JP5857386B2 - 無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物 - Google Patents

無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物、及び該組成物を用いる無電解めっき方法に関する。
プラスチックフィルム上の電子回路パターン形成は、フレキシブル配線板作製におけるキープロセスであり、めっき法によって金属パターンを形成する方法は、電子回路パターンを低コストで作製する方法として広く採用されている。特に、無電解銅めっきは,誘電体にも適応可能あり、また銅は電気抵抗およびマイグレーションが小さく配線材料に適している。
しかしながら、一般的に、プラスチック表面は、金属との化学結合が期待できないため、通常の方法では、密着性の高いめっき皮膜の形成が困難である。このため、従来は、酸やアルカリ等による基材表面の粗面化、触媒付与とその活性化等の過程を経た後めっきが行われており、多くの薬剤と多段階を要する基材表面の前処理が必要とされている。
例えば、ポリイミド等のプラスチックフィルム上に電子回路パターン形成する場合には、セミアディティブ法では、1) 無電解めっき等によるシード層(金属薄膜)の形成、2) 光リソグラフィーによりレジスト薄膜からポリマーパターンの作製、3) パターン間のめっき、4) ポリマーパターンのリフトオフ、5) 下地のシード層の除去,等の複雑なプロセスを経て銅のマイクロパターンが形成されている。
しかしながら、近年の電子機器の高密度化・小型化に伴いプリント銅配線にはさらに微細な配線が求められており、また信号の伝送損失を少なくするには絶縁性基板の低誘電率化の他に導体である銅配線の表面平滑化が必要である。従来の銅配線では銅/基板界面間での密着を確保するために樹脂表面を凹凸化しており、微細化、高周波化に対応することは困難である。
このため、上記した目的に加えて、更に、プロセスの簡略化,パターンの解像度向上のため、いくつかの新しい試みがなされている。例えば、パラジウムイオンを吸着可能なポリマーのパターンを、光リソグラフィーにより作製し、それに直接無電解めっきを施すことで,回路パターン形成することが報告されている(下記非特許文献1、2参照)。また、ウレタン結合又はウレア結合をもつ特殊なモノマーを共重合成分として含むポリマーを予め合成し、それをフィルムにコーティングし、光リソグラフィーによりパターンを形成させ、パラジウムイオンを吸着させた後、めっきを行う方法も報告されている(特許文献1参照)。更に、シアノ基やアセトアセトキシ基をもつ特殊なモノマーを用いて、パターンを形成した後、めっき行う方法も報告されている。更に、ピロール及び/ 又はピロール誘導体から合成したポリマーをフィルムにコーティングし、パラジウムイオンを吸着させた後、光照射を行い、その後めっきを行う方法も報告されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法では、特殊なポリマーの合成が必要であり、パラジウムイオンの吸着などを必要とするプロセスも複雑であり、またプラスチックフィルム基板とめっき皮膜との密着性も満足のいくものではない。
特開2009−161857号公報 特開2010−77322号公報 特開2007−270179号公報
Chemistry of Materials, Vol. 20, pp. 6583-6585, 2008 ACS Applied Materials and Interface, Vol. 2, pp. 3714-3717, 2010
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、平滑なプラスチックフィルムの表面であっても、簡便な方法で高い密着性を有する金属薄膜を形成することが可能な、無電解めっきの前処理に有用な組成物、及び該組成物を用いる無電解めっき方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、多官能性アクリル化合物、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液を含有する組成物によれば、該組成物を所定のパターンでプラスチックフィル等の基材に塗布した後、熱処理を行うことによって、多官能性アクリル化合物の重合反応が進行してネットワークポリマーが形成されて、各種の基材、特に、プラスチックフィルに対して高い密着性を有するポリマー皮膜が形成されることを見出した。そして、該組成物中には、重合性官能基であるアクリル基を含むシランカップリング剤によって表面修飾されたシリカ微粒子が存在するため、多官能性アクリル化合物から形成されるネットワークポリマー中にシリカが内包されて、高い機械的強度と耐薬品性を持つポリマー皮膜となり、更に、アクリル化合物の重合反応と同時に、金属化合物の還元により金属微粒子の生成反応が進行して、無電解めっき皮膜の形成反応に対して良好な触媒活性を有する皮膜となることを見出した。しかも、形成されるポリマー皮膜の表面には、シリカに由来する微小な凹凸が存在するため、無電解めっきによって形成される金属薄膜が高い密着性を有するものとなることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は、下記の無電解めっき用前処理皮膜形成用組成物、及び該組成物を用いる無電解めっき方法を提供するものである。
項1. 多官能性アクリル化合物を含むモノマー成分、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液、を含有することを特徴とする無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
項2. モノマー成分が、更に、脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートを含むものである、上記項1に記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
項3. 多官能性アクリル化合物が、分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である上記項1又は2に記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
項4. 還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物が、周期表第8〜11族の金属を含む化合物である、上記項1〜3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
項5. 上記項1〜4のいずれかに記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を基材に塗布し、アゾ系ラジカル重合開始剤を分解してラジカルを発生させることを特徴とする、無電解めっきの前処理皮膜の形成方法。
項6. アゾ系ラジカル重合開始剤を分解してラジカルを発生させる方法が、加熱処理を行う方法である、上記項5に記載の無電解めっきの前処理皮膜の形成方法。
項7. 上記項5又は6の方法で無電解めっきの前処理皮膜を形成した後、無電解めっき浴に浸漬することを特徴とする、無電解めっき方法。
本発明の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物は、多官能性アクリル化合物を含むモノマー成分、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液、を含有するものである。以下、本発明の無電解めっき用前処理皮膜形成用組成物について具体的に説明する。
モノマー成分
本発明では、ポリマー皮膜を形成するためのモノマー成分として、多官能性アクリル化合物を用いる。
多官能性アクリル化合物を用いることによって、ポリマー皮膜が形成される際に、ネットワーク構造が構築されて、下地として用いるプラスチックフィル等の各種基板に対して高い密着性を有する皮膜となる。
