JP5029386B2 - ポジ型感光性樹脂前駆体組成物、パターン硬化膜の製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Description
本発明によるポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、(a)下記一般式(1)で表される構造単位を有し、ポリマー合成時にアミノ基を3個以上有する多価アミン類、無水物類基を3個以上有する多価酸無水物類、あるいはイソシアネート基を3個以上有する多価イソシアネート類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、ポリマー合成時に添加することによって得られる分岐状ポリマー(以下、(a)成分とする)と、(b)熱により前記(a)成分と架橋しうる、あるいはそれ自身が重合しうる化合物(以下、(b)成分とする)と、(c)活性光線照射により酸を発生する化合物(以下、(c)成分とする)とを含有する。以下、各成分について説明する。
本発明における(a)成分は、下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーで、その合成時に、アミノ基を3個以上有する多価アミン類、無水物類基を3個以上有する多価酸無水物類、イソシアネート基を3個以上有する多価イソシアネート類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を添加することによって得られるものであれば、特に構造上の制限はない。
即ち、下記一般式(4)
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における(b)成分は、熱により上記(a)成分と架橋し得る、あるいはそれ自身が重合し得る化合物である。
本発明における(a)成分と(b)成分の架橋反応において、(a)成分の末端に架橋点がある場合、硬化膜の機械特性向上に効果的であるため、末端基に(b)成分と架橋反応しうる置換基があるのが好ましい。このときの(a)成分の末端基と(b)成分の官能基の組み合わせとしては、熱により、共有結合、イオン結合、水素結合のいずれかの形態にて両者の間で結合が生ずれば良く、特に制限はない。
B群 メチロール、アルコキシアルキル基、3級アルコール、シクロアルキル基、オレフィン、三重結合、ハロゲン化アルキル、エポキシ基などの環状エーテル、エステル結合、カーボネート、イソシアナート。
本発明によるポジ型感光性樹脂前駆体組成物には、(c)成分である活性光線照射により酸を発生する化合物が使用される。この(c)成分は、感光剤であり、酸を発生させ、活性光線である光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。但し、発生する酸により、(a)成分の末端基と(b)成分の官能基が、結合(架橋)を生じさせるようなものでないことが好ましい。その種類としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられ、特に制限はないが、o−キノンジアジド化合物が感度が高く、(a)成分の末端基と(b)成分の官能基が、結合(架橋)を生じさせるようなことがないので、好ましいものとして挙げられる。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物において、上記(a)〜(c)成分に加えて、(1)溶解阻害剤、(2)密着性付与剤、(3)界面活性剤又はレベリング剤などの成分を配合しても良い。
本発明によるポジ型感光性樹脂前駆体組成物には、アルカリ水溶液に対する溶解性を調整するために、溶解性を阻害する化合物である溶解阻害剤を添加することができる。中でもオニウム塩、ジアリール化合物及びテトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。オニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、ホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩等のジアゾニウム塩などが挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等の密着性付与剤を含むことができる。有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
また、本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社製商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。これらは単独でも混合して用いても良い。
本発明によるパターン硬化膜の製造方法は、上述したポジ型感光性樹脂前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を経て、所望の耐熱性高分子のパターンとすることができる。以下、各工程について説明する。
まず、上述したポジ型感光性樹脂前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素などの支持基板上に、ポジ型感光性樹脂前駆体組成物を、スピンナーなどを用いて回転塗布後、ホットプレート、オーブンなどを用いて乾燥する。これにより、ポジ型感光性樹脂前駆体組成物の被膜である感光性樹脂膜が形成される。
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射する。
現像工程では、露光部を現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ケイ酸ナトリウム,アンモニア,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とされることが好ましい。さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
次いで、加熱処理工程では、得られたパターンに好ましくは150〜450℃の加熱処理をすることにより、耐熱性高分子のパターンになる。本発明においては、加熱処理を250℃以下、好ましくは150〜220℃で行っても十分な膜特性を得ることができる。
次に、本発明による電子部品について説明する。本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に使用することができる。具体的には、半導体装置等電子部品の表面保護膜、層間絶縁膜や再配線層、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
次に、本発明によるポジ型感光性樹脂前駆体組成物を用いたパターンの製造方法の一例として、半導体装置(電子部品)の製造工程を図面に基づいて説明する。図1〜図5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であり、第1の工程から第5の工程へと一連の工程を表している。
(合成例1)
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.4g(28mmol)を添加し、室温で攪拌溶解した後、反応溶液の温度を−10〜0℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド8.02g(30mmol)を10分間で滴下した後、2,4,6−トリアミノピリミジン0.125g(1mmol)を加え、室温で60分間攪拌を続けた。反応溶液を2リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーIとする)。ポリマーIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は28,600、分散度は1.7であった。
