JP2007055991A - 化合物およびその製造方法、低分子化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p435 Jim−Baek Kim,Hyo−Jin Yun,Young−Gil Kwon:Chemistry Letters(2002)、p1064〜1065
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用としての利用が可能な低分子化合物の製造に好適に使用できる化合物、および該化合物の製造方法、前記化合物を用いて得られる低分子化合物、該低分子化合物を含有するポジ型レジスト組成物、該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
前記化合物(3)と下記一般式(4)で表される化合物(4)とを酸性条件下で反応させて下記一般式(I)で表される化合物(I)を得る工程とを有することを特徴とする下記一般式(I)で表される化合物(I)の製造方法である。
前記基材成分(A)が、下記一般式(A−1)または(A−2)で表される低分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
本発明の化合物(以下、化合物(I)という。)は、上記一般式(I)で表されるように、トリフェニルメタン骨格のフェニル基の2つに水酸基とR11とR12とが結合し、残りの1つのフェニル基にカルボキシアルキルオキシ基[−O−(CH2)r−CO−OH]と任意にR13とが結合した構造を有するトリス(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体である。
前記低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。
前記環状アルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
rは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
カルボキシアルキルオキシ基[−O−(CH2)r−CO−OH]の結合位置は、特に限定されないが、得られる化合物を用いて製造される化合物がレジスト組成物用として好適であること、合成しやすさ等の点で、少なくとも、フェニル基のパラ位(4位)に結合していることが好ましい。
R13の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、カルボキシアルキルオキシ基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に結合していることが好ましい。
tは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
uは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
s+t+uは3〜5の整数であり、好ましくは3または4であり、最も好ましくは3である。
水酸基の結合位置は、特に限定されないが、得られる化合物を用いて製造される化合物がレジスト組成物用として好適であること、合成しやすさ等の点で、少なくとも、フェニル基のパラ位(4位)に結合していることが好ましい。
R11〜R12の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に、R11またはR12が結合していることが好ましく、特に、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の両方にR11またはR12が結合していることが好ましい。
なかでも、pが1である化合物が好ましく、特に、カルボキシアルキルオキシ基がフェニル基のパラ位に結合した下記一般式(II−1)で表される化合物が好ましい。
そのため、化合物(I)は、下記本発明の製造方法により製造されることが好ましい。
本発明の化合物(I)の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物(1)と上記一般式(2)で表される化合物(2)とを反応させて上記一般式(3)で表される化合物(3)を得る工程(以下、化合物(3)形成工程という)と、
前記化合物(3)と上記一般式(4)で表される化合物(4)とを酸性条件下で反応させて本発明の化合物(I)を得る工程(以下、化合物(I)形成工程という)とを有する。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
一般式(1)〜(3)中、R13、q、p、rは、上記一般式(I)中のR13、q、p、rと同様である。
一般式(2)中、Xのハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。反応性に優れることから、臭素原子が好ましい。
Rの保護基は、化合物(1)と化合物(2)とを反応させる際に反応せず、かつ、次の化合物(I)形成工程において化合物(3)を反応させる際の酸性条件下で解離する基であれば特に限定されず、一般的に保護基として提案されているもののなかから任意に選択できる。
かかる保護基としては、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるベース樹脂において酸解離性溶解抑制基として提案されているものが例示でき、具体的には、第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル基等が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
第3級アルキルオキシカルボニル基として、具体的には、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
−(CH2)h−CO−OR21 …(p1)
一般式(p1)において、hは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
R21は直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよい。すなわち、R1としてのアルキル基は、水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよく、該アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
R21としての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
R21としての環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
R21の環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。R21においては、該R1に隣接する酸素原子が結合する炭素原子が、上記のような基本環を構成する炭素原子の1つであることが好ましく、特に、R21に隣接する酸素原子に結合する炭素原子が、低級アルキル基等の置換基が結合した第3級炭素原子であることが好ましい。
−CHR23−O−R22 …(p2)
式(p2)中、R22としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく、該R22としては、上記R21と同様のものが挙げられる。
