JP2004117558A - 単層型電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、デジタル光源に対して高感度で、しかも高温環境下での帯電安定性、耐候性および耐NOx性に優れた単層型の電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性基体上に、電荷発生剤としてのフタロシアニンと、電荷輸送剤と、所定の不溶性アゾ顔料と、所定のバインダ樹脂とを含む単一の感光層を形成する。不溶性アゾ顔料としては、分子中にOH基を有さず、かつ(i) 上記フタロシアニンの吸収波長域における吸光度が、フタロシアニンの当該波長域における吸光度に対して1/3以下であるか、または(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、フタロシアニンの当該波長域における吸光度に対して1/3以下であるものを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性基体上に、電荷発生剤としてのフタロシアニンと、電荷輸送剤と、所定の不溶性アゾ顔料と、所定のバインダ樹脂とを含む単一の感光層を形成する。不溶性アゾ顔料としては、分子中にOH基を有さず、かつ(i) 上記フタロシアニンの吸収波長域における吸光度が、フタロシアニンの当該波長域における吸光度に対して1/3以下であるか、または(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、フタロシアニンの当該波長域における吸光度に対して1/3以下であるものを用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は単層型の電子写真感光体に関し、より詳しくは、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置に用いられるデジタル系の単層型電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置には、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機感光体が使用されている。近年、画像形成装置へのデジタル技術の導入が広く行なわれつつあるが、デジタル型画像形成装置用の光源は赤色の半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)が主流であって、これらの光源の波長が600〜830nm程度の長波長光(橙色、赤色および近赤外領域の光)であることから、これらの波長領域での感度に優れた有機感光体の開発が強く望まれている。
【0003】
特に、近赤外領域で高感度な電荷発生剤として、フタロシアニン(TiOPc)類が注目されており、なかでもα型、Y型等のチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)や、これらのTiOPcとヒドロキシメタルフタロシアニン等との混晶を電荷発生剤として使用した積層型の電子写真感光体については既に実用化されている。
【0004】
また、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に含有させる単層型の電子写真感光体は、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを別々に形成する積層型電子写真感光体に比べて、構造が簡単で製造が容易であること、感光層形成時の被膜欠陥の発生を抑制できること、層界面が少ないことから光学的特性が向上すること、正負いずれの帯電型にも使用できること等の利点を備えている。
【0005】
そこで、上記のフタロシアニン類を電荷発生剤として使用した単層型の電子写真感光体について種々の検討がなされているが、α−TiOPc、Y−TiOPcあるいはTiOPcとヒドロキシメタルフタロシアニンとの混晶体等を電荷発生剤として使用した場合には、高感度の単層型電子写真感光体が得られないという問題があった。
これは、感光層の形成に用いられるポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル等のバインダ樹脂と、上記TiOPcや上記混晶体との親和性が低いことや、感光層を形成する種々の材料についての溶解性を考慮すると、感光層形成用塗布液の分散媒がテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、塩化メチレン等の非アルコール系溶剤に限られてしまうこと、さらには、これらの非アルコール系溶剤は上記TiOPcや上記混晶体にとって貧溶媒であることに起因するものと考えられる。
【0006】
さらに、TiOPcは上記分散媒中での分散性が低く、凝集沈殿が生じることによって均一な感光層の形成が困難になることだけでなく、分散媒中での経時安定性も低く、分散液の調製後にTiOPcの結晶型が所期のものとは異なるものに転移するという問題もある。
【0007】
特許文献1〜5には、TiOPcを含む感光層形成用塗布液の分散性を考慮して、TiOPcと、特定のアゾ系顔料とを含有させてなる塗布液や、それを用いてなる単層型電子写真感光体(または光導電体)が記載されている。また、特許文献6〜11には、TiOPcと、特定のアゾ系顔料とを含有させてなる単層型電子写真感光体が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1〜5に記載の塗布液についても、依然として塗布液の保存安定性が低いという問題がある。さらに、特許文献1〜11に記載の電子写真感光体(光導電体)については帯電安定性や耐NOx性が劣るという問題があり、かかる問題は特に高温環境下において顕著であった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−47406号公報(請求項1および2,段落〔0013〕〜〔0030〕)
【特許文献2】
特開2000−47407号公報(請求項1および2,段落〔0013〕〜〔0029〕)
【特許文献3】
特開2000−147810号公報(請求項1および2,段落〔0021〕〜〔0036〕)
【特許文献4】
特開2001−123087号公報(請求項5,段落〔0013〕〜〔0026〕,〔0031〕)
【特許文献5】
特開2000−239553号公報(請求項1,段落〔0014〕〜〔0027〕)
【特許文献6】
特開平7−175241号公報(請求項1,段落〔0004〕)
【特許文献7】
特開平9−34148号公報(請求項1,段落〔0004〕)
【特許文献8】
特開2000−147809号公報(請求項2,段落〔0020〕〜〔0035〕)
【特許文献9】
特開2000−242011号公報(請求項2,段落〔0021〕〜〔0040〕)
【特許文献10】
特開2002−55470号公報(請求項1および2,段落〔0022〕〜〔0036〕)
【特許文献11】
特開平7−199493号公報(請求項1,段落〔0028〕〜〔0029〕)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、フタロシアニン類の分散性、分散状態の安定性および結晶型の経時的安定性に優れた単層型感光層形成用の塗布液を調製し、かかる塗布液を用いてデジタル光源に対して高感度でかつ高性能な単層型電子写真感光体を得ることが求められている。
本発明の目的は、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、かつデジタル光源に対して高感度であり、かつ特に高温環境下での帯電安定性や耐NOx性に優れた単層型の電子写真感光体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記特許文献1〜11に記載の発明に用いられているアゾ系顔料は、いずれも可視領域の広い範囲で感度を示すことを前提に選定されている。それゆえ、アゾ系顔料にはナフトール構造部位を含むカップラー残基が用いられているが、極性の高いOH基の存在によって当該アゾ顔料自体の凝集性が高くなっており、しかもポリカーボネート等のバインダ樹脂との親和性が低いために、依然として感光層形成用塗布液中で顔料が経時的に凝集沈降するものと考えられる。
さらに、ナフトール構造部位のOH基は、NOx等の活性ガスの吸着部位になっていると考えられ、それゆえ、上記のアゾ系顔料を含有する電子写真感光体については、耐NOx性が低いという問題がある。
【0011】
一方、上記のアゾ系顔料は可視領域の広い範囲で感度を示すものであることから、感光層中に電荷発生剤として配合されているTiOPcだけでなく、当該アゾ系顔料までもが電荷発生能を示すこととなる。しかしながら、TiOPcとアゾ系顔料との双方が電荷発生能を示すことから熱キャリアが発生し易くなって、電荷保持率が低くなる傾向がある。このことは、特に高温環境下での帯電安定性低下につながる。
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていく中で、電荷発生剤として近赤外領域での感度に優れたフタロシアニン類を採用し、かつ同一の感光層中に、感光層形成用塗布液の分散性を向上させる目的でアゾ系顔料を含有させるという方針で検討を重ねた。
その結果、かかるアゾ系顔料として、
(I) 水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該電荷発生剤の吸光度に対して1/3以下である不溶性アゾ顔料、または
(II)水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置において、その露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下である不溶性アゾ顔料
を用いたときには、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、デジタル光源に対して高感度で、しかも高温環境下での帯電安定性、耐候性および耐NOx性に優れた単層型の電子写真感光体を提供することができるという全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、上記課題を解決するための、本発明に係る第1の単層型電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、上記電荷発生剤の吸収波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するための、本発明に係る第2の単層型電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする。
【0015】
上記第1および第2の単層型電子写真感光体によれば、単層型感光層の形成材料に、電荷発生剤としてのフタロシアニンとともに、特定の不溶性アゾ顔料を含有させていることから、感光層形成用塗布液中でのフタロシアニンの分散性を高めることができ、当該塗布液を用いて形成された単層型感光層においても、フタロシアニンの均一な分散を実現することができる。かかる効果は、とりわけフタロシアニンがチタニルフタロシアニンである場合において顕著である。
【0016】
また、上記特定の不溶性アゾ顔料は、分子中に水酸基、カルボキシル基等のOH基を有しないものであって、NOx等の活性ガスの吸着部位となる極性部位が存在しないことから、これを単層型感光層中に含有させても、電子写真感光体の耐NOx性や、特に高温環境下での帯電安定性を低下させることがない。
【0017】
さらに、上記特定の不溶性アゾ顔料は、前述のように
(i) 電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該波長域におけるフタロシアニンの吸光度に対して1/3以下と低いこと、または
(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下と低いこと、を特徴としている。
換言すれば、上記特定の不溶性アゾ顔料が、電荷発生剤としてのフタロシアニンの感度領域において不活性であって、その電荷発生能に及ぼす影響が極めて小さいことから、電子写真感光体の帯電安定性を低下させることがない。かかる効果は、とりわけ高温環境下において顕著である。
【0018】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤としてのフタロシアニンは、そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°のときに主たる回折ピークを有するα型チタニルフタロシアニン、またはブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンであるのが、感光体の感度をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
なお、本発明において、X線回折スペクトルの解析には、Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)を使用した。
【0019】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤としてのフタロシアニンは、チタニルフタロシアニンであって、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであるのが好ましい。
示差走査熱量分析(DSC)による測定結果において、50〜400℃の範囲において、吸着水の気化に伴うピーク値以外に吸熱ピークが観察されないということは、すなわちそのフタロシアニンは結晶転移が極めて生じにくく、結晶型が安定であることを示している。
かかるフタロシアニンは、それ自体のバインダ樹脂中での分散性や貯蔵安定性が良好であって、しかも不溶性アゾ顔料等とともに感光層中に含有させたときに、バインダ樹脂中での分散性をより一層良好なものとすることができる。
【0020】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含有する塗布液を成膜してなるものであり、かつ当該塗布液の分散媒がテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であるのが好ましい。
感光層形成用塗布液の分散媒として上記例示の有機溶媒を用いることにより、当該塗布液、および当該塗布液によって形成される感光層中での電荷発生剤(フタロシアニン)と不溶性アゾ顔料との分散性を良好なものとすることができる。
【0021】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、不溶性アゾ顔料としては、一般式(1) :
【0022】
【化12】
【0023】
(式(1) 中、X1 〜X3 は同一または異なって、ニトロ基、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基、基:−CONHR6 または基:−SO2 NHPhを示す。R1 〜R5 は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R2 とR3 とは互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R6 およびR7 は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。Phはフェニル基を示す。)
で表されるモノアゾ顔料、一般式(2) :
【0024】
【化13】
【0025】
〔式(2) 中、X11は一般式(21)または一般式(22):
