JP3731632B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安価で簡便な工程により、優れた耐熱性、金属と基板との接着性、精細度に優れた配線基板を得ることができる配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
プリント基板は、超薄型機器の普及に伴い、高密度化の要請が強い。従来、このプリント基板においては、樹脂基板と銅箔を接着剤で接着後にレジストでパターン化を行っていた(サブトラクト法)が、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂というような各樹脂ごとに異なる接着剤と煩雑な接着プロセスが必要である上、その接着強度も必ずしも十分ではなかった。
【0003】
更に最近では、より微細な金属パターン形成の必要性から、オーバーエッチングによる金属膜の先細りが問題となるこのサブトラクト法よりも、樹脂基板上に金属層を形成させる手法(アディティブ法)の実用化が検討されてきた。しかし、この手法においても樹脂基板と金属との間の接着性の向上が重要な課題であった。
【0004】
また、エレクトロニクス機器の高速化を実現するため、ロジックデバイスやシステムLSIでは、その回路の高集積度化と高速化が強く求められている。これを実現するための手段としては、低抵抗配線材料である銅が注目を浴びている。なお、従来、デバイスの製造にあたり、半導体上に形成させる微細金属回路の素材としてはアルミニウムが用いられ、手法はCVD法が採用されていた。銅は、このアルミニウムに比べて加工が難しいもので、このため銅の微細配線技術の確立が急務となっている。その中で上記問題点の解決策として、特に電解メッキ法がクローズアップされ、すでに銅配線プロセスに関しては実用化が検討されている(月刊SEMICONDUCTOR WORLD,1998年2月号,82−85頁参照)。
【0005】
しかしながら、電解メッキ法はメッキ厚が場所によりバラつき、メッキ厚の再現性が得られないという問題点を有し、量産化のネックとなっていた。また、微細な金属パターン形成を量産するのに必要なレジスト及びレジストプロセスと組み合わせた場合の最適条件の構築が十分とは言えなかった。
【0006】
一方、ポリシランは、炭素に比べてそのケイ素のもつ金属性、特異な電子非局在性による紫外線吸収特性、高い耐熱性と柔軟性、良好な薄膜形成特性から非常に興味深いポリマーであり、様々な極微細なパターンを高精度で形成するフォトレジストの開発を目的として、ポリシランを用いた研究が活発に行われてきた(特開平6−291273号、同7−114188号公報)。中でも、特開平5−72694号公報においては、半導体集積回路の製造方法として、ポリシランが用いられている。この方法は、導電層としてポリシランやヨウ素等でドーピングしたポリシラン膜を用い、絶縁層として光照射によりポリシランから変換したシロキサン層を用いることを特徴としたものであり、このようにポリシランのSi−Si結合を持つポリマーは、導電材料への応用が考えられていた。
【0007】
しかしながら、上記方法により得られる半導体集積回路は、ポリシランのみでは導電部の導電性が十分ではなく、また、腐食性のあるヨウ素等を用いることは電子材料へ応用するときの大きな障害になっており、しかも、大気中の水分、酸素、光等により容易にシロキサンに変化し得るポリシランそのものを導電材料として用いるため、特に信頼性を必要とする電子材料に応用するには非常に困難を伴うものであった。
【0008】
また、特開昭57−11339号公報には、Si−Si結合を有する化合物を露光後、金属塩溶液と接触させることで金属画像を形成する方法が記載されている。この方法は、Si−Si結合を有する化合物と金属塩溶液を接触させることにより金属塩が金属まで還元されることを利用し、未露光部に金属層を形成したものである。
【0009】
しかし、この方法で鮮明な描画を行うためには、露光部の還元性を完全になくす必要があることから、大量の光を照射する必要があった。また、この場合、ポリシランは露光によりシロキサンに変換されてしまうが、紫外線照射によって微細回路を形成した後で、このシロキサンを更に耐熱性が高く靭性のある絶縁性セラミックの前駆体であるポリカルボシランやポリシラザンなどに転換することは非常に困難であるという問題があった。
【0010】
従って、より高品質な配線基板を工業的に有利に製造する技術の開発が望まれた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、優れた耐熱性及びパターン精細度を持ち、電気、電子、通信分野等で広く応用可能な高導電部と絶縁部とのパターンを有する配線基板を安価で簡便な工程で製造することができる配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明は、上記目的を達成するため、第一発明は、
(1)基板上に形成したカーボンファンクショナルシランを含有する下記一般式(1)で表されるポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させ、表面にパラジウムコロイド層を形成する工程、
(R1 m2 npSi)q (1)
(但し、式中R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。m、n、pは0.1≦m≦2、0≦n≦1、0≦p≦0.5、1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000の整数である。)
(2)上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成してこの溝内に上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜を露出させる工程、
