JP4734544B2 - キャピラリー及びそれを用いたマイクロリアクター並びに該マイクロリアクターによる固相−液相−気相反応方法 - Google Patents

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Description

本発明は、キャピラリーと、このキャピラリーを用いたマイクロリアクター及びマイクロリアクターによる固相−液相−気相反応方法に関する。さらに、詳しくは、キャピラリーの内壁にポリシランを含む触媒を担持したキャピラリー及びそれを用いたマイクロリアクター並びにこのマイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法に関する。
不均一系触媒を用いる接触水素化反応、所謂、接触還元反応は化学工業の最も重要なプロセスの一つであり、芳香族ニトロ化合物や不飽和結合の水素化や水素化分解による脱ベンジル化反応等に広く利用されているが、しばしば収率の低下や反応の進行の遅れ等が認められている。これらの問題点は、触媒表面(固相)−溶液(液相)一水素ガス(気相)(以下、固相一液相一気相反応または三相系接触還元反応と称する。)の各層間接触面積を増大させることにより改善されるため、激しく撹拌したり、水素ガスを細かい泡として吹き込む等の工夫が試みられてきた。通常の反応容器(以下、適宜フラスコ反応と呼ぶ)による接触水素化反応では、系内に水素ガス、溶媒蒸気、高活性な金属触媒が共存するため発火や爆発が生じる可能性がある。
近年、マイクロリアクターを用いる有機合成が急速に発展しつつある。マイクロリアクターはガラス等の不活性材料にその大きさが数〜数百μmのマイクロ流路(以下、適宜マイクロチャネルと称する。)を有する微小反応器の総称である。マイクロリアクターの反応器は小さいので、厳密な温度コントロールを容易に行なうことができる。従って、マイクロリアクターを用いる合成反応では、単位体積あたりの表面積が大きいため、(1)界面での反応効率が高い、(2)分子拡散による混合が効率的、(3)温度制御が容易、等の利点を有している。
このように、マイクロリアクターによる合成反応は通常の反応容器による合成反応よりも反応時間が早く、取り扱う液量も極微少で済む為にコストが低く、新規な化合物や薬品の為に開発用反応器として注目されている。
例えば、非特許文献1に記載のBesser等の報告においては、マイクロリアクターを用いた水素添加反応が記載されているが、マイクロチャネルの内壁部に触媒を固定化した気相−固相の二相反応である。
特許文献1及び非特許文献2には、マイクロ空間に還元触媒を充填させ、基質と水素ガスを吹き込むことにより反応の高効率化を図る例が報告されている。しかしながら、マイクロ空間に触媒を充填させ、基質を流すと内部では乱流が発生してしまい、微視的に見るとフラスコの状態を微少量で行なっていることになり、マイクロ空間の特徴を生かした系にはなっていない。さらに、圧力損失が低くなるよう流れの不均一化が起こってしまうため、却って変換効率が悪くなる可能性がある。
一方、特許文献2及び3、非特許文献3及び4には本発明者等により固相一液相一気相の三相系接触反応を短時間で収率良く行なうことのできるマイクロリアクターを用いた接触反応方法が報告されている。用いる金属触媒としては、金属触媒または金属錐体触媒を高分子またはポリマー内に固定化したポリマー封入触媒(以下、PI題触媒と呼ぶ。非特許文献5参照)が好適であった。
PI触媒をマイクロチャンネルの内壁から脱離しないように強固な接合とするために、PI触媒とマイクロチャンネルの内壁とを、共有結合で固定化、即ち担持するのが好ましい。マイクロチャンネルの内壁がガラスの場合には、PI触媒の表面をトリアルコキシシラン構造で修飾して、マイクロチャネルの内壁となるガラス表面のシラノール基と結合させる。ガラス表面をアミノ基が表面になるように修飾を施すことにより、直接PI触媒の高分子表面の適当な官能基、例えばエポキシ基と結合させることができる。これにより、PI触媒をマイクロチャンネルの内壁に強固に担持できる為、繰り返し使用に耐えることができる。
また、固体触媒相の被担持担体としてガラス基板を微細加工したマイクロチップのみならず、安価に市販されているガラスキャピラリー等も用いることが出来る。また、同様の手法でPI触媒を担持した複数のマイクロキャピラリーに対し、それぞれ独立に所定の流量で液体と気体を流すことにより、1本の変換能力を単純にキャピラリーの本数分だけ積算することのできるシステムが構築できる(特許文献4、非特許文献6)。
特許文献5〜7には、高分子であるポリシランが、金属クラスターやナノ粒子、光触媒で知られる酸化チタンのような金属酸化物の粒子を基盤上に分散させて保持するためのバインダーとして利用できることが開示されている。
一方、非特許文献7には、ナノ寸法の白金やパラジウムからなる微粒子をポリシランに担持した水素添加反応用の触媒が報告されている。
