JP2019119841A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温雰囲気下での耐熱接着性が十分に向上した積層体を提供する。このような積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂とポリアリレート樹脂とからなるものである。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを含有するものであり、質量比(A/B)が10/90〜90/10であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性が、4N/25mm幅以上である積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱接着性に優れた積層体に関する。
一般的に、ガラス転移温度(例えば、−50〜50℃)が低いポリエステル樹脂は、接
着性に優れるため、接着剤として、ガラス転移温度(例えば、40〜150℃)が高いポ
リエステル樹脂は、密着性に優れるため、導電ペーストやコーティング剤として、自動車
部品用途や電気電子部品用途に用いられている。
近年、上記ポリエステル樹脂は、自動車部品用途においては、自動車のヘッドライト周
辺や車内で使用されたり、電気電子部品用途においては、薄型化された液晶ディスプレイ
に使用されたりして、高温環境に曝される機会が多くなっている。そのため、用いる樹脂
組成物には、従来よりも耐熱性が要求されるのが通常である。
例えば、特許文献1には、ガラス転移温度が低いポリエステル樹脂とガラス転移温度が
高いポリエステル樹脂とを配合したポリエステル積層体を、フレキシブルフラット
ケーブル用の接着剤に用いることが開示されている。特許文献2には、ポリエステル系
ホットメルト積層体をフレキシブルフラットケーブル用の接着剤に用いることが開示
されている。また、特許文献3には、芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ポリカーボネー
トジオール等を主成分とするポリエステル樹脂を含有する導電性ペーストを自動車部品用
途やOA機器に用いることが開示されている。
国際公開第2010/035822号パンフレット 特開2010−159331号公報 特開2001−319524号公報
近年、ポリエステル樹脂を接着剤として自動車部品用途や電気電子部品用途に用いる場
合、さらなる性能向上の要求から、接着性や耐熱性の他に、優れた耐熱接着性や耐湿熱性
が要求されている。しかしながら、特許文献1、2のポリエステル積層体は、耐熱接
着性や耐湿熱性が不十分であった。
また、近年、ポリエステル樹脂を導電ペーストやコーティング剤として自動車部品用途
や電気電子部品用途に用いる場合、さらなる性能向上の要求から、密着性や耐熱性の他
に、優れた可撓性や硬度が要求されている。しかしながら、特許文献3のポリエステル樹
脂は、可撓性や硬度が不十分であった。
本発明は、高温雰囲気下での耐熱接着性が十分に向上した積層体を提供することを目的とする。なお、このような積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂とポリアリレート樹脂とからなるものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材フィルムの少なくとも片面に、80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性が特定値を示す樹脂層を形成することで、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
<1>基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを含有するものであり、質量比(A/B)が10/90〜90/10であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性が、4N/25mm幅以上である積層体。
<2>ポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)の酸価が、4mgKOH/g以下である請求項1記載の積層体。
<3>ポリアリレート樹脂(B)が、二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とを含有し、二価フェノール成分として、一般式(1)で示される二価フェノールを含有することを特徴とする<1>または<2>の積層体。
[式(1)中、RおよびRは、独立して、水素、炭素数が1〜12の炭化水素基また
はハロゲンを表し、mおよびnは、独立して、0〜4の整数を表し、XおよびXは、
水素、炭素数が1〜20の直鎖状の炭化水素基、枝分かれ状の炭化水素基、芳香族および
脂環族を含む環状の炭化水素基、トリハロメタン基、または、炭素数が1〜20のアルキ
ルエステル基、または、フェニルエステル基を表す。]
<4>ポリアリレート樹脂(B)の二価フェノール成分として、一般式(2)で示される二価フェノールを含有することを特徴とする<1>〜<3>の積層体。
[式(2)中、R、R、RおよびRは、独立して、水素、炭素数が1〜12の炭化水素基またはハロゲンを表し、RおよびRは、独立して、水素または炭素数が1〜4の炭化水素基を表す。mは4〜11の整数を表し、Xは、ヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素を表す。]
<5>ポリアリレート樹脂(B)において、さらにヒドロキシカルボン酸成分を含有し、全モノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合が2〜50モル%であることを特徴とする<1>〜<4>の積層体。
<6>ポリアリレート樹脂(B)の二価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)とが用いられていることを特徴とする<1>〜<5>の積層体。
<7>ポリアリレート樹脂(B)のBisAとBisTMCの含有比率(BisA/BisTMC)が、30/70〜70/30(モル比)であることを特徴とする<6>の積層体。
<8>さらに硬化剤(C)を含有することを特徴とする<1>〜<7>の積層体。
本発明によれば、高温雰囲気下での耐熱接着性が十分に向上した積層体を提供すること
ができる。なお、このような積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂とポリアリレート樹脂とからなるものである。
なお、ポリアリレート樹脂が単独で用いられた場合は、ポリエステル樹脂と比較してガラス転移温度が高いため、接着性が劣り、耐熱接着性が低くなる。一方、ガラス転移温度が低いポリエステル樹脂が単独で用いられた場合は、ポリアリレート樹脂と比較してガラス転移温度が低いため、接着性には優れるが、耐熱接着性が低くなる。それに対して、本発明の積層体は、接着性を大きく損ねることなく、耐熱接着性が顕著に向上する。
また、ガラス転移温度が高いポリエステル樹脂を用いた場合には、特定のポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂とを特定の割合で用いることにより、密着性、耐熱性、可撓性、硬度いずれにも優れた積層体を提供することができる。
以下、本発明の積層体を詳細に説明する。本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを含有するものであり、質量比(A/B)が10/90〜90/10であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性が、4N/25mm幅以上である。
ポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の質量比(A/B)は、20/80〜85/15とすることが好ましく、30/70〜80/20とすることがより好ましく、40/60〜75/25とすることがさらに好ましく、50/50〜70/30とすることが最も好ましい。ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(A)の含有量が10質量%未満であると、得られる積層体は、接着性や耐熱接着性に劣ることがあり、前記含有量が90質量%を超えると、得られる積層体は、耐熱性や耐熱接着性に劣ることがある。
また耐熱接着性は、5N/25mm幅以上であることが好ましく、6N/25mm幅以上であることがより好ましく、7N/25mm幅以上であることがさらに好ましい。
耐熱接着性が4N/25mm幅以上であることにより、高温雰囲気下での接着耐久性が向上し、車載用のフレキシブルフラットケーブル等の用途での使用において高温雰囲気下での接着性低下の懸念が低下する。
[ポリエステル樹脂(A)]
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、ポリアリレート樹脂以外のポリエステル樹脂であって、二価カルボン酸成分と二価アルコール成分とを含有するものである。ポリエステル樹脂(A)を構成する二価カルボン酸成分として、得られるポリエステル樹脂(A)の耐熱性、接着性や密着性、溶剤溶解性をバランスのよいものとするために、テレフタル酸、イソフタル酸を混合して用いることが好ましい。
