JP2006278647A - 回路基板用樹脂含浸基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、安定生産が可能で、回路基板の高密度化に対応できる回路基板用樹脂含浸基材を提供することを課題とする。
【解決手段】キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に芳香族液晶ポリエステルからなるマトリックス樹脂を含浸、乾燥させてなる回路基板用樹脂含浸基材。さらに、キャリアシートが回路基板用金属箔であること、芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布の坪量が6〜10g/mであること、芳香族液晶ポリエステル繊維の融点が290℃以下であることが望ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、回路基板用樹脂含浸基材に関する。
近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、回路基板も高密度化や配線パターンの微細化が進められており、そのような条件を達成する手段としては、回路基板の多層化が挙げられる。複数の配線層を積層して形成した多層回路基板は、一般にスルーホール、バイアホール、インタースティシャルバイアホールと呼ばれる、内壁を金属導電層で被覆したあるいは充填した貫通孔、非貫通孔といった細孔を通じて各層間の導通が行われており、回路の微細化に伴い、孔の小径化が進んでいる。この孔の小径化に伴い、孔の穴開け加工方法としては、従来のドリル加工による方法ではなく、レーザーによる穴開け加工が一般化している。
プリント配線板用絶縁性基材としては、ガラス織布にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等のマトリックス樹脂を含浸した樹脂含浸基材が一般的であるが、ガラス織布のレーザー穴開け加工性が低く、孔の内壁面の形状が悪化するという問題が発生した。
このような問題を解決するために、ガラス織布に換えて、ガラス不織布やアラミド不織布等の不織布が使用されている。不織布の場合、レーザー穴開け加工性が向上し、内壁面の形状が安定化する。
ところが、不織布は、織布と比較して、機械的強度が低い。従って、マトリックス樹脂含浸工程において、含浸タブから不織布を引き上げるときに、不織布が切断されてしまうことがあった。特に、回路基板の高密度化に対応した薄い不織布の場合、切断頻度が高いという問題があった。
このようなマトリックス樹脂含浸工程における問題を解決するために、耐熱温度150
℃以上の合成樹脂フィルムまたは回路用金属箔からなるキャリアシートの片面に液体状のマトリックス樹脂を塗布した後、その上に不織布または織布を積層し、さらに樹脂を含浸させて、乾燥、半硬化処理をすることで樹脂含浸基材を製造する方法が提案されている(特許文献1および3)。この方法では、キャリアシートに不織布を積層する際に、予め接着剤代わりにマトリックス樹脂もしくはそれに準ずるものを塗布する必要があり、工程数が多くなるという欠点がある。また、接着剤代わりのマトリックス樹脂と、その後に含浸したマトリックス樹脂との間で、層間剥離が起こりやすいという問題があった。
また、回路用金属箔の片面に液体状マトリックス樹脂を塗布した後、不織布または織布を積層し、次いで該樹脂を再流動する温度で加熱して、該不織布または織布に該樹脂成分を含浸させることにより、樹脂含浸基材を製造する方法が提案されている(特許文献2および3)。この方法で、均一な樹脂含浸基材を製造するためには、再流動化の際に、マトリックス樹脂を再加熱しなければならない。マトリックス樹脂は、硬化温度以上で加熱したり、硬化温度以下であっても、長時間加熱したりすると、完全に硬化してしまい、半硬化の樹脂含浸基材状態を保てなくなるという欠点がある。したがって、再流動化の温度、時間の制御を高精度に行わなければならないという問題があった。
さらに、回路基板用金属箔が不織布または織布と直接接触してしまうと、この接触部位から繊維に沿って、金属マイグレーションが発生するおそれがあり、回路基板用樹脂含浸 基材の絶縁性を損なうという問題があった(特許文献3)。
WO99/28126号公報 特開2003−249739号公報 特開2004−82687号公報
本発明の課題は、安定生産が可能で、回路基板の高密度化に対応できる回路基板用樹脂含浸基材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に芳香族液晶ポリエステルからなるマトリックス樹脂を含浸、乾燥させてなる回路基板用樹脂含浸基材を見いだした。また、該キャリアシートが回路基板用金属箔であること、芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布の坪量が6〜10g/mであること、芳香族液晶ポリエステル繊維の融点が290℃以下であることにより、より高性能な回路基板用樹脂含浸基材を提供することができることを見いだした。
本発明では、高密度化に対応した極薄不織布にマトリックス樹脂を含浸させてなる樹脂含浸基材において、キャリアシート上に不織布を設け、不織布の機械的強度を補う。不織布として、芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布を用いることで、該繊維の融点以上の温度で、キャリアシートと不織布を加圧圧着させることにより、接着剤が無い場合でも、キャリアシートと不織布を完全に一体化させることができる。
また、金属箔をキャリアシートとして使用した場合、吸水率が高い樹脂からなる不織布や織布を用いると、金属箔と不織布の接触部位から繊維に沿って、金属マイグレーションが発生することがある。本発明の樹脂含浸基材は、絶縁性基材に使用される不織布およびマトリックス樹脂の双方が、芳香族液晶ポリエステルであり、低吸湿性という特性を有するので、金属マイグレーションが発生しにくい。