特開2006−36752号公報 WO2005−073151号公報 WO2006−080404号公報 特願2005−261406号公報 特開2006−307084号公報 特開平11−237266号公報 EP/2000/1016458 R. S. Besser, X. Ouyang, H. Surangalikar, Chemical Engineering Science, vol.53, p.19, 2003 Matthew W. Losey, Martin A. Schmidt, and Klavs F. Jensen, Ind. Eng., Chem., Res., vol.40, p.2555, 2001 Kobayashi, J.; Mori, Y.;Okamoto, K.;Akiyama, R.;Ueno, M.;Kitamori, T.;Kobayashi, S., Science, vol.304, p.1305, 2004 Kobayashi, J.;Mori, Y.;Kobayashi, S.; Chem. Commu., p.2567, 2005 Akiyama, R.; Kobayashi, S., J. Am. Chem. Soc., vol.125, p.3412, 2003 Kobayashi, J.;Mori, Y.; Kobayashi, S., Adv. Synth. Catal., vol.347, p.1889, 2005 Oyamada,H.; Akiyama, H.;Hagio, H.; Naito, T.;Kobayashi, S., Chem. Commun., p.4297, 2006
しかしながら、PI触媒は活性な金属クラスターが高分子に封入されている形状であるため、例えばヘキサンのような高分子を膨潤させる効果の無い溶媒を用いた時には基質が金属クラスターと接触しにくくなるため、高い活性効果を最大限に発揮できないことがある。
PI触媒を調整する際、各種ガラス表面と化学結合できる適当な官能基を高分子上に有する必要があるため、それら官能基を持ったモノマーの合成、更にはポリマー化が必要であり、若干の合成の煩雑さが生じていた。
本発明は、上記課題に鑑み、例えば水素化反応の触媒として有用で、使用後の再使用や繰り返しの連続使用が容易であり、触媒金属の漏出が無く繰り返し使用しても活性の低下しない、キャピラリーとこれを用いたマイクロリアクター並びにこのマイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、鋭意研究を重ねたところ、ポリシラン化合物と触媒活性を有する金属触媒とを含む溶液、或いは金属酸化物が分散したポリシラン化合物と触媒活性を有する金属触媒を含む溶液を調製後、その触媒溶液をキャピラリーに充填して溶媒を除去することにより、キャピラリーの表面で触媒溶液を均一に濃縮させ、加熱等の外部刺激により架橋を施し化学的なネットワークを形成させることにより強固に担持された金属触媒が、高活性な触媒として働き、例えば、基質溶液と水素ガスとを同時に流すと、キャピラリー内部で三相系反応を効率良くできることを見出し、本発明に至った。
上記目的を達成するため、本発明のキャピラリーは、管本体とこの管本体の内壁に担持される触媒と、を備えていて、触媒は、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成ることを特徴とする。
Figure 0004734544
ここで、R とR は側鎖置換基であり、R はアリール基又はフェニル基、R はメチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基である。
上記構成において、ポリシランのR は、好ましくはフェニル基であり、R は、好ましくはメチル基である。
金属触媒は、好ましくは、パラジウム、金、銀、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金の何れかである。
金属酸化物は、好ましくは、チタン、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、金、銀の何れかの金属の酸化物である。
触媒は、好ましくは、キャピラリーの管本体の内壁に熱架橋により担持される。
ポリシランと金属触媒とから成る触媒は、好ましくは、金属触媒1mmolに対してポリシランが0.1gから1000gの範囲で含有される。
ポリシランと金属触媒と金属酸化物から成る触媒は、好ましくは、金属触媒1mmolに対して、ポリシラン及び金属酸化物が0.1gから1000gの範囲で含有される。
管は、好ましくはガラスからなる。
上記キャピラリーによれば、マイクロリアクターの反応部などに使用でき、キャピラリーの内壁に担持される触媒により種々の化学反応を効率良く行うことができる。
上記目的を達成するため、本発明のマイクロリアクターは、キャピラリーと、キャピラリーへ液相となる基質を溶解した溶液を供給する溶液供給部と、キャピラリーへ気相となる気体を供給する気体供給部と、キャピラリーにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、キャピラリーは管本体を有し、管本体の内壁に固相となるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、ポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成る触媒が担持され、キャピラリーは一端が溶液供給部及び気体供給部へ接続され、他端が回収部へ接続され、基質を溶解した溶液及び基質と反応する気体を、キャピラリーへ所定の流量で連続的に流すことを特徴とする。
上記構成において、さらに制御部を有し、溶液供給部及び気体供給部をキャピラリーの流路へ所定の流量で連続的に流すように制御すれば好ましい。
