JP2006307084A - 金属微粒子と無機微粒子とを含む組成物およびその製造方法 - Google Patents

金属微粒子と無機微粒子とを含む組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板と金属微粒子(特に金属ナノ粒子)との密着性を向上できる組成物を提供する。
【解決手段】 ポリシラン化合物と、還元により前記金属微粒子を生成可能な金属化合物(例えば、貴金属化合物)と、無機微粒子(シリカなど)とで前記組成物を構成する。前記ポリシラン化合物は、ポリシランと、金属化合物及び/又は金属微粒子に対する親和性を有するユニットを含むビニル単量体との共重合体であってもよい。このような組成物を基板に塗布し、活性エネルギー線を作用させてポリシラン化合物を分解させることにより、金属微粒子を生成できる。このような方法は種々の方法に応用でき、例えば、基板に、前記組成物を塗布し、露光して金属微粒子を生成させたのち現像して金属微粒子を含むパターンを形成し、無電解めっき処理することにより無電解めっきパターンを形成することもできる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属配線パターンなどに好適に利用でき、金属微粒子(特に金属ナノ粒子)を得るのに有用な組成物(金属微粒子生成用組成物)、この組成物を用いて得られる金属微粒子を含有する組成物(特にパターン)、およびこの組成物の製造方法に関する。
これまで、金属微粒子(特に、金属ナノ粒子)は、粒子を安定化させるための官能基(保護基)を有する化合物の存在のもとに金属塩を溶液中で還元することにより、コロイド溶液として合成されている。例えば、金ナノ粒子は、チオール化合物を添加した塩化金(III)酸(HAuCl4)溶液を、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて還元することにより得ることができる[表面、第34巻、7号、56頁(非特許文献1)]。また、白金ナノ粒子は、長鎖アルキルアンモニウム塩化物存在下の塩化白金(IV)酸溶液に100Wの出力を有する高圧水銀ランプを24時間照射することにより作製できる[高分子論文集、第57巻、第6号、363頁(非特許文献2)]。銀ナノ粒子は、過塩素酸銀を、ポリリン酸ナトリウム存在下、水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより得ることができる[J.Am.Chem.Soc.第112巻、4657頁(非特許文献3)]。さらに、ロジウムナノ粒子は、塩化ロジウムおよびポリビニルアルコールを含む水溶液に、水酸化ナトリウムを加えて水酸化ロジウムに変えた後、水素還元することにより得ることができる[J.Colloid Science、第3巻、363頁(非特許文献4)]。
一方、金属ナノ粒子を各種デバイスに応用するには、金属ナノ粒子とバインダー樹脂と溶媒とを混合・分散して塗工液にした後、スピンコートなどの塗工方法により薄膜形成する必要がある。例えば、特開平5−224006号公報(特許文献1)では、ピロリドン基を有するポリマー(ポリビニルピロリドンなど)の存在下、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムなどを添加して、金属塩を還元することにより得られた安定化された金属超微粒子を、さらにこの粒子を安定化させる汎用ポリマー(アクリロニトリル−スチレン共重合体など)に分散させている。また、ロジウムナノ粒子をポリビニルアルコールに分散させた金属ナノ粒子組成物も報告されている[表面、第17巻、279頁(非特許文献5)]。
しかし、これらの方法では、還元剤の還元性能が充分でなく、高い還元性で金属ナノ粒子を効率よく生成させることが困難であり、十分な量の金属ナノ粒子を短時間で効率的に得ることは困難である。さらに、これらの方法で得られた金属ナノ粒子(又は金属ナノ粒子を含む塗工液)は、長期に亘って使用又は保存すると、凝集などを生じる虞があり、安定性又は保存性が充分でない。
また、金属ナノ粒子を各種デバイスに応用するには、機能を発現するためにパターンの形成が必要である場合が多い。例えば、ガラスなどの基板上に金属パターンを形成して、電子回路基板を製造する技術に関し、これまでに様々な手法が提案されている。特に、無電解めっき法は、導電性のない基板に金属被膜を形成するのに有用な方法であり、例えば、ガラスや樹脂などの基板に金属配線を形成する際に用いられている。無電解めっき法による金属膜形成方法として、パラジウムなどの貴金属を触媒としてあらかじめ基板に付着しておく活性化と呼ばれる方法が一般的であり、例えば、基板を塩化スズ(SnCl2)の酸性水溶液で処理した後に塩化パラジウム(PdCl2)水溶液に浸漬処理してパラジウム(Pd)を吸着させる方法、スズ(Sn)とPdとを含んだコロイド溶液からパラジウムを表面に担持させる方法などが知られている。しかし、これらの方法では、基板に対する貴金属層や無電解めっき層の密着性が低くパターニングが困難である。
そこで、基板に対する密着性を高めるため、特開2003−313669号公報(特許文献2)には、被めっき面上に無電解ニッケルめっきをする際に、ジメチルアミンボランを還元剤とし、pH調整剤としてアンモニアを含む無電解ニッケルめっき液を使用する無電解ニッケルめっき方法が開示されている。また、特開平10−209584号公報(特許文献3)には、無粗化ガラス基板上にPdPを無電解めっきしてPdP膜を形成し、該PdP膜上に金属をめっきして金属膜を形成したガラス製配線基板が開示されている。
しかし、これらの文献に記載の方法でも、基板に対する密着性を十分に改善できず、無電解めっき膜上に積層した金属膜はその応力によりガラスなどの基板から剥離しやすい傾向にあった。特に、金属配線パターンは、通常、プラスチックに対する密着性が無いため、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルムに金属配線パターンを形成することは極めて困難であった。また、無電解めっき膜をパターニングする場合には、前記特許文献3に記載されているように、別のレジストを塗布した上でフォトリソグラフィーを行う必要があるため工程数が多くなり、煩雑な工程が必要であった。
特開平5−224006号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2003−313669号公報(請求項1) 特開平10−209584号公報(請求項1) 「表面、第34巻、7号、56頁」 「高分子論文集、第57巻、第6号、363頁」 「J.Am.Chem.Soc.第112巻、4657頁」 「J.Colloid Science、第3巻、363頁」 「表面、第17巻、279頁」
従って、本発明の目的は、簡便にかつ効率よく金属微粒子(特に金属ナノ粒子)を生成可能な組成物(又は塗工液)、およびこの組成物を用いて金属微粒子を含む組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、基材(又は基板)に対して高い密着性で、金属微粒子を含むパターン(ネガ型パターン)を形成できる組成物、この組成物を用いて金属微粒子を含むパターンを形成する方法、およびそのパターンを提供することにある。
本発明のさらの他の目的は、めっきパターン(無電解めっきパターン)と基板との密着性を高いレベルで向上できる組成物、この組成物を用いてめっきパターンを形成する方法、およびそのパターンを提供することにある。
本発明の別の目的は、別途レジストを必要とすることなく、高いパターン形成性で、金属微粒子を含むパターン、さらには無電解めっきパターンを形成できる組成物、この組成物を用いて金属微粒子を含むパターンを形成する方法、およびそのパターンを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、長期に亘って使用(又は保存)しても、金属微粒子の凝集などを著しく抑制又は防止でき、安定性(又は保存性)に優れた金属微粒子を生成可能な組成物、およびこの組成物を用いて金属微粒子を含む組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリシラン化合物と金属化合物(金属塩など)と無機微粒子(シリカ粒子など)とを含む組成物(又はその塗膜)に活性エネルギー線を作用させると、ポリシラン化合物が分解して前記金属化合物の還元剤として作用し、高い還元性で簡便にかつ効率よく金属微粒子(特に金属ナノ粒子)が生成すること、また、この組成物を用いることにより、金属微粒子を含むパターン(金属微粒子パターン)を基板(ガラス基板、樹脂フィルムなど)に対して高い密着性で形成でき、しかも、金属微粒子パターンに無電解めっきを施しても、めっきの剥離又は脱落を生じることなく、高い密着性でめっき層を形成できること、さらに前記組成物は、長期に亘って使用しても凝集などを生じることなく長期安定性に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の組成物(金属微粒子生成用組成物)は、ポリシラン化合物と、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物と、無機微粒子とで構成されている。前記ポリシラン化合物は、ポリシランと、金属化合物及び/又は金属微粒子に対する親和性を有するユニットを含むビニル単量体との共重合体であってもよく、前記ビニル単量体は、例えば、アミド基、アミノ基、窒素環基(含窒素環基、窒素原子をヘテロ原子とするヘテロ環基)、アシル基、アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、チオ基及びスルホン酸基から選択された少なくとも1種の基を有するビニル単量体であってもよい。また、前記ビニル単量体は、金属化合物を構成する金属に配位可能な基を有するビニル単量体であってもよい。このような配位可能な基は、金属に対して単座配位又は多座配位可能な基であってもよく、特に多座配位可能な基であってもよい。
前記金属化合物は、パラジウム、金、銀、ロジウムなどの貴金属化合物(又は貴金属塩)であってもよい。
前記無機微粒子は、無機酸化物微粒子(シリカなど)であってもよい。例えば、前記無機微粒子は、平均粒子径0.5nm〜10μmを有する無機酸化物微粒子(シリカなど)であってもよい。また、前記無機微粒子は、ポリシラン化合物(および金属化合物)に対して高い親和性を有する微粒子であってもよく、例えば、疎水性基を有するシリカであってもよい。
代表的な前記組成物には、ポリシラン化合物がポリシランと金属化合物を構成する金属に配位可能な基を有するビニル単量体(例えば、アシルアセチル基を有するビニル単量体など)との共重合体であり、金属化合物がパラジウム化合物であり、無機微粒子が疎水性基を有する平均粒子径5〜100nmのシリカである組成物などが含まれる。このような組成物は、無電解めっきにおける触媒化処理用の組成物(コーティング剤)として好適に用いてもよい。
前記組成物において、金属化合物の割合は、ポリシラン化合物100重量部に対して、2〜200重量部程度であってもよい。また、前記無機微粒子の割合は、金属化合物100重量部に対して、5〜150重量部程度であってもよい。
本発明の組成物は、金属微粒子(および無機微粒子)を含む組成物(例えば、塗膜)を得るのに有用である。このような金属微粒子含有組成物は、例えば、前記組成物(又は金属微粒子生成用組成物)に活性エネルギー線を作用させることによりポリシラン化合物を分解させることにより製造できる。
特に、前記組成物は、ポリシラン化合物が感光性を有しているため、パターンを形成するのに有用である。そのため、前記製造方法は、基板に、前記組成物(金属微粒子生成用組成物)を塗布し、露光して金属微粒子(特に金属ナノ粒子)を生成させたのち、現像し、金属微粒子および無機微粒子を含むパターン(金属微粒子および無機微粒子を含む組成物のパターン)を形成する方法であってもよい。このような方法では、基板に強固に付着した金属微粒子のパターンが得られる。そのため、前記方法では、現像したのち、さらに無電解めっき処理することによりめっきパターンを形成してもよい。また、本発明には、これらの方法により得られるパターンも含まれる。
なお、本明細書において、「金属微粒子」とは、金属化合物の還元により生成した金属微粒子のみならず、金属微粒子表面又はその近傍に存在する成分(ポリシラン化合物の分解物など)などを含有する「金属微粒子成分」(又は金属コロイド)を含む意味に用いる。
本発明では、分解により高い還元性を有するラジカルを発生可能なポリシラン化合物と無機微粒子とを組み合わせるので、簡便にかつ効率よく金属微粒子(特に金属ナノ粒子)を生成可能である。また、本発明の組成物は、ポリシラン化合物と無機微粒子とを含んでいるため、基材(又は基板)に対して高い密着性で、金属微粒子を含むパターン(ネガ型パターン)を形成できる。特に、本発明の組成物は、基板に対する密着性だけでなく、めっきパターン(無電解めっきパターン)と基板との密着性を高いレベルで向上できる。そのため、本発明の組成物を用いると、めっき(めっき層、めっき膜)の剥離などを生じることなく、めっきパターンを形成できる。さらに、本発明の組成物では、ポリシラン化合物自体が感光性を有しており、別途レジストを必要とすることなく、高いパターン形成性で、金属微粒子を含むパターン、さらには無電解めっきパターンを形成できる(パターニングできる)。また、本発明の組成物は、ポリシラン化合物の分解物が金属微粒子の表面を保護して安定化するためか、長期に亘って使用(又は保存)しても、金属微粒子の凝集などを著しく抑制又は防止でき、安定性(又は保存性)に優れた金属微粒子を生成可能である。
本発明の組成物(以下、ポリシラン組成物ということがある)は、ポリシラン化合物と、還元により前記金属微粒子を生成可能な金属化合物と、無機微粒子とで構成されている。すなわち、本発明の組成物において、前記金属化合物は、後述するように、前記ポリシラン化合物の分解物(ラジカル)により還元され、金属微粒子(又は金属微粒子成分)を生成可能である。
[ポリシラン化合物]
ポリシラン化合物は、少なくともポリシラン(又はポリシランユニット、ポリシラン単位)で構成されていればよく、例えば、(a)ポリシランユニットのみで構成された化合物(すなわち、ポリシラン)であってもよく、(b)ポリシランと、このポリシランに結合し、金属化合物及び/又は金属微粒子に対する親和性を有するユニットとで構成されたポリシラン化合物であってもよい。
(ポリシラン)
ポリシラン化合物を構成するポリシラン(ユニット)は、Si−Si結合を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、網目状などの種々のポリシラン(以下、単にポリシランということがある)であれば特に制限されない。通常、ポリシランは、下記式(1)〜(3)で表された構造単位のうち少なくとも1つの単位で構成されている場合が多い。
