JP2006313237A - ポジ型感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品 - Google Patents

ポジ型感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 280℃以下の低温下の加熱処理でも十分な耐熱性と機械特性を与えるポジ型感光性樹脂組成物、アルカリ水溶液で現像可能であり、耐熱性、機械特性に優れる良好な形状のパターンが得られるパターンの製造法、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供する。
【解決手段】 (a)有機溶剤に可溶のポリイミド、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物、及び、(c)熱により(a)成分の末端基と架橋し得る化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。前記のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むパターンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は感光性を有する耐熱性高分子を含有する耐熱性ポジ型感光性樹脂組成物、これを用いたパターンの製造方法及び電子部品に関するものである。
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化、小型化の要求がありLOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
一方、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作製工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する。従来の感光性ポリイミド又はその前駆体を用いてなる耐熱性フォトレジストや、その用途については良く知られている。ネガ型では、ポリイミド前駆体にエステル結合又はイオン結合を介してメタクリロイル基を導入する方法(例えば、特許文献1〜4参照)、光重合性オレフィンを有する可溶性ポリイミド(例えば、特許文献5〜10参照)、ベンゾフェノン骨格を有し、かつ窒素原子が結合する芳香環のオルソ位にアルキル基を有する自己増感型ポリイミド(例えば、特許文献11、12参照)などがある。
上記のネガ型では、現像の際にN−メチルピロリドン等の有機溶剤を必要とするため、最近では、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂の提案がなされている。ポジ型ではポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(例えば、非特許文献1参照)、可溶性ヒドロキシルイミド又はポリオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献13、14参照)、可溶性ポリイミドにエステル結合を介してナフトキノンジアジドを導入する方法(例えば、非特許文献2参照)、ポリイミド前駆体にナフトキノンジアジドを混合するもの(例えば、特許文献15参照)などがある。
しかしながら、上記のネガ型ではその機能上、解像度に問題があったり、用途によっては製造時の歩留まり低下を招くなどの問題がある。また、上記のものでは用いるポリマーの構造が限定されるために、最終的に得られる被膜の物性が限定されてしまい多目的用途には不向きなものである。一方、ポジ型においても上記のように感光剤の吸収波長に伴う問題から感度や解像度が低かったり、構造が限定され、同様の問題を有する。
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体にジアゾナフトキノン化合物を混合したもの(例えば、特許文献16参照)や、ポリアミド酸にエステル結合を介してフェノール部位を導入したもの(例えば、特許文献17参照)などカルボン酸の代わりにフェノール性水酸基を導入したものがあるが、これらのものは現像性が不十分であり未露光部の膜減りや樹脂の基材からの剥離が起こる。また、こうした現像性や接着の改良を目的に、シロキサン部位をポリマー骨格中に有するポリアミド酸を混合したもの(例えば、特許文献18、19参照)が提案されているが、前述のごとくポリアミド酸を用いるため保存安定性が悪化する。加えて保存安定性や接着の改良を目的に、アミン末端基を重合性基で封止したもの(例えば、特許文献20〜22参照)も提案されているが、これらのものは、酸発生剤として芳香環を多数含むジアゾキノン化合物を用いるため、感度が低く、ジアゾキノン化合物の添加量を増やす必要から、熱硬化後の機械物性を著しく低下させると言う問題があり、実用レベルの材料とは言い難いものである。
前記ジアゾキノン化合物の問題点の改良を目的に種々の化学増幅システムを適用したものも提案されている。化学増幅型のポリイミド(例えば、特許文献23参照)、化学増幅型のポリイミドあるいはポリベンゾオキサゾール前駆体(例えば、特許文献24〜30参照)が挙げられるが、これらは高感度のものは低分子量が招く膜特性の低下が、膜特性に優れるものは高分子量が招く溶解性不十分による感度の低下が見られ、いずれも実用レベルの材料とは言い難いものである。また、酸触媒の存在下で進行する架橋反応を利用したネガ型の化学増幅システムを利用したもの(例えば、前出特許文献17及び31参照)も提案されているが、これらは分子鎖中の水酸基が架橋点となっており、実際には架橋反応効率は低く、高感度とはならない。
加えて、最近では、MRAM(Magnet Resistive RAM)のように、高温での加熱プロセスに弱いデバイスも提案されていることから、ポリイミドあるいはポリベンゾオキサゾール前駆体を環化する温度をより低温化する需要も高まってきている。環化プロセスそのものを要しない有機溶剤可溶性のポリイミドそのものを感光化したものも提案されている(例えば、特許文献32〜38及び非特許文献3参照)が、これらは感光特性、アルカリ水溶液現像性、耐熱性のいずれかに劣る欠点がある。