【0026】
【化14】
【0027】
(式(21)中、X12〜X15は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(22)中、X16〜X19は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R11〜R20は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R12とR13および/またはR17とR18は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(3) :
【0028】
【化15】
【0029】
〔式(3) 中、X21は一般式(31)または一般式(32):
【0030】
【化16】
【0031】
(式(31)中、X22〜X25は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(32)中、X26およびX27は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R21〜R30は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R22とR23および/またはR27とR28は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(4) :
【0032】
【化17】
【0033】
〔式(4) 中、X31は一般式(41)または一般式(42):
【0034】
【化18】
【0035】
(式(41)中、X32〜X35は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(42)中、X36およびX37は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R31〜R40は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R32とR33および/またはR37とR38は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(5) :
【0036】
【化19】
【0037】
〔式(5) 中、X41は一般式(51):
【0038】
【化20】
【0039】
(式(51)中、X42およびX43は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R41〜R50は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R42とR43および/またはR47とR48は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料、または一般式(6) :
【0040】
【化21】
【0041】
〔式(6) 中、X51は式(61):
【0042】
【化22】
【0043】
(式(61)中、X52〜X55は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R51〜R60は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R52とR53および/またはR57とR58は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料であるのが好ましい。
【0044】
かかる不溶性アゾ顔料は、分子中に水酸基、カルボキシル基等のOH基を有しないものであって、しかも近赤外領域に感度を有しないか、あるいは
(i) 電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該波長域におけるフタロシアニンの吸光度に対して1/3以下と低い、または
(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下と低い
ことを特徴とするものである。
それゆえ、上記例示の不溶性アゾ顔料は、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、かつデジタル光源に対して高感度で、しかも、特に高温環境下での帯電安定性や耐NOx性を優れた単層型の電子写真感光体を得る、という本発明の目的を達成する上で極めて好ましいものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の単層型電子写真感光体について詳細に説明する。
【0046】
〔電荷発生剤〕
本発明の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤にはフタロシアニンが用いられる。
フタロシアニンには、配位金属の種類等によって、例えば無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、バナジルフタロシアニン等の、種々のものが知られている。さらに、個々のフタロシアニンにおいても、その結晶型によってさらに数種に分類される。本発明に使用可能なフタロシアニンとしては、その配位金属の種類や結晶型について特に限定されるものではなく、従来公知のものをいずれも用いることができる。なかでも、例えばチタニルフタロシアニン(TiOPc)のように、近赤外領域における感度に優れたものを用いるのが好ましい。
【0047】
TiOPcには、例えばα型、Y型、β型、C型等の、種々の結晶型のものが知られているが、本発明に使用可能なものとして特に限定されるものではなく、従来公知の種々の結晶型のものを使用することができる。
なかでも、そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°のときに主たる回折ピークを有するα型チタニルフタロシアニンや、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンは、近赤外領域での感度が極めて高く、それゆえ高感度の単層型電子写真感光体を得る上で有利であることから、本発明において好適に用いられる。
【0048】
但し、上記TiOPcの好適例のうち、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンについては、感光層形成用の塗布液に含まれるテトラヒドロフラン等の有機溶媒に対して安定性が低いという問題がある。
従って、かかるチタニルフタロシアニンについては、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであるのが好ましい。
【0049】
このチタニルフタロシアニンは、下記(1) および(2) に記載の2通りの方法によって製造することができる(特開2001−181531号公報の請求項5および6、段落〔0029〕〜〔0039〕参照)。
(1) チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間撹拌処理を施し、次いで、撹拌処理時の温度よりも低い温度条件下で、一定時間反応液を静置して安定化させる顔料化前処理工程を経た後、さらに上記水溶性有機溶媒を除去して得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を溶媒に溶解し、この溶液を貧溶媒中に滴下してチタニルフタロシアニン化合物を再結晶させ、次いで水の存在下にて、非水系溶媒中でミリング処理する顔料化の工程を経る。
【0050】
(2) チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間撹拌処理を施し、次いで、撹拌処理時の温度よりも低い温度条件下で、一定時間反応液を静置して安定化させる顔料化前処理工程を経た後、さらに上記水溶性有機溶媒を除去して得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶をアシッドペースト法によって処理する工程を経て、さらに処理した低結晶性チタニルフタロシアニン化合物を、水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する工程を経る。
【0051】
〔不溶性アゾ顔料〕
本発明の単層型電子写真感光体に用いられる不溶性アゾ顔料は、
(I) 水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該電荷発生剤の吸光度に対して1/3以下であること(すなわち、電荷発生剤(チタニルフタロシアニン)の吸収波長域において感度を有しないか、あるいは感度が極めて弱いこと)、または
(II)水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置において、その露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下であること(すなわち、上記露光光源の吸収波長域において感度を有しないか、あるいは感度が極めて弱いこと)、
を特徴とする。
【0052】
このような不溶性アゾ顔料を用いたとしても、フタロシアニンによる電荷発生能を阻害せず、単層型感光層またはその形成用塗布液中でのフタロシアニンの分散性を向上させる作用のみを発揮する。
前述の条件を満たす不溶性アゾ顔料としては、例えば上記一般式(1) で表されるモノアゾ顔料、上記一般式(2) 〜(4) で表されるジスアゾ顔料、上記一般式(5) または(6) で表されるジスアゾ縮合顔料が挙げられる。これらの不溶性アゾ顔料は、本発明の電子写真感光体における感光層中に単独で配合されていてもよく、2種以上が混合して配合されていてもよい。
【0053】
(一般式(1) で表されるモノアゾ顔料)
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料において、X1 〜X3 は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。
X1 〜X3 に相当する置換基としては、ニトロ基、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(上記例示のアルキル基における水素原子を全てフッ素原子に置換したもの。)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、基:−CONHR6 (カルバモイル基等;R6 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。)、基:−SO2 NHPh(N−フェニルスルファモイル基)などが挙げられる。
【0054】
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料において、R1 〜R5 は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。
R1 〜R5 に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (アセトアミド基、ベンズアミド基等;R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。)などが挙げられる。また、R1 〜R5 が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR2 とR3 )は、互いに結合して式:
【0055】
【化23】
【0056】
で表されるウレイレン基を形成してもよい。
【0057】
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1中、“X1 −X3 ”および“R1 −R5 ”の各欄に記載の略号は、次のとおりである。
“−NO2 ”はニトロ基を、“−Cl”は塩素原子を、“−CH3 ”はメチル基を、“−CF3 ”はパーフルオロメチル基を、“−OCH3 ”はメトキシ基を、“−OC2 H5 ”はエトキシ基を、“−COOCH3 ”はメトキシカルボニル基を、“−SO2 NHPh”はN−フェニルスルファモイル基を、“−CONH2 ”はカルバモイル基を、それぞれ示す。
【0060】
“X1 −X3 ”欄の“2:”、“4:”および“5:”はベンゼン環上での置換基の位置を示しており、窒素原子に結合する炭素原子を基準として、順に「2位」、「4位」および「5位」であることを示す。“2,5:”および“3,5:”は、ベンゼン環上に同種の基が2つ置換していることを示し、かつその置換位置が上記炭素原子を基準として、順に「2位と5位」または「3位と5位」であることを示す。
“R1 −R5 ”欄の“R2 −R3 :ureylene”は、R2 とR3 とが互いに結合してウレイレン基となっていることを示す。R1 〜R5 のうち、記載されていない基は水素原子が置換していることを示し、“―”はR1 〜R5 の全てが水素原子であることを示す。
【0061】
(一般式(2) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料において、X11には、一般式(21)および一般式(22)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(21)で表される二価基において、X12〜X15は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X12〜X15に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(22)で表される二価基において、X16〜X19は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X16〜X19に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0062】
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料において、R11〜R20は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R11〜R20に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R11〜R20が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR12とR13、R17とR18)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0063】
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表2および表3に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
表2および表3中、“X12,X14”、“X13,X15”および“R11−R20”の各欄に記載の略号のうち、“−Cl”および“−OCH3 ”は、いずれも表1に示す場合と同義である。“−H”は水素原子を示す。“X13,X15”欄の“―”は該当する基を有しないことを示す。“R11−R20”欄の“R12−R13,R17−R18:ureylene”は、R12とR13およびR17とR18が互いに結合してウレイレン基となっていることを示す。R11〜R20のうち、同欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示し、“―”はR11〜R20の全てが水素原子であることを示す。
【0067】