(式中、R1〜R3は、同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はシリル基を示し、m,n,pは正の整数を示す)
前記式(1)〜(3)において、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル基などのC1-14アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基)が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ基などのC1-14アルコキシ基(好ましくはC1-10アルコキシ基、さらに好ましくはC1-6アルコキシ基)が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル基などのC2-14アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-6アルケニル基)が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC5-14シクロアルキル基(好ましくはC5-10シクロアルキル基、さらに好ましくはC5-8シクロアルキル基)が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロヘキシルオキシ基などのC5-14シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5-10シクロアルキルオキシ基、さらに好ましくはC5-8シクロアルキルオキシ基)が挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5-14シクロアルケニル基(好ましくはC5-10シクロアルケニル基、さらに好ましくはC5-8シクロアルケニル基)が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル基などのC6-20アリール基(好ましくはC6-15アリール基、さらに好ましくはC6-12アリール基)が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などのC6-20アリールオキシ基(好ましくはC6-15アリールオキシ基、さらに好ましくはC6-12アリールオキシ基)が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6-20アリール−C1-4アルキル基(好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキル基)が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC6-20アリール−C1-4アルキルオキシ基(好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキルオキシ基)が挙げられる。シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1-10シリル基(好ましくはSi1-6シリル基)が例示できる。
なお、これらの基R1、R2又はR3は、さらに置換基[例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、フッ素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基などのC1-4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)など]を有していてもよい。
これらの基R1、R2又はR3のうち、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、シリル基などが好ましい。
なお、前記式(1)において、代表的なR1とR2との組み合わせには、例えば、(a1)アルキル基[例えば、C1-4アルキル基(特にメチル基)]同士、(a2)アルキル基[例えば、C1-4アルキル基(特にメチル基)]とアリール基(特にフェニル基)との組み合わせ、(a3)シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基)とアルキル基[例えば、C1-4アルキル基(特にメチル基)]との組み合わせ、(a4)アリール基同士などが例示でき、特にR1、R2のうち少なくとも一方がアリール基(特にフェニル基)である組み合わせ(前記(a2)の組み合わせなど)が好ましい。また、好ましいR3はC1-4アルキル基(特にメチル基などのC1-2アルキル基)又はアリール基(特にフェニル基)である。特に、フェニル基又はアルキル基(例えば、C1-4アルキル基)を有するポリシランは、有機溶媒に溶けやすいので好適に用いることができる。
また、R1、R2及びR3の種類は、構造単位の繰り返し数(m,n,pの数)によって異なっていてもよい。
具体的なポリシラン(ユニット)には、例えば、(i)前記式(1)で表される直鎖状又は環状ポリシラン、(ii)前記式(2)で表される分岐鎖状ポリシラン(ポリシリン)又は前記式(3)で表される分岐鎖状ポリシラン、(iii)前記式(1)〜(3)で表される構造単位の組み合わせ(例えば、前記式(1)と式(2)との組み合わせ、前記式(1)と式(3)との組み合わせ、前記式(1)と式(2)と式(3)との組み合わせなど)で構成されたポリシランなどが挙げられる。ポリシランは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記構造単位を有するポリシランにおいて、m,n,pの値は、それぞれ、例えば、2〜10000、好ましくは3〜1000、さらに好ましくは4〜500(例えば、5〜250)程度であってもよい。なお、前記式(1)で表される環状ポリシランでは、mの値が12以下(例えば、3〜12、好ましくは4〜12、さらに好ましくは5〜10程度)程度であってもよい。また、前記式(2)又は(3)で表される構造単位を有するポリシランにおいて、n又はpは、前記範囲(特に2〜100、好ましくは2〜50程度)から適当に選択できる。さらに、m+n+pの値は、例えば、2〜10000、好ましくは3〜1000(例えば、5〜1000)、さらに好ましくは8〜500(例えば、10〜300)程度である。また、前記ポリシランは、共重合体であってもよい。
前記式(1)〜(3)で表される構造単位の末端基は、前記置換基R1、R2又はR3で構成してもよく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)や、前記置換基R1、R2又はR3などで置換されたシリル基などで構成してもよい。
好ましいポリシランは、前記式(1)において、置換基R1、R2のうち少なくとも一方がアリール基(特にフェニル基)又はシクロアルキル基である直鎖状又は環状ポリシラン[例えば、ポリアルキルアリールシラン(例えば、ポリメチルフェニルシランなどのポリ(C1-4アルキルC6-10アリールシラン)など)、ポリシクロアルキルアルキルシラン(例えば、ポリシクロヘキシルメチルシランなどのポリ(C5-8シクロアルキルC1-4アルキルシラン)など)など]であり、特にポリアルキルアリールシランが好ましい。なお、直鎖状ポリシラン(ユニット)では、末端基を前記不活性基(トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などで構成(又は封鎖)してもよい。
なお、ポリシランとしては、例えば、その化学構造、製造方法が開示されている特開平4−218561号公報などに記載されているものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。特に、ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)は、原材料であるメチルフェニルジクロロシランが安価で入手しやすく、収率も比較的大きいので好適に用いることができる。
(ポリシラン化合物(b))
親和性を有するユニットを含むポリシラン化合物(b)は、前記のように、ポリシラン(ポリシランユニット)と、このポリシランに結合し、前記金属化合物(又は金属化合物を構成する金属原子)及び/又は金属微粒子(詳細には前記金属化合物が還元されて生成した金属微粒子)に対する親和性を有するユニット(以下、親和性ユニットということがある)とで構成されている。
このような親和性ユニット(又は重合体ユニット)を有するポリシラン化合物を使用すると、金属微粒子の生成効率や安定性を高めることができる。詳細には、前記組成物において、ポリシラン化合物が金属化合物に対して親和性を有していると、金属化合物に対してポリシラン化合物を効率よく近接させることができ、金属化合物に対するポリシラン化合物の分解物の還元作用(還元効率)をより一層向上でき、ナノメータ(nm)サイズの金属微粒子を効率よく生成できる。また、ポリシラン化合物が金属微粒子に対して親和性を有していると、前記親和性ユニット(およびポリシランの分解物)が、光還元により生成した金属微粒子の近傍に直ちに存在して、金属微粒子を安定化(又は保護)する(すなわち、遊離の金属微粒子が存在しない)ためか、金属微粒子の凝集を効率よく抑制でき、長期保存性を一層向上させる。さらに、ポリシランの分解物が金属微粒子を被覆することも予想され、保存性を高める要因の一つになるものと考えられる。ポリシラン化合物(b)は、金属化合物及び金属微粒子のうち少なくとも一方に対する親和性を有していればよいが、通常、少なくとも金属微粒子(又は金属原子)に対する親和性を有している場合が多いようである。
親和性ユニットは、金属化合物(又は金属化合物を構成する金属原子)や金属微粒子(又は金属原子)に対する親和性基(又は錯塩形成性基)で構成できる。このような親和性基としては、例えば、窒素原子含有基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)などのアミノ基、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基、窒素環基(ピリジル基、ピロリドン基などの5〜8員窒素環基、カルバゾール基など)など]、酸素原子含有基[エーテル基、ヒドロキシル基(グリコール基を含む)、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基、特にC1-2アルコキシ基)、ホルミル基、ケトン基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基などの5〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子含有基[チオ基(−S−)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1-4アルキルチオ基など)、スルホ基など]、リン原子含有基(リン酸基、リン酸エステル基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)などが例示できる。親和性基は、塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)を形成していてもよい。親和性ユニットは、これらの親和性基を単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。なお、親和性ユニットは、親和性基で構成されていればよく、親和性基であってもよく、親和性基を含む基であってもよい。
親和性ユニットは、前述のように、ポリシランに結合(又は導入)されていればよい。具体的なポリシラン化合物(b)としては、例えば、(b1)ポリシラン[又はその構成モノマー(シラン化合物など)]と、前記親和性ユニットを含むビニル単量体との共重合体(ポリシラン共重合体)、(b2)ポリシランを構成するケイ素原子に、直接的に又は側鎖(前記基R1、R2、R3など)を介して、前記親和性ユニット(又は親和性ユニットを含む基)が結合したポリシラン(ポリシランの側鎖に親和性ユニットを有する化合物)などが挙げられる。好ましいポリシラン化合物(b)は、ポリシランに対する導入が比較的容易であるなどの観点から、ポリシラン共重合体(b1)である。しかも、前記ビニル単量体は、合成が比較的容易であり、しかも通常、市販されている場合が多く入手しやすい。
ポリシラン共重合体(b1)において、ビニル単量体は、前記金属化合物の種類や、前記金属微粒子(又は金属化合物)に対する親和性などに応じて適宜選択できる。このようなビニル単量体としては、ポリシランとの共重合体を形成でき、前記親和性ユニットを有している限り特に限定されないが、例えば、窒素原子含有単量体、酸素原子含有単量体、硫黄原子含有単量体などが例示できる。
なお、親和性基又は親和性ユニットを有する(メタ)アクリル系単量体は、(1)比較的容易に共重合比を制御できる(例えば、紫外光の照射量により共重合比を制御できる)、(2)高収率で得られる、(3)金属微粒子(金属コロイド)を効果的に保護できるなどの点において優れているので好適に用いることができる。
以下に、代表的なビニル単量体(窒素原子含有単量体、酸素原子含有単量体、硫黄原子含有単量体)を例示する。
窒素原子含有単量体には、アミド基含有単量体、アミノ基(又は置換アミノ基)含有単量体、窒素環基含有単量体などが含まれる。
アミド基含有単量体としては、(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド[例えば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノ又はジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド]、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド[例えば、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノ又はジC1-4アルキルアミノC1-4アルキル(メタ)アクリルアミドなど]などが挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体[特に、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド]は、ポリシランとの反応性が高い。また、N,N−ジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド[特に、N,N−ジメチルアクリルアミド]を用いると、粒径がナノメータサイズ(例えば、10nm以下)の分散性に優れた金属微粒子(例えば、金ナノ粒子)を効率よく生成できる。
