JP4649867B2 - 芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途 - Google Patents
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しかしながら、押出成形により得られる従前の芳香族液晶ポリエステルフィルムは成形時の異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度が弱いという問題があった。
かかる問題を解決するため、芳香族液晶ポリエステル溶液から得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1参照)。
溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒。
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A1)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、または、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A1)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
芳香族液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも一つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物などが挙げられる。
高誘電フィラ−の含有量は、芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して50〜700重量部の割合であることが好ましく、200〜500重量部の割合であることがより好ましい。
該含有量が少ないと、芳香族液晶ポリエステル溶液から得られるフィルムの誘電率を十分高くすることができない傾向があり、該含有量が多すぎると、樹脂のバインダとしての効果が少なくなり、得られるフィルムが脆くなる傾向がある。
尚、銅箔は圧延銅箔、電解銅箔どちらであっても利用できる。
また、高誘電フィラーを含有する芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは、積層あるいは巻回して、積層チップコンデンサー、フィルムコンデンサー、基板内蔵コンデンサーなどのコンデンサー部品あるいはアンテナモジュール、フロントエンドモジュールなどの電子部品として好適に利用される。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進め、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏向顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
上記工程により得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 8gをp−クロロフェノール 92gに加え、更に、高誘電フィラーとして富士チタン工業製のNPO−Sを24g加えた。芳香族液晶ポリエステルと高誘電フィラーとp−クロロフェノールから成る溶液を120℃に加熱した結果、芳香族液晶ポリエステル溶液が得られた。この溶液を銅箔(福田金属製圧延銅箔RCF−T5B−AN(厚み:35μm))に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃60分の条件で溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度320℃60分窒素雰囲気の条件で熱処理を行い、樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムのカールの測定は、長尺方向100mm×幅方向50mmの試験片に切り出し、カール面が上向きになるように静置して浮き上がりの最大高さを測定することで評価を行った。その最大高さは5mmであった。
使用した福田金属製圧延銅箔RCF−T5Bについて、熱処理前後の銅箔の引張弾性率を、島津製作所製オートグラフAG−5000DによりJISK7113に従って評価した。尚、引張試験速度は10mm/minであった。熱処理前の銅箔RCF−T5B−ANの引張弾性率は60GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は34GPaであった。
銅箔として福田金属製電解銅箔UN(厚み35μm)を使用した以外は実施例1と同様に樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。得られた積層フィルムから長尺方向100mm×幅方向50mmの試験片に切り出し、カール面が上向きになるように静置して浮き上がりの最大高さを測定した。その最大高さは15mmであった。使用した福田金属製電解銅箔UNについて、実施例1と同じように熱処理前後の銅箔の引張弾性率を評価した。熱処理前の銅箔の引張弾性率は74GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は45GPaであった。
銅箔として福田金属製電解銅箔CF−T9FZ−SV(厚み35μm)を使用した以外は実施例1と同様に樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの大きく反り、積層フィルムは丸まってしまっていた。使用した福田金属製電解銅箔CF−T9FZ−SVについて、実施例1と同じように熱処理前後の銅箔の引張弾性率を評価した。熱処理前の銅箔の引張弾性率は100GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は80GPaであった。
Claims (3)
- 下記溶媒100量部および芳香族液晶ポリエステル0.5〜100重量部を含有してなる芳香族液晶ポリエステル溶液を金属箔上に流延し、該溶媒を除去、熱処理してなる芳香族液晶ポリエステル積層フィルムであって、該金属箔として、該熱処理と同じ条件で熱処理したときの引張弾性率が50GPa以下である圧延銅箔又は電解銅箔を用いて得られる芳香族液晶ポリエステル積層フィルム。
溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒。
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。) - 芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、高誘電フィラ−を50〜700重量部さらに含有する請求項1記載の芳香族液晶ポリエステル積層フィルム。
- 請求項1または2記載の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを用いて得られる電子部品。
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