JP6219029B2 - O/w/o型乳化剤型の皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、ラメラ液晶中に油性成分を安定に分散させた、クレンジング化粧料が開示されている。
前記皮膚外用剤の水相が、ベシクルを有する水相と、ラメラ液晶エマルションを有する水中油相とを含む、皮膚外用剤。
(2)前記両親媒性分子は、リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、MEL−B、及びジェミニ型イオン性界面活性剤、から選択される少なくとも1種を含む、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)更に、3価以上の多価アルコールを含む、(1)または(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)前記水相は増粘剤を含む、(1)から(3)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(5)更に、有機変性粘土鉱物を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の皮膚外用剤
。
(6)水相に、予め調製したベシクル及びラメラ液晶エマルションを分散させ、分散液を得る工程、及び
前記得られた分散液を油相中に分散させ、皮膚外用剤を得る工程、を含む皮膚外用剤の製造方法。
(7)前記分散液を得る工程において、水相中に増粘剤を含む、(6)に記載の製造方法。
このような新規乳化剤型の皮膚外用剤により、ベシクルによる水溶性有効成分の経皮吸収性促進効果とラメラ液晶構造による保湿効果を、単一の剤型で発揮することができる。
本実施態様に係る皮膚外用剤の水相は、ベシクルを有する水相と、ラメラ液晶エマルションを有する水中油相と、を含み、本実施態様に係る剤型を表すならば、(O+V)/W/O型乳化剤型の剤型であるといえる。ただし、Vはベシクルを表す。
しかしながら、油中水乳化剤型中の水相に、ラメラ液晶構造及びベシクル構造を共に含有させる試みは行われていない。これは、ラメラ液晶構造及びベシクル構造を水相中に共存させると、両構造は合一し易く、ベシクル構造が壊れてしまうと想定されるためである。
本発明者らは、ラメラ液晶構造及びベシクル構造を共に共存させても合一せず、安定的に存在する剤型が存在することに想到した。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、上記説明したとおり(O+V)/W/O型乳化剤型であり、このような剤型を構成する成分としては、両親媒性分子、水、油分である。
両親媒性分子は、親水性基と疎水性基との両方の基を有する物質を意味し、ベシクル構造やラメラ液晶構造を形成し得るものであれば特段限定されず、リン脂質;ポリグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE硬化ヒマシ油、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、POEコレステリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の非イオン性界面活性剤;バイオサーファクタント;ジェミニ型イオン性界面活性剤;グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質などの糖脂質;ステロールなどが挙げられる。
グリセロリン脂質は、グリセロリン酸骨格を有する物質で、親油基として脂肪酸エステル、長鎖アルキルエーテル、ビニルエーテルなどを有している。具体的には、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファジイルイノシトール、ホスファチジルイノシトールポリリン酸、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などが挙げられる。
スフィンゴリン脂質は、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどの長鎖塩基又は長鎖脂肪酸と、リン酸又はホスホン酸を有しており、セラミド1−リン酸誘導体(スフィンゴミエリンなど)、セラミド1−ホスホン酸誘導体(セラミドアミノエチルホスホン酸など)が挙げられる。
好ましい、具体的なポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ジグリセロールエステルを用いることが好ましい。
S−100」(ビスピリジニウム四級アンモニウム塩 タマ化学工業(株)製)等が例
示できる。
スフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド、ガングリオシド等が挙げられる。
本実施態様の皮膚外用剤に配合される油分としては、極性油、シリコーン油、揮発性炭化水素油などが挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
エン酸トリエチル、オクチル メトキシシンナメート等も挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
本実施態様に係る皮膚外用剤で用いられる水の配合量は、皮膚外用剤全量に対して5〜60質量%であり、好ましくは15〜35質量%である。
水の配合量を当該範囲とすることにより、離漿が抑制され、(O+V)/W/O型乳化剤型が安定化する。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、ベシクルを有する水相を含む。ベシクルは両親媒性分子による脂質二重膜構造の外殻を有することを特徴とする。外観はその組成や配合量により異なるが、透明、半透明、不透明の何れかである。また粘度の低い液状から粘性液体状であるが、これもその組成や配合量により、ゲル状を呈する場合もある。
