JP2010080479A - プリント配線板用コア基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】エッチング加工により導体層に配線パターンを形成させたとしても、耐熱性及び電気特性を十分維持できるプリント配線板用コア基板を提供する。
【解決手段】プリント配線板用コア基板は、銅を含む導体層21,22が絶縁層11,12を挟持するように積層されてなり、該絶縁層が、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシートと溶剤可溶性の液晶ポリエステルとから形成されている。該導体層は銅箔からなるものが好ましく、該シートはガラス繊維からなるシート、すなわちガラスクロスが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板に使用されるプリント配線板用コア基板に関する。
電子機器の多機能化は、年々加速度的に進行している。かかる多機能化のために、これまで進められている半導体パッケージの改良に加え、当該電子部品を実装するプリント配線板においても、より高性能なものが求められるようになってきている。
急速に実用化が進められているプリント配線板の一つとして、ビルドアップ配線板がある。一般的なビルドアップ配線板とは、配線パターンを形成したプリント配線板用コア基板(以下、場合により「コア基板」という)を中心部に配し、当該コア基板の配線パターンを絶縁層で覆うようにして、片面銅張絶縁基板を積層させたものである。当該コア基板の絶縁層としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をガラスクロス等に含浸して硬化させたガラスエポキシ材からなるものが主流であった(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、ガラスエポキシ材を用いたコア基板は、高性能化、特に電気信号の高速化の点で、今後の要求に応えられるものではなかった。そこで、該コア基板に係る絶縁層に使用される樹脂材料の一つとして液晶ポリエステルが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
佐藤文彦他著,「高分子新素材One Point7 耐熱・絶縁材料」,89〜93頁,1988年1月20日出版,共立出版 特開2007−146139号公報
ところで、該コア基板は、絶縁層の両面に例えば銅箔等の導体層を配し、該導体層の少なくとも一方に、配線パターンを形成させることが必要である。このような配線パターンの形成には、通常薬剤処理等によるエッチング加工が用いられる。
しかしながら、液晶ポリエステルを用いた絶縁層を備えたコア基板では、エッチング加工処理後、片面銅張絶縁基板をさらに張り合わせてプリント配線板を製造しようとすると、得られたプリント配線板の表面上に膨れ状の欠陥が生じることがあった。このように欠陥が発生したプリント配線板では電子機器の信頼性を損なうという問題が生じる。
そこで本発明の目的は、電気特性に優れた液晶ポリエステルを絶縁層に使用し、さらにエッチング加工により導体層に配線パターンを形成させたとしても、耐熱性及び電気特性を十分維持できるコア基板(プリント配線板用コア基板)を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の<1>を提供するものである。
<1>銅を含む導体層2つが絶縁層を挟持するように積層されてなり、該絶縁層が、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシートと溶剤可溶性の液晶ポリエステルとから形成されているプリント配線板用コア基板
また、本発明は上記<1>に係る好適な実施形態として、以下の<2>〜<8>を提供する。
<2>前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)で表される構造単位と、式(2)で表される構造単位と、式(3)で表される構造単位とを有し、全構造単位の合計に対して式(1)で表される構造単位30.0〜45.0モル%、式(2)で表される構造単位27.5〜35.0モル%、式(3)で表される構造単位27.5〜35.0モル%からなるものである、<1>のプリント配線板用コア基板
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
<3>前記式(3)で表される構造単位として、X及びYの少なくとも一方がNHである構造単位を含む、<2>のプリント配線板用コア基板
<4>前記液晶ポリエステルが、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計が30.0〜45.0モル%、4−アミノフェノールに由来する構造単位が27.5〜35.0モル%、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する構造単位が27.5〜35.0モル%からなる、<1>〜<3>の何れかのプリント配線板用コア基板
<5>前記導体層のうち少なくとも1つが、銅箔である、<1>〜<4>の何れかのプリント配線板用コア基板
<6>前記導体層のうち少なくとも1つが、配線パターンを形成させてなる導体層である、<1>〜<5>の何れかのプリント配線板用コア基板
<7>前記絶縁層が、厚み10〜200μmの前記シートに、前記液晶ポリエステル及び溶剤を含む溶液組成物を含浸せしめて形成されたものである、<1>〜<6>の何れかのプリント配線板用コア基板
<8>前記シートがガラスクロスである、<1>〜<7>の何れかのプリント配線板用コア基板