本発明に関わる芳香族液晶ポリエステル繊維に使用される芳香族液晶ポリエステルおよびマトリックス樹脂に使用される芳香族液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。
芳香族液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、
等が挙げられる。なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、塩素原子、弗素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
該芳香族液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記化1〜化3に例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2006278647
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2006278647
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 2006278647
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基またはブチル基がより好ましい。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
耐熱性、機械物性のバランスから芳香族液晶ポリエステルは、前記A式で表される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ。
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ。
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ、または、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)と(C)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A)の一部を(A)に置換した組み合わせ。
本発明に関わる芳香族液晶ポリエステル繊維に使用される芳香族液晶ポリエステルとしては、p−ヒドロキシ安息香酸(A)と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(A)からなる構造単位の合計が65モル%以上であることが好ましく、両単位の合計量に対して2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の割合が5〜45モル%であることが好ましい。
本発明に関わる芳香族液晶ポリエステル繊維に使用される芳香族液晶ポリエステルとしは、必要に応じて、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、ポリアリレート、弗素含有樹脂など他のポリマーの1種または2種以上が含まれていても良い。また、酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤の1種または2種以上が配合されていても良い。芳香族液晶ポリエステル繊維中の芳香族液晶ポリエステル以外の成分は、50質量%以下であることが好ましい。
本発明に関わる芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布は、ノズルから該芳香族液晶ポリエステルを押し出す際に、ノズル先端近傍に設けられたスリットから高温高圧のガス流を吹き付けることにより、紡出ポリマーを細かい繊維状に吹き飛ばし、サクションしている捕集網上に捕集して製造されるメルトブロー不織布であることが好ましい。メルトブロー不織布は、繊維径を細くすることができ、かつ連続長繊維からなるので、同坪量の他の製造法による不織布と比較した場合、地合が良好で、かつ機械的強度も高いという利点がある。
本発明に関わる芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布において、その平均繊維径は、0.3〜35μm、好ましくは、1〜15μmである。また、坪量は、6〜30g/mが好ましく、6〜10g/mがさらに好ましい。
本発明に係わる芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布において、該芳香族液晶ポリエステルの融点は290℃以下であることが好ましい。該不織布とキャリアシートを積層する際にラミネート処理を行うが、融点が290℃を超えた芳香族液晶ポリエステル繊維では、ラミネート処理において高温、高圧が必要となるばかりでなく、キャリアシートの破損が発生するという問題が生じる。
本発明に関わるマトリックス樹脂として使用される芳香族液晶ポリエステルとしては、耐熱性の観点から、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよび4,4′−ジヒドロキシビフェニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
また、芳香族液晶ポリエステルの質量平均分子量は、特に限定されないが、10,000〜100,000であることが好ましい。
本発明に用いられる芳香族液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少ないと、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると、得られる芳香族液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、または無水イソ酪酸が好ましく用いられ、より好ましくは、無水酢酸が用いられる。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固相重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた芳香族液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。芳香族液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