テレフタル酸、イソフタル酸を混合して用いる場合、二価カルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量は、10〜90モル%とすることが好ましく、20〜80モル%とすることがより好ましく、30〜70モル%とすることがさらに好ましい。テレフタル酸の含有量が10モル%未満では、ポリエステル樹脂(A)は、耐熱性、基材への接着性がともに劣ることがあり、90モル%を超えると、ポリエステル樹脂(A)は溶剤溶解性が劣ることがある。一方、イソフタル酸の含有量は、5〜90モル%とすることが好ましく、10〜85モル%とすることがより好ましく、20〜80モル%とすることがさらに好ましい。イソフタル酸の含有量が5モル%未満では、ポリエステル樹脂(A)は溶剤溶解性に劣るものとなり、90モル%を超えると、ポリエステル樹脂(A)は、耐熱性、靱性が劣るものとなることがある。
ポリエステル樹脂(A)を構成する二価カルボン酸成分としては、上記のテレフタル酸やイソフタル酸以外に、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸が挙げられる。二価カルボン酸成分は、その誘導体やその無水物であってもよい。中でも、炭素数が6〜10であるアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が接着性や密着性の観点から好ましい。
ポリエステル樹脂(A)を構成する二価アルコール成分は、特に限定はされないが、例えば、ポリアルキレングリコールやエチレングリコールを含有することが好ましい。ポリアルキレングリコールやエチレングリコールを含有することで、ポリエステル樹脂(A)の耐湿熱性が高まり、得られる積層体の耐湿熱性を高めることができる。ポリアルキレングリコールを用いる場合、その含有量は、二価アルコール成分の4モル%以上であることが好ましく、8モル%以上であることがより好ましい。ポリアルキレングリコールの含有量が4モル%未満では耐湿熱性が十分に向上しないことがある。また、ポリアルキレングリコールの含有量が30モル%を超えると、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が過度に低下し、ポリエステル樹脂(A)の取り扱い及び製造時における払出しが困難になる等問題になることがある。ただし、払出し困難な場合は、重合釜より払出したポリエステル樹脂(A)を水中にて急冷する等で対応が可能である。ポリアルキレングリコールとしては、直鎖状又は分岐があるもののいずれでもよく、具体的に例示すると、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリノナンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン)ジオール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)を構成する二価アルコール成分として、エチレングリコールを含有する場合、その含有量は、二価アルコール成分の20〜70モル%とすることが好ましく、25〜65モル%とすることがより好ましく、30〜60モル%とすることがさらに好ましい。エチレングリコールを上記範囲で用いることで、ポリエステル樹脂(A)の耐湿熱性が高まり、得られる積層体の耐湿熱性を高めることができる。
上記二価アルコール成分として、側鎖を持った脂肪族グリコールを用いることもできる。側鎖を持った脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ブチルエチルプロパンジオールが挙げられ、溶剤溶解性の観点から、特にネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。側鎖を持った脂肪族グリコールを含有する場合、その含有量は二価アルコール成分の30〜80モル%とすることが好ましく、35〜75モル%とすることがより好ましく、40〜70モル%とすることがさらに好ましい。側鎖を持った脂肪族グリコールの含有量が30モル%未満では、溶剤溶解性に劣ることがあり、含有量が80モル%を超えると、耐熱性に劣ることがある。
ポリエステル樹脂(A)を構成する二価アルコール成分としては、上記の二価アルコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオール、1,2−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕のエチレンオキシド付加体、BisAのプロピレンオキシド付加体が挙げられる。二価アルコール成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族系、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕のエチレンオキシド付加体、BisAのプロピレンオキシド付加体等の芳香族系が耐熱性の観点から好ましい。また1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の炭素数が6以上の構成成分を使用することが耐湿熱性等の観点から好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、二価カルボン酸成分や二価アルコール成分以外の他のモノマー成分が用いられてもよい。他のモノマー成分としては、3価以上のカルボン酸、モノカルボン酸、3価以上のアルコール、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、オキシランが挙げられる。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,3,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、トリメチルプロパン、グリセリンが挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸が挙げられる。ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられる。オシキランとしては、例えば、エチレンオキシドが挙げられる。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、500〜35000であることが好ましく、3000〜35000であることがより好ましく、5000〜35000であることがさらに好ましい。数平均分子量が500〜35000の範囲外であると、得られる積層体は、接着性、耐湿熱性が低くなることがあり、35000を超えるポリエステル樹脂(A)は、溶剤溶解性が低くなることがある。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、本発明の積層体が接着剤の用途に用いられる場合は、−50℃以上50℃以下であって、好ましくは−45℃以上45℃以下であって、より好ましくは、−30℃以上40℃以下であって、最も好ましくは、−20℃以上30℃未満である。ガラス転移温度が−50℃未満であると、得られる積層体は、耐湿熱性が低下することがある。一方、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、本発明の積層体が導電ペーストやコーティング剤の用途に用いられる場合は、40℃を超え150℃以下であって、好ましくは45℃を超え130℃以下であって、より好ましくは、50℃を超え120℃以下である。ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が150℃を超えると、溶剤溶解性が低くなることがある。
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、特に限定はされないが、4mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下、さらに好ましくは2mgKOH/g以下であることが、ポリエステル樹脂(A)の耐湿熱性を向上させるうえで好ましい。なお、本発明の積層体として、例えばフレキシブルフラットケーブルのような金属箔、金属線との密着性が求められる場合、酸価が0を超え、4mgKOH/g以下の範囲で用いることが金属密着性を高める上で好ましい。
[ポリエステル樹脂(A)の製造方法]
まず、二価カルボン酸および二価アルコール等のモノマーの組み合わせを適宜選択し、これらを公知の重合法で重合して、ポリエステル樹脂(A)を得ることができる。つまり、原料モノマーを反応缶に投入し、エステル化反応を行った後、公知の方法で所望の分子量に達するまで重縮合させることにより、ポリエステル樹脂(A)を製造することができる。エステル化反応は、例えば、180℃以上の温度において4時間以上行われる。
重縮合反応は、一般的には、130Pa以下の減圧下、220〜280℃の温度下で、重合触媒を用いて行われる。重合触媒としては、例えば、テトラブチルチタネ−ト等のチタン化合物;酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等の金属の酢酸塩;三酸化アンチモン;ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物が挙げられる。なお、重合触媒の使用量は、少量では反応が遅く、過多では得られるポリエステル樹脂(A)の色調が低下するため、酸成分1モルに対し、0.1×10−4〜20×10−4モルであることが好ましい。