上記構成によれば、本発明のマイクロリアクターに使用するポリシランを含む触媒は、金属酸化物とキャピラリーの内壁との間を埋めることができ、触媒自体が高活性を維持しつつ、かつ、繰り返し使用に耐える。したがって、従来の高分子固定化触媒と比べて極めて高効率で還元体を供給でき、担持された金属触媒や金属酸化物の流出も無く、繰り返し若しくは長時間連続運転も可能となる。
本発明のマイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法は、流路の内壁に固相となるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、ポリシランと金属触媒と金属酸化物から成るポリシラン担持型触媒を担持したキャピラリーを用い、キャピラリーの流路に、液相となる被還元物質を溶解した溶液及び気相となるガスを流し、溶液とガスとの反応をポリシラン担持型触媒により促進される固相−液相−気相反応で行うことを特徴とする。
上記構成によれば、マイクロリアクターに使用するポリシランを含む触媒は、金属酸化物とキャピラリーの内壁との間を埋めることができ、触媒自体が高活性を維持しつつ、かつ、繰り返し使用に耐えるので、効率良く固相−液相−気相反応を行うことができる。
気相としては、好ましくは水素ガスが好適である。これにより、基質を含む溶液と水素ガスによる水素化反応を効率良く行うことができる。
本発明のキャピラリー及びマイクロリアクターによれば、キャピラリーの内壁に固相となるポリシラン担持型触媒を担持しているので、触媒自体が高活性を維持しつつ、かつ、繰り返し使用に耐える。したがって、従来の高分子固定化触媒と比べて極めて高効率で還元体を供給でき、担持された金属触媒や金属酸化物の流出も無く、繰り返し若しくは長時間連続運転も可能である。
本発明のマイクロリアクターを用いれば、水素ガスを用いた還元反応、鈴木−宮浦カップリング反応、薗頭カップリング反応、ポリシラン担持型白金触媒のオレフィンに対するヒドロシリル化反応をそれぞれ高効率的に進行させることができる。キャピラリーの内壁に対して触媒を担持する方法も簡便であり、固相−液相−気相反応に用いる溶媒の制限を受けない。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態に用いるキャピラリー及びマイクロリアクターの構成を模式的に示す図である。図2は図1のY−Y線に沿う断面図である。
マイクロリアクター1は、キャピラリー2と、キャピラリー2へ液相となる基質を溶解した溶液7を供給する溶液供給部10と、キャピラリー2へ気相となる気体を供給する気体供給部20と、キャピラリー2を通過した反応生成物を含む溶液7を回収する回収部30と、を備えている。
図2に示すように、キャピラリー2は、不活性材料のガラスなどからなる中空の管本体3と、この管本体3の内壁3aに担持される触媒5と、を備えて構成されている。この触媒5はポリシラン担持型触媒である。管本体の中空部3bが溶液7や気体の流路となる。ここで、管本体3は、市販されているガスクロマトグラフ用のフューズドシリカキャピラリーを始め、アルミナキャピラリー、チタニアキャピラリー、ジルコニアキャピラリー等のいずれの素材を用いても構わないが、好適にはシリカキャピラリーである。シリカは、フューズドシリカを用いることができる。断面形状も丸、三角、四角、楕円、長四角、星型の何れでも構わない。キャピラリーに流れる気体の流れを均一にするためには、キャピラリー2の断面形状は丸筒形状が好ましい。
管本体3は、例えば5μm〜5mmの内径を有しており、100μm〜800μmが特に好ましい。長さは特に制限はない。
溶液供給部10は、基質を溶解した溶液7と、溶液7をキャピラリー2に送出する溶液流量調整部6と、キャピラリー2への配管12とから構成されている。溶液流量調整部6には、シリンジポンプなどの送液ポンプを用いることができる。
気体供給部20は、水素9を供給する水素ガスボンベ9aと、水素ガスボンベを開閉しその流量を調節するガスバルブ8と、配管13とから構成されている。水素ガスの微小流量を制御する場合には、必要に応じてマスフローコントローラーなどを用いたガス流量調整部14を設けてもよい。
図示の場合には、キャピラリー2の一端には、コネクタ11を介して送液ポンプ6からの配管12と水素ガス配管13とが接続されている。コネクタ11はフッ素樹脂やステンレスからなるT型コネクタを用いることができる。配管12,13は、フッ素樹脂やステンレスからなるチューブを使用することができる。水素ガスボンベ9aはガスバルブ8とテフロン(登録商標)チューブ13などにより接続され、マスフローコントローラーなどを用いた流量調整部14によりその供給量が制御される。溶液7及び水素9は、キャピラリーの入力部2aにおいて合流する。回収容器などからなる回収部30は、キャピラリーの出力部2bにテフロン(登録商標)チューブなどにより接続されている。
本発明のマイクロリアクター1には、キャピラリー2内部の流体の形態を測定して、溶液流量調整部6及びガス流量調整部14を制御してもよい。後述する実施例の水素化反応では、パイプフロー状態が好ましい。このパイプフローであるか否かの判断のような流体の形態判定のためには、キャピラリー2内部の流体の形態を計測するセンサーと、このセンサーからの出力が入力される制御部と、をさらにマイクロリアクター1に備えるようにして、この制御部により、溶液流量調整部6及びガス流量調整部14を制御するようにしてもよい。
