変化する。したがって、反磁界の分布が大きいとダンピング定数は増大する。飽和磁化Msを低減することで、反磁界ばらつきの絶対値を低減でき、ダンピング定数を低減できる。
垂直磁化膜をデバイス化した際、MTJ素子のサイズを小さくすることで、形状効果による反磁界係数の変化により、MR素子の膜面垂直方向の反磁界が小さくなるので、ダンピング定数が小さくなる。
上記のように、フリー層2にピン層3からスピン偏極した電子を供給し、フリー層2の電子のスピンにトルクを与えて、フリー層2の磁化を反転させる。このとき、フリー層2の中の自由電子は、スピントルクによって引き起こされるフリー層2の磁化の変化に対して、磁性的に安定した状態に戻ろうとする力を呈する。この力が、ダンピング定数αである。ダンピング定数αは、磁化反転の過程の初期では、反転を妨げる力として機能する。よって、ダンピング定数αを小さくすることによって、スピン注入磁化反転電流を低減することができる。
(1−2−1)添加物1
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)からなる磁性合金(FeCoNi合金)であり、V、Cr、Mnから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Nを含有している。
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)からなる磁性合金(FeCoNi合金)であり、V、Cr、Mnから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Nを含有している。
さらに、FeCoNi合金は、BCC構造であることが好ましい。すなわち、FeCoNiの組成が、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y<0.2、0≦x<0.2、0≦y<0.2)であればよい。この範囲内であれば、FeCoNi合金はBCC構造となる。
BCC構造は最密充填構造ではないため、原子間距離が大きい。このため、元素としての特性が比較的強くなり、電子が原子核に比較的局在する傾向がある。ダンピング定数αは、スピンどうしの相互作用に比例するので、フリー層2の電子が少ないほど、小さくなる。電子が局在化されることによって、スピンの反転を阻害する電子数が減るので、この結果、ダンピング定数αが低下する。
また、上記のように、スペーサ層4の材料は多くの場合、NaCl構造を有する。このようなスペーサ層4に対して、BCC構造の材料からなるフリー層2を用いることによって、スペーサ層4、フリー層2の界面整合を良好に行うことができる。より具体的には、例えば、スペーサ層4がMgOの場合、(100)面上での不整合を小さく抑えることができる。Fe、Co、Niを主とするBCC構造の強磁性体では、(100)面優先配向MgOの(100)面とBCC構造のFeCoNi合金の(100)面は[100]方向を45度傾けることにより、5%以下のミスフィットに抑えることができる。この結果、このようなMR素子は、100%を超えるMR比を実現できる。
FeCoNi合金に元素Nを添加することによって、MR素子のダンピング定数αを低減することができる。この結果、反転電流を低減することが可能となる。この低下は、以下のメカニズムによる。ダンピング定数αは、スピン軌道の相互作用に比例する。FeCoNiは、軌道成分(L)がプラスとなり、V、Cr、Mnは軌道成分(L)がマイナスになる。このため、FeCoNi合金に元素Nを添加することにより、軌道成分(L)を小さくすることができる。この結果、スピン軌道の相互作用が小さくなり、ひいてはダンピング定数αを減ずることができる。
ダンピング定数αの低下は、元素Nの添加量に依存し、微量の添加でダンピング定数αが低下する。具体的には、0<a≦50at%(aは含有量)の範囲で添加される。50at%を超える量を添加すると、MR素子のMR比がほとんど発現しなくなるためである。これは、飽和磁化Msがほぼゼロに低減すること、および、界面での磁化スピンの向きが相殺されるためであると考えられる。より好ましい上限は、a≦20at%である。大きなMR比を確保する観点も考慮すると、さらに好ましい上限は、a≦10at%である。
一方、0.1at%未満では十分なダンピング定数α低減の効果が見られないので、下限は、0.1at%≦aであることが好ましい。
元素Nの添加によるダンピング定数αの低減効果は、FeCoNiがBCC構造である場合が最も大きい。これは、上記のように、BCC構造が最密構造ではない点に起因する。
BCC構造を有するV、Cr、Mnは、母合金であるFeCoNi合金がBCC構造を有する場合、FeCoNi合金に全率で固溶することが可能である。このため、このような材料は、結晶相としては非常に安定である。
しかしながら、FeCoNi合金が面心立方格子(FCC : face-centered cubic lattice)構造を有する場合でも、元素Nを添加することにより、FeCoNi合金のBCC構造を安定にすることも可能となる。
なお、一般に、フリー層2をスパッタリング法により形成することで、強制的な固溶状態が実現でき、添加物を5at%まで固溶させることができる。これは、後述の添加物2乃至4についても当てはまる。
また、元素Nの添加に伴う飽和磁化Msの低減は元素Nの添加量にほぼ比例する。これは一般の金属元素が10at%程度までの飽和磁化Msの低減率が小さいのとは異なる特徴である。これも、添加物2乃至4についても当てはまる。
また、フリー層2のうちで、ダンピング定数αが小さいBCC構造部分を有する体積はフリー層2全体の50%以上であることが好ましい。これにより、顕著にダンピング定数αの低下傾向が見られる。残りの部分の構造は問わないが、アモルファスになることが多いと考えられる。固溶範囲を超える添加物は、BCC構造の結晶粒界部分に偏析し、アモルファスとして存在する。この記載も、添加物2乃至4についても等しく当てはまる。
(1−2−2)添加物2
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金であり、Si、Ge、Gaから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Mを含有している。
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金であり、Si、Ge、Gaから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Mを含有している。
さらに、FeCoNi合金は、BCC構造であることが好ましい。すなわち、FeCoNiの組成が、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y<0.2、0≦x<0.2、0≦y<0.2)であればよい。この範囲内であれば、FeCoNi合金はBCC構造となる。