(3)上記溝内のパラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜に無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法
を提供する。
【0013】
更に、第二発明は、
(I)基板上に形成したSiH基含有ポリシラン薄膜を光照射し、ポリシランを架橋させて溶剤に不溶化させる工程、
(II)上記架橋ポリシラン層上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成し、この溝内に上記架橋ポリシラン薄膜を露出させる工程、
(III)上記溝内の架橋ポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させてパラジウムコロイド層を形成し、次いで無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法
を提供する。
【0014】
即ち、本発明者は、先にポリシランに紫外線を照射すると、ポリシランをポリシロキサンに変換して表面状態を極性に変化でき、これをパラジウム塩の溶液に接触させるとパラジウムコロイドを生成できることを利用してパターン形成が可能であることを見出した。更に、無電解メッキ法は、パラジウムコロイドをその表面に付着させれば様々な樹脂上に均一なメッキ厚の金属膜を形成することができ、ポリシラン薄膜の上記した特性とパラジウムコロイドを触媒とした無電解メッキを組み合わせることで、銅の金属パターンを形成でき、これにより優れた耐熱性及びパターン精細度を持つ回路基板を安価で簡便な工程で製造できることを特願平10−94111号に提案した。
【0015】
本発明者は、更に研究を進め、このような金属パターンを利用した回路基板の製造方法においては、金属パターンと基板との接着性が十分満足できない場合があること、更に、光により形成したパターンを金属パターンにしていく時に、金属が付着していくに従い金属部の膨らみが生じ、レジストにより形成したパターンが満足し難いものになる場合があることがわかった。
【0016】
そこで、本発明者は、金属パターンと基板との接着性やパターン形状にも優れた配線基板を得るため更に検討した結果、上記した第一発明の製造方法によれば、ポリシランにカーボンファンクショナルシラン(以下、CFシランという)を添加したものを主成分としたもので基板上にCFシラン含有ポリシラン薄膜を形成することにより、膜強度が向上すると共に、このポリシラン膜にパラジウム塩を接触させることでパラジウム塩が非常に容易に捕捉されてパラジウムコロイド層が形成でき、このパラジウムコロイド層上に感光性樹脂層でパターン形成し、このパターンの溝内にCFシラン含有ポリシラン薄膜を露出させ、更に無電解メッキを行うことにより、無電解メッキにより形成した銅等の導電性金属層と基板との接着性に優れ、しかも導電性金属層が上記溝内に形成されるので、導電性金属部の膨らみが生じるおそれがないことを知見した。また、第二発明の製造方法によれば、ポリシランが紫外線等の光照射により架橋反応が起こって溶剤に不溶化し、また、このポリマーは光照射により架橋した後であっても接触したパラジウム塩を非常に容易に還元してパラジウムコロイドを生成させること、従って、この架橋ポリシラン薄膜上に感光性樹脂層で所定のパターンを形成し、溝内に架橋ポリシラン薄膜を露出させ、パラジウムコロイド層を形成した後、第一発明と同様に無電解メッキで導電性金属層を形成することにより、導電性金属部の膨らみが生じることがなく、しかも金属パターンと基板との接着性も良好で安定なパターン形成が可能であり、十分満足できる精細度を有する微細度の高い導電配線パターンを簡単な工程で形成することができることを見出した。
【0017】
従って、本発明の配線基板の製造方法によれば、優れた耐熱性及びパターン精細度を持ち、電気、電子、通信分野で広く応用可能な配線基板を安価で簡便な工程で製造できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0018】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の第一の配線基板の製造方法は、下記工程(1)〜工程(3)を順次行って配線基板を製造するもので、特に基板樹脂と金属との接着性に優れた微細な金属パターンを持つプリント配線基板を形成できるものである。
(1)基板上に形成したカーボンファンクショナルシランを含有するポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させ、表面にパラジウムコロイド層を形成する工程、
(2)上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成してこの溝内に上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜を露出させる工程、
(3)上記溝内のパラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜に無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程。
【0019】
まず、工程(1)では、基板1上に形成させたカーボンファンクショナルシラン含有ポリシラン薄膜2にパラジウム塩を接触させ、表面にパラジウムコロイド層3を形成する。
【0020】
ここで、基板上に形成されるカーボンファンクショナルシラン含有ポリシラン膜を形成するために用いられるポリシランは、下記一般式(1)で表わされるポリシランが好ましい。
【0021】
(R1 m2 npSi)q (1)