本発明において、芳香族液晶ポリエステルからなるマトリックス樹脂は、適当な溶媒に溶解させた状態で使用する。芳香族液晶ポリエステル溶液を得るために用いられる溶媒は、下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30質量%以上含有する溶媒であり、常温または加熱下に芳香族液晶ポリエステルを溶解する。該溶媒としては、該フェノール化合物を60質量%以上含有する溶媒であることが好ましく、実質的に100質量%の該フェノール化合物を溶媒として用いることが、他成分と混合する必要がないためさらに好ましい。
Figure 2006278647
[式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも一つのAの置換位置は4位であることが好ましい(但し、水酸基の置換位置を1位とする)。]
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、弗素原子、または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。ハロゲン原子が弗素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。トリハロゲン化メチル基のハロゲンが弗素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物としては、価格と入手性の観点から、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく使用され、溶解性の観点から、p−クロロフェノールがより好ましく使用される。
該溶媒中には、溶液の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステルを析出させるものでなければ、該ハロゲン置換フェノール化合物以外に他の成分を含有していてもよい。含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物などが挙げられる。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステル溶液は、前記溶媒100質量部に対して、芳香族液晶ポリエステルを0.5〜100質量部を含有し、作業性あるいは経済性の観点から、1〜50質量部含有することが好ましく、3〜10質量部含有することがより好ましい。芳香族液晶ポリエステルの量が少ないと、生産効率が低下する傾向があり、多いと溶解が困難になる傾向がある。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステル溶液は、芳香族液晶ポリエステルを前記溶媒に溶解させることにより得ることができるが、該溶液は、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して溶液中に含まれる微細な異物を除去することが好ましい。
また、該芳香族液晶ポリエステル溶液には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラー、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が一種または二種以上添加されていてもよい。
本発明に係わるキャリアシートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアリルエーテルニトリル等の耐熱性合成樹脂フィルムを用いることが好ましい。該耐熱性合成樹脂フィルムからなるキャリアシートは、本発明の回路基板用樹脂含浸基材を使用する際には、剥離される。また、金属箔をキャリアシートとして使用した場合、そのまま回路基板形成用金属箔として使用することができる。金属としては、銅、鉄、アルミニウム等を使用することができるが、なかでも銅を用いるのが好ましい。
金属箔をキャリアシートとして使用した場合、吸水率が高い樹脂からなる不織布や織布を用いると、金属箔と不織布の接触部位から繊維に沿って、金属マイグレーションが発生することがある。本発明の樹脂含浸基材は、絶縁性基材に使用される不織布およびマトリックス樹脂の双方が、芳香族液晶ポリエステルであり、低吸湿性という特性を有するので、金属マイグレーションが発生しにくい。
キャリアシートの厚みは、特に限定されないが、20〜200μmであることが好ましい。キャリアシート上に不織布を設ける方法としては、キャリアシート上に直接メルトブロー法で不織布を設けた後熱圧着したり、また、メルトブロー法で得られた不織布をキャリアシート上に熱圧着したりする方法が挙げられる。熱圧着条件としては、100℃から芳香族液晶ポリエステル繊維の融点以下の温度で、50〜220kgf/cmの圧力が好ましい。
マトリックス樹脂の含浸は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、含浸法、塗布法、転写法等を使用することができるが、マトリックス樹脂を溶剤に溶解して調製したワニスをキャリアシート上に設けた不織布に含浸し乾燥する方法が好ましい。また、縦型ドライヤーにより非接触状態で乾燥するのが良い。本発明では、キャリアシート上に不織布を設けることで、機械的強度を向上させているので、縦型ドライヤーで乾燥しても、破れ、皺の発生といった問題を生じることがない。
