JP2014097594A - 金属張積層板及びその製造方法並びにプリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた誘電特性と低熱膨張性とを兼ね備えた、プリント配線板材料に適した金属張積層板を提供する。
【解決手段】金属層と、液晶性ポリマーを含む絶縁層とを含む金属張積層板であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板に用いられる金属張積層板及びその製造方法、並びに、斯かる金属張積層板を用いたプリント配線板に関する。
近年、パーソナルコンピューター、サーバーをはじめとする情報端末機器及びインターネットルーター、光通信等の通信機器は、大容量の情報を高速で処理することが要求され、電気信号の高速化・高周波化が進んでいる。それに伴い、これらに用いられる半導体プラスチックパッケージ用積層板には、従来求められていた耐熱性及び金属層とのピール強度等の特性に加え、プリント配線板の絶縁層の低誘電率化・低誘電正接化が求められており、これらの特性要求に応えるべく種々の試みがなされている。加えて、半導体素子と半導体プラスチックパッケージ用積層板の熱膨張差より、パッケージの反りが発生し、接続不良を生じることから、積層板の面方向の熱膨張率低減が強く求められており、これら低誘電率、低誘電正接、低熱膨張率等の性質を複合的に有する材料が求められている。
これまで、低誘電率化や低誘電正接化の目的で、積層板の絶縁層としては、エポキシ樹脂やシアン酸エステル樹脂等が適用されてきたが、これらの樹脂は吸水率が高く、高周波領域で誘電率が変化しやすいという課題があった。そこで、低吸水性で高周波領域での誘電率の変化の少ない液晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)を用い、LCPからなるフィルムを複数枚重ねて形成された絶縁層(LCP基板)を備えた高周波回路基板が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、絶縁層の面方向の熱膨張率を低減させるためには、絶縁層の材料となる樹脂組成物に対して、無機充填剤の充填量を増加させるという手法がある(例えば特許文献2及び3参照)。
特開2000−269616号公報 特開2004−059643号公報 特開2009−120702号公報
しかし、特許文献1で開示されているLCP基板は、面方向の熱膨張率が大きく、熱処理等の際に反り等の外形異常が発生する場合があり、基板製造の障害になるという課題があった。また、特許文献2及び3で開示されている樹脂組成物を用いた絶縁層では、多量の無機充填剤の影響から、誘電率や誘電正接が大きくなり、これらの特性を両立させることは困難であるという課題があった。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、優れた誘電特性を有しつつ、熱膨張性の低い金属張積層板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、金属張積層板に用いる絶縁層の組成、製法について鋭意研究を行った。その結果、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔に圧着することを含む方法で金属張積層板を得ることにより、優れた誘電特性と低熱膨張性とを両立することが可能になることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の主旨は、金属層と、液晶性ポリマーを含む絶縁層とを含む金属張積層板であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる金属張積層板に関する。
また、本発明の別の主旨は、液晶性ポリマーを含む絶縁層と金属層とを含む金属張積層板を製造する方法であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔と積層した状態で圧着することを含む方法に関する。
また、本発明の別の主旨は、液晶性ポリマーを含む絶縁層と、絶縁層上に形成された金属配線パターンとを含むプリント配線板であって、液晶性ポリマーの繊維、不織布又は織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる、プリント配線板に関する。
本発明に係る金属張積層板は、誘電率や誘電正接が低く、優れた誘電特性を有すると共に、面方向の熱膨張性も低く抑えられる。従って、本発明に係る金属張積層板は、プリント配線板材料として好適である。