本発明では、多官能性アクリル化合物としては、分子内に3-6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる。この様な化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示できる。これらの化合物は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。
尚、本願明細書では、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基またはメタクリロイル基」を意味する。
本発明では、モノマー成分として、上記した多官能性アクリル化合物に加えて、必要に応じて、脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートを用いることができる。脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートを用いることによって、ポリマー皮膜の収縮を低減させ、その結果として基板に対する密着性を向上させることができる。
脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、1 , 3 − プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1 , 4 − ブタンジオールジ(メタ) アクリレート、1 , 6 − ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1 , 9 − ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1 , 1 0 − デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3 − メチル− 1 ,5 − ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2 − ブチル− 2 − エチル− 1 , 3 − プロパンジオールジ( メタ) アクリレート、2 − メチル− 1 , 8 − オクタンジオールジ( メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ( メタ) アクリレート等が挙げられる。これらは、1 種単独または2 種以上を混合して用いることができる。
脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートの使用量については、多官能性アクリル化合物と脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートの合計量を基準(100重量%)として、10重量%程度以下とすればよい。
アゾ系ラジカル重合開始剤
本発明の組成物では、重合開始剤として、アゾ系ラジカル重合開始剤を用いる。アゾ系ラジカル重合開始剤を用いることによって、後述する金属化合物から金属微粒子を形成する反応を阻害することなく、上記したモノマー成分の重合反応を開始させることができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤として公知のアゾ化合物を用いることができ、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などを例示できる。
アゾ系ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定的ではないが、多官能性アクリル化合物と脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートの合計量100質量部に対して、5〜40質量部程度とすればよく、9〜20質量部程度とすることが好ましい。
金属化合物
本発明の組成物には、更に、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物を配合することが必要である。
金属化合物としては、自己触媒型無電解めっき浴のめっき析出反応に対して触媒活性を有する金属成分を含む化合物を用いる。この様な金属成分としては、周期表第8〜11族の金属、即ち、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金などを例示できる。特に、良好な触媒活性を有する点で、金属成分としては、パラジウム、銀、金、白金、ロジウムなどの貴金属が好ましい。
金属化合物の種類については、還元により金属微粒子を生成可能であるという点から、金属原子の酸化数が正である化合物を用いることができる。この様な化合物の具体例としては、上記した金属成分を含む金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物( 金属塩化物など)、金属酸塩[ 金属無機酸塩( 硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、塩酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩( 酢酸塩、酪酸塩、シクロヘキサン酪酸、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩などの脂肪族又は芳香族カルボン酸塩; 乳酸塩などのヒドロキシアルカンカルボン酸塩; トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩など)など]、金属錯体( 又は錯塩) [ 例えば、アンミン錯体、エチレンジアミン錯体、エチレンジアミンテトラアセタト錯体、ジエチレントリアミン錯体、アセチルアセトナト錯体、ジチオカルバマト錯体、ジチオオキサラト錯体、ジチオエステル錯体、エチレン− 1 , 2 − ジチオラト錯体、チオシアナト錯体などのヘテロ原子( 窒素原子、酸素原子、硫黄原子など)を有する配位子が配位した錯体] などが例示できる。金属塩の形態は、単塩、複塩、又は錯塩( 又は錯体) であってもよく、多量体( 例えば、2量体) などであってもよい。また、金属錯体において、配位子は単座配位子であってもよく、多座配位子であってもよい。また、金属化合物( 金属塩) は、例えば、酸成分[ 塩化水素(HCl)など] 、塩基成分( アンモニアなど)、水( H2O)などを含有する化合物(例えば、含ハロゲン化水素化合物、含水物、水和物など)であってもよい。
周期表第8〜11族の金属を含む金属化合物としては、無機酸塩として、硝酸銀( AgNO3) などの貴金属硝酸塩などの貴金属無機酸塩を例示でき、有機酸塩として、酢酸パラジウム(Pd(CHCOなど)、酢酸ロジウム([Rh(CH3CO222など)などの貴金属酢酸塩などの貴金属有機酸塩などを例示でき、金属ハロゲン化物として、塩化金(AuCl3)、塩化白金(PtCl2、PtClなど)、塩化パラジウム(PdClなど)などの貴金属塩化物などを例示でき、金属錯体として、アセチルアセトナト錯体( 又は2,4−ペンタンジオナト錯体)、ジチオカルマバト錯体(N,N−ジアルキルジチオカルバマト酸イオンが配位した錯体)などを例示でき、酸成分を含有する金属ハロゲン化物として、塩化金酸(HAuClなど)、塩化白金酸(HPtClなど)などの塩化貴金属酸などの塩化水素含有貴金属ハロゲン化物、これらの水和物などを例示できる。特に、有機酸塩( 酢酸塩など)、キレート錯体(アセチルアセトナト錯体など)は、プロピレングリコール 1-モノメチルエーテル 2-アセテート(PGMEA)などの溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
以下に、周期表第11族金属のうち、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウムについて、代表的な金属化合物を例示する。
金化合物としては、金ハロゲン化物(AuCl、AuCl、AuBr、AuI、AuIなど)、ハロゲン化金酸又はその塩(HAuCl、HAuCl・4HO、NaAuCl・4 HO、KAuCl・4HO などの塩化金酸又はその塩)、水酸化金(AuOH)、シアン化金(AuCN)、酸化金(Auなど)、硫化金(AuS、Au(III) など) などの無機塩が挙げられる。HAuCl・4HOは、PGMEAなどの極性有機溶媒に可溶であり、好適に使用できる。