アミノ基(又は置換アミノ基)含有単量体としては、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体、例えば、アミノアルキル(メタ)アクリレート[例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレートなどのN−モノ又はジC1-4アルキルアミノC1-4アルキル(メタ)アクリレートなど];(メタ)アクリロイルモルホリンなどが例示できる。
窒素環基含有単量体としては、ピリジン基を有するビニルモノマー(2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジンなど)、カルバゾール基を有するビニルモノマー(N−ビニルカルバゾール)、N−ビニル−2−ピロリドン(又はN−ビニル−ピロリジノン)などの環状アミノ基含有単量体などが例示できる。ピリジン基を有するビニルモノマーは、金属原子、特に金原子に効果的に吸着し、生成した金ナノ粒子を安定化するので用いるのが好ましい。2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジンは市販されており、ポリシランとの共重合体を安価に提供することが可能である。特に、4−ビニルピリジンは、田中らがLangmuir、19巻、3103頁(2003年)に記載しているように、ポリマーシート上に均一に分散することが可能であり好適に使用できる。また、カルバゾール基を有するビニルモノマーは、第三級アミノ基を有し、金属微粒子(金属ナノ粒子)を有効に保護できる。特に、N−ビニルカルバゾールは市販されており、しかも光伝導性を有しているので、金属微粒子(金属ナノ粒子)に新たな光機能性を付与することも可能できる。また、ポリ(ビニル−2−ピロリジノン)を用いることにより、安定な銀ナノ粒子や銀ナノロッドが生成することが広く知られており、銀微粒子を得る場合には、ポリシランとのブロック共重合体を形成することが可能なN−ビニル−2−ピロリジノンを用いることが効果的である。
酸素原子含有単量体としては、アシル基含有単量体、アルコキシ基含有単量体、エーテル基含有単量体(環状エーテル基含有単量体など)、カルボキシル基含有単量体などが例示できる。
アシル基含有単量体としては、アシル基含有(メタ)アクリル系単量体、例えば、アシルアセトキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどの(C2-4アシルアセチルオキシ)C2-4アルキル(メタ)アクリレートなど]などのアシルアセト基(2−アシルアセト基)含有(メタ)アクリル系単量体などが例示できる。アセトアセトキシ基などの金属原子の配位子となりうる官能基は、金属微粒子(金属ナノ粒子)を化学的に安定化するので有効である。特に、2−(アセトアセトキシ)アルキルメタクリレートは、パラジウム、ロジウムなどの金属原子に効果的に配位し、金属微粒子(金属ナノ粒子)を高収率で生成できる。また、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートは安価な値段で市販されているので工業化又は産業化しやすい。
アルコキシ基含有単量体には、金属アルコキシド含有単量体、アルコキシスチレン(例えば、4−メトキシスチレンなどのC1-4アルコキシスチレンなど)などが含まれる。金属アルコキシド含有単量体としては、(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど)、(メタ)アクリロイル基を有するトリアルコキシシラン[例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキルトリ(C1-4アルコキシC2-4アルコキシ)シラン;N−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの[(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキル]アミノC2-4アルキルトリアルコキシシランなど]などが挙げられる。
金属アルコキシドを含有する(メタ)アクリルモノマーは、金属微粒子(金属ナノ粒子)の表面を金属酸化物で被覆することにより金属微粒子を安定化できる。また、(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン類(例えば、メタクリロキシアルキルアルコキシシラン類)は、光重合によりポリシランとのブロック共重合体を効率よく合成できる。例えば、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランは市販されている。とりわけ3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランは、金属微粒子の保存安定性が高く、工業化又は産業化に有利である。また、アルコキシスチレンは、酸素分子に存在する孤立電子対が、金属微粒子(金属ナノ粒子)に配位するため、金属微粒子を効率よく安定化することができる。また、アルコキシスチレン(4−アルコキシスチレンなど)は溶媒に可溶であるため好適に用いることができ、特に4−メトキシスチレンは市販されているので金属微粒子の生成を工業化又は産業化しやすい。
エーテル基含有単量体としては、環状エーテル基含有単量体(例えば、3−ビニルベンジルテトラヒドロフルフリルエーテルなどのC4-8環状エーテル基を有するビニルモノマーなど)などが例示できる。このようなエーテル基含有単量体は、アルコキシスチレンなどと同様に酸素分子に存在する孤立電子対が金属微粒子(金属ナノ粒子)に配位可能であるため、金属微粒子を効率よく安定化できる。特に、3−ビニルベンジルテトラヒドロフルフリルエーテルは市販されており好適に用いることができる。
カルボキシル基含有単量体としては、重合性不飽和カルボン酸(又はその塩)、例えば、アルケンカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ブテン酸などのC3-6アルケンカルボン酸など)、ビニル基含有芳香族カルボン酸(例えば、4−ビニル安息香酸などのビニルC6-10芳香族カルボン酸など)又はその塩(4−ビニル安息香酸ナトリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属塩など)などが例示できる。このようなカルボキシル基含有単量体は、金属原子を効果的に吸着できる。また、ビニル安息香酸又はビニル安息香酸塩を含有するビニルモノマーは、パターニングの際の現像性を効率よく向上できる。特に、4−ビニル安息香酸もしくは4−ビニル安息香酸ナトリウムは市販されており、ポリシランとの共重合体を安価に提供できる。また、ポリアクリル酸(又はその塩)は、銀ナノ粒子を効果的に安定化できる。そのため、ポリアクリル酸単位を有するポリシラン化合物を使用すると、電子デバイスなどに利用可能な金属微粒子を好適に得ることができる。
また、酸素原子含有単量体は、ヒドロシル基含有単量体又は加水分解によりヒドロキシル基を生成する単量体などであってもよい。例えば、前記ポリシラン共重合体(b1)は、ポリビニルアルコールとポリシランとのブロック共重合体(詳細には、酢酸ビニルとポリシランとのブロック共重合体のケン化物)などであってもよい。このようなビニルアルコール単位もまた、金属微粒子(金属ナノ粒子)を効率よく安定化できる。
硫黄原子含有単量体としては、チオ基含有単量体{アルキルチオアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−(メチルチオ)エチル(メタ)アクリレートなどの(C1-4アルキルチオ)C1-4アルキル(メタ)アクリレート]などのチオ基含有(メタ)アクリル系単量体など}、スルホン酸基含有単量体(例えば、スチレンスルホン酸(4−スチレンスルホン酸など)などのC6-10芳香族ビニルスルホン酸など)又はその塩(スチレンスルホン酸ナトリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属塩など)などが例示できる。硫黄原子は金属原子との化学吸着を通じて金属ナノ粒子の凝集を抑制効率よく抑制できる。また、硫黄原子を含有する(メタ)アクリルモノマー(特に、2−(アルキルチオ)アルキル(メタ)アクリレート)はポリシランとの反応性が高く、ポリシランとの共重合体を容易に合成できる。特に、2−(アルキルチオ)アルキル(メタ)アクリレートは安価な値段で市販されているので産業化しやすい。また、スルホン酸又はスルホン酸塩を有するビニルモノマーは、金属原子を効果的に吸着できる。特に、スチレンスルホン酸又はスチレンスルホン酸ナトリウムは、金属イオン、特に銀イオンを効果的に捕捉し、しかも安価に入手することができる。
好ましいビニル単量体には、アミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、窒素環基、アシル基、アルコキシ基、エーテル基(環状エーテル基など)、カルボキシル基、チオ基及びスルホン酸基から選択された少なくとも1種の基(親和性基)を有する単量体などが挙げられる。
特に好ましいビニル単量体には、親和性ユニットとして、金属化合物を構成する金属(又は金属原子)に配位(又は配位結合又は錯形成)可能な基を有するビニル単量体が含まれる。このような配位可能な基を有するビニル単量体は、還元により生成した金属微粒子(又は金属原子)に対して配位することにより、金属微粒子を効率よく安定化できる。配位可能な基は、金属に対する単座配位子(すなわち、金属原子に結合する点が1点の配位子)となりうる基(例えば、アミノ基、窒素環基など)であってもよく、多座配位子[金属原子に結合する点が2点以上(例えば、2〜6、好ましくは2〜4)の配位子、特に二座配位子]となりうる基であってもよい。特に、多座配位可能な基を有するビニル単量体は、金属微粒子の安定化効果に優れており、このような多座配位可能な基を有するビニル単量体としては、例えば、β−ジケトン構造を有する単量体[例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどの前記アシルアセト基含有(メタ)アクリル系単量体など]などが挙げられる。
なお、ビニル単量体は、金属化合物の種類に応じて選択してもよい。例えば、金属化合物が金や白金化合物の場合には、チオール、スルフィド、アミノ、アミドなどの基が金属微粒子を安定化するので、このような基を有するビニル単量体を用いることが効果的である。特に、メタクリル酸2−(メチルチオ)エチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルなどは市販されており、しかもポリシランとのブロック共重合体を容易に合成できるので好ましく用いることができる。
ビニル単量体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ポリシラン共重合体(b1)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、くし型コポリマーなどであってもよいが、通常、ブロック共重合体[すなわち、ポリシラン(ポリシランブロック)と、ビニル単量体ブロックとで構成されたポリシランブロック共重合体]である場合が多い。ブロック共重合体の構造は、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。
ポリシラン共重合体(特に、ポリシランブロック重合体)において、ポリシラン(又はポリシランユニット)の割合は、ポリシラン共重合体の構成モノマー[ポリシランを構成するモノマー(又はポリシランを構成するケイ素原子)およびビニル単量体]全体に対して、例えば、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、さらに好ましくは20〜80モル%(例えば、25〜80モル%)程度であってもよい。
ポリシラン化合物(ポリシラン、ポリシラン共重合体など)の数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは3000〜30000程度であってもよい。また、ポリシラン共重合体(ポリシランブロック共重合体など)において、前記ポリシラン(ポリシランブロックなど)の数平均分子量は、例えば、300〜50000、好ましくは500〜40000(例えば、1000〜30000)、さらに好ましくは3000〜35000(例えば、5000〜30000)、特に8000〜25000(例えば、10000〜20000)程度であってもよい。
前記ポリシラン化合物は、種々の方法を用いて調製できる。ポリシランユニットのみで構成されたポリシラン化合物(a)(すなわち、ポリシラン)は、それぞれの構造単位(前記式(1)〜(3)で表される単位など)を有するモノマーを原料とする種々の調製方法、例えば、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、例えば、国際公開番号WO98/29476号公報など);アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(例えば、「キッピング法」J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990));電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,897(1992));金属触媒の存在下でヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報);ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990));環状シラン類の開環重合による方法により調製できる。
なお、前記式(1)で表されるポリシランのうち、環状ポリシランは、例えば、直鎖状ポリシランの合成過程で一部を環化させることにより得てもよい。また、環状ポリシランは、前記ポリシランの分子内環化反応、例えば、ポリシランの末端同士が自己縮合する分子内縮合反応(分子内脱ハロゲン反応など)による方法などにより得てもよい。さらに、末端基を封鎖したポリシランは、例えば、前記の方法でポリシランを調製したポリシランと、対応する封鎖剤(ハロシラン類、シリルトリフラート類、シラン類などのシリル化合物)とを反応させることにより調製できる。