本実施態様においてベシクルは、水相中に存在し、後述する水溶性の有効成分を内包する形態が好ましい。ベシクルは、公知の方法により調製すればよく、例えば、両親媒性分子を有機溶剤で溶解し、該溶液から溶剤を除去し、その後水を加え静置することで製造することができる。
ましい。この場合には、ベシクルの安定性の観点から、オレイン酸ポリグリセロールエステルとリン脂質の含有比を質量比で5:1〜30:1とすることが好ましく、10:1〜25:1とすることがより好ましく、17:1〜22:1とすることが更に好ましい。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、ラメラ液晶エマルションを有する水中油相を含む。本実施態様では、ラメラ液晶は油分を内包しており、肌上においても液晶構造を維持することができ、肌の保湿効果を発揮する。
ラメラ液晶エマルションは、両親媒性分子を用いて公知の方法により調製すればよいが、両親媒性分子に加えて、3価以上の多価アルコールを用いることラメラ液晶構造が安定
的に形成される。
ラメラ液晶構造を有するか否かは、例えば偏光顕微鏡による観察や、小角X線散乱、TEMなどにより確認することができる。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、水相に含有されるベシクル中に水溶性の有効成分を、またはラメラ液晶中に脂溶性の有効成分を含有させることができる。これらの有効成分としては、美白成分、抗炎症成分、植物エキスなどが挙げられる。
美白成分としては、一般的に医薬品、化粧料等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、2−[(トリフェニルメチル)オ
キシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。これらの美白成
分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジンは特許文献WO2010−074052号パンフレットに、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸はWO2010−058730号パンフレットに、その合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
皮膚外用剤における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
皮膚外用剤における植物抽出エキスの含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
皮膚外用剤における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、安定な乳化剤型の皮膚外用剤を得る観点から、有機変性粘土鉱物を含有させることが好ましい。有機変性粘土鉱物は、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して結合させた粘土鉱物である。粘土鉱物としては、スクメタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモントリロナイト、カオリナイト、イライト、マリーン粘土鉱物(海泥)、デザートローズ粘土鉱物、パスカライトなどが挙げられる。
有機化合物としては、4級アミノ基を有する化合物があげられる。具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等があげられる。
皮膚外用剤中における有機変性粘土鉱物の含有量は、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本実施態様に係る皮膚外用剤では、3価以上の多価アルコールを含有することが好ましい。3価以上のアルコールを含有させることで、ラメラ液晶エマルションをより安定化することができる。
3価以上の多価アルコールの例としては、グリセリン、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコールがあげられ、このうち、グリセリンを用いることが好ましい。
皮膚外用剤中における3価以上の多価アルコールの含有量は、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
特に、両親媒性分子としてリン脂質を用いる場合には、3価以上の多価アルコールを含有によるラメラ液晶エマルション安定化の効果が高い。
本実施態様では、水相に含まれるベシクルがフィトステロールを含有することが好ましい。フィトステロールを含有することで、両親媒性分子からなるベシクルを規則正しく配列させることができ、ベシクル安定性を高め、経皮吸収性を向上させる。
フィトステロールとしては、一般的にフィトステロール(植物性ステロール)に分類さ
れるものであれば使用できる。フィトステロールの含有量は、ベシクルを含む水相全量に対して、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.3質量%がさらに好ましい。
酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル
等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、
マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロ
キシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチ
ルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、新規O/W/O型乳化剤型、要するに(O+V)/W/O型乳化剤型であり、ベシクルを有する水相及びラメラ液晶エマルションを有する水中油相を含む。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、ベシクルによる水溶性有効成分の経皮吸収性促進効果とラメラ液晶構造による保湿効果を、単一の剤型で発揮することができことから、医薬品、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用雑貨として用いることが好ましく、化粧料が特に好ましい。
本実施態様の別の実施態様は、O/W/O型乳化剤型の皮膚外用剤の製造方法である。
本実施態様に係る製造方法は、水相に、予め調製したベシクル及びラメラ液晶エマルションを分散させ、分散液を得る工程、及び得られた分散液を油相中に分散させ、皮膚外用剤を得る工程、を含む。
分散液を得る工程では、水相中に予め調製したベシクル及びラメラ液晶エマルションを添加し、加熱・撹拌により分散させる。この際、ベシクル及びラメラ液晶エマルションが合一しないように、水相に増粘剤を含有させることが好ましい。
増粘剤としては、具体的には、寒天、コラーゲン、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースナトリウム、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースナトリウム、アクリル酸ソーダ等が例示できる。
これらの増粘剤の内、キサンタンガム、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースナトリウム、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
増粘剤は、水相中に0.001〜2質量%含有させることが好ましく、0.01〜1質量%含有させることがより好ましい。
分散液を油相中に分散させる方法は、公知の油中水の乳化剤を調製する方法を適宜用いて調製すればよい。
<ベシクルの調製>
表1の成分をステンレス容器中で、80〜90℃で撹拌しながら混合し、溶解後、撹拌することでベシクルを調製した。その後、高圧乳化機を用いて攪拌を行って、さらにベシクルを微細化した。
なお、表1中の数値は質量%を表す。
表2(イ)の成分をステンレス容器中で70℃〜80℃で攪拌混合し、均一溶解した。次に成分(ロ)を70℃〜80℃で攪拌混合し均一溶解したものを徐々に添加した。次に成分(ハ)を均一溶解したものを70℃〜80℃で添加し、ホモミキサーで撹拌し乳化した。その後、成分(ニ)を添加し、室温まで冷却しラメラ液晶エマルションを調製した。なお、表2中の数値は質量%を表す。
表3の組成にしたがって、複合エマルション及び比較エマルションを調製した。すなわち、成分(イ)を60〜70℃に加熱し、攪拌を行って均一に溶解した。そこに、攪拌を行いながら、成分(ロ)を60〜70℃に加熱し攪拌を行って均一に溶解したものを添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、本発明の複合エマルション及び比較例のエマルションを得た。なお、表3中の数値は質量%を表す。
健常成人被験者の腕部に、濃度0.5%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液で24時間
パッチして肌荒れを惹起した後、実施例1〜4の複合エマルション、比較例1及び2のエ
マルションを7日間塗布した部位における角層水分量の増加量を、SKICON200-EX(I.B.M社製)を用いて測定した。20名の測定値の平均値を求めた。なお、各部位に塗布する試験サンプルは無作為に割り付けた。結果を表4に示す。
評価試験1と同様の操作を行った部位の経皮水分蒸散量(TEWL)値を、TewameterTM210(C+K社製)を使用して測定し、以下の式を用いて回復率を求めた。20名の測定値の平
均値を求めた。結果表4に示す。
TEWL回復率 =(TEWL0−TEWLT)/(TEWL0−TEWL100)×100
なお、式中の記号は以下の意味を表す。
TEWL100:肌荒れ惹起前のTEWL測定値
TEWL0:パッチ直後のTEWL測定値
TEWLT:試料塗布後T日後のTEWL測定値
評価試験1及び2における、複合エマルション及び比較例のエマルションの塗布部位を
拡大ビデオを用いて観察し、角層の状態を評価した。結果を表4に示す。
Claims (7)
- 両親媒性分子、水、及び油分を含有するO/W/O型乳化剤型の皮膚外用剤であって、
前記皮膚外用剤の水相が、ベシクルを有する水相と、ラメラ液晶エマルションを有する水中油相と、増粘剤とを含む、皮膚外用剤。 - 前記両親媒性分子は、リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、MEL−B、及びジェミニ型イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 更に、3価以上の多価アルコールを含む、請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
- ラメラ液晶エマルションが、質量比1:1〜1:25のリン脂質と3価以上の多価アルコールとで形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- ベシクルが、質量比5:1〜30:1のオレイン酸ポリグリセロールエステルとリン脂質とで形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 更に、有機変性粘土鉱物を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 増粘剤を含む水相に、予め調製したベシクル及びラメラ液晶エマルションを分散させ、分散液を得る工程、及び
前記得られた分散液を油相中に分散させ、皮膚外用剤を得る工程、を含む皮膚外用剤の製造方法。
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