銀化合物としては、無機塩[例えば、AgF、AgCl、AgI、AgBrなどの銀ハロゲン化物、Ag2O などの酸化銀、Ag2SO4、AgS、AgCN、AgClO4、Ag3PO4、AgSCN、AgNO3 、Ag2SO3、Ag2CO3、Ag2CrO4 、Ag2Se、AgReO4、AgBF4、AgW 41 6、Ag3AsO4、AgSbF6 、AgPF6、AgHF、AgIO3 、AgBrO3 、AgOCN、AgMnO4 、AgVO などの無機酸塩など]、有機塩(又は錯体)[例えば、安息香酸銀(CCOAg)、シクロヘキサン酪酸銀(C11(CHCOAg)、乳酸銀(CHCH(OH)COAg)、トリフルオロ酢酸銀(CFCOAg)、CCOAg、CCOAg、AgOCCHC(OH)(COAg)CHC OAgなどのカルボン酸塩、p−トルエンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀(CFSOAg)などのスルホン酸塩、銀アセチルアセトナト(CHCOCHCOCHAg)、(CHCOCH=C(O−)CH)Ag、N,N−ジエチルジチオカルバミド銀((CNCSAg) など] などが挙げられる。なお、硝酸銀(AgNO) は、安価で入手でき、好適に用いることができる。
銅化合物としては、無機塩[例えば、CuO、CuO、Cu(OH)、CuF、CuCl、CuCl、CuBr、CuBr、CuIなどの銅ハロゲン化物、CuCO、CuCN、Cu( NO、Cu(ClO、Cu、CuSe、CuSe、CuSeO、CuSO、CuS、CuS、Cu(BF、CuHgI、CuSCN、(CFCOCu、(CFSOCu、CuWO、Cu(OH)POなどの無機酸塩など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、[C11(CHCOCu、[CH(CHCH(C)COCu、(HCOCu、[HOCH[CH(OH)]COCuなどのカルボン酸塩、(CHCOCH=C(O−)CH)Cu、CH(CHSCu、(CHO)Cuなど] などが挙げられる。なお、酢酸銅は、PGMEA などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
白金化合物としては、無機塩[例えば、PtO、PtCl、PtCl、PtBr、PtBr、PtI、PtIなどの白金ハロゲン化物、HPtCl・2HOなどのハロゲン化白金酸(塩化白金酸など)、PtS、Pt(CN)など]、有機塩(又は錯体)[例えば、(CHCOCH=C(O−)CH)Pt、(CCN)PtClなど] などが挙げられる。なお、HPtCl・2HOは、PGMEAなどの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
パラジウム化合物としては、無機塩[例えば、PdO、PdCl、PdBr、PdIなどのハロゲン化パラジウム、PdCN、Pd(NO、PdS、PdSO、KPd(S・HO、塩化パラジウム酸など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸パラジウム(Pd(CHCO)、プロピオン酸パラジウム(II)、(CFCOPdなどのカルボン酸塩、パラジウムアセチルアセトナト((CHCOCHCOCHPd)、(CHCOCH=C(O−)CH)Pd、(CCN)PdClなど] などが例示できる。なお、Pd(CHCO は、PGMEA などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
ロジウム化合物としては、無機塩[例えば、Rh、RhO、RhCl、RhBr、RhIなどのロジウムハロゲン化物、RhPO 、RhSO、これらの水和物(塩化ロジウム三水和物など)など]、有機塩(又は錯体)[例えば、酢酸ロジウム(Rh(CHCO)、(CFCORh、{[CH(CHCORh}、[(CFCFCFCORh]、{[(CHCCORh}などのカルボン酸塩、ロジウムアセチルアセトナト((CHCOCHCOCHRh)、(CHCOCH=C(O−)CH)Rhなど] などが挙げられる。なお、Rh(CHCO は、PGMEA などの極性有機溶媒に可溶であり、好適に用いることができる。
尚、本発明の組成物を後述する方法に従って溶媒に溶解してコーティング組成物として用いる場合に、使用する溶媒に対して溶解性が低い金属化合物については、更に、錯化剤を添加して、金属錯体又は錯塩として、溶解性を向上させることが好ましい。この場合、錯化剤の種類については特に限定はなく、使用する金属化合物の種類に応じて、錯化剤として作用することが知られている化合物から適宜選択すればよい。
還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物の配合量は、特に限定的ではないが、多官能性アクリル化合物と脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートの合計量100質量部に対して、10〜40質量部程度とすればよく、15〜30質量部程度とすることが好ましい。
アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液
本発明の組成物には、更に、アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液を配合することが必要である。該分散液に含まれるシリカ微粒子は、重合性官能基であるアクリル基を含むシランカップリング剤によって表面改質されていることによって、前述した多官能性アクリル化合物の重合反応によってポリマー皮膜が形成される際に、シリカ粒子を内包するポリマーネットワークが形成され、高い機械的強度と耐薬品性に優れた皮膜が得られる。しかも、このラジカルによるアクリルモノマーの重合は、数十分で徐々に進行するため、極めて架橋密度の高いネットワークが形成される。更に、形成される皮膜の表面には、シリカ微粒子に由来する微細な凹凸が存在するため、この皮膜上に形成される無電解めっき皮膜に対して高い密着性を有するものとなる。
アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液は、例えば、(1)アルコキシシランを原料由来とするシリカゾルを得る第一工程、(2)第一工程で得られたシリカゾルをシランカップリング剤で処理した後、水分を親水性有機溶媒で置換して高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルを得る第二工程、(3)第二工程で得られたシリカゾルの分散媒である親水性有機溶媒を、沸点が100℃以上の両親媒性有機溶媒で置換する第三工程、(4)第三工程で得られたシリカゾルを酸性下、アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾する第四工程、(5)第四工程で得られたシリカゾルの分散媒を疎水性有機溶媒で置換する第五工程を含む方法によって製造することができる。以下、これらの各工程について具体的に説明する。
(1)第一工程
まず、アルコキシシラン類を出発原料とするゾルゲル法によってシリカゾル溶液を作製する。
第一工程で用いられるアルコキシシラン類は、特に限定はされないが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどを例示することができる。これらを単独で用いても良く、また、二種以上を混合して使用することもできる。
ゾル-ゲル法とは、金属の有機化合物溶液を出発原料として、溶液中の化合物の加水分解・重縮合によって溶液を金属の酸化物あるいは、水酸化物の微粒子が溶解したゾルとし、更に反応を進ませてゲル化してできた非晶質ゲルとする方法であり、本発明においては、前記アルコキシシラン類をアルコール水溶液中で加水分解してシリカゾル溶液を得る。
アルコール水溶液中のアルコールは、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが用いられ、好ましくは加水分解で副生するものと同一のアルコールを使用する。また、これらを単独で用いても良く、また、二種以上を混合して使用することもできる。
シリカゾル溶液を得るための加水分解の条件としては、特に限定されないが、反応液全量に対する水濃度が3〜12mol/L、アンモニア濃度が0.1〜2.5mol/L、アルコキシシラン類濃度が0.3〜1.5mol/Lとなるように溶液を調製し、0℃以上、溶媒の沸点以下の温度で反応を行えばよい。
