JP2006152174A - 分散補助顔料およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性基体上に感光層を備えており、この感光層が、電荷発生剤と、分散補助顔料とを含有することを特徴とする電子写真感光体であって、上記分散補助顔料として、分子中にOH基を有していない、水抽出液の電気伝導度が25μS/cm以下である顔料を使用する。この顔料は、例えば、分子中にOH基を有していない、縮合アゾ系顔料やイソインドリノン系顔料などを、電気伝導度が10μS/cm以下の水で洗浄することによって調製する。
【選択図】 なし
Description
一方、単層型の電子写真感光体は、積層型電子写真感光体に比べて構造が簡単で、製造が容易であり、正負いずれの帯電型にも使用できるなどの利点を備えているものの、TiOPcを電荷発生剤として使用した場合に、高感度の電子写真感光体が得られないという不具合がある。これは、TiOPcと、単層型感光層を形成するバインダ樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステルなど)のとの親和性が低いことや、上記バインダ樹脂や電荷輸送剤などに対する溶解性の観点から、感光層用塗布液の分散媒が、TiOPcにとって貧溶媒である非アルコール系溶剤(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、塩化メチレンなど)に限定されることに起因しているものと考えられる。
また、本出願人は、フタロシアニン系顔料とともに、分子中にOH基を有しない特定の不溶性アゾ顔料を同一の感光層中に含有させた電子写真感光体を提案している(特許文献12)。
一方、特許文献12に記載の発明によれば、上記不溶性アゾ顔料が、分子中にOH基を有しておらず、それ自体の凝集性が低いものであり、しかも、分子中に、NOxガスの吸着部位となるナフトール部分を有しておらず、耐NOx性に優れたものであることから、高感度で、帯電安定性や耐NOx性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
そこで、本発明の目的は、電子写真感光体の耐NOx性を低下させることなく、感光層中での電荷発生剤の分散性を向上させることができ、感度や、繰返し露光後における帯電特性に優れた電子写真感光体を得ることのできる分散補助顔料を提供することである。
(1) 分子中にOH基を有していない顔料を電気伝導度が10μS/cm以下の水で洗浄してなる、前記洗浄後における前記顔料の水抽出液の電気伝導度が25μS/cm以下であることを特徴とする、分散補助顔料、
(2) 前記顔料が、下記一般式(1)で示される縮合アゾ系顔料または下記一般式(2)で示されるイソインドリノン系顔料であることを特徴とする、前記(1)に記載の分散補助顔料、
(3) 導電性基体上に感光層を備えており、この感光層が、電荷発生剤と、前記(1)または(2)に記載の分散補助顔料とを含有することを特徴とする、電子写真感光体、
(4) 前記電荷発生剤がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする、前記(3)に記載の電子写真感光体、
(5) 前記フタロシアニン系顔料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする、前記(4)に記載の電子写真感光体、
(6) 前記チタニルフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°に主たる回折ピークを有するもの、または、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に主たる回折ピークを有するものであることを特徴とする、前記(5)に記載の電子写真感光体、
(7) 前記電荷発生剤、および、前記(1)または(2)に記載の分散補助顔料が、電荷輸送剤とともに、同一の感光層に含有されていることを特徴とする、前記(3)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体、
を提供するものである。
また、本発明の電子写真感光体によれば、感光層中に、上記の分散補助顔料を含有していることから、高感度で、帯電安定性や耐NOx性に優れ、しかも、露光、現像処理を繰返した後においても、安定して優れた帯電特性を発揮することができる。
上記分散補助顔料は、顔料の水抽出液の電気伝導度が25μS/cm以下と極めて小さく、それゆえ、顔料中の無機イオン性の不純物の含有量が極めて少ないものであることから、顔料が分子中にOH基を有していないものであることと相俟って、感光層中での分散補助顔料自体の凝集を抑制することができる。また、感光層中での電荷発生剤の分散性をも向上させることができ、特に、感光層形成用の塗布液について、そのポットライフ内に電荷発生剤の分散性が低下することを防止できる。
本発明の分散補助顔料は、分子中にOH基を有していない顔料に対して、酸で溶解した後、水で析出し、水洗する、いわゆるアシッドペースト処理を施したものであってもよい。上記顔料にアシッドペースト処理を施す場合には、顔料の水洗時においてだけでなく、顔料の析出時においても、電気伝導度が10μS/cm以下、好ましくは、1μS/cm以下の水を用いることが好ましい。
上記一般式(1)で示される縮合アゾ系顔料において、R1およびR2は、独立して、水素原子、アルキル基または塩素原子を示す。
アルキル基としては、これに限定されないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
アルキル基およびパーフルオロアルキル基のアルキル基としては、これに限定されないが、例えば、上記したのと同じ、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
フェノキシ基の置換基としてのアルキル基、および上記パーフルオロアルキル基のアルキル基としては、これに限定されないが、例えば、上記したのと同じ、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるイソインドリノン系顔料の具体例としては、これに限定されないが、例えば、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ68などが挙げられる。
感光層中に含有される分散補助顔料は、上述した本発明の分散補助顔料であること以外は特に限定されるものではない。上記例示の分散補助顔料は、単独で、または、2種以上を混合して、用いることができる。
レーザビームプリンタなどのデジタル光学系の画像形成装置は、一般に、露光光源として半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)を使用しており、その波長は680〜830nm前後(近赤外領域)が主流である。従って、本発明の電子写真感光体をデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、電荷発生剤として、好ましくは、近赤外領域での感度に優れたチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料が挙げられる。