[ポリアリレート樹脂(B)]
ポリアリレート樹脂(B)は、二価カルボン酸成分と二価フェノール成分とを含有し、
かつ、その他の成分を含む場合には、フェノール基またはアルコール基を有する成分の合計を100モル%としたときに二価フェノール成分が75〜100モル%であるポリエステル樹脂のことである。なお、本発明において、ポリアリレート樹脂には、いわゆる、メソゲン基を有する液晶性高分子は含まない。
二価フェノール成分は、1分子中、2個のフェノール性ヒドロキシ基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。フェノール性ヒドロキシ基とは、芳香族環に直接的に結合したヒドロキシ基のことである。二価フェノール成分は、ポリアリレート樹脂(B)が有する溶剤溶解性の観点から、一般式(1)で示される二価フェノールを含むことが好ましい。
式(1)中、RおよびRは、独立して、水素、炭素数が1〜12の炭化水素基またはハロゲンを表し、mおよびnは、独立して、0〜4の整数を表し、XおよびXは、水素、炭素数が1〜20の直鎖状の炭化水素基、枝分かれ状の炭化水素基、芳香族および脂環族を含む環状の炭化水素基、トリハロメタン基、または、炭素数が1〜20のアルキルエステル基、または、フェニルエステル基を表す。
二価フェノール成分は、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性のさらなる向上の観点から、一般式(2)で示される脂環式二価フェノール含むことがより好ましい。
式(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基またはハロゲン原子を表す。炭化水素基は炭素原子数1〜12の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜6であるアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、炭素原子数6のアリール基が好ましい。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
式(2)中、R、R、RおよびRは、同じ基であることが好ましい。また、好ましいR、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、またはハロゲン原子である。
式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基は炭素原子数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数1〜4の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基である。RおよびRは後述のmの値に応じて複数個で存在し、当該複数のRおよび複数のRは、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよく、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましい。式(2)中、mは4〜11の整数であり、4または5が好ましい。
式(2)中、Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環(単環)を形成する炭素原子を表す。飽和脂肪族炭化水素環は、mの数に応じたシクロアルカン環を示す。飽和脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環(m=4)、シクロヘキサン環(m=5)、シクロヘプタン環(m=6)、シクロオクタン環(m=7)、シクロドデカン環(m=11)が挙げられる。
一般式(2)で示される脂環式二価フェノールの中でも、一般式(3)で示される脂環式二価フェノールが好ましい。
式(3)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(2)におけるR、R、RおよびRと同様であり、好ましいR、R、RおよびRおよびより好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(2)においてと同様である。式(3)中、nは0〜10の整数であり、0〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましい
式(3)中、R10は炭素原子数1〜4の炭化水素基である。炭素原子数1〜4の炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、1〜3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。上記nが2以上の整数のとき、複数のR10は、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよい。シクロヘキサン環におけるR10の結合位置は特に限定されないが、式(3)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロヘキサン環の炭素原子を一位としたとき、三位、四位および五位の炭素原子から選択される炭素原子に各R10が結合していることが好ましい。好ましいR10は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(3)で示される脂環式二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔BisTMC〕、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサンが挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、BisTMCがより好ましい。
一般式(2)に含まれるが、一般式(3)には含まれない脂環式二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタンが挙げられる。
上記一般式(2)で示される脂環式二価フェノール、特に上記一般式(3)で示される脂環式二価フェノールの含有比率は特に限定されず、通常は、全二価フェノール成分に対して15モル%以上(15〜100モル%)である。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性のさらなる向上の観点からは、全二価フェノール成分に対して15〜90モル%とすることが好ましく、25〜75モル%とすることがより好ましい。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂(B)の耐熱性のさらなる向上の観点から、全二価フェノール成分に対して40〜100モル%とすることが好ましく、55〜100モル%とすることがより好ましく、90〜100モル%とすることがさらに好ましい。当該含有比率は、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性と耐熱性とのバランスの観点から、全二価フェノール成分に対して40〜90モル%とすることが好ましく、50〜90モル%とすることがより好ましい。上記一般式(2)で示される脂環式二価フェノール、特に上記一般式(3)で示される脂環式二価フェノールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
一般式(1)には含まれるが、一般式(2)には含まれない二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン〔BisAP〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンが挙げられる。中でも、汎用性や溶剤溶解性が高いことから、BisAおよび/またはBisAPが好ましい。
