JP4414262B2 - 液晶ポリエステル溶液およびその製造方法ならびにそれより得られる液晶ポリエステルフィルム - Google Patents

液晶ポリエステル溶液およびその製造方法ならびにそれより得られる液晶ポリエステルフィルム Download PDF

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本発明は、液晶ポリエステル溶液およびその製造方法ならびにそれより得られる液晶ポリエステルフィルムに関する。
液晶ポリエステルは、優れた低吸湿性、高周波特性、耐熱性、機械的強度を示すことから、射出成形により得られるコネクターなどの精密電子部品を中心に広く用いられている。近年、液晶ポリエステルをTダイ成形やインフレーション成形などの押出成形によりフィルム化して、多層プリント基板やフレキシブルプリント基板の絶縁膜に使用することが検討されている。
しかしながら、押出成形により得られる従来の液晶ポリエステルフィルムは、成形時の異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引張強度が非常に弱く、フィルムの取り扱い中に破損が起こるという問題があった。
この問題を解決する方法として、液晶ポリエステルとハロゲン置換フェノールを含有する溶媒とを含有してなる溶液を流延した後、溶媒を除去して得られる液晶ポリエステルフィルムが知られている(特許文献1)。
特開2002−114894
特許文献1記載の方法で得られるフィルムを作成するには液晶性ポリエステルを長時間該溶媒中で溶解しなければならず、生産性の面で改良の余地が残されていた。本発明の目的は、より生産性に優れた液晶性ポリエステル溶液およびその製造方法ならびにより生産性に優れた液晶ポリエステルフィルムを提供することにある。
即ち本発明は、下記溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステル0.5〜100重量部を、酸素濃度5%以下の雰囲気下で140℃以上200℃以下の温度で溶解させて得られる液晶ポリエステル溶液にかかるものであり、また本発明は、下記溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステル0.5〜100重量部を、酸素濃度5%以下の雰囲気下で140℃以上200℃以下の温度で溶解させる液晶ポリエステル溶液の製造方法にかかるものである。そして本発明は、該液晶ポリエステル溶液より得られる液晶ポリエステルフィルムにかかるものである。
溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を含有する溶媒。
Figure 0004414262
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
本発明で使用される液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。
液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
該液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004414262
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004414262
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 0004414262
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基またはブチル基がより好ましい。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
耐熱性、機械物性のバランスから液晶ポリエステルは、前記A式で表される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)および(C)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ、または、
前記繰り返し構造単位(A)、(B)、(B)および(C)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C)の一部または全部を(C)と(C)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
該液晶ポリエステルとしては、耐熱性の観点から、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
また、液晶ポリエステルの重量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜100000であることが好ましい。
本発明に用いられる液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少ないと、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、135〜150℃で1時間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、または無水イソ酪酸が好ましく用いられ、より好ましくは、無水酢酸が用いられる。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜10℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜2℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
本発明において液晶ポリエステル溶液組成物を得るために用いられる溶媒は、下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒である。該溶媒としては、該ハロゲン置換フェノールを60重量%以上含有する溶媒であることが好ましく、実質的に100重量%の該ハロゲン置換フェノールを溶媒として用いることが、他成分と混合する必要がないためさらに好ましい。
Figure 0004414262
式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも一つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられ、フッ素原子、または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールとしては、価格と入手性の観点から、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく使用され、溶解性の観点から、p−クロロフェノールがより好ましく使用される。
該溶媒中には、溶液の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステルを析出させるものでなければ、該ハロゲン置換フェノール以外に他の成分を含有していてもよい。
含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物などが挙げられる。
本発明の液晶ポリエステル溶液は、前記溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステルを0.5〜100重量部を溶解させて得られる。液晶ポリエステルの配合量は、作業性あるいは経済性の観点から、前記溶媒100重量部に対する配合量として1〜50重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましい。該配合量が少ないと、生産効率が低下する傾向があり、該配合量が多すぎると、溶解が困難になる傾向がある。