従って、いずれも未だ実用化レベルで充分なものはないのが実状である。
特開昭49−11541号公報 特開昭50−40922号公報 特開昭54−145794号公報 特開昭56−38038号公報等 特開昭59−108031号公報 特開昭59−220730号公報 特開昭59−232122号公報 特開昭60−6729号公報 特開昭60−72925号公報 特開昭61−57620号公報等 特開昭59−219330号公報 特開昭59−231533号公報 特公昭64−60630号公報 米国特許第4395482号明細書 特開昭52−13315号公報 特開平1−46862号公報 特開平10−307393号公報 特開平4−31861号公報 特開平4−46345号公報 特開平5−197153号公報 特開平9−183846号公報 特開2001−183835号公報 特開平3−763号公報 特開平7−219228号公報 特開平10−186664号公報 特開平11−202489号公報 特開2000−56559号公報 特開2001−194791号公報 特表2002−526793号公報 米国特許第6143467号明細書 特開2001−125267号公報 特開平3−58048号公報 特開平3−259148号公報 特開平10−195294号公報 特開平11−202488号公報 特開2000−250209号公報 特開2001−249454号公報 特開2004−94118号公報 J.Macromol.Sci.Chem.,A24,10,1407,1987 Macromolecules,23,4796,1990 Macromolecules,29,6427,1996
本発明は、280℃以下の低温下の加熱処理でも十分な耐熱性と機械特性を与えるポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、耐熱性、機械特性に優れる良好な形状のパターンが得られるパターンの製造法を提供するものである。また、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供するものである。
本発明は、次のものに関する。
[1] (a)有機溶剤に可溶のポリイミド、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物、及び、(c)熱により(a)成分の末端基と架橋し得る化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
[2] (a)成分が、末端基として、(c)成分と反応しうるフェノール性水酸基を有している上記[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[3] (c)成分が、分子内に少なくとも一つのメチロール基またはアルコキシアルキル基を有する化合物である上記[1]又は上記[2]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[4] (c)成分が、一般式(I)で表される化合物である上記[3]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2006313237
(一般式(I)、Xは単結合又は1〜4価の有機基を示し、R及びRは各々独立に水素原子又は1価の有機基を示し、nは1〜4の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
[5] (c)成分が、一般式(II)で表される化合物である上記[4]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2006313237
(一般式(II)中、2つのYは各々独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基又はその一部に酸素原子若しくはフッ素原子を含む基であり、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
[6] (a)成分がアルカリ性現像液に溶解するものである上記[1]ないし上記[5]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[7] (b)成分が、o−キノンジアジド化合物である上記[1]ないし上記[6]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[8] 上記[1]ないし上記[7]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むパターンの製造方法。
[9] 上記[8]に記載のパターンの製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層が層間絶縁膜層又は表面保護膜層として設けられることを特徴とする電子部品。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物をパターン形成、加熱硬化した膜は耐熱性および機械特性に優れる。また本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、あらかじめイミド環が閉環した構造を有することから、パターン形成後に高温の熱処理を要さず、280℃以下の低温で熱処理を行っても、それ以上の高温で処理したものと同等の良好な硬化膜特性が得られる。
また本発明のパターンの製造法によれば、前記組成物の使用により、感度、解像度および耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られる。
