JP4649867B2 - 芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途 - Google Patents

芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途に関する。
芳香族液晶ポリエステルは、優れた低吸湿性、耐熱性、機械的強度を示すことから、射出成形により得られるコネクターなどの精密電子部品を中心に広く用いられている。近年、芳香族液晶ポリエステルをTダイ成形やインフレーション成形等の押出成形などによりフィルム化し、多層プリント基板やフレキシブルプリント基板用の絶縁膜へ応用することが注目されている。
しかしながら、押出成形により得られる従前の芳香族液晶ポリエステルフィルムは成形時の異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度が弱いという問題があった。
かかる問題を解決するため、芳香族液晶ポリエステル溶液から得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−114894号公報
特許文献1記載の芳香族液晶ポリエステルフィルムはプリント配線板などの電子部品用途に有望であるが、通常の金属箔上に芳香族液晶ポリエステル溶液を流延し、該溶媒を除去、熱処理して得られた芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは反りが発生することがあり、その取り扱い性が悪かった。特に、芳香族液晶ポリエステル溶液に高誘電フィラーをさらに含有してなる該芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは反りがより大きく発生しがちであった。かかる状況下、本発明の目的は、反りの少ない芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途を提供することにある。
即ち本発明は、下記溶媒100量部および芳香族液晶ポリエステル0.5〜100重量部を含有してなる芳香族液晶ポリエステル溶液を金属箔上に流延し、該溶媒を除去、熱処理してなる芳香族液晶ポリエステル積層フィルムであって、該熱処理と同じ条件で熱処理したときの該金属箔の引張弾性率が50GPa以下である該金属箔を用いて得られる芳香族液晶ポリエステル積層フィルム、ならびに、該芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを用いて得られる電子部品にかかるものである。
溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒。
Figure 0004649867
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
本発明によれば、反りの少ない芳香族液晶ポリエステル積層フィルムおよびその用途が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。
芳香族液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
該芳香族液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004649867
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004649867
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004649867
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基またはブチル基がより好ましい。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
耐熱性、機械物性のバランスから芳香族液晶ポリエステルは、前記A式で表される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ、または、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)と(C)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
該芳香族液晶ポリエステルとしては、耐熱性の観点から、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
また、芳香族液晶ポリエステルの重量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜100000であることが好ましい。
本発明に用いられる芳香族液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少ないと、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると得られる芳香族液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、または無水イソ酪酸が好ましく用いられ、より好ましくは、無水酢酸が用いられる。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた芳香族液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
芳香族液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
本発明において芳香族液晶ポリエステル溶液を得るために用いられる溶媒は、下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒であり、常温または加熱下に芳香族液晶ポリエステルを溶解する。該溶媒としては、該フェノール化合物を60重量%以上含有する溶媒であることが好ましく、実質的に100重量%の該フェノール化合物を溶媒として用いることが、他成分と混合する必要がないためさらに好ましい。
Figure 0004649867
式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも一つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられ、フッ素原子、または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物としては、価格と入手性の観点から、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく使用され、溶解性の観点から、p−クロロフェノールがより好ましく使用される。
該溶媒中には、溶液の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステルを析出させるものでなければ、該ハロゲン置換フェノール化合物以外に他の成分を含有していてもよい。
含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物などが挙げられる。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステル溶液は、前記溶媒100重量部に対して、芳香族液晶ポリエステルを0.5〜100重量部含有し、作業性あるいは経済性の観点から、1〜50重量部含有することが好ましく、3〜10重量部含有することがより好ましい。芳香族液晶ポリエステルの量が少ないと、生産効率が低下する傾向があり、多いと溶解が困難になる傾向がある。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステル溶液は、芳香族液晶ポリエステルを前記溶媒に溶解させることにより得ることができるが、該溶液は、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して溶液中に含まれる微細な異物を除去することが好ましい。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステル溶液は、高誘電フィラーをさらに含有していてもよい。該高誘電フィラーとしては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどのチタン酸塩、チタン酸バリウムのチタンあるいはバリウムの一部を他の金属に置き換えたもの、または、BaO、Bi2O3、La2O3、Nd2O3、Sm2O3、Al2O3およびTiO2からなる群から選ばれる少なくとも3種類を組み合わせてなるものが利用できる。