次に、上記で得たシリカゾル溶液を、必要に応じて濃縮することができる。通常、濃縮液の濃度は、シリカゾル液の安定性を考慮すると、50重量%程度以下とすればよい。濃縮する方法としては、例えば、常圧下又は減圧下で加熱濃縮を行えばよい。
(2)第二工程
第二工程では、まず、第一工程で得られたシリカゾル溶液にシランカップリング剤を添加して疎水化処理を行い、次いで、アンモニア除去等の処理を行うことによってpHを調節する。
この時、使用されるシランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラン,トリメチルメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,トリメチルエトキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,ベンジルトリエトキシシラン,プロピルトリメトキシシラン,プロピルトリエトキシシラン,ジエトキシメチルフェニルシラン,アリルトリエトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,アミノプロピルトリエトキシシラン,アミノプロピルトリメトキシシラン等の分子中に一種又は二種以上の置換アルキル基、フェニル基、ビニル基等を有するアルコキシシラン類;トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等のクロロシラン類などが挙げられ、好ましくは、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシランを使用する。
シランカップリング剤の添加量としては、ゾル中のシリカ重量100質量部に対して0.1〜20質量部程度、好ましくは1.0〜2.5質量部程度とすればよい。0.1質量部より少ないと凝集沈降物が発生するので好ましくなく、20質量部より多く添加すると製造する高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルのコストが高くなりすぎるため好ましくない。
上記の量のシランカップリング剤を添加し、攪拌混合、全還流することによって、表面改質して疎水化処理を行うことができる。
上記した方法で疎水化処理を行った後、ゾル溶液のpHが中性付近になるよう調整する。pH調整方法としては特に限定されないが、例えば、常圧下で加熱蒸留を行い、留出液をイオン交換塔に通してアンモニアを除去した後、ゾル溶液中に戻す操作を、ゾル溶液のpHが中性付近、例えばpH6〜8になるまで行う方法が挙げられる。
pHを調整する理由は、ゾル溶液を中性にすることで未反応物を削減し、親水性有機溶媒に長期間安定に分散させるためである。
次いで、上記方法で得られたゾル溶液について、親水性有機溶媒でゾル中の水分を置換して、高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルとする。親水性有機溶媒で置換を行う目的は、親水性有機溶媒での置換によりシリカゾル溶液が安定に分散し、且つ金属不純物の少ない高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルを得ることができるからである。使用する親水性有機溶媒としては特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられ、好ましくはアルコキシシランの加水分解で副生するものと同一のアルコールを使用する。このようなアルコールは、溶媒を回収、再利用する上で工業的に有利である。
親水性有機溶媒での置換を行うには、例えば、常圧下で、溶媒置換を行えばよく、好ましくはゾル溶液の水分が5.0重量%以下となるまで置換を行う。ゾル溶液の水分を5.0重量%以下とする理由は、水分が多すぎると樹脂等の有機物への馴染み、分散性が悪いためである。
(4)第三工程
次に、第三工程として、第二工程で得られた高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルの分散媒である親水性有機溶媒を、沸点100℃以上の両親媒性有機溶媒で置換する。
沸点が100℃以上の両親媒性有機溶媒としては、n-ブタノール、s-ブタノール、n-ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数4以上の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の二価アルコール;グリセリン等の多価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを例示することができる。本発明では、特に、沸点が100〜200℃の両親媒性有機溶媒が好ましく、沸点が100〜150℃の両親媒性有機溶媒がより好ましい。
高純度親水性有機溶媒分散シリカゾルの親水性有機溶媒を、沸点が100℃以上の両親媒性有機溶媒で置換する方法は、特に限定されないが、例えば、親水性有機溶媒分散シリカゾルを、親水性有機溶媒の沸点程度の温度に加熱しながら両親媒性有機溶媒を一定量ずつ滴下しつつ蒸留する方法を例示することができる。この際、置換操作は液温及び塔頂温が置換する溶媒の沸点に達するまで行うことが好ましい。
また、沈殿・分離、遠心分離等により親水性有機溶媒分散シリカゾルからシリカ微粒子を分離した後、沸点が100℃以上の両親媒性有機溶媒に再分散させる方法によっても、両親媒性有機溶媒で置換することができる。
(4)第四工程
次いで、第四工程として、第三工程で得られた両親媒性有機溶媒分散シリカゾルに含まれるシラン微粒子をアクリル基を含有するシランカップリング剤で表面修飾する。
第三工程で得られたシリカゾルをアクリル基を含有するシランカップリング剤で表面修飾するには、第三工程で得られたシリカゾルに酸を添加して酸性に調整した後、アクリル基を含有するシランカップリング剤を加えて加熱還流を行うか又は両親媒性有機溶媒の沸点以下の温度、好ましくは100〜200℃程度に加熱すればよい。
この方法では、酸又は塩基を添加することで、アクリル基含有シランカップリング剤による表面改質処理を確実且つ速やかに行うことができる。ただし、塩基性下で処理すると粘度が上昇し、且つシリカ固形分濃度を20重量%以上に上げると不安定になるために、酸を使用することが望ましい。
酸は特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸等の有機酸や、硫酸、塩酸などの無機酸、強酸性イオン交換樹脂等を例示することができる。酸の添加量は特に限定されないが、好ましくはシリカゾル100質量部に対して1〜30質量部程度が望ましい。またpH領域は特に限定されないが、pH4以下に調整することが望ましい。本発明では酢酸を用いることが工業的に好ましい。
アクリル基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。
また、アクリル基含有シランカップリング剤に加えて、アクリル基を含まないシランカップリング剤を用いても良い。この様なシランカップリング剤としては、式:RaSiXb(式中、Rはアルキル基、フルオロ基等の疎水基であり、Xはハロゲン、アルコキシル基等の官能基であり、aは1〜3の整数であり、bは3〜1の整数である。)で表される化合物を用いることができる。この様なシランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等の分子中に一種又は二種以上の置換アルキル基、フェニル基、ビニル基、フルオロ基等を有するアルコキシシラン類;トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等のクロロシラン類などが挙げられる。併用するシランカップリング剤は最終的に分散させようとする疎水性溶媒との分散性を考慮して任意に選ぶことができる。本発明では、アクリル基含有シランカップリング剤と共に、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を併用することが好ましい。
シリカゾルを上記したシランカップリング剤で表面修飾することにより、親水性であったシリカゾルを疎水性有機溶媒中で安定に分散させることができる。