本発明の特徴は、キャピラリー2の管本体3の内壁3aに担持させるポリシラン担持型触媒5にある。本発明のポリシラン担持型触媒5は、ポリシランと金属触媒又はポリシランと金属触媒と金属酸化物とからなるポリシラン担持型触媒である。ポリシランは化学式(1)で表わされる化合物である。
Figure 0004734544
ここで、RとRは側鎖置換基である。Rは、アリール基又はフェニル基であり、好ましくはフェニル基である。Rは、メチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基であり、好ましくはメチル基である。ポリシランの重量平均分子量(Mw)は2千から50万程度が望ましい。
ポリシランはアルキルシランやアリールシランを基本単位とする有機ケイ素(Si)高分子であり、酸化ケイ素(シリカ)、アルミナ、チタニア、ジルコニア等と言った金属酸化物と強い親和力で配位性結合をする。また、ケイ素−ケイ素結合上のσ結合は比較的π結合性を持つことが知られており、金属クラスター等の金属自体とも一種のπ−M結合性を示し、クラスター自体を安定に固定化することのできる担持剤として用いることができる。
金属触媒としては、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)の何れかの金属触媒若しくは金属錯体及びそれらの前駆体金属触媒を用いることができる。
金属酸化物としては、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)のいずれかの金属の酸化物を用いることができる。チタン酸化物としては、TiO2を用いることができる。TiO2はルチル型やアナターゼ型の結晶でもよい。アルミニウム酸化物としては、Al23を用いることができる。チタン酸化物のTiO2やAl23の詳細な作用機構に関しては不明であるが、ポリシラン担持型触媒5からの金属触媒や金属酸化物自体の漏れ出しを防ぐばかりでなく、触媒反応の活性も向上させる効果がある。
次に、本発明の触媒を管本体3の内壁3aに担持する方法について説明する。
ポリシランと有機溶媒との混合溶液を調製し、次に、触媒となる金属化合物を加え撹拌して反応混合物を調製する。この反応混合物を管本体3内に充填し、有機溶媒を加熱留去した後、所定温度で加熱し、反応混合物を熱架橋することで、本発明のポリシラン担持金属触媒5を管本体3の内壁3aに固定化することができる。
上記反応混合物を充填後、濃縮乾燥させる手段としては、加熱乾燥、ガス吹き込みによるブロー、真空下における蒸散等の何れかの手法を用いることができる。
架橋操作は、加熱若しくは電磁波照射等の外部刺激を与えるが、加熱が簡便な操作であり好ましい。加熱温度は50℃〜300℃程度に設定し、100〜160℃が特に好ましい。加熱時間は10分から48時間が好ましく、1時間〜12時間が特に好ましい。
さらに、本発明のポリシラン担持型触媒5がポリシランと金属触媒と金属酸化物とからなる場合には、上記反応混合物に金属酸化物を加えて撹拌して、この金属酸化物添加反応混合物を管本体3内に充填し、有機溶媒を加熱留去した後、所定温度で加熱し、金属酸化物添反応混合物を熱架橋することで、管本体3の内壁3aに担持することができる。
図3は、ポリシラン担持型触媒5の製造方法の一例を説明する図である。図3に示すように、ポリシランと酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)とTiO2とTHFからなる反応混合物が、加熱されることで架橋され、例えばガラスからなる管本体3の内壁3aにポリシラン担持型触媒5を固定することができる。
上記有機溶媒としては、触媒活性を有する金属触媒若しくは金属錯体及びそれらの前駆体と反応若しくは強固に配位して不活性化してしまうものを除き、ポリシラン化合物を溶解させ、金属酸化物及び触媒活性を有する金属触媒若しくは金属錯体及びそれらの前駆体を均一に分散させることができる溶媒であれば何れの溶媒でもよい。好適な溶媒は、テトラハイドロフラン(以下、適宜にTHFと称する。)である。
ポリシラン担持型触媒5を管本体3の内壁3aに担持する場合、金属触媒1mmolに対してポリシランを0.1gから1000gの範囲で含有していればよい。好ましくは1g〜100gの範囲である。金属酸化物をさらに添加する場合には、金属触媒1mmolに対してポリシランを0.1gから1000gの範囲で含有していればよい。好ましくは1g〜100gとすればよい。
本発明のマイクロリアクター1を用いて固相−液相−気相反応を行うには、送液ポンプ6から液相反応液7を、ガスバルブ8から水素9をキャピラリー2内の流路3bにパイプフローとなるように注入する。キャピラリー2の流路3bを通過中に、その内壁3aに担持したポリシラン担持型触媒5の作用により、キャピラリー2の流路3bを通過する反応溶液及び水素を反応させる。反応により生成した反応生成物を含む溶液7は、回収容器などからなる回収部30に集められ、必要に応じて外部に取り出される。
図4は、本発明のマイクロリアクターの流路を通過する溶液及び水素の状態を示す断面図である。図示するように、キャピラリー2の流路3bを通過する水素18は、キャピラリー2の中心部を通過する。キャピラリー2を通過する溶液16は、通過する水素18とキャピラリー2の内壁3aに担持されたポリシラン担持型触媒5との間を通過し、所謂、パイプフロー状態となり、キャピラリーの入力部2aから出力部2bまでを通過する。この際、溶液7の流量調整部及び水素9の流量調整部14により、溶液7及び水素9の流量が上記のパイプフロー状態となるように制御される。
