JP3675708B2 - 金属層の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種基板に密着性良く金属層、特に多層金属層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
基板上への金属の形成方法は、CVD法をはじめとする気相法やメッキ法に代表される湿式法で行われていたが、最近、無電解メッキ法が多用されている。
【0003】
無電解メッキは、Brennerらにより1944年に次亜リン酸ナトリウム水溶液中での電解メッキ反応中に偶然発見されたものであるが、1946年Brennerらの無電解ニッケルメッキの特許としてプロセスが公表されている(A.Brenner;J.of Reseach of N.B.S.,37,1(1946),USPat.,2,532,283(1950))。陽極から金属の補給が行われる電解メッキと異なり、無電解メッキは、金属の析出の進行とともに変動する金属塩や還元剤を補充する必要があるため、その補充方法がG.Gutzeitらにより改良され(G.Gutzeit;USPat.,2,658,841(1953))、現在では工業用メッキとして広く用いられている(W.H.Safranek,The Properties of Electrodeposited Metals and Alloys,2nd Ed.American Electroplaters and Surface Finishers Soc.,(1986))。こうした無電解メッキは、還元剤により金属を析出させるため、セラミックやプラスチックのような導電性のない材料にも連続したメッキ化ができるものの(W.A.Alpaugh,C.Forks:U.S.Pat.,4,152,467(1979))、メッキ金属と基板との間の密着性が基板の種類により大きく影響を受け、カーボンファンクショナルシラン(CFシラン)等による表面処理や酸、アルカリによる表面の粗面化等を行っても、基板によっては剥離を起こすという問題点を有していた。
【0004】
ところで、ポリシランのような還元性ケイ素系高分子は、工業的に耐熱性高分子として大量に使用されているポリシロキサンとは大きく異なり、炭素に比べてそのケイ素のもつ金属性、特異な電子非局在性による紫外線吸収特性、高い耐熱性と柔軟性、良好な薄膜形成特性から非常に興味深いポリマーである。
【0005】
本発明者らは、こうした還元性ケイ素系高分子が、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理することで、容易に金属塩から金属コロイドを析出できることを見出していた(Synthetic Metals,97,273(1998))。さらに、還元性ケイ素系高分子薄膜のこうした特性と金属コロイドを触媒とした無電解メッキを組み合わせることで、基板とメッキ金属の密着性に優れた金属を形成できることを報告している(特開平10−326957号公報)。
【0006】
しかしながら、金属膜の耐酸化性を考慮した金属層を形成させるため、金属膜の多層化によって安定化する方法があるが、この場合、金属薄膜内により大きなヒズミが溜まり、より大きな密着性が必要となっていた。
【0007】
従って、本発明は、上記基板上に形成した還元性ケイ素系高分子薄膜上に密着性良く金属層を形成する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、表面に還元性を有するケイ素系高分子薄膜を形成させた基板を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理して基板表面に当該金属コロイドを析出させ、この膜を無電解メッキすることで金属層、特に多層の金属層を形成させる方法において、パラジウムコロイドを表面に有する基板全面に紫外光照射を行うことで、基板の種類を選ばず、基板との密着性の高い微細な金属層を形成させることができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、Si−Si結合及び/又はSi−H結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンからなる群より選ばれる還元性を有するケイ素系高分子薄膜を表面に形成させた基板を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理して、基板表面に当該金属コロイドを析出させた後、紫外線照射を行い、次にメッキ不要部分にアルカンチオールをパターン転写することによりマスキング部を形成し、次いで無電解メッキを行って、上記マスキング部以外の部分に金属層を析出させることを特徴とする金属層の形成方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、安価で簡便な工程により、基板の種類を選ばず、金属と基板の密着性に優れた金属層を得ることができる。これにより、種々のパターン形成方法と組み合わせることにより、各種プリント基板、フレキシブルスイッチ、バッテリー電極、太陽電池、センサー、帯電防止用保護膜、電磁シールド用筐体、集積回路、モーター用筐体、フラットディスプレイパネル等に応用可能な有用な金属パターンの形成方法として、電気、電子、通信分野に広く用いうる。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の金属層の形成方法にあっては、まず、基板上に還元性を有するケイ素系高分子薄膜を形成する。
