JPH052278A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH052278A
JPH052278A JP17868891A JP17868891A JPH052278A JP H052278 A JPH052278 A JP H052278A JP 17868891 A JP17868891 A JP 17868891A JP 17868891 A JP17868891 A JP 17868891A JP H052278 A JPH052278 A JP H052278A
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JP
Japan
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group
phthalocyanine
crystal
titanyl phthalocyanine
mixed crystal
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JP17868891A
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Inventor
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Akihiko Itami
明彦 伊丹
Kazumasa Watanabe
一雅 渡邉
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高感度で帯電性に優れ、かつ反転現像におい
ても良好な画像が得られる電子写真感光体を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 本発明は、導電性支持体上に、電荷発生物質
及び電荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写
真感光体において、電荷発生物質としてCuKα特性X
線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの27.2°±
0.2°に主たる明瞭なピークを有するチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含有し、かつ
下記一般式I又はIIで表される化合物を含有すること
を特徴とする電子写真感光体に関する。 例えば

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
特に光導電性材料として特定の結晶型を有するチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用
い、プリンタ、複写機等に有効であって、かつ露光手段
として半導体レーザ光及びLED光等を用いて像形成を
行うときにも好適な電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来技術】近年、光導電性材料の研究が盛んに行われ
ており、電子写真感光体をはじめとして太陽電池、イメ
ージセンサなどの光電変換素子として応用されている。
従来、これらの光導電性材料としては主として無機系の
材料が用いられ、例えば電子写真感光体においてはセレ
ン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性材料を
主成分とする感光層を設けた無機感光体が広く使用され
てきた。
【0003】しかしながら、このような無機感光体は複
写機、プリンター等の電子写真感光体として要求される
光感度、熱安定性、耐湿性、耐久性等の特性において必
ずしも満足できるものではなかった。例えばセレンは熱
や指紋の汚れ等により結晶化するために電子写真感光体
としての特性が劣化しやすい。また、硫化カドミウムを
用いた電子写真感光体は耐湿性、耐久性に劣り、また、
酸化亜鉛を用いた電子写真感光体も耐久性に問題があ
る。
【0004】更に近年、環境問題が特に重要視されてい
るがセレン、硫化カドミウム等の電子写真感光体は毒性
の点で製造上、取扱上の制約が大きいという欠点を有し
ている。
【0005】このような無機光導電性材料の欠点を改善
するために種々の有機光導電性材料が注目されるように
なり、電子写真感光体の感光層等に使用することが試み
られるなど近年活発に研究が行われている。例えば特公
昭50-10496号にはポリビニルカルバゾールとトリニトロ
フルオレノンを含有した感光層を有する有機感光体が記
載されている。しかしながらこの感光体は感度及び耐久
性において十分なものではない。そのため電荷発生機能
と電荷輸送機能を異なる物質に個別に分担させた機能分
離型の電子写真感光体が開発された。
【0006】このような電子写真感光体においては、材
料を広い範囲で選択できるので任意の特性を得やすく、
そのため高感度、高耐久の優れた有機感光体が得られる
ことが期待されている。
【0007】このような機能分離型の電子写真感光体の
電荷発生物質及び電荷輸送物質として種々の有機化合物
が提案されているが、特に電荷発生物質は感光体の基本
的な特性を支配する重要な機能を担っている。その電荷
発生物質としてはこれまでジブロモアンスアンスロンに
代表される多環キノン化合物、ピリリウム化合物及びピ
リリウム化合物の共晶錯体、スクエアリウム化合物、フ
タロシアニン化合物、アゾ化合物などの光導電性物質が
実用化されてきた。
【0008】更に電子写真感光体により高い感度を与え