二価フェノール成分は、上記の二価フェノールを単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよいが、溶剤溶解性を向上させるために複数種を用いることが好ましい。中でも、二価フェノール成分は、BisAおよび/またはBisAPとBisTMCとを組み合わせて含有することが好ましい。BisAおよび/またはBisAPとBisTMCを用いる場合、BisAおよびBisAPの合計含有量とBisTMCの含有量との含有比率((BisA+BisAP)/BisTMC)は、10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、特にメチルエチルケトンへの溶解性が高くなることから、15/85〜85/15(モル比)とすることがより好ましく、30/70〜70/30(モル比)とすることがさらに好ましい。溶剤溶解性の観点から、BisA/BisTMCが30/70〜70/30(モル比)とすることが最も好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分は、1分子中、芳香族環に直接的に結合した2個のカルボキシ基を含有するあらゆる有機化合物であってもよい。芳香族ジカルボン酸成分として、例えば、テレフタル酸〔TPA〕、イソフタル酸〔IPA〕、オルトフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分は、上記のうち1種の化合物を単独で用いてもよいし、複数種の化合物を併用してもよい。中でも、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性の観点から、IPAが単独で用いられるか、またはTPAとIPAとが併用して用いられることが好ましい。IPAの含有比率は、全芳香族ジカルボン酸成分に対して、20モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましく、60モル%以上とすることが最も好ましい。芳香族ジカルボン酸成分がTPAおよびIPAを含有する場合、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性の観点から、TPA/IPAの含有比率はモル比で、0/100〜80/20とすることが好ましく、0/100〜60/40とすることがより好ましく、0/100〜50/50とすることがさらに好ましく、0/100〜40/60とすることがさらに好ましく、10/90〜40/60とすることが最も好ましい。
ポリアリレート樹脂(B)はモノマー成分としてヒドロキシカルボン酸成分をさらに含有してもよい。ヒドロキシカルボン酸は1分子中、1個のヒドロキシ基および1個のカルボキシ基を含有するあらゆる有機化合物(特に芳香族化合物)であってもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸〔PHBA〕、m−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、PHBAが好ましい。
ヒドロキシカルボン酸成分の含有比率は、全モノマー成分100モル%に対して、2〜50モル%とすることが好ましく、ポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性のさらなる向上の観点や、得られる積層体の接着性や耐熱接着性、密着性や可撓性の観点からは5〜50モル%とすることがより好ましく、5〜35モル%とすることがさらに好ましく、特に5〜30モル%とすることが最も好ましい。ヒドロキシカルボン酸成分の含有比率が2モル%未満の場合、所定のヒドロキシ基濃度を有するポリアリレート樹脂(B)を得ることが困難である。ヒドロキシカルボン酸成分の含有量が50モル%を超える場合、汎用溶剤(特に非ハロゲン化溶剤)への溶解性および溶液安定性が低くなる。なお、全モノマー成分とは、ポリアリレート樹脂(B)を構成する全てのモノマー成分という意味である。例えば、ポリアリレート樹脂(B)が二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とヒドロキシカルボン酸成分のみからなる場合には、全モノマー成分は二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とヒドロキシカルボン酸成分の全て(合計量)である。また例えば、ポリアリレート樹脂(B)が、二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分と
ヒドロキシカルボン酸成分に加えて、他のモノマー成分を含む場合には、これらの成分の全て(合計量)である。
ポリアリレート樹脂(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した二価フェノール成分、芳香族ジカルボン酸成分およびヒドロキシカルボン酸成分以外の他のモノマー成分を含有してもよい。他のモノマー成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール;アジピン酸およびセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸は、その誘導体やその無水物であってもよい。他のモノマー成分の含有比率は、全モノマー成分100モル%に対して、通常は10モル%以下であり、5モル%以下とすることが好ましく、0モル%とすることがより好ましい。
ポリアリレート樹脂(B)のヒドロキシ基濃度は、200geq/トン以上であることが好ましく、溶剤溶解性、および硬化物の耐熱性のさらなる向上の観点から、400geq/トン以上であることがより好ましく、600geq/トン以上であることがさらに好ましい。ヒドロキシ基濃度が200geq/トン未満の場合、溶剤溶解性が低下する。また、接着剤の用途において接着性や耐熱接着性に劣ることがあり、導電ペーストやコーティング剤の用途において密着性、可撓性や硬度に劣ることがある。ヒドロキシ基濃度の上限値は特に限定されるものではないが、二価フェノール成分のヒドロキシ基濃度を超えることはなく、ヒドロキシ基濃度は、通常2500geq/トン以下であり、1500geq/トン以下であることがより好ましく、1000geq/トン以下であることがさらに好ましくい。
ヒドロキシ基濃度を求める方法は、ヒドロキシ基を定量化することができれば特に限定されず、中和滴定法等の公知の方法で求めてもよいが、後で詳述するH−NMR分析において、フェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位またはメタ位に位置するプロトンのピーク面積を算出して、当該基を定量化することにより求めることができる。
ポリアリレート樹脂(B)中のモノマー濃度は2質量%以下であることが好ましく、溶剤溶解性および耐熱性のさらなる向上の観点から、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。当該モノマー濃度が2質量%を超えると、ポリアリレート樹脂(B)を溶剤に溶解した際に、溶液中に不溶物の沈殿が発生するおよび/または溶液が濁るため、ポリアリレート樹脂(B)の溶解性が低下する。当該モノマー濃度の下限値は特に限定されるものではなく、モノマー濃度は、通常0.01質量%以上であり、0.1質量%以上であることが好ましい。
モノマー濃度は、ポリアリレート樹脂(B)の製造に使用された全モノマー成分の合計濃度である。モノマー濃度は、詳しくは、ポリアリレート樹脂(B)の製造に使用されたが未反応のまま残留するモノマー成分、およびポリアリレート樹脂(B)のポリマー鎖を構成したが当該ポリマー鎖から遊離(分解)および生成したモノマー成分の合計濃度のことである。ポリアリレート樹脂中に含有されるモノマー成分は、分離が困難で、ポリアリレート樹脂を溶剤に溶解する際に不溶物として析出される。ポリアリレート樹脂の汎用溶剤への溶解性は、ポリアリレート樹脂のポリマー自体の構造およびモノマー組成だけでなく、ポリアリレート樹脂に含まれるモノマー成分の存在にも依存しているものと考えられる。
モノマー濃度は、上記した残留モノマー成分、遊離モノマー成分を含む混合物の、ポリアリレート樹脂(B)の全量に対する割合であり、ポリアリレート樹脂(B)の溶液から高速液体クロマトグラフィにより測定可能である。具体的には、高速液体クロマトグラフィによる測定は後述の方法により行われる。
ポリアリレート樹脂(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、20000未満であることが好ましく、10000未満であることがより好ましく、6000未満であることがさらに好ましく、3000未満であることが特に好ましい。数平均分子量が20000以上の場合、ヒドロキシ基濃度が低くなり、溶剤溶解性が低下する場合がある。ポリアリレート樹脂(B)の数平均分子量は、通常500以上であり、1000以上であることが好ましい。
[ポリアリレート樹脂(B)の製造方法]
ポリアリレート樹脂(B)の製造方法は、ヒドロキシ基濃度を所定の範囲内とすることができれば特に限定されないが、ヒドロキシ基濃度の制御が容易なことから、溶融重合時にヒドロキシカルボン酸成分を用いて制御する方法が好ましい。
溶融重合時にヒドロキシカルボン酸成分を用いてヒドロキシ基濃度を制御する方法とは、アセチル化反応および脱酢酸重合反応を行う方法において、アセチル化反応の後から脱酢酸重合反応の前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加する方法のことである。すなわち、アセチル化反応を行った後、脱酢酸重合反応を行うまでに、ヒドロキシカルボン酸成分を添加する。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ヒドロキシカルボン酸成分の一部を添加してアセチル化反応を行った後、アセチル化反応の後から脱酢酸重合反応の前に、残りのヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよい。