R23は水素原子または低級アルキル基である。R23の低級アルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。R23としては、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(p2)で表される基としては、R22が直鎖状アルキル基である基が好ましく、たとえば、1−エトキシエチル基、1−エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−n−ブトキシエチル基、1−ペンタフルオロエトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
このとき使用する有機溶剤としては、化合物(1)〜(3)を溶解するものであればよく、一般的な有機溶剤から任意のものを選択すればよい。一般的な有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;THF、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができ、これらを単独又は混合して用いることができる。
反応温度は、10〜60℃が好ましく、20〜60℃がより好ましく、通常、室温(20〜25℃)程度でよい。
反応時間は、1〜24時間が好ましく、4〜15時間がより好ましい。
一般式(3)、(4)、(I)中、R13、q、p、r、Rは、上記と同様である。
化合物(3)と化合物(4)との反応は、酸性条件下で行われる。これにより、化合物(3)のホルミル基(−CHO)と化合物(4)とが反応するとともに、保護基Rが解離してカルボキシ基が生成し、化合物(I)が形成される。
具体的には、例えば、化合物(3)をメタノール等の有機溶剤に溶解し、該溶液中に、化合物(3)に対して約2当量倍の化合物(4)を添加し、さらに塩酸等の酸を添加することにより反応させることができる。
酸の添加量は、例えば、35%質量塩酸の場合は、化合物(3)100重量部に対して、1〜700重量部、好ましくは、100〜600重量部の範囲で用いられる。
反応温度は、20〜80℃が好ましく、30〜65℃がより好ましい。
反応時間は、2〜96時間が好ましく、5〜72時間がより好ましい(。
回収方法としては、特に限定されず、公知の方法が使用できる。具体的には、たとえば、反応液に水酸化ナトリウム等の塩基を添加して残った酸を中和した後、水/酢酸エチル等を添加して抽出操作を行い、得られた有機層(酢酸エチル層等)を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー等を行うことにより化合物(I)を得ることができる。
たとえば、上記一般式(I−1)で表される化合物は、下記本発明の低分子化合物の製造に好適に使用できる。
本発明の低分子化合物(以下、低分子化合物(A1)という。)は、一般式(A−1)または(A−2)で表される。
このとき、分解物としては、たとえば一般式(A−1)で表される化合物の場合、末端部分が分解して生じる(n+1)個のカルボン酸(1個のR3−COOHおよびn個のR4−COOH)と、中心部分(Y等を含む部分)に由来する1個の化合物が生じると考えられる。また、一般式(A−2)で表される化合物の場合、末端部分が分解して生じる(n’+1)個のカルボン酸(1個のR9−COOHおよびn’個のR10−COOH)と、中心部分(Z等を含む部分)に由来する1個の化合物が生じると考えられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
R1〜R2のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。アルキル基としては、1〜5の直鎖状または分岐状の低級アルキル基または炭素数5〜6の環状アルキル基が好ましい。直鎖状または分岐状の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、上記で挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基が挙げられる。
R1〜R2としては、特に、水素原子が好ましい。
R3〜R4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、合成のしやすさの点で、同一であることが好ましい。
nは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
なお、nが2以上の整数である場合、つまり化合物(A1)が、R4−COO−[C(R2)H]m−O−で表される基を2以上有する場合、これらは相互に同一であっても、また、相互に異なっていてもよい。
Yにおいて、有機基としては、直鎖、分岐または環状の飽和炭化水素基が好ましく、直鎖または分岐の飽和炭化水素基がより好ましい。また、該飽和炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましい。
飽和炭化水素基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
また、Yとしては、上述のような飽和炭化水素基の炭素原子の一部が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換された基も挙げられる。
3価の直鎖または分岐の飽和炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等から3個の水素原子を除いた基が挙げられる。
3価の環状の飽和炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカンン、テトラシクロドデカン等の飽和炭化水素環から水素原子を3個除いた環式基、該環式基に直鎖または分岐のアルキレン基が結合した基などが挙げられる。
直鎖または分岐のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。
環状のアルキレン基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の飽和炭化水素環から水素原子を2個除いた環式基、該環式基に直鎖または分岐のアルキレン基が結合した基などが挙げられる。
Yとしては、直鎖または分岐のアルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましく、エチレン基またはプロピレン基が特に好ましい。
R9〜R10としては、一般式(A−1)におけるR3〜R4と同様のものが挙げられる。
l’、m’、n’、Zとしては、それぞれ、一般式(A−1)中のl、m、n、Yと同様のものが挙げられる。
本発明において、低分子化合物(A1)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性が良好であることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
低分子化合物(A1)を含有するポジ型レジスト組成物を用いることにより、高解像性のレジストパターンを形成できる。また、ラフネスも低減できる。
これは、低分子化合物(A1)の均一性によると推測される。すなわち、レジスト材料の基材成分として高分子量の重合体(樹脂)を用いる従来のレジストは、分子量分散やアルカリ溶解性分散を制御することが難しい。そのため、これらの分散や、その分子サイズそのものが原因となるLERなどの低減には限界がある。
また、上記問題の解決策として考えられている低分子化合物も、上述した非特許文献1,2等に記載されているように、アルカリ可溶性基を酸解離性溶解抑制基で保護することから、保護されるアルカリ可溶性基の位置やその保護率などにバラツキが発生し、結果、その性質にもバラツキが生じて上記と同様の問題が生じる。
一方、低分子化合物(A1)は、低分子量の非重合体であり、また、従来化学増幅型ポジ型レジストに用いられている樹脂や、上述した非特許文献1,2等で提案されている低分子化合物のように、アルカリ可溶性基を酸解離性溶解抑制基により保護しなくてよいため、その構造が明確で、分子量にもムラが少ない。そのため、アルカリ溶解性や親水性・疎水性等の性質が均一であり、そのため、均一な性質のレジスト膜が形成できる。