【0012】
ここで、基板としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、セラミックス、シリコンウェハー、アモルファスシリコン、半導体チップ、LSI基板、ガラス基板等が用いられる。
【0013】
また、還元作用をもつケイ素系高分子化合物としては、Si−Si結合あるいはSi−H結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンを使用することができ、中でもポリシランあるいはケイ素原子に直接結合した水素原子を有するポリシロキサンが好適に用いられる。
【0014】
このうち、ポリシランとしては、主鎖にSi−Si結合をもつ下記一般式(1)で表される高分子化合物が挙げられる。
(R1 m2 npSi)q (1)
(式中、R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子である。mは0.1≦m≦1、nは0.1≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは2≦q≦100,000の整数である。)
【0015】
上記式(1)中、R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、R1とR2とは互いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族一価炭化水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式一価炭化水素基としては、炭素数1〜12、特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。また、芳香族一価炭化水素基としては、炭素数6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置換一価炭化水素基としては、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0016】
Xは、R1と同様の基、アルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子であり、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の好ましくは炭素数1〜4のもの、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。Xとしては、これらの中でも通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いられる。
【0017】
mは0.1≦m≦1、好ましくは0.5≦m≦1、nは0.1≦n≦1、好ましくは0.5≦n≦1、pは0≦p≦0.5、好ましくは0≦p≦0.2であり、かつ1≦m+n+p≦2.5、好ましくは1.5≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは2≦q≦100,000、好ましくは10≦q≦10,000の範囲の整数である。
【0018】
また、ケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するケイ素系高分子化合物は、側鎖にSi−H基、主鎖にSi−O−Si結合をもつ下記一般式(2)で表されるポリシロキサンが好適に用いられる。
(R3 a4 bcSiOde (2)
(式中、R3,R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。aは0.1≦a≦1、bは0.1≦b≦1、cは0.01≦c≦1であり、かつ1≦a+b+c≦2.5、dは1≦d≦1.5を満足する数である。eは2≦e≦100,000の整数である。)
【0019】
上記式中、R3,R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、R3とR4とは互いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族一価炭化水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式一価炭化水素基としては、炭素数1〜12、特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。芳香族一価炭化水素基としては、炭素数6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基としては、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のものが好適であり、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いられる。