FeCoNi合金に元素Mを添加することによっても、MR素子のダンピング定数αを低減することができる。これは、以下の理由による。上記のように、ダンピング定数αを小さくすることによって反転電流を小さくすることができる。そして、ダンピング定数αは、スピン軌道の相互作用に比例するので、フリー層2の電子が少ないほど小さくなる。
元素Mのうち、Si、Ge、Gaは、共有結合を作り出す力が強い。そこで、FeCoNi合金に、Si、Ge、Gaを添加することにより、共有結合が作り出され、フリー層2の自由電子は局在化され、自由に運動できる自由電子の数が減少し、この結果、ダンピング定数αの低減を通じて、反転電流を減ずることができる。
添加量としては、FeCoNi合金の結晶構造を崩さずにダンピング定数αを小さくする値が好ましい。具体的には、添加量(含有量)bは、0<b≦5at%である。
添加量の上限の意味は、以下の通りである。元素MはBCC構造を有する。このため、BCC構造を有するFeCoNi合金に元素Mを添加することによって、BCC構造を維持したまま置換型で固溶することができる。ところが、元素Mを5at%を超えて添加すると、FeCoNi合金の結晶構造がBCC構造からアモルファス構造に変化する。これにより、原子間隔が最密充填構造の場合と同じになり、この結果、ダンピング定数αの上昇が懸念される。
さらに厳密にいうと、0.1at%未満では十分なダンピング定数α低減の効果が見られないので、下限は、0.1at%≦aであることが好ましい。
BCC構造を有するFeCoNiに元素Mを添加すると、FeCoNi合金のBCC構造の格子定数を伸ばす効果がある。この結果、スペーサ層4として多用されるMgO(100)面でのミスフィット量が緩和され、面積抵抗の低下を狙える。これはMgO中のバンド構造のつながりが、格子整合に非常に敏感だからである。この場合、MR比は添加元素Mとその量によるが、それほど大きな影響はでないと考えられる。
(1−2−3)添加物3
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金であり、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reから選ばれる少なくとも1つ以上の元素L含有している。
本発明の実施形態に係るフリー層2の材料は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金であり、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reから選ばれる少なくとも1つ以上の元素L含有している。
さらに、FeCoNi合金は、BCC構造であることが好ましい。すなわち、FeCoNiの組成が、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y<0.2、0≦x<0.2、0≦y<0.2)であればよい。この範囲内であれば、FeCoNi合金はBCC構造となる。
FeCoNi合金に元素Lを添加することによっても、MR素子のダンピング定数αを低減することができる。これは、以下の理由による。上記のように、ダンピング定数αを小さくすれば、反転電流を小さくできる。そして、ダンピング定数αは、フリー層2内の電子間の相互作用を減ずることによっても減ずることができる。
このための1つの方法として、電子間の距離を大きくすることが考えられる。そこで、最近接原子間距離が大きいSr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、ReをFeCoNi合金に添加することによって、フリー層2に含まれる原子の結晶構造が広がり、フリー層2内の電子間の距離が大きくなる。この結果、電子の相互作用の低下によって、ダンピング定数αを小さくすることができる。この結果、反転電流を減ずることができる。
添加量としては、FeCoNi合金の結晶構造を崩さずにダンピング定数αを小さくする値が好ましい。具体的には、添加量(含有量)cは、0<c≦10at%である。
添加量の上限の意味は、元素Mに対するものと同じである。すなわち、上限を超えた添付は、FeCoNi合金の結晶構造がBCC構造からアモルファス構造へと変化し、原子間隔が最密充填格子と同じになって、ダンピング定数αが上昇してしまう。
さらに厳密にいうと、0.1at%未満では十分なダンピング定数α低減の効果が見られないので、下限は、0.1at%≦aであることが好ましい。
なお、元素Lとして、より安定なBCC構造を有するNb、Mo、W、Ta、Reがより好ましい。
また、元素Mと同様に、BCC構造を有するFeCoNiに元素Lを添加すると、FeCoNi合金のBCC構造の格子定数を伸ばす効果がある。この結果、スペーサ層4として多用されるMgO(100)面でのミスフィット量が緩和され、低面積抵抗が狙える。
(1−2−1)、(1−2−)、(1−2−3)において述べたBCC構造のFeCoNi合金は、(100)面配向を有する。そして、スペーサ層4との方位関係を記述すると下記のようになる。
(100)スペーサ層//(100)フリー層
[100]スペーサ層//[110]フリー層
ただし、//は平行を意味する。
[100]スペーサ層//[110]フリー層
ただし、//は平行を意味する。
(1−2−4)添加物4
式(1)から、MR素子の体積を小さく、より具体的には、フリー層の厚さを減ずることによっても、反転電流を小さくすることができる。これは、スピン注入書き込みの場合、スピン注入によりフリー層にかかるトルクは、界面付近(≦3nm)でしか作用しないので、フリー層が厚くなるとトルクがかからない部分が増大し、反転電流が増大するからである。
式(1)から、MR素子の体積を小さく、より具体的には、フリー層の厚さを減ずることによっても、反転電流を小さくすることができる。これは、スピン注入書き込みの場合、スピン注入によりフリー層にかかるトルクは、界面付近(≦3nm)でしか作用しないので、フリー層が厚くなるとトルクがかからない部分が増大し、反転電流が増大するからである。
フリー層を薄くすることにより反転電流を減ずることができるが、単に薄くすると、MR素子の耐熱性もが小さくなる。これは、MRAMのメモリセルのデータ保持特性の悪化に繋がるので好ましくない。
そこで、フリー層に高い磁気異方性エネルギーを持たせることにより、ある耐熱性を維持したまま、フリー層の体積を小さくすることができる。耐熱性に関して、
Δ=Ke・V/(kb・T)
ただし、
Δ:耐熱性
Ke:有効磁気異方性エネルギー
V:フリー層の体積(=S(フリー層の面積)・t(フリー層の厚さ))
kb:ボルツマン定数
T:温度
が成り立つ。従って、ある温度において、耐熱性Δおよびフリー層面積Sが一定の場合、有効磁気異方性エネルギーKeを大きくすれば、フリー層厚さtを小さく設定することが可能である。
Δ=Ke・V/(kb・T)
ただし、
Δ:耐熱性
Ke:有効磁気異方性エネルギー