(但し、式中R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。m、n、pは0.1≦m≦2、0≦n≦1、0≦p≦0.5、1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000の整数である。)
【0022】
上記式(1)中、R1,R2の脂肪族又は脂環式一価炭化水素基としては、炭素数が1〜12、特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。また、芳香族一価炭化水素基としては、炭素数が6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基やベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。なお、置換一価炭化水素基としては、上記に例示した非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基などで置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0023】
Xは、R1と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のもの、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いられる。
【0024】
mは0.1≦m≦2、好ましくは0.5≦m≦2、nは0≦n≦1、好ましくは0.5≦n≦1、pは0≦p≦0.5、好ましくは0≦p≦0.2で、かつ1≦m+n+p≦2.5、特に1.5≦m+n+p≦2を満足する数である。qは4≦q≦100,000、好ましくは10≦q≦10,000の範囲の整数である。
【0025】
上記式(1)のポリシランは、例えば窒素気流下、金属ナトリウム等のアルカリ金属触媒をトルエン等の有機溶媒中に添加し、高速で撹拌しながら加熱して分散させた後、これに原料、例えばジクロルオルガノシラン等を金属ナトリウム2〜3モルに対してケイ素化合物1モル程度の割合で撹拌下にゆっくり滴下し、原料が消失するまで1〜8時間撹拌し、反応を完結させ、次いで放冷後、塩を濾過して濃縮することにより簡単に得ることができる。
【0026】
また、上記ポリシランに含有させるカーボンファンクショナル(CF)シランとしては、下記一般式(3)で表わされるものが好適に用いられる。
【0027】
Y−(CH2−SiRa(OR)3- (3)
(式中、Yはビニル官能基、エポキシ官能基、アミノ官能基、メルカプト官能基、メタクリロキシ官能基、アクリロキシ官能基等の官能基、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基、bは0〜3の整数、aは0又は1である。)
【0028】
ここで、Rは上記R1,R2と同様の一価炭化水素基を挙げることができるが、特に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。なお、ビニル官能基としては、CH2=CH−等が挙げられ、エポキシ官能基としてはγ−グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられ、アミノ官能基としてはNH2−、NH2CH2CH2NH−等が挙げられ、メルカプト官能基としてはメルカプト基、メタクリロキシ官能基、アクリロキシ官能基としてはメタクリロキシ基、アクリロキシ基等が挙げられる。
【0029】
このような上記式(3)のCFシランとして具体的には、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業社製)、ビニルトリエトキシシラン(KBE−1003、信越化学工業社製)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303、信越化学工業社製)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学工業社製)、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学工業社製)、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603、信越化学工業社製)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業社製)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学工業社製)等を挙げることができる。これらの中では、特にアミノ基含有CFシランであるKBM−602,KBM−603,KBM−902,KBM−903,KBE−602,KBE−603,KBE−902,KBE−903が好適に用いられる。
【0030】
CFシランの添加量は、ポリシラン100重量部に対して0.01〜200重量部、特に0.1〜10重量部であることが望ましい。添加量が上記値より少ないと十分な接着性が得られない場合があり、上記値より多いと成膜性が悪くなり、逆に接着性の低下をもたらす場合がある。
【0031】
また、CFシラン含有ポリシラン薄膜を形成する基板としては、石英ガラス、セラミック、プラスチック、各種樹脂等の絶縁体、シリコン等の半導体、銅等の導体などを用いることができる。これらの中では、特にフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂、プラスチックが好適に用いられる。
【0032】
上記CFシラン含有ポリシラン膜を形成する方法としては、特に限定されないが、スピンコート法、ディッピング法、キャスト法、真空蒸着法、LB法(ラングミュアー・ブロジェット法)などの通常のポリシラン薄膜形成法が採用できるが、特にCFシランとポリシランを混合し、共に溶解させた溶液を高速で回転させながら成型するスピンコート法が好適に用いられる。
【0033】