本発明のマイクロリアクター1を用いた固相−液相−気相反応によれば、水素ガスを用いた還元反応、鈴木−宮浦カップリング反応、薗頭カップリング反応、ポリシラン担持型白金触媒がオレフィンに対するヒドロシリル化反応をそれぞれ高効率的に進行させることができる。
特に、パラジウムと酸化チタン又は酸化アルミニウムとを添加したポリシラン担持型触媒5を用いて連続反応を行ったところ、24時間後においても転化率の低下はなく、パラジウムの漏れ出しも観測されなかった。このマイクロリアクター1は反応後の再使用も可能であり、種々の基質に適用できることがわかった。
本発明のマイクロリアクター1に使用するポリシラン担持型触媒5は、金属触媒とキャピラリーやマイクロチャネル壁面との間を埋めることができ、触媒自体が高活性を維持しつつ、かつ、繰り返し使用に耐える。したがって、従来の高分子固定化触媒と比べて極めて高効率で還元体を供給でき、担持された金属触媒や金属酸化物の流出も無く、繰り返し若しくは長時間連続運転も可能である。
本発明のキャピラリー2を用いたマイクロリアクター1によれば、水素9を用いた還元反応、鈴木−宮浦カップリング反応、薗頭カップリング反応、ポリシラン担持型白金触媒がオレフィンに対するヒドロシリル化反応をそれぞれ高効率的に進行させることができる。ポリシラン担持型触媒5の管本体3の内壁3aへの担持方法も簡便であり、反応に用いる溶媒の制限を受けないことが特徴である。
本発明の三相系接触還元反応方法によれば、被還元物質を含む溶液7を触媒が担持された管本体3の内壁3aに接するように流し、水素9が管本体3の中央部を流れる、所謂パイプフロー状態で三相系接触反応を短時間で行うことができる。この際、管本体3の内壁3aにポリシラン担持型触媒5が担持されているので、例えば高価なパラジウムを含む触媒の回収再生の手間が不要となり、さらに、マイクロリアクター1による反応であるので、反応に使用する被還元物質、溶媒、水素9の使用量も激減することから、低コストである。
また、多数のキャピラリー2を平行に並べるだけで、反応装置のスケールアップは容易であるので、望ましい生成物を容易に迅速に、且つ必要量だけ得られ、原料消費量、所要時間、空間が少なく、分離精製のような処理を要しないほど純粋な形で生成物を得ることができる。
したがって、本発明の三相系接触還元反応方法によれば、医薬とその製造工程開発用の極めて好適な反応方法となる。また、グリーン化学(環境適合化学)にも好適である。
以下、実施例により本発明の実施の形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1に示すマイクロリアクター1として、管本体3の内壁3aにポリシラン担持型パラジウム触媒5を担持してマイクロリアクター1を作製した。最初に、図3に示すポリシランを合成した。このポリシランは、化学式(1)においてR1がフェニル基であり、R2がメチル基である。
(ポリシランの合成)
アルゴンガス雰囲気において、THF3.5リットルに細かく裁断したナトリウム片(和光純薬株式会社製)388gを加え、これにジクロロメチルフェニルシラン(ALDRICH社製)1592gを滴下漏斗を用いて75分かけてゆっくり滴下し、溶液を調製した。次いで、溶液を加熱還流下で3時間撹拌した後、放冷し、トルエン2リットルを加え、氷冷後に滴下漏斗を用いて2リットルの水を滴下した。この溶液を分液漏斗によりトルエン層及び水層からなる2層に分離した。分離したトルエン層を水及び飽和塩化ナトリウム水で洗浄して生成物を得た。分離した水層はトルエン0.5リットルを用いて生成物を抽出した後、生成物を5%クエン酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水を用いて順に洗浄して、生成物を得た。
次いで、トルエン層及び水層から抽出した生成物である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、残った溶媒を留去して残渣を得た。この残渣にメタノール約3リットルを加え、析出した沈殿物をろ取し、乾燥することにより約668gの組成物を得た。
上記のようにして得た組成物をトルエン1.6リットルに溶解し、イソプロパノール2.8リットルを加えて組成物を再度沈殿し、析出物をろ取した後、トルエン及びイソプロパノールからなる混合溶媒(トルエン:イソプロパノール=1:4)で洗浄し、次いでメタノールで洗浄した。析出物を乾燥して、434gのポリシランを得た。収率は46%であった。合成したポリシランの重量平均分子量(Mw)は20967であり、数平均分子量(Mn)は8198であり、数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)は2.56であった。
合成したポリシラン(500mg)にテトラヒドロフラン(4cm3)を加えて氷浴にて冷却した。次いで、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2、11.2mg,0.05mmol)を撹拌下でゆっくり加えた。反応混合物を氷浴下で1時間撹拌した後、室温に戻した。反応混合物をシリカキャピラリーチューブ(GL Science社製、内径0.53mm、外径0.66mm、長さ1500mm)に充填し、テトラヒドロフランを加熱留去した後、120℃で、12時間熱架橋しポリシラン担持パラジウム触媒5を固定したキャピラリー2を作製し、このキャピラリー2を500mmに切断して、実施例1のマイクロリアクター1を製造した。