また、本発明に係る金属張積層板の製造方法によれば、上述の優れた金属張積層板を効率的に得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
[金属張積層板]
本発明は、金属層と、液晶性ポリマーを含む絶縁層とを含む金属張積層板であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる金属張積層板に関する。金属層は、絶縁層の少なくとも片面に配置されればよいが、絶縁層の両面に配置されてもよい。また、金属層及び/又は絶縁層をそれぞれ複数積層してもよく、更には、複数の金属張積層板を積層してもよい。
[金属層]
金属張積層板に用いられる金属材料は、導電性を有する金属であれば限定されず、プリント配線板への使用が可能な任意の金属を使用することができる。プリント配線板の金属層として一般に用いられる金属としては、銅、金、鉛、スズ、ニッケル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、任意の二種以上の金属からなる合金を用いることも可能である。中でも銅が好ましい。金属層の厚さは、使用する金属箔の種類、厚さ、圧着時の条件に応じて決まり、金属張積層板の用途等に応じて任意に選択される。
金属張積層板の製造に使用される金属箔は、プリント配線板に使用される公知の金属箔であれば、特に制限なく使用することができる。上に挙げられた金属を電解により取得した電解金属箔又は圧延することにより取得した圧延金属箔を使用することができる。金属箔には、例えばニッケル、コバルト処理等、公知の表面処理が施されていてもよいし、金属箔を絶縁層に張りつけ、金属層を形成する観点から、金属箔面に粗化処理が行われていてもよい。金属箔面の表面粗さ(Rz)は、好適には4μm以下、より好適には2μm以下のものを使用することが好ましい。なお、Rzとは、JIS B0601で規定される十点平均粗さを意味する。金属箔の厚さは、上述の金属層の厚さと、圧着時の条件等に応じて適宜選択すればよいが、例えば1〜150μmの範囲である。
[絶縁層]
絶縁層とは、導電性の金属層を支持する絶縁性の層のことをいう。本発明において絶縁層は、液晶性ポリマーを含む。絶縁層の厚みは、圧着時の条件等や、金属張積層板の用途等に応じて、適宜選択される。
[液晶性ポリマー]
液晶性ポリマー(B)とは、液晶構造を発現する高分子を指す。液晶性ポリマー(B)の種類は任意であり、制限されないが、例として液晶ポリエステル及び液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。中でも、プリント配線板に用いるために適した電気的特性の観点から、液晶性ポリエステルが好ましい。
液晶性ポリマーの例として、以下に例示する(i)から(iv)に分類される化合物及びその誘導体の中から選択される1種又は2種以上のモノマーを重合して得られるポリマーが挙げられる。
(i)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物
Figure 2014097594
上記式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、低級(C1〜C6)アルキル基、フェニル基等のアリール基等を指す。Yは、−O−基、−CH2−基、−S−基等の二価の基を指す。nは、2〜12の整数を指す。
(ii)芳香族または脂肪族ジカルボン酸
Figure 2014097594
上記式中、nは、2〜12の整数を指す。
(iii)芳香族ヒドロキシカルボン酸
Figure 2014097594
上記式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、低級(C1〜C6)アルキル基、フェニル基等のアリール基等を指す。
(iv)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸
Figure 2014097594
上に挙げたモノマーから製造される液晶性ポリマーは、単一のモノマーからなるホモポリマーであってもよいし、任意の組合せ及び比率で二種以上のモノマーからなるコポリマーであってもよい。これらの液晶性ポリマーは1種類を使用してもよいし、2種類以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
液晶性ポリエステルとしては、モノマー間の結合にエステル結合が含まれているポリマーであって、液晶構造を発現するものであれば、その種類は任意である。但し、優れた電気的特性を有する液晶性ポリエステルを取得する観点から、特に以下の式(1)〜(3)で表される構造を有する液晶性ポリマーが好ましい。