また、本発明の電子部品は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高いものである。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明で用いる(a)成分は、有機溶剤に可溶のポリイミドであり、熱により(c)成分と末端基にて橋架け反応しうるものであれば、特に構造上の制限はない。
中でも末端基にフェノール性水酸基を持つ置換基は、アルカリ現像条件下で露光部と未露光部の溶解速度差を大きくする点で感度向上に寄与する。加えて(c)成分との架橋反応効率が高く良好で、硬化膜の耐熱性、機械特性の向上に寄与する。
なお、ここで言う有機溶剤としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2‐メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル‐1,3‐ブチレングリコールアセテート、1,3‐ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランなどがあり、単独でも混合して用いても良い。本発明の(a)成分が有機溶剤で可溶であることの1つの基準としては、上記に例示した溶剤の少なくとも一つに(a)成分を重量比率で(a):溶剤=50:50〜20:80の割合にて仕込み、20〜25℃において、ミックスローター等で攪拌して混合した際に、完溶することである。また、(a)成分と(c)成分の架橋反応は必ずしも末端のみに架橋点が限定されるものではなく、(a)成分の主鎖中の官能基と(c)成分の架橋反応が進行しても良い。
(a)成分の末端基と(c)成分の官能基の組み合わせとしては、熱により、共有結合、イオン結合、水素結合のいずれかの形態にて両者の間で結合が生ずれば良く、特に制限はない。中でも(a)フェノール性水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基のいずれかと(c)メチロール、アルコキシアルキル基、3級アルコール、オレフィン、カルボキシル基、エポキシ基などの環状エーテル、エステル結合、カーボネートのいずれかを有するものが硬化膜の物性に優れ、好ましい組み合わせとして挙げることができる。特に好ましくは(a)フェノール性水酸基と(c)メチロール基又はアルコキシアルキル基の組み合わせであり、250℃以下の低温で硬化した際でも膜物性の落ち込みが小さく、強靭な膜を得ることができる。
なお、(a)成分の末端基と(c)成分の官能基の組み合わせは、感光性樹脂組成物の塗布時、露光時、現像時には、基本的には結合(架橋)が生じない組み合わせとする。即ち、その組み合わせにおいて架橋の生じる温度として、150℃以上であることが好ましい。
(a)成分のフェノール性水酸基を有する末端基は、フェノール性水酸基を有していれば、特に構造上の制限はない。好ましいものは以下に挙げるようにポリイミド主鎖との結合部位(左側の結合鎖の部位)に対してメタ位に水酸基を持つものである。また、(c)成分にメチロールあるいはアリコキシアルキル基を有する化合物を用いる場合には、OH基のオルト位が架橋点となるので、OH基のオルト位には置換基がないものが特に好ましいものとして挙げられる。
Figure 2006313237
(式中、Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基、nは1〜4の整数を示す)
これら末端基は、対応するアミノフェノールやヒドロキシ安息香酸誘導体などを用いることで主鎖骨格に導入することができる。
本発明で用いる(a)成分において、末端基に存在するフェノール性水酸基の量としては、両末端合わせて1つから6つが好ましく、2つから4つがより好ましい。フェノール性水酸基の存在する末端基と繰り返し単位との割合は、モル比率で、末端基2に対して繰り返し単位(酸残基とアミン残基からなる繰り返し単位)1〜100であることが好ましく、2〜50であることがより好ましい。これよりも末端基比率が小さいと、架橋反応の効果が薄れるあるいは感光特性が低下してしまう恐れがある。逆にこれよりも比率が大きいときには分子量の低下により架橋反応が十分に進行しても、十分な膜物性が得られない恐れがある。酸残基とアミン残基のモル比は特に制限はないが、末端基がアミノフェノールに起因する場合は、酸残基がアミン残基より一つ多く、100:99〜2:1の範囲であることが好ましく、50:49〜3:2の範囲であることがより好ましく、末端基がヒドロキシ安息香酸誘導体の場合は、酸残基がアミン残基より一つ少なく、99:100〜1:2の範囲とするのが好ましく、49:50〜2:3の範囲であることがより好ましい。その定量方法としては、H NMRの測定により行うことができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液に可溶性であるとアルカリ性現像液により現像できるので好ましいが、そのためには、(a)成分がアルカリ性現像液に可溶性であることが好ましい。このためには、(a)成分は末端基以外にも酸性基を繰り返し単位に有するものが好ましい、このような繰り返し単位の構造としては下記一般式で表せるものが特に好ましいものとして挙げられる。
なお、本発明の(a)成分がアルカリ性現像液で可溶であることの1つの基準を以下に説明する。(a)成分単独あるいは以下に順を追って説明する(b)、(c)の各成分とともに任意の溶剤に溶解して得られたワニスを、シリコンウエハなどの基板上にスピン塗布して形成された膜厚5μm程度の塗膜とする。これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに20〜25℃において、浸漬する。この結果、均一な溶液として溶解しうるとき、用いた(a)成分はアルカリ性現像液で可溶である。
Figure 2006313237
(式中、X:4価の有機基、X’:3価の有機基、Y:(2+n)価の有機基、Y’:2価の有機基、Z:2価の有機基、R:フェノールを有する1価の有機基あるいはカルボキシル基又はYの芳香環に直結する水酸基、n:1から4の整数を表し、同一構造中に複数ある場合は同じであっても異なっていても良い。)