V:フリー層の体積(=S(フリー層の面積)・t(フリー層の厚さ))
kb:ボルツマン定数
T:温度
が成り立つ。従って、ある温度において、耐熱性Δおよびフリー層面積Sが一定の場合、有効磁気異方性エネルギーKeを大きくすれば、フリー層厚さtを小さく設定することが可能である。
有効磁気異方性エネルギーKeは、垂直磁化膜(例えば図2)と面内磁化膜(例えば図1)とで異なる。垂直磁化膜では、一般に、
Ke=Ku−4πMs2 (2)
と表される。一方、面内磁化膜では、
Ke=Ku+Ks (3)
ただし、
Ks:形状磁気異方性エネルギー
と表される。
Ke=Ku−4πMs2 (2)
と表される。一方、面内磁化膜では、
Ke=Ku+Ks (3)
ただし、
Ks:形状磁気異方性エネルギー
と表される。
そこで、本発明の実施形態に係るMR素子のフリー層2は、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)からなる磁性合金であり、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Xを含む。
元素Xの組成範囲は、20at%〜80at%が好ましい。元素Xは、フリー層2に高い一軸磁気異方性エネルギーKuを持たせることができるとともにフリー層2の耐食性を向上させる。一軸磁気異方性エネルギーKuを持たせることにより、有効磁気異方性エネルギーKeを大きくできる。なお、元素Xは磁性元素でないため、添加すると材料全体の体積で見た場合、飽和磁化Msが低下する。これも、スピン注入磁化反転電流の低減に寄与する。
また、高い一軸磁気異方性エネルギーKuを持つことで、ある同じ値の有効磁気異方性エネルギーKeを達成しようとした場合、(3)式から分かるように、MR素子形状に起因する形状磁気異方性エネルギーKsを相対的に小さくすることが可能となる。この結果、MR素子の特性のサイズへの依存度が小さくなり、このようなMR素子を用いるMRAMにおけるMR素子(メモリセル)のサイズばらつきに対する耐性が向上する。MR素子の微細化に伴い、MR素子サイズのばらつきによる特性のばらつきはより顕著になるので、本実施形態を用いることにより、サイズばらつきを懸念することなく、小さな(アスペクト比の小さな)MR素子を実現できる。
フリー層2に元素Xを適切に添加し且つ適切なフリー層2の結晶配向性に揃えることによって、膜面に垂直な磁気異方性を持たせることが可能である。すなわち、元素Xの添加されたFeCoNi合金膜の結晶構造および配向性を制御することによって、FeCoNi合金に垂直磁気異方性を与えることができる。
より具体的には、(001)面配向を有する六方最密充填(HCP : hexagonal close-packed)構造のCoFeNi−X合金、(111)面配向を有するFCC構造のCoFeNi−X合金、(001)面配向を有する面心正方(FCT : face-centered tetragonal)構造のFeCoNi−X合金を用いることができる。FCT構造の場合は、規則構造を有する。規則相の結晶構造としては、L10構造とL12構造とがある。L10構造とL12構造の規則構造からなる相を形成するためには、元素Xの組成範囲は、20at%以上80at%以下であることが好ましい。規則構造相の形成には熱処理が必要である。上記の組成範囲においては、適切な熱処理により上述したL10構造とL12構造の規則構造相を容易に形成することができる。L10構造の規則構造相は、40at%から60at%の元素Xの組成範囲で形成されやすい。L12構造の規則構造相は、20at%から40at%、および、60at%から80at%の元素Xの組成範囲で形成されやすい。
(1−2−5)MR素子の付加的構造
元素NまたはMまたはL(以下、添加元素)を添加する実施形態に付加的に、以下の実施形態を付加することができる。すなわち、フリー層2中の添加元素が、スペーサ層4に近づくにつれて含有量が低下するような濃度分布を有している。これは、非磁性元素である添加元素の濃度をスペーサ層4とフリー層2との界面付近で低減することにより、MR素子1のMR比を大きく維持することが可能となるからである。また、界面付近での添加元素が希薄であることにより、添加元素に起因する軌道角運動量が低下し、界面付近のフリー層2のスピン注入によるトルク印加効率が向上する。
元素NまたはMまたはL(以下、添加元素)を添加する実施形態に付加的に、以下の実施形態を付加することができる。すなわち、フリー層2中の添加元素が、スペーサ層4に近づくにつれて含有量が低下するような濃度分布を有している。これは、非磁性元素である添加元素の濃度をスペーサ層4とフリー層2との界面付近で低減することにより、MR素子1のMR比を大きく維持することが可能となるからである。また、界面付近での添加元素が希薄であることにより、添加元素に起因する軌道角運動量が低下し、界面付近のフリー層2のスピン注入によるトルク印加効率が向上する。
上述のような濃度分布を形成するには、図7に示すように、添加元素を含まない界面フリー層21をフリー層2とスペーサ層4の間に挿入し、フリー層2を2層化して形成する方法が好ましい。すなわち、界面フリー層21を、組成式Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金で構成する。この場合、界面フリー層21はBCC構造であることが好ましい。その時のFeCoNi合金の組成は、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y<0.2、0≦x<0.2、0≦y<0.2)であればよい。
フリー層2は、FeCoNi合金に、(1−2−1)、(1−2−2)、(1−2−3)での記載に従って元素N、M、Lを添加したもので構成する。
この界面フリー層21を有するMR素子を、適切な温度でアニール処理を行う。この結果、添加元素がフリー層2から界面フリー層21へ熱拡散することにより、フリー層2中の添加元素が、スペーサ層4に近づくにつれて含有量が低下するような濃度分布を実現できる。
また、上述のような濃度分布は、図8に示すように、添加元素を含まないフリー層2上に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Xからなるキャップ層22を形成し、その後適切なアニールを施すことによっても実現できる。フリー層2は、典型的には、BCC構造を有し、(100)面配向したFeCoNi合金に、(1−2−1)、(1−2−2)、(1−2−3)での記載に従って元素N、M、Lのいずれかを添加したもので構成する。キャップ層22は、FCC構造を有し、(100)面配向したものを用いるのが好ましい。
スペーサ層4の界面での添加元素の濃度を低くすることによって、添加元素による反転電流低減効果を得られると共に、MR素子1のMR比を高く保つことができる。MR比は、スペーサ層4とフリー層2との界面の状態によって大きく左右されるからである。