本発明によれば、エッチング加工により導体層に配線パターンを形成したとしても、耐熱性及び電気特性を十分維持できるプリント配線板用コア基板を提供できる。当該プリント配線板用コア基板は、極めて信頼性の高い電子機器に使用するプリント配線板を与えることができるため、産業上の価値は極めて高いものである。
本発明のコア基板は、銅を含む導体層2つが絶縁層を挟持するように積層されてなり、該絶縁層のうち少なくも1つが、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシートと溶剤可溶性の液晶ポリエステルとから形成されていることを特徴とする。以下、当該コア基板にある絶縁層において、溶剤可溶性の液晶ポリエステル、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシート、該液晶ポリエステルと該シートとを用いた絶縁層の製造方法、絶縁層と銅を含む導体層との積層によるコア基板の製造方法、コア基板の配線パターンの製造方法に関し、順次説明する。なお、必要に応じて図面を参照するが、同一構成要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面中の構成要素の寸法等は見易さのため任意になっている。
<液晶ポリエステル>
本発明に用いる液晶ポリエステルとは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するという特性を有するポリエステルである。本発明に使用する液晶ポリエステルとしては、下記式(1)で表される構造単位(以下、「式(1)構造単位」という)と、下記式(2)で表される構造単位(以下、「式(2)構造単位」という)と、下記式(3)で表される構造単位(以下、「式(3)構造単位」という)とを有し、全構造単位の合計に対して、式(1)構造単位を30.0〜45.0モル%、式(2)構造単位を27.5〜35.0モル%、式(3)構造単位を27.5〜35.0モル%からなるものが好ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
式(1)構造単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位であり、該芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸等が挙げられる。
式(2)構造単位は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位であり、該芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。
式(3)構造単位は、芳香族ジオール、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族ジアミンに由来する構造単位である。該芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
また、該フェノール性水酸基を有する芳香族アミンとしては、p−アミノフェノール、3−アミノフェノール等が挙げられ、該芳香族ジアミンとしては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは溶剤可溶性であり、かかる溶剤可溶性とは、温度50℃において、1重量%以上の濃度で溶剤に溶解することを意味する。この場合の溶剤とは、後述する溶液組成物の調製に用いる好適な溶剤の何れか1種であり、詳細は後述する。
このような溶剤可溶性を有する液晶ポリエステルとしては、前記式(3)構造単位として、フェノール性水酸基を有する芳香族アミンに由来する構造単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する構造単位を含むものが好ましい。すなわち、式(3)構造単位として、X及びYの少なくとも一方がNHである構造単位(式(3’)で表される構造単位、以下、「式(3’)構造単位」という)を含むと、後述する好適な溶剤(非プロトン性極性溶剤)に対する溶剤可溶性が優れる傾向があるため好ましい。特に、実質的に全ての式(3)構造単位が式(3’)構造単位であることが好ましい。また、この式(3’)構造単位は液晶ポリエステルの溶剤溶解性を十分にすることに加え、液晶ポリエステルがより低吸水性となる点でも有利である。
(3’)−X−Ar3−NH−
(式中、Ar3及びXは前記式(3)と同義である。)
式(3)構造単位は全構造単位の合計に対して、30.0〜32.5モル%の範囲で含むとより好ましく、こうすることにより、溶剤可溶性は一層良好になる。このように式(3’)構造単位を、式(3)構造単位として有する液晶ポリエステルは、溶剤に対する溶解性、低吸水性という点に加え、該溶液組成物を用いて絶縁層の製造がより容易となるという利点もある。
式(1)構造単位は全構造単位の合計に対して、30.0〜45.0モル%の範囲で含むと好ましく、35.0〜40.0モル%の範囲で含むとより好ましい。このようなモル分率で式(1)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶剤に対する溶解性がより優れる傾向にある。さらに、式(1)構造単位を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸の入手性も合わせて考慮すると、該芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸及び/又は2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が好適である。