また、親和性ユニットを含むポリシラン化合物(b)の調製方法は、特に限定されず、種々の合成化学的手法を用いて調製できる。例えば、ポリシラン共重合体(b1)(ポリシランブロック共重合体)は、ポリシラン(例えば、前記方法などにより調製したポリシラン)を、ビニル単量体の光ラジカル重合開始剤として利用することにより、ポリシランとビニル単量体[(メタ)アクリル系モノマーなど]とのブロック共重合体を合成する方法(例えば、Polymer 第43巻、1549頁に記載の方法など)などを利用してもよい。特に、(メタ)アクリルモノマーは、ポリシランとのブロック共重合体を光重合により容易に合成することができる。このような方法は、簡便であり、経済的な観点から好適に利用できる。
さらに、親和性ユニットが結合したポリシラン(b2)は、前記ポリシランの調製方法において、ケイ素原子に結合した親水性ユニットを有するモノマー(シラン化合物)を予め使用する方法、ポリシランの反応性置換基(ヒドロキシル基など)と結合形成可能な官能基および前記親和性ユニットを有する化合物と、ポリシランとを慣用の方法を用いて反応(化学結合)させる方法などにより調製してもよい。
[金属化合物]
金属化合物は、還元により前記金属微粒子(又は金属微粒子を構成する金属)を生成可能な化合物(すなわち、金属原子の酸化数が正である金属化合物)であれば特に限定されず、通常、金属塩である場合が多い。
このような金属化合物(又は金属塩)としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物(金属塩化物など)、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、塩酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩、酪酸塩、シクロヘキサン酪酸、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩などの脂肪族又は芳香族カルボン酸塩;乳酸塩などのヒドロキシアルカンカルボン酸塩;トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩など)など]、金属錯体(又は錯塩)[例えば、アンミン錯体、エチレンジアミン錯体、エチレンジアミンテトラアセタト錯体、ジエチレントリアミン錯体、アセチルアセトナト錯体、ジチオカルバマト錯体、ジチオオキサラト錯体、ジチオエステル錯体、エチレン−1,2−ジチオラト錯体、チオシアナト錯体などのヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子など)を有する配位子が配位した錯体]などが例示できる。金属塩の形態は、単塩、複塩、又は錯塩(又は錯体)であってもよく、多量体(例えば、2量体)などであってもよい。また、金属錯体において、配位子は単座配位子であってもよく、多座配位子であってもよい。また、金属化合物(金属塩)は、例えば、酸成分[塩化水素(HCl)など]、塩基成分(アンモニアなど)、水(H2O)などを含有する化合物(例えば、含ハロゲン化水素化合物、含水物、水和物など)であってもよい。
また、金属化合物は、金属微粒子を生成可能であれば特に限定されず、金属(又は金属原子)で構成できる。本発明において、金属化合物は、周期表第8〜11族金属(すなわち、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金など)で好適に構成でき、特に、貴金属(パラジウム、銀、金、白金、ロジウムなど)で構成してもよい。金属化合物は、これらの金属原子を単独で又は2種以上含んでいてもよい。
具体的な金属化合物としては、例えば、周期表第8〜11族金属酸塩{無機酸塩[例えば、硝酸銀(AgNO3)などの貴金属硝酸塩などの貴金属無機酸塩]、有機酸塩[例えば、酢酸パラジウム(Pd(CH3CO22など)、酢酸ロジウム([Rh(CH3CO222など)などの貴金属酢酸塩などの貴金属有機酸塩]など}、周期第8〜11族金属ハロゲン化物{貴金属ハロゲン化物[例えば、塩化金(AuCl3)、塩化白金(PtCl2、PtCl4など)、塩化パラジウム(PdCl2など)などの貴金属塩化物など]、周期表第8〜11族金属錯体[例えば、アセチルアセトナト錯体(又は2,4−ペンタンジオナト錯体)、ジチオカルマバト錯体(N,N−ジアルキルジチオカルバマト酸イオンが配位した錯体)など]、酸成分を含有する周期第8〜11族金属ハロゲン化物[例えば、塩化金酸(HAuCl4など)、塩化白金酸(H2PtCl6など)などの塩化貴金属酸などの塩化水素含有貴金属ハロゲン化物]、これらの水和物など}などが例示できる。特に、有機酸塩(酢酸塩など)、キレート錯体(アセチルアセトナト錯体など)は、テトラヒドロフランなどの溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
以下に、周期表第11族金属のうち、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウムについて、代表的な金属化合物を例示する。
金化合物としては、金ハロゲン化物(AuCl、AuCl3、AuBr3、AuI、AuI3など)、ハロゲン化金酸又はその塩(HAuCl4、HAuCl4・4H2O、NaAuCl4・4H2O、KAuCl4・4H2Oなどの塩化金酸又はその塩)、水酸化金(AuOH)、シアン化金(AuCN)、酸化金(Au23など)、硫化金(Au2S、Au23(III)など)などの無機塩が挙げられる。HAuCl4・4H2Oは、テトラヒドロフラン(THF)などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に使用してもよい。
銀化合物としては、無機塩[例えば、AgF、AgCl、AgI、AgBrなどの銀ハロゲン化物、Ag2Oなどの酸化銀、Ag2SO4、AgS、AgCN、AgClO4、Ag3PO4、AgSCN、AgNO3、Ag2SO3、Ag2CO3、Ag2CrO4、Ag2Se、AgReO4、AgBF4、AgW416、Ag3AsO4、AgSbF6、AgPF6、AgHF2、AgIO3、AgBrO3、AgOCN、AgMnO4、AgVO3などの無機酸塩など]、有機塩(又は錯体)[例えば、安息香酸銀(C65CO2Ag)、シクロヘキサン酪酸銀(C611(CH23CO2Ag)、乳酸銀(CH3CH(OH)CO2Ag)、トリフルオロ酢酸銀(CF3CO2Ag)、C25CO2Ag、C37CO2Ag、AgO2CCH2C(OH)(CO2Ag)CH2CO2Agなどのカルボン酸塩、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀(CF3SO3Ag)などのスルホン酸塩、銀アセチルアセトナト(CH3COCHCOCH3Ag)、(CH3COCH=C(O−)CH3)Ag、N,N−ジエチルジチオカルバミド銀((C252NCS2Ag)など]などが挙げられる。なお、硝酸銀(AgNO3)は、安価で入手でき、好適に用いることができる。
銅化合物としては、無機塩[例えば、Cu2O、CuO、Cu(OH)2、CuF2、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuIなどの銅ハロゲン化物、CuCO3、CuCN、Cu(NO32、Cu(ClO42、Cu227、Cu2Se、CuSe、CuSeO3、CuSO4、Cu2S、CuS、Cu(BF42、Cu2HgI4、CuSCN、(CF3CO22Cu、(CF3SO32Cu、CuWO4、Cu2(OH)PO4などの無機酸塩など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、[C611(CH23CO22Cu、[CH3(CH23CH(C25)CO22Cu、(HCO22Cu、[HOCH2[CH(OH)]4CO22Cuなどのカルボン酸塩、(CH3COCH=C(O−)CH3)Cu、CH3(CH23SCu、(CH3O)2Cuなど]などが挙げられる。なお、酢酸銅は、テトラヒドロフラン(THF)などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
白金化合物としては、無機塩[例えば、PtO2、PtCl2、PtCl4、PtBr2、PtBr4、PtI2、PtI5などの白金ハロゲン化物、HPtCl6・2H2Oなどのハロゲン化白金酸(塩化白金酸など)、PtS2、Pt(CN)2など]、有機塩(又は錯体)[例えば、(CH3COCH=C(O−)CH3)Pt、(C65CN)2PtCl2など]などが挙げられる。なお、HPtCl6・2H2Oは、テトラヒドロフラン(THF)などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
パラジウム化合物としては、無機塩[例えば、PdO、PdCl2、PdBr2、PdI2、などのハロゲン化パラジウム、PdCN2、Pd(NO32、PdS、PdSO4、K2Pd(S232・H2O、塩化パラジウム酸など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸パラジウム(Pd(CH3CO22)、プロピオン酸パラジウム(II)、(CF3CO22Pdなどのカルボン酸塩、パラジウムアセチルアセトナト((CH3COCHCOCH32Pd)、(CH3COCH=C(O−)CH3)Pd、(C65CN)2PdCl2など]などが例示できる。なお、Pd(CH3CO22は、テトラヒドロフラン(THF)などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
ロジウム化合物としては、無機塩[例えば、Rh23、RhO3、RhCl3、RhBr3、RhI3などのロジウムハロゲン化物、RhPO4、Rh2SO4、これらの水和物(塩化ロジウム三水和物など)など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸ロジウム(Rh(CH3CO22)、(CF3CO22Rh、{[CH3(CH26CO22Rh}2、[(CF3CF2CF2CO22Rh]2、{[(CH33CCO22Rh}2などのカルボン酸塩、ロジウムアセチルアセトナト((CH3COCHCOCH32Rh)、(CH3COCH=C(O−)CH3)Rhなど]などが挙げられる。なお、Rh(CH3CO22は、テトラヒドロフラン(THF)などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
金属化合物は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
これらの金属化合物は、前記組成物の用途に応じて適宜選択でき、無電解めっきの用途では、貴金属化合物を使用することが多く、特にパラジウム微粒子は還元性に優れているため、無電解めっき用組成物においては、金属化合物を少なくともパラジウム化合物で構成するのが好ましい。パラジウム化合物としては、前記例示の化合物を使用でき、酢酸パラジウムやパラジウムアセチルアセトナートなどは入手しやすい。また、無電解めっき用途では、パラジウム化合物と他の貴金属化合物(例えば、銀化合物、ロジウム化合物、白金化合物、および金化合物から選択された少なくとも1種)とを組み合わせてもよい。
[無機微粒子]
前記組成物は、金属微粒子を効率よく生成するため無機微粒子を含んでいる。また、無機微粒子を含むことにより、基板と還元により生成した金属微粒子との密着性を著しく向上できる。そのため、後述するように金属微粒子を含むパターンに、高い密着性で無電解めっき層(めっきパターン)を形成できる。
無機微粒子としては、ポリシラン化合物(および金属化合物)に対してなんらかの親和性を有し、金属微粒子の生成を促進できるものであれば特に限定されず、種々の粒子を使用できる。代表的な無機微粒子には、無機酸化物粒子、例えば、シリカ、非ケイ素系無機酸化物粒子(例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど)が例示できる。これらの無機酸化物のうち、ポリシランに対する親和性や基板に対する密着性の観点から、シリカ(シリカ粒子、シリカ微粒子)が好ましい。
無機微粒子は、金属微粒子の生成をより一層促進させるため、ポリシラン化合物(および金属化合物)に対して親和性を有する基(親和性基)を有していてもよい。すなわち、ポリシラン化合物は、前記のように、通常、アルキル基、アリール基などの有機基を有しているため、慣用の無機微粒子(例えば、シラノール基を有する慣用のシリカ粒子など)に対する親和性が十分でない場合がある。そこで、前記親和性基を有する無機微粒子を用いることにより、ポリシラン化合物と無機微粒子との親和性を向上できる。また、親和性基を有する無機微粒子と、ポリシラン化合物(および金属化合物)とは、共通の溶媒に溶解又は分散させやすい。このため、親和性基を有する無機微粒子を使用することにより、前記組成物(又は塗布膜)において、ポリシラン化合物と無機微粒子と(金属化合物と)をより一層近接させて金属化合物を還元でき、金属微粒子の生成を促進できる。
親和性基は、ポリシラン化合物の態様(例えば、前記式におけるR1〜R3の種類、ビニル単量体の種類、ポリシランユニットの割合、ポリシラン化合物の末端基の種類など)などに応じて適宜選択できる。例えば、側鎖やビニル単量体が、親水性基(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)を有するポリシラン化合物などでは、親水性基を有する無機微粒子を使用してもよい。
通常、ポリシラン化合物は、前記のように、アルキル基やアリール基などの有機基を有しており、疎水性である場合が多いため、ポリシラン化合物と疎水性基を有する無機微粒子(疎水化処理された無機微粒子)とを組み合わせることにより、ポリシラン化合物に対する親和性を向上できる場合が多い。
そのため、本発明では、疎水性基を有する無機微粒子(又は疎水化処理された無機微粒子)を好適に用いることができる。
疎水性基としては、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1-8アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基などのC2-6アルケニル基、好ましくはC2-4アルケニル基、さらに好ましくはC2-3アルケニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6-15アリール基、好ましくはC6-10アリール基、さらに好ましくはC6-8アリール基)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-4アルキル基など)など]、ハロゲン原子(フッ素原子など)などが挙げられる。これらの疎水性基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、上記例示の炭化水素基やハロゲン原子などの他、アミノ基又は置換アミノ基、メルカプト基(又は置換メルカプト基)、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。これらの疎水性基のうち、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基などが好ましく、特にアリール基(特にフェニル基)が好ましい。無機微粒子は、これらの疎水性基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
