JP5466095B2 - 共重合ポリエステル樹脂およびそれを用いた接着剤 - Google Patents

共重合ポリエステル樹脂およびそれを用いた接着剤 Download PDF

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本発明は、高温環境下においても接着性が良好な共重合ポリエステル樹脂およびそれを用いた接着剤に関するものである。
ポリエステル樹脂は、その構成成分であるジカルボン酸およびグリコールの種類を変更して共重合ポリエステルとすることで、種々の特徴を付与させることが可能であり、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に広く使用されている。
例えば、電気・電子分野のような湿熱耐久性が要求される分野における接着剤として、特定のポリアルキレングリコールを1〜30モル%含有し、ガラス転移温度が30℃以下の共重合ポリエステル樹脂が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1記載の共重合ポリエステルを、自動車内のような高温環境下(例えば、80℃)で用いると、接着性が十分ではないという問題があった。
特開2001−200041号公報
本発明は、かかる従来技術の課題に対して、高温環境下での接着性(以下、「熱間接着性」と略称する。)が良好な共重合ポリエステル樹脂、およびそれを用いた接着剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ジカルボン酸成分とグリコール成分とから構成される共重合ポリエステル樹脂であって、
(i)ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸の共重合量が60モル%以上であり、
(ii)グリコール成分のうち、分子量が200〜1800のポリオキシアルキレングリコールの共重合量が1〜30モル%、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種類のグリコールの共重合量が30モル%以上であって、
(iii)繰り返し単位の平均分子量が230以上であり、
(iv)ガラス転移温度が30℃を超え70℃以下
である共重合ポリエステル樹脂。
)()記載の共重合ポリエステル樹脂と液状媒体を含有する接着剤。
本発明によれば、熱間接着性が高く、湿熱耐久性にも優れた共重合ポリエステル樹脂を提供することができる。この共重合ポリエステルを用いた接着剤は、熱間接着性、湿熱耐久性が良好であるため、自動車内のような高温環境下で使用されるフレキシブルフラットケーブル、光学パネル等に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に使用する共重合ポリエステル樹脂について説明する。本発明に使用する共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分として構成される。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸が、全ジカルボン酸成分中において、60モル%以上共重合されることが必要であり、80モル%以上共重合されることが好ましい。これらのモノマーの共重合量が60モル%未満であると、得られる共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が極端に低くなり、熱間接着性および湿熱耐久性が低下するので好ましくない。芳香族カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸が挙げられる。中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸成分を構成する他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、パーヒドロナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロブテンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは無水物や誘導体であってもよい。
グリコール成分としては、分子量が200〜1800のポリオキシアルキレングリコールが、全グリコール成分中において、1〜30モル%共重合されることが必要である。共重合量が1モル%未満では、共重合ポリエステル樹脂の湿熱耐久性が不足するので好ましくない。一方、共重合量が30モル%を超えると、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低くなり、樹脂の取り扱いおよび製造時における樹脂の払い出しが困難になるので好ましくない。
ポリオキシアルキレングリコールは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
ポリオキシアルキレングリコールの分子量は、200〜1800が必要で、500〜1800が好ましい。ポリオキシアルキレングリコールの分子量が200未満であると、十分な湿熱耐久性が得られないので好ましくない。一方、分子量が1800を超えると、溶剤に対する溶解性が低下するので好ましくない。
ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリノナンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン)ジオール等が挙げられる。
グリコール成分として、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールから選ばれた少なくとも1種類のグリコールが、全グリコール成分中において30モル%以上共重合されることが必要で、50モル%以上共重合されることが好ましい。これらのモノマーを共重合することで共重合ポリエステル樹脂の熱間接着性が向上する。なお、一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールとしては、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.02.6)デカン(OXEA社製TCDアルコール)等が挙げられる。
グリコール成分として、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールから選ばれた少なくとも1種類のグリコールを共重合した場合、さらに耐候性が向上する。
グリコール成分を構成する他のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−フェニレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、共重合ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、全カルボン酸成分中におけるヒドロキシカルボン酸の共重合量は20モル%以下とすることが好ましい。