シランカップリング剤は、下記式により算出された量に相当する量を溶媒の疎水性度に応じて添加すればよい。
(シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)×シランカップリング剤添加量(g))÷(シリカ粒子の比表面積(m2/g))×シリカ重量(g))=0.1〜2.0
上記式により算出される値が0.1より少ないと凝集沈降物が発生し、2.0より多くなる量を添加すると製造するシリカゾルのコストが高くなりすぎるため好ましくない。
第四工程で用いるシランカップリング剤には、使用するシランカップリング剤の総量を100重量%として、アクリル基含有シランカップリング剤が10〜100重量%含まれていることが必要である。
また、分散安定性を向上させるために、界面活性剤を使用することもできる。界面活性剤としてはアルキル第四級アンモニウム塩類のカチオン性界面活性剤が好適に使用できる。カチオン性界面活性剤を使用する理由は、アニオン性界面活性剤では対イオンにナトリウム等の金属イオンが使用されているため金属不純物が混入する問題があり、非イオン性界面活性剤は分散安定性の効果が小さいためである。界面活性剤を使用する場合はシリカ重量に対して50〜150ppm添加することができる。
(5)第五工程
次いで、上記した方法で表面改質された両親媒性有機溶媒分散シリカゾルの両親媒性有機溶媒を疎水性有機溶媒により置換する。使用する疎水性有機溶媒は、特に限定はないが、例えば、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、それらのハロゲン化物、エーテル類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類等などが挙げられる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの飽和脂肪族炭化水素類;ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどの不飽和脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類;メチレンクロライド、クロロホルム、エチレンクロライド、クロロベンゼンなどのハロゲン化物;ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、ヘキサメチレンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類:ナフサ、白灯油などの石油留分類などを例示することができる。
疎水性有機溶媒で置換する方法としては、例えば、塔頂温が、置換する有機溶媒の沸点に達し、且つ水分含有量が5.0重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%になるまで蒸留する方法を例示できる。ゾル溶液の水分を5.0重量%以下とする理由は、水分が多すぎると樹脂等の有機物への馴染み、分散性が悪いためである。
このような方法によって得られるアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液では、シリカ粒子表面に存在するシラノール基がシランカップリング剤で表面改質されていることは、Si-NMRによって確認することができる。すなわち、Si-NMRのQ2(約92ppm)ピーク強度(Siのシラノール基数が2つ、シロキサン結合数が2つに相当する)、Q3(約101ppm)ピーク強度(Siのシラノール基数が1つ、シロキサン結合数が3つに相当する)、及びQ4(約111ppm)ピーク強度(Siのシロキサン結合数が4つに相当する)によって確認することができる。シリカ粒子表面に存在するシラノール基が表面改質剤で表面改質されている疎水性シリカ粒子は、表面改質されていない親水性シリカ粒子に比べて、Q2ピーク強度比及びQ3ピーク強度比が減少し、Q4ピーク強度比が増大している。
より具体的には、表面改質されていない親水性シリカ粒子では、Q3ピーク強度に対するQ4ピーク強度の比が0.6〜0.85程度である。これに対して、親水性シリカ粒子表面のシラノール基を、シランカップリング剤で表面改質した疎水性シリカ粒子では、通常、Q3 ピーク強度に対するQ4ピーク強度の比が0.9以上、好ましくは0.9〜1.8となる。
上記した方法で得られるアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液において、シリカ微粒子(固形分)の濃度は、例えば、10重量%以上(例えば、15〜80重量%)、好ましくは20重量%以上(例えば、30〜60重量%)、より好ましくは40重量%以上(例えば、40〜50重量%程度)である。なお、シリカ濃度は、溶媒を添加又は除去することにより適宜調整してもよい。
また、シリカ微粒子を含む分散液において、金属不純物(例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属)の含有量はごく少量であり、例えば、分散液全体の1ppm以下(例えば、0〜0.9ppm、好ましくは0.01〜0.5ppm程度)である。
シリカ粒子の形状(特に、分散液における形状)は、球状、楕円状などであってもよく、通常球状であってもよい。シリカ粒子の平均粒子径(又は一次粒子径)は、例えば、0.5nm〜10μm、好ましくは1nm〜1μm(例えば、3〜500nm)、さらに好ましくは5〜100nm、特に好ましくは10〜50nm程度である。尚、この平均粒子径は、ガス吸着方による比表面積測定により求めた値である。
本発明の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物において、アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液の使用量は、特に限定的ではないが、多官能性アクリル化合物と脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートの合計量100質量部に対して、該分散液の固形分量として、0.05〜20質量部程度とすればよく、1.5〜15質量部程度とすることが好ましい。
無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物
本発明の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物は、上記した(1)モノマー成分(即ち、多官能性アクリル化合物及び必要に応じて、脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレート)、(2)還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、(3)アゾ系ラジカル重合開始剤、及び(4)アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液、を含有するものであり、その形態は、特に限定されず、例えば、粉粒状(又は粉粒状混合物)などであってもよく、溶媒を含むコーティング組成物(塗布液)の形態であってもよい。
コーティング組成物として用いる場合については、溶媒としては、上記したモノマー成分、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液を溶解又は分散可能(特に溶解可能)な溶媒であれば特に限定なく使用できる。このような溶媒としては、使用する成分の種類に応じて適宜選択でき、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトンなどのジアルキルケトン類、N−メチル−2−ピロリドンなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテート、ブトキシカルビトールアセテートなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、アセタール類(アセタール、メチラールなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。なお、シリカ微粒子の分散媒として用いる有機溶媒を、このような分散液の溶媒を有機溶媒として使用してもよい。通常、塗布性を向上させるため、有機溶媒を含む分散液を使用する場合であっても、新たに溶媒を添加する場合が多い。