アセチル化反応とは、二価フェノール成分、または、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分をアセチル化する反応のことである。アセチル化反応においては、反応缶に、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分と無水酢酸を投入するか、または芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分とヒドロキシカルボン酸と無水酢酸を投入する。その後、窒素置換を行い、不活性雰囲気下、100〜240℃、好ましくは120〜180℃の温度で、5分〜8時間、好ましくは30分〜5時間、常圧または加圧下で攪拌する。二価フェノール成分のヒドロキシ基に対する無水酢酸のモル比は、1.00〜1.20とすることが好ましい。
脱酢酸重合反応とは、アセチル化した二価フェノールと芳香族ジカルボン酸を反応させ、重縮合する反応である。脱酢酸重合反応においては、240℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上の温度、500Pa以下、好ましくは260Pa以下、より好ましくは130Pa以下の減圧度で、30分以上保持し、攪拌する。温度が240℃未満である場合、減圧度が500Paを超える場合、または保持時間が30分未満の場合、脱酢酸反応が不十分となり得られるポリアリレート樹脂(B)中の酢酸量が高くなったり、全体の重合時間が長くなったり、ポリマー色調が悪化したりする場合がある。
アセチル化反応を行った後、脱酢酸重合反応を行うまでの間には通常、反応系の温度および圧力を脱酢酸重合反応のための温度および圧力に調整する予備段階が存在する。本発明の製造方法においては、この予備段階においてヒドロキシカルボン酸成分を添加すればよい。具体的には、予備段階において、反応系を昇温した後、減圧を行うに際し、昇温前にヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよいし、または昇温後であって減圧前に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよい。昇温前と、昇温後であって減圧前との両方の時に、ヒドロキシカルボン酸成分を添加してもよい。
無水酢酸を二価フェノール成分に、または、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分に反応させた後で、ヒドロキシカルボン酸成分を添加する。このため、アセチル化反応後に添加したヒドロキシカルボン酸成分のヒドロキシ基はアセチル化されない。その結果、ヒドロキシカルボン酸成分の末端基のうち、反応性に優れているカルボキシ基は、脱酢酸重合反応段階でポリアリレート樹脂(B)との反応が進行するが、アセチル化されていないヒドロキシ基はポリアリレート樹脂(B)との反応が進行しない。このため、得られるポリアリレート樹脂(B)のヒドロキシ基濃度を所定の範囲とすることができると推測される。
アセチル化反応および脱酢酸重合反応においては、必要に応じて、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等の有機チタン酸化合物;酢酸亜鉛;酢酸カリウム等のアルカリ金属塩;酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;三酸化アンチモン;ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機錫化合物;N−メチルイミダゾール等のヘテロ環化合物が挙げられる。触媒の添加量は、得られるポリアリレート樹脂(B)の全モノマー成分に対して、通常1.0モル%以下であり、0.5モル%以下とすることが好ましく、0.2モル%以下とすることがより好ましい。
ポリアリレート樹脂(B)を製造する装置としては、公知の反応装置が挙げられ、例えば、回分式反応装置および連続式反応装置が挙げられる。
なお、ポリエステルのヒドロキシ基濃度を高くする方法としては、重縮合反応が完了した後に、多価アルコール成分を添加し、解重合反応を行う方法が広く知られている。しかし、ポリアリレート樹脂(B)の場合、多価アルコール成分、または、ヒドロキシカルボン酸成分による解重合反応の進行が遅く、反応全体の反応時間が長くなる。しかも、解重合反応時に添加したモノマー成分の一部が未反応のまま残る、ならびに、解重合反応によってポリアリレート樹脂(B)を構成するモノマー成分の一部がモノマーとして生成する。このため、解重合反応を行う方法は好ましくない。
[本発明の積層体]
前記の通り、ポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の質量比(A/B)は10/90〜90/10であることが必要である。ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(A)の含有量が10質量%未満であると、得られる積層体は、接着性や耐熱接着性に劣ることがあり、導電ペーストやコーティング剤の用途において、密着性、可撓性や硬度に劣ることがあり、前記含有量が90質量%を超えると、得られる積層体は、耐熱性や耐熱接着性に劣ることがあり、導電ペーストやコーティング剤の用途において硬度や耐熱性に劣ることがある。
本発明の積層体で用いる樹脂層の耐熱性は、ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の各々の耐熱性、すなわちガラス転移温度に依存する。特に相対的にガラス転移温度が低いポリエステル樹脂(A)の耐熱性が樹脂組成物全体の耐熱性に影響するため、本発明の積層体をどのような用途で用いることができるか、その判断指標は以下の通りである。すなわち、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が−50〜50℃であって、接着剤の用途に使用可能なものと、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が40〜150℃であって、導電ペーストや接着剤の用途に使用可能なものとに大別される。
本発明の積層体で用いる樹脂層は、上述のポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを、それぞれを重合した後に、重合釜中や押出機を用いて溶融混練することにより製造することができる。また、ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)のそれぞれを有機溶剤に溶解した後、これらの溶液を混合することにより製造することができる。有機溶剤としては、塗布液を構成する有機溶剤と同様のものを用いることができる。なお、本発明の塗膜を形成するための塗布液は、樹脂層を形成する樹脂組成物と有機溶剤を含有するものであることから、後者の製造方法を採用することが好ましい。
また、本発明の塗膜を形成するための塗布液は、ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)を同時に有機溶剤に添加して溶解する方法や、ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを溶融混練して得られた樹脂組成物を有機溶剤に溶解する方法により製造することができる。
本発明の積層体は、溶剤に溶かした後にポリエチレンテレフタレートフィルム(PET基材)や銅箔等の基材に塗工し、乾燥させることによって塗膜となる。この塗膜は、基材とで積層体を構成する。
本発明に用いる溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド化合物;1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;塩化メチレン等の塩素系溶剤が挙げられる。中でも、メチルエチルケトンおよびトルエンはより汎用的な溶剤として有用である。前記溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、銅箔、銅板、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り法、フィルムアプリケーター塗り法、はけ塗り法、スプレー塗り法、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
本発明の積層体を形成する樹脂層には、さらに硬化剤(C)を含有することが好ましい。樹脂層は、硬化剤(C)を含有することで、接着剤の用途において、さらに接着性、耐熱接着性、耐湿熱性や耐熱性を高めることができ、導電ペーストやコーティング剤の用途において密着性、可撓性、硬度や耐熱性を高めることができる。例えば、硬化剤(C)を含有しない場合、耐熱接着性を十分有する雰囲気の上限温度が80℃としたら、硬化剤(C)を含有することによって、その上限温度を125℃まで高めることができる。なお、耐熱接着性の向上の程度は、用いる樹脂層、樹脂層中に含有する硬化剤(C)の種類、含有量によって適宜調整が可能である。
硬化剤(C)としては、公知のものを挙げることができ、ポリエステル樹脂(A)やポリアリレート樹脂(B)が有する官能基、またはポリエステル樹脂(A)やポリアリレート樹脂(B)が反応して形成される官能基(例えば、カルボキシル基やその無水物、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等)との反応性を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。