また、チタニルフタロシアニンは、これに限定されるものではないが、例えば、特許第3463032号公報に記載の製造例1に従って製造された、Y型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、電荷輸送剤としては、電子輸送剤および/または正孔輸送剤が挙げられる。
また、置換基を有することのあるジアリールアミノ基の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。これらの基は、上記例示の基と同様のものが挙げられる。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、例えば、繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールを有するポリカーボネート樹脂;繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールと、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸と、を有するポリアリレート樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
単層型感光層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
分散補助顔料の含有割合は、特に限定されないが、例えば、電荷発生剤100重量部に対して、好ましくは、5〜300重量部、より好ましくは、20〜200重量部である。
電荷発生層は、例えば、電荷発生剤、上記分散補助顔料およびバインダ樹脂を、必要に応じて、電荷輸送剤や上記の他の成分とともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。電荷輸送層は、例えば、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を、必要に応じて、上記他の成分などとともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を上記電荷発生層上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。
上記電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
積層型感光層の電荷発生層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜1000重量部であり、より好ましくは、30〜500重量部である。
また、積層型感光層の電荷輸送層において、電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
<分散補助顔料の製造>
製造例1
上記式に示すC.I.ピグメントイエロー128(縮合アゾ系顔料、クロモフタールイエロー8GN、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30重量部および硫酸(98重量%)300重量部を配合し、1時間攪拌混合して、上記顔料を完全に溶解させた後、上記顔料の溶液を、イオン交換水(電気伝導度1μS/cm)6000重量部中に滴下して、析出物を得た(アシッドペースト処理)。次いで、得られた析出物をろ別し、イオン交換水(電気伝導度1μS/cm)を用いて、水洗およびろ過を繰返し実行して(純水洗浄処理)、顔料ペーストを得た。上記水洗およびろ過(純水洗浄処理)は、ろ液のpHが6.8以上になるまで、繰返し実行した。
次に、こうして得られた顔料ペーストを90℃で乾燥させて、粉砕することにより、平均粒径(50%粒径)が90nmである分散補助顔料を得た。
顔料として、C.I.ピグメントイエロー128に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー93(縮合アゾ系顔料、クロモフタールイエロー3G、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を30重量部使用したこと以外は、製造例1と同様に、アシッドペースト処理および純水洗浄処理を実行して、分散補助顔料を得た。
製造例3
顔料として、C.I.ピグメントイエロー128に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾ系顔料、クロモフタールイエローGR、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を30重量部使用したこと以外は、製造例1と同様に、アシッドペースト処理および純水洗浄処理を実行して、分散補助顔料を得た。
製造例4
顔料として、C.I.ピグメントイエロー128に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー94(縮合アゾ系顔料、クロモフタールイエロー6G、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)を30重量部使用したこと以外は、製造例1と同様に、アシッドペースト処理および純水洗浄処理を実行して、分散補助顔料を得た。
製造例5
顔料として、C.I.ピグメントイエロー128に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー110(イソインドリノン系顔料、イルガジンイエロー3RT、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30重量部を使用したこと以外は、製造例1と同様に、アシッドペースト処理および純水洗浄処理を実行して、分散補助顔料を得た。
製造例6
上記式に示すC.I.ピグメントイエロー128(縮合アゾ系顔料、前出の「クロモフタールイエロー8GN」)30重量部に対して、イオン交換水(電気伝導度1μS/cm)での水洗およびろ過を繰返し実行して(純水洗浄処理)、顔料ペーストを得た。上記水洗およびろ過(純水洗浄処理)は、ろ液のpHが6.8以上になるまで、繰返し実行した。
次に、こうして得られた顔料ペーストを90℃で乾燥させて、粉砕することにより、平均粒径(50%粒径)が90nmである分散補助顔料を得た。
比較製造例1
アシッドペースト処理後において、イオン交換水(電気伝導度1μS/cm)に代えて、水道水(電気伝導度約290μS/cm)を使用して、水洗およびろ過処理を実行した(水道水洗浄処理)こと以外は、製造例1と同様にして、分散補助顔料を得た。
<電子写真感光体の製造>
実施例1