なお、添加元素のフリー層2内の濃度勾配は、MR素子に用いられる各層の断面での膜面垂直方向へのEDX(energy-dispersive x-ray diffraction)あるいはEELS(electron energy loss spectroscopy)による組成の線分析による組成解析で同定できる。
(1−2−6)フリー層の原子構造
本発明の実施形態に係るフリー層2は、L10規則構造相、あるいはL12規則構造相を有することが好ましい。L10規則構造相およびL12規則構造相を有するFeCoNi合金は、非常に大きな結晶磁気異方性エネルギーKcを発現するので、一軸磁気異方性エネルギーKuを高めるのに役立つ。上記したように、高い一軸磁気異方性エネルギーKuによって、高い耐熱性を維持したまま反転電流を小さくすることができる。
本発明の実施形態に係るフリー層2は、L10規則構造相、あるいはL12規則構造相を有することが好ましい。L10規則構造相およびL12規則構造相を有するFeCoNi合金は、非常に大きな結晶磁気異方性エネルギーKcを発現するので、一軸磁気異方性エネルギーKuを高めるのに役立つ。上記したように、高い一軸磁気異方性エネルギーKuによって、高い耐熱性を維持したまま反転電流を小さくすることができる。
L10規則構造相、および、L12規則構造相の形成は、X線回折法および電子線回折法により確認される。両回折法での回折強度は、各原子の電子散乱の強度を用いて構造因子計算により、求められる。規則度の評価には、通常現れる(002)回折と、規則化に伴って消滅則が崩れることにより現れる超格子ピークである(001)ピークについて評価する。規則度は上記の(001)ピークと(002)ピークの比から算出される。
ここで、L10規則構造相、あるいはL12規則構造相とは、Fe、Co、Niのうちのある元素とRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agのうちのある1つの元素に着目し、その2元系合金を母合金として見た場合の結晶構造として定義される。たとえば、L10構造合金としては、FePt規則合金、FePd規則合金、CoPt規則合金などが挙げられる。L12構造合金としては、Co3Pt規則合金、Fe3Pt規則合金、Fe3Pd規則合金などが挙げられる。
特に、L10規則構造相のFePt合金あるいはCoPt合金は、5×106erg/cc以上の大きな結晶磁気異方性エネルギーKcを有し、FCT構造を有し、(001)面配向した場合、強い垂直磁気異方性を発現するので好ましい。また、L12構造のFe3Pt合金、L12規則構造相のCo3Pt合金もFCT構造であり、1×106erg/cc以上の大きな結晶磁気異方性エネルギーKcを示す。L10規則構造相のFe3Pt合金、あるいはL12規則構造相のFePt合金に、V、Cr、Mnから選ばれる元素を添加すると添加量以上に飽和磁化Msが低減される。これは、V、Cr、MnのスピンがFeのスピンと逆方向になるからである。このことは、FeMn、FeCrなどが反強磁性的な性質を持つことと類似している。また、ダンピング定数αも低下傾向を示す。V、Cr、MnはFeと置換して固溶する。
垂直磁化とは、磁化―磁界(M−H)カーブにおいて、無磁界の残留磁化Mrと飽和磁化Msとの比Mr/Msが0.5以上である場合を指す。さらに、MR素子の磁気抵抗効果比―磁界(MR−H)カーブにおいて、無磁界の残留状態でのMR比MRrと反平行磁化状態時の最大のMR比MRsとの比MRr/MRsが0.5以上である場合を指す。
L10規則構造相あるいはL12規則構造相を有するFeCoNi合金からなるフリー層2に、元素Nが添加されてもよい。添加量は、0.5at%以上10at%以下が好ましい。0.5at%未満だと十分な添加効果が見られない。この添加により、ダンピング定数αの低下を通じて、反転電流を低減できる。10at%を超えて添加しても構わないが、L10あるいはL12規則構造相への規則化温度が上昇し、規則化が阻害され、規則度が低下する。
V、Cr、MnはFeと全率固溶体であるために、規則相結晶構造を不安定にすることはない。MRAM用のMR素子として用いるためには、X線回折像の(001)ピークと(002)ピークから算出される規則度が、0.6以上は必要である。できれば0.8以上が好ましい。規則度が0.6未満となるとパターニング後のMR素子におけるスピン注入磁化反転電流にばらつきを生じる可能性が高くなる。
L10規則構造相あるいはL12規則構造相を有するFeCoNi合金からなるフリー層2に、元素MまたはLが添加されてもよい。添加量は、0.5at%以上10at%以下であることが好ましい。10at%を超えて添加するとアモルファス構造となり、規則相構造をとらなくなる。0.5at%未満だと十分な添加効果が見られない。
上記のL10規則構造相あるいはL12規則構造相のフリー層2は、(001)面配向させることにより、垂直磁化膜として機能するようになる。フリー層2に垂直磁化膜を用いる場合、ピン層3も垂直磁化膜を使うのが好ましい。このとき、ピン層3の厚さは、フリー層2の厚さよりも厚く設定することが好ましい。これは、ピン層3の磁化量をフリー層2の磁化量よりも大きくすることで、反転電流によるピン層3の安定性を向上させるために必要である。実際には、ピン層3の磁気異方性エネルギーKuあるいは保持力Hcをフリー層2のそれらよりも大きく設定することも必要である。
上述してきた元素N、M、Lのいずれかが添加された、L10規則構造相あるいはL12規則構造相を有するフリー層2とスペーサ層4との間に、界面フリー層21が形成されてもよい。界面フリー層21は、BCC構造のFeCoNi合金であることが好ましい。その時のFeCoNi合金の組成は、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y<0.2、0≦x<0.2、0≦y<0.2)であればよい。また、界面フリー層21には、(1−2−1)、(1−2−2)、(1−2−3)での記載に従って元素N、M、Lのいずれかを添加したものを用いることも可能である。界面フリー層21の厚さは、0.5nm以上2nm以下が好ましい。0.5nm未満では、界面フリー層21により得られる効果はほとんど得られず、2nmを超えると反転電流の増大を招く。
また、スペーサ層4にMgO、CaO、SrO、TiOなどのNaCl構造を有する酸化物を用いる場合、スペーサ層4は(100)面配向していることが好ましい。この時、のL10規則構造相あるいはL12規則構造相を有するフリー層2は、(001)面配向することが好ましい。この場合のスペーサ層4とフリー層2との方位関係は、下記のようになる。
(100)スペーサ層//(100)フリー層
[100]スペーサ層//[100]フリー層
(1−3)具体的な実施例
(1−3−1)第1実施例
本発明の具体的な実施例について説明する。
[100]スペーサ層//[100]フリー層
(1−3)具体的な実施例
(1−3−1)第1実施例
本発明の具体的な実施例について説明する。
