JP2004250687A - 高誘電樹脂組成物、高誘電樹脂フィルムおよびコンデンサー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高誘電フィラーと樹脂とを含有してなり、高誘電フィラーの比誘電率が下記式(1)および(2)を満足する高誘電樹脂組成物、ならびに、該組成物に更に溶媒を含有してなる組成物。ほか
[(εT-ε25)/ε25]MAX≦0.03 (1)
40≦ε25≦1000 (2)
(式中、εTは温度Tにおける高誘電フィラーの比誘電率を表わし、Tは−20℃以上80℃以下であり、ε25は温度25℃における高誘電フィラーの比誘電率を表わし、[(εT-ε25)/ε25]MAXは比誘電率変化量(εT-ε25)/ε25の絶対値の最大値を表わす。)
【選択図】 なし
Description
従来まで、樹脂にチタン酸バリウム等の高誘電フィラーを充填させた樹脂組成物を用いて誘電率が高い(比誘電率5以上)高誘電樹脂フィルムを製造することは可能であったが、誘電率が高くなるに伴って誘電正接も増加するという問題があった(非特許文献1)。
[(εT-ε25)/ε25]MAX≦0.03 (1)
40≦ε25≦1000 (2)
(式中、εTは温度Tにおける高誘電フィラーの比誘電率を表わし、Tは−20℃以上80℃以下であり、ε25は温度25℃における高誘電フィラーの比誘電率を表わし、[(εT-ε25)/ε25]MAXは比誘電率変化量(εT-ε25)/ε25の絶対値の最大値を表わす。)
中でも、耐熱性や誘電特性の観点から、芳香族液晶ポリエステル、芳香族ポリサルホン、または芳香族ポリエーテルイミドが好ましく使用される。
芳香族液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたものなどが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A1)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、または、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ。
前記繰り返し構造単位(A2)、(B3)および(C3)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)に組み合わせのそれぞれにおいて、(A1)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
芳香族液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
[式(D3)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン原子を表し、pは0〜4の整数を表し、qは1〜5の整数を表す。同一または異なる核上の各R1は互いに異なってもよく、各pも互いに異なってもよい。]
一般式(D2)におけるXが単結合の場合、当該Xの両側のベンゼン環は直接結合し合っている。
上式(E1)中で、R1 およびR2 はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、その具体例としては下記式のものが例示でき、下記式のいずれかであることが好ましい。
また、市販の芳香族ポリエーテルイミドをそのまま使用してもよい。市販のものとしては、例えば、ゼネラルエレクトロニック会社の商品名ウルテムなどの上記構造単位(E2)からなるものが挙げられる。
[(εT-ε25)/ε25]MAX≦0.03 (1)
40≦ε25≦1000 (2)
ここで、εTは温度Tにおける高誘電フィラーの比誘電率を表わし、Tは−20℃以上80℃以下である。
ε25は温度25℃における高誘電フィラーの比誘電率を表わす。
[(εT-ε25)/ε25]MAXは比誘電率変化量(εT-ε25)/ε25の絶対値の最大値を表わす。
高誘電フィラーは、比誘電率が下記式(3)および(4)を満足するものであることが好ましい。
[(εT-ε25)/ε25]MAX≦0.01 (3)
80≦ε25≦300 (4)
ここで、εT、ε25、[(εT-ε25)/ε25]MAXは前記と同じ意味を表わす。
高誘電フィラ−は、BaO、Bi2O3、La2O3、Nd2O3、Sm2O3、Al2O3およびTiO2からなる群から選ばれる少なくとも2種類を組み合わせてなる高誘電フィラーであることが好ましく、BaO、Bi2O3、La2O3、Nd2O3、Sm2O3およびAl2O3からなる群から選ばれる少なくとも1種類とTiO2とを組み合わせてなり、TiO2の割合が高誘電フィラ−全体の10〜50重量%であることがより好ましい。
高誘電フィラ−の粒子径は、樹脂への分散性の観点から、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
該含有量が少ないと、樹脂組成物から得られるフィルムの誘電率を十分高くすることができない傾向があり、該含有量が多すぎると、樹脂のバインダとしての効果が少なくなり、得られるフィルムが脆くなる傾向がある。
溶媒を含有させる方法としては、高誘電フィラ−と樹脂とを予め混合してから溶媒を添加する方法、樹脂を予め溶媒に溶解させて樹脂溶液を得、該溶液を、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して溶液中に含まれる微細な異物を除去し、その後、高誘電フィラ−を添加する方法などが挙げられる。
溶媒を添加することにより、高濃度の高誘電フィラ−を含有せしめることができる。
該溶媒は使用する樹脂に合わせて適宜選択され、樹脂を溶解できるものであれば、その種類は特に限定されるものではない。
式中、Aは、ハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。iは好ましくは1〜3でありより、好ましくは1または2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも1つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(F1)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(F1)示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(F1)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
高誘電樹脂フィルムの製法としては、例えば、溶媒を含む高誘電樹脂組成物を金属、ガラス等からなる表面平坦で均一な支持体上に流延し、その後、溶媒を除去する方法が挙げられる。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸 141g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた粉末は350℃で偏光顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