本発明においては、前記溶媒に液晶ポリエステルを酸素濃度5%以下の雰囲気下に溶解させて液晶ポリエステル溶液を得る。該酸素濃度が高いと、得られるフィルムの強度が低下する。該酸素濃度として好ましくは2%以下である。なお、酸素以外の気体は窒素であることが好ましい。
前記溶媒への液晶ポリエステルの溶解は140℃以上200℃以下の温度で行われる。高い温度で溶解させるほど短時間で溶解させることができるが、高すぎると、得られる溶液を室温まで冷却させると溶液粘度が低く、得られるフィルムがもろくなる傾向がある。本発明においては低酸素濃度の雰囲気下で溶解させるので、かなり高い温度で液晶ポリエステルを溶媒に溶解させることができる。また、低い温度で溶解させると溶解させるのに時間を要し、生産性が悪い。本発明において、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させる温度として好ましくは、150℃以上180℃以下であり、155℃以上170℃以下であることがより好ましい。
液晶ポリエステル溶液は、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して溶液組成物中に含まれる微細な異物を除去することが好ましい。
また、該液晶ポリエステル溶液には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラー、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が一種または二種以上添加されていてもよい。
本発明の液晶ポリエステル溶液から液晶ポリエステルフィルムを得る方法としては、該液晶ポリエステル溶液をガラスや金属等の表面平滑な基板上に流延し、溶媒を除去する方法などが挙げられる。
溶媒除去の方法は、特に限定されないが、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。
得られた液晶ポリエステルフィルムには、必要に応じて、更に熱処理を行ってもよい。
このようにして得られた液晶ポリエステルフィルムは、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度に優れ、液晶ポリエステルの持つ低吸湿性、高周波特性などの優れた特性を有し、高強度であることから、近年注目されているビルドアップ工法などにより得られる半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント基板、フレキシブルプリント配線板、テープオートメーテッドボンディング用フィルム、その他8ミリビデオテープの基材、業務用デジタルビデオテープの基材、透明導電性(ITO)フィルムの基材、偏光フィルムの基材、各種調理食品用、電子レンジ加熱用の包装フィルム、電磁波シールド用フィルム、抗菌性フィルム、気体分離用フィルムなどに好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
なお、引張り強度の特性は下記の方法により測定した。
ASTM 4号ダンベルを用いて作成した厚さ20μmのダンベル状試験片を、島津製作所製 AUTOGRAPH AG−5000Dを用いてスパン距離20mmにて試験片を引張った時の最大破断点を引張り強度とした。
実施例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸 141g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進め、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏向顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、東洋製作所製の恒温恒湿機ADVANTEC AGX型により85℃/85%RH・168時間における吸水率を測定した結果、吸水率は0.1%以下であることを確認した。また、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.004(1GHz)であった。
上記工程により得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 1.0gをp−クロロフェノール 9.0gに加え、酸素濃度1.2%の窒素雰囲気下、160℃の条件において溶解させた結果、3時間後には完全に溶解し透明な溶液が得られた。更に、溶液粘度をトキメック製のB型粘度計を用いて測定したところ、溶液粘度は350ポイズ(25℃)であった。表1には溶解温度と溶液粘度および引張り強度の関係を示す。この溶液をガラス板上に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃、1時間の条件で溶媒を蒸発させ、更に熱風式乾燥機により250℃、1時間熱処理を行った結果、厚み25μmの芳香族液晶ポリエステルフィルムを得た。尚、溶液をガラス板上に流延させた際、溶液の流延性に優れ製膜性は良好であった。また、得られた芳香族液晶ポリエステルフィルムについて、王子測定機器製MOA−5012簡易分子配向計により配向パターンを測定した結果、縦方向と横方向の比が1であり異方性がないことを確認した。
比較例1
実施例1で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 1.0gをp−クロロフェノール 9.0gに加え、酸素濃度20.8%の大気下、120℃の条件において溶解させた結果、8時間後に完全に溶解し透明な溶液が得られた。溶液粘度をトキメック製のB型粘度計を用いて測定したところ、溶液粘度は780ポイズ(25℃)であった。この溶液をガラス板上に流延させようとしたところ、溶液粘度が高くて、流延性が悪かった。ホットプレートにより設定温度100℃、1時間溶媒を蒸発させ、更に熱風式乾燥機により250℃、1時間の条件で熱処理を行った結果、厚み25μmの芳香族液晶ポリエステルフィルムを得たものの、フィルムの表面には厚み斑や凹凸が見られ表面状態が悪かった。
比較例2
実施例1で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末 1.0gをp−クロロフェノール 9.0gに加え、酸素濃度20.8%の大気下、160℃の条件において溶解させた結果、3時間後に完全に溶解し透明な溶液が得られた。溶液粘度をトキメック製のB型粘度計を用いて測定したところ、溶液粘度は65ポイズ(25℃)であった。この溶液をガラス板上に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃、1時間の条件で溶媒を蒸発させ、更に熱風式乾燥機により250℃、1時間熱処理を行ったが、得られたものは脆くフィルムの形態では収得できなかった。
Figure 0004414262
芳香族液晶ポリエステル溶解量=10重量%

Claims (3)

  1. 下記溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステル0.5〜100重量部を、酸素濃度5%以下の雰囲気下で140℃以上200℃以下の温度で溶解させる液晶ポリエステル溶液の製造方法。
    溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を含有する溶媒。
    Figure 0004414262
    (式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記温度が150℃以上180℃以下である請求項1記載の液晶ポリエステル溶液の製造方法
  3. 請求項1または2記載の液晶ポリエステル溶液の製造方法により液晶ポリエステル溶液を、この液晶ポリエステル溶液を基板上に流延した後、溶媒を除去する液晶ポリエステルフィルムの製造方法
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