上記硬化剤(C)としては、例えば、フェノール樹脂、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のホルムアルデヒド付加物;尿素、アクリルアミド等のグリオキザール付加物;炭素数1〜6のアルコールによるそれら付加物のアルキル化合物等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂;酸無水物;イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物;アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物が挙げられる。中でも、硬化反応性に優れる点で、イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有化合物が好ましい。また、150℃以下という比較的低温における硬化反応性に優れ、基材に与える熱的影響を最小限とすることができる点からは、イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート単量体およびそれらの三量体が挙げられる。中でも、接着性等の性能が向上する点でHDI、MDI、TDIが好ましく、HDIがより好ましく、硬化反応速度が速い点で、MDIが好ましい。また、耐溶剤性、加工性に優れる塗膜形成が可能なことから、硬化剤としてアミノ樹脂も好ましく用いることができる。
本発明において、硬化剤(C)を用いる場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の合計100質量部に対し、0.1〜30質量部とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましく、1.0〜10質量部とすることがさらに好ましい。硬化剤(C)の含有量が0.1質量部未満では、前記効果を奏することができないことがある。一方、硬化剤(C)の含有量が30質量部を超えると、接着性が不十分となることがある。
本発明の積層体を形成する樹脂層として、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、粘度調整剤、増量剤、染料、顔料、UV吸収剤、空隙形成剤、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光沢向上剤、分解促進剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
本発明の積層体は、高温雰囲気下における耐熱接着性に優れるため、電気・電子、機械分野で用いられる各種接着剤、被覆材、絶縁材等、また包装分野で用いられる接着剤として好適に用いられる。電気、電子分野では、例えば自動車等で用いられるワイヤーハーネス、フレキシブルフラットケーブル、電装部品の接着、封止用途、コンピューター、プリンター関連での各種ワイヤー、ケーブル類、携帯電話、スマートフォン等の各種モバイル機器での接着、被覆用途、ディスプレイ、タッチパネル等の光学部品、あらゆる電気、電子部品、機器等で用いられるフレキシブルフラット基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル(FFC)での部品周り、配線周り等での使用が可能である。
また耐湿熱性にも優れるため、ワイヤーハーネス、フレキシブルフラットケーブル等での接着耐久性が向上する。
包装分野では、例えば、包装材料、リチウム電池外装、メンブレンスイッチ、ラベル、壁紙や鋼鈑ラミなどの建材、インクジェット用受像紙などのプリンター用記録用紙、感熱インクリボン・ラベル、印刷・筆記式、磁気記録式のカード・タグ、半導体やセラミックコンデンサー等の製造過程で用いるような各種工程紙、粘着テープ等での使用が可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.測定方法
(1)ポリエステル樹脂(A)およびポリアリレート樹脂(B)の組成
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定を行
って、それぞれの組成を求めた。なお、測定溶剤としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(2)ポリエステル樹脂(A)およびポリアリレート樹脂(B)の数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶剤:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(3)ポリエステル樹脂(A)およびポリアリレート樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、−60℃から200℃まで、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
(4)ポリエステル樹脂(A)の酸価
ポリエステル樹脂(A)0.5gを秤量し、25mlの1,4−ジオキサンに完全に溶解し、さらに指示薬であるクレゾールレッドを数滴添加した。こうして得た溶液を濃度0.1mol/lのKOHメタノール溶液で滴定した。この滴定量から、中和に消費されたKOHのmg数を樹脂1gあたりの量に換算した値を酸価として求めた。
(5)ポリアリレート樹脂(B)のヒドロキシ基濃度
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製LA−400 NMR)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク面積から樹脂組成を求めた。また、1H−NMR分析することにより、フェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位またはメタ位に位置するプロトンのピーク面積を算出して、ヒドロキシ基を定量化することによりヒドロキシ基濃度を求めた。
(6)ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度
(試料溶液Aの調製)
凍結粉砕したポリアリレート樹脂(B)0.2gをアセトニトリル3mLに浸漬し、室温で3日間静置抽出した。その後、抽出液を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、アセトニトリルで希釈して測定用試料溶液Aを調製した。
(試料溶液Bの調製)
凍結粉砕したポリアリレート樹脂(B)0.2gをメタノール3mLに浸漬し、室温で3日間静置抽出した。その後、抽出液を孔径0.45μmのフィルターで濾過して測定用試料溶液Bを調製した。
(モノマー濃度の算出)
HPLC装置(HewlettPackard社製 HP1100)を用いて、試料溶液Aおよび試料溶液BのHPLC測定を行った。試料溶液Aの測定結果より、二価フェノール成分およびヒドロキシカルボン酸成分のモノマー濃度を求めた。また、試料溶液Bの測定結果より、芳香族ジカルボン酸成分のモノマー濃度を求めた。二価フェノール成分、ヒドロキシカルボン酸成分および芳香族ジカルボン酸成分のモノマー濃度の合計から、ポリアリレート樹脂(B)中のモノマー濃度を求めた。(カラム:WatersAtlantis T3 5μmφ4.6×15mm、温度:40℃、検出器:UV275nm、溶離液A:0.1%ギ酸水溶液、溶離液B:アクリロニトリル/ギ酸=100/2、流量:0.5mL/min)
◎:ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が0.5質量%以下であった。
○:ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が0.5質量%を超え2.0質量%以下であった。
△:ポリアリレート樹脂中のモノマー濃度が2.0質量%を超えるものであった。
(7)ポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の溶剤溶解性
得られたポリエステル樹脂(A)およびポリアリレート樹脂(B)を、それぞれ、メチルエチルケトンに溶解するか否かを目視で確認し、固形分濃度10質量%以上で溶解するものを「◎」と判断した。
溶解しなかったものについて、80質量%のトルエンと20質量%のメチルエチルケトンとの混合溶剤に溶解するか否かを目視で確認し、固形分濃度10質量%以上で溶解するものを「○」と判断した。
さらに、溶解しなかったものについて、塩化メチレンに溶解するか否かを目視で確認し、固形分濃度10質量%以上で溶解するものを「△」と判断し、固形分濃度10質量%未満で溶解しなかったものを「×」と判断した。
(8)PET基材に対する接着性
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET基材)に、乾燥後の厚みが10μmになるように、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)で塗工し、120℃で1分乾燥して、塗膜がPET基材に積層された積層体を作製した。作製した積層体を2枚用い、塗膜形成面どうしを重ね合わせ、エアー式プレス機(林機械製作所社製)を用いて、温度180℃、圧力0.2MPa/cm2の条件下、60秒間熱圧着して、熱圧着フィルムを得た。得られた熱圧着フィルムを、短冊状(長さ100mm×幅25mm)に切り出し、試験片とした。