そして、該レジスト膜中において、低分子化合物(A1)は、露光により発生した酸の作用によって分解して分解物を2〜4個生じ、アルカリ溶解性が増大するが、この分解後においても、突出して大きな分子量のものが残らず、相対的に、生じる分解物の個々の分子量の差が小さくなる。そのため、分解物もレジスト膜中で均一に分布し、また分解物間のアルカリ現像液に対する溶解挙動の差も小さい。
このように、低分子化合物(A1)を用いることにより、露光前、露光後とも均一な性質のレジスト膜を形成でき、それによって高解像性のレジストパターンを形成でき、また、ラフネスも低減できると推測される。
また、低分子化合物(A1)の性質が均一で、有機溶剤等に対する溶解性も均一であると考えられることから、低分子化合物(A1)を含有するポジ型レジスト組成物の保存安定性も向上する。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するポジ型レジスト組成物であって、前記(A)成分として低分子化合物(A1)を含有することを特徴とする。
(A)成分および(B)成分を含有するポジ型レジスト組成物においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が前記(A)成分に作用すると、(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
(A)成分は、上記低分子化合物(A1)を含有する。
低分子化合物(A1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、低分子化合物(A1)の割合は、40質量%超であることが好ましく、50質量%超であることがより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(A)成分中の低分子化合物(A1)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定できる。
かかる(A2)成分としては、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u’’は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
ポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。これらの中でも、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましく、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。 リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、(S)成分として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
上記ポジ型レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に使用できる。
該レジストパターン形成方法は、たとえば以下のようにして実施できる。すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意にプレベーク(PAB)を施してレジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施す。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させて、レジストパターンを得る。
これらの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、上記ポジ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザー、電子線またはEUV、特にArFエキシマレーザーまたは電子線に対して有効である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
上記低分子化合物(A1)は、ポジ型レジスト組成物用の溶解抑制剤としても好適に用いることができる。低分子化合物(A1)からなる溶解抑制剤を用いることにより、該溶解抑制剤を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜(露光前)のアルカリ溶解性が抑制される。そのため、該レジスト膜を選択的に露光した際に、露光部と未露光部との間のアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなり、解像性や形状が良好なレジストパターンが形成できる。
かかる溶解抑制剤は、酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分と酸発生剤成分とを含む2成分系の化学増幅型レジスト組成物に添加して用いることができ、また、酸解離性溶解抑制基を有さない樹脂成分と酸発生剤成分と溶解抑制剤とを用いる、いわゆる3成分系の化学増幅型のレジスト組成物としても用いることができる。
実施例1(化合物(5)の合成)
20gの4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1)に200gのテトラヒドロフラン(THF)を加え、溶解させた。そこへ13.8gの炭酸カリウム(K2CO3)を加え、10分間室温で攪拌させた。その後、31.9gのtert−ブチルブロモアセテート(2)を加え、室温(r.t)で12時間反応させた。
反応終了後、水/酢酸エチル(質量比1:1)で抽出、酢酸エチル層を減圧濃縮し、31gの化合物(3)を得た。
反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液にて中和(pH試験紙で中性を確認)し、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出を行った。酢酸エチル層を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(充填剤としてSiO2、展開溶剤としてヘプタン:酢酸エチル=2:1を使用)を行うことにより、目的とする化合物(5)を15.1g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=7.97 brs 1H(Ha),6.95 d 2H(Hb)Jbc=8.4Hz,6.77 d 2H(Hc)Jcb=8.4Hz,6.59 s 4H(Hd),5.13 s 1H(He),4.59 s 2H(Hf),2.07 s 12H(Hg)。
IR:3450、2921、1737、1509、1488(cm−1)
20gの化合物(3)に70gのメタノールを加え、溶解させた。そこへ24.4gの2,5−ジメチルフェノール(6)を加え、さらに105gの35質量%塩酸水溶液を加え、60℃で3日間反応させた。
反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液にて中和(pH試験紙で中性を確認)し、水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出を行った。酢酸エチル層を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(充填剤としてSiO2、展開溶剤としてヘプタン:酢酸エチル=2:1を使用)を行うことにより、目的とする化合物(7)を25.1g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=8.91 s 2H(Ha),6.91 d 2H(Hb)Jbc=8.5Hz,6.83 d 2H(Hc)Jcb=8.5Hz,6.59 s 2H(Hd),6.34 s 2H(He),5.37 s 1H(Hf),4.64 s 2H(Hg),1.98 s 6H(Hh)、1.93 s 6H(Hi)。