また、共重合ポリエステル樹脂には、少量であれば、モノカルボン酸、モノアルコール、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合してもよい。
モノカルボン酸としては、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。モノカルボン酸、モノアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合量は、全カルボン酸成分、全アルコール成分中において、0.2〜20モル%とすることが好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合量は、全カルボン酸成分、全アルコール成分中において、0.2〜20モル%とすることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂の繰り返し単位の平均分子量(以下、MAVEと略称する。)は230以上とすることが必要で、260以上とすることがより好ましい。MAVEが230未満であると、共重合ポリエステル樹脂の湿熱耐久性が低下するので好ましくない。
なお、本発明におけるMAVEとは、共重合ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分(残基)の分子量をその構成比に応じて加重平均した値と、共重合ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分(残基)の分子量をその構成比に応じて加重平均した値との和をいう。MAVEの具体的な求め方を下記に例示する。
[繰り返し単位の平均分子量(MAVE)の求め方:例]
共重合ポリエステル樹脂のアルコール成分がネオペンチルグリコール50モル%、エチレングリコール50モル%であり、カルボン酸成分がテレフタル酸50モル%、イソフタル酸30モル%、アジピン酸20モル%であったとする。このとき、各成分の分子量としては、アジピン酸残基が114、ネオペンチルグリコール残基が102、エチレングリコール残基が60であり、テレフタル酸残基が132、イソフタル酸残基が132であることから、この共重合ポリエステル樹脂の繰り返し単位の平均分子量(MAVE)の値は、下記の式に示す計算によって求められ、209.4となる。
AVE=(132×0.50+132×0.30+114×0.20)
+(102×0.50+60×0.50)=209.4
共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度は30℃を超え70℃以下であることが必要で、35〜65℃であることが好ましく、40〜60℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が30℃以下であると、熱間接着性が低下するので好ましくない。一方、ガラス転移温度が70℃を超えると、ポリエステル樹脂の溶解性が低下して好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、共重合するモノマーを適宜選択することにより、上記範囲に制御することができる。
共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、10,000〜60,000であることが好ましく、15,000〜50,000であることがより好ましく、20,000〜40,000であることがさらに好ましい。数平均分子量が10,000未満であると、熱間接着性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が60,000を超えると、樹脂の溶融粘度が著しく高くなり、製造時における樹脂の払い出しが困難になる場合がある。
共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高いポリエステルを製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、モノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。中でも、所定の粘度で終了する方法が好ましい。
共重合ポリエステル樹脂の酸価は2mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることがより好ましい。共重合ポリエステル樹脂の酸価をこの範囲とすることで、湿熱耐久性を向上させることができる。
共重合ポリエステル樹脂の酸価を制御する方法としては、共重合ポリエステル樹脂の分子量を目標以上に重合反応を進めておき多官能カルボン酸を適宜添加して解重合する方法、仕込みのジカルボン酸とグリコールのモル比を調整する方法、共重合ポリエステル樹脂を熱分解する方法等が挙げられる。中でも、共重合ポリエステル樹脂の分子量を目標以上に重合反応を進めておき多官能カルボン酸を適宜添加して解重合する方法が好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造方法としては、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。エステル化反応および重縮合反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム等の金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10−4〜100×10−4モルとすることが好ましい。
次に、液状媒体について説明する。
液状媒体としては、有機溶剤や水が挙げられる。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等のエステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の接着剤は、共重合ポリエステル樹脂を液状媒体に溶解または分散させて作製する。
共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解する場合、その方法は特に限定されないが、共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤に混合し、加熱溶解する方法等が挙げられる。
共重合ポリエステル樹脂を水分散体とする場合、その方法は特に限定されないが、共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解し、アミンを添加した後、水を加え転相乳化し、その後、共沸により有機溶剤を取り除く方法が挙げられる。
接着剤の共重合ポリエステル樹脂の固形分濃度は、5〜50質量%とすることが好ましい。固形分濃度をこの範囲とすることで、塗工性が良好になる。