(一般式(3) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料において、X21には、一般式(31)および一般式(32)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(31)で表される二価基において、X22〜X25は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X22〜X24に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(32)で表される二価基において、X26とX27とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X26およびX27に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0068】
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料において、R21〜R30は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R21〜R30に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R21〜R30が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR22とR23、R27とR28)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0069】
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
表4中、“X22,X24”、“X23,X25”および“R21−R50”の各欄に記載の略号のうち、“−H”、“−Cl”および“−CH3 ”は、いずれも表1〜3に示す場合と同義である。R21〜R50のうち、“R21−R50”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0072】
(一般式(4) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料において、X31には、一般式(41)および一般式(42)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(41)で表される二価基において、X32〜X35は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X32〜X35に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(42)で表される二価基において、X36とX37とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X36およびX37に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0073】
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料において、R31〜R40は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R31〜R40に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R21〜R30が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR32とR33、R37とR38)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0074】
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】
表5中、“X36”、“X37”および“R31−R40”の各欄に記載の略号のうち、“CH3 OCO”および“―”は、いずれも表1〜4に示す場合と同義である。R31〜R40のうち、“R31−R40”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0077】
(一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料)
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料において、X41は、一般式(51)で表される二価基に相当する。
一般式(51)で表される二価基において、X42とX43とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X42およびX43に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料において、R41〜R50は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R41〜R50に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R41〜R50が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR42とR43、R47とR48)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0078】
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
表6中、“X42”、“X43”および“R41−R50”の各欄に記載の略号のうち、“−Cl”および“−CH3 ”は、いずれも表1〜5に示す場合と同義である。R41〜R50のうち、“R41−R50”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0081】
(一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料)
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料において、基X51は、一般式(61)で表される二価基に相当する。
一般式(61)で表される二価基において、X52〜X55は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X52〜X55に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料において、R51〜R60は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R51〜R60に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R51〜R60が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR62とR63、R67とR68)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0082】
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料の具体例を、表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
表7中、“X52,X54”、“X53,X55”および“R51−R60”の各欄に記載の“−”は表1〜6に示す場合と同義である。R51〜R60のうち、“R51−R60”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0085】
〔電荷発生剤と不溶性アゾ顔料との含有割合〕
フタロシアニンと不溶性アゾ顔料との含有割合は特に限定されるものではないが、フタロシアニンの分散性を良好にすることや電子写真感光体の感度を良好なものにすること等の観点から、重量比で1:0.01〜1:100の範囲に設定するのが好ましい。
フタロシアニンと不溶性アゾ顔料との含有割合は、上記範囲の中でも特に1:0.1〜1:10(重量比)であるのが好ましく、1:0.75〜1:1.25(重量比)であるのがより好ましい。
【0086】
〔バインダ樹脂〕
本発明の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料等の各成分を感光層中にて分散させるためのバインダ樹脂には、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が用いられる。
これらのバインダ樹脂は、電荷輸送剤との相溶性に優れるものであり、かつ電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害するような部位を、その化学構造中に有するものでない。従って、かかるバインダ樹脂を用いることによって、より一層高感度な電子写真感光体を得ることができる。
【0087】
〔電荷輸送剤〕
本発明の単層型電子写真感光体に用いられる電荷輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤および/または正孔輸送剤が挙げられる。
電子輸送剤または正孔輸送剤のいずれか、もしくは両方を用いるかについては、感光体の層構造や帯電極性等に応じて選択される。電子輸送剤と正孔輸送剤との電荷移動錯体が形成しな場合には両者を混合して含有させるのが好ましい。
【0088】
(電子輸送剤)
本発明に使用可能な電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の、電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
上記例示の電子輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0089】
(正孔輸送剤)
本発明に使用可能な正孔輸送剤としては、例えばN,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の、含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。
上記例示の正孔輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0090】
〔分散媒〕
本発明の単層型電子写真感光体において、感光層形成用の塗布液を調製するための分散媒としては、感光層形成用塗布液に用いられる種々の有機溶剤が使用可能である。かかる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
しかしながら、本発明においては、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、上記バインダ樹脂等の各成分を安定して分散させる上で、上記例示の有機溶剤の中でも特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を用いるのが好ましい。
【0091】
〔他の成分〕
感光層形成用の塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0092】
〔導電性基体〕
上記感光層が形成される導電性基体には、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体;上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス;カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させた樹脂基体等が挙げられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
【0093】
〔単層型電子写真感光体の製造方法〕
本発明に係る単層型電子写真感光体は、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニンと、電子輸送剤および/または正孔輸送剤と、上記不溶性アゾ顔料と、バインダ樹脂と、を適当な分散媒または分散させ、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
【0094】
上記感光層形成用塗布液において、電荷発生剤は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。
不溶性アゾ顔料は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で、かつ電荷発生剤との含有割合の比が前述の範囲を満足する範囲内で配合すればよい。
【0095】
電子輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で配合すればよい。
正孔輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜500重量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合すればよい。
電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する場合において、電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部とするのが適当である。
【0096】
感光層形成用塗布液の塗布によって得られる感光層の厚さは5〜100μm、特に10〜50μmとなるように設定するのが好ましい。
本発明において特に限定されるものではないが、導電性基体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層を形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、バインダ樹脂等を、適当な溶剤とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等の公知の手段を用いて分散混合して、こうして調製された分散液を公知の手段により導電性基体上に塗布して乾燥させればよい。
【0097】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明について説明する。
【0098】
〔単層型電子写真感光体の製造〕
(実施例1)
電荷発生剤としては、特開2000−181531号公報の製造例1に記載の方法により得られたチタニルフタロシアニンを使用した〔下記式(TiOPc) 参照〕。チタニルフタロシアニンの製造方法は次のとおりである。
チタニルフタロシアニン化合物の合成:アルゴン置換したフラスコ中に、1,3−ジイミノイソインドリン25g、チタンテトラブトキシド22gおよびジフェニルメタン300gを加え、撹拌しながら150℃まで昇温した。次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この温度を維持しつつ、さらに4時間撹拌して反応させた。反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによって濾別して、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミドとメタノールで順次洗浄し、さらに真空乾燥して紫色の固体24gを得た。
【0099】