本発明の樹脂含浸基材において、芳香族液晶ポリエステル溶液を、キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に含浸させ、溶媒を除去させることで得られるが、溶媒を除去した後のキャリアシートを除く部分の厚みは、30〜200μmが好ましい。
芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布
2−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸とからなる芳香族液晶ポリエステル(ポリプラスチック社製;ベクトラA950)を低露点エア式乾燥機にて十分乾燥し、二軸押出し機により押し出し、幅1mホール数1000のノズルを有するメルトブロー不織布製造装置に供給した。単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度310℃、熱風乾燥温度310℃、20Nm/分で、坪量8.7g/m、平均繊維径7.8μm、厚み49μm、引張強度(MD)3N/15mmの不織布Aを製造した。
キャリアシートとの積層
膜厚60μmのポリアリルエーテルニトリル樹脂フィルムに、上記不織布Aを積層し、温度310℃、圧力100kgf/cm、速度15cm/分でラミネート処理を行って、キャリアシートと不織布とを積層した。
芳香族液晶ポリエステルの調製
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4′−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進めた。得られた粉末は350℃で偏光顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、東洋製作所製の恒温恒湿機ADVANTEC AGX型により85℃/85%RH 168時間における吸水率を測定した結果、吸水率は0.1%以下であることを確認した。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0010(1GHz)であった。
芳香族液晶ポリエステル溶液の調製
上記工程により得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 0.5gをp−クロロフェノール 9.5gに加え、120℃に加熱した結果、完全に溶解した芳香族液晶ポリエステル溶液Bが得られた。
含浸処理
キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に、上記芳香族液晶ポリエステル溶液Bをキスコーティング方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、不織布にマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させた。キャリアシート剥離後の樹脂含浸基材について、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0016(1GHz)であった。
更にその後、樹脂含浸基材に対して、熱風式乾燥機により320℃、1時間熱処理を行った。マトリックス樹脂付着量は、67質量%であった。はんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察したところ、変形や膨れも見られなかった。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0005(1GHz)であった。
銅マイグレーション耐性
熱風式乾燥機のより320℃、1時間処理を行った後の上記樹脂含浸基材5枚の両面に厚さ18μmの銅箔を積層した。これをステンレススチール製の鏡面板間に配置して、280℃、20分、5Mpa加圧加熱し、続いて340℃、20分、5Mpaで加圧加熱し、積層成形を行った。得られた銅張積層板の厚みは、149μmであった。該銅張積層板に、0.2mmの貫通孔を1mm間隔で開け、無電解めっき処理および銅めっき処理を行い、25μmのめっき銅を銅張積層板全面に設けた。温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定したところ、1010Ω以上の絶縁抵抗を1000時間以上保持することができた。
キャリアシートとの積層
膜厚18μmの回路用銅箔に、実施例1で得られた不織布Aを積層し、温度310℃、圧力100kgf/cm、速度15cm/分でラミネート処理を行って、キャリアシートと不織布とを積層した。
含浸処理
キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に、実施例1で得られた芳香族液晶ポリエステル溶液Bをキスコーティング方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、不織布にマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させた。キャリアシート剥離後の樹脂含浸基材について、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0016(1GHz)であった。
更にその後、樹脂含浸基材に対して、熱風式乾燥機により320℃、1時間熱処理を行った。マトリックス樹脂付着量は、71質量%であった。はんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察したところ、変形や膨れも見られなかった。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0005(1GHz)であった。
実施例2で得られた樹脂含浸基材は、キャリアシートである銅箔を回路基板形成用銅箔として、そのまま使用することができる。
銅マイグレーション耐性