ここで、一般式(A)は十分な膜特性を発現する上で熱処理の工程で化学変化を要さないので、より低温での処理に好適である点で特に好ましく、(B)〜(D)は熱処理の工程で水酸基が変換するので、吸水率が低くなる点で特に好ましい。
上記一般式(A)〜(D)にて示される構造単位中のX、X’は、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンなどの骨格を有する4価あるいはX’の場合は3価の芳香族炭化水素残基、又は、ブタン、シクロブタンなどの骨格を有する4価、X’の場合は3価の脂肪族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、4〜30が好ましい。好ましい基としてはフェニル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルヘキサフルオロプロパンである。なお、必要に応じて、ポリアミド酸誘導体の分子中に、XあるいはX’として上記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
上記一般式(A)〜(D)にて示される構造単位中のYあるいはY’は、具体的にはジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ビフェニル、ベンゼンなどの骨格を有する芳香族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、6〜30が好ましい。好ましい基としてはジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ベンゼンである。なお、必要に応じてYあるいはY’として上記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
上記一般式(A)〜(D)にて示される構造単位中の、Zで示される有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数が1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数が2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数が6〜30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。
前記一般式(A)〜(D)にて示される構造を有するポリイミドにおいては、その一部に前記一般式(A)〜(D)にて示される構造中の繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。この場合、その割合は全繰り返し単位中50%以下であることが好ましい。
(a)成分の分子量は、重量平均分子量で3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。ここで、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
本発明の組成物において、前記(a)成分として用いる末端基にフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性のポリマーとともに、前記(b)成分として活性光線照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤という)を用いる。この量は、感光時の感度、解像度を良好とするために、(a)成分100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.01〜20重量部とすることがより好ましく、0.5〜20重量部とすることがさらに好ましい。
本発明に使用される(b)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、酸を発生させ、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。但し、発生する酸により、(a)成分の末端基と(c)成分の官能基が、結合(架橋)を生じさせるようなものでないことが好ましい。その種類としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられ、特に制限はないが、o−キノンジアジド化合物が感度が高く、(a)成分の末端基と(c)成分の官能基が、結合(架橋)を生じさせるようなことがないので、好ましいものとして挙げられる。
o−キノンジアジド化合物は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリド類とヒドロキシ化合物、アミノ化合物などとを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。前記o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが使用できる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドとヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基の合計が0.5〜1当量になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい割合は、0.95/1〜1/0.95の範囲である。好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間とされる。
反応溶媒としては,ジオキサン,アセトン,メチルエチルケトン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,N−メチルピロリドン等の溶媒が用いられる。脱塩酸剤としては,炭酸ナトリウム,水酸化ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸カリウム,水酸化カリウム,トリメチルアミン,トリエチルアミン,ピリジンなどがあげられる。
