JP2007001950A - セラミド含有皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
結晶性が高く皮膚外用剤などへの配合が困難であったセラミドを安定に含有して、皮膚水分蒸散抑制効果に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
セラミドを常温で液状の高級アルコールに溶解し、リン脂質を乳化剤として使用することにより、経時安定性の良い皮膚外用剤を得ることができた。高級アルコールとしては、ホホバアルコールが特に適していた。本発明の皮膚外用剤は皮膚の水分蒸散抑制効果の向上作用を有していた。
Description
(2) 前記セラミドがセラミド2であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3) 前記リン脂質がリゾ体であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4) 前記リン脂質がリゾレシチンであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5) 前記常温で液状の高級アルコールがホホバアルコールであることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6) フェノキシエタノールを含有することを特徴とする(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(7) 1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(8) アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(9) セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有する乳化又は可溶化型の皮膚外用剤であって、セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有する乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする、(1)〜(8)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(10) パラベンを含有しないことを特徴とする、(1)〜(9)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(11) セラミド、常温で液状の高級アルコール、リン脂質を含有する乳化物を調整し、しかる後に、他の製剤成分とともに製剤化されたものであることを特徴とする、(1)〜(10)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(12) 化粧料であることを特徴とする、(1)〜(11)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
本発明の皮膚外用剤は、セラミドを含有することを特徴とする。本発明に使用されるセラミドとは、スフィンゴシンのアミノ基に長鎖脂肪酸がアミド結合した化合物の総称で、スフィンゴシンの構造及び長鎖脂肪酸の構造の違いによりセラミド1〜6が知られている。本発明においてはセラミド構造を有していれば何れのセラミドでも使用できるが、その中でも、セラミド2(N−アシルスフィンゴシン)又はセラミド3(N−アシルジヒドロスフィンゴシン)が好ましい。セラミド2としては、高砂香料工業よりセラミドTIC−001が市販されており、このものを購入して使用することができ、好ましい。セラミド3は、スフィンゴシンのヒドロキシ体であるフィトスフィンゴシンのN−アシル化体であり、植物セラミドとしても知られており、米糠に含有されているスフィンゴ糖脂質であるセレブロシドを加水分解しても得ることができる。セラミド3は、コスモファーム社より市販されており、このものを購入して使用することができ、好ましい。このようなセラミドの使用濃度は、ホホバアルコールに対して、1〜10質量%含有させることが好ましい。これより少なくなると本発明の効果が現れにくくなり、多すぎるとセラミドの結晶化が進行し本発明の効果が損なわれるからである。
本発明の皮膚外用剤はリン脂質を含有していることを特徴としている。セラミドを溶解した常温で液状の高級アルコールを水へ乳化・可溶化させるために、乳化・可溶化剤としてリン脂質を使用することにより、微細で安定性のよい乳化・可溶化型製剤が得られる。本発明の皮膚外用剤に用いられるリン脂質としては、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びこれらのリゾ体が例示でき、これらは天然型であっても、水添されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良く、これらのリン脂質のうちリゾ体を用いるのがより好ましい。これは、これらのリン脂質の中でもリゾ体の乳化・可溶化力が特に優れているからである。また、リゾ体の中でもリゾフォスファチジルコリン(水酸化レシチン(リゾレシチン))が特に好ましい。これは、リゾフォスファチジルコリンが、他のリゾ体に比して安定性が良く、また市販品として入手し易いからである。この様なリゾフォスファチジルコリンとしては、レシノールLL20、レシノールSH50(日本サーファクタント工業製)等があり、このものを購入して使用することができ、好ましい。