【0020】
aは0.1≦a≦1、好ましくは0.5≦a≦1、bは0.1≦b≦1、好ましくは0.5≦b≦1、cは0.01≦c≦1、好ましくは0.1≦c≦1であり、かつ1≦a+b+c≦2.5、好ましくは1≦a+b+c≦2.2を満足する数である。dは1≦d≦1.5である。eは2≦e≦100,000、好ましくは10≦e≦10,000の範囲の整数である。
【0021】
この場合、基板の処理に際しては、上記還元性を有するケイ素系高分子化合物を有機溶剤に溶解させて用いることが好ましい。
【0022】
ケイ素系高分子化合物を溶解させる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒や、ニトロメタン、アセトニトリル等が好適に用いられる。
【0023】
ケイ素系高分子化合物含有溶液の濃度は、0.01〜50%(重量%、以下同様)、好ましくは0.01〜30%、より好ましくは1〜20%が好適である。
【0024】
この場合、上記ケイ素系高分子化合物含有溶液に対し、基板との密着性を向上させるため、ヒュームドシリカ等の無機粉体、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランや下記一般式
Y−(CH2x−SiRy(OR’)z
(式中、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基等の官能基、R,R’は炭素数1〜6の一価炭化水素基、xは0〜3の整数、yは0又は1、zは2又は3である。)
で示されるようなカーボンファンクショナルシラン(CFシラン)などを添加してもよい。
【0025】
なお、CFシランとしてより具体的には、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003)、ビニルトリエトキシシラン(KBE−1003)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303)、γ−グリシドキシトリメトキシシラン(KBM−403)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903)等を挙げることができる。特に、アミノ基含有CFシランであるKBM−602、KBM−603、KBM−902、KBM−903、KBE−602、KBE−603、KBE−902、KBE−903は好適に用いうる。添加量は、ケイ素系高分子100重量部に対し、0.01〜200重量部用いることができる。0.01重量部未満では、密着性を向上させる効果が少なく、200重量部より多いと成膜性が悪くなり、逆に密着性の低下をもたらすおそれがある。より望ましくは0.1〜10重量部である。
【0026】
還元性ケイ素系高分子膜の形成方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ディッピング法、キャスト法、真空蒸着法、LB法(ラングミュアー・ブロジット法)などの通常の薄膜形成法が採用できる。
【0027】
特に、還元性ケイ素系高分子でパターンを形成する場合は、還元性ケイ素系高分子の溶液を、凹凸をもつスタンプを用いて基板に押印する印章法が好適に用いられ得る。また、スピンコート等で薄膜を形成した後、紫外線照射による選択的露光法を用いて、光酸化により還元性が消失した部分と光があたらず還元性ケイ素系高分子のままの部分を作ってもよい。
【0028】
この後、しばらく乾燥雰囲気下で静置するとか、減圧下で40〜60℃程度の温度に放置することにより乾燥することは効果的である。
【0029】
なお、ケイ素系高分子化合物膜の厚さは、適宜選定されるが、0.001〜10μm、特に0.01〜3μmとすることが好ましい。
【0030】
次に、上記処理された基板を、金属塩を含む溶液で処理することで、基板表面に金属コロイドを析出させる工程を行う。金属塩としては、標準酸化還元電位0.54V以上の金属が用いうる。より具体的には、金(標準酸化還元電位1.50V)、パラジウム(標準酸化還元電位0.99V)、銀(標準酸化還元電位0.80V)等の塩が好適に用いられる。標準酸化還元電位が0.54Vより低い銅(標準酸化還元電位0.34V)、ニッケル(標準酸化還元電位−0.25V)等の塩では、本ケイ素系高分子で還元することができない。なお、金属塩は水溶性のものが望ましい。
【0031】
より具体的には、金塩としては、Au+,Au3+を含んでなるもので、具体的には、NaAuCl4,NaAu(CN)2,NaAu(CN)4等が例示される。パラジウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl,Br,I等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩である。具体的には、PdCl2,PdBr2,PdI2,Pd(OCOCH32,Pd(OCOCF32,PdSO4,Pd(NO32,PdO等が例示される。銀塩としては、溶剤に溶解し、Ag+を生成させ得るもので、通常Ag−Z(Zはパークロレート、ボレート、ホスフェート、スルフォネート等の塩とすることができる)の形で表すことができる。具体的には、AgBF4,AgClO4,AgPF6,AgBPh4,Ag(CF3SO3),AgNO3等が例示される。