実施例2で得られた樹脂含浸基材のキャリアシートである銅箔とは反対面に、実施例1で得られた樹脂含浸基材(熱風乾燥機による320℃、1時間処理済み)を4枚重ね、その上に厚さ18μmの銅箔を積層した。これをステンレススチール製の鏡面板間に配置して、280℃、20分、5Mpa加圧加熱し、続いて340℃、20分、5Mpaで加圧加熱し、積層成形を行った。得られた銅張積層板の厚みは、153μmであった。該銅張積層板に、0.2mmの貫通孔を1mm間隔で開け、無電解めっき処理および銅めっき処理を行い、25μmのめっき銅を銅張積層板全面に設けた。温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定したところ、1010Ω以上の絶縁抵抗を1000時間以上保持することができた。
芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布とキャリアシートとの積層
2−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸とからなる芳香族液晶ポリエステル(ポリプラスチック社製;ベクトラA950)を低露点エア式乾燥機にて十分乾燥し、二軸押出し機により押し出し、幅1mホール数1000のノズルを有するメルトブロー不織布製造装置に供給した。メルトブロー不織布製造装置の不織布捕集面(金網)上に、厚み18μmのメッシュ状銅箔(キャリアシート)を流し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度310℃、熱風乾燥温度310℃、20Nm/分で、坪量6.9g/m、平均繊維径5.8μm、厚み40μmの不織布Cをキャリアシート上に製造し、次いで、温度300℃、圧力90kgf/cm、速度15cm/分でラミネート処理を行って、キャリアシートと不織布Cとを積層した。
含浸処理
キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に、上記芳香族液晶ポリエステル溶液Bを含浸方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、不織布にマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させた。キャリアシート剥離後の樹脂含浸基材について、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0016(1GHz)であった。
更にその後、樹脂含浸基材に対して、熱風式乾燥機により320℃、1時間熱処理を行った。マトリックス樹脂付着量は72質量%であった。はんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察したところ、変形や膨れも見られなかった。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0006(1GHz)であった。
銅マイグレーション耐性
熱風式乾燥機のより320℃、1時間処理を行った後の上記樹脂含浸基材5枚の両面に厚さ18μmの銅箔を積層した。これをステンレススチール製の鏡面板間に配置して、280℃、20分、5Mpa加圧加熱し、続いて340℃、20分、5Mpaで加圧加熱し、積層成形を行った。得られた銅張積層板の厚みは、165μmであった。該銅張積層板に、0.2mmの貫通孔を1mm間隔で開け、無電解めっき処理および銅めっき処理を行い、25μmのめっき銅を銅張積層板全面に設けた。温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定したところ、1010Ω以上の絶縁抵抗を1000時間以上保持することができた。
芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布
2−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸とからなる芳香族液晶ポリエステル(ポリプラスチック社製;ベクトラA950)を低露点エア式乾燥機にて十分乾燥し、二軸押出し機により押し出し、幅1mホール数1000のノズルを有するメルトブロー不織布製造装置に供給した。単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度310℃、熱風乾燥温度310℃、20Nm/分で、坪量13.6g/m、平均繊維径7.8μm、厚み58μm、引張強度(MD)10N/15mmの不織布Dを製造した。
キャリアシートとの積層
膜厚60μmのポリアリルエーテルニトリル樹脂フィルムに、上記不織布Dを積層し、温度310℃、圧力100kgf/cm、速度15cm/分でラミネート処理を行って、キャリアシートと不織布とを積層した。
含浸処理
キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に、芳香族液晶ポリエステル溶液Bをキスコーティング方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、不織布にマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させた。キャリアシート剥離後の樹脂含浸基材について、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0026(1GHz)であった。
更にその後、樹脂含浸基材に対して、熱風式乾燥機により320℃、1時間熱処理を行った。マトリックス樹脂付着量は、67質量%であった。はんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察したところ、変形や膨れも見られなかった。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0009(1GHz)であった。
銅マイグレーション耐性