Figure 2014097594
上記式(1)〜(3)中、x及びyは、それぞれ1以上の整数を表す。x及びyの具体的な値は、ポリマーの製造条件や分子量等に応じて定まる。また、各ポリマーの末端は、製造条件等に応じて定まるが、通常は水素原子、−OH基、低級(C1〜C6)アルキル基、低級(C1〜C6)アルコキシ基等、或いはポリマーの製造に使用した触媒等に由来する基である。
また、上記式(1)〜(3)の各式において、個々の繰り返し単位は、ランダムに存在していてもよく、交互に存在していてもよく、個々にブロックを形成していてもよい。
なお、式(1)〜(3)の液晶性ポリエステルは、何れか一種を使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
液晶性ポリマーの形状は、特に限定されないが、繊維、不織布、又は織布であることが好ましい。液晶性ポリマーの不織布又は織布の厚さの下限値は、取り扱い性を向上させるという観点から、通常1μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上、中でも5μm以上である。液晶性ポリマーの不織布又は織布の厚さの上限値は、金属張積層板を薄膜化する観点から、通常500μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下、中でも200μm以下、更には150μm以下である。
液晶性ポリマーの軟化点は、液晶性ポリマーの種類に応じて異なるが、制限されるものではない。具体的には、金属張積層板の耐熱性の観点から、液晶性ポリマーの軟化点は、通常200℃以上、中でも240℃以上、更には260℃以上の範囲が好ましい。但し、圧着の容易性の観点から、液晶性ポリマーの軟化点は、通常420℃以下、中でも400℃以下、更には380℃以下の範囲が好ましい。なお、ポリマーの軟化点は、例えば、針入プローブを用いた熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)等により測定することが可能である。
液晶性ポリマーには、無機充填剤を配合してもよい。混練方法としては、特に制限されないが、例えば、2軸押出機等で溶融混練した液晶ポリマー樹脂へ無機充填剤を混合分散し、得られた組成物を繊維化して得られた繊維、或いは得られた繊維をシート状にした織布又は不織布を、本発明の液晶ポリマーとして使用できる。無機充填剤としては、積層板用途において一般に使用されるものであれば適用可能である。具体的には、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラス等のガラス微粉末類)、中空ガラス等が挙げられる。これらのなかでも、本発明においては、シリカ類、タルク、ガラス短繊維が好ましく、熱膨張率、誘電特性の観点から、シリカ類が特に好ましい。これらの無機充填剤は1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
[液晶性ポリマー織布]
液晶性ポリマー織布は、液晶性ポリマーの繊維を織ってシート状にしたものである。液晶性ポリマー繊維においては、溶融紡糸の過程で、液晶ポリマーの分子鎖は、繊維の長さ方向へ高度に配向されるため、液晶性ポリマー繊維を織って得た液晶性ポリマー織布においては、繊維の方向に分子が配向されており、少なくとも2の方向(例えば経糸方向と緯糸方向)に分子が配向されている。液晶性ポリマー織布としては、市販されている製品等、公知の任意のものを使用できる。具体例としては、旭化成イーマテリアルズ社製116XC(KBセーレン製繊維、ゼクシオンを織布化したもの)、116VT(クラレ製繊維ベクトランを織布化したもの)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
液晶性ポリマー織布の打ち込み本数は、特に限定されないが、20本/インチ(約7.9本/cm)〜100本/インチ(約39.4本/cm)の範囲が好ましい。打ち込み本数の下限は20本、30本及び40本/インチ(それぞれ約7.9、11.8、及び15.7本/cm)からなる群から選択され、打ち込み本数の上限は、60本、70本、80本、90本、及び100本/インチ(それぞれ約23.6本、27.6本、31.5本、35.4本、及び39.4本/cm)からなる群から選択される。経糸と緯糸の打ち込み本数は、それぞれ上に記載の打ち込み本数の範囲内であれば、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。中でも、20本/インチ(約7.9本/cm)〜100本/インチ(約39.4本/cm)の範囲が好ましい。