【0032】
こうした溶液には、この金属塩をよく溶解させ、ケイ素成分のパターンを溶解・破壊しない溶媒が用いられる。このようなものとして、水、あるいはアセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのような非プロトン性極性溶媒、その他、ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。特に、水が好適に用いうる。また溶液としての安定性を増すために、塩酸や塩化ナトリウムのようなハロゲン化物を添加してもよい。
【0033】
上記処理された基板を、この金属塩の溶液中に浸漬させると、瞬時から10分程度で、フィルム表面に金属コロイドが析出し、パラジウムの場合は灰色に、銀は褐色に、金は藤色に変色する。こうした基板を1秒〜10分程度金属塩を含まない溶剤に浸漬して洗浄後、乾燥することで、基板表面は、還元性ケイ素系高分子がある部分にのみ金属コロイドを有する基板を得ることができる。なお、必要に応じて35〜150℃の温度で熱処理することにより、還元性ケイ素系高分子表面での金属コロイドへの還元が促進される。乾燥温度は、通常10〜150℃、常圧又は減圧で行うことができる。
【0034】
次に、以上のように金属コロイド処理された基板の全面に紫外光照射を行う。光源としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等を用いることができ、還元性ケイ素系高分子の光吸収体の波長光、すなわち波長180nm〜400nmの紫外線を照射することが必要である。照射量は吸収光に換算して0.1〜100J/cm2程度が適している。紫外光照射によって、ケイ素系高分子のフィルム表面は凹凸状となり、密着性を向上させる形態をとるようになる。
【0035】
最後に、紫外光照射処理された基板上に、無電解メッキを行い、ケイ素系高分子薄膜上に金属を析出させる工程を行う。具体的には、この基板を無電解メッキ液中に浸漬し、金属コロイドを触媒としてメッキ金属膜を形成させる。無電解メッキ液は、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金、ロジウムなどの金属イオンを含んでなるもの、特に銅、ニッケルイオンを含む無電解銅メッキ液、無電解ニッケルメッキ液が好ましい。
【0036】
この液は、通常これらの金属塩に次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウムのようなカルボン酸やその水溶性塩、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、EDTA系のアミン類、その他の上記金属の錯化剤、さらに鉛塩等の安定剤などを含有する。通常は無電解メッキ液として市販されており、安価に入手することができる。
【0037】
無電解メッキのメッキ条件は、そのメッキ液に応じた常法によって行うことができ、温度は15℃〜100℃で、メッキ時間は1分〜16時間が好適に用いうる。より望ましくは25℃〜85℃で1分〜60分で処理される。
【0038】
なお、無電解メッキに際して、金属層の用途等に応じ、例えば耐酸化性を向上させるなどの目的で、多層の金属層を形成することができる。特に、無電解ニッケルメッキ層や無電解銅メッキ層上に無電解金メッキ層、無電解錫メッキ層などを形成することができる。
【0039】
なお、上記無電解メッキ後、必要に応じて熱処理を行うことができ、加熱することによりメッキ金属と基板との密着性を向上させ得る。この場合、熱処理は、水素のような還元性雰囲気下やアルゴンのような不活性雰囲気下あるいは真空系で60℃〜500℃、処理時間は10分〜24時間が好適である。これにより、無電解メッキにより形成された金属は、より高い導電性と硬度を持ち、かつ基板との良好な密着性を持つことになる。
【0040】
本発明において、金属層をパターン化する場合は、アルカンチオールを用いたマイクロスタンプ法を利用することができる。すなわち、無電解メッキに先だって、上記紫外光の照射の前又は照射の後に、マイクロスタンプを用いたアルカンチオールのパターン転写を行い、アルカンチオールのパターンが形成されていないケイ素系高分子薄膜部分にのみ金属パターンを形成する方法である。
【0041】
マイクロスタンプ法は、自己組織化単分子膜を利用して、基板上にゴムスタンプによりインクのパターンを転写し、この基板に無電解メッキすることであり、次のような特徴がある。
【0042】
1つの凹凸パターンを持つゴム板を用いて、多数の基板上に押し当てることにより、多数のパターン基板を製造することができるので量産が容易である。凹凸のパターンを持つゴム板は、1つの凹凸パターンを持つマスター基板をもとに作製できるが、このマスター基板を作製するときは量産性を考慮する必要がないので、光、電子線など様々な選択が可能で、光を用いる場合でも1つ作製すればよいので、ステッパーのような高価な装置は不必要である。このゴム板は、例えば市販されている型取り用シリコーンゴムを用いればよく、凹凸のパターンを持つマスター基板は、通常のフォトレジストの手法で、シリコンウエファ上にレジストを塗布し、微細パターンを持つ石英製フォトマスクを用いて、紫外線照射後、現像してシリコンウエファマスターとして作製すればよい。