IR:3403、2954、1747、1587、1509(cm−1)
3gの化合物(5)を25gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、1gのトリエチルアミンを加えて室温で10分攪拌し、0.59gの1,2−ビス(クロロメトキシ)エタンを滴下し、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した後、該濃縮液を水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し、化合物(8)を2.5g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=7.98 brs 4H(Ha),6.96 d 4H(Hb)Jbc=8.4Hz,6.81 d 4H(Hc)Jcb=8.4Hz,6.59 s 8H(Hd),5.32 s 4H(He),5.15 s 2H(Hf),4.77 s 4H(Hg),3.67 s 4H(Hh),2.08 s 24H(Hi)。
IR:3472、2920、2877、1758、1604、1509(cm−1)
上記の結果から、化合物(8)が下記に示す構造を有することが確認できた。
3gの化合物(5)を25gのTHFに溶解し、1gのトリエチルアミンを加えて室温で10分攪拌し、0.64gの1,3−ビス(クロロメトキシ)プロパンを滴下し、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した後、該濃縮液を水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し、化合物(9)を2.4g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=7.98 s 4H(Ha),6.95 d 4H(Hb)Jbc=8.4Hz,6.81 d 4H(Hc)Jcb=8.4Hz,6.59 s 8H(Hd),5.28 s 4H(He),5.14 s 2H(Hf),4.75 s 4H(Hg),3.58 t 4H(Hh)Jhj=6.2Hz,2.09 s 24H(Hi),1.60 quin 2H(Hj)Jjh=6.2Hz
IR:3477、2950、1755、1607、1509(cm−1)
上記の結果から、化合物(9)が下記に示す構造を有することが確認できた。
3gの化合物(5)を25gのTHFに溶解し、1gのトリエチルアミンを加えて室温で10分攪拌し、0.89gの1,4−ビス(クロロメトキシメチル)シクロヘキサンを滴下し、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した後、該濃縮液を水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し、化合物(10)を2.5g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=7.99 s 4H(Ha),6.96 d 4H(Hb)Jbc=8.4Hz,6.80 d 4H(Hc)Jcb=8.4Hz,6.58 s 8H(Hd),5.30 s 4H(He),5.15 s 2H(Hf),4.76 s 4H(Hg),3.26〜3.46 m 4H(Hh),2.06 s 24H(Hi),0.78〜1.71 m 10H(Hj)
IR:3476、2922、2873、1756、1607、1509(cm−1)
上記の結果から、化合物(10)が下記に示す構造を有することが確認できた。
10gの化合物(7)を75gのテトラヒドロフランに溶解し、3.04gのトリエチルアミンを加えて室温で10分攪拌し、2.97gの1,4−ビス(クロロメトキシメチル)シクロヘキサンを滴下し、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した後、該濃縮液を水/酢酸エチル(質量比1:1)にて抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し、化合物(11)を2.5g得た。
1H−NMR(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=8.92 s 4H(Ha),6.87 d 4H(Hb)Jbc=8.4Hz,6.80 d 4H(Hc)Jcb=8.4Hz,6.56 s 4H(Hd),6.31 s 4H(He),5.35 s 2H(Hf),5.29 s 4H(Hg),4.75 s 4H(Hh),3.15〜3.54 m 4H(Hi),1.99 s 12H(Hj),1.94 s 12H(Hk),0.77〜1.74 m 10H(Hl)
IR:3365、2924、2852、1748、1609、1587、1509(cm−1)
上記の結果から、化合物(11)が下記に示す構造を有することが確認できた。
実施例6で合成した化合物(11)を100質量部、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを10質量部、及びトリ−n−オクチルアミン1.0質量部を、PGMEAとELの混合溶剤(質量比6:4)1370質量部に溶解してレジスト組成物を製造した。
該ポジ型レジスト組成物を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、110℃にて90秒間ベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚150nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて大面積描画(1μm角)を行い、110℃にて90秒間のベーク処理(PEB)を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の0.5質量%水溶液(23℃)を用いて60秒間の現像を行った。その際、電子線(EB)の露光量(EB照射量、μC/cm2)の変化による残膜率(現像後のレジスト膜厚/成膜時(露光前)のレジスト膜厚)の変化を求め、残膜曲線を作成した(図1)。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される化合物(1)と下記一般式(2)で表される化合物(2)とを反応させて下記一般式(3)で表される化合物(3)を得る工程と、
前記化合物(3)と下記一般式(4)で表される化合物(4)とを酸性条件下で反応させて下記一般式(I)で表される化合物(I)を得る工程とを有することを特徴とする下記一般式(I)で表される化合物(I)の製造方法。
- 下記一般式(A−1)または(A−2)で表される低分子化合物。
- 酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記一般式(A−1)または(A−2)で表される低分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項5記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項5または6記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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