るためには高い電荷発生効率を持つ電荷発生物質も必要
である。この点について近年、フタロシアニン化合物は
優れた光導電性材料として注目され、活発に研究が行わ
れている。
【0009】フタロシアニン化合物は、中心金属の種類
や結晶型の違いによりスペクトルや光導電性などの各種
物性が変化することが知られている。例えば、銅フタロ
シアニンにはα、β、γ、ε型の結晶型が存在し、これ
らの結晶型が異なることにより電子写真特性に大きな差
があることが報告されている。(澤田 学、「染料と薬
品」、24(6)、122(1979))
【0010】また、近年特にチタニルフタロシアニンが
注目されているが、チタニルフタロシアニンについても
A、B、C、Y型と呼ばれる4つの主な結晶型が報告さ
れている。しかしながら特開昭62-67094号のA型、特開
昭61-239248号記載のB型、特開昭62-256865号記載のC
型チタニルフタロシアニンは帯電性、電子写真感度とも
に未だ不十分な点がある。また最近発表されたY型チタ
ニルフタロシアニン(織田ら、「電子写真学会誌」、29
(3)、250、(1990))は高感度であるが帯電性に関
してはまだ不十分な点もあり、帯電性が良好でかつ高感
度な電荷発生物質の開発が望まれている。
【0011】またバナジルフタロシアニンについても数
多くの報告があり、感光体としては例えば特開平1-2170
74号に記載のチタニルフタロシアニンのB型結晶に相当
する結晶型や特開平1-204968号に記載のA型に相当する
結晶型を含んだ感光体についての報告がある。しかしこ
れらの結晶型では十分な感度は得られない。更に特開平
1-268763号にはチタニルフタロシアニンの特開昭62-670
94号の比較例に記載の結晶型と類似のブラッグ角2θの
27.2°にピークを有する結晶型が記載されているが、こ
の結晶型も感度の点で不十分である。これはバナジルフ
タロシアニンもチタニルフタロシアニンと同様、単に2
7.2°にピークを有する結晶は三次元的な結晶配列を考
えると9.5°に明瞭なピークを有する高感度のチタニル
フタロシアニンのY型結晶の結晶配列とは異なっている
ためである。このようにバナジルフタロシアニンについ
ても高感度な特性の得られる結晶型は報告されていない
のが現状である。
【0012】また、近年単一のフタロシアニンだけでな
く複数のフタロシアニンを用いて特定の結晶配列を形成
させるというフタロシアニンの混晶が報告されている。
この混晶は単なる複数のフタロシアニンの混合とは異な
り、混晶を形成することによって単一のフタロシアニン
とは異なった特性を得られるという利点がある。このフ
タロシアニンの混晶の例としては例えば特開平2-84661
号には2種以上のフタロシアニンを気相状態を経て基盤
上に再凝集させるフタロシアニンの共蒸着による混晶の
形成が開示されている。しかしながらこれに開示されて
いる結晶型の銅フタロシアニンと無金属フタロシアニン
の混晶やチタニルフタロシアニンと無金属フタロシアニ
ンの混晶は感度が低いという問題がある。また特開平2-
20763号に記載されている蒸着によるチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶はチタニルフタ
ロシアニンのA型及びB型に相当する結晶型を示してい
る。しかしながらこれらの結晶型では感度の点で不十分
である。このように混晶においても要求される特性を満
足するためには混晶を構成するフタロシアニンの種類や
結晶型の選択が重要である。そのためには材料の選択だ
けではなく特定の結晶型を得るための結晶制御技術も重
要で現在知られている蒸着による混晶の形成方法以外の
結晶変換技術の開発も望まれている。
【0013】
【発明が解決すべき課題】一般にフタロシアニンを電子
写真感光体に用いる場合、中心金属の種類や結晶型によ
って特性は著しく変化することは良く知られている。し
たがって、電子写真感光体用のフタロシアニンとしては
帯電性が良好で高い感度を有する安定な結晶型が必要で
ある。一方、ブラッグ角2θの27.2°±0.2°にピーク
を有するチタニルフタロシアニンは公知の光導電性物質
の中では極めて高い感度を有していることは良く知られ
ているが、このチタニルフタロシアニンを電子写真感光
体に用いた場合には帯電性が不十分で、高い特性が要求
される電子写真感光体においては高い感度を維持し、さ
らに帯電能の優れた電荷発生物質が望まれる。
【0014】本発明は上記問題点を解決すべくなされた
ものであり、本発明は帯電性に優れ高感度でかつ反転現
像において良好な画像が得られる電子写真感光体を提供
することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の目的
は、導電性支持体上に、電荷発生物質及び電荷輸送物質
を含有する感光層を設けてなる電子写真感光体におい
て、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波長1.541
Å)に対するブラッグ角2θの27.2°±0.2°に主たる
明瞭なピークを有するチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶を含有し、かつ下記一般式
[I]で表される化合物を含有することを特徴とする電
子写真感光体によって達成される。
【0016】
【化3】 (R1,R3及びR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原
子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリ
ールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置
換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基
を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ
基、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。ま
たk,l,m及びnはそれぞれ1,2,3又は4の整数
を表わし、2以上の整数を表わす時、前記R1、R2、R
3及びR4はそれぞれ同一でも異なってもよい。)
【0017】また本発明の目的は、導電性支持体上に、
電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層を設け
てなる電子写真感光体において、電荷発生物質としてC
uKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ
角2θの27.2°±0.2°に主たる明瞭なピークを
有するチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニ
ンの混晶を含有し、かつ下記一般式[II]で表される化
合物を含有することを特徴とする電子写真感光体によっ
て達成される。
【0018】
【化4】 (式中Xは−CH2CH2−,−CH=CH−,−CH2
−、酸素原子、硫黄原子を表わし、R1およびR2はそれ
ぞれアルキル基、アラルキル基、芳香環基または複素環
基を表わし、R3およびR4はそれぞれ水素原子、アルキ
ル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。また
Ar1は2価の芳香環または複素環を表わす。)
【0019】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられるフタロシアニンの混晶について、まず混晶と
は一般に2種またはそれ以上の物質が混合し、均一な溶
相となった結晶をつくる場合、その結晶のことをいう
が、ミョウバン類に見られるような同形の塩や結晶格子
が類似、或いは原子半径のあまり違わない金属間におい
ては混晶が形成されることが知られている。本発明に係
る結晶型をとるフタロシアニンの混晶についても良く似
た傾向が見られ、チタニルフタロシアニンと比較的類似
の構造のものが混晶を形成しやすい傾向が見られた。チ
タニルフタロシアニンはW.Hillerらによって結晶構造
解析がなされており(Z.Kristallogr.,159,173(19
82))その構造はTi=Oがフタロシアニン環の共役平
面に対して上方に突き出たような構造をしている。
【0020】このチタニルフタロシアニンに対して例え
ば平面構造を有する無金属フタロシアニンとの間では結
晶純度の高い本発明に係る結晶型の混晶を得るのは困難
で、本発明に係る結晶型に他の結晶が混入してくるなど
の問題が生じ、性能低下の原因となりやすい。一方、バ
ナジルフタロシアニンにおいても結晶構造解析がなされ
ており(R.Ziolo et.al.,J.Chem.Soc.Dalton,2
300(1980))、チタニルフタロシアニンとはTi=O
結合とV=O結合にわずかに違いはあるものの良く似た
立体構造をとっていることが報告されている。したがっ
て、バナジルフタロシアニンはチタニルフタロシアニン
と混晶を形成するのに有利な立体構造を有していると考
えられ、実際にバナジルフタロシアニンにおいて他のい
くつかのフタロシアニンとは異なり、本発明に係る結晶
型の混晶を得ることができた。
【0021】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンの混晶の結晶型としては、CuK
αの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θ
の27.2°±0.2°に主たる明瞭なピークを有しているも
のはすべて含まれるが、なかでも27.2°±0.2°以外に
も9.6°±0.2°或いは9.0°±0.2°に明瞭なピークを有
している結晶型が望ましい。本発明においては、9.6°
±0.2°及び27.2°±0.2°に明瞭なピークを有する混晶
の結晶型が最も望ましい。
【0022】本発明に好ましく用いられるチタニルフタ
ロシアニンは例えば下記一般式[III]で表される。
【0023】
【化5】 (式中X1,X2,X3及びX4はそれぞれ水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基、或いはアルコキシル基、アリー
ルオキシ基を表し、k,l,m及びnはそれぞれ0〜4
の整数を表す。)
【0024】また、本発明に好ましく用いられるバナジ
ルフタロシアニンは下記一般式[IV]で表される。
【0025】
【化6】 (式中X1,X2,X3及びX4はそれぞれ水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基、或いはアルコキシル基、アリー
ルオキシ基を表し、k,l,mおよびnはそれぞれ0〜
4の整数を表す。)
【0026】X線回折スペクトルは下記条件で測定さ
れ、ここでいうピークとは、ノイズとは異なった明瞭な
鋭角の突出部のことを示す。
【0027】X線回折スペクトル測定条件 X線管球 Cu 電 圧 40.0 KV 電 流 100 mA スタート角度 6.0 deg. ストップ角度 35.0 deg. ステップ角度 0.02 deg. 測定時間 0.50 sec.