このスピンコート法を採用してCFシラン含有ポリシラン膜を形成する場合、ポリシラン及びCFシランを溶解させる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤などが好適に用いられる。上記溶媒の使用量は、CFシラン含有ポリシラン溶液濃度が1〜20重量%となるような範囲が好適である。なお、ポリシラン及びCFシランを溶解後は、しばらく乾燥雰囲気下で静置するとか、減圧下で40〜60℃程度の温度に放置し、乾燥することが効果的である。
【0034】
工程(1)において基板上に形成するCFシラン含有ポリシラン膜の膜厚は、0.01〜100μm、特に0.1〜10μmの範囲が好適である。
【0035】
本発明では、このようにポリシランにCFシランを添加したものを主成分として基板上にCFシラン含有ポリシラン薄膜を形成することにより、高い膜強度が得られると共に、この膜に接触させたパラジウム塩を非常に容易に捕捉して、ポリシラン薄膜上に簡単にパラジウムコロイド層を形成でき、これにより無電解メッキにより形成した銅等の導電性金属層と基板との接着性が向上した膜形成が可能である。
【0036】
次いで、基板上に形成させたCFシラン含有ポリシラン薄膜をパラジウム塩に接触させる。接触方法としては、パラジウム塩を含む溶液で処理することが好ましい。この場合、パラジウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd−Z2の形で表すことができる。上記式において、ZはCl、Br、I等のハロゲン原子又はアセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の基である。このようなパラジウム塩として具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH32、Pd(OCOCF32、PdSO4、Pd(NO32、PdO等が例示される。
【0037】
パラジウム塩との接触方法としては、溶媒にパラジウム塩を溶解或いは分散させ、これにCFシラン含有ポリシラン薄膜を形成した基板を浸漬する溶液法を採用することが好ましい。
【0038】
上記溶液法では、パラジウム塩をよく溶解させ、CFシラン含有ポリシランの膜を溶解しない溶媒が好適に用いられる。このような溶媒としては、例えば水、或いはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒や、ニトロメタン、アセトニトリルなどが挙げられる。これらの中では、水やエタノール等のアルコール類が好適に用いられる。なお、上記パラジウム塩を含む溶液は、溶液としての安定性を増すために、塩酸や塩化ナトリウムのようなハロゲン化物を添加してもよい。
【0039】
パラジウム塩を溶解或いは分散させた溶液へのCFシラン含有ポリシラン薄膜形成基板の浸漬時間は、1秒〜10分程度が好適であり、浸漬後は乾燥することが望ましい。これにより、CFシラン含有ポリシラン膜の表面でパラジウム塩がパラジウム粒子に還元され、パラジウムコロイド層が形成された基板を得ることができる。更に、パラジウム塩に接触させる際、必要に応じて40〜200℃の温度で熱処理してもよく、これによりCFシラン含有ポリシラン薄膜表面でのパラジウム塩からパラジウムヘの還元を促進することができる。乾燥温度は、通常10〜200℃とし、常圧又は減圧で行うことが望ましい。
【0040】
次の工程(2)では、上記パラジウムコロイド層3上に感光性樹脂層4を形成した後、この感光性樹脂層を選択的に光照射し、現像して、感光性樹脂層に所定のパターンの溝5を形成し、溝内にCFシラン含有ポリシラン薄膜を露出させ、パターン潜像を形成する。
【0041】
上記感光性樹脂層は、ポジ型レジストを用いてもネガ型レジストを用いてもよいが、通常ポジ型レジスト材料として知られているノボラック−光酸発生剤系、ケイ素系ポリマー−化学増感系、ポリシラン系など既存の様々な感光性樹脂を利用して通常の方法で形成することができ、本発明では、これらに限定されるものではないが、特にポリシラン系レジスト材料を用いることが好ましい。
【0042】
上記工程では、感光性樹脂層を形成した基板の上から、パターンが形成されたフォトマスク6を通して、紫外光源、可視光源からの光を照射する。これにより、ポジ型レジストの場合は感光性樹脂層の光が当たった部分のみが所用の溶剤溶解性に変換し、これを所用の溶剤を用いて現像することにより、所定のパターンの溝を形成し、CFシラン含有ポリシラン薄膜が露出される。この場合、感光性樹脂層の膜厚は、形成しようとしている金属薄膜の膜厚程度が望ましく、通常は0.1〜10μmが好適である。なお、本工程では、CFシラン含有ポリシラン膜が光、紫外線を吸収し、反射防止を果たすことからパターン形状を良好に保つことができる。
【0043】
この場合、光源としては、紫外光源、可視光源が使用でき、具体的には水素放電管、希ガス放電管、タングステンランプ、ハロゲンランプのような連続スペクトル光源、KrF、ArFのような各種レーザー、水銀灯のような不連続スペクトル光源などを使用できる感光性樹脂の種類によって大きく変わるが、特に安価で取り扱いが容易で波長248〜254nmの線源を持つ水銀灯が好適に用いられる。光源の光量は、感光性樹脂層の厚さ0.1μm当たり0.01〜10mJ/cm2、特に0.1〜1mJ/cm2の範囲が好適であり、光量が上記値未満では下層のCFシラン含有ポリシラン薄膜の露出が不十分となるおそれがあり、上記値を超えるとCFシラン含有ポリシランがパラジウム還元性のないシロキサンになってしまったりして、良好な金属パターン形成が阻害される場合がある。
【0044】
上記光照射後は現像を行い、露光部(ポジ型レジストの場合)又は未露光部(ネガ型レジストの場合)を現像液により除去する。現像液としては上記露光部(ポジ型レジストの場合)又は未露光部(ネガ型レジストの場合)のみを溶解し得るものであればよく、有機溶剤でもアルカリ水溶液でもよい。この現像により、上記感光性樹脂層に所用パターンの溝5が形成され、この溝5には、上記パラジウムコロイド層を有するCFシラン含有ポリシラン膜が露呈する。