顔料化前処理:上記紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100mL中に加え、撹拌しながら130℃に加熱し、さらに2時間撹拌処理を行なった。次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却してから撹拌も停止し、この状態で12時間、反応液を静置して安定化処理を行なった。こうして安定化された反応液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体をメタノールで洗浄してから真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.85gを得た。
【0100】
顔料化処理:上記顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶5gを、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸との混合溶媒(体積比4:1)100mLに加えて溶解した。次いで、この溶液をメタノールと水との混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下した後、室温で15分間撹拌し、さらに室温で30分間静置することにより再結晶させた。その後、チタニルフタロシアニンの結晶を含む混合貧溶媒をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態でクロロベンゼン200mL中に分散させて、1時間撹拌した。そして、液をガラスフィルターによって濾別した後、得られた固体を50°で5時間、真空乾燥させて、下記式(TiOPc) で表される無置換のチタニルフタロシアニン(TiOPc)の結晶(青色粉末)4.2gを得た。
【0101】
【化24】
【0102】
上記TiOPcは、いわゆるY型であって、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有している。なお、ブラッグ角(2θ±0.2°)が26.2°のときにはピークを有しなかった。X線回折スペクトルの測定結果を図1に示す。
また、上記TiOPcは、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであった。示差走査熱量分析の測定結果を図2に示す。
【0103】
正孔輸送剤としては、式(HTM−1) :
【0104】
【化25】
【0105】
で表されるビススチルベン誘導体を使用した。
電子輸送剤としては、式(ETM−1) :
【0106】
【化26】
【0107】
で表されるアゾキノン誘導体と、式(ETM−2) :
【0108】
【化27】
【0109】
で表されるジフェノキノン誘導体とを使用した。
不溶性アゾ顔料としては、C.I.ピグメントイエロー49(一般式(1) のモノアゾ顔料に属し、X1 がベンゼン環の2位に置換したメチル基、X2 がベンゼン環の4位に置換した塩素原子であって、R1 とR4 がメトキシ基、R3 が塩素原子であるもの。)を使用した。
レベリング剤には、信越化学工業(株)製のシリコーンオイル〔ジメチルシリコーンオイル,商品名「KF−96−50CS」〕を使用した。
【0110】
バインダ樹脂には、下記式(ru−1)で表される繰り返し単位と下記式(ru−2)で表される繰り返し単位とを、85:15(モル比)の割合で含有するポリカーボネート樹脂(換算粘度平均分子量20000)を使用した。
【0111】
【化28】
【0112】
上記バインダ樹脂(ポリカーボネート樹脂)100重量部、上記電荷発生剤(Y−TiOPc)3.2重量部、上記不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)2.4重量部、上記正孔輸送剤(HTM−1)50重量部、上記電子輸送剤(アゾキノン誘導体,ETM−1)15重量部、上記電子輸送剤(ジフェノキノン誘導体,ETM−2)10重量部および上記レベリング剤0.1重量部を、分散媒としてのテトラヒドロフラン420重量部に加えて、超音波分散機で溶解、分散させた。
こうして得られた感光層形成用塗布液を10日間静置した後、導電性基体としてのアルミニウム素管上に塗布して、厚さ28μmの感光層を備える単層型電子写真感光体を得た。
【0113】
(実施例2〜12)
不溶性アゾ顔料として、C.I.ピグメントイエロー49に代えて、表8に示すアゾ系顔料2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
実施例1〜12に使用した不溶性アゾ顔料は、下記表8に示すC.I.No.および化合物番号より明らかなように、いずれも上記一般式(1) のモノアゾ顔料、一般式(2) 〜(4) のジスアゾ顔料および一般式(5) および(6) のジスアゾ縮合顔料のいずれかに該当するものである。
【0114】
(比較例1)
不溶性アゾ顔料を配合しなかったほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0115】
(比較例2)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−1) :
【0116】
【化29】
【0117】
で表されるビスアゾフルオレノン顔料(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0118】
(比較例3)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−2) :
【0119】
【化30】
【0120】
(式中、Rc2は式:
【0121】
【化31】
【0122】
で表される基を示す。)
で表されるビスアゾスチルベン顔料(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0123】
(比較例4)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−3) :
【0124】
【化32】
【0125】
で表されるアゾ系顔料2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0126】
(比較例5)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−4) :
【0127】
【化33】
【0128】
(式中、Rc4は式:
【0129】
【化34】
【0130】
で表される基を示す。)
で表されるトリスアゾトリフェニルアミン(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0131】
(比較例6)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式:
【0132】
【化35】
【0133】
で表されるC.I.ピグメントイエローNo.151(一般式(1) のモノアゾ顔料と同一の骨格を有するものの、分子中にOH基を有するもの。)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
比較例2〜6に使用した不溶性アゾ顔料は、いずれも分子中にOH基を有するものである。
【0134】
(実施例13)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例10と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
このα型TiOPcは、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°とに主たる回折ピークを有していた。X線回折スペクトルの測定結果を図2に示す。
【0135】
(実施例14)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例11と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0136】
(実施例15)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例12と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
実施例13〜15に使用した不溶性アゾ顔料は、表9に示すC.I.No.および化合物番号より明らかなように、いずれも上記一般式(1) のモノアゾ顔料、一般式(2) 〜(4) のジスアゾ顔料および一般式(5) および(6) のジスアゾ縮合顔料のいずれかに該当するものである。
【0137】
(比較例7)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、比較例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0138】
(比較例8)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、比較例2と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
比較例8に使用した不溶性アゾ顔料は分子中にOH基を有するものである。
【0139】
〔不溶性アゾ顔料の物性評価〕
実施例1で使用した不溶性アゾ顔料とY型TiOPcとについて、それぞれ波長600nmでの吸光度と波長780nmでの吸光度とを測定した。次いで、Y型TiOPcの吸光度を1とした時の不溶性アゾ顔料の吸光度の比を算出して、これを吸光度比とした。実施例2〜12および比較例1〜6で使用した不溶性アゾ顔料についても同様にして、それぞれY型TiOPcとの吸光度比を算出した。
【0140】
また、実施例13で使用した不溶性アゾ顔料とα型TiOPcとについて、それぞれ波長600nmでの吸光度と波長780nmでの吸光度とを測定し、α型TiOPcの吸光度を1とした時の不溶性アゾ顔料の吸光度の比を算出して、これを吸光度比とした。実施例14,15および比較例7,8で使用した不溶性アゾ顔料についても同様にして、それぞれα型TiOPcとの吸光度比を算出した。
【0141】
不溶性アゾ顔料、Y型TiOPcおよびα型TiOPcについての吸光度は下記の方法で測定した。
Z型ポリカーボネート〔帝人化成(株)製の商品名「パンライト TS2050」〕100重量部と、不溶性アゾ顔料、Y型TiOPcまたはα型TiOPc1重量部と、ジメチルシリコーンオイル〔信越化学工業(株)製の品番「KF−96−50CS」〕0.1重量部とをテトラヒドロフラン450重量部に溶解した。こうして得られた塗布液を、フッ素樹脂〔テフロン(R) 〕で表面を加工してなるブレードを用いて、φ30mmのアルミニウム素管上に塗布することによって、膜厚1μmの膜を形成した。次いで、当該膜をアルミニウム素管から剥ぎ取って測定試料とし、この測定試料の可視領域での吸光度を、分光測色計によって膜厚方向に測定した。
吸光度比の測定結果を表8および表9に示す。
【0142】
〔感光体の物性評価〕
(1) 明電位の測定
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体を、それぞれ静電式複写装置〔京セラミタ(株)製の製品名「Creage7325」の改良型〕に設置して、+800Vに帯電して、波長780nmの赤色半導体レーザ光で露光した時の表面電位(明電位)を測定した。
明電位の値は+130V以下であればよく、+130Vよりも大きくなるほど電子写真感光体の感度が劣っているといえる。
【0143】
(2) 耐NOx性の評価
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体をそれぞれ静電式複写装置(前出の「Creage7325」改良型)に設置して、表面電位が+800Vとなるようにグリッド電圧を設定しつつ帯電させた。次いで、各実施例、比較例の電子写真感光体を24ppmのNOxガス雰囲気に暴露(50時間)し、暴露前に設定したグリッド電圧と同じ条件での表面電位を測定した。さらに、NOxガス暴露前後の表面電位の変化量(V)を求めて、電子写真感光体の耐NOx性を評価した。例えば、NOxガス暴露前の表面電位が800Vであって、暴露後の表面電位が690Vであれば、評価は−110Vとなる。NOxガス暴露前後の表面電位の変化量は−150V以下であればよい(暴露後の表面電位の低下量が150Vよりも小さければよい)。変化量が−150Vを超える(暴露後に−150Vを超えて小さくなる)ほど、電子写真感光体の耐NOx性が低いといえる。
【0144】
以上の結果を表8および表9に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【0147】
表8および表9より明らかなように、感光層中において、電荷発生剤としてのフタロシアニンとともに、所定の不溶性アゾ顔料を含有する実施例1〜15の電子写真感光体では、明電位が十分に低く、耐NOx性も良好であった。しかも、高温環境下での帯電安定性や、耐候性も良好であった。
【0148】
これに対し、アゾ系顔料として、分子中にOH基を有していたり、あるいは吸光度比の測定結果より明らかなように、露光光源の波長域、または電荷発生剤としてのY型もしくはα型TiOPcの吸収波長域においてある程度の感度を示す(電荷発生剤に対して1/3以上の吸光度を示す)ものを用いた比較例2〜6および8の電子写真感光体では、明電位が高く、耐NOx性が不十分であった。しかも、高温環境下での帯電安定性や、耐候性が低いという問題があった。
また、アゾ系顔料を含有しない比較例1および7の電子写真感光体では、明電位が高く、感度が劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用したY型TiOPcのX線回折スペクトル図である。
【図2】実施例で使用したY型TiOPcの示差走査熱量分析の結果を示すグラフである。
【図3】実施例13で使用したα型TiOPcのX線回折スペクトル図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は単層型の電子写真感光体に関し、より詳しくは、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置に用いられるデジタル系の単層型電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置には、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機感光体が使用されている。近年、画像形成装置へのデジタル技術の導入が広く行なわれつつあるが、デジタル型画像形成装置用の光源は赤色の半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)が主流であって、これらの光源の波長が600〜830nm程度の長波長光(橙色、赤色および近赤外領域の光)であることから、これらの波長領域での感度に優れた有機感光体の開発が強く望まれている。
【0003】
特に、近赤外領域で高感度な電荷発生剤として、フタロシアニン(TiOPc)類が注目されており、なかでもα型、Y型等のチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)や、これらのTiOPcとヒドロキシメタルフタロシアニン等との混晶を電荷発生剤として使用した積層型の電子写真感光体については既に実用化されている。
【0004】