式(2)構造単位は全構造単位の合計に対して、27.5〜35.0モル%の範囲で含むと好ましく、30.0〜32.5モル%の範囲で含むとより好ましい。このようなモル分率で式(2)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶剤に対する溶解性がより優れる傾向にある。さらに、式(2)構造単位を誘導する芳香族ジカルボン酸の入手性も合わせて考慮すると、該芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくも1種であると好ましい。
また、得られる液晶エステルがより高度の液晶性を発現する点では、式(2)構造単位と式(3)構造単位とのモル分率は、[式(2)構造単位]/[式(3)構造単位]で表して、0.9/1.0〜1.0/0.9の範囲が好適である。
次に液晶ポリエステルの製造方法について簡単に説明する。
該液晶ポリエステルは、種々公知の方法により製造可能である。好適な液晶ポリエステルである、式(1)構造単位、式(2)構造単位及び式(3)構造単位からなる液晶ポリエステルを製造する場合、これら構造単位を誘導するモノマーを、エステル形成性・アミド形成性誘導体に転換した後、重合させて液晶ポリエステルを製造する方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記エステル形成性・アミド形成性誘導体について、例を挙げて説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジカルボン酸のような、カルボキシル基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、当該カルボキシル基が、ポリエステルやポリアミドを生成する反応を促進するように、酸塩化物、酸無水物等の反応活性の高い基になっているものや、当該カルボキシル基が、エステル交換・アミド交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するようにアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているもの等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジオール等のような、フェノール性水酸基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、エステル交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているもの等が挙げられる。
また、芳香族ジアミンのように、アミノ基を有するモノマーのアミド形成性誘導体としては、例えば、アミド交換反応によりポリアミドを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているもの等が挙げられる。
これらの中でも液晶ポリエステルをより簡便に製造するうえでは、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジオール、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンといったフェノール性水酸基及び/又はアミノ基を有するモノマーとを、脂肪酸無水物でアシル化してエステル形成性・アミド形成性誘導体(アシル化物)とした後、該アシル化物のアシル基と、カルボキシ基を有するモノマーのカルボキシ基とがエステル交換・アミド交換を生じるようにして重合させ、液晶ポリエステルを製造する方法が特に好ましい。
このような液晶ポリエステルの製造方法は、例えば、特開2002−220444号公報又は特開2002−146003号公報に記載されている。
アシル化においては、フェノール性水酸基とアミノ基との合計に対して、脂肪酸無水物の添加量が1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、1.05〜1.1倍当量であるとより好ましい。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、重合時にアシル化物や原料モノマーが昇華して反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化に使用される脂肪酸無水物は、価格と取扱性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸又はこれらから選ばれる2種以上の混合物が好ましく、特に好ましくは、無水酢酸である。
アシル化に続く重合は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい。
また、重合においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
アシル化及び/又は重合の際には、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸や未反応の脂肪酸無水物は蒸発させる等して系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化や重合においては触媒の存在下に行ってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾール等の有機化合物触媒を挙げることができる。
これらの触媒の中でも、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾール等の窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
