JP6051015B2 - ベシクル分散水溶液及び該ベシクル分散水溶液を含有する皮膚外用組成物 - Google Patents
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ことを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下に示すとおりである。
<2>オレイン酸ポリグリセロールエステルがモノオレイン酸ジグリセロールエステルであることを特徴とする<1>に記載のベシクル分散水溶液。
<3>リン脂質がレシチンであることを特徴とする<1>又は<2>に記載のベシクル分散水溶液。
<4>フィトステロールを含有する<1>〜<3>の何れか1つに記載のベシクル分散水溶液。
<5>さらに、植物抽出エキスを含有することを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載のベシクル分散水溶液。
<6>さらに、美白成分を含有することを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載のベシクル分散水溶液。
<7><1>〜<6>の何れか1つに記載のベシクル分散水溶液を含有する皮膚外用組成物。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、必須成分として、オレイン酸ポリグリセロールエステルを含有する。オレイン酸ポリグリセロールエステルのポリグリセリン構造におけるグリセリンの重合度は2〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、2が最も良い。さらにオレイン酸の残基の数は、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が最も好ましい。ただし、オレイン酸がポリグリセリンの水酸基を全てエステル化したものは、界面活性剤としての機能がなくなるため、好ましくない。
ベシクル分散水溶液中におけるオレイン酸ポリグリセロールエステルの含有量は、通常0.01〜20質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ま
しい。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、必須成分として、リン脂質を含有する。リン脂質としては、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びこれらのリゾ体が例示できる。このうち、レシチンを用いることが、オレイン酸ポリグリセロールエステルを含むベシクルの安定性をより向上させることができるため、好ましい。これらは天然型であっても、水添されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。ベシクル分散水溶液におけるリン脂質の含有量は、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.3質量%がさらに好ましい。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、オレイン酸ポリグリセロールエステル及びリン脂質に加えて、フィトステロールを含有することが好ましい。フィトステロールを含有することで、オレイン酸ポリグリセロールエステル及びリン脂質を含むベシクルを規則正しく配列させることでベシクル安定性を高め、経皮吸収性を向上させる。
フィトステロールとしては、一般的にフィトステロール(植物性ステロール)に分類されるものであれば、使用でき、構成成分として、カンペステロール、シトステロール、スティグマスタノール等を含有するものが好ましく例示できる。かかる成分は、穀物の胚芽などを有機溶剤で抽出し、水溶性部分を除去することにより得ることが出来るが、既に市販されているものを購入して利用することが出来る。この様な市販品としては、例えば、「フィトステロールS」(生化学工業株式会社製)等が好ましく例示できる。ベシクル分散水溶液におけるフィトステロールの含有量は、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.3質量%がさらに好ましい。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、オレイン酸ポリグリセロールエステルとリン脂質を含有する脂質二重膜構造の外殻を有することを特徴とする。外観はその組成や配合量により異なるが、透明、半透明、不透明の何れかである。また粘度の低い液状から粘性液体状であるが、これもその組成や配合量により、ゲル状を呈する場合もある。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、経費吸収性に優れるため、医薬、化粧料などの皮膚外用剤に好ましく用いられ、特に化粧料に好ましく用いられる。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、植物エキスを含有する態様も好ましい。植物抽出エキスとしては、一般的に医薬品、化粧料等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シ
ナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキュウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
ベシクル分散水溶液における植物抽出エキスの含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、美白成分を含有する態様も好ましい。美白成分としては、一般的に医薬品、化粧料等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジン、N−(p−トルイル)システイン酸、
N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。これらの美白成分は、既