また、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に含有させる単層型の電子写真感光体は、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを別々に形成する積層型電子写真感光体に比べて、構造が簡単で製造が容易であること、感光層形成時の被膜欠陥の発生を抑制できること、層界面が少ないことから光学的特性が向上すること、正負いずれの帯電型にも使用できること等の利点を備えている。
【0005】
そこで、上記のフタロシアニン類を電荷発生剤として使用した単層型の電子写真感光体について種々の検討がなされているが、α−TiOPc、Y−TiOPcあるいはTiOPcとヒドロキシメタルフタロシアニンとの混晶体等を電荷発生剤として使用した場合には、高感度の単層型電子写真感光体が得られないという問題があった。
これは、感光層の形成に用いられるポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル等のバインダ樹脂と、上記TiOPcや上記混晶体との親和性が低いことや、感光層を形成する種々の材料についての溶解性を考慮すると、感光層形成用塗布液の分散媒がテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、塩化メチレン等の非アルコール系溶剤に限られてしまうこと、さらには、これらの非アルコール系溶剤は上記TiOPcや上記混晶体にとって貧溶媒であることに起因するものと考えられる。
【0006】
さらに、TiOPcは上記分散媒中での分散性が低く、凝集沈殿が生じることによって均一な感光層の形成が困難になることだけでなく、分散媒中での経時安定性も低く、分散液の調製後にTiOPcの結晶型が所期のものとは異なるものに転移するという問題もある。
【0007】
特許文献1〜5には、TiOPcを含む感光層形成用塗布液の分散性を考慮して、TiOPcと、特定のアゾ系顔料とを含有させてなる塗布液や、それを用いてなる単層型電子写真感光体(または光導電体)が記載されている。また、特許文献6〜11には、TiOPcと、特定のアゾ系顔料とを含有させてなる単層型電子写真感光体が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1〜5に記載の塗布液についても、依然として塗布液の保存安定性が低いという問題がある。さらに、特許文献1〜11に記載の電子写真感光体(光導電体)については帯電安定性や耐NOx性が劣るという問題があり、かかる問題は特に高温環境下において顕著であった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−47406号公報(請求項1および2,段落〔0013〕〜〔0030〕)
【特許文献2】
特開2000−47407号公報(請求項1および2,段落〔0013〕〜〔0029〕)
【特許文献3】
特開2000−147810号公報(請求項1および2,段落〔0021〕〜〔0036〕)
【特許文献4】
特開2001−123087号公報(請求項5,段落〔0013〕〜〔0026〕,〔0031〕)
【特許文献5】
特開2000−239553号公報(請求項1,段落〔0014〕〜〔0027〕)
【特許文献6】
特開平7−175241号公報(請求項1,段落〔0004〕)
【特許文献7】
特開平9−34148号公報(請求項1,段落〔0004〕)
【特許文献8】
特開2000−147809号公報(請求項2,段落〔0020〕〜〔0035〕)
【特許文献9】
特開2000−242011号公報(請求項2,段落〔0021〕〜〔0040〕)
【特許文献10】
特開2002−55470号公報(請求項1および2,段落〔0022〕〜〔0036〕)
【特許文献11】
特開平7−199493号公報(請求項1,段落〔0028〕〜〔0029〕)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、フタロシアニン類の分散性、分散状態の安定性および結晶型の経時的安定性に優れた単層型感光層形成用の塗布液を調製し、かかる塗布液を用いてデジタル光源に対して高感度でかつ高性能な単層型電子写真感光体を得ることが求められている。
本発明の目的は、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、かつデジタル光源に対して高感度であり、かつ特に高温環境下での帯電安定性や耐NOx性に優れた単層型の電子写真感光体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記特許文献1〜11に記載の発明に用いられているアゾ系顔料は、いずれも可視領域の広い範囲で感度を示すことを前提に選定されている。それゆえ、アゾ系顔料にはナフトール構造部位を含むカップラー残基が用いられているが、極性の高いOH基の存在によって当該アゾ顔料自体の凝集性が高くなっており、しかもポリカーボネート等のバインダ樹脂との親和性が低いために、依然として感光層形成用塗布液中で顔料が経時的に凝集沈降するものと考えられる。
さらに、ナフトール構造部位のOH基は、NOx等の活性ガスの吸着部位になっていると考えられ、それゆえ、上記のアゾ系顔料を含有する電子写真感光体については、耐NOx性が低いという問題がある。
【0011】
一方、上記のアゾ系顔料は可視領域の広い範囲で感度を示すものであることから、感光層中に電荷発生剤として配合されているTiOPcだけでなく、当該アゾ系顔料までもが電荷発生能を示すこととなる。しかしながら、TiOPcとアゾ系顔料との双方が電荷発生能を示すことから熱キャリアが発生し易くなって、電荷保持率が低くなる傾向がある。このことは、特に高温環境下での帯電安定性低下につながる。
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていく中で、電荷発生剤として近赤外領域での感度に優れたフタロシアニン類を採用し、かつ同一の感光層中に、感光層形成用塗布液の分散性を向上させる目的でアゾ系顔料を含有させるという方針で検討を重ねた。
その結果、かかるアゾ系顔料として、
(I) 水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該電荷発生剤の吸光度に対して1/3以下である不溶性アゾ顔料、または
(II)水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置において、その露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下である不溶性アゾ顔料
を用いたときには、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、デジタル光源に対して高感度で、しかも高温環境下での帯電安定性、耐候性および耐NOx性に優れた単層型の電子写真感光体を提供することができるという全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、上記課題を解決するための、本発明に係る第1の単層型電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、上記電荷発生剤の吸収波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するための、本発明に係る第2の単層型電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする。
【0015】
上記第1および第2の単層型電子写真感光体によれば、単層型感光層の形成材料に、電荷発生剤としてのフタロシアニンとともに、特定の不溶性アゾ顔料を含有させていることから、感光層形成用塗布液中でのフタロシアニンの分散性を高めることができ、当該塗布液を用いて形成された単層型感光層においても、フタロシアニンの均一な分散を実現することができる。かかる効果は、とりわけフタロシアニンがチタニルフタロシアニンである場合において顕著である。
【0016】
また、上記特定の不溶性アゾ顔料は、分子中に水酸基、カルボキシル基等のOH基を有しないものであって、NOx等の活性ガスの吸着部位となる極性部位が存在しないことから、これを単層型感光層中に含有させても、電子写真感光体の耐NOx性や、特に高温環境下での帯電安定性を低下させることがない。
【0017】
さらに、上記特定の不溶性アゾ顔料は、前述のように
(i) 電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該波長域におけるフタロシアニンの吸光度に対して1/3以下と低いこと、または
(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下と低いこと、を特徴としている。
換言すれば、上記特定の不溶性アゾ顔料が、電荷発生剤としてのフタロシアニンの感度領域において不活性であって、その電荷発生能に及ぼす影響が極めて小さいことから、電子写真感光体の帯電安定性を低下させることがない。かかる効果は、とりわけ高温環境下において顕著である。
【0018】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤としてのフタロシアニンは、そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°のときに主たる回折ピークを有するα型チタニルフタロシアニン、またはブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンであるのが、感光体の感度をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
なお、本発明において、X線回折スペクトルの解析には、Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)を使用した。
【0019】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤としてのフタロシアニンは、チタニルフタロシアニンであって、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであるのが好ましい。
示差走査熱量分析(DSC)による測定結果において、50〜400℃の範囲において、吸着水の気化に伴うピーク値以外に吸熱ピークが観察されないということは、すなわちそのフタロシアニンは結晶転移が極めて生じにくく、結晶型が安定であることを示している。
かかるフタロシアニンは、それ自体のバインダ樹脂中での分散性や貯蔵安定性が良好であって、しかも不溶性アゾ顔料等とともに感光層中に含有させたときに、バインダ樹脂中での分散性をより一層良好なものとすることができる。
【0020】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含有する塗布液を成膜してなるものであり、かつ当該塗布液の分散媒がテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であるのが好ましい。
感光層形成用塗布液の分散媒として上記例示の有機溶媒を用いることにより、当該塗布液、および当該塗布液によって形成される感光層中での電荷発生剤(フタロシアニン)と不溶性アゾ顔料との分散性を良好なものとすることができる。
【0021】
本発明の第1および第2の単層型電子写真感光体において、不溶性アゾ顔料としては、一般式(1) :
【0022】
【化12】
【0023】
(式(1) 中、X1 〜X3 は同一または異なって、ニトロ基、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基、基:−CONHR6 または基:−SO2 NHPhを示す。R1 〜R5 は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R2 とR3 とは互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R6 およびR7 は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。Phはフェニル基を示す。)
で表されるモノアゾ顔料、一般式(2) :
【0024】
【化13】
【0025】
〔式(2) 中、X11は一般式(21)または一般式(22):
【0026】
【化14】
【0027】
(式(21)中、X12〜X15は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(22)中、X16〜X19は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R11〜R20は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R12とR13および/またはR17とR18は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(3) :
【0028】
【化15】
【0029】
〔式(3) 中、X21は一般式(31)または一般式(32):
【0030】
【化16】
【0031】
(式(31)中、X22〜X25は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(32)中、X26およびX27は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R21〜R30は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R22とR23および/またはR27とR28は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(4) :
【0032】
【化17】
【0033】
〔式(4) 中、X31は一般式(41)または一般式(42):
【0034】
【化18】
【0035】
(式(41)中、X32〜X35は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。式(42)中、X36およびX37は同一または異なって、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R31〜R40は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R32とR33および/またはR37とR38は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、一般式(5) :
【0036】
【化19】
【0037】
〔式(5) 中、X41は一般式(51):
【0038】
【化20】
【0039】
(式(51)中、X42およびX43は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R41〜R50は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R42とR43および/またはR47とR48は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料、または一般式(6) :
【0040】
【化21】
【0041】
〔式(6) 中、X51は式(61):
【0042】
【化22】
【0043】
(式(61)中、X52〜X55は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