【0045】
工程(3)は、この溝5のパラジウムコロイド層を有するCFシラン含有ポリシラン膜に無電解メッキ液を接触させ、溝内に導電性金属層7を形成する。
【0046】
この場合、無電解メッキ液としては、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ロジウム等の金属を含んでなるもの、特に銅、ニッケルを含んでなるものが好適に用いられる。この無電解メッキ液は、通常、上記金属塩に次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、フェニレンジアミン、酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤などを含有する。なお、このような無電解メッキ液は、市販されており、安価に入手することができる。無電解メッキ液との接触条件は、温度15〜120℃、特に25〜85℃で1分〜16時間、特に10分〜60分間とすることが好適であり、目的によっても相違するが、厚さ0.01〜100μm、特に0.1〜20μmのメッキ皮膜(導電性金属層)を形成することが実用的である。
【0047】
本発明では、工程(3)の後に必要に応じて下記工程を行うことができる。即ち、具体的には、工程(3)で得られた基板を溶媒で処理し、感光性樹脂層を除去したり、加熱して金属と基板との接着性をより向上させたり、また、感光性樹脂層をポリシラン系で形成した場合には、高温処理を行って、全てのポリマー層をセラミックス化して絶縁層に変換させたり、無電解メッキにより形成した導電性金属層をより安定化させることができる。これにより、より接着性に優れた金属パターンを形成した配線基板を製造することができる。例えば、この工程(3)の基板を、高温処理によりすべてのポリマー層からセラミック層からなる絶縁層を形成させ、かつ無電解メッキによる金属層の熱処理により工程(3)で形成された導電層の安定化を行い得る。高温処理は、通常200〜1200℃、処理時間は1分〜24時間が好適である。より望ましくは、300〜900℃で処理時間は30分〜4時間行うのがよい。これにより、無電解メッキにより形成された金属はより高い導電性と硬度を、ポリシランから形成されたセラミックはより高い耐熱性と絶縁性と密着性を持つことになる。
【0048】
なお、ポリシランを高温処理すると、Si−Si結合が切断され、様々な元素が入り安定化するため、このときの雰囲気を空気中のような酸化系で行った場合は酸化ケイ素、また、アンモニアガスのような還元性雰囲気下で行うことにより窒化ケイ素系、アルゴンのような不活性雰囲気下や真空系で行った場合は炭化ケイ素系のセラミックにすることができる。
【0049】
次に、第二発明は、
(I)基板上に形成したSiH基含有ポリシラン薄膜を光照射し、ポリシランを架橋させて溶剤に不溶化させる工程、
(II)上記架橋ポリシラン層上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成し、この溝内に上記架橋ポリシラン薄膜を露出させる工程、
(III)上記溝内の架橋ポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させてパラジウムコロイド層を形成し、次いで無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程
を順次行って配線基板を製造するもので、特に優れた精細度を有する金属パターンを持つプリント配線基板を形成できるものである。
【0050】
まず、工程(I)では、基板1上にSiH基含有ポリシラン薄膜8を形成する。ここで、基板上に形成されるポリシラン薄膜は、下記一般式(2)で表わされるポリシランを主成分とするものにより形成することができる。この式(2)の分子中にSiH結合を持つポリシランは、紫外線のような光の照射により、架橋反応が起こり、溶剤に不溶となることは知られており(福島ら、Chem.Lett.1998,347)、この第二発明においては、分子中にSiH結合を持つポリシランが、紫外線の照射により架橋反応が起こり溶剤に不溶となること、また、このポリマーは光照射により架橋した後であっても接触させたパラジウム塩を非常に容易に還元してパラジウムコロイドを生成させ、これにより無電解メッキにより銅等の金属膜形成が可能なものである。
【0051】
(Hm2 npSi)q (2)
(但し、式中R2は水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基、XはR2と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。m、n、pは0.1≦m≦2、0≦n≦1、0≦p≦0.5、1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000の整数である。)
なお、R2の具体例、m,n,p,qの好適範囲は上記と同様である。
【0052】
ここで、使用する基板、ポリシラン膜の形成方法、ポリシランを溶解させる溶媒、形成条件などは、第一発明と同様のものを採用できる。なお、基板上に形成するポリシラン膜の膜厚は、0.01〜100μm、特に0.1〜10μmの範囲が好ましい。
【0053】
次に、基板1上に形成したポリシラン薄膜8を光照射し、ポリシランを架橋させて溶剤に不溶化させて架橋ポリシラン薄膜8’とする。
【0054】