【0028】本発明に用いられるチタニルフタロシアニ
ンの合成には種々の方法を用いることができるが、代表
的には次の反応式(1)或いは(2)に従って合成する
ことができる。
【0029】
【化7】 但し式中、R1〜R4は脱離基を表す。
【0030】本発明に用いられるバナジルフタロシアニ
ンはチタニルフタロシアニンと同様にo−フタロニトリ
ルや1,3−ジイミノイソインドリンと五酸化バナジウ
ム、アセチルアセトンバナジウムに代表されるバナジウ
ム試薬を1−クロロナフタレン等の不活性溶媒中で反応
させることにより得ることができる。
【0031】上記のようにして得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶の形成は従来
技術としては共蒸着の方法のみが知られているにすぎな
かったが、本発明者らは詳細な検討の結果、そのほかに
も溶媒中に均一に溶解させた後析出させる方法、或いは
固体状態にて混合後、ミリング等の尖断力を付与する方
法などによっても混晶の形成が可能であることが判っ
た。
【0032】具体的には再結晶、再沈、アシッドペース
ト処理、或いは乾式又は湿式によるミリングによる方法
などが挙げられるが、このような混晶の形成法の確立に
より本発明に係る結晶型を得るに至った。しかしながら
混晶を形成させる方法はこれらの方法に限定されるもの
ではない。
【0033】次に本発明に用いられる結晶型のチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を得る
方法を例示的に示す。例えば通常のアシッドペースト処
理により任意の結晶型のチタニルフタロシアニン及びバ
ナジルフタロシアニンを濃硫酸に溶解し、その硫酸溶液
を水にあけて析出した結晶を濾取する方法、或いは任意
の結晶型のチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシ
アニンを混合し、その混合物をミリング等の機械的な力
により粉砕する方法などによってチタニルフタロシアニ
ン−バナジルフタロシアニンより構成されるアモルファ
ス結晶を得ることができる。アシッドペースト処理によ
るアモルファス化は一般的な条件にて達成され、この場
合フタロシアニンに対する濃硫酸の重量比は特に限定さ
れないが、5倍から200倍程度が望ましい。また、濃硫
酸に対する水あけに用いる水の量は重量比で通常、5倍
から100倍程度が望ましい。更に、フタロシアニンを濃
硫酸に溶解する温度は5℃以下、水あけ温度は通常0℃
以上50℃以下が望ましい。
【0034】次いでこのアモルファス結晶を特定の有機
溶媒で処理することによって本発明に用いられる結晶型
を得ることができる。用いられる有機溶媒としては炭化
水素系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコー
ル、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、有機酸、有機ア
ミン類、複素環化合物などが挙げられるが、必要に応じ
てスルホン酸やトリクロロ酢酸等の酸を添加してもよ
い。一方、アモルファス結晶の状態は水分を含んだウェ
ットペーストの状態或いは水分を含んでいない乾燥状態
のもののどちらも用いることができるが、これは処理す
る有機溶媒の種類や目的によって選択する事ができる。
さらにこの溶媒処理においては必要に応じて加熱あるい
はミリング処理等の操作を行うことができる。またこの
ような結晶処理は必要に応じて繰り返し行なっても構わ
ない。しかしながら結晶変換の方法は必ずしもこのよう
な方法に限定されるものではない。
【0035】本発明に用いられるチタニルフタロシアニ
ンとバナジルフタロシアニンの混晶におけるチタニルフ
タロシアニンとバナジルフタロシアニンの組成比は両方
のフタロシアニンが存在していれば特に限定されない
が、チタニルフタロシアニンの存在比は50%以上である
ことが望ましく、さらに望ましくはチタニルフタロシア
ニンの存在比が80%以上であり、特にチタニルフタロシ
アニンの存在比が90%以上であることが最も望ましい。
存在比は全重量に対するチタニルフタロシアニンの重量
比で表す。
【0036】本発明の電子写真感光体は上記のチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶の他に
他の光導電性物質を併用してもよい。他の光導電性物質
としてはA、B、C、アモルファス、その他Y型に代表
されるブラッグ角2θの27.2°にピークを有する各チタ
ニルフタロシアニンやバナジルフタロシアニン、更には
無金属フタロシアニンの各結晶型、銅フタロシアニン等
に代表される各種の金属フタロシアニン、ナフタロシア
ニン、その他ポルフィリン誘導体、アゾ化合物、ジブロ
モアンスアンスロンに代表される多環キノン化合物、ピ
リリウム化合物及びピリリウム化合物の共晶錯体、スク
エアリウム化合物などが挙げられる。
【0037】本発明では、電荷輸送物質として前記一般
式[I]或いは一般式[II]で表される化合物の少なく
とも一種が用いられる。
【0038】前記一般式[I]において、R1,R2,R
3又はR4で表わされるハロゲン原子としては、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、アルキル基としては
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基等が挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げら
れる。R1,R3又はR4で表わされるアリール基として
はフェニル基、ナフチル基、アントラセン、ピレン等の
縮合多環基等が挙げられる。
【0039】一般式[II]において、R1,R2,R3
はR4で表わされるアルキル基としてはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙
げられる。R1又はR2で表わされるアラルキル基として
はベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基、
ナフチルメチル基等が挙げられ、芳香環基としてはフェ
ニル、ナフチル、ビフェニル、等が挙げられ、複素環基
としてはピリジル、キノリル、チエニル、フリル等が挙
げられる。
【0040】R3又はR4で表わされるアルコキシ基とし
てはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。またAr1で表わさ
れる2価の芳香環又は複素環としてはフェニレン基、ナ
フチレン基等が挙げられる。
【0041】これらの各基は置換基を有していてもよ