得られた試験片について、引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、常温下で、引張速度50mm/分、引張角度180度の条件で、剥離強度を測定した。測定は5回行い、その平均値を接着強度として、以下の基準で初期接着性を評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものはPET基材に対する接着性が合格と判断した。
◎:接着強度が7N/25mm幅以上である。
○:接着強度が4N/25mm幅以上、7N/25mm幅未満である。
△:接着強度が2N/25mm幅以上、4N/25mm幅未満である。
×:接着強度が2N/25mm幅未満である。
(9)銅箔に対する接着性
基材として厚み0.03mmの銅箔を使用した以外は上記(8)と同様の方法で作製した試験片について、上記(8)に記載された方法と同様の方法で接着強度を測定し、以下の基準で初期接着性を評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものは銅箔に対する接着性が合格と判断した。
◎:接着強度が7N/25mm幅以上である。
○:接着強度が4N/25mm幅以上、7N/25mm幅未満である。
△:接着強度が2N/25mm幅以上、4N/25mm幅未満である。
×:接着強度が2N/25mm幅未満である。
(10)耐熱接着性
上記(8)の方法と同様の方法で作製した試験片について、80または125℃の炉内で行ったこと以外は上記(8)に記載された方法と同様の方法で接着強度を測定し、以下の基準で耐熱接着性を評価した。なお、125℃の炉内での接着強度の測定は、80℃の炉内での測定結果が10N/25mmを超えるものについてのみ行った。
なお、80℃測定での評価結果が◎または〇のものは、実用上十分な耐熱接着性を有すると判断した。
◎:接着強度が7N/25mm幅以上である。
○:接着強度が4N/25mm幅以上、7N/25mm幅未満である。
△:接着強度が2N/25mm幅以上、4N/25mm幅未満である。
×:接着強度が2N/25mm幅未満である。
(11)耐湿熱性
上記(8)に記載された方法で作製した熱圧着フィルムを、85℃、85%RH、500時間の条件で湿熱処理を実施した後、短冊状(長さ100mm×幅15mm)に切り出し、試験片とした。
得られた試験片について、引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、常温下で、引張速度50mm/分、引張角度180度の条件で、剥離強度を測定した。測定は5回行い、その平均値を処理後の接着強度とした。
湿熱処理前後の接着強度から、接着強度保持率を求め、以下の基準で評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものは耐湿熱性が合格と判断した。
◎:接着強度保持率が80%以上である。
○:接着強度保持率が65%以上、80%未満である。
△:接着強度保持率が40%以上、65%未満である。
×:接着強度保持率が40%未満である。
(12)PET基材に対する密着性
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、厚さ75μmのPET基材に、乾燥後の厚みが10μmとなるように卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)で塗工し、120℃で1分乾燥してPET基材上に塗膜を形成した。この塗膜に、セロハンテープ(ニチバン社製CT−18)を貼り付けた後、セロハンテープを剥離して、塗膜のPET基材に対する密着性を評価した。
なお、評価結果が〇のものはPET基材に対する密着性が合格と判断した。
○:塗膜はPET基材から剥離しなかった。
△:塗膜面積の30%未満がPET基材から剥離した。
×:塗膜面積の30%以上がPET基材から剥離した。
(13)銅板に対する密着性
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、厚さ0.3mmの銅板に、乾燥後の厚みが10μmとなるように卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)で塗工し、120℃で1分乾燥して銅板上に塗膜を形成した。この塗膜に、セロハンテープ(ニチバン社製CT−18)を貼り付けた後、セロハンテープを剥離して、塗膜の銅板に対する密着性を評価した。
なお、評価結果が〇のものは銅板に対する密着性が合格と判断した。
○:塗膜は銅板から剥離しなかった。
△:塗膜面積の30%未満が銅板から剥離した。
×:塗膜面積の30%以上が銅板から剥離した。
(14)塗膜化したときの可撓性(折り曲げ試験)
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)を用いて厚さ75μmのPET基材に塗布した。その後、180℃で30秒間熱処理することで、乾燥時の厚みが25μmである塗膜を形成した。PET基材に塗膜が形成された積層体を180°方向に折り曲げた状態で目視にて観察し、以下の基準で評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものは塗膜化したときの可撓性が合格と判断した。
◎:塗膜は割れず、かつ折り曲げた跡も残らなかった。
○:塗膜は割れなかったが、折り曲げた跡が残った。
△:塗膜が割れたが、割れは折り曲げ部の30%未満であった。
×:折り曲げ部の30%以上、塗膜が割れた。
(15)塗膜化したときの硬度(硬度の異なる鉛筆を用いた試験)
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)を用いて厚さ0.3mmの銅板に塗布した。その後、180℃で30秒間熱処理することで、乾燥時の厚みが30μmである塗膜を形成した。この塗膜を、各種の硬度を有する鉛筆(三菱鉛筆社製、「UNI」シリーズ)を用いて引っ掻き、塗膜が破損して鉛筆の先端が基板に達したときの該鉛筆の硬度を測定し、以下の基準で評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものは塗膜化したときの硬度が合格と判断した。
◎:鉛筆の硬度がH以上であった。
○:鉛筆の硬度がB以上H未満であった。
△:鉛筆の硬度が6B以上B未満であった。
×:鉛筆の硬度が6B未満であった。
(16)塗膜化したときの耐熱性(熱圧試験)
上記(7)で溶解可能な溶剤に各樹脂を溶解させて、溶解液を得た。該溶解液を、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコーター装置)を用いて厚さ0.3mmの銅板に塗布した。その後、100℃で30秒間熱処理することで、乾燥時の厚みが25μmである塗膜を形成した。この塗膜を50℃で96時間エージングした後、該塗膜の上にさらに銅板を載せ、ヒートプレス機にて温度120℃、圧力0.1MPaで熱圧した。熱圧時の塗膜の流れ出し量(つまり銅板からのはみ出し量)を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
なお、評価結果が◎または〇のものは塗膜化したときの耐熱性が合格と判断した。
◎:塗膜の流れ出しがほとんどなかった。
○:塗膜がわずかに流れ出した。
△:多くの塗膜が流れ出した。
×:塗膜のほとんど全部が流れ出した。
2.原料
(1)硬化剤(C)
硬化剤(S−1):TPA−100(旭化成ケミカルズ社製、HDI)
硬化剤(S−2):L75(住化コベストロウレタン社製、TDI)
硬化剤(S−3):MT(東ソー社製、MDI)
(2)ポリエステル樹脂(A)の調製
調製例a1
テレフタル酸83質量部(50モル%)、イソフタル酸83質量部(50モル%)、エチレングリコール42質量部(67モル%)、ネオペンチルグリコール71質量部(63モル%)、ポリテトラメチレングリコール50質量部(5モル%)および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに3時間重合反応を行って、ポリエステル樹脂(P−1)を得た。
調製例a2〜a18
使用するモノマーの種類とその組成および重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例1と同様にし、ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−18)を得た。
ポリエステル樹脂(P−1)〜(P−18)の調製時の仕込組成、最終樹脂組成および特性値を表1に示す。
なお、表1における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸
SEA:セバシン酸
EG:エチレングリコール
PG:1,2−プロパンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
BAEO:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
TCD:トリシクロデカンジメタノール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000、炭素数が約54)
(3)ポリアリレート樹脂(B)の調製
調製例b1