この様な成分の含有量としては、外用剤に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、常温で液状である高級アルコールを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤に使用される常温で液状の高級アルコールとは、20℃、1気圧で流動性を有している炭素数16以上のアルコールを指し、具体的にはイソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコールなどがあげられる。これらの高級アルコールの中では、ホホバアルコールが特に好ましい、これはセラミドの溶解性が優れており、さらにセラミドの含有による水分蒸散抑制効果が一番顕著に現れるからである。本発明に使用されるホホバアルコールは、ホホバの種子から得られるホホバオイル(エステル化合物)を加水分解して得られるアルコール成分を精製することによって得られる。また、このホホバオイルを加水分解して得られた脂肪酸を還元してアルコール体へ誘導し、ホホバアルコールとすることも可能である。ホホバオイルは、アメリカ南部やメキシコ北部の乾燥地帯に自生しているツゲ科ホホバの種子から得られる油脂で、不飽和脂肪酸と不飽和脂肪族アルコールからなるエステル体を主成分とする油脂である。このホホバオイル中の脂肪酸と脂肪族アルコールの組成比は天然油脂であるので変動するが、脂肪酸部分の組成は、炭素数18不飽和度1(C18:1)の直鎖脂肪酸が4〜8%、炭素数20不飽和度1の直鎖脂肪酸(C20:1)が30〜40%、炭素数22不飽和度1の直鎖脂肪酸(C22:1)が5〜9%、脂肪族アルコール部分の組成としては、炭素数20不飽和度1の直鎖脂肪族アルコール(C20:1)が18〜26%、炭素数22不飽和度1の直鎖脂肪族アルコール(C22:1)が18〜26%、炭素数24不飽和度1の直鎖脂肪族アルコール(C24:1)が2〜6%であり、単なる加水分解物から脂肪族アルコールのみを単離するとC20:1が36〜54%、C22:1が36〜54%、C24:1が4〜12%含有されることになる。しかし、一般には脂肪酸部分もアルコールへ還元されて使用されるため、オクタデセノール(C18:1)が4〜6%、エイコセノール(C20:1)が55〜64%、ドコセノール(C22:1)が24〜32%、テトラコセノール(C24:1)が2〜6%程度の組成を有している。このような組成のホホバアルコールとしては、ホホバアルコール(太陽化学製(株))が市販されており、このものを購入して使用することができ、好ましい。皮膚外用剤組成物中に於けるホホバアルコールの含有量は0.5〜20質量%、さらに言えば1〜10質量%であることが好ましい。これ以下では本発明の皮膚水分蒸散抑制効果が得られにくく、これ以上では製剤的に不安定化する可能性があるからである。
本発明の皮膚外用剤は、セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤としては、セラミドを常温で液状の高級アルコールに溶解させ、これを、リン脂質により、乳化物となし、これを含有させた乳化形態であることが好ましい。具体的には、セラミドと常温で液状の高級アルコールの混合物を70〜80℃に加熱して均一溶液とし、これを70〜80℃に加熱しておいたリン脂質含有水溶液と混合・撹拌し、乳化物を形成し、さらにマイクロフルイダイザー、エクストルーダー、ディスパー、高圧ホモミキサー等の高機械力処理を行い、さらに微細な乳化粒子とすることが好ましい。乳化物の安定化のためにも乳化粒子の微細化は有効であり、マイクロフルイダイザーを使用する場合には、1回〜3回マイクロフルイダイザーを通すことにより作製直後において、100nm以下の乳化粒子とすることが好ましく、80nm以下とすることがより好ましい。乳化粒子をこの様なサイズとすることにより、優れた製剤系の安定化効果を得ることができる。このものをそのまま本発明の皮膚外用剤とすることもできるが、更に、得られた乳化物を製造中間体として用い、他の製剤上の任意成分とともに常法に従って処理し、皮膚外用剤に調整することができ、本発明に皮膚外用剤の製造法ではこの様な方法が好ましい。
ホホバアルコール 5.0 質量%
セラミド2(セラミドTIC−001:高砂香料製) 0.2 質量%
ロ)
リゾレシチン(レシノールLL20:日本サーファクタント工業製) 1.0 質量%
グリセリン 1.0 質量%
1,2−ペンタンジオール 0.5 質量%
水 92.3 質量%
実施例1の皮膚外用剤1,皮膚外用剤2,比較例1,比較例2,比較例3、皮膚外用剤3をスライドグラス上に載せ、へらで展延し、偏光顕微鏡によるマルテーゼクロス(液晶状態)及び析出物の観察を行った。さらに、20℃の恒温室に4ヶ月間放置したサンプルについても、スライドグラス上に載せ、へらで展延し、顕微鏡による観察を行った。結果を表1に示す。
<試験例2> 乳化粒子径の測定
乳化粒子径の測定は、コールター社製のマルチアングル サブミクロン 粒子アナライザイー N4 PLUSを用いて実施した。結果を表1に示す。
内径3.5cmφ×高さ6cmの上部の開口した円筒容器を精秤し、これに蒸留水20mlを入れ再度精秤した。この容器の上部に桐山ロート用濾紙(4cmφ:No.5C)をセットし、開口部3cmφのキャップをした。上部開口部に実施例1で作製した皮膚外用剤1,皮膚外用剤2,皮膚外用剤3、比較例4,比較例5のサンプルを500μlずつ塗布した。この容器を40℃、30%R.H.の雰囲気中に24時間放置した。24時間後に、水の入った円筒容器を精秤し、開口部を通して蒸散した水の量を計算した。コントロールとして、蒸留水500μlで同様に処理した濾紙を用いた。測定は、各5例で行ない、5例の平均値と偏差を算出した。結果を図1に示す。
ホホバアルコール 8.0 質量%
セラミド2(セラミドTIC−001:高砂香料製) 0.5 質量%
スクワラン 3.0 質量%
ロ)
リゾレシチン(レシノールSH50:日本サーファクタント工業製) 2.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量
水 81.2 質量%