高誘電フィラ−の含有量は、芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して50〜700重量部の割合であることが好ましく、200〜500重量部の割合であることがより好ましい。
該含有量が少ないと、芳香族液晶ポリエステル溶液から得られるフィルムの誘電率を十分高くすることができない傾向があり、該含有量が多すぎると、樹脂のバインダとしての効果が少なくなり、得られるフィルムが脆くなる傾向がある。
更に該芳香族液晶ポリエステル溶液には、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラー、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が一種または二種以上添加されていてもよい。
本発明の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは、前記芳香族液晶ポリエステル溶液を、金属箔上に流延し、該溶媒を除去、熱処理して得られるものである。
前記金属箔としては、銅箔、銀箔、金箔、アルミ箔などが挙げられるが、通常一般に使用される金属箔としては銅箔あるいはアルミ箔が利用できる。中でも高剛性の銅箔がより好んで使用される。
尚、銅箔は圧延銅箔、電解銅箔どちらであっても利用できる。
本発明においては、芳香族液晶ポリエステル積層フィルムの製造に用いられる金属箔は、熱処理後の引張弾性率は50GPa以下のものである。ここでいう熱処理は、芳香族液晶ポリエステル積層フィルムの製造の際の熱処理と同じ条件とする。該引張弾性率が大きいと積層フィルムの反りが発生し易い。本発明においては、該引張弾性率が40GPa以下の金属箔を使用することがより好ましい。
本発明の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムにおいて、溶媒の除去方法は特に限定されないが、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。温度は80℃〜200℃程度が好ましく、時間は10〜90分程度が適切である。
本発明の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは、前記の通り、溶媒を除去した後、熱処理して得られる。該熱処理の温度としては、250℃以上350℃以下が好ましく、280℃以上330℃以下がより好ましい。熱処理の時間としては10分以上180分以下が好ましい。該熱処理は、窒素等の不活性気体雰囲気下で実施することが好ましい。
このようにして得られる本発明の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは、積層フィルムの反りも少なく、高耐熱性、低吸湿性などの優れた特性から、近年注目されているビルドアップ工法などにより得られる半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント基板、フレキシブルプリント配線板、テープオートメーテッドボンディング用フィルムなどに好適に用いられる。
また、高誘電フィラーを含有する芳香族液晶ポリエステル積層フィルムは、積層あるいは巻回して、積層チップコンデンサー、フィルムコンデンサー、基板内蔵コンデンサーなどのコンデンサー部品あるいはアンテナモジュール、フロントエンドモジュールなどの電子部品として好適に利用される。
尚、本発明の効果は、金属箔に対する芳香族液晶ポリエステルフィルムの厚み比が1/5以上の積層フィルムには特に有効である。金属箔に対する芳香族液晶ポリエステルフィルムの厚み比が低いと金属箔の引張弾性率の大小に因らず積層フィルムの反りは比較的少ない。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進め、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏向顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
上記工程により得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 8gをp−クロロフェノール 92gに加え、更に、高誘電フィラーとして富士チタン工業製のNPO−Sを24g加えた。芳香族液晶ポリエステルと高誘電フィラーとp−クロロフェノールから成る溶液を120℃に加熱した結果、芳香族液晶ポリエステル溶液が得られた。この溶液を銅箔(福田金属製圧延銅箔RCF−T5B−AN(厚み:35μm))に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃60分の条件で溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度320℃60分窒素雰囲気の条件で熱処理を行い、樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムのカールの測定は、長尺方向100mm×幅方向50mmの試験片に切り出し、カール面が上向きになるように静置して浮き上がりの最大高さを測定することで評価を行った。その最大高さは5mmであった。
使用した福田金属製圧延銅箔RCF−T5Bについて、熱処理前後の銅箔の引張弾性率を、島津製作所製オートグラフAG−5000DによりJISK7113に従って評価した。尚、引張試験速度は10mm/minであった。熱処理前の銅箔RCF−T5B−ANの引張弾性率は60GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は34GPaであった。
実施例2
銅箔として福田金属製電解銅箔UN(厚み35μm)を使用した以外は実施例1と同様に樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。得られた積層フィルムから長尺方向100mm×幅方向50mmの試験片に切り出し、カール面が上向きになるように静置して浮き上がりの最大高さを測定した。その最大高さは15mmであった。使用した福田金属製電解銅箔UNについて、実施例1と同じように熱処理前後の銅箔の引張弾性率を評価した。熱処理前の銅箔の引張弾性率は74GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は45GPaであった。
比較例1
銅箔として福田金属製電解銅箔CF−T9FZ−SV(厚み35μm)を使用した以外は実施例1と同様に樹脂層厚み40μmの芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの大きく反り、積層フィルムは丸まってしまっていた。使用した福田金属製電解銅箔CF−T9FZ−SVについて、実施例1と同じように熱処理前後の銅箔の引張弾性率を評価した。熱処理前の銅箔の引張弾性率は100GPaであった。一方、320℃60分窒素雰囲気下での熱処理後の銅箔の引張弾性率は80GPaであった。

Claims (3)

  1. 下記溶媒100量部および芳香族液晶ポリエステル0.5〜100重量部を含有してなる芳香族液晶ポリエステル溶液を金属箔上に流延し、該溶媒を除去、熱処理してなる芳香族液晶ポリエステル積層フィルムであって、該金属箔として、該熱処理と同じ条件で熱処理したときの引張弾性率が50GPa以下である圧延銅箔又は電解銅箔を用いて得られる芳香族液晶ポリエステル積層フィルム。
    溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒。
    Figure 0004649867
    (式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
  2. 芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、高誘電フィラ−を50〜700重量部さらに含有する請求項1記載の芳香族液晶ポリエステル積層フィルム。
  3. 請求項1または2記載の芳香族液晶ポリエステル積層フィルムを用いて得られる電子部品。
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