く、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられ、これらの
基は更に置換されていてもよい。
【0042】以下に本発明に好ましく用いられる一般式
[I]又は一般式[II]で表わされる化合物を示すが、
本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】本発明においては、一般式[I]で表わさ
れる化合物を単独で又は2種以上混合して用いることが
でき、一般式[II]で表わされる化合物を単独で又は2
種以上混合して用いることができる。また他の電荷輸送
物質を併用してもよい。
【0063】感光体の構成は種々の形態が知られてお
り、本発明の感光体はそれらのいずれの形態もとりうる
が、積層型もしくは分散型の機能分離型感光体とするの
が望ましい。この場合、通常は図1(イ)〜(ヘ)のよ
うな構成となる。(イ)に示す層構成は、導電性支持体
1上に電荷発生層2を形成し、これに電荷輸送層3を積
層して感光層4を形成したものであり、(ロ)はこれら
の電荷発生層2と電荷輸送層3を逆にした感光層4′を
形成したものである。(ハ)は(イ)の層構成の感光層
4と導電性支持体1の間に中間層5を設けたものであ
る。(ホ)の層構成は電荷発生物質6と電荷輸送物質7
を含有する感光層4″を形成したものであり、(ヘ)は
このような感光層4″と導電性支持体1との間に中間層
5を設けたものである。図1(イ)〜(ヘ)の構成にお
いて、最表層にはさらに保護層を設けることができる。
【0064】感光層の形成においては電荷発生物質或は
電荷輸送物質を単独でもしくはバインダや添加剤ととも
に溶解させた溶液を塗布する方法が有効である。しか
し、一般に電荷発生物質の溶解度は低いため、そのよう
な場合電荷発生物質を超音波分散機、ボールミル、サン
ドミル、ホモミキサー等の分散装置を用いて適当な分散
媒中に微粒子分散させた液を塗布する方法が有効とな
る。この場合、バインダや添加剤は通常分散液中に添加
して用いられる。
【0065】感光層の形成に使用される溶剤或は分散媒
としては広く任意のものを用いることができ、例えばn
−ブチルアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢
酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコー
ルジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトフェ
ノン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等が挙げられる。
【0066】電荷発生層もしくは電荷輸送層の形成にバ
インダを用いる場合には、バインダとして任意のものを
選ぶことができるが、特に疎水性でかつフィルム形成能
を有する高分子重合体が望ましい。このような重合体と
しては例えばポリカーボネート、ポリカーボネートZ樹
脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−ブタジ
エン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポ
リビニルカルバゾール、スチレン−アルキッド樹脂、シ
リコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、シリコン−ブ
チラール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミ
ド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデン−
アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重
合体等をあげることができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0067】バインダに対する電荷発生物質の割合は10
〜600重量%が望ましく、さらには50〜400重量%とする
のが望ましい。バインダに対する電荷輸送物質の割合は
10〜500重量%とするのが望ましい。電荷発生層の厚さ
は0.01〜20μmであることが好ましく、さらには0.05〜
5μmであることが好ましい。電荷輸送層の厚さは1〜1
00μmであることが好ましく、さらには5〜30μmである
ことが好ましい。
【0068】上記感光層には感度の向上や残留電位の減
少、或は反復使用時の疲労の低減を目的として電子受容
性物質を含有させることができる。このような電子受容
性物質としては例えば、無水コハク酸、無水マレイン
酸、ジブロモ無水コハク酸、無水フタル酸、テトラクロ
ロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニト
ロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメ
リット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テ
トラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−
ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、
p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノ
ンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ジクロロジ
シアノ−p−ベンゾキノン、アントラキノン、ジニトロ
アントラキノン、9−フルオレニリデンマロノニトリ
ル、ポリニトロ−9−フルオレニリデンマロノニトリ
ル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息
香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息
香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチ
ル酸、フタル酸、メリット酸、その他の電子親和力の大
きい化合物を挙げることができる。電子受容性物質の添
加割合は電荷発生物質の重量100に対して0.01〜200が望
ましく、さらには0.1〜100が好ましい。
【0069】また、上記感光層中には保存性、耐久性、
耐環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤
等の劣化防止剤を含有させることができる。そのような
目的に用いられる化合物としては例えばトコフェロール
等のクロマノール誘導体及びそのエーテル化化合物もし
くはエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、
ハイドロキノン誘導体及びそのモノ及びジエーテル化化
合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エステル、亜リン
酸エステル、フェニレンジアミン誘導体、フェノール化
合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合
物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物などが
有効である。特に有効な化合物の具体例としては「IR
GANOX1010」、「IRGANOX 565」(チバ・
ガイギー社製)、「スミライザーBHT」、「スミライ
ザー MDP」(住友化学工業社製)等のヒンダードフ
ェノール化合物「サノール LS−2626」、「サノール
LS−622LD」(三共社製)等のヒンダードアミン
化合物が挙げられる。
【0070】中間層、保護層等に用いられるバインダと
しては、上記の電荷発生層及び電荷輸送層用に挙げたも
のを用いることができるが、そのほかにナイロン樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メ
タクリル酸共重合体等のエチレン系樹脂、ポリビニルア
ルコール、セルロース誘導体等が有効である。また、メ
ラミン、エポキシ、イソシアネート等の熱硬化或は化学
的硬化を利用した硬化型のバインダを用いることができ
る。
【0071】導電性支持体としては金属板、金属ドラム
が用いられる他、導電性ポリマーや酸化インジウム等の
導電性化合物、もしくはアルミニウム、パラジウム等の
金属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手段により紙
やプラスチックフィルムなどの基体の上に設けてなるも
のを用いることができる。
【0072】以下本発明を実施例を用いて更に具体的に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。
【0073】
【実施例】チタニルフタロシアニンの合成 1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとo−ジクロロ
ベンゼン200ml及びチタニウムテトラ−n−ブトキシド
シド20.4gを混合し、窒素気流下にて3時間還流させ
た。放冷して室温に戻した後析出した結晶を濾取し、o
−ジクロロベンゼンで洗浄し、更にメタノールで洗浄し
た。更に得られた結晶を2%塩酸水溶液中室温にて数回
攪拌洗浄し、さらに脱イオン水で数回洗浄を繰り返し
た。その後メタノールで洗浄後、乾燥して青紫色のチタ
ニルフタロシアニン結晶24.2gを得た。
【0074】バナジルフタロシアニンの合成 1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとo−ジクロロ
ベンゼン200ml及びバナジルアセチルアセトナート8gを
混合し、窒素気流下にて5時間還流させた。その後放冷
して室温に戻した後析出した結晶を濾取し、o−ジクロ
ロベンゼンで洗浄し、更にメタノールで洗浄した。更に
得られた結晶を2%塩酸水溶液中室温にて数回攪拌洗浄
し、さらに脱イオン水で数回洗浄を繰り返した。乾燥後
この結晶を1−クロロナフタレンで再結晶して紫色のバ
ナジルフタロシアニン結晶18.9gを得た。
【0075】合成例1 チタニルフタロシアニン4g及びバナジルフタロシアニ
ン1gを氷冷下250gの96%硫酸に溶解し、この硫酸溶液
を5リットルの水にあけて析出したアモルファス状態の
ウェットペーストを濾取した。
【0076】更にこのウェットペーストとo−ジクロロ
ベンゼン50gを混合し、50℃の温度で2時間攪拌した。
この反応液をメタノールで希釈後濾過し、更に得られた
結晶をメタノールで数回洗浄して青色結晶を得た。この
結晶は図2に示すようにブラッグ角2θの9.6°及び27.
2°にピークを有する本発明に用いられるチタニルフタ
ロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶であること
が判った。
【0077】合成例2 合成例1のウェットペーストを乾燥して得られた粉末5
g及びp−トルエンスルホン酸25gを混合し、更に酢酸50
0mlを加えて5時間加熱還流した。反応物を濾取した
後、濾液が完全に中性になるまで水洗を数回繰り返し
た。更にメタノール中で30分間攪拌した後、濾過、乾燥
して青色結晶を得た。この結晶は図3に示すようにブラ
ッグ角2θの9.0°及び27.2°にピークを有するチタニ
ルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶であ
ることが判った。
【0078】合成例3 チタニルフタロシアニン4g及びバナジルフタロシアニ
ン1gを氷冷下250gの96%硫酸に溶解し、この硫酸溶液
を5リットルの水にあけて析出したアモルファス状態の
ウェットペーストを濾取した。このウェットペーストを
とってメタノール250ml中にて24時間ミリング処理を行
った。その後、結晶を濾過、乾燥して青紫色の結晶を得
た。この結晶のX線回折スペクトルは図4に示すように
ブラッグ角2θの27.2°に明瞭なピークを有するが、そ
の他はブロードになっており明瞭なピークは観測されな
かった。
【0079】合成例4 合成例1においてチタニルフタロシアニンとバナジルフ
タロシアニンの使用量を、チタニルフタロシアニン2.5g
及びバナジルフタロシアニン2.5gとかえた以外は合成例
1と同様にして青色結晶を得た。この結晶は図5に示す
ようにブラッグ角2θの9.6°及び27.2°にピークを有
していた。
【0080】合成例5 合成例1においてチタニルフタロシアニンとバナジルフ
タロシアニンの使用量を、チタニルフタロシアニン4.75
g及びバナジルフタロシアニン0.25gとかえた以外は合成
例1と同様にして青色結晶を得た。この結晶は図6に示
すようにブラッグ角2θの9.6°及び27.2°にピークを
有していた。
【0081】比較合成例1 合成例1のウェットペーストを乾燥して得られた粉末2
gを1−クロロナフタレンにより再結晶した。得られた
結晶は図7に示すようにブラッグ角2θの9.2°、10.5
°、13.1°、15.0°、26.2°、27.1°にピークを有する
チタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混
晶のA型結晶であることが判った。
【0082】比較合成例2 合成例1のウェットペーストを乾燥して得られた粉末2
gを150mlの1,1,2,2−テトラクロロエタン中で加
熱還流して図8のようなブラッグ角2θの7.5°及び28.