[液晶性ポリマー不織布]
液晶性ポリマー不織布とは、液晶性ポリマーの繊維を織らずに、熱、機械的又は化学的な作用により接着又は絡み合わせることでシート状に形成したものをいう。不織布は、繊維がランダムに折り曲げられていることがあるが、繊維を1又は複数の方向に揃えて接着させることで布を形成している場合もある。液晶性ポリマー不織布としては、市販されている製品等、公知の任意のものを使用できる。具体例としては、(株)クラレ製のポリアリレート系液晶性ポリマーからメルトブローン方式で製造された不織布であるベクルス(目付け量6〜15g/m2)や(株)クラレ製のベクトランを繊維素材とする不織布等が挙げられる。
液晶性ポリマー不織布を構成する液晶性ポリマー繊維の平均径は、制限されるものではないが、通常3μm以上、中でも4μm以上、更には5μm以上、また、通常40μm以下、中でも30μm以下、更には25μm以下であることが好ましい。
[金属張積層板の製造方法]
本発明の金属張積層板は、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を、金属箔と積層した状態で、好ましくは加熱しながら圧着する方法により製造される。また、金属層及び/又は絶縁層をそれぞれ複数積層して圧着してもよく、更には、複数の金属張積層板を積層して圧着してもよい。
圧着時の温度は、少なくとも液晶性ポリマーと金属箔とを接着することができる温度であれば任意の温度であってもよいが、好ましくは、液晶性ポリマーの軟化点−50℃以上の温度である。より好ましくは、液晶性ポリマーの軟化点−40℃以上の温度である。一方で、液晶性ポリマーの分子配向を維持する観点では、軟化点+100℃以下の温度が好ましい。より好ましくは、液晶性ポリマーの軟化点+70℃以下、更に好ましくは軟化点+40℃以下の温度である。
また、圧着時に加熱を行う場合、加熱温度は、液晶性ポリマーを確実に軟化させる観点から、通常150℃以上、中でも170℃以上、更には190℃以上の範囲が好ましい。但し、絶縁層の保護の観点から、通常450℃以下、中でも430℃以下、更には400℃以下の範囲が好ましい。
圧着時の圧力は、液晶性ポリマーを確実に軟化させる観点から、通常5kgf/cm2(約49N/cm2)以上、中でも10kgf/cm2(約98N/cm2)以上、更には20kgf/cm2(約196N/cm2)以上とすることが好ましい。但し、金属箔を保護する観点からは、通常100kgf/cm2(約980N/cm2)以下、中でも80kgf/cm2(約784N/cm2)以下、更には60kgf/cm2(約588N/cm2)以下とすることが好ましい。
圧着時の時間は、液晶性ポリマーを確実に軟化させる観点から、通常5分以上、中でも10分以上、更には20分以上とすることが好ましい。但し、金属箔を保護する観点から、通常300分以下、中でも240分以下、更には180分以下とすることが好ましい。
圧着の工程において、液晶性ポリマーが有していた結晶の配向性は、完全に又は部分的に維持されると考えられる。したがって、繊維や、繊維から形成された織布や不織布を圧着した場合、繊維の形状は失われるものの、その繊維が有していた配向性が完全に又は部分的に維持される。例えば経糸と緯糸により織られた織布の場合、2の方向に液晶ポリマーの分子が配向していることから、圧着して得られた絶縁層においてもその元の配向性が完全に又は部分的に維持される。
本発明に係る金属張積層板は、誘電率や誘電正接が低く、優れた誘電特性を有すると共に、面方向の熱膨張性も低く抑えられる。従って、本発明に係る金属張積層板は、プリント配線板材料として好適である。
[プリント配線板]
本発明の別の態様によれば、絶縁層と、絶縁層の表面に形成された金属配線パターン(導体層)とを含むプリント配線板である。また、本発明に係る金属張積層板をビルドアップ材料として用いて形成されたプリント配線板も提供される。ここで、ビルドアップとは、金属張積層板に、一層毎に孔あけ加工、配線形成等を繰り返すことによって、多層構造のプリント配線板を作製する作業を意味する。
本発明に係る金属張積層板をビルドアップ材料として用いる場合は、例えば、当該金属張積層板の金属箔を常法によりエッチングした後、樹脂組成物層(絶縁層)を常法により表面処理し、絶縁層表面にめっきにより配線パターン(導体層)を形成することにより、本発明のプリント配線板が得られる。これにより、本発明に係る金属張積層板の絶縁層及び金属層が、それぞれプリント配線板の絶縁層及び金属配線パターンを構成することになる。こうして得られた絶縁層は、液晶性ポリマーの不織布又は織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られたものとなる。なお、本発明に係る金属張積層板と共に、任意により他の公知のプリプレグ、樹脂シート又は金属張積層板を、ビルドアップ材料として併用してもよい。
