JP2006039281A - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護されている保護体(X1)を含有してなるパターン形成材料用基材(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、前記(B)成分が、アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。従来、基材成分としてはポリマーが用いられている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
すなわち、本発明の第一の態様は、2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護されている保護体(X1)を含有してなるパターン形成材料用基材(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記(B)成分が、アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
また、本発明の第二の態様は、第一の態様のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護されている保護体(X1)を含有してなるパターン形成材料用基材(A)(以下、(A)成分ということがある)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含む。
本発明において、(A)成分は、2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護されている保護体(X1)を含有してなるパターン形成材料用基材である。
ここで、多価フェノール化合物(x)は、酸解離性溶解抑制基で保護される前のものであり、酸解離性溶解抑制基で保護されたものが保護体(X1)であり、(A)成分は、保護体(X1)を含有する。
(A)成分においては、露光により(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
保護体(X1)を構成する多価フェノール化合物(x)としては、2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物であれば特に限定されず、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている多価フェノール化合物を用いることができる。そのような多価フェノール化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の4核体などが挙げられる。
g、jはそれぞれ独立に1以上、好ましくは1〜2の整数であり、kは0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつg+j+kが5以下である。
hは1以上、好ましくは1〜2の整数であり、l、mはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えない整数であり、かつh+l+mが4以下である。
iは1以上、好ましくは1〜2の整数であり、n、oはそれぞれ独立に0または1以上、好ましくは2を超えないの整数であり、かつi+n+oが4以下である。
pは0または1であり、好ましくは1である。
これらの中でも、R1がシクロアルキル基であり、jの数が1、かつR2が低級アルキル基であり、kの数が1、かつgの数が1のものが、好ましい。
さらに、好ましくは、R1がシクロヘキシル基であり、jの数が1、かつR2が低級アルキル基であり、kの数が1、かつgの数が1であり、かつlとmとnとoが0であり、hとiがともに1である化合物が、ラフネスの低減された高解像性で微細なパターンが形成できるので好ましい。
分散度は、最終目的生成物である多価フェノール化合物(x)を合成後、反応副生成物や不純物を精製除去したり、分子量分別処理等の公知の方法により不要な分子量部分を除去して調節することができる。
分散度は、一般的に用いられているポリマーの質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定方法、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー等によりMwおよびMnを測定し、Mw/Mn比を求めることにより算出できる。
保護体(X1)は、上記多価フェノール化合物(x)のフェノール性水酸基の水酸基の一部または全部を酸解離性溶解抑制基で置換することにより保護したものである。
酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。
具体的には、鎖状アルコキシアルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルキル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基及び環状エーテル基等が挙げられる。
第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
第3級アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−アミル基などのような鎖状第3級アルキル基、2−メチル−アダマンチル基、2−エチルアダマンチル基などのような脂肪族多環式基を含む第3級アルキル基等が挙げられる。
第3級アルコキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−アミルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
環状エーテル基としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、解離性に優れ、保護体(X1)の均一性を高め、ラフネスを向上させることが可能な点から、鎖状アルコキシアルキル基が好ましく、1−エトキシエチル基や1−エトキシメチル基がより好ましい。
(A)成分中の保護体(X1)の割合や、保護体(X1)における各異性体の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
また、保護体(X1)において、各異性体の保護数は、上記酸解離性溶解抑制基で保護する方法の条件等により調節できる。
(A)成分は、前記多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基が酸解離性溶解抑制基で保護されていない未保護体(X2)を含有していてもよい。
未保護体(X2)は、上記多価フェノール化合物(x)のフェノール性水酸基の水酸基が酸解離性溶解抑制基により全く保護されていないもの、すなわち多価フェノール化合物(x)である。
(A)成分中、未保護体(X2)の割合は少ないほど好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは0質量%である。未保護体(X2)が60質量%以下であることにより、パターンを形成した際、ラフネスを低減できる。また、解像性にも優れる。
(A)成分中の未保護体(X2)の割合は、たとえばゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)により未保護体(X2)を除去する等により調整できる。
(A)成分中の未保護体(X2)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定することができる。
本発明は、(B)成分が、アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とする。
オニウム塩系酸発生剤(B1)としては、アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするものであればよく、該アニオンとともにオニウム塩を構成するカチオンとしては、特に限定されず、たとえば従来化学増幅型のレジスト組成物において提案されている公知の酸発生剤のカチオンであってよい。そのようなカチオンとしては、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンなどが挙げられる。
R1’〜R3’のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子等で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
R1’〜R3’のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられる。解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中でも、R1’〜R3’がすべてフェニル基であることが最も好ましい。
また、CqH2q+1で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