ホホバアルコール 8.0 質量%
セラミド(セラミドTIC−001:高砂香料製) 0.5 質量%
スクワラン 3.0 質量%
ロ)
リゾレシチン(レシノールSH50:日本サーファクタント工業製) 1.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
1,2−ペンタンジオール 2.0 質量%
水 80.5 質量%
肌の乾燥に悩む20名のパネラーを対象に試験を実施した。測定に際しては、20℃、相対湿度50%の部屋で実施し、測定値は平均した。各パネラーの顔面を37℃の温水を用いて、クレンジング料、水性洗顔料を使用して洗浄してもらい、その後15分間安静にしてもらった後、測定を行った。頬部を対象として、経皮水分蒸散量(TEWL)をTEWAMETER TM-210にて測定し初期値とした。その後、TEWLの平均がほぼ同じになるように、5名ずつの4グループに分けた。各グループ毎に、実施例2にて作成した皮膚外用剤4又は比較例6,比較例7、実施例3の皮膚外用剤5を1ヶ月間使用してもらい、1ヶ月後に同様の条件で再度経表皮水分蒸散量を測定した。評価結果を図2に示した。
ホホバアルコール 5.0 質量%
セラミド(セラミドTIC−001:高砂香料製) 0.4 質量%
ロ)
リゾレシチン(レシノールSH50:日本サーファクタント工業製) 0.5 質量%
1,3−ブタンジオール 2.0 質量%
水 8.0 質量%
ハ)
ソルボンS60A 1.2 質量%
ソルボンT60A 1.0 質量%
1,3−ブタンジオール 3.0 質量%
水 3.0 質量%
ニ)
スクワラン 10.0 質量%
ノムコートTIO 3.0 質量%
ビタミンE 0.1 質量%
ホ)
1,2−ペンタンジオール 2.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
ヒアルロン酸 0.1 質量%
水 55.7 質量%
ホホバアルコール 5.0 質量%
セラミド(セラミドTIC−001:高砂香料製) 0.4 質量%
ロ)
リゾレシチン(レシノールSH50:日本サーファクタント工業製) 0.5 質量%
1,3−ブタンジオール 2.0 質量%
水 8.0 質量%
ハ)
ソルボンS60A 1.2 質量%
ソルボンT60A 1.0 質量%
1,3−ブタンジオール 3.0 質量%
水 3.0 質量%
ニ)
スクワラン 10.0 質量%
ノムコートTIO 3.0 質量%
ビタミンE 0.1 質量%
ホ)
アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.2 質量%
(Goodrich社製:カーボポール1382)
1,2−ペンタンジオール 2.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
ヒアルロン酸 0.1 質量%
水 55.5 質量%
肌の乾燥に悩む15名のパネラーを対象に試験を実施した。測定に際しては、20℃、相対湿度50%の部屋で実施し、測定値は平均した。各パネラーの顔面を37℃の温水を用いて、クレンジング料、水性洗顔料を使用して洗浄してもらい、その後15分間安静にしてもらった後、測定を行った。頬部を対象として、経皮水分蒸散量(TEWL)をTEWAMETER TM-210にて測定し初期値とした。その後、TEWLの平均がほぼ同じになるように、5名ずつの3グループに分けた。各グループ毎に、皮膚外用剤6、比較例8,皮膚外用剤7を1ヶ月間使用してもらい、1ヶ月後に同様の条件で再度経表皮水分蒸散量を測定した。評価結果を図3に示した。
Claims (12)
- セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- 前記セラミドがセラミド2であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 前記リン脂質がリゾ体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
- 前記リン脂質のリゾ体がリゾレシチンであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 前記常温で液状の高級アルコールがホホバアルコールであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- さらに、フェノキシエタノールを含有することを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- さらに、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- さらに、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有する乳化又は可溶化剤型の皮膚外用剤であって、セラミド、リン脂質、常温で液状の高級アルコールを含有する乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- パラベンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜9何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 予め、セラミド、常温で液状の高級アルコール、リン脂質を含有する乳化物を調整し、しかる後に、他の製剤成分とともに製剤化されたものであることを特徴とする、請求項1〜10何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 化粧料であることを特徴とする、請求項1〜11何れか1項に記載の皮膚外用剤。
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