6°にピークを有するチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のB型結晶を得た。
【0083】実施例1 合成例1で得られた本発明に係るチタニルフタロシアニ
ンとバナジルフタロシアニンの混晶1部、バインダ樹脂
としてシリコーン樹脂(「KR−5240、15%キシレン、
ブタノール溶液」信越化学社製)固形分1部、分散媒と
してメチルエチルケトン100部をサンドミルを用いて分
散し、分散液を得た。これをアルミニウムを蒸着したポ
リエステルベース上にワイヤーバーを用いて塗布して膜
厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0084】次いで電荷輸送物質1部とポリカーボネー
ト樹脂「ユーピロンZ200」(三菱瓦斯化学社製)1.3部
及び微量のシリコーンオイル「KF−54」(信越化学社
製)を1,2−ジクロロエタン10部に溶解した液をブレ
ード塗布機を用いて塗布、乾燥の後、膜厚20μmの電荷
輸送層を形成した。このようにして得られた感光体をサ
ンプル1とする。
【0085】実施例2 実施例1において、合成例1で得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わ
りに合成例2で得られたチタニルフタロシアニンとバナ
ジルフタロシアニンの混晶を用いた他は実施例1と全く
同様にして感光体を作成した。これをサンプル2とす
る。
【0086】実施例3 実施例1において、合成例1で得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わ
りに合成例3で得られたチタニルフタロシアニンとバナ
ジルフタロシアニンの混晶を用いた他は実施例1と全く
同様にして感光体を作成した。これをサンプル3とす
る。
【0087】実施例4 実施例1において、合成例1で得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わ
りに合成例4で得られたチタニルフタロシアニンとバナ
ジルフタロシアニンの混晶を用いた他は実施例1と全く
同様にして感光体を作成した。これをサンプル4とす
る。
【0088】実施例5 実施例1において、合成例1で得られたチタニルフタロ
シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わ
りに合成例5で得られたチタニルフタロシアニンとバナ
ジルフタロシアニンの混晶を用いた他は実施例1と全く
同様にして感光体を作成した。これをサンプル5とす
る。
【0089】実施例6〜実施例18 共重合ポリアミド「ラッカマイド5003」(大日本インキ
社製)3部をメタノール100部に加熱溶解し、0.6μmフ
ィルタで濾過した後、浸透塗布法によってアルミニウム
ドラム上に塗布し、膜厚0.5μmの下引き層を形成した。
【0090】一方、合成例1において得られた本発明の
チタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混
晶3部、バインダ樹脂としてシリコーン樹脂(「KR−
5240、15%キシレン、ブタノール溶液」信越化学社製)
固形分3部、分散媒としてメチルイソブチルケトン100
部をサンドミルを用いて分散した液を先の下引き層の上
に浸透塗布法によって塗布して、膜厚0.2μmの電荷発生
層を形成した。
【0091】次いで表2に示した電荷輸送物質1部とポ
リカーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」(三菱瓦斯
化学社製)1.5部及び微量のシリコーンオイル「KF−5
4」(信越化学社製)を1,2−ジクロロエタン10部に
溶解した液をブレード塗布機を用いて塗布、乾燥の後、
膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして得
られた感光体をそれぞれサンプル6〜サンプル18とす
る。
【0092】比較例1 実施例1において合成例1で得られたチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わり
に比較合成例1で得られた化合物を用いた他は実施例1
と同様にして感光体を作成した。これを比較サンプル
(1)とする。
【0093】比較例2 実施例2において合成例2で得られたチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶を用いる代わり
に比較合成例2で得られた化合物を用いた他は実施例1
と同様にして感光体を作成した。これを比較サンプル
(2)とする。
【0094】比較例3 実施例6において電荷輸送物質として下記電荷輸送物質
を用いた他は実施例6と同様にして感光体を作成した。
これを比較サンプル(3)とする。
【0095】
【化27】
【0096】比較例4 実施例6において電荷輸送物質として下記電荷輸送物質
を用いた他は実施例6と同様にして感光体を作成した。
これを比較サンプル(4)とする。
【0097】
【化28】
【0098】評価1 以上のようにして得られたサンプルについて、ペーパア
ナライザEPA−8100(川口電気社製)を用いて以下の
ような評価を行った。まず、−80μAの条件で5秒間の
コロナ帯電を行い、帯電直後の表面電位Va及び帯電5
秒後の電位Viを求め、続いて表面照度が2(lux)とな
るような露光を行い、表面電位を1/2Viとするのに必要
な露光量E1/2を求めた。また下記式より暗減衰率Dを
求めた。その結果を第1表に示す。
【0099】
【数1】D=100(Va−Vi)/Va (%)
【0100】評価2 得られたサンプルを「U−Bix 1550」(コニカ社製、
半導体レーザ光源搭載)改造機に搭載して反転現像を行
い、複写画像の白地部分の黒斑点を評価した。黒斑点の
評価は画像解析装置「オムニコン3000型」(島津製作所
社製)を用いて黒斑点の粒径と個数を測定し、φ(径)
0.05mm以上の黒斑点が1cm2当たり何個あるかにより判