を示す。R51〜R60は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R52とR53および/またはR57とR58は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料であるのが好ましい。
【0044】
かかる不溶性アゾ顔料は、分子中に水酸基、カルボキシル基等のOH基を有しないものであって、しかも近赤外領域に感度を有しないか、あるいは
(i) 電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該波長域におけるフタロシアニンの吸光度に対して1/3以下と低い、または
(ii)画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下と低い
ことを特徴とするものである。
それゆえ、上記例示の不溶性アゾ顔料は、感光層中でのフタロシアニン類の均一な分散を実現し、かつデジタル光源に対して高感度で、しかも、特に高温環境下での帯電安定性や耐NOx性を優れた単層型の電子写真感光体を得る、という本発明の目的を達成する上で極めて好ましいものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の単層型電子写真感光体について詳細に説明する。
【0046】
〔電荷発生剤〕
本発明の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤にはフタロシアニンが用いられる。
フタロシアニンには、配位金属の種類等によって、例えば無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、バナジルフタロシアニン等の、種々のものが知られている。さらに、個々のフタロシアニンにおいても、その結晶型によってさらに数種に分類される。本発明に使用可能なフタロシアニンとしては、その配位金属の種類や結晶型について特に限定されるものではなく、従来公知のものをいずれも用いることができる。なかでも、例えばチタニルフタロシアニン(TiOPc)のように、近赤外領域における感度に優れたものを用いるのが好ましい。
【0047】
TiOPcには、例えばα型、Y型、β型、C型等の、種々の結晶型のものが知られているが、本発明に使用可能なものとして特に限定されるものではなく、従来公知の種々の結晶型のものを使用することができる。
なかでも、そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°のときに主たる回折ピークを有するα型チタニルフタロシアニンや、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンは、近赤外領域での感度が極めて高く、それゆえ高感度の単層型電子写真感光体を得る上で有利であることから、本発明において好適に用いられる。
【0048】
但し、上記TiOPcの好適例のうち、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンについては、感光層形成用の塗布液に含まれるテトラヒドロフラン等の有機溶媒に対して安定性が低いという問題がある。
従って、かかるチタニルフタロシアニンについては、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであるのが好ましい。
【0049】
このチタニルフタロシアニンは、下記(1) および(2) に記載の2通りの方法によって製造することができる(特開2001−181531号公報の請求項5および6、段落〔0029〕〜〔0039〕参照)。
(1) チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間撹拌処理を施し、次いで、撹拌処理時の温度よりも低い温度条件下で、一定時間反応液を静置して安定化させる顔料化前処理工程を経た後、さらに上記水溶性有機溶媒を除去して得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を溶媒に溶解し、この溶液を貧溶媒中に滴下してチタニルフタロシアニン化合物を再結晶させ、次いで水の存在下にて、非水系溶媒中でミリング処理する顔料化の工程を経る。
【0050】
(2) チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間撹拌処理を施し、次いで、撹拌処理時の温度よりも低い温度条件下で、一定時間反応液を静置して安定化させる顔料化前処理工程を経た後、さらに上記水溶性有機溶媒を除去して得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶をアシッドペースト法によって処理する工程を経て、さらに処理した低結晶性チタニルフタロシアニン化合物を、水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する工程を経る。
【0051】
〔不溶性アゾ顔料〕
本発明の単層型電子写真感光体に用いられる不溶性アゾ顔料は、
(I) 水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ電荷発生剤(フタロシアニン)の吸収波長域における吸光度が、当該電荷発生剤の吸光度に対して1/3以下であること(すなわち、電荷発生剤(チタニルフタロシアニン)の吸収波長域において感度を有しないか、あるいは感度が極めて弱いこと)、または
(II)水酸基やカルボキシル基等のOH基を有さず、かつ本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置において、その露光光源の波長域における吸光度が、電荷発生剤(フタロシアニン)についての当該波長域における吸光度に対して1/3以下であること(すなわち、上記露光光源の吸収波長域において感度を有しないか、あるいは感度が極めて弱いこと)、
を特徴とする。
【0052】
このような不溶性アゾ顔料を用いたとしても、フタロシアニンによる電荷発生能を阻害せず、単層型感光層またはその形成用塗布液中でのフタロシアニンの分散性を向上させる作用のみを発揮する。
前述の条件を満たす不溶性アゾ顔料としては、例えば上記一般式(1) で表されるモノアゾ顔料、上記一般式(2) 〜(4) で表されるジスアゾ顔料、上記一般式(5) または(6) で表されるジスアゾ縮合顔料が挙げられる。これらの不溶性アゾ顔料は、本発明の電子写真感光体における感光層中に単独で配合されていてもよく、2種以上が混合して配合されていてもよい。
【0053】
(一般式(1) で表されるモノアゾ顔料)
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料において、X1 〜X3 は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。
X1 〜X3 に相当する置換基としては、ニトロ基、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(上記例示のアルキル基における水素原子を全てフッ素原子に置換したもの。)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、基:−CONHR6 (カルバモイル基等;R6 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。)、基:−SO2 NHPh(N−フェニルスルファモイル基)などが挙げられる。
【0054】
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料において、R1 〜R5 は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。
R1 〜R5 に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (アセトアミド基、ベンズアミド基等;R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。)などが挙げられる。また、R1 〜R5 が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR2 とR3 )は、互いに結合して式:
【0055】
【化23】
【0056】
で表されるウレイレン基を形成してもよい。
【0057】
一般式(1) で表されるモノアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1中、“X1 −X3 ”および“R1 −R5 ”の各欄に記載の略号は、次のとおりである。
“−NO2 ”はニトロ基を、“−Cl”は塩素原子を、“−CH3 ”はメチル基を、“−CF3 ”はパーフルオロメチル基を、“−OCH3 ”はメトキシ基を、“−OC2 H5 ”はエトキシ基を、“−COOCH3 ”はメトキシカルボニル基を、“−SO2 NHPh”はN−フェニルスルファモイル基を、“−CONH2 ”はカルバモイル基を、それぞれ示す。
【0060】
“X1 −X3 ”欄の“2:”、“4:”および“5:”はベンゼン環上での置換基の位置を示しており、窒素原子に結合する炭素原子を基準として、順に「2位」、「4位」および「5位」であることを示す。“2,5:”および“3,5:”は、ベンゼン環上に同種の基が2つ置換していることを示し、かつその置換位置が上記炭素原子を基準として、順に「2位と5位」または「3位と5位」であることを示す。
“R1 −R5 ”欄の“R2 −R3 :ureylene”は、R2 とR3 とが互いに結合してウレイレン基となっていることを示す。R1 〜R5 のうち、記載されていない基は水素原子が置換していることを示し、“―”はR1 〜R5 の全てが水素原子であることを示す。
【0061】
(一般式(2) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料において、X11には、一般式(21)および一般式(22)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(21)で表される二価基において、X12〜X15は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X12〜X15に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(22)で表される二価基において、X16〜X19は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X16〜X19に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0062】
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料において、R11〜R20は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R11〜R20に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R11〜R20が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR12とR13、R17とR18)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0063】
一般式(2) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表2および表3に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
表2および表3中、“X12,X14”、“X13,X15”および“R11−R20”の各欄に記載の略号のうち、“−Cl”および“−OCH3 ”は、いずれも表1に示す場合と同義である。“−H”は水素原子を示す。“X13,X15”欄の“―”は該当する基を有しないことを示す。“R11−R20”欄の“R12−R13,R17−R18:ureylene”は、R12とR13およびR17とR18が互いに結合してウレイレン基となっていることを示す。R11〜R20のうち、同欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示し、“―”はR11〜R20の全てが水素原子であることを示す。
【0067】
(一般式(3) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料において、X21には、一般式(31)および一般式(32)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(31)で表される二価基において、X22〜X25は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X22〜X24に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(32)で表される二価基において、X26とX27とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X26およびX27に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0068】
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料において、R21〜R30は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R21〜R30に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R21〜R30が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR22とR23、R27とR28)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0069】
一般式(3) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
表4中、“X22,X24”、“X23,X25”および“R21−R50”の各欄に記載の略号のうち、“−H”、“−Cl”および“−CH3 ”は、いずれも表1〜3に示す場合と同義である。R21〜R50のうち、“R21−R50”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0072】
(一般式(4) で表されるジスアゾ顔料)
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料において、X31には、一般式(41)および一般式(42)で表される二価基のいずれかが選択される。
一般式(41)で表される二価基において、X32〜X35は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X32〜X35に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(42)で表される二価基において、X36とX37とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X36およびX37に相当する置換基としては、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
【0073】