本発明の接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の樹脂、硬化剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、粘着付与剤、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等を含有させてもよい。
他の樹脂としては、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂変性オレフィン樹脂、セルロース誘導体、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。
硬化剤としては、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物等が挙げられる。
熱安定剤としては、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物等が挙げられる。
滑材としては、タルクやシリカ、ワックス等が挙げられる。
顔料としては、酸化チタン等が挙げられる。
粘着付与剤としては、タッキファイヤー等が挙げられる。
本発明の接着剤は、公知のコーティング方法で基材に塗布し、乾燥工程に付されて接着剤層を形成し、さらに、塗膜側に別の基材を張り合わせ、加熱加圧することで積層体とすることができる。
基材に接着剤を塗布する方法としては、特に限定されないが、コーターを用いてコーティングする方法等が挙げられる。コーターとしては、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フローコーター等が挙げられる。コーティングする際に、塗布量を調整することで、接着剤層の厚みを任意に制御することができる。乾燥後の接着剤層の厚みとしては、0.1〜20μmが好ましい。乾燥工程での温度は、70〜150℃が好ましい。加熱加圧工程の温度は120〜190℃が好ましく、圧力は0.05〜0.4MPaが好ましい。
基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等のフィルムや、アルミニウム、銅等の金属箔、無機ガラスが挙げられる。
積層体は、フレキシブルフラットケーブル、フラットワイヤーハーネス、光学パネル、電磁波シールド被覆材、電線被覆剤、電線水密材、建材、内装用接着剤等として用いることができる。特に、自動車内のような高温高湿環境下での使用に適している。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各種物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)共重合ポリエステル樹脂の共重合組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製JNM−LA400)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた。(周波数:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸、温度:25℃)
(2)ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
示差屈折率検出器:島津製作所社製RID−6A
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(3)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(4)共重合ポリエステル樹脂の酸価
JIS K−0070に準拠して、試料1gをジオキサン50mlに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、中和に消費されたポリエステル樹脂1gあたりの水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を酸価とした。
(5)共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度
JIS K−7121に準拠して、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC)を用いて、ガラス転移温度を求めた。
(6)共重合ポリエステル樹脂の溶解性
トルエン/メチルエチルケトン=5/5(質量比)の混合溶媒に、ポリエステル樹脂を溶液濃度が30質量%になるように混合した。混合しても溶解しなかった場合「×」とした。溶解した場合、得られた樹脂溶液を透明なガラス瓶中2時間静置し、目視で均一性を確認し、以下の基準で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:均一に溶解し、静置しても均一であった。
○:均一に溶解したが、静置すると増粘した。
×:均一に溶解したが、静置すると、層分離するかまたは凝固した。
(7)接着性
厚み38μmのポリエステルフィルム(ユニチカ社製エンブレット)を基材として、その片面に、バーコーターを用いて、接着剤を塗布後、110℃で2分間乾燥し、乾燥厚さ15μmの樹脂層を形成させ、さらに、その積層体の接着剤塗布面に厚み50μmの銅板を重ね、160℃で1分間、圧力0.1MPaで1分間プレスし積層体を作製した。
その後、積層体を23℃×50%RHの雰囲気下で1日以上放置した後、25mm巾に切断し、引張強度試験機(島津製作所社製オートグラフAG100B)を用いて、23℃の恒温槽中で180度剥離試験をおこない剥離強度を測定した。接着性は、剥離強度を巾1cm当りに換算して以下の基準で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:10N/cm以上
○:5N/cm以上10N/cm未満
×:5N/cm未満
(8)湿熱耐久性
(7)において作製した積層体を、85℃×85%RHの雰囲気下で1000時間湿熱処理し、その後、23℃×50%RHの雰囲気下で1日以上放置した後、(7)と同様に剥離強度を測定した。接着性は、剥離強度を巾1cm当りに換算して以下の基準で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:7N/cm以上
○:3N/cm以上7N/cm未満
×:3N/cm未満
(9)高温環境下での接着性(熱間接着性)
(7)において作製した積層体を、23℃×50%RHの雰囲気下で1日以上放置した後、80℃の恒温槽中で(7)と同様に剥離強度を測定した。熱間接着性は、剥離強度を巾1cm当りに換算して以下の基準で評価した。実用上、「◎」「○」「□」が好ましい。
◎:7N/cm以上
○:5N/cm以上7N/cm未満
□:3N/cm以上5N/cm未満
×:3N/cm未満
(10)積層体の耐候性
(7)において作製した積層体を、WS型促進暴露装置(スガ試験機社製サンシャインウェザーメーター)を用いて、63℃×100時間の条件で照射して促進耐候性試験をおこなった後、積層体の状態変化を目視で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:変化がなかった。