定した。黒斑点評価の判定基準は下記表に示す通りであ
る。その結果を表2に示す。
【0101】
【表1】判定基準
【0102】
【表2】
【0103】表2から明らかなように、本発明に係る結
晶型のチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニ
ンの混晶及び一般式[I]又は一般式[II]で表される
化合物を含有する電子写真感光体は高い感度を有し、か
つ反転現像において良好な画像特性が得られることがわ
かった。
【0104】
【発明の効果】本発明に係る結晶型のチタニルフタロシ
アニンとバナジルフタロシアニンの混晶及びヒドラゾン
化合物又はジフェニルメタン誘導体を含有する電子写真
感光体は高感度でかつ反転現像において良好な画像特性
を有しているためプリンタ、複写機等にあって像形成に
好適な感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)〜(ヘ)本発明の感光体の層構成の断面
図である。
【図2】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図3】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図4】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図5】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図6】本発明に係るチタニルフタロシアニンとバナジ
ルフタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図7】本発明外のチタニルフタロシアニンとバナジル
フタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【図8】本発明外のチタニルフタロシアニンとバナジル
フタロシアニンの混晶のX線回折スペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層 3 電荷輸送層 4,4′,4″ 感光層 5 中間層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電
    荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光
    体において、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波
    長1.541Å)に対するブラッグ角2θの27.2°±0.2°に
    主たる明瞭なピークを有するチタニルフタロシアニンと
    バナジルフタロシアニンの混晶を含有し、かつ下記一般
    式[I]で表される化合物を含有することを特徴とする
    電子写真感光体。 【化1】 (R1,R3及びR4はそれぞれ水素原子、ハロゲン原
    子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリ
    ールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置
    換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基
    を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ
    基、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表わす。ま
    たk,l,m及びnはそれぞれ1,2,3又は4の整数
    を表わし、2以上の整数を表わす時、前記R1、R2、R
    3及びR4はそれぞれ同一でも異なってもよい。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電
    荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光
    体において、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波
    長1.541Å)に対するブラッグ角2θの27.2°
    ±0.2°に主たる明瞭なピークを有するチタニルフタ
    ロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含有し、
    かつ下記一般式[II]で表される化合物を含有すること
    を特徴とする電子写真感光体。 【化2】 (式中Xは−CH2CH2−,−CH=CH−,−CH2
    −、酸素原子、硫黄原子を表わし、R1およびR2はそれ
    ぞれアルキル基、アラルキル基、芳香環基または複素環
    基を表わし、R3およびR4はそれぞれ水素原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。また
    Ar1は2価の芳香環または複素環を表わす。)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6797446B2 (en) 1999-12-31 2004-09-28 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrophotographic photoreceptors
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US7411072B2 (en) 2002-06-26 2008-08-12 Eli Lilly And Company Tricyclic steroid hormone nuclear receptor modulators

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