以下の方法で、4端子測定が可能なMR素子を形成した。まず、Si基板の表面に熱酸化によって、1um以上の厚さのSiO2層を形成した。次に、この基板に下部配線のパターンをトレンチで形成した。次に、ダマシン法を用いてトレンチ部に下部電極となるCuを埋め込み形成した。次に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、本発明の実施形態に係るMR素子を形成した。MR素子は、図1等の構造を包含する、図9に示す構造を有する。
すなわち、図9に示すように、MR素子は、上から順に、キャップ層23、フリー層2、スペーサ層4、ピン層3、反強磁性層24、下地層25を有している。さらに、ピン層3は、SAF構造を有しており、上から順に強磁性層11、中間層12、強磁性層13から構成されている。
次に、ここまでの工程で得られた構造に対して、1.5Tの磁場中、真空中375℃でアニールを施した。その後、TiNあるいはTaのハードマスク材を用いて、イオンミリング法によってMR素子をパターニング加工後、SiNからなる保護膜およびSiO2からなる層間膜を形成した。次に、CMP(chemical mechanical polishing)により層間膜表面を平坦化および研磨し、MR素子部の上面を露出させた。その後、上部電極をパターニング形成した
成膜したMR素子の詳細な構成を以下に示す。/により囲まれた材料が、図9に示すMR素子の1つの層を上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。MR素子中の磁性層は面内磁化を有している。
成膜したMR素子の詳細な構成を以下に示す。/により囲まれた材料が、図9に示すMR素子の1つの層を上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。MR素子中の磁性層は面内磁化を有している。
比較例:
Ta[5]/Fe[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例1:
Ta[5]/Fe95V5[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例2:
Ta[5]/Fe97Cr3[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例3:
Ta[5]/Fe97Mn3[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
これらの比較例、実施例1乃至3のMR素子を用いて、面積抵抗RA、MR比、スピン注入磁化反転電流密度Jcを評価した。MR素子のサイズおよび形状は、幅100nm、長さ200nmの楕円形である。反転電流密度Jcはパルス幅1μ秒のDCパルス電流により評価した。評価結果を下表に示した。反転電流密度Jcは、平行から反平行磁化反転時および反平行から平行磁化反転時のそれぞれの反転電流密度の平均値である。
Ta[5]/Fe[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例1:
Ta[5]/Fe95V5[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例2:
Ta[5]/Fe97Cr3[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例3:
Ta[5]/Fe97Mn3[2]/MgO[0.7]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
これらの比較例、実施例1乃至3のMR素子を用いて、面積抵抗RA、MR比、スピン注入磁化反転電流密度Jcを評価した。MR素子のサイズおよび形状は、幅100nm、長さ200nmの楕円形である。反転電流密度Jcはパルス幅1μ秒のDCパルス電流により評価した。評価結果を下表に示した。反転電流密度Jcは、平行から反平行磁化反転時および反平行から平行磁化反転時のそれぞれの反転電流密度の平均値である。
表1に示すように、V、Cr、Mnの添加によって顕著な反転電流密度Jcの低減効果が見られた。
また、上から順にTa[5]/FeV[5]/MgO[3]/Ta[5]/基板からなる積層構造を用いて、FMR(ferromagnet-resonance)測定によりダンピング定数αの評価を行った。結果として、FeへのV添加においては、5at%で極小値を取ることが分かった。また、20at%を超える添加で、無添加の場合のダンピング定数αを超える結果を得た。Mn、Cr添加の場合においても、ほぼ同様な傾向の結果を得た。
また、FeVからなるフリー層2を有するMR素子(実施例1の構造)において、MR比のV添加量依存性を測定した結果、20at%付近で顕著なMR比の劣化が見られた。同様に、FeMnからなるフリー層2およびFeCrからなるフリー層2を有するMR膜(実施例2および3)において、MR比を測定した結果、それぞれ、15at%付近および18at%付近でMR比の顕著な劣化が見られ始めた。
(1−3−2)第2実施例
実施例1と同様の工程によってMR素子を作成した。MR素子のサイズは、100nm×100nmである。各層の材料および厚さは、以下の通りである。第1実施例での記載と同じく、/により囲まれた材料を1つの層として上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。
実施例1と同様の工程によってMR素子を作成した。MR素子のサイズは、100nm×100nmである。各層の材料および厚さは、以下の通りである。第1実施例での記載と同じく、/により囲まれた材料を1つの層として上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。
比較例:
Ta[5]/Fe50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例1:
Ta[5]/(Fe0.95V0.5)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例2:
Ta[5]/(Fe0.97Cr0.3)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例3:
Ta[5]/(Fe0.97Mn0.3)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
上記のFePt系合金膜は全てL10規則構造相がX線回折像から観察されていて、比較例、実施例1乃至3の規則度は、0.8以上であり、元素の添加による規則度の顕著な劣化は見られなかった。MR素子の磁性膜は全てが垂直磁化膜であった。また、X線回折像から、全ての実施例のフリー層が(001)面に優先配向していた。
Ta[5]/Fe50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例1:
Ta[5]/(Fe0.95V0.5)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例2:
Ta[5]/(Fe0.97Cr0.3)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
実施例3:
Ta[5]/(Fe0.97Mn0.3)50Pt50[1.5]/MgO[0.65]/Co40Fe40B20[2]/Fe50Pt50[30]/Pt[10]/Cr[20]/MgO/下地層
上記のFePt系合金膜は全てL10規則構造相がX線回折像から観察されていて、比較例、実施例1乃至3の規則度は、0.8以上であり、元素の添加による規則度の顕著な劣化は見られなかった。MR素子の磁性膜は全てが垂直磁化膜であった。また、X線回折像から、全ての実施例のフリー層が(001)面に優先配向していた。
以上の比較例および実施例のMR素子について、4端子法によってMR比およびスピン注入磁化反転電流密度を評価した。結果を表2に示す。
表2に示すように、垂直磁化を有するMR素子においても、V、Cr、Mnの添加によって顕著な反転電流密度Jcの低減効果が見られた。
理論的な側面から、第一原理計算を行った結果から、フェルミエネルギーでの状態密度を比較した場合、Mn、Cr、Vで本質ダンピング定数の低減効果が得られることが示唆され、特にVの場合にその効果が大きい。
また、L10規則構造相を有するFe100−xPdx(x:40〜60at%)合金フリー層を用いた場合においても、上記の添加物において、スピン注入磁化反転電流密度Jcに関しては上記と同様な効果が得られた。各添加元素および添加量におけるスピン注入磁化反転電流密度Jcの低減比率はほぼ同じであった。Fe50Pd50合金フリー層を用いた場合において、ほぼ同等な層構成において、スピン注入磁化反転電流密度Jcは約10MA/cm2程度が得られた。
さらに、L10規則構造相を有するFePt合金膜あるいはFePd合金膜においては、測定されるダンピング定数は、上記のCr,Mn,Vの添加の有無にかかわらず、L10規則構造相の(001)超格子ピークから得られる(001)配向性および規則度に大きく依存する。(001)配向性が良くなれば、ダンピング定数が小さくなる結果が得られている。この結果は、規則度が向上していることも示唆するため、L10規則度が向上すれば、ダンピング定数が小さくなる。
(001)配向性およびフリー層の平滑性の観点から、MR膜の下地層が重要となる。ピン層のFePt直下Pt層下地層となっているCr20nmは、(001)配向したTiN、CrN、VN、NbN膜などと置換が可能であり、同等の効果を発揮することが可能であり、耐熱性向上が期待できる。上述の膜の膜厚は5〜20nmで最適化される。
L10規則構造相の(001)超格子ピークを増大させ、規則度を向上するという観点から、上記の添加元素に付加して、Cu、および、Znを添加することが好ましい。添加量は1%以上10%未満の範囲で調整される。CuおよびZnは、上記L10規則構造相の中でFe、Co、Niに置換する。
垂直磁化膜を有するMR膜においては、MR素子のサイズによっても反磁界低減の効果によりダンピング定数の効果が期待される。反磁界低減の効果を有効にするためには、MR素子サイズを100nmφ以下にすることが好ましい。100nmφを超える領域では、反磁界の低減率が小さく、べた膜との磁化反転挙動の違いを見分けることが困難だからである。
(1−3−3)第3実施例
実施例1と同様の工程によって、実施例1と同じ積層構造のMR素子を作成した。MR素子のサイズは、100nmx100nmである。各層の材料および厚さは、以下の通りである。第1実施例での記載と同じく、/により囲まれた材料を1つの層として上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。
実施例1と同様の工程によって、実施例1と同じ積層構造のMR素子を作成した。MR素子のサイズは、100nmx100nmである。各層の材料および厚さは、以下の通りである。第1実施例での記載と同じく、/により囲まれた材料を1つの層として上から順に示している。[]内は膜厚(単位はnm)を表し、組成の単位はat%である。
比較例:
Ta[5]/Co50Fe50[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例1:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Si3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例2:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97.5Ge2.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例3:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)98Ga2[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例4:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Ta3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例5:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97.5Sr2.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例6:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)98W2[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例7:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Nb3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例8:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)96.5Mo3.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
以上の比較例および実施例のMR素子について、4端子法によってMR比および反転電流密度Jcを評価した。結果を表3に示す。