○:若干の黄変やくすみが認められた。
×:激しく黄変した。
実施例と比較例で用いた共重合ポリエステル樹脂は、下記のようにして得られた。
共重合ポリエステル樹脂A
テレフタル酸332kg、エチレングリコール29kg、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.02.6)デカン287kg(OXEA社製TCDアルコール)、ポリテトラメチレングリコール(分子量650、BASF社製PolyTHF650)234kg(テレフタル酸:エチレングリコール:TCDアルコール:PolyTHF650=100:51:71:18(モル比))を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、100rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下240℃で5時間エステル化をおこなった。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒としてテトラブチルチタネートモノマーを545g投入し(テレフタル酸1モルあたり8×10−4モル)、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、1.3hPa、245℃で重縮合反応をおこなった。その後、ストランドカッターを用いて、ペレット状の共重合ポリエステル樹脂Aを得た。
共重合ポリエステル樹脂B〜Q、T
表1〜2に示すように、ジカルボン酸成分、グリコール成分の種類および仕込樹脂組成を変更した以外は共重合ポリエステル樹脂Aと同様にして共重合ポリエステル樹脂B〜Q、Tを重合した。
共重合ポリエステル樹脂R
テレフタル酸166kg、セバシン酸202kg、エチレングリコール72kg、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.02.6)デカン279kg(OXEA社製TCDアルコール)、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000、BASF社製PolyTHF1050)220kg(テレフタル酸:セバシン酸:エチレングリコール:TCDアルコール:PolyTHF1050=50:50:58:71:11(モル比))を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、100rpmの回転数で攪拌しながら、0.30MPaの制圧下240℃で5時間エステル化をおこなった。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒としてテトラブチルチタネートポリマーを273g投入し(テレフタル酸とセバシン酸の合計1モルあたり4×10−4モル)、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、1.3hPa、240℃で重縮合反応をおこなった。その後、シート状に払い出して、シート状の共重合ポリエステル樹脂Rを得た。
共重合ポリエステル樹脂S
ジカルボン酸成分、グリコール成分の種類、および仕込樹脂組成を表2に示したように変更した以外は、共重合ポリエステル樹脂Rと同様にして共重合ポリエステル樹脂Sを重合した。
表1、2に、共重合ポリエステル樹脂の仕込樹脂組成、表3、4に、共重合ポリエステル樹脂の最終樹脂組成と特性値を示す。
実施例1
共重合ポリエステル樹脂A600質量部をトルエン1120質量部、メチルエチルケトン280質量部に溶解し、固形分30%の接着剤を作製した。
実施例2〜10、参考例1〜5、比較例1〜6
表5〜6に示すように、共重合ポリエステル樹脂の種類を変更した以外は実施例1と同様に接着剤を作製し、さらに、積層体を作製した。
実施例1〜10は、共重合ポリエステル樹脂の溶解性、積層体の接着性、湿熱耐久性、熱間接着性がいずれも良好であった。
グリコール成分として、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、またはトリシクロデカンジメタノールを、グリコール成分に対して30モル%以上共重合した実施例1〜10、参考例1〜4は、熱間接着性が特に良好であった。
さらに、グリコール成分として、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、またはトリシクロデカンジメタノールを、グリコール成分に対して30モル%以上共重合した実施例1〜10は、耐候性も併せて特に良好であった。
比較例1は、共重合ポリエステル樹脂のポリオキシアルキレングリコール成分の分子量が200未満で、共重合ポリエステル樹脂の繰り返し単位の平均分子量が230未満であったため、湿熱耐久性が劣っていた。
比較例2は、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が70℃よりも高かったため、溶解性が悪く積層体を作製することができなかった。
比較例3は、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が30℃未満であったため、熱間接着性が低かった。
比較例4は、共重合ポリエステル樹脂の芳香族ジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分中において60モル%未満であったため、ガラス転移温度が−48℃と極端に低く、接着性、湿熱耐久性が劣っており、および熱間接着性が低かった。
比較例5は、共重合ポリエステル樹脂のポリオキシアルキレングリコール成分の分子量が1800よりも大きかったため、溶解性が悪く積層体を作製することができなかった。
比較例6は、共重合ポリエステル樹脂のポリオキシアルキレングリコール成分の分子量が200未満であったため、湿熱耐久性が劣っていた。
比較例7は、共重合ポリエステル樹脂のポリオキシアルキレングリコール成分の共重合量が、グリコール成分のうち30モル%を超えていたため、熱間接着性が低かった。

Claims (2)

  1. ジカルボン酸成分とグリコール成分とから構成される共重合ポリエステル樹脂であって、
    (i)ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸の共重合量が60モル%以上であり、
    (ii)グリコール成分のうち、分子量が200〜1800のポリオキシアルキレングリコールの共重合量が1〜30モル%、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種類のグリコールの共重合量が30モル%以上であって、
    (iii)繰り返し単位の平均分子量が230以上であり、
    (iv)ガラス転移温度が30℃を超え70℃以下
    である共重合ポリエステル樹脂。
  2. 請求項記載の共重合ポリエステル樹脂と液状媒体を含有する接着剤。
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