【0043】
凹凸のパターンを持つゴム板は、アルカンチオールを一時的に保持し、そのパターンを基板上に忠実に転写する必要があるため、膨潤しにくい適度な硬さを持つ剥離性のよいシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴムを用いることができる。
【0044】
アルカンチオールのパターンを形成した後、しばらく乾燥雰囲気下で静置するとか、減圧下で40〜150℃程度の温度に放置することにより乾燥することは効果的である。溶液の濃度は、0.1〜50%が好適に用いられ、これにより、0.0001〜1μmの範囲の膜厚のアルカンチオールのパターンを形成することができる。
【0045】
本発明によれば、このようなアルカンチオールのパターン転写を利用した安価で簡便な工程と組み合わせることにより、密着性良好な金属パターンを形成した基板を得ることができ、各種プリント基板、フレキシブルスイッチ、バッテリー電極、太陽電池、センサー、帯電防止用保護膜、電磁シールド用筐体、集積回路、モーター用筐体、フラットディスプレイパネル等に応用可能な有用な金属パターンの形成方法となり得る。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、各種基板に密着性のよい金属層を形成することができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0048】
合成例1 還元性ケイ素系高分子の製造方法
フェニルハイドロジェンポリシランについては、以下の方法によった。
アルゴン置換したフラスコ内にビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムにメチルリチウムのジエチルエーテル溶液を添加することで、系内で触媒であるビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウムを調製した。これに、フェニルシランを触媒の50倍モル添加し、100℃で24時間加熱攪拌を行った。この後、モレキュラーシーブズを添加濾過することにより、触媒を除去した。これにより、ほぼ定量的に重量平均分子量2,600のフェニルハイドロジェンポリシランの固体を得た。
【0049】
作製例1 シリコンウエファマスターの作製
シリコンウエファ上にレジスト(SIPR−9740;信越化学工業社製)を塗布し、0.5mm〜2mmのライン&スペースと1μm〜10μmのライン&スペースのパターンの石英製フォトマスクを用いて、375nmの紫外線を照射(露光量200mJ/cm2)後、2.38%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の水溶液で50秒1回現像でパターンを作り、これをフッ酸でエッチングして、0.5mm〜2mmのライン&スペースと1μm〜10μmのライン&スペースのパターンを持つ2種類のシリコンウエファマスターを作製した。
【0050】
作成例2 シリコーンゴムマスターの作製
信越化学工業(株)製型取り用シリコーンゴムKE−1300を用いた。KE−1300T 100gとCat−1300 10gを十分に混合し、減圧脱泡した後、アルミシャーレ内に固定したシリコン基板上のライン&スペースパターン上に流し込み、室温で24時間静置して硬化させた。硬化後静かにシリコンウエファマスターからゴムを剥がすことで、シリコーンゴムに、0.5mm〜2mmのライン&スペースと1μm〜10μmのライン&スペースのパターンを転写した2種類のシリコーンゴムマスタースタンプを作製した。
【0051】
[実施例1]
還元性ケイ素系高分子(合成例1で製造したフェニルハイドロジェンポリシラン)0.4gをトルエン9.6gに溶解させ、この溶液をスピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した後、2mmHg/50℃で乾燥させた(工程1)。
【0052】
次に塩化パラジウムの0.1%エタノール溶液を作製し、これに上記基板を1秒浸漬し、水洗後、乾燥させた。フィルム表面上にパラジウムコロイドの生成が起こり、わずかに灰色に着色した(工程2)。
【0053】
次に、この基板の全面に低圧水銀灯を用いて1J/cm2(波長254nmでのエネルギー量)照射を行い、フィルム表面を凹凸化した(工程3)。
【0054】
ついで、1μm〜10μmのライン&スペースのパターンを持つシリコーンゴムマスタースタンプを用いて、1−ヘキサデカンチオール1%エタノール溶液をスタンプの凸部に付着させ、マイクロスタンプ法により1−ヘキサデカンチオールのパターンを基板に作製した(工程4)。
【0055】