この場合、光源としては300nm以上の波長の光が望ましく、紫外光源、可視光源が使用でき、具体的には水素放電管、希ガス放電管、タングステンランプ、ハロゲンランプのような連続スペクトル光源でも、各種レーザー、水銀灯のような不連続スペクトル光源などを使用することもできるが、特に安価で取り扱いが容易な水銀灯が好適に用いられる。光源の光量は、ポリシランの厚さ1μm当たり0.001〜100J/cm2、特に0.1〜1J/cm2の範囲が好適である。光量が上記値より少ないと十分な架橋が行われない場合があり、また上記値より多いと工程(III)におけるパラジウムコロイドの生成が十分に行われなくなる場合がある。
【0055】
工程(II)は、感光性樹脂層4を工程(I)の基板の架橋ポリシラン薄膜8’上に形成し、更に選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成し、架橋ポリシラン薄膜を露出させてパターン潜像の溝5を形成する工程である。この感光性樹脂層は、第一発明と同様にして形成することができ、パターン形成もパターンが形成されたフォトマスク6を用いて第一発明と同様に形成することができる。また、現像も同様に行うことができる。
【0056】
感光性樹脂層の膜厚は、形成しようとしている金属薄膜の膜厚程度が望ましく、通常は0.1〜10μmとすることが好ましい。本工程では、ポリシラン膜が紫外線を吸収し反射防止を果たすためパターン形状を良好に保つことができる。
【0057】
光源としては、KrF、ArFのような各種レーザー、水銀灯を用いた波長248〜254nmの線源が好適に用いられ、これらを組み込んだステッパー型やスキャナ型の露光装置が好ましく用いられる。フォトマスクは、通常のレベルソン型やハールトーン型の位相シフトマスク技術を使用できる。
【0058】
次に、工程(III)は、上記溝5を形成した基板にパラジウム塩を接触させ、この溝内に露呈する上記架橋ポリシラン層にパラジウムコロイド層9を形成した後、不要のパラジウム塩を除去し、次いで、無電解メッキ液を接触させ、パラジウムコロイド層が形成された溝内の架橋ポリシラン層に導電性金属層7を形成するもので、下記工程を順次行うことが好ましい。
工程(III−1):
工程(II)で得られた感光性樹脂層4の溝5内の架橋ポリシラン層にパラジウム塩を接触させてパラジウムコロイド層9を形成する。
工程(III−2):
工程(III−1)の基板を洗浄し、不要なパラジウム塩層10を除去する。
工程(III−3):
工程(III−2)の基板に無電解メッキ液を接触させ、上記溝内のパラジウムコロイド層9に導電性金属層7を形成する。
【0059】
まず、工程(III−1)において、パラジウム塩を接触させる方法としては、第一発明と同様の方法を採用でき、パラジウム塩及びパラジウム溶液としても、第一発明と同様のものを使用することができる。なお、この場合もポリシラン部を溶解させずパラジウム塩を溶解或いは分散させる溶剤を用いてパラジウム塩を接触させ、パラジウムコロイド層を形成する工程を行う。こうした溶液法では、このパラジウム塩をよく溶解させ、ポリシランのパターンを壊さない溶媒が好適に用いられる。このような溶媒としては、感光性樹脂の種類により溶解性が異なるため一概には言えないが、第一発明で溶液法においてパラジウム塩を溶解させる溶媒として例示した溶媒と同様のものを挙げることができる。これらの中では、特に感光性樹脂としてフェニルメチルポリシランを使用した場合、エタノールのようなアルコール類が好適に用いられる。
【0060】
このような溶媒にパラジウム塩を溶解或いは分散させ、これに露光後のパターンの溝の形成された基板を1秒〜10分程度浸漬して、その後乾燥することで、パターン溝内の親水化のポリシラン薄膜露出部ではパラジウム塩がパラジウム粒子に還元され、未露光部の感光性樹脂層表面はパラジウム粒子が生成しないため、パターニングされたポリシラン基板を得ることができる。更に、必要に応じて40〜200℃の温度で熱処理することにより、ポリシラン薄膜上でのパラジウム塩からパラジウムヘの還元が促進される。乾燥温度は、通常10〜200℃で常圧又は減圧で行うことが望ましい。
【0061】
次の工程(III−2)において、工程(III−1)の基板を洗浄して、不要な部分のパラジウム塩を除去するには、前述のパラジウム塩を溶解し得る上記のような溶剤に基板を浸漬したり、機械的な研磨等により表面を削り取る方法などを採用することができ、これにより感光性樹脂層上などに残存する不要なパラジウム塩を簡単に除去することができる。なお、いずれの手法でも、溝内のパラジウムコロイド層は、パラジウムがイオンからコロイドに変化しており、除去操作後も残存する。
【0062】
工程(III−3)では、工程(III−2)の基板に無電解メッキ液を接触させ、溝内に導電性金属層を形成する。ここで、無電解メッキ液の種類、メッキ条件などは第一発明と同様である。
【0063】
本発明では、工程(III)の後に必要に応じて第一発明と同様の工程を行うことができる。これにより、微細度の優れた金属パターンを形成した配線基板を製造することができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の配線基板の製造方法によれば、安価で簡便な工程により、優れた耐熱性及びパターン精細度を持つ金属パターン配線を得ることができる。とりわけ本発明の配線基板の製造方法(第一発明)によれば、樹脂基板の種類を選ばず、金属と基板の接着性に優れた精細度の高い金属パターン配線を得ることができ、また、本発明の配線基板の製造方法(第二発明)によれば、精細度に優れたパターン形成が可能で、しかも基板と導電性金属層との接着性も良好であり、ロジックやメモリ用デバイス等にも応用可能な優れた精細度の金属回路を形成した基板を得ることができる。
【0065】
従って、本発明の配線基板の製造方法は、各種プリント基板、各種デバイス、フレキシブルスイッチ、バッテリー電極、太陽電池、センサー、帯電防止用保護膜、電磁シールド用筐体、集積回路、モーター用筐体等に応用可能な有用な導電配線の形成方法として、電気、電子、通信分野で広く利用することができる。