上記した溶媒の内で、特に、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートは、半導体製造業などで汎用されているので好適に用いることができる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、上記したモノマー成分、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液を含む本発明組成物の固形分量100質量部に対して、10〜50000質量部程度とすることができ、好ましくは30〜10000質量部程度とすることができ、さらに好ましくは100〜5000質量部程度とすることができる。
本発明の組成物は、慣用の方法、例えば、上記したモノマー成分、金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びシリカ微粒子の分散液と、必要に応じて他の成分(溶媒など)とを混合することにより調製できる。例えば、本発明の組成物は、上記したモノマー成分、金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びシリカ粒子を溶媒中で混合して、各成分を溶解又は分散させることにより調製することができる。
無電解めっきの前処理皮膜の形成方法
上記した多官能性アクリル化合物、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液を含有する本発明の組成物によれば、該組成物を基板に塗布し、アゾ系ラジカル重合開始剤を分解してラジカルを発生させることによって、多官能性アクリル化合物を含むモノマー成分の重合反応が進行して、架橋密度の高いネットワーク構造を有するポリマー皮膜が形成され、同時に、金属化合物の還元反応が進行して、金属微粒子が生成し、無電解めっきの前処理皮膜が形成される。更に、シリカ粒子がアクリル基で修飾されていることによって、ポリマー皮膜にシリカ粒子が取り込まれて、高い機械的強度と耐薬品性を有する皮膜となる。
この様にして形成されるポリマー皮膜は、プラスチックフィルム等の各種基材に対する良好な密着性を有するものであり、更に、金属微粒子が分散していることにより、無電解めっきに対する優れた触媒活性を有するものである。しかも、形成されるポリマー皮膜の表面には、シリカ微粒子に由来する微細な凹凸が存在するため、無電解めっきにより形成される金属薄膜は、該ポリマー皮膜に対して良好な密着性を有するものとなる。
基板としては、特に限定されず、例えば、無機基板( 例えば、シリコンウェハー、アルミニウム基板などの金属基板、ガラス基板、セラミックス基板など)、有機基板(例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、エポキシ樹脂フィルムなどのプラスチックフィルム)などの基板( 絶縁体) が例示できる。これらの内で、特に、有機基板を被処理物とする場合には、本発明の組成物により形成されるポリマー皮膜との密着性が良好であることから、基板との密着性が非常に良好な無電解めっき皮膜を形成することができる。なお、基板は、表面処理(シランカップリング剤などによる表面処理、アンカーコート剤などによるコーティング処理など)されていてもよい。
特に、本発明の組成物は、後述するように、高温での加熱処理(例えば、200℃以上の加熱処理) を要しないため、基板としてプラスチックフィルムを使用可能である。このため、本発明の組成物は、特に、プラスチックフィルム上に電子回路パターンを形成する際に、無電解めっきの前処理として、触媒活性を有する密着性に優れたポリマー皮膜を形成するため有用性が高いものである。
本発明の組成物を基板に塗布する方法については、膜形成が可能な方法であれば特に限定されず、慣用の塗布法、例えば、スピンコーティング法( 回転塗布法) 、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スプレー法、キャスト法などが利用できる。特に、均一な膜を効率よく得るためにはスピンコーティング法( スピンコート法) を用いることが好ましい。塗布装置としては、上記塗布方法に対応する装置、例えば、スピンコーター、スリットコーター、ロールコーター、バーコーターなどを使用できる。なお、塗布後、必要であれば、基板を乾燥させてもよく、ホットプレートなどを用いて基板をプリベークしてもよい。
本発明組成物を塗布して得られる皮膜では、皮膜の厚みは、特に制限されないが、例えば、0 .01〜50μm程度、好ましくは0.01〜20μm程度、さらに好ましくは0.01〜5μm程度とすればよい。
本発明の組成物を用いてポリマー皮膜を形成する際に、ラジカル重合開始剤を分解させてラジカルを発生する方法については、特に限定されず、例えば、熱分解、紫外光線(近紫外線、遠紫外線、真空紫外線など)等の方法を適用できる。特に、熱分解(加熱処理)が最も簡便な方法である。熱処理温度は、例えば、50℃ 程度以上(例えば、50〜200℃程度)、好ましくは60℃程度以上(例えば、60〜200℃程度)、さらに好ましくは100℃程度以上(例えば、100〜200℃程度)とすることができる。加熱時間については、通常、10〜60分程度とすればよい。
形成されるポリマー皮膜の膜厚は、0.005〜20μm程度であることが好ましく、0.005〜5μm程度であることがより好ましい。
無電解めっき方法
上記した方法によって無電解めっき用前処理皮膜を形成した後、無電解めっき処理を行うことによって、該前処理皮膜上に密着性に優れた無電解めっき皮膜を形成することができる。
無電解めっき液としては特に限定はなく、形成された前処理皮膜中に分散している金属微粒子が触媒活性を有する自己触媒性の無電解めっき液であれば特に限定なく用いることができる。例えば、無電解パラジウムめっき液、無電解パラジウム合金めっき液、無電解銅めっき液、無電解銅合金めっき液、無電解銀めっき液、無電解銀合金めっき液、無電解ニッケルめっき液、無電解ニッケル合金めっき液、無電解金めっき液、無電解金合金めっき液等を用いることができるが、これらの無電解めっき液に限定されるものではない。これらの無電解めっき液の具体的な組成については、特に限定はなく、還元剤成分を含む公知の組成の自己触媒性の無電解めっき液を用いればよい。めっき方法、めっき条件等についても、使用するめっき液の種類に応じて、通常のめっき方法とめっき条件に従えばよい。
形成されるめっき皮膜の厚さについては、具体的な用途に応じて適宜きめればよいが、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70μm、さらに好ましくは0.5〜50μm程度とすることができる。特に、配線パターンなどでは、めっきパターンを厚さ5μm以上(例えば、8〜70μm)、好ましくは10μm以上(例えば、12〜50μm程度)、さらに好ましくは12〜40μm程度に形成してもよい。
また、必要に応じて、無電解めっき処理をした後、電気めっきを行うことにより、所定のめっきパターン(又はめっき層)の厚さを増加させてもよい。
本発明の組成物を用いる前処理皮膜の形成方法は、特に、各種のプラスチックフィルム基板上に、無電解めっき法によって電子回路パターンを形成する際に、無電解めっきの前処理として有効な方法である。従って、本発明の前処理方法は、特に、導体回路を形成するために利用されることが多い、無電解銅めっき等に対する前処理として有効性の高い方法である。
本発明の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物によれば、平滑なプラスチックフィルム等の各種の基材に対して無電解めっき皮膜を形成する場合であっても、比較的簡単な処理方法によって、密着性に優れた前処理皮膜を形成できる。形成された前処理皮膜上には、そのまま無電解めっき皮膜を形成することが可能であり、簡単な方法で密着性に優れた金属薄膜を形成できる。
本発明の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物によれば、各種の印刷法と組み合わせることによって、微細な配線パターンを簡単な方法で形成することが可能であり、例えば、フレキシブル配線板作製やプリンテッドエレクトロニクスなどへの応用が期待される。