該触媒は、通常モノマーの投入時に一緒に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合には、アシル化からそのまま重合に移行することができる。
このような重合で得られた液晶ポリエステルはそのまま、本発明に用いることができるが、耐熱性や液晶性という特性の更なる向上のためには、より高分子量化させることが好ましく、かかる高分子量化には固相重合を行うことが好ましい。この固相重合に係る一連の操作を説明する。前記の重合で得られた、比較的低分子量の液晶ポリエステルを取り出し、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にする。続いて、粉砕後の液晶ポリエステルを、例えば、窒素等の不活性ガスの雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で加熱処理するという操作により固相重合は実施できる。該固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお、後述する好適な流動開始温度の液晶ポリエステルを得るといった観点から、該固相重合の好適条件を詳述すると、反応温度として210℃を越えることが好ましく、より一層好ましくは220℃〜350℃の範囲である。反応時間は1〜10時間から選択されることが好ましい。
本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、流動開始温度が250℃以上であると、コア基板中にある配線パターンが形成された導体層と絶縁層との間に、より高度の密着性が得られるため好ましい。ここでいう流動開始温度とは、フローテスターによる溶融粘度の評価において、9.8MPaの圧力下で液晶ポリエステルの溶融粘度が4800Pa・s以下になる温度をいう。なお、この流動開始温度とは、液晶ポリエステルの分子量の目安として当業者には周知のものである(小出直之編,「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」,95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行)。
液晶ポリエステルの流動開始温度は、250℃以上300℃以下であることが更に好ましい。流動開始温度が300℃以下であれば、液晶ポリエステルの溶剤に対する溶解性がより良好になることに加え、後述する溶液組成物を得たとき、その粘度が著しく大にならないので、該溶液組成物の取扱性が良好となる傾向がある。かかる観点から、流動開始温度が260℃以上290℃以下の液晶ポリエステルがさらに好ましい。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度をこのような好適な範囲に制御するには、前記固相重合の重合条件を適宜最適化すればよい。
<溶液組成物>
本発明のコア基板の絶縁層を得るには、液晶ポリエステル及び溶剤を含む溶液組成物、特に溶剤に液晶ポリエステルを溶解せしめた溶液組成物を用いることが好ましい。
本発明に用いる液晶ポリエステルとして、上述の好適な液晶ポリエステル、特に前記式(3’)構造単位を含む液晶ポリエステルを用いた場合、該液晶ポリエステルはハロゲン原子を含まない非プロトン性溶剤に対して十分な溶解性を発現する。
ここでハロゲン原子を含まない非プロトン性溶剤とは、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤;γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系溶剤;アセトニトリル、サクシノニトリル等のニトリル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ系溶剤;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄系溶剤、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン系溶剤が挙げられる。なお、上述の液晶ポリエステルの溶剤可溶性とは、これらから選ばれる少なくとも1つの非プロトン性溶剤に可溶であることを指すものである。
液晶ポリエステルの溶剤可溶性をより一層良好にして、溶液組成物が得られやすい点では、例示した溶剤の中でも、双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性極性溶剤を用いることが好ましい。具体的にいえば、アミド系溶剤、ラクトン系溶剤が好ましく、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)を用いることがより好ましい。更には、前記溶剤が、1気圧における沸点が180℃以下の揮発性の高い溶剤であると、前記シートに該溶液組成物を含浸させた後、除去しやすいという利点もある。この観点からは、DMF、DMAcが特に好ましい。また、このようなアミド系溶剤の使用は、絶縁層の製造時に、厚みムラ等が生じ難くなるため、該絶縁層上に導体層が形成し易いという利点もある。
前記溶液組成物に、前記のような非プロトン性溶剤を用いた場合、該非プロトン性溶剤100重量部に対して、液晶ポリエステルを20〜50重量部、好ましくは22〜40重量部溶解させると好ましい。該溶液組成物に対する液晶ポリエステル含有量がこのような範囲であると、絶縁層を製造する際に、前記シートに該溶液組成物を含浸させる効率が良好になり、含浸後の溶剤を乾燥除去する際に、厚みムラ等が生じるといった不都合も起こり難い傾向がある。