本発明に使用する(c)熱により(a)成分の末端基と架橋し得る化合物は、上記理由より分子内に少なくとも一つのメチロール基あるいはアルコキシアルキル基を有する化合物であると好ましい。(c)成分の架橋しうる温度としては、感光性樹脂組成物が塗布、乾燥、露光、現像の各工程で架橋が進行しないように、150℃以上であることが好ましい。(c)成分は(a)成分の末端基と架橋するが、これと併せて分子間で重合するような化合物でも良い。中でも下記一般式(I)に挙げられるものが、250℃以下の低温で硬化した際でも膜物性の落ち込みが小さく、膜の物性に優れより好ましい。
Figure 2006313237
(一般式(I)中、Xは単結合又は1〜4価の有機基を示し、R及びRは各々独立に水素原子又は1価の有機基を示し、nは1〜4の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
一般式(I)において、Xで示される有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数が1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数が2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数が6〜30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等が挙げられ、また下記一般式
Figure 2006313237

(式中、個々のX’は、各々独立に、アルキレン基(例えば炭素原子数が1〜10のもの)、アルキリデン基(例えば炭素数が2〜10のもの)、それらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等から選択されるものであり、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基又はハロアルキル基であり、複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、mは1〜10である)で示される2価の有機基が好ましいものとして挙げられる。
さらに下記一般式(II)に挙げられるものは感光特性にも優れるため、特に好ましいものとして挙げられる。また、R、Rの一価の有機基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基などの炭化水素基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006313237
(一般式(II)中、2つのYは各々独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基又はその一部に酸素原子若しくはフッ素原子を含んでいる基、R〜Rは各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
具体的には、Yとして酸素原子を含むものとしてはアルキルオキシ基等があり、フッ素原子を含むものとしてはパーフルオロアルキル基等がある。また、R〜Rの1価の有機基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基などの炭化水素基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明に使用する(c)成分の量は、感光時の感度、解像度、また硬化時のパターンの溶融を抑止するために、(a)成分100重量部に対して、0.1〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜20重量部とすることがより好ましく、0.5〜20重量部とすることがさらに好ましい。
(c)成分の架橋反応を促進するために、酸触媒あるいは熱により酸を発生する化合物を併用しても良い。触媒として用いる酸としては強酸が好ましく、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が望ましい。熱により上記酸を発生する化合物は、オニウム塩として塩の形やイミドスルホナートのような共有結合の形で本発明のポジ型感光性樹脂組成物に添加される。中でも熱分解開始温度が50℃〜270℃であるものが望ましい。具体的には、熱重量分析(TG)で測定される1%重量減少温度が50℃〜270℃、あるいは5%重量減少温度が60℃〜300℃であるものが望ましい。さらには、熱分解開始温度が140℃〜250℃であるものがプリベーク時の際に酸が発生せず、感光特性等に悪影響を与える可能性がないのでより好ましい。具体的には、熱重量分析(TG)で測定される1%重量減少温度が140℃〜250℃、あるいは5%重量減少温度が170℃〜265℃であるものが望ましい。これらの酸触媒あるいは熱により酸を発生する化合物を用いる場合は、(a)成分100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。添加量が多い場合には、プリベーク時の熱分解による影響が無視できない恐れがある。
ポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液に対する溶解性を調整するために、溶解性を阻害する化合物を添加することができる。中でもオニウム塩、ジアリール化合物及びテトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。オニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、ホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩等のジアゾニウム塩などが挙げられる。ジアリール化合物としては、ジアリール尿素、ジアリールスルホン、ジアリールケトン、ジアリールエーテル、ジアリールプロパン、ジアリールヘキサフルオロプロパン等の二つのアリール基が結合基を介して結合したものが挙げられ、前記アリール基としては、フェニル基が好ましい。テトラアルキルアンモニウム塩としては、前記アルキル基がメチル基、エチル基等のテトラアルキルアンミニウムハライドが挙げられる。