被還元物質となる基質として、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(23.6mg,0.1mmol)を溶媒となるテトラヒドロフランに溶解し1cm3とした。上記マイクロリアクター1に、水素流量2cm3/分、シリンジポンプ流量0.1cm3/時間に設定し、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの水素化反応を開始した。反応開始1時間から反応溶液の捕集を開始し、5時間捕集を行った。
上記水素化反応の転化率は、ガスクロマトグラフ装置(以下、GCと呼ぶ)及び核磁気共鳴装置(以下、1H−NMRと呼ぶ)により測定した。ガスクマトグラフ装置は島津製作所製の装置(GC−2010)を用い、核磁気共鳴装置は日本電子株式会社製の装置(JNM−ECX400)を用いた。回収部30で回収した溶液中のパラジウムや金属酸化物の金属の含有量はICP発光分析法による分析装置(島津製作所製、ICPS−7510)で分析した。
実施例1の反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンがほぼ完全に水素化され、転化率76%で2,4−ジフェニル−2−メチルペンタンが得られた。ICP発光分析の結果、反応溶液のパラジウム含有量は検出限界以下で検出されなかった。
ポリシラン(500mg)にテトラヒドロフラン(4cm3)を加えて水浴にて冷却した。次いで、酢酸パラジウム(11.2mg,0.05mmol)を撹拌下でゆっくり加えた。反応混合物を氷浴下で1時間撹拌した後、室温に戻し、酸化チタン(TiO2、500mg,6.2mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。この酸化チタンはアナターゼ型(関東化学株式会社製、酸化チタン(IV)、純度99.5%)であり、粒径は100nm〜300nmである。反応混合物をシリカキャピラリーチューブ(GL Science社製、内径0.53mm、外径0.66mm、長さ1500mm)に充填し、テトラヒドロフランを加熱留去した後、120℃で12時間熱架橋して酸化チタンとパラジウムとを含むポリシラン担持触媒5をキャピラリー2に固定した。このキャピラリー2を500mmに切断したものを用いて、実施例2のマイクロリアクター1とした。
被還元物質として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用い、実施例1と同様に水素化反応を行った。実施例2の反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で2,4−ジフェニル−2−メチルペンタンが得られた。ICP発光分析の結果、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界以下で検出されなかった。
熱架橋の温度及び時間を140℃、4時間とし、実施例2と同様の方法でキャピラリー2を作製し、このキャピラリー2を500mmに切断し、実施例3のマイクロリアクターを作製した。
被還元物質として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用い、実施例1と同様に水素化反応を行った。実施例3の反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で2,4−ジフェニル−2−メチルペンタンが得られた。ICP発光分析の結果、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界以下で検出されなかった。
管本体3となるシリカチューブを、GL Science社製、内径200μm、外径350μm、長さ1500mm)とし、実施例2と同様の方法でキャピラリー2を作製し、このキャピラリー2を500mmに切断して、実施例4のマイクロリアクター1を作製した。
被還元物質として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用い、実施例1と同様に水素化反応を行った。実施例3の反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で2,4−ジフェニル−2−メチルペンタンが得られた。ICP発光分析の結果、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界以下で検出されなかった。
金属酸化物を酸化アルミニウム(Al2O3)とした以外は、実施例2と同様の方法でキャピラリー2を作製し、このキャピラリー2を500mmに切断し、実施例5のマイクロリアクター1とした。用いた酸化アルミニウム(SIGMA−ALDRICH社製、酸化アルミニウム ナノパウダー)の粒径は40nm〜47nmである。
被還元物質として、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用い、実施例1と同様に水素化反応を行った。実施例3の反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で2,4−ジフェニル−2−メチルペンタンが得られた。ICP発光分析の結果、反応溶液のパラジウム及びアルミニウムの含有量は検出限界以下で検出されなかった。