Ta[5]/Co50Fe50[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例1:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Si3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例2:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97.5Ge2.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例3:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)98Ga2[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例4:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Ta3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例5:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97.5Sr2.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例6:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)98W2[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例7:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)97Nb3[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
実施例8:
Ta[5]/(Co0.5Fe0.5)96.5Mo3.5[2]/MgO[0.75]/Co40Fe40B20[3]/Ru[0.85]/CoFe[3]/PtMn[15]/Ta[5]
以上の比較例および実施例のMR素子について、4端子法によってMR比および反転電流密度Jcを評価した。結果を表3に示す。
表3に示すように、Si、Ge、Ga、Ta、Sr、W、Nb、Moの添加によって顕著な反転電流密度Jcの低減効果が見られた。
また、Co0.5Fe0.5へのSiの添加量を調べた。評価対象のMR素子は、上から順にTa[5]/CoFeSi[5]/MgO[3]/Ta[5]/基板([]内は厚さ、単位はnm)からなる積層構造を有している。評価の結果、5at%以下の添加量では、明瞭なBCC構造に起因するピークがX線回折測定で見られた。また、平面TEM(transverse electromagnetic wave)観察において、5at%を超える組成でCoFeSi層の体積比で50%以上がアモルファス構造であることが確認された。10at%以上でおおよそCoFeSi層の全体でアモルファス構造となった。また、FMR測定により、ダンピング定数αを測定した結果、Siの添加量3at%付近において極小値が得られた。この傾向は、Ge、Gaでも同様であった。
Co0.5Fe0.5へのTaの添加量を調べた。評価対象のMR素子は、上から順にTa[5]/CoFeTa[5]/MgO[3]/Ta[5]/基板([]内は厚さ、単位はnm)からなる積層構造を有している。評価の結果、10at%以下の添加量では、明瞭なBCC構造に起因するピークがX線回折測定で見られた。また、平面TEM観察において、10at%を超える組成でCoFeTa層の体積比で50%以上がアモルファス構造であることが確認された。20at%以上でおおよそCoFeTa層の全体でアモルファス構造となった。この傾向は、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、W、Reでも同様であった。
これまで上述してきたすべてのMR素子およびMR膜は、スピン注入磁化反転素子およびそれを用いたMRAMだけにとどまらず、磁壁移動型素子およびそれを用いたメモリにも適用が可能である。
(2)MRAM
次に、(1)で記載したMR素子を用いた、スピン注入書き込み型のMRAMについて説明する。
次に、(1)で記載したMR素子を用いた、スピン注入書き込み型のMRAMについて説明する。
図10は、本発明の実施形態に係るMRAMの1つのメモリセルの主要部を示す断面図である。図10に示すように、MR素子1の上面は、上部電極31を介してビット線32と接続されている。また、MR素子1の下面は、下部電極33、導電層(引き出し線)34、プラグ35を介して、半導体基板36の表面のソース/ドレイン拡散領域37aと接続されている。
ソース/ドレイン拡散領域37aは、ソース/ドレイン拡散領域37b、基板36上に形成されたゲート絶縁膜38、ゲート絶縁膜38上に形成されたゲート電極39と共に、選択トランジスタTrを構成する。選択トランジスタTrとMR素子1とは、MRAMの1つのメモリセルを構成する。
ソース/ドレイン拡散領域37bは、プラグ41を介してもう1つのビット線42と接続されている。
なお、引き出し線34を用いずに、下部電極33の下方にプラグ35が設けられ、下部電極33とプラグ35が直接接続されていてもよい。
ビット線32、42、電極33、34、導電層34、プラグ35、36は、W、Al、AlCu、Cu等から構成されている。
図10に示す1つのメモリセルが例えば行列状に複数個設けられることにより、MRAMのメモリセルアレイが形成される。図11は、本発明の実施形態に係るMRAMの主要部を示す回路図である。
図11に示すように、MR素子1と選択トランジスタTrとからなる複数のメモリセル53が行列状に配置されている。同じ列に属するメモリセル53の一端は同じビット線32と接続され、他端は同じビット線42と接続されている。同じ行に属するメモリセル53のゲート電極(ワード線)39は相互に接続され、さらにロウデコーダ51と接続されている。
ビット線32は、トランジスタ等のスイッチ回路54を介して電流ソース/シンク回路55と接続されている。また、ビット線42は、トランジスタ等のスイッチ回路56を介して電流ソース/シンク回路57と接続されている。電流ソース/シンク回路55、57は、書き込み電流(反転電流)を、接続されたビット線32、42に供給したり、接続されたビット線32、42から引き抜いたりする。
ビット線42は、また、読み出し回路52と接続されている。読み出し回路52は、ビット線32と接続されていてもよい。読み出し回路52は、読み出し電流回路、センスアンプ等を含んでいる。
書き込みの際、書き込み対象のメモリセルと接続されたスイッチ回路54、56および選択トランジスタTrがオンされることにより、対象のメモリセルを介する電流経路が形成される。そして、電流ソース/シンク回路55、57のうち、書き込まれるべき情報に応じて、一方が電流ソースとして機能し、他方が電流シンクとして機能する。この結果、書き込まれるべき情報に応じた方向に書き込み電流が流れる。
書き込み速度としては、数ナノ秒から数マイクロ秒までのパルス幅を有する電流でスピン注入書込みを行うことが可能である。
