JP2005097591A - 芳香族液晶性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、押出成形により得られる従前の芳香族液晶性ポリエステルフィルムは成形時の異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度が非常に弱いためフィルムの取り扱い中に破損が起こるという問題があった。
このような問題を解決するために、芳香族液晶性ポリエステルとハロゲン置換フェノールとを含有してなる芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物を支持体上に流延し、溶媒を除去して得られる芳香族液晶性ポリエステルフィルムが開発されている(特許文献1)。
本発明の目的は、基材との接着性に優れた芳香族液晶性ポリエステルフィルムを提供することにある。
芳香族液晶性ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを原料として得られるポリエステル、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を原料として得られるポリエステル、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを原料として得られるポリエステル、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるポリエステル
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するような、フェノール性水酸基とカルボン酸類とのエステルなどが挙げられる。
なお、上記のハロゲン原子としては、例えば塩素原子またはフッ素原子が好ましい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基又はブチル基がより好ましい。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、中でもフェニル基が好ましい。
より好ましい芳香族液晶性ポリエステルとしては、例えば、下記(a)〜(f)などが挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A1)、(B1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B1)、(B2)及び(C3)からなるポリエステル。
(b):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C1)に置換したポリエステル。
(c):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C2)に置換したポリエステル。
(d):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C4)に置換したポリエステル。
(e):前記(a)において、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換したポリエステル。
(f):前記(a)において、(A1)の一部を(A2)に置換したポリエステル。
芳香族液晶性ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
(I)
式中、Aは、ハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1又は2である。iが1のときのAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき、少なくとも1つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール等が挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールの例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノールとしては、価格と入手性の観点から、o―クロロフェノール、p―クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく、溶解性の観点から、p―クロロフェノールがより好ましい。
該溶媒中には、溶液の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステルを析出させるものでなければ、該ハロゲン置換フェノール以外の他の成分を含有していてもよい。
含有していてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等の塩素系化合物などが挙げられる。
芳香族液晶性ポリエステルの含有量は、該ハロゲン置換フェノールを含有する溶媒100重量部に対して、0.5〜100重量部であることが好ましく、作業性あるいは経済性の観点から、1〜50重量部であることがより好ましく、5〜15重量部であることがさらに好ましい。芳香族液晶性ポリエステルの量が少ないと、生産効率が低下する傾向があり、多いと溶解が困難になる傾向がある。
これらの中で、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレン2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましく使用され、ポリアリレート及び/またはポリエーテルイミドが更に好ましく使用され、ポリアリレートが最も好ましく使用される。
ここで、ポリアリレートとしては、例えば、ビスフェノールとイソフタル酸クロリドとテレフタル酸クロリドを重合して得られるものなどが挙げられる。
熱処理の温度は、200℃〜400℃であることが好ましく、250℃〜330℃であることがより好ましい。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2‐ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進め芳香族液晶性ポリエステル粉末を得た。得られた粉末は350℃で偏光顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観測された。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、高温プレスにより250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形した。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度を評価したところ、その接着強度は1.0N/mm(180°方向引き剥がし)であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0012(1GHz)であった。
実施例1で得た芳香族液晶性ポリエステル粉末5gとポリアリレート(ユニチカ製U100)5gをp―クロロフェノール90gに加え、130℃、8時間の条件において溶解させた結果、完全に溶解し透明な芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物が得られた。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形して張り合わせた。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度を評価したところ、その接着強度は1.0N/mm(180°方向引き剥がし)であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0042(1GHz)であった。
実施例1で得た芳香族液晶性ポリエステル粉末10gをp―クロロフェノール90gに加え、130℃、8時間の条件において溶解させた結果、完全に溶解し透明な比較芳香族液晶性ポリエステル溶液組成物が得られた。
この溶液組成物を銅箔上に流延し、ホットプレートにより温度150℃、10分間の条件において溶媒を蒸発させ、芳香族液晶性ポリエステル層の厚みが25μmである比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、更に、熱風式乾燥機により320℃、60分の熱処理を行った。このような方法で比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを2枚得、それらの芳香族液晶性ポリエステルフィルム面同士を重ね合わせ、250℃、5MPa、30分の条件でプレス成形して張り合わせた。
芳香族液晶性ポリエステルフィルム/芳香族液晶性ポリエステルフィルム間の接着強度について評価したところ、その接着強度は0.1N/mm(180°方向引き剥がし)以下であった。
また、ハンダ耐熱性について、芳香族液晶性ポリエステルフィルム面が互いに接着された比較銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを320℃のハンダ浴に10秒間の条件でディッピングしたところ外観の変化は見られなかった。
更に、該銅箔付芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムから銅箔を除去して芳香族液晶性ポリエステル積層フィルムを得、得られた芳香族液晶性ポリエステル積層フィルム0.4gを、100kg荷重下、250℃で10分間、島津製作所(株)製フローテスタCFT−500を用いて圧縮成形し、厚さ3mmの円盤状の試験片を得た。この試験片を用いて、ヒューレット・パッカ−ド製HPインピーダンスアナライザーを用いて誘電正接を測定したところ、0.0010(1GHz)であった。
Claims (4)
- 芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対する非液晶性樹脂の含有量が5〜50重量部である請求項1記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性樹脂が、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラートおよびポリエチレン2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1または2に記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性樹脂が、ポリアリレートである請求項1又は2に記載の芳香族液晶性ポリエステルフィルム。
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