【0066】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。以下の例において、部はいずれも重量部である。
【0067】
〔合成例1〕フェニルハイドロジェンポリシラン(PPHS)の合成
アルゴン置換したフラスコ内にビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコノセンにメチルリチウムのジエチルエーテル溶液を添加し、系内で触媒として使用されるビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコノセンを調製した。このビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコノセンに対して50倍モルのフェニルシランを添加し、100℃で24時間加熱撹拌を行った。この後、モレキュラーシーブスを添加濾過し、触媒を除去し、ほぼ定量的に重量平均分子量2,600のフェニルハイドロジェンポリシランの固体を得た。
【0068】
〔合成例2〕フェニルメチルポリシラン(PMPS)の合成
窒素気流下に金属ナトリウム5.06g(220mmol)をトルエン60ml中に添加し、高速で撹拌しながら110℃に加熱し、分散させた。これにフェニルメチルジクロルシラン19.1g(100mmol)を撹拌下にゆっくり滴下した。原料が消失するまで4時間撹拌し、反応を完結させた。放冷後、塩を濾過し、濃縮したところ、ポリシラン粗生成物10.0g(粗収率83%)が得られた。このポリマーを再度30mlのトルエンに溶解させ、更にヘキサン120mlを添加し、析出分離したところ、重量平均分子量45,000のフェニルメチルポリシラン6.6g(収率55%)が得られた。
【0069】
〔実施例1〜5、比較例1〕
ポリシラン(合成例1で製造したフェニルハイドロジェンポリシラン、以下PPHSと略す)0.8g、表1に示す種類及び量のCFシランをトルエン9.2gに溶解させ、8%の溶液にした。ガラス繊維入りエポキシ樹脂板上にこのCFシラン含有ポリシラン溶液を3,000rpm、10秒でスピンコートし、2mmHg/50℃で乾燥させ、厚さ0.3μmの薄膜を形成した。次に、塩化パラジウムの3%エタノール溶液を作成し、これに上記薄膜を形成したポリシラン基板を1分浸漬し、35℃で30分乾燥させた(工程1)。
【0070】
次に、感光体としてポリシラン(合成例2で製造したフェニルメチルポリシラン、以下PMPSと略す)を用い、このPMPSをトルエンに溶解させ、5%の溶液にした。工程1で得られたCFシラン含有PPHS膜を持つ石英ガラス板上にこのポリシラン溶液を塗布し、2,000rpm、5秒でスピンコートし、2mmHg/50℃で乾燥させて感光性樹脂層を形成し、パターン形成用基板とした。なお、このときのCFシラン含有PPHS膜と感光性樹脂層とのトータル厚さは0.6μmであった。この基板上にフォトマスクを重ね、20Wの低圧水銀灯を用いて254nmの紫外線を10J/cm2の光量で露光し、エタノールで現像し、露光部を除去した(工程2)。
【0071】
次いで、工程2で得られた基板を無電解メッキ液(硫酸ニッケル20g、次亜リン酸ナトリウム10g、酢酸ナトリウム30g、水1,000g)に50℃で30分浸漬し、ニッケル金属回路を形成した(工程3)。
【0072】
純水で洗浄後、60℃で5分乾燥し、最後に窒素中150℃で0.5時間高温処理することで、ニッケルによるパターンを形成したガラス繊維入りエポキシ樹脂基板を得た。
【0073】
得られた基板のニッケル部の導電率は1×104S/cm、未露光部の導電率は1×10-12S/cmである。
また、この基板とニッケルとの接着性を剥離テープを用いて行った。結果を表1に示す。
【0074】
〔比較例1〕
工程1でCFシラン未含有のポリシランを用いてポリシラン膜を形成する以外は実施例1と同様に操作を行い、ニッケルによるパターンを形成したガラス繊維入りエポキシ樹脂基板を得た。
【0075】
得られた基板とニッケルとの接着性を上記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003731632
*:ポリシラン100部に対する配合率(%)
【0077】
〔実施例6〕
ポリシラン(合成例1で製造したPPHS)をトルエンに溶解させ、8%の溶液にした。石英ガラス板上にこのポリシラン溶液を3,000rpm、10秒でスピンコートし、2mmHg/50℃で乾燥させて、厚さ0.3μmの薄膜を作った。この基板上全面に20Wの低圧水銀灯を用いて0.1mmの厚さのアルカリガラスで300nm以下の波長の紫外線をカットした紫外線を100mJ/cm2の光量で照射を行い、ポリシランを架橋により溶剤に不溶化させた(工程I)。
【0078】
次に、感光体としてポリシラン(合成例2で製造したPMPS)をトルエンに溶解させ、5%の溶液にした。工程Iで得られた架橋したPPHSの乗った石英ガラス板上にこのポリシラン溶液を3,000rpm、10秒でスピンコートし、2mmHg/50℃で乾燥させて、トータル厚さ0.6μmの薄膜を作り、パターン形成用基板とした。この基板上にフォトマスクを重ね、20Wの低圧水銀灯を用いて254nmの紫外線を5J/cm2の光量で露光し、エタノールで現像し、PMPSの露光部を除去した(工程II)
【0079】
次いで、塩化パラジウムの3%エタノール溶液を作成し、ポリシラン基板と接触させた(工程III−1)。この基板をエタノールで洗浄後、更にPMPSの表面を研磨し、表面のパラジウムを除去した(工程III−2)。これを無電解鋼メッキ液〔メッキA液(硫酸銅・五水和物2.5g、酒石酸カリウムナトリウム・五水和物11.3g、水酸化カリウム2.8g、水83.4g)とメッキB液(37%ホルマリン水溶液7g、水93g)を等量混合したもの〕に25℃で15分浸漬するという工程により、優れたパターン精細度の銅回路を形成させた(工程III−3)。純水で洗浄後、60℃で5分乾燥し、最後に100℃で1時間処理することで、溝の中に形成された銅の導電層を持つ石英ガラス基板(配線基板)を得た。得られた石英ガラス基板の銅回路部の導電率、最小ライン幅を下記方法で測定した。結果は、下記の通りであり、精細度の優れた金属パターンが得られた。