前記親和性基を有する無機微粒子は、親和性基(例えば、ヒドロキシル基などの親水性基)を予め有している場合にはそのまま使用してもよく、無機微粒子を処理(表面処理)することにより得てもよい。例えば、疎水性基を有するシリカは、疎水化処理されたシリカであってもよい。すなわち、汎用のシリカは、粒子表面にヒドロキシル基(又はシラノール基)を有する親和性のシリカ粒子である場合が多いため、疎水性基を有するシリカは、このようなヒドロキシル基を有するシリカ粒子を、ヒドロキシル基に対する反応性基および疎水性基を有する疎水性化合物(表面改質剤)で疎水化処理することにより得ることができる。
無機微粒子(例えば、シリカ粒子)を処理するための前記疎水性化合物としては、無機微粒子の種類に応じて適宜選択でき、例えば、下記式(2)で表される化合物などが挙げられる。
Si(X)a(R44-a (2)
[式中、Xは、疎水性基又は疎水性基を含む基を示し、R4は、ヒドロキシル基又はシラノール基に対する反応性基又はこの反応性基を含む基を示す。aは1〜3の整数を示す。]
上記式(2)のXにおいて、疎水性基としては、前記例示の疎水性基(アルキル基、アリール基などの炭化水素基など)などが挙げられる。また、R4で表される反応性基としては、置換されていてもよいヒドロキシル基[ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのC1-6アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基、さらに好ましくはC1-2アルコキシ基)など]、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ハロゲン原子(塩素原子など)などが挙げられる。好ましい反応性基には、加水分解縮合性基(アルコキシ基、ハロゲン原子など)が含まれ、特にアルコキシ基が好ましい。
前記式(2)で表される代表的な化合物としては、例えば、前記例示の疎水性基を有する加水分解縮合性化合物(又はカップリング剤){例えば、モノアルコキシシラン類[例えば、トリアルキルアルコキシシラン(例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのトリC1-4アルキルモノC1-4アルコキシシラン)、ビニルジメチルエトキシシランなどの疎水性基を有するモノC1-4アルコキシシラン類]、ジアルコキシシラン類[例えば、ジアルキルジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのジC1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど)、ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシランなどのジC6-10アリールジC1-4アルコキシシランなど)、アルキルアリールジアルコキシシラン(例えば、メチルフェニルジエトキシシランなどのC1-4アルキルC6-10アリールジC1-4アルコキシシラン)、アルケニルアルキルジアルコキシシラン(例えば、ビニルジメトキシメチルシランなどのC2-4アルケニルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシラン)、ジアルケニルジアルコキシシラン(例えば、ジビニルジメトキシシランなどのジC2-4アルケニルジC1-4アルコキシシラン)などの疎水性基を有するジC1-4アルコキシシラン類]、トリアルコキシシラン類[例えば、アルキルトリアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのC1-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのC6-10アリールトリC1-4アルコキシシランなど)、アルケニルトリアルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシランなどのC2-4アルケニルトリC1-4アルコキシシラン)などの疎水性基を有するトリC1-4アルコキシシラン類]などのアルコキシシラン類;これらのアルコキシシラン類に対応するハロシラン類[例えば、モノハロシラン類(例えば、トリメチルクロロシランなどのトリC1-4アルキルクロロシラン)、ジハロシラン類(例えば、ジエチルジクロロシランなどのジC1-4アルキルジクロロシラン)、トリハロシラン類(例えば、メチルトリクロロシランなどのC1-4アルキルトリクロロシラン)など]などが挙げられる。
なお、無機微粒子は、市販品を使用してもよく、必要に応じて調製したものを使用してもよい。例えば、疎水性基を有するシリカ粒子(疎水化処理されたシリカ粒子)は、親水性のシリカ粒子(又は疎水化処理されていないシリカ粒子)を疎水化処理して調製してもよい。
親水性のシリカ粒子(疎水化処理されていないシリカ粒子)は、市販品を使用してもよく、慣用の方法、例えば、(a)ケイ酸ナトリウムを用いる方法、(b)加水分解可能なケイ素化合物を、水の存在下、有機溶媒中において加水分解縮合する方法(ゾル−ゲル法)により調製してもよい。特に、ナトリウムなどの金属不純物の残留が少なく、高純度のシリカ粒子を得るという観点から、上記方法(b)により親水性のシリカ粒子を調製するのが好ましい。
前記ケイ素化合物としては、前記例示の加水分解縮合性化合物に加えて、疎水性基を有しない慣用のケイ素化合物などが挙げられる。代表的なケイ素化合物としては、例えば、アルコキシラン類[例えば、テトラアルコキシラン類(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどの置換基を有していてもよいテトラC1-4アルコキシシランなど)、トリアルコキシシラン類(例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの置換基を有していてもよいトリC1-4アルコキシシラン)、ジアルコキシシラン類(例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルフェニルシランなどの置換基を有していてもよいジC1-4アルコキシシラン)、モノアルコキシシラン類(例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエトキシシランなどの置換基を有していてもよいモノC1-4アルコキシシラン)など]、ハロシラン類[例えば、前記例示のケイ素化合物に対応するモノ乃至テトラハロシラン類(例えば、テトラクロロシランなど)]などが挙げられる。また、ケイ素化合物には、上記例示のケイ素化合物が部分的に加水分解した縮合物(低縮合物、部分縮合物)も含まれる。ケイ素化合物は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
有機溶媒としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノールなどのアルカノール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのジアルキルケトン類)、エステル類(例えば、酢酸エチルなどの酢酸エステル類)、炭化水素類(例えば、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)などが挙げられる。通常、有機溶媒は、親水性のシリカ粒子を効率よく分散できる溶媒、例えば、アルコール類(特に低級アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの直鎖状又は分岐鎖状C1-3アルカノール類など)などの親水性有機溶媒(親水性溶媒)を用いる場合が多い。有機溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、有機溶媒の沸点は、例えば、100℃未満(例えば、40〜99℃)、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃程度であってもよい。
また、加水分解縮合反応は、例えば、温度0〜100℃、好ましくは10〜70℃程度で行ってもよい。また、加水分解縮合反応は、必要に応じて攪拌しつつ行ってもよい。このように水を含む有機溶媒中で加水分解可能なケイ素化合物を加水分解縮合することにより、球状でしかも粒径分布が狭いシリカ粒子(親水性のシリカ粒子)を含む分散液を得ることできる。
疎水化処理は、親水性のシリカ粒子に対して行うことができればよく、通常、親水性のシリカ粒子と疎水性化合物とを適当な溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。このような疎水化処理は、例えば、(i)親水性のシリカ粒子と疎水性化合物とを適当な溶媒[例えば、前記加水分解縮合反応において例示の有機溶媒など]に分散(又は溶解、通常分散)させて行ってもよく、(ii)親水性のシリカ粒子を含む分散液(特に親水性溶媒の分散液)を用いて行ってもよい。後者の方法(ii)では、親水性のシリカ粒子の分散液をそのまま用いることができるため効率よく疎水化処理できる。
なお、前記方法(ii)において、疎水化処理に用いる分散液は、必要に応じて、溶媒置換を行ってもよい。
無機微粒子(例えば、疎水化処理されたシリカ)は、分散液の形態で前記組成物を構成してもよく、溶媒を含まない無機微粒子(例えば、分散液から溶媒を除去したシリカ粒子)の形態で前記組成物を構成してもよい。特に、分散液の形態で前記組成物を構成する[詳細には、分散液の形態で、前記組成物の構成成分(ポリシラン化合物、金属化合物など)に混合する]と、無機微粒子(特にシリカ粒子)の分散液における形状を保持しつつ前記組成物を構成できるため好ましい。このような有機溶媒を含む分散液は、調製した分散液であってもよく、この分散液にさらに必要に応じて第2の溶媒を含む(又は溶媒置換した)分散液であってもよい。例えば、前記組成物は、後述するように、通常溶媒を含む組成物である場合が多いが、このような組成物を構成する溶媒が無機微粒子(特にシリカ粒子)を分散しない(又は分散させにくい)溶媒である場合、第2の溶媒を好適に添加してもよい。
第2の溶媒としては、慣用の疎水性有機溶媒、例えば、炭化水素類[例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの飽和脂肪族炭化水素類;ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどの不飽和脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素類など)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン、メチルナフタレンなど)]、ハロゲン化炭化水素類(上記例示の炭化水素に対応するハロゲン化物、例えば、メチレンクロライド、クロロホルム、エチレンクロライド、クロロベンゼンなど)、エーテル類(例えば、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテルなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルデヒド又はケトン類(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの鎖状ケトン類、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類)、石油留分類(ナフサ、白灯油など)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの疎水性有機溶媒のうち、特に、前記組成物を構成する溶媒(例えば、テトラヒドロフランなど)に対して混和しやすく、かつ無機微粒子(特に疎水化処理されたシリカ粒子)を分散可能な溶媒、例えば、炭化水素類(例えば、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類)を用いることが好ましい。
なお、疎水化処理されたシリカ粒子(又はその分散液又はコロイダルシリカ)は、扶桑化学工業(株)から、例えば、「PLシリーズ」などとして入手することもできる。
このような方法によって製造された疎水性シリカ粒子において、シリカ粒子表面に存在するシラノール基が表面改質剤で表面改質されていることは、Si−NMRによって確認することができる。すなわち、Si−NMRのQ2(約92ppm)ピーク強度(Siのシラノール基数が2つ、シロキサン結合数が4つに相当する)、Q3(約101ppm)ピーク強度(Siのシラノール基数が1つ、シロキサン結合数が3つに相当する)、及びQ4(約111ppm)ピーク強度(Siのシラノール基数が4つに相当する)によって確認することができる。シリカ粒子表面に存在するシラノール基が表面改質剤で表面改質されている疎水性シリカ粒子は、表面改質されていない親水性シリカ粒子に比べて、Q2ピーク強度比及びQ3ピーク強度比が減少し、Q4ピーク強度比が増大している。
より具体的には、表面改質されていない親水性シリカ粒子では、Q3ピーク強度に対するQ4ピーク強度の比が0.6〜0.85程度である。
これに対して、親水性シリカ粒子表面のシラノール基を、疎水性基を有する表面改質剤で表面改質した疎水性シリカ粒子では、通常、Q3ピーク強度に対するQ4ピーク強度の比が0.9以上、好ましくは0.9〜1.8となる。
無機微粒子[特にシリカ(疎水化処理されたシリカ)]を含む分散液において、無機微粒子濃度は、例えば、10重量%以上(例えば、15〜80重量%)、好ましくは20重量%以上(例えば、30〜60重量%)、好ましくは40重量%以上(例えば、40〜50重量%程度)であってもよい。なお、無機微粒子濃度は、溶媒を添加又は除去することにより適宜調整してもよい。
また、無機微粒子(特にシリカ)を含む分散液(特にシリカゾル)において、金属不純物(例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属)の含有量は、ごく少量、例えば、分散液全体の1ppm以下(例えば、0〜0.9ppm、好ましくは0.01〜0.5ppm程度)であってもよい。
