JP2005097591A - 芳香族液晶性ポリエステルフィルム - Google Patents

芳香族液晶性ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
基材との接着性に優れた芳香族液晶性ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
下記一般式(I)

Figure 2005097591

(I)
(式中、Aはハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合、それぞれのAは同一でも異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒と芳香族液晶性ポリエステルと非液晶性樹脂とを含み、芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が1〜200重量部である芳香族液晶性ポリエステル液状組成物を支持体に流延し、溶媒を除去して得られることを特徴とする芳香族液晶性ポリエステルフィルム。

【選択図】 なし


Description

本発明は、芳香族液晶性ポリエステルフィルムに関する。
芳香族液晶性ポリエステルは、優れた低吸湿性、高周波特性、耐熱性、機械的強度を示すことから、射出成形により得られるコネクターなどの精密電子部品を中心に広く用いられている。近年、芳香族液晶性ポリエステルをTダイ成形やインフレーション成形などの押出成形によりフィルム化して、多層プリント基板やフレキシブルプリント基板の絶縁膜に使用することが検討されている。
しかしながら、押出成形により得られる従前の芳香族液晶性ポリエステルフィルムは成形時の異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度が非常に弱いためフィルムの取り扱い中に破損が起こるという問題があった。
このような問題を解決するために、芳香族液晶性ポリエステルとハロゲン置換フェノールとを含有してなる芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物を支持体上に流延し、溶媒を除去して得られる芳香族液晶性ポリエステルフィルムが開発されている(特許文献1)。
特開2002−114894号公報
しかしながら、該特許文献1に記載される芳香族液晶性ポリエステルフィルムを銅箔などの金属箔や樹脂フィルム等の基材と貼合して使用する場合、該ポリエステルフィルムと基材との接着性にはなお改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、基材との接着性に優れた芳香族液晶性ポリエステルフィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、下記一般式(I)

Figure 2005097591
(I)
(式中、Aはハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合、それぞれのAは同一でも異なっていてもよい。)
で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒と芳香族液晶性ポリエステルと非液晶性樹脂とを含み、芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が1〜200重量部である芳香族液晶性ポリエステル液状組成物を支持体に流延し、溶媒を除去して得られる芳香族液晶性ポリエステルフィルムを提供するものである。
本発明によれば、基材との接着性に優れた芳香族液晶性ポリエステルフィルムが提供される。
本発明の芳香族液晶性ポリエステルフィルムは、上記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒と芳香族液晶性ポリエステルと非液晶性樹脂とを含み、芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が1〜200重量部である芳香族液晶性ポリエステル液状組成物を支持体に流延し、溶媒を除去して得られることを特徴とするフィルムである。
本発明で使用される芳香族液晶性ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成する性質を有している。
芳香族液晶性ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを原料として得られるポリエステル、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を原料として得られるポリエステル、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを原料として得られるポリエステル、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるポリエステル
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、ポリエステル生成反応を促進するような、カルボン酸塩化物、カルボン酸無水物などの反応性が高い誘導体、エステル交換反応によりポリエステルを生成するような、アルコール類やエチレングリコール等とカルボン酸とのエステルなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するような、フェノール性水酸基とカルボン酸類とのエステルなどが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基などで置換されていてもよい。
なお、上記のハロゲン原子としては、例えば塩素原子またはフッ素原子が好ましい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基又はブチル基がより好ましい。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、中でもフェニル基が好ましい。
芳香族液晶性ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記の繰り返し構造単位を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2005097591
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2005097591
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:

Figure 2005097591
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
耐熱性、機械物性のバランスから芳香族液晶性ポリエステルは、前記(A1)式で表される繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
より好ましい芳香族液晶性ポリエステルとしては、例えば、下記(a)〜(f)などが挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A1)、(B1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル。
(b):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C1)に置換したポリエステル。
(c):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C2)に置換したポリエステル。
(d):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C4)に置換したポリエステル。
(e):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換したポリエステル。
(f):前記(a)において、(A1)の一部を(A2)に置換したポリエステル。
該芳香族液晶性ポリエステルとしては、耐熱性の観点から、p―ヒドロキシ安息香酸および2‐ヒドロキシ−6−ナフトエ酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよび4,4’―ジヒドロキシビフェニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
また、芳香族液晶性ポリエステルの重量平均分子量は特に限定されないが、10000〜50000であることが好ましい。
該芳香族液晶性ポリエステルの製造方法は特に限定されないが、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも一種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法などが挙げられる。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少ないと、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると、得られる芳香族液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは二種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸または無水イソ酪酸が好ましく用いられ、無水酢酸がより好ましく用いられる。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行ってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行うことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行われるが、溶融重合と固相重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状またはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた芳香族液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
芳香族液晶性ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
本発明で使用される溶媒は、下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒である。