これらの中で良好な溶解阻害効果を示すものとしては、ジアリールヨードニウム塩、ジアリール尿素化合物、ジアリールスルホン化合物、テトラメチルアンモニウムハライド化合物等が挙げられ、ジアリール尿素化合物としてはジフェニル尿素、ジメチルジフェニル尿素等が挙げられ、テトラメチルアンモニウムハライド化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨーダイドなどが挙げられる。
中でも、一般式(IV)
Figure 2006313237

(一般式(IV)中、Xは対陰イオンを示し、R及びRは各々独立に1価の有機基を示し、a及びbは各々独立に0〜5の整数である)で表されるジアリールヨードニウム塩化合物が好ましい。陰イオンとしては、硝酸イオン、4弗化硼素イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等が挙げられる。
ジアリールヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨーダイト等が使用できる。
これらの中で、ジフェニルヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート及びジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナートが、効果が高く好ましいものとして挙げられる。
この添加剤の配合量は、感度と、現像時間の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して0.01〜15重量部が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、0.05〜3重量部がさらに好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等を含むことができる。有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。これらの密着性付与剤を用いる場合は、(a)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社製商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2‐メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル‐1,3‐ブチレングリコールアセテート、1,3‐ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランなどがあり、単独でも混合して用いても良い。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を経て、所望の耐熱性高分子のパターンとすることができる。
支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO、SiO等)、窒化ケイ素などの支持基板上に、このポジ型感光性樹脂組成物を、スピンナーなどを用いて回転塗布後、ホットプレート、オーブンなどを用いて乾燥する。
次いで、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂組成物に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射する。現像工程では、露光部を現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ケイ酸ナトリウム,アンモニア,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とされることが好ましい。さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
ついで、加熱処理工程では、得られたパターンに好ましくは150〜450℃の加熱処理をすることにより、耐熱性高分子のパターンになる。本発明においては加熱処理を280℃以下、好ましくは150〜280℃で行っても十分な膜特性を得ることができる。また加熱処理にはマイクロ波を用いることもできる。マイクロ波を、周波数を変化させながらパルス状に照射した場合は定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる点で好ましい。さらに基板として電子部品のように金属配線を含む場合は、周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射すると金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができる点で好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において照射するマイクロ波の周波数は0.5〜20GHzの範囲であるが、実用的には1〜10GHzの範囲であり、さらに2〜9GHzの範囲がより好ましい。
照射するマイクロ波の周波数は連続的に変化させることが望ましいが、実際は周波数を階段状に変化させて照射する。その際、単一周波数のマイクロ波を照射する時間はできるだけ短い方が定在波や金属からの放電等が生じにくく、その時間は1ミリ秒以下が好ましく、100マイクロ秒以下が特に好ましい。