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料において、R31〜R40は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R31〜R40に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R21〜R30が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR32とR33、R37とR38)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0074】
一般式(4) で表されるジスアゾ顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】
表5中、“X36”、“X37”および“R31−R40”の各欄に記載の略号のうち、“CH3 OCO”および“―”は、いずれも表1〜4に示す場合と同義である。R31〜R40のうち、“R31−R40”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0077】
(一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料)
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料において、X41は、一般式(51)で表される二価基に相当する。
一般式(51)で表される二価基において、X42とX43とは同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X42およびX43に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料において、R41〜R50は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R41〜R50に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R41〜R50が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR42とR43、R47とR48)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0078】
一般式(5) で表されるジスアゾ縮合顔料の具体例を、カラーインデックス番号(C.I. No. )とともに表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
表6中、“X42”、“X43”および“R41−R50”の各欄に記載の略号のうち、“−Cl”および“−CH3 ”は、いずれも表1〜5に示す場合と同義である。R41〜R50のうち、“R41−R50”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0081】
(一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料)
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料において、基X51は、一般式(61)で表される二価基に相当する。
一般式(61)で表される二価基において、X52〜X55は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。X52〜X55に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)等が挙げられる。
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料において、R51〜R60は同じ置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。R51〜R60に相当する置換基としては、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基(前出)、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基(前出)、炭素数1〜3のアルコキシ基(前出)、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基(前出)、基:−NHCOR7 (前出)等が挙げられる。また、R51〜R60が置換するベンゼン環の、窒素原子に結合する炭素原子を基準としてメタ位とパラ位の炭素原子(すなわち、例えばR62とR63、R67とR68)は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。
【0082】
一般式(6) で表されるジスアゾ縮合顔料の具体例を、表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
表7中、“X52,X54”、“X53,X55”および“R51−R60”の各欄に記載の“−”は表1〜6に示す場合と同義である。R51〜R60のうち、“R51−R60”欄に記載されていない基には水素原子が置換していることを示す。
【0085】
〔電荷発生剤と不溶性アゾ顔料との含有割合〕
フタロシアニンと不溶性アゾ顔料との含有割合は特に限定されるものではないが、フタロシアニンの分散性を良好にすることや電子写真感光体の感度を良好なものにすること等の観点から、重量比で1:0.01〜1:100の範囲に設定するのが好ましい。
フタロシアニンと不溶性アゾ顔料との含有割合は、上記範囲の中でも特に1:0.1〜1:10(重量比)であるのが好ましく、1:0.75〜1:1.25(重量比)であるのがより好ましい。
【0086】
〔バインダ樹脂〕
本発明の単層型電子写真感光体において、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料等の各成分を感光層中にて分散させるためのバインダ樹脂には、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が用いられる。
これらのバインダ樹脂は、電荷輸送剤との相溶性に優れるものであり、かつ電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害するような部位を、その化学構造中に有するものでない。従って、かかるバインダ樹脂を用いることによって、より一層高感度な電子写真感光体を得ることができる。
【0087】
〔電荷輸送剤〕
本発明の単層型電子写真感光体に用いられる電荷輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤および/または正孔輸送剤が挙げられる。
電子輸送剤または正孔輸送剤のいずれか、もしくは両方を用いるかについては、感光体の層構造や帯電極性等に応じて選択される。電子輸送剤と正孔輸送剤との電荷移動錯体が形成しな場合には両者を混合して含有させるのが好ましい。
【0088】
(電子輸送剤)
本発明に使用可能な電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の、電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
上記例示の電子輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0089】
(正孔輸送剤)
本発明に使用可能な正孔輸送剤としては、例えばN,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の、含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。
上記例示の正孔輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0090】
〔分散媒〕
本発明の単層型電子写真感光体において、感光層形成用の塗布液を調製するための分散媒としては、感光層形成用塗布液に用いられる種々の有機溶剤が使用可能である。かかる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
しかしながら、本発明においては、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、上記バインダ樹脂等の各成分を安定して分散させる上で、上記例示の有機溶剤の中でも特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を用いるのが好ましい。
【0091】
〔他の成分〕
感光層形成用の塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0092】
〔導電性基体〕
上記感光層が形成される導電性基体には、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体;上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス;カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させた樹脂基体等が挙げられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
【0093】
〔単層型電子写真感光体の製造方法〕
本発明に係る単層型電子写真感光体は、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニンと、電子輸送剤および/または正孔輸送剤と、上記不溶性アゾ顔料と、バインダ樹脂と、を適当な分散媒または分散させ、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
【0094】
上記感光層形成用塗布液において、電荷発生剤は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。
不溶性アゾ顔料は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で、かつ電荷発生剤との含有割合の比が前述の範囲を満足する範囲内で配合すればよい。
【0095】
電子輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で配合すればよい。
正孔輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して5〜500重量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合すればよい。
電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する場合において、電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部とするのが適当である。
【0096】
感光層形成用塗布液の塗布によって得られる感光層の厚さは5〜100μm、特に10〜50μmとなるように設定するのが好ましい。
本発明において特に限定されるものではないが、導電性基体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層を形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、バインダ樹脂等を、適当な溶剤とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等の公知の手段を用いて分散混合して、こうして調製された分散液を公知の手段により導電性基体上に塗布して乾燥させればよい。
【0097】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明について説明する。
【0098】
〔単層型電子写真感光体の製造〕
(実施例1)
電荷発生剤としては、特開2000−181531号公報の製造例1に記載の方法により得られたチタニルフタロシアニンを使用した〔下記式(TiOPc) 参照〕。チタニルフタロシアニンの製造方法は次のとおりである。
チタニルフタロシアニン化合物の合成:アルゴン置換したフラスコ中に、1,3−ジイミノイソインドリン25g、チタンテトラブトキシド22gおよびジフェニルメタン300gを加え、撹拌しながら150℃まで昇温した。次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この温度を維持しつつ、さらに4時間撹拌して反応させた。反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによって濾別して、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミドとメタノールで順次洗浄し、さらに真空乾燥して紫色の固体24gを得た。
【0099】
顔料化前処理:上記紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100mL中に加え、撹拌しながら130℃に加熱し、さらに2時間撹拌処理を行なった。次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却してから撹拌も停止し、この状態で12時間、反応液を静置して安定化処理を行なった。こうして安定化された反応液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体をメタノールで洗浄してから真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.85gを得た。
【0100】
顔料化処理:上記顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶5gを、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸との混合溶媒(体積比4:1)100mLに加えて溶解した。次いで、この溶液をメタノールと水との混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下した後、室温で15分間撹拌し、さらに室温で30分間静置することにより再結晶させた。その後、チタニルフタロシアニンの結晶を含む混合貧溶媒をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態でクロロベンゼン200mL中に分散させて、1時間撹拌した。そして、液をガラスフィルターによって濾別した後、得られた固体を50°で5時間、真空乾燥させて、下記式(TiOPc) で表される無置換のチタニルフタロシアニン(TiOPc)の結晶(青色粉末)4.2gを得た。
【0101】
【化24】
【0102】
上記TiOPcは、いわゆるY型であって、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有している。なお、ブラッグ角(2θ±0.2°)が26.2°のときにはピークを有しなかった。X線回折スペクトルの測定結果を図1に示す。
また、上記TiOPcは、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものであった。示差走査熱量分析の測定結果を図2に示す。
【0103】
正孔輸送剤としては、式(HTM−1) :
【0104】
【化25】
【0105】