テレフタル酸83質量部(50モル%)、イソフタル酸83質量部(50モル%)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン114質量部(50モル%)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン230質量部(75モル%)、無水酢酸255質量部(250モル%)を、撹拌装置を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、140℃でp−ヒドロキシ安息香酸69質量部(50モル%)を投入した後、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後280℃で90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂(Q−1)を得た(脱酢酸重合反応)。得られたポリアリレート樹脂の樹脂組成を分析したところ、その樹脂組成は、調製時の仕込組成と同一であった。
調製例b2〜b9
使用するモノマーの種類とその組成および重合反応時間を表2のように変更した以外は、調製例1と同様にし、ポリエステル樹脂(Q−2)〜(Q−9)を得た。
調整例10
テレフタル酸50質量部(30モル%)、イソフタル酸116質量部(70モル%)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン143質量部(62.5モル%)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン194質量部(62.5モル%)、無水酢酸255質量部(250モル%)を、攪拌装置を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した後、90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌した(脱酢酸重合反応)。その後、窒素雰囲気下で常圧とし、280℃でp−ヒドロキシ安息香酸69質量部(50モル%)を投入した後、280℃で2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂(Q−10)を得た(解重合反応)。
ポリアリレート樹脂(Q−1)〜(Q−10)の最終樹脂組成および特性値を表2に示す。
なお、表2における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
BisA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
BisAP:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン
BisTMC:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン
PHBA:p−ヒドロキシ安息香酸
Ac2O:無水酢酸
PTBP:p−tert−ブチルフェノール
実施例1
ポリエステル樹脂(P−1)とポリアリレート樹脂(Q−1)とを、質量比が(P−1)/(Q−1)=80/20となるように、溶剤に溶解混合して積層体を得た。各種評価を行った結果を表3および表4に示す。
実施例2〜57、比較例1〜12
ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂の種類および質量部を表3および表4記載のように変更する以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。表3は、ガラス転移温度が−50〜50℃で、接着剤の用途に使用可能なポリエステル樹脂(P−1〜P−11)を含有する実施例1〜33および比較例1〜8の積層体について、PET基材に対する接着性、銅箔に対する接着性、耐熱接着性、耐湿熱性および耐熱性を評価した結果である。表4は、ガラス転移温度が40〜150℃で、導電ペーストやコーティング剤の用途に使用可能なポリエステル樹脂(P−9)〜(P−15)を含有する実施例34〜57および比較例9〜12の積層体について、密着性、可撓性、硬度および耐熱性を評価した結果である。
表3および表4において、実施例1〜33の積層体は、所定の構成であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性は所定の性能を有したものであった。また、形成された塗膜は、接着性および耐熱性に優れ、かつ、耐熱接着性や耐湿熱性においても優れていた。
一方で、比較例1〜4の積層体は、ポリエステル樹脂(A)を単独で用いたものであったため、耐熱接着性が劣るものであった。比較例5の積層体は、ポリエステル樹脂(A)を単独で用い硬化剤を含有するものであったが、耐熱接着性が劣るものであった。比較例6の積層体は、ポリアリレート樹脂(B)の含有量が本発明で規定する下限値未満であったため、耐熱接着性が劣るものであった。比較例7の積層体は、ポリエステル樹脂(A)の含有量が本発明で規定する下限値未満であったため、接着性および耐熱接着性が劣るものであった。比較例8の積層体は、ポリアリレート樹脂(B)を単独で用いたものであったため、接着性および耐熱接着性が著しく劣るものであった。よって耐湿熱性は評価を行うことができなかった。
表5において、実施例34〜57の積層体は、所定の構成であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性は所定の性能を有するものであったため、形成された塗膜は、密着性および耐熱性に優れ、かつ、可撓性や硬度においても優れていた。一方で、比較例9、10の積層体は、ポリアリレート樹脂(B)の含有量が本発明で規定する下限値未満であったため、耐熱性および硬度に劣るものであった。比較例11、12の積層体は、ポリエステル樹脂(A)の含有量が本発明で規定する下限値未満であったため、密着性、可撓性、および硬度に劣るものであった。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が形成された積層体であって、前記樹脂層がポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とを含有するものであり、質量比(A/B)が10/90〜90/10であり、基材フィルムと樹脂層間の80℃雰囲気下で測定される耐熱接着性が、4N/25mm幅以上である積層体。
  2. ポリアリレート樹脂を除くポリエステル樹脂(A)の酸価が、4mgKOH/g以下である請求項1記載の積層体。
  3. ポリアリレート樹脂(B)が、二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とを含有
    し、二価フェノール成分として、一般式(1)で示される二価フェノールを含有すること
    を特徴とする請求項1または2記載の積層体。
    [式(1)中、RおよびRは、独立して、水素、炭素数が1〜12の炭化水素基また
    はハロゲンを表し、mおよびnは、独立して、0〜4の整数を表し、XおよびXは、
    水素、炭素数が1〜20の直鎖状の炭化水素基、枝分かれ状の炭化水素基、芳香族および
    脂環族を含む環状の炭化水素基、トリハロメタン基、または、炭素数が1〜20のアルキ
    ルエステル基、または、フェニルエステル基を表す。]
  4. ポリアリレート樹脂(B)の二価フェノール成分として、一般式(2)で示される二価
    フェノールを含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
    [式(2)中、R、R、RおよびRは、独立して、水素、炭素数が1〜12の炭化
    水素基またはハロゲンを表し、RおよびRは、独立して、水素または炭素数が1〜4
    の炭化水素基を表す。mは4〜11の整数を表し、Xは、ヒドロキシフェニル基が結合す
    る炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素を表す。]
  5. ポリアリレート樹脂(B)において、さらにヒドロキシカルボン酸成分を含有し、全モ
    ノマー成分に対するヒドロキシカルボン酸成分の割合が2〜50モル%であることを特徴
    とする請求項1〜4いずれか記載の積層体。
  6. ポリアリレート樹脂(B)の二価フェノール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキ
    シフェニル)プロパン(BisA)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
    3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)とが用いられていることを特徴とす
    る請求項1〜5いずれか記載の積層体。
  7. ポリアリレート樹脂(B)のBisAとBisTMCの含有比率(BisA/BisT
    MC)が、30/70〜70/30(モル比)であることを特徴とする請求項6記載の積層体。
  8. さらに硬化剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の積層体。
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