照射するマイクロ波の出力は装置の大きさや被加熱体の量によっても異なるが、概ね10〜2000Wの範囲であり、実用上は100〜1000Wがより好ましく、100〜700Wがさらに好ましく、100〜500Wが最も好ましい。出力が10W以下では被加熱体を短時間で加熱することが難しく、2000W以上では急激な温度上昇が起こりやすい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において照射するマイクロ波はパルス状に入/切させることが好ましい。マイクロ波をパルス状に照射することにより、設定した加熱温度を保持することができ、また、ポリイミド薄膜や基材へのダメージを避けることができる点で好ましい。パルス状のマイクロ波を1回に照射する時間は条件によって異なるが、概ね10秒以下である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において熱硬化させる時間は、残存溶剤や揮発成分の飛散が十分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下である。また熱処理の雰囲気は大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いた半導体装置(電子部品)の製造工程の一例を以下に説明する。図1は、多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。図において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜としてのポリイミド樹脂等の層間絶縁膜層4が形成される(工程(a))。
次に塩化ゴム系又はフェノールノボラック系の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出するように窓6Aが設けられている(工程(b))。前記窓6Aにより露出した層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
次に表面保護膜層8が形成される。この図の例では、この表面保護膜層を前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱して耐熱性高分子膜とする。この耐熱性高分子膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。なお、上記例において、層間絶縁膜層を本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
(実施例1〜14)
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[合成例1] ポリイミド前駆体の合成
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン11.71g(32 mmol)とm−アミノフェノール0.87g(8 mmol)を添加し、攪拌溶解した。ここに室温下(25℃)で、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物11.17g(36 mmol)を30分間で加え、12時間攪拌を続けた。この反応液に対して、m−キシレンを20g加え、150℃で2時間加熱還流を行った。この際、イミド環の環化により生じた水は共沸により系外へと除きながら還流を行った。その後、室温まで冷却した後、この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリイミドを得た。(以下、ポリマーIとする)。 重量平均分子量は33,800であった。得られたポリイミドのH NMRを測定した結果、平均として一分子あたり仕込み比(酸:アミン:末端=9:8:2)を再現していると考えて矛盾はなかった。従ってその末端は、m−アミノフェノールに因るフェノール性水酸基を有している。
このポリイミドは合成に用いた有機溶媒である、N−メチルピロリドンに、析出することなく溶解しており、有機溶媒に十分に可溶であった。
なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC、装置は(株)日立製作所製、カラムは日立化成工業(株)製ゲルパック)を用いて、標準ポリスチレン換算により求めた。
[合成例2]
酸無水物に2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)を用い、仕込み比を酸:アミン:末端=10:9:2とした以外は合成例1と同様にして対応するポリイミドを得た。(以下、ポリマーIIとする)。 重量平均分子量は28,300であった。合成例1と同様に一分子あたり仕込み比(酸:アミン:末端=10:9:2)を再現しており、その末端は、m−アミノフェノールに因るフェノール性水酸基を有していた。
[感光特性評価]
前記ポリマーI又はII各々100重量部に対し、(b)、(c)成分を表1に示した所定量にて配合した。また溶解性を調整するために下記ヨードニウム塩を適宜添加し、未露光部の溶解速度が各サンプルとも20nm/s程度でほぼ一定となるようにした。また有機溶媒としては、γ−ブチロラクトンを表1に示す重量部用いた。
Figure 2006313237
前記溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、乾燥膜厚7〜12μmの塗膜を形成し、そののち干渉フィルターを介した、超高圧水銀灯を用いて100〜1000mJ/cmのi線露光を行った。露光後、120℃で3分間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%水溶液にて未露光部の残膜率が80%程度となるまで現像した後、水でリンスしパターン形成を行った。実施例に挙げた条件下では、いずれも感度500mJ/cm以上、解像度7μm以下の良好なパターンを形成することができた。
Figure 2006313237
表1中、( )内はポリマー100重量部に対する添加量を重量部で示した。
表1中、(b)成分として用いたB1、B2、(c)成分として用いたC1〜C5は、下記の化合物である。