また、前記溶液組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体に代表されるエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂等、液晶ポリエステル以外の樹脂を一種又は二種以上を添加してもよい。ただし、このような他の樹脂を用いる場合においても、これら他の樹脂も該溶液組成物に使用した溶剤に可溶であることが好ましい。
さらに、該溶液組成物には、寸法安定性、熱電導性、電気特性の改善等を目的として、本発明の効果を損なわない範囲であれば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機フィラー;硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマー等の有機フィラー;シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が、一種又は二種以上添加されていてもよい。
また、該溶液組成物は必要に応じて溶液中に含まれる微細な異物を、フィルター等を用いたろ過処理により除去してもよい。
さらに、該溶液組成物は必要に応じ、脱泡処理を行ってもよい。
<無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシート>
本発明に用いるシートは、通気性のあるペーパー、織物、不織布シート等であって無機繊維及び/又は炭素繊維からなるものである。ここで、無機繊維としては、ガラスに代表されるセラミック繊維であり、ガラス繊維、アルミナ系繊維、ケイ素含有セラミック系繊維等が挙げられる。これらの中でも、入手性が良好であることから、主としてガラス繊維からなるシート、すなわちガラスクロスが好ましい。
前記ガラスクロスとしては、含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維、低誘電ガラス繊維からなるものが好ましい。また、ガラスクロスを構成する繊維として、その一部にガラス以外のセラミックからなるセラミック繊維又は炭素繊維を混入していてもよい。また、ガラスクロスを構成する繊維は、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されていてもよい。
これらの繊維からなるガラスクロスを製造する方法としては、ガラスクロスを形成する繊維を水中に分散し、必要に応じてアクリル樹脂等の糊剤を添加して、抄紙機にて抄造後、乾燥させることで不織布を得る方法や、公知の織成機を用いる方法を挙げることができる。
繊維の織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が利用できる。織り密度としては、10〜100本/25mmであり、ガラスクロスの単位面積当たりの質量としては10〜300g/m2のものが好ましく使用される。前記ガラスクロスの厚みとしては、通常、10〜200μm程度であり、10〜180μmのものがさらに好ましく使用される。
また、市場から容易に入手できるガラスクロスを用いることも可能である。このようなガラスクロスとしては、電子部品の絶縁含浸基材として種々のものが市販されており、旭シュエーベル(株)、日東紡績(株)、有沢製作所(株)等から入手することができる。なお、市販のガラスクロスにおいて、好適な厚みのものは、IPC呼称で1035、1078、2116、7628のものが挙げられる。
<コア基板の製造方法>
本発明のコア基板の絶縁層は、例示したような溶剤可溶性の液晶ポリエステルと前記シート(好ましくはガラスクロス)とから形成された樹脂含浸基材を用いて製造されたものであると好ましく、該溶液組成物を該シートに含浸させ溶剤を乾燥除去させることで得られる樹脂含浸基材が特に好ましい。溶剤除去後の樹脂含浸基材に対する液晶ポリエステル付着量としては、得られた樹脂含浸基材の重量を基にして30〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましい。
ここでは、シートとして好適なガラスクロスを用いた場合のコア基板の製造方法を説明する。
ガラスクロスに溶液組成物を含浸させるには、典型的には該溶液組成物を仕込んだ浸漬槽を準備し、この浸漬層に該ガラスクロスを浸漬することで実施することができる。ここで、用いた溶液組成物の液晶ポリエステル含有量、浸漬槽に浸漬する時間、溶液組成物が含浸されたガラスクロスを引き上げる速度を、適宜最適化すれば、上述の好適な液晶ポリエステル付着量は容易に制御することができる。
このようにして、溶液組成物を含浸させたガラスクロスは、溶剤を除去することで樹脂含浸基材を製造することができる。溶剤を除去する方法は特に限定されないが、操作が簡便である点で、溶剤の蒸発により行うことが好ましく、加熱、減圧、通風又はこれらを組み合わせた方法が用いられる。また、樹脂含浸基材の製造には、溶剤を除去した後、さらに加熱処理を行ってもよい。このような加熱処理によると、溶剤除去後の樹脂含浸基材に含まれる液晶ポリエステルをさらに高分子量化することができる。この加熱処理に係る処理条件としては、例えば、窒素等の不活性ガスの雰囲気下、240〜330℃で、1〜30時間加熱処理するといった方法を挙げることができる。なお、より良好な耐熱性を有するコア基板を得るといった観点からは、該加熱処理の処理条件としては、その加熱温度が250℃を越えるようにすることが好ましく、より一層好ましくは加熱温度が260〜320℃の範囲である。該加熱処理の処理時間は1〜10時間から選択されることが、生産性の点で好ましい。