最後に、これを無電解メッキ液(硫酸ニッケル 20g、次亜リン酸ナトリウム 10g、酢酸ナトリウム 30g、水 100g)に、80℃,5分浸漬するという工程により、ニッケル金属パターンを形成させた。純水で洗浄後、60℃で5分乾燥させ、アルゴン95%/水素5%ガス中で150℃で0.5時間高温処理することで、ニッケルによるパターンを形成したガラス基板を得た(工程5)。
【0056】
この基板には、金属色の1μm〜10μmのライン&スペースのニッケルパターン、膜厚0.1μmが形成されていた。この基板とニッケルの密着性を剥離テープを用いて行なったところ、1μm〜10μmのライン全部、全く剥離は見られなかった。
【0057】
さらに、このニッケルパターンに中性ノーシアン置換型無電解金メッキ、ムデンノーブルAU(奥野製薬工業製)を用いて、65℃で10分処理を行ったところ、ニッケルパターン上にのみ金色のパターンが形成された。このパターンの表層の約0.05μmは金で置換されていた。続いて、ノーシアン中性無電解金メッキ509RS(関東化学製)を用いて60℃で10分処理を行ったところ、金属パターン上にのみ金メッキ層が生成した。金属パターンの厚みは合計0.3μmであり、この基板と金属パターンの密着性を剥離テープを用いて行ったところ、1μm〜10μmのライン全部、剥離は見られず密着性は良好であった。
【0058】
[実施例2]
実施例1における工程3の光照射量を0.1J/cm2(波長254nmでのエネルギー量)とする以外は、実施例1と同様に行った結果、1μm〜10μmのニッケル−金パターンを形成できた。さらに金メッキを行い、基板と金属パターンの密着性を剥離テープを用いて行ったところ、1μm〜10μmのライン全部、剥離は見られず密着性は良好であった。
【0059】
[実施例3]
実施例1における工程3の光照射量を3J/cm2(波長254nmでのエネルギー量)とする以外は、実施例1と同様に行った結果、1μm〜10μmのニッケル−金パターンを形成することが可能であり、基板と金属パターンの密着性を剥離テープを用いて行ったところ、1μm〜10μmのライン全部、剥離は見られず密着性は良好であった。
【0060】
[実施例4]
実施例1における工程3の光照射量を5J/cm2(波長254nmでのエネルギー量)とする以外は、実施例1と同様に行った結果、1μm〜10μmのニッケル−金パターンを形成することが可能であり、基板と金属パターンの密着性を剥離テープを用いて行ったところ、1μm〜10μmのライン全部、剥離は見られず密着性は良好であった。
【0061】
[比較例1]
実施例1の工程3を行わないで実施した。金属色の1μm〜10μmのライン&スペースのニッケルパターン、膜厚0.1μmを形成後、中性ノーシアン置換型無電解金メッキ、ムデンノーブルAU(奥野製薬工業製)を用いて、65℃で10分処理を行ったところ、無電解金メッキ浴中で金属パターンの剥離が発生し、多層型金属パターンを形成することはできなかった。
【0062】
表1に以上の光照射の密着性向上効果についてまとめて示す。
【表1】
Figure 0003675708
◎:密着性は非常に良好 ○:密着性は良好 ×:剥がれ発生

Claims (4)

  1. Si−Si結合及び/又はSi−H結合を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンからなる群より選ばれる還元性を有するケイ素系高分子薄膜を表面に形成させた基板を、標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理して、基板表面に当該金属コロイドを析出させた後、紫外線照射を行い、次にメッキ不要部分にアルカンチオールをパターン転写することによりマスキング部を形成し、次いで無電解メッキを行って、上記マスキング部以外の部分に金属層を析出させることを特徴とする金属層の形成方法。
  2. ポリシランが、下記一般式(1)で表されるものである請求項記載の金属層の形成方法。
    (R1 m2 npSi)q (1)
    (式中、R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキシ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子である。mは0.1≦m≦1、nは0.1≦n≦1、pは0≦p≦0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは2≦q≦100,000の整数である。)
  3. ポリシロキサンが、下記一般式(2)で表されるものである請求項記載の金属層の形成方法。
    (R3 a4 bcSiOde (2)
    (式中、R3,R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。aは0.1≦a≦1、bは0.1≦b≦1、cは0.01≦c≦1であり、かつ1≦a+b+c≦2.5、dは1≦d≦1.5を満足する数である。eは2≦e≦100,000の整数である。)
  4. 標準酸化還元電位0.54V以上の金属がパラジウム、銀又は金である請求項1乃至のいずれか1項記載の金属層の形成方法。
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