無機微粒子の形状(特に、分散液における形状)は、球状、楕円状などであってもよく、通常球状であってもよい。
無機微粒子(シリカ粒子など)の平均粒子径(又は一次粒子径)は、例えば、0.5nm〜10μm、好ましくは1nm〜1μm(例えば、3〜500nm)、さらに好ましくは5〜100nm、特に10〜50nm程度であってもよい。
本発明の組成物において、金属化合物の割合は、ポリシラン化合物の分解能や分子量などにもよるが、前記ポリシラン化合物100重量部に対して、例えば、0.5〜500重量部、好ましくは1〜400重量部、さらに好ましくは2〜200重量部(例えば、3〜150重量部)、特に4〜100重量部(例えば、5〜50重量部)程度であってもよい。
無機微粒子の割合は、例えば、ポリシラン化合物100重量部に対して、0.05〜300重量部、好ましくは0.1〜200重量部、さらに好ましくは0.2〜150重量部(例えば、0.3〜100重量部)、特に0.5〜50重量部(例えば、1〜10重量部)程度であってもよい。
また、無機微粒子の割合は、金属化合物100重量部に対して、例えば、0.1〜500重量部、好ましくは0.5〜300重量部(例えば、1〜250重量部)、さらに好ましくは3〜200重量部(例えば、5〜150重量部)、特に10〜100重量部(例えば、20〜80重量部)程度であってもよい。
本発明の組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒を含む組成物は、コーティング組成物(塗布液又は塗工液)として好適に用いることができる。溶媒としては、通常、ポリシラン化合物、金属化合物および無機微粒子を溶解又は分散可能(特に溶解可能)な溶媒を使用できる。このような溶媒としては、ポリシラン化合物および金属化合物の種類に応じて適宜選択でき、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトンなどのジアルキルケトン類、N−メチル−2−ピロリドンなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテート、ブトキシカルビトールアセテートなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、アセタール類(アセタール、メチラールなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。なお、有機溶媒は、溶媒を含む分散液の形態で前記無機微粒子を混合する場合には、このような分散液の溶媒を有機溶媒として使用してもよい。通常、塗布性を向上させるため、有機溶媒を含む分散液を使用する場合であっても、新たに溶媒を添加する場合が多い。
なお、テトラヒドロフランは、金属化合物として酢酸塩やアセチルアセトナト錯体を使用する場合には極めて有効である。また、ポリシランとN−ビニル−2−ピロリドンとのブロック共重合体や安息香酸銀はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に可溶なので、これらを用いて組成物を作製する場合には、NMPを用いてもよい。また、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、リン酸エステル基などを有するポリシラン化合物を用いる場合には、水、アルコール類、グリコール類などの極性溶媒を用いることもできる。特に、2−プロパノールやプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートは半導体製造業などで汎用されているので好適に用いることができる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
溶媒の割合は、前記組成物の固形分100重量部に対して、例えば、10〜50000重量部、好ましくは30〜10000重量部、さらに好ましくは50〜5000重量部程度であってもよい。
なお、溶媒を含む場合、前記組成物又は塗工液は、溶液の形態であってもよく、分散液の形態であってもよい。
さらに、本発明の組成物は、レジストとしての感度を向上させるため、増感剤を含んでいてもよい。増感剤としては、シリコーン樹脂、ラジカル発生剤(光ラジカル発生剤)[過酸化物(過酸化水素(過酸化水素水)、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物など)、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジブチルスルフィドなどの有機硫黄化合物、ハロゲンラジカルを発生可能なラジカル発生剤(2,4,6−トリス(トリハロメチル)−1,3,5−トリアジンなど]、酸触媒(例えば、酢酸などのカルボン酸など)、光酸発生剤、光アルカリ発生剤、酸化剤(アミンオキシド、ホスフィンオキシドなど)、アセトフェノン系化合物(ジエトキシアセトフェノンなど)、ベンゾフェノン系化合物(ベンゾフェノンなど)、ベンゾイン系化合物(ベンゾインエチルエーテルなど)、ベンジル系化合物(ベンジルなど)、アントラキノン系化合物(アントラキノンなど)などが例示できる。増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、ポリシランの増感剤として、特開平8−262728号公報や特許第3274918号公報に記載の増感剤(光ラジカル発生剤、酸化剤など)を好適に使用してもよい。増感剤は、金属化合物やポリシラン化合物の種類に応じて選択してもよく、例えば、パラジウムアセチルアセトナトを金属化合物として用いた場合には、酸触媒を添加するとレジスト特性がより一層向上する。特に、酸触媒としての酢酸は、パラジウムアセチルアセトナトと同一の溶媒に可溶である場合が多く、好適に用いることができる。
このような増感剤の割合は、前記ポリシラン化合物100重量部に対して、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。
なお、本発明の組成物は、用途に応じて、適宜種々の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(抗酸化剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、ゲル化剤、シランカップリング剤、レベリング剤などが例示できる。添加剤(シランカップリング剤、増感剤、安定剤など)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明の組成物は、金属微粒子の生成やポリシラン化合物の還元性能を低下させない範囲であれば、他の還元剤(水素化ホウ素ナトリウムなどの慣用の還元剤など)、金属化合物(又は金属微粒子)に対する親和性を有する化合物(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの樹脂など)などを含んでいてもよい。本発明の組成物では、ポリシラン化合物が優れた還元能を有しているとともに、金属化合物(および生成した金属微粒子)に対する親和性を有しているため、このような還元剤や親和性を有する化合物を含まなくても、効率よく金属微粒子を生成可能である。
本発明の組成物の形態は、特に限定されず、例えば、粉粒状(又は粉粒状混合物)などであってもよく、前記のように、コーティング組成物(塗布液)の形態であってもよい。前記組成物(コーティング組成物)は、基板(後述する基板など)上に塗布することにより、塗膜を得ることができる。
なお、本発明の組成物は、慣用の方法、例えば、前記ポリシラン化合物と、前記金属化合物と、無機微粒子(又はその分散液)と、必要に応じて他の成分(溶媒、増感剤など)とを混合することにより調製できる。例えば、本発明の組成物は、ポリシラン化合物と前記金属化合物と無機微粒子と[必要に応じて他の成分(増感剤など)と]を、溶媒に混合(溶解又は分散)させることにより調製してもよい。
[金属微粒子と無機微粒子とを含む組成物およびその製造方法]
本発明の組成物は、前記のように、金属微粒子(又は金属コロイド)および無機微粒子を含む組成物(以下、金属微粒子を含有する無機微粒子組成物、金属微粒子含有組成物、無機微粒子組成物、組成物などということがある)を得るための組成物として好適に用いることができる。すなわち、本発明では、前記金属微粒子生成用組成物において、前記ポリシラン化合物を分解させて[詳細には、分解によりラジカル(シリルラジカル)を発生させて]、金属微粒子(前記金属化合物に対応する金属微粒子)を生成することができる。なお、生成した金属微粒子は、溶媒との混合物であってもよく、この混合物の形態は、例えば、溶媒(前記例示の溶媒など)に溶解した溶液、又は溶媒(前記例示の溶媒など)に分散した分散液などであってもよい。
ポリシラン化合物の分解により、金属微粒子が生成する原理は以下のようであると考えられる。ポリシラン化合物を構成するポリシランは、その主鎖にσ共役による非局在化した電子を有するので、活性エネルギー線の照射などにより分解してラジカル(シリルラジカル)などの活性種が発生し、この活性種(ラジカルなど)が還元作用を示す。すなわち、この活性種の「光還元性」を利用することにより、金属化合物を還元して金属微粒子が生成する。そして、ポリシラン化合物が前記親和性ユニットを有する場合には、この親和性ユニットが、生成した金属微粒子を安定化し、金属微粒子の凝集が抑制される。
このような金属微粒子を生成する方法において、ポリシラン化合物を分解させる方法としては、ポリシラン化合物が分解してラジカルを発生する限り特に限定されないが、通常、前記組成物に活性エネルギー線を作用させる(又は照射する)ことにより分解させることができる。
活性エネルギー線としては、ポリシラン(化合物)を分解してシリルラジカルを始めとする活性種を発生させるものであれば特に限定されず、例えば、活性光線(又は光線)、熱線(赤外線又は熱エネルギー)などが挙げられる。活性光線(又は光源)としては、例えば、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、真空紫外線など)、X線、電子線などが例示できる。これらの活性光線のうち、紫外線が好ましい。活性光線は、単一波長であっても、複合波長であってもよく、混合波長であってもよい。
作用させる(又は照射する)活性光線の光源としては、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ(低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプなど)、重水素ランプ、UVランプ[短波長UVランプ(deep UVランプ)を含む]、レーザー{例えば、ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマーレーザー[例えば、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、KrCl(222nm)、ArF(193nm)、ArCl(172nm)、F2(157nm)など]など}などが例示できる。特に、高圧水銀ランプの波長は、ポリシランのσ共役による吸収帯に重なる波長である場合が多く、好適に用いることができる。また、250nm付近に吸収を有するdeepUVランプを用いると、ポリ(メチルフェニルシラン)のようなベンゼン環を有するポリシランを効果的に分解することができる。さらに172nm付近に吸収を有するdeepUVランプを照射すると、ポリシランの分解に加えて、発生するオゾンの影響で基板や薄膜に多数の活性種が生成し、生じる金属微粒子の基板に対する密着性が格段に向上する場合がある。一方、電子線は処理速度が遅くスループットが小さくなり非効率ではあるが、光に比べて解像度が大きいので、サブミクロン以下の配線の作製などの好適に用いることができる。また、電子線よりさらに微細なパターンが必要な場合には、X線(例えば、極端紫外領域のX線)を用いてもよい。なお、ポリシラン化合物は、太陽光線、蛍光灯などの光源からの光によっても分解することがある。
なお、照射(又は露光)エネルギーは、特に制限されないが、通常、1mJ/cm2〜100J/cm2、好ましくは10mJ/cm2〜10J/cm2程度であってもよい。また、露光時間は、0.005秒〜10分程度の範囲から選択でき、例えば、0.01秒〜2分、好ましくは0.1〜60秒、さらに好ましくは1〜40秒程度の範囲から選択できる。
また、熱線を作用させる場合、前記組成物に作用させる温度(加熱温度)は、例えば、30〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは40〜100℃程度であってもよい。
活性エネルギー線は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。例えば、活性光線(特に、紫外線)と熱線とを組み合わせることにより、より一層金属微粒子の生成速度や硬化速度を効率よく高めてもよい。活性光線と熱線とを組み合わせる方法としては、例えば、前記組成物を加熱するとともに活性光線を照射する方法、活性光線を照射したのち加熱する方法などが挙げられる。
このような方法により得られる金属微粒子(金属微粒子を含む溶液又は分散液)は、ポリシラン化合物がラジカル生成した後の分解物が金属微粒子表面に存在している(又は金属微粒子を表面保護している)ためか、安定性又は保存性が高い。特に、ポリシラン化合物が、前記親和性基(又は親和性ユニット)を有するポリシラン化合物(前記ポリシラン共重合体など)である場合には、金属微粒子が、ポリシランの分解物のみならず、親和性基により安定化又は保護されているためか、金属微粒子の凝集を高いレベルで抑制でき、金属微粒子の安定性(長期安定性、環境安定性)又は保存性(又は長期保存性)が極めて高い。
前記金属微粒子の粒径(平均粒径)は、ポリシラン化合物の種類(前記親和性ユニットの種類やその有無など)に応じて、数nm(例えば、1nm)〜数μm(例えば、5μm)の範囲で適宜調整でき、例えば、1〜3000nm、好ましくは1〜2000nm、さらに好ましくは1〜1500nm程度であってもよい。特に、本発明では、ポリシラン化合物と無機微粒子とを組み合わせるため、ナノ粒子(金属ナノ粒子)、例えば、粒径(又は平均粒径)が、1〜1000nm(例えば、2〜800nm)、好ましくは3〜500nm(例えば、4〜300nm)、さらに好ましくは5〜200nm(例えば、5〜150nm)、特に8〜50nm(例えば、10〜30nm)程度の金属微粒子であっても効率よく生成(調製)できる。
なお、金属微粒子含有組成物の形態は、粉粒状などであってもよく、溶媒に金属微粒子(および無機微粒子およびポリシラン化合物)が分散した分散液などであってもよく、基板上に形成された膜(又は薄膜)状などであってもよい。特に、金属微粒子含有組成物は、高い密着性で基板に形成できるため、膜状(薄膜状)であってもよく、このような膜状の組成物は、後述するようにパターン状であってもよい。