次に、得られた樹脂含浸基材の両面に銅を含む導体層を積層させて、コア基板を製造する。
該導体層を積層させる方法としては、通常、該樹脂含浸基材に銅を含む金属箔を積層させる方法、銅又は銅合金からなる微粒子(銅微粒子)を樹脂含浸基材上にコートして導体層を形成させる方法等が挙げられる。
かかる導体層としては、銅又は銅合金からなるものが使用可能であるが、銅箔を用いてコア基板を製造することが好ましい。銅箔は優れた導電性を発現するものであり、経済性の点でも優れたものといえる。
銅箔の積層方法としては、例えば接着剤を用いて銅箔と樹脂含浸基材とを接着する方法、銅箔と樹脂含浸基材とを熱プレスにより熱融着させる方法が挙げられる。
接着剤を使用する場合、該接着剤としては、市販のエポキシ樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤等が使用可能である。
また、熱プレスする場合の処理条件としては、使用する樹脂含浸基材のスケール、形状又は使用する銅箔の厚み、種類により適宜最適化できるが、真空下で熱プレスすることが特に好ましい。なお、該熱プレスにおける処理条件は、得られる積層体が良好な表面平滑性を発現するようにして、処理温度や処理圧力を適宜最適化することが好ましい。この処理温度は、該熱プレスに使用する樹脂含浸基材を製造する際に使用した加熱処理の温度条件を基点とすることができる。具体的には、樹脂含浸基材を製造する際に使用した加熱処理に係る温度条件の最高温度をTmax[℃]としたとき、このTmaxを越える温度で熱プレスすることが好ましく、Tmax+5[℃]以上の温度で熱プレスすることがより好ましい。該熱プレスに係る温度の上限は、用いる樹脂含浸基材に含有される液晶ポリエステルの分解温度を下回るように選択されるが、好ましくは該分解温度を30℃以上下回るようにすることが好ましい。なお、ここでいう分解温度は熱重量減少分析等の公知の手段で求められるものである。また、該熱プレスの処理時間は1〜30時間、プレス圧力は1〜30MPaから選択される。
また、銅微粒子のコート方法としては、めっき法、スクリーン印刷法、スパッタリング法等が利用できる。これらの中でもコート法としてはめっき法が好ましく、具体的には無電解めっきや電解めっきを用いることが好ましい。
また、このようなめっき法で得られた導体層の特性をさらに向上させるためにも、めっき後の導体層を加熱処理することが好ましく、かかる加熱処理の処理条件に関しても、前記熱プレスの処理条件として記した条件と同等のものが採用される。
<配線パターンの製造方法>
かくして得られたコア基板にある導体層の少なくとも一方に、所定の配線パターンを形成する。配線パターンを形成するには、そのマスキングとして、市販のエッチングレジストやドライフィルムを用いることができる。そして、マスキングされた導体層とマスキングされていない導体層において、後者の導体層をウェット法(薬剤処理)というエッチング加工によって除去する。エッチング加工に用いる薬剤としては、例えば塩化第二鉄水溶液が挙げられる。
次いで、マスキングされた導体層からエッチングレジストやドライフィルムをアセトンや水酸化ナトリウム水溶液で除去とする。このようにして導体層に所定の配線パターンを形成することができる。
本発明によれば、上述のようなエッチング加工を施した後のコア基板を、例えば加熱処理等を行ったとしても、プリント配線板表面上に膨れ状の欠陥を発生させるようなガスの発生を十分防止することができる。かかる効果が発現される理由は必ずしも明らかではないが、本発明者等は以下のように推定している。すなわち、液晶ポリエステルを用いた従来のコア基板の製造においては、液晶ポリエステルを溶融させてガラスクロスに含浸させて一体化させ絶縁層を得ていた。しかしながら、このような方法で得られる絶縁層は、ガラスクロスに液晶ポリエステルが十分充填されていないボイドのようなものが部分的に生じていると考えられる。このようにボイドを有する絶縁層では、加熱処理等を受けると、ボイドにある気体(ガス)が膨張して表面まで浮上し、膨れ状の欠陥が生じることになる。また、エッチング加工に使用した薬剤が該ボイドまで浸透し、このボイドで滞留すると、加熱処理による膨れ状の欠陥の発生が顕著になる。本発明のコア基板によれば、液晶ポリエステルを溶解せしめた溶液組成物を用いることで、ガラスクロス中に、十分液晶ポリエステルが充填される。したがって、上述のようなボイドの生成を十分防止することができると推定される。また、液晶ポリエステルを溶融せしめてガラスクロスに含浸させるという従来の方法よりも、本発明のように前記溶液組成物を用いて樹脂含浸基材を製造する方が、ガラスクロスを構成する繊維(ガラス繊維)と液晶ポリエステルとの間の接着性が強くなり、ガラス繊維と液晶ポリエステルとの熱膨張係数の差により発生するボイドも良好に防止して、当該ボイドによる膨れ状の欠陥の発生も抑制することが期待される。
導体層の少なくとも一方、好ましくは両方の導体層に配線パターンを形成せしめたコア基板は、例えば2枚の銅張絶縁基板を用い、該銅張絶縁基板の絶縁層が該コア基板の配線パターンを覆うようにして、積層させることによりプリント配線板を製造することができる。この場合、使用する銅張絶縁基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、BTレジン基板等が使用可能である。
以下、図面を参照して本発明のコア基板に係る製造方法の概要を説明する。図1は、2つの導体層と、2つの樹脂含浸基材とからコア基板を製造する工程を模式的に説明する断面図である。本発明のコア基板を製造には、その絶縁層として適度な厚みを必要とするため、樹脂含浸基材は複数枚重ねて使用することが好ましい。また、この製造方法では、銅を含む導体層としては銅箔を用いている。