Figure 2005097591
(I)
式中、Aは、ハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1又は2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき、少なくとも1つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
該溶媒は、常温または加熱下における芳香族液晶ポリエステルの溶解性の観点から、該ハロゲン置換フェノールを30重量%以上含有することが好ましく、該ハロゲン置換フェノールを60重量%以上含有することがより好ましく、実質的に100重量%の該ハロゲン置換フェノールを溶媒として用いることが、他成分と混合する必要がないため、更に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール等が挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールとしては、価格と入手性の観点から、o―クロロフェノール、p―クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく、溶解性の観点から、p―クロロフェノールがより好ましい。
該溶媒中には、溶液の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステルを析出させるものでなければ、該ハロゲン置換フェノール以外の他の成分を含有していてもよい。
含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等の塩素系化合物などが挙げられる。
芳香族液晶性ポリエステル液状組成物は、該ハロゲン置換フェノールを含有する溶媒に芳香族液晶性ポリエステルおよび非液晶性樹脂を混合せしめることにより得られ、非液晶性樹脂が溶解した溶液であることが好ましい。
芳香族液晶性ポリエステルの含有量は、該ハロゲン置換フェノールを含有する溶媒100重量部に対して、0.5〜100重量部であることが好ましく、作業性あるいは経済性の観点から、1〜50重量部であることがより好ましく、5〜15重量部であることがさらに好ましい。芳香族液晶性ポリエステルの量が少ないと、生産効率が低下する傾向があり、多いと溶解が困難になる傾向がある。
非液晶性樹脂の含有量は、芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対して1〜200重量部であり、5〜50重量部であることが好ましく、10〜30重量部であることがより好ましい。該含有量が少なすぎると、金属箔や樹脂フィルム等の基材との接着性が改善されず、該含有量が多すぎると、芳香族液晶性ポリエステルが有する誘電特性(低誘電正接)やハンダ耐熱性が損なわれる傾向が見られる。
非液晶性樹脂としては、例えば、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート及びポリエチレン2,6−ナフタレートが挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく使用される。
これらの中で、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレン2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましく使用され、ポリアリレート及び/またはポリエーテルイミドが更に好ましく使用され、ポリアリレートが最も好ましく使用される。
ここで、ポリアリレートとしては、例えば、ビスフェノールとイソフタル酸クロリドとテレフタル酸クロリドを重合して得られるものなどが挙げられる。
芳香族液晶性ポリエステル液状組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどの高誘電フィラー、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムなどのウィスカー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラー、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が一種または二種以上添加されていてもよい。
芳香族液晶性ポリエステル液状組成物は、必要に応じて、フィルターなどによってろ過して当該液状組成物中に含まれる微細な異物を除去して使用することが好ましい。
本発明の芳香族液晶性ポリエステルフィルムは、ガラス基板や金属基板、金属箔などの支持体に該芳香族液晶性ポリエステル液状組成物を流延し、溶媒を除去することによって得られることを特徴とするフィルムである。
溶媒除去の方法は、特に限定されないが、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。
溶媒除去の際の温度は、80℃以上180℃以下であることが好ましく、100℃以上160℃以下であることがより好ましい。該温度が低いと溶媒が効率良く除去されない傾向があり、高すぎると支持体との接着性が低下したり、フィルム表面に凹凸や膨れが生じる傾向がある。
上記のようにして得られた芳香族液晶性ポリエステルフィルムには、フィルム強度等の諸物性の改善を目的としてさらに熱処理を行うことが好ましい。
熱処理の温度は、200℃〜400℃であることが好ましく、250℃〜330℃であることがより好ましい。
このようにして得られる本発明の芳香族液晶性ポリエステルフィルムは、金属箔や樹脂フィルム等の基材との接着性に優れる。該金属箔としては具体的には銅箔、銀箔、金箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。該樹脂フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、芳香族液晶性ポリエステルフィルム等が挙げられる。
このようにして得られる芳香族液晶性ポリエステルフィルムは、金属箔や樹脂フィルム等の基材との接着性に優れていることから、近年注目されているビルドアップ工法などにより得られる半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント基板、フレキシブルプリント配線板、テープオートメーテッドボンディング用フィルム、エンベデッド基板などに好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2‐ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進め芳香族液晶性ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏光顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観測された。
得られた粉末0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、東洋製作所製の恒温恒湿機ADVANTEC AGX型により85℃/85%RH・168時間における吸水率を測定した結果、吸水率は0.1%以下であった。
上記工程により得られた芳香族液晶性ポリエステル粉末9gとポリアリレート(ユニチカ製U100)1gをp―クロロフェノール90gに加え、120℃、8時間の条件において溶解させた結果、完全に溶解し透明な芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物が得られた。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、高温プレスにより250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形した。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度を評価したところ、その接着強度は1.0N/mm(180°方向引き剥がし)であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0012(1GHz)であった。
実施例2
実施例1で得た芳香族液晶性ポリエステル粉末5gとポリアリレート(ユニチカ製U100)5gをp―クロロフェノール90gに加え、130℃、8時間の条件において溶解させた結果、完全に溶解し透明な芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物が得られた。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形して張り合わせた。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度を評価したところ、その接着強度は1.0N/mm(180°方向引き剥がし)であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0042(1GHz)であった。
比較例1
実施例1で得た芳香族液晶性ポリエステル粉末10gをp―クロロフェノール90gに加え、130℃、8時間の条件において溶解させた結果、完全に溶解し透明な比較芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物が得られた。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形して張り合わせた。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度について評価したところ、その接着強度は0.1N/mm(180°方向引き剥がし)以下であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0010(1GHz)であった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)

    Figure 2005097591
    (I)
    (式中、Aはハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合、それぞれのAは同一でも異なっていてもよい。)
    で示されるハロゲン置換フェノールを含有する溶媒と芳香族液晶性ポリエステルと非液晶性樹脂とを含み、芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が1〜200重量部である芳香族液晶性ポリエステル液状組成物を支持体に流延し、溶媒を除去して得られることを特徴とする芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
  2. 芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が5〜50重量部である請求項1記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
  3. 非液晶性樹脂が、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラートおよびポリエチレン2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1または2に記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
  4. 非液晶性樹脂が、ポリアリレートである請求項1又は2に記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
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