Figure 2006313237
Figure 2006313237
続いて前記溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚15μmの塗膜を形成した。
その後、前記塗膜をイナートガスオーブン中、窒素雰囲気下、150℃で30分加熱した後、さらに320℃で1時間あるいは200℃又は160℃で2時間加熱して硬化膜を得た。次に得られた膜をシリコン基板ごとフッ酸水溶液に浸漬し、基板から硬化膜を剥離し、水洗、乾燥した後、ガラス転移点(T)、破断伸び(引っ張り試験機で測定)を測定した。これらの結果を表2に示した。
Figure 2006313237
以上に示したように、200℃以下の硬化においても、320℃で硬化した場合に比べて若干低い値となったが、いずれも実用上問題ない機械特性、耐熱性を有すると分かった。
(実施例15〜18)
さらに表1に示した実施例2、4、8、11で用いた材料に関して、硬化方法を変えた検討を行った。これらのポジ型感光性樹脂組成物溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚15μmの塗膜を形成した。その後、前記塗膜をラムダテクノロジー社製Microcure2100により、マイクロ波出力450W、マイクロ波周波数5.9〜7.0GHz、基板温度を160℃に保って、2時間硬化し、膜厚約10μmの硬化膜を得た。
次に、次にフッ酸水溶液を用いて、この硬化膜を剥離し、水洗、乾燥して、ガラス転移点(Tg)、伸びを測定した。これらの結果を表3に示した。
Figure 2006313237

以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、基板温度を160℃に保って、周波数を変化させながらパルス状にマイクロ波を照射する方法によっても、申し分のない物性が得られることが分かる。
(比較例1〜5)
前記ポリマーIの合成において、m−アミノフェノールを用いずに合成を行い、得られたポリマーをポリマーIII、同合成例において、イミド環への閉環反応を行わず、前駆体のポリアミド酸の状態で単離したものポリマーIVとする。ポリマー100重量部に対し、(b)、(c)成分を表4に示した所定量にて配合し、以下実施例と同様にして感光特性評価を行った。比較例1はパターン形成することはできなかったが、他の条件下では、実施例に比べ、感度、解像度の低下は見られたが像形成することはできた。
Figure 2006313237

表4中、(c)成分として用いたC6は、下記の化合物である。
Figure 2006313237
比較例2〜5の硬化膜特性を前記と同様にして測定した。結果は表5に示したように(a)成分と(c)成分間に架橋が起きない系(比較例2、3、4)は、硬化膜が脆く、特に低温で硬化した場合にTgの低下が顕著であった。またポリイミド前駆体を用いた系(比較例5)は、低温の硬化温度ではポリイミドへの環化が不十分で満足行く膜物性が得られなかった。
Figure 2006313237
多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
符号の説明
1 半導体基板、
2 保護膜、
3 第1導体層、
4 層間絶縁膜層、
5 感光樹脂層、
6A、6B、6C 窓、
7 第2導体層、
8 表面保護膜層。


Claims (9)

  1. (a)有機溶剤に可溶のポリイミド、(b)活性光線照射により酸を発生する化合物、及び、(c)熱により(a)成分の末端基と架橋し得る化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
  2. (a)成分が、末端基として、(c)成分と反応しうるフェノール性水酸基を有している請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. (c)成分が、分子内に少なくとも一つのメチロール基またはアルコキシアルキル基を有する化合物である請求項1または請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. (c)成分が、一般式(I)で表される化合物である請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2006313237
    (一般式(I)中、Xは単結合又は1〜4価の有機基を示し、R及びRは各々独立に水素原子又は1価の有機基を示し、nは1〜4の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
  5. (c)成分が、一般式(II)で表される化合物である請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2006313237
    (一般式(II)中、2つのYは各々独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基又はその一部に酸素原子若しくはフッ素原子を含む基であり、R〜Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
  6. (a)成分がアルカリ性現像液に溶解するものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. (b)成分が、o−キノンジアジド化合物である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むパターンの製造方法。
  9. 請求項8に記載のパターンの製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層が層間絶縁膜層又は表面保護膜層として設けられることを特徴とする電子部品。


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