工程(A)において、2つの銅箔21、22と、前記液晶ポリエステルをガラスクロスに含浸せしめて得られた樹脂含浸基材11、12とを、銅箔21/樹脂含浸基材11/樹脂含浸基材12/銅箔22の順に重ね合わせ、真空下で熱プレスする。かかる熱プレスの加熱処理によって、樹脂含浸基材中の液晶ポリエステルは改質され、改質された液晶ポリエステルを含む樹脂含浸基材13、14となり、銅箔−樹脂含浸基材間及び樹脂含浸基材−樹脂含浸基材間が接合され、コア基板100が製造される(工程(B))。
さらに、工程(C)において、両面にある銅箔に対し、エッチング処理等により配線パターンを形成せしめ、配線パターン23、24が設けられたコア基板110が得られる。図1では、エッチング処理等による配線パターン形成を表したが、コア基板110には、配線パターン23と配線パターン24とを電気的に接続するビアホールが設けられていてもよい。
図1に示す製造方法において、導体層の形成には銅箔を使用したが、上述のように銅微粒子を用いて導体層を形成させてもよい。また、樹脂含浸基材は2つの場合を示したが、3つ以上を使用してもよく、樹脂含浸基材の使用個数は、目的とする絶縁層の厚み、使用する複数の樹脂含浸基材各々の厚み、ビアホールを設ける場合の加工性等を勘案して決定される。
また、図1に示す製造方法において、絶縁層の製造には2つの樹脂含浸基材11、12には少なくともその一方が、前記シートと前記液晶ポリエステルとから形成されているものであればよいが、両方が前記シートと前記液晶ポリエステルとから形成されている樹脂含浸基材であれば特に好ましい。
図2は、上記のようにして得られたコア基板110を用いたプリント配線板120の構成を模式的に表す断面図である。
コア基板110にある配線パターン23、24のそれぞれに、例えば銅張積層板(絶縁層31と銅箔41とを積層した銅張積層板51、絶縁層32と銅箔42とを積層した銅張積層板52)を積層せしめることで、プリント配線板120が得られる。
本発明のコア基板を用いて得られるプリント配線板は、中心部にあるコア基板が優れた耐熱性を有するために、該プリント配線板の製造時はもちろん、該プリント配線板の長期間の使用においても、該コア基板にある絶縁層の膨れ欠陥等の発生を良好に防止することができる。したがって、本発明のコア基板を用いて得られるプリント配線板を用いることにより、信頼性の高い電子機器を製造することができる。また、かかる絶縁層はエッチング処理等によって電気特性が著しく損なわれることはないため、液晶ポリエステルの優れた特性を十分維持して、電気信号の高速化を実現できるプリント配線板を製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[積層体の製造]
(実施例1)
〔1〕芳香族液晶ポリエステルの製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、その温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。取り出した内容物を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕後、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。得られた粉末を島津製作所フローテスターCFT−500により流動開始温度を測定したところ、235℃であった。この液晶ポリエステル粉末を、窒素雰囲気において223℃3時間で加熱処理するといった固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
〔2〕溶液組成物(液晶ポリエステル溶液)の調製
前記〔1〕で得られた液晶ポリエステル2200gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)7800gに加え、100℃で2時間加熱して溶液組成物を得た。この溶液組成物の溶液粘度は320cPであった。なお、この溶融粘度は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ローターNo.21(回転数:5rpm))を用いて、測定温度23℃で測定した値である。
〔3〕樹脂含浸基材(絶縁層)の製造
ガラスクロス(有沢製作所製;厚み96μ IPC名称2116)に、前記〔2〕で得た溶液組成物を含浸させ、熱風式乾燥機により設定温度160℃の条件で溶剤を蒸発させて樹脂含浸基材を得た。得られた樹脂含浸基材の樹脂付着量は約35重量%であり、厚みは100μm(幅方向の厚み分布の平均値)、厚みバラツキは3%であった。
〔4〕コア基板の作製
前記〔3〕で得られた樹脂含浸基材を、熱風式乾燥機により窒素雰囲気下290℃で3時間加熱処理を行った。加熱処理後の樹脂含浸基材を2枚重ね、さらに重ねられた樹脂含浸基材の両面に銅箔(3EC‐VLP三井金属社製(18μm))を積層させた。得られた積層体を高温真空プレス機(北川精機製 KVHC−PRESS 300mm)により340℃20分5MPaの条件にて熱プレスし一体化させ、コア基板1を得た。
〔5〕耐熱性評価
前記〔4〕で得られたコア基板1の片面に、塩化第二鉄溶液(木田株式会社製 40°ボーメ)を用いてφ2.0mmのパッドを形成した。次いで、350℃のハンダ鏝を、5、10、30秒間押し当てた後、表面の状態を目視にて観察を行った。外観観察において銅箔のデラミネーションや膨れが確認されなかった場合を○とし、銅箔のデラミネーションや膨れが確認された場合を×とした。なお、このハンダ鏝としては、ハンダを用いた場合と、用いていない場合との二水準で試験を行った。