前記無機微粒子組成物の生成方法は、種々の用途に応用できる。例えば、前記ポリシラン化合物は、金属化合物を還元できるとともに感光性を有しているため、本発明の組成物(金属微粒子生成用組成物)を、感光性組成物(ネガ型感光性組成物)として利用してもよい。
具体的には、基板に、前記組成物(例えば、ポリシラン化合物、金属化合物、無機微粒子および溶媒で構成された塗布液)を塗布し、露光して金属微粒子を生成させたのち、現像し、金属微粒子および無機微粒子を含むパターン(ネガ型パターン)を形成してもよい。すなわち、このようなパターン形成方法では、現像液に対して溶解性の金属化合物が、露光(還元)により現像液に対して非溶解性に変化する。詳細には、基板に前記組成物を塗布して塗膜とした後に、露光(光照射)を行うと、光照射により金属微粒子が生成するとともに、前記ポリシランが分解した分解物(シラノール基を有する分解物など)がバインダーとして作用し、金属微粒子と無機微粒子と(ポリシラン分解物と)を含む組成物(又はパターン)が生成して基板に付着する。この際、前記組成物は、金属微粒子と無機微粒子とポリシラン化合物(分解物)とを組み合わせて含んでいるため、金属微粒子が高い密着性で基板に強固に付着する。密着性が向上する理由としては定かではないが、金属微粒子とポリシラン分解物との親和性、無機微粒子と基板(ガラス基板など)との親和性、無機微粒子とポリシラン分解物との親和性がそれぞれ高いことなどが挙げられ、さらにはポリシラン化合物と無機微粒子との反応(加水分解縮合反応など)が生じることなども考えられる。そして、この後に現像を行うと、未露光部(ポリシラン化合物と金属化合物と無機微粒子とを含む部分)は溶解除去され、金属微粒子(ナノ粒子)を含有するネガ型パターンが形成される。
基板としては、特に限定されず、例えば、無機基板(例えば、シリコンウェハー、アルミニウム基板などの金属基板、ガラス基板、セラミックス基板など)、有機基板(例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、エポキシ樹脂フィルムなどのプラスチックフィルム)などの基板(絶縁体)が例示できる。なお、基板は、表面処理(シランカップリング剤などによる表面処理、アンカーコート剤などによるコーティング処理など)されていてもよい。本発明の組成物(感光性組成物)は、ポリシラン化合物と無機微粒子とを組み合わせているため、基板(例えば、ガラス基板などの無機基板)に対する密着性が高く、簡便にかつ効率よくパターン形成できる。また、本発明の組成物は、後述するように基板に対する金属微粒子(および無機微粒子)の密着性が高く、高温での加熱処理(例えば、200℃以上の加熱処理)を要しないため、基板としてプラスチックフィルムを使用可能である。
前記感光性組成物は、塗布方法にもよるが、例えば、少なくともポリシラン化合物、金属化合物、無機微粒子および溶媒で構成してもよい。感光性組成物において、溶媒は、前記例示の溶媒であればよく、特に、組成物中に含まれる各成分を良好に溶解または均一分散することが可能であり、蒸発むらなどがない平滑かつ平坦な塗膜を形成可能であり、さらには良好な保存安定性を与えることが可能であることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、前記例示の溶媒のうち、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。感光性組成物において、固形分(ポリシラン化合物、金属化合物および無機微粒子など)濃度は、固形分を溶解可能であれば特に限定されず、塗布方法や塗膜の厚さなどに応じて適宜調整できる。なお、感光性組成物は、成膜性を高めるため、必要に応じて、感光性組成物において用いられる慣用の樹脂[感光性樹脂(ネガ型感光性樹脂)、バインダー樹脂など]を含有していてもよい。
前記組成物を基板に塗布する方法は、膜形成が可能であれば特に限定されず、慣用の塗布法、例えば、スピンコーティング法(回転塗布法)、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スプレー法、キャスト法などが利用できる。特に、均一な膜を効率よく得るためにはスピンコーティング法(スピンコート法)を用いることが好ましい。塗布装置としては、上記塗布方法に対応する装置、例えば、スピンコーター、スリットコーター、ロールコーター、バーコーターなどを使用できる。なお、塗布後、必要であれば、基板を乾燥させてもよく、ホットプレートなどを用いて基板をプリベークしてもよい。
前記組成物を塗布して得られた塗膜において、塗膜の厚みは、特に制限されず、例えば、0.01〜50μm、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.01〜5μm程度であってもよい。
露光は、前記のように、活性光線(例えば、紫外線)を照射することにより行うことができ、露光(照射)エネルギーは、前記と同様の範囲から適宜選択できる。本発明では、ポリシラン化合物の分解性(又は還元性又は感光性)が高いため、比較的短時間(例えば、1〜40秒程度)の露光時間であっても、高いパターン形成性で、簡便にかつ効率よくパターンを形成できる。露光は、マスクを介して又はマスクを介さずに行ってもよい。マスクは、通常の光リソグラフィーに用いられるマスクであれば特に限定されず使用可能であるが、紫外線による露光であればクロムマスクが有効であり、真空紫外域の光源を用いる場合にはモリブデンなどで構成された反射型ミラーを用いたマスクなどを好適に使用してもよい。マスクを使用しない場合、レーザーや電子線の直描装置などにより、露光(活性エネルギー線照射)し、基板に直接的にパターンを照射(又はパターンを形成)してもよい。なお、露光後、必要に応じて、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク、PEB)してもよい。加熱(PEB)温度は、例えば、50〜150℃、好ましくは60〜150℃(例えば、60〜140℃)、さらに好ましくは70〜150℃(例えば、70〜130℃)程度であってもよい。
露光後、活性光線の未照射部を現像液を用いて除去することにより、前記金属微粒子(金属ナノ粒子)のネガ型パターン形状物が得られる。現像に用いる現像液(又は現像剤)は、前記感光性組成物の種類(ポリシラン化合物の種類など)に応じて、適宜選択できる。現像剤としては、未露光部分を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルカノール類)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などが例示できる。また、これらの溶媒はアルカリを含むアルカリ現像剤(例えば、水及び/又はアルコール類とアルカリとの混合溶媒)であってもよい。なお、前記組成物の溶媒、例えば、テトラヒドロフランやトルエンなどを用いることができるが、経済性および環境への配慮からアルコール類を用いることが好ましい。特に、2−プロパノールは、メタノールやエタノールに比べて揮発しにくく、また人体に対する影響も小さく、好ましい。また、アルコール類での現像でコントラストが悪い場合には、現像剤としてケトン類を用いるとコントラストが向上する場合がある。特に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンは、産業的に汎用されており好ましい。さらに、極性基を有するポリシラン化合物を用いた場合には、半導体製造のフォトリソグラフィー工程などで多用されているアルカリ現像液を用いると、従来の半導体製造装置を用いての製造が可能になるので経済的にも有利である。
現像液は、単独で又は二種以上混合して使用できる。
現像法も特に制限されず、例えば、パドル(メニスカス)法、ディップ法、スプレー法などが利用できる。このような一連のプロセスにより、露光部分の硬化および未露光部分の現像液に対する溶解が起こり、金属微粒子(組成物)のネガ型パターンが作製される。
現像後、硬化を完全に進行させ、基板に対してネガ型パターンをより一層強固に密着させるため、必要に応じて熱処理(加熱処理)を行ってもよい。熱処理温度は、例えば、100℃以上(例えば、130〜500℃)、好ましくは150℃以上(例えば、180〜450℃)、さらに好ましくは200℃以上(例えば、220〜350℃)程度であってもよい。また、ポリシラン化合物(又は分解物)を完全に反応させるため、熱処理温度は300℃以上(例えば、300〜450℃程度)であってもよく、特に、パターンを半導体回路などに利用する場合には、半導体の特性を変化させないために、温度300〜350℃程度の範囲で加熱してもよい。
なお、前記組成物は、ポリシラン化合物と金属化合物と無機微粒子とを組み合わせるので、露光後において既に金属微粒子は高い密着性で基板に密着又は付着している。そのため、現像後、比較的低温[例えば、200℃以下(例えば、80〜190℃)、好ましくは180℃以下(例えば、100〜170℃)、さらに好ましくは120〜160℃、通常、130〜200℃(例えば、150〜180℃)程度]で熱処理してもよい。特に、deepUVなどの照射によってパターニングを行った場合には、基板への密着性が格段に向上するため、低温で熱処理しても十分な基板に対する密着性をパターンに付与できる。このような低温での熱処理は、基板にプラスチックフィルムなどを用いる場合などにおいて特に有用である。
現像(および熱処理)後のパターンは、種々の用途に利用でき、そのまま用途に応じて利用してもよく、特に基板と金属微粒子(および無機微粒子)を含むパターンとの密着性が高いため、さらにめっき処理してもよい。すなわち、現像(及び熱処理)した後、さらに無電解めっき処理することにより、金属微粒子(および無機微粒子)を含むパターン上にさらにめっきパターン(又はめっき層)を形成してもよい。
めっき処理は、基板などの種類に応じて、めっき触媒になり得る金属微粒子を含むパターン上に金属を析出させてめっきパターンを形成できる限り特に限定されないが、本発明では、特に、基板(ガラス基板、プラスチックフィルムなど)に金属微粒子が付着しており、この金属微粒子が触媒として作用可能であるため、無電解めっき処理を好適に利用できる。換言すれば、前記組成物(ポリシラン化合物と金属化合物と無機微粒子とを含む組成物)は、無電解めっきの触媒化処理に用いるコーティング剤(塗布剤、塗布液)として好適に用いることができる。
無電解めっき処理は、現像後の基板(又は金属微粒子を含むパターン)に対して、通常、めっきを構成する金属(又は金属成分)を含む液(めっき液)を接触させることにより行うことができる。接触方法としては、特に限定されず、めっき液を基板に塗布したり、スプレー(又は散布)するなどの方法により行ってもよく、通常、めっき液(又はめっき浴)に対して現像後の基板を浸漬することが多い。
めっき金属としては、金属微粒子により還元される金属であればよく、めっきパターンの用途に応じて適宜選択でき、例えば、遷移金属[周期表第8族金属(鉄など)、周期表第9族金属(コバルトなど)、周期表第10族金属(ニッケル、パラジウムなど)、周期表第11族金属(銅、金、銀など)など]、典型金属[周期表第13族金属(インジウムなど)、周期表第14族金属(スズなど)]などが例示できる。めっきパターンを配線パターンに用いる場合には、めっき金属として、ニッケルや銅(特に銅)を用いる場合が多い。めっき金属は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、めっき液において、これらのめっき金属は、通常、酸化数が正である金属化合物(例えば、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、ハロゲン化物、シアン化物など)又はそのイオンの形態で存在している。特に、硫酸銅は、めっき液から効果的に銅が析出し、半導体回路の配線パターンの形成に好適に利用できる。
また、めっき液(又はめっき浴)、めっき金属の種類に応じて、中性(浴)、酸性(浴)、又はアルカリ(浴)であってもよい。
めっき液は、めっき金属の種類などに応じて、通常、還元剤(ホルムアルデヒド、次亜リン酸ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミンボランなど)、錯化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸又はその塩など)、pH調整剤、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、基板には、めっき処理に先だって、種々の前処理(脱脂処理、溶剤処理、エッチングなど)を施してもよい。本発明では、基板と金属微粒子とが強固に密着しているため、このような前処理(エッチングなど)を施すことなく無電解めっきしても、めっき層の剥離などを生じることなく、高い密着性でめっき層を形成できる。
めっき処理温度(めっき処理におけるめっき液又はめっき浴の温度)は、例えば、20〜100℃、好ましくは25〜80℃程度であってもよい。
なお、基板をめっき液に浸漬する場合、浸漬時間は、例えば、10秒〜10分、好ましくは20秒〜5分、さらに好ましくは40秒〜3分程度であってもよい。また、めっき処理後の基板は、通常、洗浄(および乾燥)してもよい。
以上のようにめっき処理(無電解めっき処理)することにより、基板に形成され、金属微粒子および無機微粒子を含むパターンの上に、さらにめっきパターンを形成できる。めっきパターン(又はめっき層)の厚みは、用途にもよるが、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜100μm、さらに好ましくは5〜50μm程度であってもよい。特に、配線パターンなどでは、めっきパターンを厚み5μm以上(例えば、8〜70μm)、好ましくは10μm以上(例えば、12〜50μm程度)、さらに好ましくは15〜40μm程度に形成してもよい。
本発明の組成物は、金属微粒子(特に金属ナノ粒子)を生成するのに有用である。特に、活性エネルギー線を作用させるなどの簡便な方法により金属微粒子を生成できるので、金属微粒子の調製プロセスが簡便で、産業上有用である。また、本発明の組成物は、感光性を有しており、基板に塗布して露光および現像するという通常のフォトリソグラフィー工程により、金属微粒子を含むパターン(ネガ型パターン)を基板に対して高い密着性で形成できる。さらに、本発明の組成物は、ポリシラン化合物が感光性を有しているため、別途レジストを用いるなどの煩雑な工程を必要とすることなく、簡便にかつ効率よく、しかも低コストで、基板に金属微粒子を含むパターンを形成できる。そのため、本発明の方法により得られた金属微粒子(およびそのネガ型パターン)は、光学分野(例えば、量子エレクトロニクス分野における単電子トランジスタ、光情報処理分野における非線形光学素子)、バイオ分野(臨床検査・生化学試料計測分野における免疫検査物の吸着坦持体など)、光デバイス分野(電極、回路など)などに好適に利用できる。