以下、本発明のプリント配線板を製造するための各工程について説明する。
穴加工処理は、ビアホール、スルーホール等の形成のために実施される。穴加工処理は、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等の公知の方法のうち何れか一種を用い、または必要によりこれらのうち二種以上の方法を組み合わせて行う。
その後、絶縁層表面にめっきをするが、めっきの密着性、スミア除去の観点から絶縁層に表面処理をすることが好ましい。表面処理としては、粗化処理、シランカップリング処理等があるが、特にめっきの密着性を高める観点から、粗化処理を行う。この場合、樹脂組成物の硬化度の違いにより、粗化状態が異なるため、積層成形条件は、その後の粗化処理条件やめっき条件との組み合わせで最適な条件を選ぶことが好ましい。
次に、前記粗化処理について詳細に説明する。該工程は、孔あけ工程により生じたスミア除去も兼ねる。粗化処理としては、濡れ性を向上させるための膨潤剤による表面絶縁層膨潤工程、酸化剤による表面粗化及びスミア溶解工程及び還元剤による中和工程からなる。
膨潤工程における膨潤剤としては表面絶縁層の濡れ性が向上し、次の粗化工程において酸化分解が促進する程度にまで膨潤させることができるものであればよく、例えばアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が用いられる。
酸化剤による表面粗化及びスミア溶解工程における酸化剤としては、過マンガン酸塩溶液が用いられる。また、これらのウェットデスミアと呼ばれる方法に加えて、プラズマ処理やUV処理によるドライデスミア、バフ等による機械研磨、サンドブラスト等、公知の粗化処理も組み合わせて使用できる。過マンガン酸塩溶液の具体例としては、過マンガン酸カリウム水溶液、過マンガン酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。
中和工程における還元剤としては、アミン系還元剤を用いることができ、例えばヒドロキシルアミン硫酸塩水溶液、エチレンジアミン四酢酸水溶液、ニトリロ三酢酸水溶液等の酸性還元剤が挙げられる。
微細配線を形成する上で、粗化処理後の表面凹凸は小さいほうが好ましい。具体的には、Rz値で5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。粗化処理後の表面凹凸は、樹脂組成物の硬化度と、粗化処理条件で決まるため、所望の表面凹凸を得るための最適条件を選ぶことが好ましい。
次に、粗化処理後のめっき工程について詳細に説明する。めっきによるパターン形成方法としては、セミアディティブ法、フルアディティブ法、予めめっきで導体層を形成しておきサブトラクティブ法でパターンを形成する方法など、公知の方法が利用できるが、微細配線形成には、セミアディティブ法が好ましい。
めっきによるパターン形成は、めっき後に乾燥を行うことにより、接着強度が増すため、めっき後に乾燥を行うことが好ましい。セミアディティブ法によるパターン形成では、無電解めっきと電解めっきを組み合わせて行うが、その際、無電解めっきの後と、電解めっきの後に、それぞれ乾燥を行うことが好ましい。無電解後の乾燥は80〜180℃で10〜120分の温度で行うことが好ましく、電解めっき後の乾燥は130〜220℃で10〜120分の温度で行うことが好ましい。
本発明のプリント配線板は、多層プリント配線板とすることも可能である。例えば、本発明の金属張積層板を形成した後、これに内層回路を形成し、得られた回路に黒化処理を実施して、内層回路板とする。こうして得られた内層回路板、又は、金属箔(例えば銅やアルミニウム等)の片面又は両面に、プリプレグ又は樹脂シートを配置し、更に金属箔(例えば銅やアルミニウム等)又は離型フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム等の表面に離型剤を塗布したフィルム)をその外側に配置する、という操作を繰り返して積層成形し、適宜上述の各種肯定を施すことにより、多層プリント配線板が製造される。
積層成形は、通常のプリント配線板用積層板の積層成形に一般に使用される手法、例えば、多段プレス、多段真空プレス、ラミネーター、真空ラミネーター、オートクレーブ成形機等を使用し、温度は例えば100〜400℃、圧力は例えば0.1〜100kgf/cm2(約9.8kPa〜約38MPa)、加熱時間は例えば30秒〜5時間の範囲で適宜選択して行う。また、必要に応じて、例えば150〜400℃の温度で後硬化を行い、硬化度を調整してもよい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