【0080】
また、導電率については、銅膜の4端針法により測定した。銅回路のライン幅は、顕微鏡により測定した。
測定結果:銅回路部の導電率 1×104S/cm
銅回路部の最小ライン幅 1μm
【0081】
〔比較例2〕
工程Iの光照射による架橋処理を省いた以外は上記実施例6と同様にして石英ガラス基板を得た。得られた石英ガラス基板は、銅が露光部と未露光部の境界のみに生成し、露光部にも未露光部にも銅は生成しなかった。
【0082】
〔比較例3〕
工程Iの光照射による架橋処理を省き、かつ工程III−2のPMPSの表面の研磨を省いた以外は上記実施例6と同様にして石英ガラス基板を得た。得られた石英ガラス基板の銅回路部の導電率及び最小ライン幅を上記方法で測定したところ、下記の通りであった。
銅回路部の導電率 1×104S/cm
銅回路部の最小ライン幅 20μm
【図面の簡単な説明】
【図1】第一発明の製造方法の工程を示す概略図である。
【図2】第二発明の製造方法の工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基板
2 CFシラン含有ポリシラン薄膜
3 パラジウムコロイド層
4 感光性樹脂層
5 パタ−ンの溝
6 フォトマスク
7 導電性金属層
8 SiH基を持つポリシラン薄膜
8’ 光架橋した膜
9 パラジウムコロイド層
10 パラジウム塩層

Claims (8)

  1. (1)基板上に形成したカーボンファンクショナルシランを含有する下記一般式(1)で表わされるポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させ、表面にパラジウムコロイド層を形成する工程、
    (R1 m2 npSi)q (1)
    (但し、式中R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。m、n、pは0.1≦m≦2、0≦n≦1、0≦p≦0.5、1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000の整数である。)
    (2)上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成してこの溝内に上記パラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜を露出させる工程、
    (3)上記溝内のパラジウムコロイド層を有するポリシラン薄膜に無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程
    を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. カーボンファンクショナルシランが、アミノ基含有アルコキシシランである請求項記載の配線基板の製造方法。
  3. 工程(2)の感光性樹脂層をポリシラン系樹脂で形成し、更に、工程(3)の後に下記工程(4)を行う請求項1又は2記載の配線基板の製造方法。
    (4);工程(3)で得られた基板に高温処理を行い、全てのポリマー層をセラミックス化して絶縁層に変換し、無電解メッキにより形成した導電性金属層を安定化させる工程。
  4. (I)基板上に形成したSiH基含有ポリシラン薄膜を光照射し、ポリシランを架橋させて溶剤に不溶化させる工程、
    (II)上記架橋ポリシラン層上に感光性樹脂層を形成した後、選択的に光照射し、現像して、この感光性樹脂層に所定のパターンの溝を形成し、この溝内に上記架橋ポリシラン薄膜を露出させる工程、
    (III)上記溝内の架橋ポリシラン薄膜にパラジウム塩を接触させてパラジウムコロイド層を形成し、次いで無電解メッキ液を接触させ、この溝内に導電性金属層を形成する工程
    を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
  5. ポリシランが、下記一般式(2)
    (Hm2 npSi)q (2)
    (但し、式中R2は水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基、XはR2と同様の基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。m、n、pは0.1≦m≦2、0≦n≦1、0≦p≦0.5、1≦m+n+p≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000の整数である。)
    で表わされるものである請求項4記載の配線基板の製造方法。
  6. 基板上に形成させたポリシラン薄膜に照射する光の光量が0.001〜100J/cm2である請求項4又は5記載の配線基板の製造方法。
  7. 無電解メッキ液が銅及びニッケルから選ばれる金属イオンを含むものである請求項4乃至6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  8. 工程(II)の感光性樹脂層をポリシラン系樹脂で形成し、更に、工程(III)の後に下記工程(IV)を行う請求項4乃至7のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
    (IV);工程(III)で得られた基板に高温処理を行い、全てのポリマー層をセラミックス化して絶縁層に変換し、無電解メッキにより形成した導電性金属層を安定化させる工程。
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