特に、前記ネガ型パターンは、無電解めっきの触媒となりうる金属微粒子が高い密着性で基板に付着しているため、無電解めっきを形成するのに適している。すなわち、前記組成物は、無電解めっき用コーティング剤(又は塗布液又は処理液)がネガ型レジストの役割を兼ね備えている。このような無電解めっきにより形成されるめっきパターンは、基板(および金属微粒子を含むパターン)に強固に密着しており、基板からの剥離を抑制又は防止できる。また、このような方法では、従来のように、基板に付着した不要な触媒(パラジウムなど)を除去するために、人体に有害な溶媒(シアン化カリウムなど)を用いることなくめっきパターンを形成できる。
このような無電解めっきパターンを形成した基板は、めっき金属の種類に応じて、種々の用途、例えば、配線基板(又は配線パターン)、磁性材料(磁気記録媒体、磁気ディスクなど)などに利用できる。特に、銅めっきパターンを形成した基板(ガラス基板などの無機基板など)は、電子回路(半導体回路など)の配線パターンなどの配線パターン(金属配線パターン)に極めて有用である。
また、本発明では、現像後の基板を高温で加熱しなくても、金属微粒子を基板に高い密着性で付着させることができる。そのため、基板がプラスチックフィルムであっても、高い密着性でめっき層を形成できるので、パターン(例えば、配線パターン)を軽量化でき、しかも、パターンに可撓性(折り曲げ性)を付与できる。このようなプラスチックフィルムに形成されためっきパターン(配線パターン)は、表示装置(例えば、フラットパネルディスプレイなどの液晶ディスプレイ)などに好適に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ウルツ(Wurtz)カップリング反応(R.D.Miller and J.Michi, Chem.Rev., 89,1359(1989)に記載の方法)により合成したポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)1.0gと、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート(AAEM)1.0gとを無水トルエン7mlに溶解し、アンプル管に入れて凍結真空脱気を十分に行った後に、高圧水銀ランプ(ウシオ電機(株)製、「UM−4536−A1」)を用いて、紫外線を照射エネルギー10mW/cm2で20分間照射した。そして、ヘキサンにて再沈殿、ろ過・減圧乾燥を行い、下記式で表されるPMPSとAAEMのブロック共重合体[以下、P(MPS−co−AAEM)という。数平均分子量Mn=1.7x104、分子量分布Mw/Mn=1.8、メチルフェニルシランのブロック数(又はユニット数)=121、AAEMのブロック数(又はユニット数)=151、紫外領域の最大吸収波長λmax=338.4nm]1.65gを得た。
そして、P(MPS−co−AAEM)50mgを含むテトラヒドロフラン(THF)溶液3mlとシリカ微粒子を含むTHF溶液[コロイダルシリカのトルエン溶液(扶桑化学工業(株)製、「PL−1−Tol」、平均粒径12nm)0.1mlをTHF10mlにて希釈して作製した溶液]1mlと、酢酸パラジウム(Pd(CH3CO22)5mgを含むTHF溶液1mlとを混合して10分間攪拌し、P(MPS−co−AAEM)と酢酸パラジウムとシリカ微粒子とを含む組成物を得た。なお、液の色は橙色から黒色に変色した。得られた黒色の沈殿物を銅メッシュに塗布し、塗布面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、直径数十nmのパラジウム微粒子とシリカ微粒子とを含む組成物が得られたことを確認した。図1は、この組成物(黒色の沈殿物)を塗布した銅メッシュの透過型電子顕微鏡写真である。
得られた組成物を、2000回転(1分間あたりの回転数、以下同じ)および20秒の条件でガラス基板にスピンコートして、P(MPS−co−AAEM)とPd(CH3CO22とシリカ微粒子とを含む組成物の薄膜を形成した。得られた薄膜に、250μmのL&S(ラインアンドスペース)を有するクロムマスクを介して、deepUVランプ(ウシオ(株)製)を用いて、照射エネルギー100mW/cm2で30秒間照射した。その後、2−プロパノールで現像し、乾燥および300℃(40℃から300℃まで50℃/分で昇温)で加熱することにより、光照射した部分のみが硬化したパラジウム微粒子とシリカ微粒子とを含む組成物のネガ型パターンを得た。続いて、ビルドカッパー(奥野製薬(株)製)を用いて銅の無電解めっきを行ったところ、図2に示すように、上記ネガ型パターン上に250μmのL&Sの銅パターン(又は銅配線パターン)が形成された。なお、銅の無電解めっきでは、40℃のめっき液に薄膜を形成した基板を1.5分間浸漬した後に純水および2−プロパノールで洗浄して乾燥を行った。
(実施例2)
ウルツカップリング反応により合成したポリ(シクロヘキシルメチルシラン)(PCHMS)0.5gとAAEM0.5gとを無水トルエン7mlに溶解し、実施例1と同様の方法で光重合を行い、PCHMSとAAEMとのブロック共重合体[以下、P(CHMS−co−AAEM)という。数平均分子量Mn=1.6x104、分子量分布Mw/Mn=2.0、シクロヘキシルメチルシランのブロック数(又はユニット数)=119、AAEMのブロック数(又はユニット数)=63、紫外領域の最大吸収波長λmax=321.0nm]0.43gを得た。
そして、P(CHMS−co−AAEM)50mgを含むTHF溶液3mlと、シリカ微粒子を含むTHF溶液[コロイダルシリカのトルエン溶液(扶桑化学工業(株)製、「PL−2L−Tol」、平均粒径20nm)0.1mlをTHF10mlにて希釈して作製した溶液]1mlと、酢酸パラジウム(Pd(CH3CO22)5mgを含むTHF溶液1mlとを混合して10分間攪拌し、P(CHMS−co−AAEM)と酢酸パラジウムとシリカ微粒子とを含む組成物を得た。なお、液の色は橙色から変化しなかった。
得られた組成物を、2000回転および20秒の条件でガラス基板にスピンコートして、P(CHMS−co−AAEM)とPd(CH3CO22とシリカ微粒子とを含む組成物の薄膜を形成した。そして、実施例1と同様にして、ネガ型パターンを得、無電解めっきを施すことにより250μmのL&Sの銅配線パターンが形成された。なお、前記組成物を、24時間放置した後に、同様の実験を行ったところ、同様にネガ型パターンおよび銅パターンが形成された。
(実施例3)
ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS、大阪ガスケミカル(株)製、商品名「オグソールSI−1010」)をトルエンに溶解し、2−プロパノールにて再沈殿精製を行って精製PMPSを得た。この精製PMPS1.0gと、AAEM1.0gとを無水トルエン7mlに溶解し、実施例1と同様の方法で光重合を行い、P(MPS−co−AAEM)「数平均分子量Mn=1.1x104、分子量分布Mw/Mn=1.4、メチルフェニルシランのブロック数(又はユニット数)=71、AAEMのブロック数(又はユニット数)=29、紫外領域の最大吸収波長λmax=332.4nm]1.18gを得た。
そして、P(MPS−co−AAEM)50mgを含むTHF溶液3mlと、シリカ微粒子を含むTHF溶液[コロイダルシリカのトルエン溶液(扶桑化学工業(株)製、「PL−3−Tol」、平均粒径30nm)0.1mlをTHF10mlにて希釈して作製した溶液]1mlと、酢酸パラジウム(Pd(CH3CO22)5mgを含むTHF溶液1mlとを混合して10分間攪拌し、P(MPS−co−AAEM)と酢酸パラジウムとシリカ微粒子とを含む組成物を得た。
得られた組成物を、2000回転および20秒の条件でガラス基板にスピンコートして、P(MPS−co−AAEM)とPd(CH3CO22とシリカ微粒子とを含む組成物の薄膜を形成した。そして、500μmのL&Sを有するクロムマスクを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ネガ型パターンを得、無電解めっきを施すことにより500μmのL&Sの銅パターンが形成された。
(実施例4)
実施例2で得られたP(CHMS−co−AAEM)50mgを含むTHF溶液3mlと、シリカ微粒子を含むTHF溶液[コロイダルシリカのトルエン溶液(扶桑化学工業(株)製、「PL−2L−Tol」、平均粒径20nm)0.1mlをTHF10mlにて希釈して作製した溶液]1mlと、ビスアセチルアセトナトパラジウム(II)(Pd(CH3COCHCOCH32)5mgを含むTHF溶液1mlと、酢酸およびTHFの混合溶液(酢酸/THF(重量比)=10/1)とを混合して10分間攪拌し、P(CHMS−co−AAEM)とジアセチルアセトナトパラジウム(II)とシリカ微粒子とを含む組成物を得た。なお、液の色は黄色から変色しなかった。
得られた組成物を、2000回転および20秒の条件でガラス基板にスピンコートして、P(CHMS−co−AAEM)とPd(CH3COCHCOCH32とシリカ微粒子とを含む組成物の薄膜を形成した。そして、1mmのL&Sを有するクロムマスクを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ネガ型パターンを得、無電解めっきを施すことにより1mmのL&Sの銅配線パターンが形成された。
(実施例5)
実施例2で得られた組成物を、2000回転および20秒の条件でポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)にスピンコートして、P(CHMS−co−AAEM)とPd(CH3CO22とシリカ微粒子とを含む組成物の薄膜を形成した。そして、得られた薄膜の一部をアルミ箔で覆い、deepUVランプ(ウシオ(株)製、波長172nm)を用いて、光照射した。その後、2−プロパノールで現像し、乾燥および150℃で加熱することにより、光照射した部分のみが硬化したパラジウム微粒子とシリカ微粒子とを含む組成物がコーティングされたPETフィルムを得た。続いて、このPETフィルムに、ビルドカッパー(奥野製薬(株)製)を用いて、銅の無電解めっきを行ったところ、銅薄膜が形成された。なお、銅の無電解めっきでは、40℃のめっき液に薄膜を形成した基板を1.5分間浸漬した後に純水および2−プロパノールで洗浄して乾燥を行った。
(比較例1)
実施例1において、シリカ微粒子を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型パターンおよび銅配線パターンを形成した。しかし、無電解めっきで生じた銅配線パターンがガラス基板から剥がれた。
(比較例2)
実施例2において、シリカ微粒子を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にしてネガ型パターンおよび銅配線パターンを形成した。しかし、無電解めっきで生じた銅配線パターンがガラス基板から剥がれた。
(比較例3)
実施例3において、シリカ微粒子を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にしてネガ型パターンおよび銅配線パターンを形成した。しかし、無電解めっきで生じた銅配線パターンがガラス基板から剥がれた。
(比較例4)
実施例4において、シリカ微粒子を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にしてネガ型パターンおよび銅配線パターンを形成した。しかし、無電解めっきで生じた銅配線パターンがガラス基板から剥がれた。
(比較例5)
実施例5において、シリカ微粒子を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして薄膜および銅薄膜を形成した。しかし、無電解めっきで生じた銅薄膜がPETフィルムから剥がれた。
図1は、実施例1で得られた組成物を塗布した銅メッシュの透過型電子顕微鏡写真である。 図2は、実施例1で得られた銅配線パターンの写真である。

Claims (14)

  1. ポリシラン化合物と、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物と、無機微粒子とで構成された組成物。
  2. ポリシラン化合物が、ポリシランと、金属化合物及び/又は金属微粒子に対する親和性を有するユニットを含むビニル単量体との共重合体であって、前記ビニル単量体が、アミド基、アミノ基、窒素環基、アシル基、アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、チオ基及びスルホン酸基から選択された少なくとも1種の基を有するビニル単量体である請求項1記載の組成物。
  3. ビニル単量体が、金属化合物を構成する金属に配位可能な基を有するビニル単量体である請求項1記載の組成物。
  4. 金属化合物が、貴金属化合物である請求項1記載の組成物。
  5. 無機微粒子が、平均粒子径0.5nm〜10μmを有する無機酸化物微粒子である請求項1記載の組成物。
  6. 無機微粒子が、疎水性基を有するシリカである請求項1記載の組成物。
  7. ポリシラン化合物がポリシランとアシルアセチル基を有するビニル単量体との共重合体であり、金属化合物がパラジウム化合物であり、無機微粒子が疎水性基を有する平均粒子径5〜100nmのシリカである請求項1記載の組成物。
  8. 金属化合物の割合が、ポリシラン化合物100重量部に対して、2〜200重量部である請求項1記載の組成物。
  9. 無機微粒子の割合が、金属化合物100重量部に対して、5〜150重量部である請求項1記載の組成物。
  10. 請求項1記載の組成物に、活性エネルギー線を作用させることによりポリシラン化合物を分解させて、金属微粒子および無機微粒子を含む組成物を製造する方法。
  11. 基板に、請求項1記載の組成物を塗布し、露光して金属微粒子を生成させたのち、現像し、金属微粒子および無機微粒子を含むパターンを形成する請求項10記載の方法。
  12. 現像したのち、無電解めっき処理することによりめっきパターンを形成する請求項11記載の方法。
  13. 金属微粒子が金属ナノ粒子である請求項10記載の方法。
  14. 請求項11又は12記載の方法により得られるパターン。
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