〔6〕誘電正接の評価
前記〔4〕で得られたコア基板1の両面を塩化第二鉄溶液(木田株式会社製 40°ボーメ)で処理して、全ての銅箔を除去した。得られた試料表面にAu蒸着を行い電極し、以下の装置で静電容量Cp[F]とコンダクタンスG[S]を測定し、以下の式より誘電正接tanδを求めた。
装置本体:Agilent社製 4284PRECISION LCR METER
装置冶具:Agilent社製 16451B DIELECTRIC TEST FIXTURE
測定式:tanδ=G/(2πfCp) f:測定周波数[Hz]
測定方向:膜厚方向
(実施例2)
ガラスクロスを、有沢製作所製;厚み45μ IPC名称1078に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行い、コア基板2を得た。コア基板2の樹脂付着量は約55重量%であり、厚みは55μm(幅方向の厚み分布の平均値)、厚みバラツキは3%であった。そして、実施例1と同様にしてコア基板2を得、該コア基板2に対し、ハンダ鏝を用いた耐熱性評価と誘電正接の評価を行った。
(参考例1)
市販のエポキシ樹脂ガラスクロス基材銅張板(日立化成社製 MCL−E67 100μ銅箔厚み18μ)の銅箔を塩化第二鉄溶液(木田株式会社製 40°ボーメ)で全ての銅箔を除去した。そして、実施例1と同様にして、誘電正接の評価を行った。
Figure 2010080479
本発明のコア基板である、実施例1、2のコア基板ではエッチング処理を行ったとしても、耐熱性が良好であり、膨れ欠陥等を生じさせるようなガスの発生は認められなかった。また、エッチング処理を行ったとしても電気特性は十分良好に維持されていることが明らかになった。
コア基板の製造工程を模式的に表す断面図である。 プリント配線板の構成を模式的に表す断面図である。
符号の説明
11,12・・・樹脂含浸基材
13,14・・・改質された液晶ポリエステルを含む樹脂含浸基材
21,22・・・銅箔
23,24・・・配線パターン
100,110・・・コア基板
120・・・プリント配線板

Claims (8)

  1. 銅を含む導体層2つが絶縁層を挟持するように積層されてなり、該絶縁層が、無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシートと溶剤可溶性の液晶ポリエステルとから形成されていることを特徴とするプリント配線板用コア基板。
  2. 前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)で表される構造単位と、式(2)で表される構造単位と、式(3)で表される構造単位とを有し、全構造単位の合計に対して式(1)で表される構造単位30.0〜45.0モル%、式(2)で表される構造単位27.5〜35.0モル%、式(3)で表される構造単位27.5〜35.0モル%からなるものであることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板用コア基板。
    (1)−O−Ar1−CO−
    (2)−CO−Ar2−CO−
    (3)−X−Ar3−Y−
    (式中、Ar1は、フェニレン、ナフチレン;Ar2は、フェニレン、ナフチレン又は以下の式(4)で表される基;Ar3は、フェニレン又は以下の式(4)で表される基;X及びYは、それぞれ独立にO又はNHを表わす。なお、Ar1、Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar11−Z−Ar12
    (式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSO2を表す。)
  3. 前記式(3)で表される構造単位として、X及びYの少なくとも一方がNHである構造単位を含むことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板用コア基板。
  4. 前記液晶ポリエステルが、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計が30.0〜45.0モル%、4−アミノフェノールに由来する構造単位が27.5〜35.0モル%、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する構造単位が27.5〜35.0モル%からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板用コア基板。
  5. 前記導体層のうち少なくとも1つが、銅箔であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプリント配線板用コア基板。
  6. 前記導体層のうち少なくとも1つが、配線パターンを形成させてなる導体層であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプリント配線板用コア基板。
  7. 前記絶縁層が、厚み10〜200μmの無機繊維及び/又は炭素繊維からなるシートに、前記液晶ポリエステル及び溶剤を含む溶液組成物を含浸せしめて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプリント配線板用コア基板。
  8. 前記シートがガラスクロスであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のプリント配線板用コア基板。
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