で表されるビススチルベン誘導体を使用した。
電子輸送剤としては、式(ETM−1) :
【0106】
【化26】
【0107】
で表されるアゾキノン誘導体と、式(ETM−2) :
【0108】
【化27】
【0109】
で表されるジフェノキノン誘導体とを使用した。
不溶性アゾ顔料としては、C.I.ピグメントイエロー49(一般式(1) のモノアゾ顔料に属し、X1 がベンゼン環の2位に置換したメチル基、X2 がベンゼン環の4位に置換した塩素原子であって、R1 とR4 がメトキシ基、R3 が塩素原子であるもの。)を使用した。
レベリング剤には、信越化学工業(株)製のシリコーンオイル〔ジメチルシリコーンオイル,商品名「KF−96−50CS」〕を使用した。
【0110】
バインダ樹脂には、下記式(ru−1)で表される繰り返し単位と下記式(ru−2)で表される繰り返し単位とを、85:15(モル比)の割合で含有するポリカーボネート樹脂(換算粘度平均分子量20000)を使用した。
【0111】
【化28】
【0112】
上記バインダ樹脂(ポリカーボネート樹脂)100重量部、上記電荷発生剤(Y−TiOPc)3.2重量部、上記不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)2.4重量部、上記正孔輸送剤(HTM−1)50重量部、上記電子輸送剤(アゾキノン誘導体,ETM−1)15重量部、上記電子輸送剤(ジフェノキノン誘導体,ETM−2)10重量部および上記レベリング剤0.1重量部を、分散媒としてのテトラヒドロフラン420重量部に加えて、超音波分散機で溶解、分散させた。
こうして得られた感光層形成用塗布液を10日間静置した後、導電性基体としてのアルミニウム素管上に塗布して、厚さ28μmの感光層を備える単層型電子写真感光体を得た。
【0113】
(実施例2〜12)
不溶性アゾ顔料として、C.I.ピグメントイエロー49に代えて、表8に示すアゾ系顔料2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
実施例1〜12に使用した不溶性アゾ顔料は、下記表8に示すC.I.No.および化合物番号より明らかなように、いずれも上記一般式(1) のモノアゾ顔料、一般式(2) 〜(4) のジスアゾ顔料および一般式(5) および(6) のジスアゾ縮合顔料のいずれかに該当するものである。
【0114】
(比較例1)
不溶性アゾ顔料を配合しなかったほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0115】
(比較例2)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−1) :
【0116】
【化29】
【0117】
で表されるビスアゾフルオレノン顔料(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0118】
(比較例3)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−2) :
【0119】
【化30】
【0120】
(式中、Rc2は式:
【0121】
【化31】
【0122】
で表される基を示す。)
で表されるビスアゾスチルベン顔料(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0123】
(比較例4)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−3) :
【0124】
【化32】
【0125】
で表されるアゾ系顔料2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0126】
(比較例5)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式(c−4) :
【0127】
【化33】
【0128】
(式中、Rc4は式:
【0129】
【化34】
【0130】
で表される基を示す。)
で表されるトリスアゾトリフェニルアミン(アゾ系顔料)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0131】
(比較例6)
不溶性アゾ顔料(C.I.ピグメントイエロー49)に代えて、式:
【0132】
【化35】
【0133】
で表されるC.I.ピグメントイエローNo.151(一般式(1) のモノアゾ顔料と同一の骨格を有するものの、分子中にOH基を有するもの。)2.4重量部を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
比較例2〜6に使用した不溶性アゾ顔料は、いずれも分子中にOH基を有するものである。
【0134】
(実施例13)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例10と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
このα型TiOPcは、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°とに主たる回折ピークを有していた。X線回折スペクトルの測定結果を図2に示す。
【0135】
(実施例14)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例11と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0136】
(実施例15)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、実施例12と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
実施例13〜15に使用した不溶性アゾ顔料は、表9に示すC.I.No.および化合物番号より明らかなように、いずれも上記一般式(1) のモノアゾ顔料、一般式(2) 〜(4) のジスアゾ顔料および一般式(5) および(6) のジスアゾ縮合顔料のいずれかに該当するものである。
【0137】
(比較例7)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、比較例1と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
【0138】
(比較例8)
電荷発生剤として、Y型TiOPcに代えてα型TiOPcを用いたほかは、比較例2と同様にして単層型電子写真感光体を得た。
比較例8に使用した不溶性アゾ顔料は分子中にOH基を有するものである。
【0139】
〔不溶性アゾ顔料の物性評価〕
実施例1で使用した不溶性アゾ顔料とY型TiOPcとについて、それぞれ波長600nmでの吸光度と波長780nmでの吸光度とを測定した。次いで、Y型TiOPcの吸光度を1とした時の不溶性アゾ顔料の吸光度の比を算出して、これを吸光度比とした。実施例2〜12および比較例1〜6で使用した不溶性アゾ顔料についても同様にして、それぞれY型TiOPcとの吸光度比を算出した。
【0140】
また、実施例13で使用した不溶性アゾ顔料とα型TiOPcとについて、それぞれ波長600nmでの吸光度と波長780nmでの吸光度とを測定し、α型TiOPcの吸光度を1とした時の不溶性アゾ顔料の吸光度の比を算出して、これを吸光度比とした。実施例14,15および比較例7,8で使用した不溶性アゾ顔料についても同様にして、それぞれα型TiOPcとの吸光度比を算出した。
【0141】
不溶性アゾ顔料、Y型TiOPcおよびα型TiOPcについての吸光度は下記の方法で測定した。
Z型ポリカーボネート〔帝人化成(株)製の商品名「パンライト TS2050」〕100重量部と、不溶性アゾ顔料、Y型TiOPcまたはα型TiOPc1重量部と、ジメチルシリコーンオイル〔信越化学工業(株)製の品番「KF−96−50CS」〕0.1重量部とをテトラヒドロフラン450重量部に溶解した。こうして得られた塗布液を、フッ素樹脂〔テフロン(R) 〕で表面を加工してなるブレードを用いて、φ30mmのアルミニウム素管上に塗布することによって、膜厚1μmの膜を形成した。次いで、当該膜をアルミニウム素管から剥ぎ取って測定試料とし、この測定試料の可視領域での吸光度を、分光測色計によって膜厚方向に測定した。
吸光度比の測定結果を表8および表9に示す。
【0142】
〔感光体の物性評価〕
(1) 明電位の測定
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体を、それぞれ静電式複写装置〔京セラミタ(株)製の製品名「Creage7325」の改良型〕に設置して、+800Vに帯電して、波長780nmの赤色半導体レーザ光で露光した時の表面電位(明電位)を測定した。
明電位の値は+130V以下であればよく、+130Vよりも大きくなるほど電子写真感光体の感度が劣っているといえる。
【0143】
(2) 耐NOx性の評価
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体をそれぞれ静電式複写装置(前出の「Creage7325」改良型)に設置して、表面電位が+800Vとなるようにグリッド電圧を設定しつつ帯電させた。次いで、各実施例、比較例の電子写真感光体を24ppmのNOxガス雰囲気に暴露(50時間)し、暴露前に設定したグリッド電圧と同じ条件での表面電位を測定した。さらに、NOxガス暴露前後の表面電位の変化量(V)を求めて、電子写真感光体の耐NOx性を評価した。例えば、NOxガス暴露前の表面電位が800Vであって、暴露後の表面電位が690Vであれば、評価は−110Vとなる。NOxガス暴露前後の表面電位の変化量は−150V以下であればよい(暴露後の表面電位の低下量が150Vよりも小さければよい)。変化量が−150Vを超える(暴露後に−150Vを超えて小さくなる)ほど、電子写真感光体の耐NOx性が低いといえる。
【0144】
以上の結果を表8および表9に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【0147】
表8および表9より明らかなように、感光層中において、電荷発生剤としてのフタロシアニンとともに、所定の不溶性アゾ顔料を含有する実施例1〜15の電子写真感光体では、明電位が十分に低く、耐NOx性も良好であった。しかも、高温環境下での帯電安定性や、耐候性も良好であった。
【0148】
これに対し、アゾ系顔料として、分子中にOH基を有していたり、あるいは吸光度比の測定結果より明らかなように、露光光源の波長域、または電荷発生剤としてのY型もしくはα型TiOPcの吸収波長域においてある程度の感度を示す(電荷発生剤に対して1/3以上の吸光度を示す)ものを用いた比較例2〜6および8の電子写真感光体では、明電位が高く、耐NOx性が不十分であった。しかも、高温環境下での帯電安定性や、耐候性が低いという問題があった。
また、アゾ系顔料を含有しない比較例1および7の電子写真感光体では、明電位が高く、感度が劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用したY型TiOPcのX線回折スペクトル図である。
【図2】実施例で使用したY型TiOPcの示差走査熱量分析の結果を示すグラフである。
【図3】実施例13で使用したα型TiOPcのX線回折スペクトル図である。
Claims (6)
- 導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、上記電荷発生剤の吸収波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である単層型電子写真感光体。 - 導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含む単一の感光層を備え、
上記電荷発生剤がフタロシアニンであり、
上記不溶性アゾ顔料が分子中にOH基を有しないものであり、かつ上記不溶性アゾ顔料の、画像形成装置の露光光源の波長域における吸光度が、上記電荷発生剤の当該波長域における吸光度に対して1/3以下であり、
上記バインダ樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である単層型電子写真感光体。 - 上記フタロシアニンが、そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°のときに主たる回折ピークを有するα型チタニルフタロシアニン、またはブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°のときに主たる回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニンである請求項1または2記載の単層型電子写真感光体。
- 上記フタロシアニンがチタニルフタロシアニンであって、示差走査熱量分析において、50℃から400℃までの昇温時に、吸着水の気化に伴うピーク以外の吸熱ピークを有しないものである請求項1〜3のいずれかに記載の単層型電子写真感光体。
- 上記感光層が上記電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料およびバインダ樹脂を含有する塗布液を成膜してなるものであり、かつ、
当該塗布液の分散媒がテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒である
請求項1〜4のいずれかに記載の単層型電子写真感光体。 - 上記不溶性アゾ顔料が、
一般式(1) :
で表されるモノアゾ顔料、
一般式(2) :
を示す。R11〜R20は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R12とR13および/またはR17とR18は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、
一般式(3) :
を示す。R21〜R30は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R22とR23および/またはR27とR28は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、
一般式(4) :
を示す。R31〜R40は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R32とR33および/またはR37とR38は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。〕
で表されるジスアゾ顔料、
一般式(5) :
を示す。R41〜R50は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R42とR43および/またはR47とR48は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料、または
一般式(6) :
を示す。R51〜R60は同一または異なって、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルコキシカルボニル基または基:−NHCOR7 を示す。但し、R52とR53および/またはR57とR58は互いに結合してウレイレン基を形成してもよい。R7 は前記と同じである。〕
で表されるジスアゾ縮合顔料
である請求項1〜5のいずれかに記載の単層型電子写真感光体。
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