温度Tが−20℃≦T≦80℃の範囲におけるNPO−Sの[(εT-ε25)/ε25]の最大値は0.01以下であり、温度25℃における比誘電率ε25は100であった。尚、高誘電フィラーの比誘電率の測定については、まず、高誘電フィラーを高温条件下で焼成させて、HP製インピーダンスアナライザーで測定を行った。
この溶液をガラス支持体に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃で1時間溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度250℃ 1時間の条件で熱処理を行い、高誘電樹脂フィルムを得た。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は19.0、誘電正接は0.002であった(周波数:1GHz)。更に図1には、高誘電フィラーNPO−Sの添加量と比誘電率および誘電正接の関係を示す(周波数:1GHz)。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)および無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固層で重合反応を進め、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏向顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、東洋製作所製の恒温恒湿機ADVANTEC AGX型により85℃/85%RH・168時間における吸水率を測定した結果、吸水率は0.1%以下であることを確認した。
また、HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.001(1GHz)であった。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は14.0、誘電正接は0.002であった(周波数:1GHz)。
高誘電フィラーとして共立マテリアル製のHF-120を使用した以外は実施例2と同様に高誘電フィルムを得た。ここで、温度Tが−20℃≦T≦80℃の範囲におけるHF120の比誘電率変化量[(εT-ε25)/ε25]の最大値は0.01以下であり、温度25℃における比誘電率ε25は120であった。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は17.0、誘電正接は0.002であった(周波数:1GHz)。
芳香族ポリサルホンとして市販のポリエーテルサルホンPES(住友化学工業(株)製、還元粘度0.76dl/g)粉末 1.6gを塩化メチレン 8.0gおよびメタノール 0.4gに加え、更に、高誘電フィラーとして共立マテリアル製のHF−120を6.7g加えた。芳香族ポリサルホンと高誘電フィラーと塩化メチレンおよびメタノールから成る溶液を常温下で攪拌した。この溶液をガラス支持体に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃ 1時間の条件で溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度250℃ 1時間の条件で熱処理を行い、高誘電樹脂フィルムを得た。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は17.3、誘電正接は0.004であった(周波数:1GHz)。
芳香族ポリエーテルイミドとして市販の芳香族ポリエーテルイミド(ゼネラルエレクトロニック(株)製、1010−1000)1.6gを塩化メチレン8.0gに加え、更に、高誘電フィラーとして共立マテリアル製のHF−120を7.4g加えた。芳香族ポリエーテルイミドと高誘電フィラーと塩化メチレンから成る溶液を常温下で攪拌した。この溶液をガラス支持体に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃ 1時間の条件で溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度150℃ 1時間の条件で熱処理を行い、高誘電樹脂フィルムを得た。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は16.1、誘電正接は0.0017であった(周波数:1GHz)。
高誘電フィラーとして富士チタン工業製のN4700を使用した以外は実施例1と同様に高誘電フィルムを得た。ここで、温度Tが−20℃≦T≦80℃の範囲におけるN4700の比誘電率変化量[(εT-ε25)/ε25]の最大値は0.26であり、温度25℃における比誘電率ε25は550であった。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は26.8、誘電正接は0.013であった(周波数:1GHz)。
高誘電フィラーとして富士チタン工業製BT−335を使用した以外は実施例1と同様に高誘電フィルムを得た。ここで、温度範囲−20℃≦T≦80℃におけるBT−335の比誘電率変化量[(εT-ε25)/ε25]の最大値は0.027であり、温度25℃における比誘電率ε25は1600であった。
得られた高誘電樹脂フィルムの比誘電率および誘電正接についてHP製インピーダンスアナライザーにより測定した結果、比誘電率は33.0、誘電正接は0.024であった(周波数:1GHz)。
Claims (10)
- 高誘電フィラーと樹脂とを含有してなり、該高誘電フィラーの比誘電率が下記式(1)および(2)を満足する高誘電樹脂組成物。
[(εT-ε25)/ε25]MAX≦0.03 (1)
40≦ε25≦1000 (2)
(式中、εTは温度Tにおける高誘電フィラーの比誘電率を表わし、Tは−20℃以上80℃以下であり、ε25は温度25℃における高誘電フィラーの比誘電率を表わし、[(εT-ε25)/ε25]MAXは比誘電率変化量(εT-ε25)/ε25の絶対値の最大値を表わす。) - 樹脂が、芳香族液晶ポリエステルである請求項1記載の組成物。
- 芳香族液晶ポリエステルが、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよび4,4’―ジヒドロキシビフェニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなる請求項2記載の組成物。
- 樹脂が、芳香族ポリサルホンからなる請求項1記載の組成物。
- 樹脂が、芳香族ポリエーテルイミドからなる請求項1記載の組成物。
- 更に溶媒を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 更に溶媒を含有してなり、且つ、全溶媒量に対する塩化メチレンの含有量が80重量%以上である請求項4または5記載の組成物。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の組成物を支持体上に流延し、溶媒を除去して得られる高誘電樹脂フィルム。
- 請求項9記載の高誘電樹脂フィルムを誘電層として使用してなるコンデンサー。
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