電荷発生剤として下記式(CGM−1)で示されるY型チタニルフタロシアニンを4重量部、分散補助顔料として上記製造例1で得られた顔料を3重量部、正孔輸送剤として下記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物を40重量部、電子輸送剤として下記式(ETM−1)で示されるN−フェニルナフタルイミド系化合物を40重量部と、下記式(ETM−2)で示されるジフェノキノン系化合物を30重量部、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製の品番「KF−96−50CS」)を0.1重量部、および、溶媒としてテトラヒドロフランを750重量部配合して、超音波分散機で50時間混合、分散することにより、単層型感光層用の塗布液を調製した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記比較製造例1で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー128(アシッドペースト処理を施していないもの)300重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記製造例2で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー93(アシッドペースト処理を施していないもの)300重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記製造例3で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー95(アシッドペースト処理を施していないもの)300重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記製造例4で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー94(アシッドペースト処理を施していないもの)300重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記製造例5で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記式に示すC.I.ピグメントイエロー110(アシッドペースト処理を施していないもの)300重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、上記製造例6で得られた顔料を3重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
比較例8
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、下記式(c−1)で示される化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、下記式(c−2)で示される化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
分散補助顔料として、製造例1で得られた顔料に代えて、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー151(大日本インキ化学工業(株)製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、10日間、常温にて静置し、さらに、実施例1と同様にして、膜厚22μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
次いで、電子写真感光体の表面に、ハロゲンランプ(露光光源)の白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm-2)を40ミリ秒間照射して、露光させた後、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位(明電位VR、単位:V)を測定した。明電位VRの値が小さいほど、電子写真感光体が高感度であることを示している。
(II)耐久試験後の帯電電位V0および明電位VRの変化量の測定
耐久試験として、上記(I)に示す帯電および露光の処理を、2400サイクル連続して実施した。次いで、耐久試験後の帯電電位V0および明電位VRを測定して、上記(I)で得られた初期の帯電電位V0および明電位VRとの変化量を算出した。
(III)吸光度比の算出
上記実施例1〜6および比較例1〜10で使用した分散補助顔料と、電荷発生剤として使用したY型チタニルフタロシアニンとについて、それぞれ、下記の方法で吸光度を測定した。
こうして得られた測定値をもとに、同じ測定波長において、Y型チタニルフタロシアニンの吸光度を1としたときの分散補助顔料の吸光度の比を求めた。
吸光度比は、好ましくは、0.33以下であり、より好ましくは、0.1以下、さらに好ましくは、0.01以下である。
上記吸光度比の結果を、表1の「吸光度比」欄に示す。
上記実施例1〜6および比較例1〜10で得られた電子写真感光体を、それぞれ、静電式複写機(京セラミタ(株)製、製品名「Creage7325」の改良型)に載置した後、表面電位が+800Vとなるようにグリッド電圧を設定して、電子写真感光体の表面を帯電させた。次に、電子写真感光体を、24ppmのNOxガス雰囲気中に50時間暴露して、暴露前に設定したグリッド電圧と同じ条件で帯電させて、表面電位を測定した。
なお、暴露前の表面電位が800Vであって、暴露後の表面電位が690Vである場合には、表面電位の変化量ΔVは−110Vとなる。
NOxガスの暴露前後での表面電位の変化量ΔVは、好ましくは、−150V以上(表面電位の低下量が150V以下)である。
以上の結果を表1に示す。
表1より明らかなように、分散補助顔料として、分子中にOH基を有していない顔料を酸で溶解して、電気伝導度が10μS/cm以下の水を用いて析出、かつ、洗浄した場合(実施例1〜5)や、分子中にOH基を有していない顔料を、電気伝導度が10μS/cm以下の水で洗浄した場合(実施例6)には、洗浄および析出処理に電気伝導度が10μS/cmを超える水を使用した場合に比べて、耐久試験後の帯電電位が安定していた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (7)
- 分子中にOH基を有していない顔料を電気伝導度が10μS/cm以下の水で洗浄してなる、前記洗浄後における前記顔料の水抽出液の電気伝導度が25μS/cm以下であることを特徴とする、分散補助顔料。
- 導電性基体上に感光層を備えており、この感光層が、電荷発生剤と、請求項1または2に記載の分散補助顔料とを含有することを特徴とする、電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤がフタロシアニン系顔料であることを特徴とする、請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン系顔料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする、請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°に主たる回折ピークを有するもの、または、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に主たる回折ピークを有するものであることを特徴とする、請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤、および、請求項1または2に記載の分散補助顔料が、電荷輸送剤とともに、同一の感光層に含有されていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
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