なお、一般的には、レジスト組成物中の(B)成分の配合量は、解像性やパターン形状への影響を考慮して、(A)成分100質量部に対して10質量部未満程度とされている。これに対し、本発明においては、(B)成分を高濃度に配合した場合でも、解像性やパターン形状に対する悪影響がほとんどなく、(B)成分をたとえば20質量部を越えるような高濃度で配合することが可能である。
本発明のレジスト組成物は、(A)成分、(B)成分および後述する任意の成分を有機溶剤(以下、(C)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(C)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは8:2〜2:8の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7であると好ましい。
また、(C)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
また、(C)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)も好ましい。
(C)成分の使用量は、特に限定されず、基板等の支持体に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のネガ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。これらの中でも、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
また、前記(D)成分の配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸およびそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
付加的樹脂としては、例えば、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。付加的樹脂の割合は、本発明の効果を損なわない範囲とし、ポジ型レジスト組成物の総固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて、例えば以下の様なレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成することができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えば電子線描画装置などにより、電子線や極紫外線等を選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画した後、70〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜500秒間、好ましくは60〜400秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、EBおよびEUV、特にEBに対して有効である。
その理由としては、オニウム塩系酸発生剤(B1)の溶解抑制効果が小さいこと、オニウム塩系酸発生剤(B1)の水に対する溶解性が高いこと等が考えられる。すなわち、オニウム塩系酸発生剤(B1)の溶解抑制効果が小さいことにより、(B)成分による解像性やパターン形状への悪影響が小さく、そのため(B)成分を高濃度に配合できることによって感度をさらに高めることができると推測される。また、オニウム塩系酸発生剤(B1)の水溶性が高いことから、レジスト膜が現像液やリンス液に馴染みやすくなり、それによって解像性が向上すると推測される。
[製造例1]
上記式(II)で表される多価フェノール化合物(分子量981:以下、MBSAと略す)、10gをテトラヒドロフラン33gに溶解し、これにエチルビニルエーテル1.8gを添加して攪拌しながら室温にて12時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル系にて抽出精製を行った。これによりMBSA保護体(a1)10.1gを得た。
得られたMBSA保護体(a1)について、JEOL社製の400MHzのプロトンNMRにより、MBSA保護体(a1)中のフェノール性水酸基の数および1−エトキシエチル基で保護されたフェノール性水酸基の数を測定し、保護率(モル%)を求めたところ、19.9モル%であった。なお、該保護率は、{1−エトキシエチル基で保護されたフェノール性水酸基の数/(フェノール性水酸基の数+1−エトキシエチル基で保護されたフェノール性水酸基の数)}×100である。
製造例1で得たMBSA保護体(a1)100質量部と、20質量部のトリフェニルスルホニウム−n−ブタンスルホネートと、1質量部のトリ−n−オクチルアミンとを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/乳酸エチル(EL)=6/4(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)1540質量部に溶解してポジ型レジスト組成物溶液を得た。
該レジスト膜に対し、電子線描画機(日立製HL−800D、70kV加速電圧)にて描画を行い、100℃にて90秒ベーク処理(PEB)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)にて60秒現像、純水にて30秒リンスして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。得られたレジストパターンについて、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
<感度>
100nmのラインアンドスペースが1:1に形成される露光時間を感度(EOP)としてμC/cm2(エネルギー量)単位で測定した。
<パターン形状>
上記EOPにおいて形成された100nmのL/Sパターンの断面形状をSEM写真により判断した。
<解像性>
上記EOPにおいてL/Sパターンを形成し、その極限解像度(nm)をSEM写真により判断した。
実施例1において用いたトリフェニルスルホニウム−n−ブタンスルホネート(20質量部)を、トリフェニルスルホニウム−n−オクタンスルホネート(23質量部)とし、EMの配合量を1530質量部に変えた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物溶液を得た。
なお、トリフェニルスルホニウム−n−ブタンスルホネートの20質量部と、トリフェニルスルホニウム−n−オクタンスルホネートの23質量部とは、ほぼ等モルである。
次いで、得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。なお、このとき、PAB条件を110℃で90秒間、PEB条件を90℃で90秒間に変更した。その結果を表1に示す。
実施例1において用いたトリフェニルスルホニウム−n−ブタンスルホネート(20質量部)を、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(30質量部)とし、EMの配合量を1530質量部に変えた以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物溶液を得た。
なお、トリフェニルスルホニウム−n−ブタンスルホネートの20質量部と、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートの30質量部とは、ほぼ等モルである。
次いで、得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。なお、このとき、PAB条件を110℃で90秒間、PEB条件を110℃で90秒間に変更した。その結果を表1に示す。
これに対し、比較例1は、感度は高いものの、解像性が低く、パターン形状もT−トップ状であった。これは、(B)成分の濃度が高いために、感度は高いものの解像性が低下し、さらに、基材成分として低分子量化合物を用いているため(B)成分による溶解抑制効果の影響が大きかったことによると推測される。
Claims (6)
- 2以上のフェノール性水酸基を有し、分子量が300〜2500である多価フェノール化合物(x)における前記フェノール性水酸基の一部が酸解離性溶解抑制基で保護されている保護体(X1)を含有してなるパターン形成材料用基材(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記(B)成分が、アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 前記多価フェノール化合物(x)の分子量の分散度(Mw/Mn)が1.5以下である請求項1または2記載のパターン形成材料用基材。
- 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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