上記実施例1〜5において、用いたポリシラン担持型触媒の金属触媒、金属酸化物、熱架橋条件及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの水素化転化率を纏めて表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1のポリシランとパラジウムからなるポリシラン担持型触媒による水素化転化率が76%であるのに対して、実施例2〜5の金属酸化物(酸化チタン又は酸化アルミニウム)をさらに配合したポリシラン担持型触媒5の水素化転化率は何れも99%以上であり、ポリシラン担持型触媒5からのパラジウム、チタン及びアルミニウムの漏れ出しを防ぐばかりでなく、触媒反応の活性も向上させる効果があることが判明した。
Figure 0004734544
被還元物質としてシクロヘキセノンを用いた以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。
反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、シクロヘキセノンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上でシクロヘキサノンが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0061μmol以下で検出されなかった。
被還元物質として3−フェニル−2−プロピン−1−オールを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、3−フェニル−2−プロピン−1−オールがほぼ完全に水素化され、転化率99%で3−フェニル−1−プロパノールが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0061μmol以下で検出されなかった。
被還元物質として1−フェニルシクロヘキセンを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、1−フェニルシクロヘキセンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上でフェニルシクロヘキサセンが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0028μmol以下で検出されなかった。
被還元物質として10−ウンデセン−1−オールを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、10−ウンデセン−1−オールがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で1−ウンデカノールが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0061μmol以下で検出されなかった。
被還元物質としてエチル−10−ウンデセノエートを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、エチル−10−ウンデセノエートがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上でエチルウンデカノエートが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0061μmol以下で検出されなかった。
被還元物質として3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上で3,7−ジメチル−1−オクタノールが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0028μmol以下で検出されなかった。
被還元物質としてニトロベンゼンを使用した以外は、実施例2のマイクロリアクター1を使用し、実施例1と同じ条件で水素化反応を行い、5時間捕集を行った。
反応生成物をGC及び1H−NMRで分析したところ、ニトロベンゼンがほぼ完全に水素化され、転化率99%以上でアニリンが得られた。ICP発光分析で分析したところ、反応溶液のパラジウム及びチタンの含有量は検出限界の0.0061μmol以下で検出されなかった。
上記実施例6〜12の基質と基質の水素化による生成物、転換率、回収した反応溶液のパラジウム及びチタンの金属含有量を纏めて表2に示す。
Figure 0004734544
表2から明らかなように、実施例6〜12によれば、ポリシラン担持型触媒5としてパラジウム及び酸化チタンを含む触媒により種々の基質の水素化反応の転化率を99%以上とすることができる。
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
本発明のマイクロリアクターは、医薬品中間体などのファインケミカルの製造プロセスに組み込むことが可能であり、標的化合物の探索や絞り込みに用いることができる。また、環境調和型の反応であることによる需要が見込まれる。本発明のマイクロリアクターを用いて、大豆レシチンなども還元できるので食品分野にも応用が可能である。
本発明の実施の形態に用いるマイクロリアクターの構成を模式的に示す図である。 図1のY−Y線に沿う断面図である。 ポリシラン担持型触媒の製造方法の一例を説明する図である。 本発明のマイクロリアクターの流路を通過する溶液及び水素の状態を示す断面図である。