熱風式乾燥機のより320℃、1時間処理を行った後の上記樹脂含浸基材5枚の両面に厚さ18μmの銅箔を積層した。これをステンレススチール製の鏡面板間に配置して、280℃、20分、5Mpa加圧加熱し、続いて340℃、20分、5Mpaで加圧加熱し、積層成形を行った。得られた銅張積層板の厚みは、193μmであった。該銅張積層板に、0.2mmの貫通孔を1mm間隔で開け、無電解めっき処理および銅めっき処理を行い、25μmのめっき銅を銅張積層板全面に設けた。温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定したところ、1010Ω以上の絶縁抵抗を1000時間以上保持することができた。
(比較例1)
エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたシート(FR−4、日立化成製、厚み800μm)をはんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察した。エポキシ樹脂含浸シートは一部が熱劣化しており基板自体の変形も見られた。また、また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.012(1GHz)であった。
(比較例2)
キャリアシートとの積層
膜厚60μmのポリアリルエーテルニトリル樹脂フィルムに、市販のガラスクロス(10g/m)を積層し、温度310℃、圧力100kgf/cm、速度15cm/分でラミネート処理を行ったが、キャリアシートとガラスクロスは接着できなかった。また、ポリアリルエーテルニトリル樹脂フィルムの代わりに、厚み18μmの銅箔を使用した場合も接着できなかった。
含浸処理
市販のガラスクロス(10g/m)に、芳香族液晶ポリエステル溶液Bをキスコーティング方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、ガラスクロスにマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させたが、塗布工程途中でシートが切断した。
芳香族液晶ポリエステル溶液Bが入っているパットに、市販のガラスクロス(10g/m)を浸漬し、熱風式乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、ガラスクロスにマトリックス樹脂である芳香族ポリエステルを含浸させた。樹脂含浸基材について、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0041(1GHz)であった。
更にその後、樹脂含浸基材に対して、熱風式乾燥機により320℃、1時間熱処理を行った。マトリックス樹脂付着量は、62質量%であった。はんだ温度280℃のはんだ浴に1分間浸漬させ表面状態を観察したところ、変形や膨れは見られなかった。また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0037(1GHz)であった。
銅マイグレーション耐性
熱風式乾燥機のより320℃、1時間処理を行った後の上記樹脂含浸基材5枚の両面に厚さ18μmの銅箔を積層した。これをステンレススチール製の鏡面板間に配置して、280℃、20分、5Mpa加圧加熱し、続いて340℃、20分、5Mpaで加圧加熱し、積層成形を行った。得られた銅張積層板の厚みは、195μmであった。該銅張積層板に、0.2mmの貫通孔を1mm間隔で開け、無電解めっき処理および銅めっき処理を行い、25μmのめっき銅を銅張積層板全面に設けた。温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定したところ、1010Ω以上の絶縁抵抗が700時間しか保つことができなかった。
(比較例3)
実施例1で得られた不織布Aに、実施例1で得られた芳香族液晶ポリエステル溶液Bをキスコーティング方式により塗布し、縦型熱風乾燥機(130℃)を用いて、溶媒を蒸発させ、不織布にマトリックス樹脂である芳香族液晶ポリエステルを含浸させたところ、皺が発生し、また、途中でシートが破断した。
以上のように、実施例では、高密度化に対応した極薄不織布にマトリックス樹脂を含浸させてなる樹脂含浸基材において、キャリアシート上に不織布を設け、不織布の機械的強度を補っているので、生産安定性が高い。また、芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布を用いることで、該繊維の融点以上の温度で、キャリアシートと不織布を加圧圧着させることが可能である。
また、本発明の実施例で得られた樹脂含浸基材は、絶縁性基材に使用される不織布およびマトリックス樹脂の双方が、低吸湿性の芳香族液晶ポリエステルであるため、誘電損失が非常に低い。このような樹脂含浸基材を用いた場合、水分が原因で発生する金属のマイグレーションが起こりにくいという利点がある。
本発明は、携帯電話、半導体パッケージ、マザーボード用等の多層プリント基板、フレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板などのプリント配線板に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. キャリアシート上に設けた芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布に芳香族液晶ポリエステルからなるマトリックス樹脂を含浸、乾燥させてなる回路基板用樹脂含浸基材。
  2. キャリアシートが回路基板用金属箔である請求項1記載の回路基板用樹脂含浸基材。
  3. 芳香族液晶ポリエステル繊維からなる不織布の坪量が6〜10g/mである請求項1または2記載の回路基板用樹脂含浸基材。
  4. 芳香族液晶ポリエステル繊維の融点が290℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の回路基板用樹脂含浸基材。
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