に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。2−[(トリフェニルメチル)オキシ]エタノ−ル、1−(トリフェニルメチル)ピペリジンは特許文献WO2010―074052号パンフレットに、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸はWO2010―058730号パンフレットに、その合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
ベシクル分散水溶液における美白成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本発明の別の実施態様は、上記説明したベシクル分散水溶液を含有する皮膚外用組成物である。本実施態様に係るベシクル分散水溶液を皮膚外用剤に含有させることで、ベシクル内に内包した植物エキスや美白成分等の有効成分を皮膚中へと効果的に浸透させ、その有効性を高めることが出来る。
本実施態様に係るベシクル分散水溶液は、高温安定性に優れることからローションや乳液、洗顔料への配合が可能となる。本明細書において皮膚外用組成物とは、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用雑貨等が好適に例示できる。化粧料が特に好ましい。
本実施態様に係る皮膚外用組成物は、通常知られている、乳液剤形、エッセンス剤形、
クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。化粧料としては、基礎化粧料、毛髪化粧料、メークアップ化粧料の何れもが適用可能であるが、基礎化粧料に適用することが特に好ましい。本実施態様に係る皮膚外用組成物において、上記ベシクル分散水溶液の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
リコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアル
キルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセ
リン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
<ベシクル分散水溶液の調製>
以下に示す処方に従って、ベシクル分散水溶液(実施例1)を調製した。即ち、表1のAに含まれる成分を90℃に加熱し、一様に溶解せしめ、攪拌下Bに含まれる成分を徐々にAに加え、実施例1のベシクル分散水溶液を得た。
パネル10名の前腕内側部に1cm×1cmの部位を6つ設け、それぞれに前記調製したベシクル分散水溶液を7μL塗布し、1時間20℃で静置した後、テトラヒドロフラン
(THF)を含浸させた脱脂綿で皮膚を拭き取り、この脱脂綿を100mlのTHFで3回抽出し、抽出物中に含まれるセイヨウノコギリソウ由来のセンタウレイジンの回収量を高速液体クロマトグラフィーで定量した。回収率を経皮吸収性とし(値が低いほど経皮吸収性が高い)、各ベシクル分散水溶液を2回評価し、その平均を表1に示す。
調製したベシクル分散水溶液を50℃で1週間保管し、その後50℃に保管したベシクル分散水溶液を20℃に24時間保管し、ベシクル分散水溶液の外観を評価した。各評価の基準は以下のとおりであり、結果を表1に示す。
0 : 均一な半透明の外観である。
1 : 均一であるが、不透明な外観である。
2 : 透明および不透明な部分があり、不均一な外観である。
3 : 浮遊物あるいは沈殿物が確認され、かつ透明および不透明な部分があり、不均一な外観である。
ベシクルの安定化率は、セイヨウノコギリソウエキス中に含まれるセンタウレイジン量から算出した。調製したベシクル分散水溶液の一部を取り出し、約25℃でゲル濾過し(セファデックスG−50により)、セイヨウノコギリソウエキスを内包したベシクルと、外水相(ベシクルに内包されていないセイヨウノコギリソウエキスを含む)とに分離した。この外水相に含まれるセンタウレイジン量を、評価試験1で記載した同様な方法で定量し、センタウレイジンのベシクル中への内包率を、ベシクル調製率とした。そして、調製直後のベシクル分散水溶液のベシクル調製率と50℃に1週間保管後のベシクル分散水溶液のベシクル調製率の比から、安定化率(1週間保管後のベシクル調製率/調製した直後のベシクル調製率)を算出した。結果を表1に示す。
以下に示す処方に従って皮膚外用組成物を作成した。即ち、表5に記載のAおよびBに含まれる成分を70℃に加熱し、一様に溶解せしめ、攪拌下Bに含まれる成分を徐々にAに加え、30℃まで冷却後、実施例1のベシクル分散水溶液を加え、実施例21の皮膚外用組成物を得た。
また、表6に記載のA成分およびB成分を用い、B成分をAに加える際に、ホモミキサーで回転数3000rpm、5分間攪拌したこと以外は実施例21と同様にして、実施例22の皮膚外用組成物を得た。これらは、前記課題を解決できる皮膚外用組成物であった。
Claims (7)
- 1)ポリグリセリンの重合度が2〜4のオレイン酸ポリグリセロールエステルと、2)リン脂質とを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクル分散水溶液。
- 前記オレイン酸ポリグリセロールエステルがモノオレイン酸ジグリセロールエステルであることを特徴とする請求項1に記載のベシクル分散水溶液。
- 前記リン脂質がレシチンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のベシクル分散水溶液。
- さらに、フィトステロールを含有する請求項1〜3の何れか1項に記載のベシクル分散水溶液。
- さらに、植物抽出エキスを含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のベシクル分散水溶液。
- さらに、美白成分を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のベシクル分散水溶液。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のベシクル分散水溶液を含有する皮膚外用組成物。
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