読み出しの際、書き込みと同様にして指定されたMR素子1に、読み出し電流回路によって磁化反転を起こさない程度の小さな読み出し電流が供給される。そして、読み出し回路32は、MR素子1の磁化の状態に応じた抵抗値に起因する電流値あるいは電圧値を、参照値と比較することで、その抵抗状態を判定する。
なお、読み出し時は、書き込み時よりも電流パルス幅が短いことが望ましい。これにより、読み出し時の電流での誤書込みが低減される。これは、書き込み電流のパルス幅が短い方が、書き込み電流値の絶対値が大きくなるということに基づいている。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子によれば、フリー層2が、所定の元素(M、N、L)を添加されたBCC構造のFeCoNi合金からなる。このため、添加される元素の種類に応じて、スピン軌道の相互作用を減じたり、自由電子を局在化したりすることによって、MR素子のダンピング定数αが低下する。この結果、MR素子の反転電流を減じることができる。
また、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子によれば、フリー層2が、所定の元素(X)を添加されたBCC構造のFeCoNi合金からなる。このため、一軸磁気異方性エネルギーKuを増加することを介して、耐熱性のフリー層を薄くことによって反転電流を減ずると同時に耐熱性の低下を回避できる。
また、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子によれば、フリー層2とスペーサ層4の界面の元素M、Nの濃度が、フリー層2の他の部分より低い。このため、元素M、Nの添加による反転電流の低減と高いMR比とを両立できる。
また、本実施形態に係る磁気抵抗素子によれば、フリー層2が、所定の元素(M、N、L)を添加されたL10またはL12規則構造相を有するFeCoNi合金からなる。このため、高い一軸磁気異方性エネルギーKuを介して、高い耐熱性を維持したまま反転電流を小さくすることができる。
1…MR素子、2…強磁性層(ピン層)、3…強磁性層(フリー層)、4…スペーサ層。
Claims (11)
- 磁化の方向が固定された磁化固定層と、
磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、V、Cr、Mnのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦20at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、
前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、
を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 磁化の方向が固定された磁化固定層と、
磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Si、Ge、Gaのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦5at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、
前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、
を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 磁化の方向が固定された磁化固定層と、
磁化の方向が可変で、BCC構造を有するFe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reのうちの1つ以上である添加元素を0<a≦10at%(aは含有量)の範囲で含有する磁化可変層と、
前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、
を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記磁化可変層中の前記添加元素の量が、前記中間層に近づくにつれて低下することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
- 磁化の方向が固定された磁化固定層と、
磁化の方向が可変で、Fe1-x-yCoxNiy(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる磁性合金からなり、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agのうちの1つ以上を含有する磁化可変層と、
前記磁化固定層と前記磁化可変層との間に設けられた、非磁性材料からなる中間層と、
を具備し、前記磁化固定層と前記中間層と前記磁化可変層とを貫く双方向電流によって前記磁化可変層の磁化の方向が反転されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記磁化可変層が、L10規則構造相またはL12規則構造相を有することを特徴とする請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁化可変層が、V、Cr、Mnのうちの1つ以上を0.5≦a≦10at%(aは含有量)の範囲で含有することを特徴とする請求項5または6に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁化可変層が、Si、Ge、Gaのうちの1つ以上を0.5≦a≦10at%(aは含有量)の範囲で含有することを特徴とする請求項5または6に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁化可変層が、Sr、Ti、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reのうちの1つ以上を0.5≦a≦10at%(aは含有量)の範囲で含有することを特徴とする請求項5または6に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁化可変層および前記磁化固定層が膜面に対して垂直磁化を有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を記憶素子として含むメモリセルを複数個含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルに対して双方向に電流を供給する電流供給回路と、
を具備することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
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