厚さ0.07mmの液晶性ポリマー織布(旭化成イーマテリアルズ製116XC)を3枚重ね、その上下に厚さ18μm電解銅箔を配置し、圧力40kgf/cm2(約392N/cm2)、温度350℃で30分間プレス(圧着)を行うことにより、厚さ0.1mmの銅張積層板(金属張積層板)を得た。
実施例2
実施例1で用いた液晶性ポリマー織布の代わりに、厚さ0.07mmの液晶ポリマー織布(旭化成イーマテリアルズ製116VT)を3枚重ねて用いた以外は、実施例1と同様の操作により、厚さ0.1mmの銅張積層板(金属張積層板)を得た。
比較例1
厚さ0.05mmの液晶性ポリマーフィルム(クラレ製ベクスターCT-Z)を二枚重ね、さらにその上下に厚さ18μm電解銅箔を配置し、圧力40kgf/cm2(約392N/cm2)、温度350℃で30分間プレス(圧着)を行うことにより、厚さ0.1mmの銅張積層板(金属張積層板)を得た。
比較例2
フェノールノボラック型エポキシ(DIC製EPICRON770)63重量部と、フェノールノボラック樹脂(DIC製TD2090)37重量部をメチルエチルケトンで溶解混合し、溶融シリカ(電気化学工業製FB-3SDC)200重量部を撹拌混合した中に、2−エチル−5−メチルイミダゾール(四国化成製2E4MZ)0.03重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラスクロス(日東紡製E2013)に含浸塗工し、160℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量50重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグ1枚の上下に、18μmの電解銅箔を配置し、圧力30kgf/cm2(約294N/cm2)、温度220℃で120分間プレスを行い、厚さ0.1mmの銅張積層板(金属張積層板)を得た。
比較例3
溶融シリカの使用量を100重量部とした以外は、比較例2と同様の操作により、厚さ0.1mmの銅張積層板(金属張積層板)を得た。
物性の測定及び結果
上記手順で得られた実施例1、2及び比較例1〜3により得られた銅張積層板(金属張積層板)について、以下の手法で、熱膨張率、比誘電率及び誘電正接を測定した。
・熱膨張率:銅張積層板の銅箔を除去した試験片を使用し、熱機械分析装置(TAインスツルメント製Q400)を用いて、40℃から300℃まで毎分10℃で昇温し、60℃から120℃での面方向の熱膨張係数(ppm/℃)を測定した。測定方向は、銅張積層板のガラスクロス(基材)の縦方向(Warp)とした。
・比誘電率及び誘電正接:銅張積層板の銅箔を除去した試験片を使用し、空洞共振器摂動法(アジレントテクノロジー製Agilent 8722ES)にて、10GHzの誘電率及び誘電正接を測定した。
得られた結果を以下の表1に示す。
Figure 2014097594
本発明に係る金属張積層板は、上述のように、優れた誘電特性と低熱膨張性とを兼ね備えていることから、プリント配線板材料として有用であり、その工業的な実用性は極めて高い。

Claims (6)

  1. 金属層と、液晶性ポリマーを含む絶縁層とを含む金属張積層板であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる金属張積層板。
  2. 液晶性ポリマーが、以下の式:
    Figure 2014097594
    {式中、x及びyは、それぞれ整数を表す}
    からなる群から選ばれる構造を有する、請求項1又は2に記載の金属張積層板。
  3. 液晶性ポリマーを含む絶縁層と金属層とを含む金属張積層板を製造する方法であって、液晶性ポリマーの繊維、織布又は不織布を金属箔と積層した状態で圧着することを含む方法。
  4. 液晶性ポリマーが、以下の式:
    Figure 2014097594
    {式中、x及びyは、それぞれ整数を表す}
    からなる群から選ばれる構造を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項3又は4に記載の方法により得られる金属張積層板。
  6. 液晶性ポリマーを含む絶縁層と、絶縁層上に形成された金属配線パターンとを含むプリント配線板であって、液晶性ポリマーの繊維、不織布又は織布を金属箔に圧着することを含む方法により得られる、プリント配線板。
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