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
製造例1
純水1679.2g、28%アンモニア水170.1g、及びメタノール5640.2gの混合液に、テトラメトキシシラン1522.2gとメタノール413.0gの混合液を、液温を20℃に保ちつつ50分かけて滴下し、シリカゾル溶液を得た。このゾル溶液を常圧下にて、2900mlまで加熱濃縮を行った。この濃縮液に、シランカップリング剤としてメチルトリメトキシシラン12.0gを加え、常圧下にて加熱蒸留を行い、留出液をイオン交換塔(オルガノ製アンバーライトIR120B(H)-AG)に通してアンモニアを除去後、ゾル溶液中に戻す操作を、ゾル溶液のpHが8以下になるまで行った。
その後、水分が5%以下になるまでメタノールを滴下しつつ蒸留を続けた。次に、常圧下で加熱蒸留しつつ、1-ブタノールをシリカゾルの容量を一定に保ちながら滴下し、液温及び塔頂温が置換する溶媒の沸点に達した時点で終了して、1-ブタノール分散ゾルを得た。
このゾルに酢酸を150g添加して、しばらく攪拌した後、3-アクリロキシプロピルトリメトキシランを90gとメチルトリメトキシシランを60g添加し、加熱還流を行った。このゾルに、常圧下で加熱蒸留しつつ、トルエンをシリカゾルの容量を一定に保ちながら滴下し、液温及び塔頂温がトルエンの沸点で安定するところまでトルエン置換を行った。
以上の方法により、3-アクリロキシプロピルトリメトキシランによって表面修飾されたシリカ微粒子(平均粒子径24nm)のトルエン分散液が得られた。この分散液の固形分量は20重量%であった。
実施例1
モノマー成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)55 mg、金属化合物として酢酸パラジウム10 mg、アゾ系ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5mg、及び製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液25mg(固形分量として5mg)を、プロピレングリコール 1-モノメチルエーテル 2-アセテート(PGMEA)1.5gに溶解して、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製した。
この組成物を、スピンコーティングによりポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後,2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、パラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
更に、アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の添加量を2.5mg(固形分量として0.5mg)、0.25mg(固形分量として0.05mg)、0mg(添加なし)に変化させる以外は、上記した方法と同様にして、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、ポリマー皮膜の形成と無電解銅めっきを行った。
この様にして形成された無電解めっき皮膜の密着性評価をクロスカット試験(JIS−K5600を参考)により行った。
クロスカット試験後に剥離されずに残留した無電解めっき皮膜の面積割合を目視で判定した結果、シリカ微粒子の分散液の添加量が25mg(固形分量として5mg)の場合に100%であり、シリカ微粒子の分散液の添加量が2.5mg(固形分量として0.5mg)の場合にほぼ70%、シリカ微粒子の分散液の添加量が0.25mg(固形分量として0.05mg)の場合にほぼ65%、シリカ微粒子の分散液を無添加の場合には、ほぼ50%であり、無電解銅めっきによって形成された銅薄膜の密着性は、前処理皮膜形成用組成物中に含まれるシリカ微粒子の量が減少するに従って低下した。
この結果から、本発明の前処理皮膜形成用組成物によれば、アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子が含まれていることによって、密着性の良い無電解めっき皮膜を形成できることが判る。
実施例2
製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量を25mg(固形分量として5mg)として、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にパラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)を形成した後、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解ニッケルめっき浴(商標名:トップニコロンLPH−LF、奥野製薬工業株式会社製、pH6.5)中に80℃で5分間浸漬し、ニッケル薄膜(1.0μm膜厚)を形成させた。
実施例3
モノマー成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)55 mg、金属化合物として塩化金酸(HAuCl・4HO)19 mg、その錯化剤として2−(メチルチオ)エチルメタクリレート3mg、アゾ系ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5mg、及び製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液25mg(固形分量として5mg)を、プロピレングリコール 1-モノメチルエーテル 2-アセテート(PGMEA)1.5gに溶解して、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製した。
この組成物を用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上に金ナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)を形成した後、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解金めっき浴(商標名:セルフゴールドOTK、奥野製薬工業株式会社製、pH7.2)中に60℃で30分間浸漬し、金薄膜(0.4μm膜厚)を形成させた。
実施例4
モノマー成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)55 mg、金属化合物として硝酸銀8mg、その錯化剤としてトリフェニルホスフィン12mg、アゾ系ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5mg、及び製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液25mg(固形分量として5mg)を、プロピレングリコール 1-モノメチルエーテル 2-アセテート(PGMEA)1.5gに溶解して、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製した。
この組成物を用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上に銀ナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)を形成した後、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銀めっき浴(商標名:ムデンシルバーNCN、奥野製薬工業株式会社製、pH10)中に25℃で30分間浸漬し、銀薄膜(0.5μm膜厚)を形成させた。
実施例5
製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量を25mg(固形分量として5mg)として、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にパラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm 膜厚)を形成した後、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解パラジウムめっき浴(商標名:パラトップ、奥野製薬工業株式会社製、pH6.0)中に60℃で15分間浸漬し、パラジウム薄膜(0.6μm膜厚)を形成させた。