符号の説明
1:マイクロリアクター
2:キャピラリー
2a:入口
2b:出口
3:管本体
3a:内壁
3b:中空部(流路)
5:ポリシラン担持型触媒
6:送液ポンプ
7:被還元物質を溶解した溶液
8:ガスバルブ
9:水素
9a:水素ガスボンベ
10:溶液供給部
11:コネクタ
12,13:配管
14:水素の流量調整部
16:キャピラリーを通過する溶液
18:キャピラリーを通過する水素
20:気体供給部
30:回収部

Claims (13)

  1. 管本体とこの管本体の内壁に担持される触媒と、を備えていて、
    上記触媒が、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒とから成ことを特徴とする、キャピラリー。
    Figure 0004734544
    ここで、R とR は側鎖置換基であり、R はアリール基又はフェニル基、R はメチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基である。
  2. 管本体とこの管本体の内壁に担持される触媒と、を備えていて、
    上記触媒が、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成ることを特徴とする、キャピラリー。
    Figure 0004734544
    ここで、R とR は側鎖置換基であり、R はアリール基又はフェニル基、R はメチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基である。
  3. 前記ポリシランのR はフェニル基であり、R はメチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。
  4. 前記金属触媒は、パラジウム、金、銀、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金の何れかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。
  5. 前記金属酸化物は、チタン、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、金、銀の何れかの金属の酸化物であることを特徴とする、請求項に記載のキャピラリー。
  6. 前記触媒は、前記キャピラリーの管本体の内壁に熱架橋により担持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。
  7. 前記ポリシランと金属触媒とから成る触媒は、該金属触媒1mmolに対して該ポリシランが0.1gから1000gの範囲で含有されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャピラリー。
  8. 前記ポリシランと金属触媒と金属酸化物から成る触媒は、該金属触媒1mmolに対して、上記ポリシラン及び金属酸化物が0.1gから1000gの範囲で含有されていることを特徴とする、請求項に記載のキャピラリー。
  9. 前記管は、ガラスからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載のキャピラリーと、
    上記キャピラリーへ液相となる基質を溶解した溶液を供給する溶液供給部と、
    上記キャピラリーへ気相となる気体を供給する気体供給部と、
    上記キャピラリーにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、
    上記キャピラリーは管本体を有し、該管本体の内壁に固相となるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、ポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成る触媒が担持され、
    上記キャピラリーは一端が上記溶液供給部及び気体供給部へ接続され、他端が上記回収部へ接続され、
    上記基質を溶解した溶液及び基質と反応する気体を、上記キャピラリーへ所定の流量で連続的に流すことを特徴とする、マイクロリアクター。
  11. さらに制御部を有し、該制御部は、前記溶液供給部及び前記気体供給部を、前記キャピラリーの流路へ所定の流量で連続的に流すように制御することを特徴とする、請求項10に記載のマイクロリアクター。
  12. 請求項10又は11に記載のマイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法であって、
    上記キャピラリーの流路に、液相となる被還元物質を溶解した溶液及び気相となるガスを流し、
    上記溶液と上記ガスとの反応を上記ポリシラン担持型触媒により促進される固相−液相−気相反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法。
  13. 前記気相が水素ガスであることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロリアクターを用いた固相−液相−気相反応方法。
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