公知の方法(特許第3636059号公報の合成例2に記載の方法)に従って得られたジアミン(X)6.04g(10mmol)、3官能アミンとして3,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル0.65g(3mmol)をNMP40gに溶解させた。ここに、同じく公知の方法(特許第3636059号公報の合成例1に記載の方法)に従って得られた酸無水物(Y)11.9g(17mmol)を加え、60℃で6時間撹拌し反応させた。溶液を2リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリイミドオキサゾール前駆体を得た(以下、ポリマーIIとする)。ポリマーIIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は25,200、分散度は4.2であった。
乾燥窒素気流下、公知の方法(特許第3636059号公報の合成例4に記載の方法)に従って得られた、下記の化学式(25)に示すジアミン化合物(Z)6.08g(0.025モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.21g(0.021モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.62g(0.0025モル)をNMP70gに溶解させた。上記酸無水物(Y)24.99g(0.035モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物4.41g(0.015モル)、公知の方法(特許第3636059号公報の合成例7に記載の方法)に従って得られた、下記の化学式(26)に示す三価酸無水物(M)2.21g(0.0030モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間攪拌した。ついで、グリシジルメチルエーテル17.6g(0.2モル)をNMP10gで希釈した溶液を加え、70℃で6時間攪拌した。反応溶液を2リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体を得た(以下、ポリマーIIIとする)。ポリマーIIIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は39,700、分散度は3.1であった。
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.56g(0.0425モル)、3官能イソシアネートとして、下記の化学式(27)に示すデスモジュールRE(住友バイエルウレタン(株)製、商品名)、2.76g(0.0075モル)をNMP50g、に溶解させ、溶液の温度を50〜60℃に保ち、1時間攪拌反応を続けた。その後溶液の温度を−15℃まで冷却し、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)を添加した。この−15℃の溶液に、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.38g(0.025モル)、イソフタル酸ジクロリド5.08g(0.025モル)をガンマブチロラクトン25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間−15℃で攪拌を続けた。反応溶液を2リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体を得た(以下、ポリマーIVとする)。ポリマーIVのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は42,100、分散度は4.1であった。
上記ポリマーIないしIVの各々100重量部に対し、(b)成分、(c)成分を次の表1に示す所定量にて配合し、ポジ型感光性樹脂前駆体組成物とした。また、有機溶媒としては、γ−ブチロラクトン(BLO)又はN−メチルピロリドン(NMP)を表1に示す重量部用いた。
その後、得られた塗膜をイナートガスオーブン中、窒素雰囲気下、150℃で30分加熱した後、さらに320℃で1時間あるいは200℃で1時間加熱して硬化膜を得た。この硬化膜を室温下でN−メチルピロリドン(NMP)又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に15分間浸漬した際の外観及び膜厚変化を調べた。これとは別に、得られた膜をシリコン基板ごとフッ酸水溶液に浸漬し、基板から硬化膜を剥離し、水洗、乾燥した後、破断伸び(引っ張り試験機で測定)を測定した。これらの結果を表2に示した。
表2に示したように、200℃の硬化においても、320℃で硬化した場合に比べて若干低い値となったが、いずれも実用上問題ない機械特性、薬品耐性を有すると分かった。
(合成例5)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g(60mmol)、N−メチルピロリドン90gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル23.9g(120mmol)を滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.5gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン18.30g(50 mmol)を添加し、攪拌溶解した後、ピリジン9.48g(120 mmol)を添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーVとする)。ポリマーVのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は16,200、分散度は1.8であった。
また、ポリマーが本発明の範疇に入らないポリマーVを用いた比較例8も、実施例と比較して薬品耐性が見劣りする結果となった。
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光性樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
Claims (7)
- (a)下記一般式(1)で表される構造単位を有し、ポリマー合成時にアミノ基を3個以上有する多価アミン類、無水物類基を3個以上有する多価酸無水物類、あるいはイソシアネート基を3個以上有する多価イソシアネート類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、ポリマー合成時に添加することによって得られる分岐状ポリマーと、(b)熱により前記(a)成分と架橋しうる、あるいはそれ自身が重合しうる化合物と、(c)活性光線照射により酸を発生する化合物とを含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 前記(b)成分が、分子内に少なくとも一つのメチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 前記(a)成分が、末端基として、熱硬化時に前記(b)成分と反応しうる官能基を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 前記(c)成分が、o−キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 請求項1から請求項5のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜の露光部を除去するためにアルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る工程とを含むことを特徴とするパターン硬化膜の製造方法。
- 請求項6に記載のパターン硬化膜の製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層が、層間絶縁膜層、再配線層、及び表面保護膜層からなる群から選択される少なくとも1種として設けられることを特徴とする電子部品。
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