実施例6
製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量を25mg(固形分量として5mg)として、実施例1と同様にして無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングによりガラス板(1mm厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後、2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ガラス板上に、パラジウム微粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したガラス板を、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
実施例7
製造例1で得られたアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量を25mg(固形分量として5mg)として、実施例1と同様にして無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングにより、ポリエチレンナフタレートフィルム(100μm厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後,2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ポリエチレンナフタレートフィルム上に、パラジウム微粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm 膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したリエチレンナフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
実施例8
ラジカル重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5mgに代えて、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリルニトリル)(V-65、和光純薬製)5mgを用いること以外は、実施例1と同様にして(アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量25mg)、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングによりポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後,2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、パラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
実施例9
モノマー成分として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)55 mg、及びペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(商標名:アロニックスM-305、東亜合成製)5 mgを用いること以外は、実施例1と同様にして(アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量25mg)、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングによりポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後,2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、パラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
実施例10
モノマー成分として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)55 mg、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5 mgを用いること以外は、実施例1と同様にして(アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量25mg)、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングによりポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後,2−ブタノンで洗浄した。この方法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、パラジウムナノ粒子を含むポリマー皮膜(50-100nm膜厚)が形成された。
次いで、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬して、銅薄膜(膜厚0.6μm)を形成させた。
比較例1
ラジカル重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5mgに代えて、ベンゾイルパーオキサイド5mgを用いること以外は、実施例1と同様にして(アクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の分散液の使用量10mg)、無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコーティングによりポリエチレンテレフタレートフィルム(250μm膜厚)上にコーティングして薄膜を作製し、120℃で30分間熱処理を行った後、2−ブタノンで洗浄して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリマー皮膜を形成した。
次いで、ポリマー皮膜を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを、無電解銅めっき浴(商標名:ATSアドカッパーIW、奥野製薬工業株式会社製、pH12.5)中に35℃で20分間浸漬したが、銅薄膜は形成されなかった。

Claims (5)

  1. 分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むモノマー成分、貴金属酸化物、貴金属水酸化物、貴金属ハロゲン化物、貴金属有機酸塩、貴金属無機酸塩、貴金属錯体、及び酸成分を含有する貴金属ハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、アゾ系ラジカル重合開始剤、及びアクリル基含有シランカップリング剤で表面修飾されたシリカ微粒子の疎水性有機溶媒分散液、を含有することを特徴とする無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
  2. モノマー成分が、更に、脂肪族炭化水素系ジ(メタ)アクリレートを含むものである、請求項1に記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の無電解めっきの前処理皮膜形成用組成物を基材に塗布し、アゾ系ラジカル重合開始剤を分解してラジカルを発生させることを特徴とする、無電解めっきの前処理皮膜の形成方法。
  4. アゾ系ラジカル重合開始剤を分解してラジカルを発生させる方法が、加熱処理を行う方法である、請求項3に記載の無電解めっきの前処理皮膜の形成方法。
  5. 請求項3又は4の方法で無電解めっきの前処理皮膜を形成した後、無電解めっき浴に浸漬することを特徴とする、無電解めっき方法。
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