JP4969829B2 - 化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを形成可能なパターン形成材料の1つとして、膜形成能を有する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ可溶性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ可溶性が増大するポジ型とがある。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p435 Jim−Baek Kim,Hyo−Jin Yun,Young−Gil Kwon:Chemistry Letters(2002)、p1064〜1065
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用としての利用が可能な化合物、および該化合物の製造方法を提供することを目的とする。
[式(I’)中、R11〜R17はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または芳香族炭化水素基であって、その構造中にヘテロ原子を含んでもよく;g、jはそれぞれ独立に1以上の整数であり、k、qは0以上の整数であり、かつg+j+k+qが5以下であり;bは1以上の整数であり、l、mはそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつb+l+mが4以下であり;cは1以上の整数であり、n、oはそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n+oが4以下であり;A’は下記一般式(Ib)で表される基(メチレン基)である。]
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
本発明の化合物(以下、化合物(I)という。)は、上記一般式(I)で表される。
上記一般式(I)中、Rの酸解離溶解抑制基は、解離前は化合物(I)をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は化合物(I)をアルカリ可溶性へ変化させる基である。そのため、化合物(I)においては、後述するようにポジ型レジスト組成物に酸発生剤成分(B)とともに配合された場合に、露光により酸発生剤成分(B)から発生した酸が作用すると、酸解離溶解抑制基が解離して、化合物(I)がアルカリ不溶からアルカリ可溶性へ変化する。
第3級アルキル基として、具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基等の鎖状の第3級アルキル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等の、脂肪族多環式基を含む第3級アルキル基等が挙げられる。
脂肪族環式基としては、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。具体例としては、上記Xにおける脂肪族環式基として例示したものと同様のものが挙げられる。
第3級アルキルオキシカルボニル基における第3級アルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。第3級アルキルオキシカルボニル基として、具体的には、tert−ブチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基等が挙げられる。
環状エーテル基として、具体的には、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
R1としての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
R1の環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。R1においては、該R1に隣接する酸素原子が結合する炭素原子が、上記のような基本環を構成する炭素原子の1つであることが好ましく、特に、R1に隣接する酸素原子に結合する炭素原子が、低級アルキル基等の置換基が結合した第3級炭素原子であることが、本発明の効果に優れ、好ましい。
R1として環状アルキル基を有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記式(p1−1)〜(p1−7)で表される基が挙げられる。これらの中でも、一般式(p1−1)で表されるものが好ましい。
R3は水素原子または低級アルキル基である。R3の低級アルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。R3としては、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R2が環状アルキル基である式(p2)で表される基としては、たとえば、下記式で表される基が挙げられる。
アダマンチル基と−CHR3−O−(CH2)n”−との結合位置は特に限定されないが、アダマンチル基の1位又は2位に結合することが好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の低級アルキル基、または炭素数5〜6の環状アルキル基が好ましい。前記低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。前記環状アルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらのアルキル基または芳香族炭化水素基は、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
gおよびjは、1または2であることが好ましく、最も好ましくは1である。
kは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、最も好ましくは1である。
qは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、最も好ましくは0である。
bは、1または2であることが好ましく、最も好ましくは1である。
lおよびmは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、最も好ましくは0である。
cは1以上の整数であり、n、oはそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつc+n+oが4以下である。
cは、1または2であることが好ましく、最も好ましくは1である。
nおよびoは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、最も好ましくは0である。
R11、R12およびR17の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、R11が、−ORが結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に結合していることが好ましい。
式(Ia)中、R18、R19のアルキル基または芳香族炭化水素基としては、上記R11〜R17のアルキル基または芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。なかでも、R18、R19としては、本発明の効果に優れる点で、メチル基が好ましい。
r、y、zはそれぞれ独立に0又は1以上の整数であり、かつr+y+zが4以下である。なかでも、r=1であり、かつy+zが1であることが好ましい。
脂肪族環式基の、置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。好ましくは多環式基である。
このような脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの基は、その水素原子の一部または全部が置換基(例えば低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基)で置換されていてもよい。
これらの中でも、炭素数が4〜15の脂肪族環式基が好ましく、アダマンタンから2個の水素原子を除いた基がより好ましく、特に、アダマンタンの1位および3位の水素原子を除いた基が好ましい。
なかでも、b’およびc’がともに1であることが好ましく、特に、下付文字b’を付した−ORと下付文字c’を付した−ORととが、ともにAに対してパラ位(4位)に結合していることが好ましい。すなわち、式(II)で表される化合物としては、下記一般式(II−1)で表される化合物が好ましい。
当該化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウェーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。まず、当該化合物に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば乳酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェーハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明かどうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
本発明において、化合物(I)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性が良好であることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
たとえば、基材成分(A)として化合物(I)を含有するポジ型レジスト組成物を用いることにより、高解像性のレジストパターンを形成でき、ラフネスも低減できる。
これは、化合物(I)の均一性によると推測される。すなわち、レジスト材料の基材成分として高分子量の重合体(樹脂)を用いる従来のレジストは、分子量分散やアルカリ溶解性分散を制御することが難しい。そのため、これらの分散や、その分子サイズそのものが原因となるLERなどの低減には限界がある。また、上記問題の解決策として考えられている低分子化合物も、上述した非特許文献1,2等に記載されているように、アルカリ可溶性基を酸解離性溶解抑制基で保護することから、分子ごとに、保護されるアルカリ可溶性基の位置やその保護率などにばらつきが発生し、結果、その性質にもバラツキが生じて上記と同様の問題が生じる。
これに対し、化合物(I)は、そのフェノール性水酸基の全部が酸解離性溶解抑制基により保護されているため、その構造や分子量が均一で、分子ごとのアルカリ溶解性や親水性・疎水性等の性質のばらつきが少ない。そのため、基材成分(A)として化合物(I)を含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の性質も均一であり、それによって高解像性のレジストパターンを形成でき、また、ラフネスも低減できると推測される。
また、化合物(I)の性質が均一で、有機溶剤等に対する溶解性も均一であると考えられることから、化合物(I)を含有するポジ型レジスト組成物の保存安定性も向上する。
本発明の化合物の製造方法は、上記一般式(I’)で表される多価フェノール化合物(以下、多価フェノール化合物(I’)という。)と、一般式X−R[式中、Rは酸解離性溶解抑制基であり;Xはハロゲン原子である。]で表される化合物(以下、ハロゲン化物(XR)という。)とを、30〜145℃の範囲内の温度下で反応させて上記本発明の化合物(I)を得る工程を有する。
上記一般式(I’)中、R11〜R17、g、j、k、q、b、l、m、c、n、oは、それぞれ、式(I)中のR11〜R17、g、j、k、q、b、l、m、c、n、oと同じである。
A’は上記一般式(Ia’)で表される基、上記一般式(Ib)で表される基または脂肪族環式基である。
式(Ia’)中、R18、R19、r、y、zは、それぞれ、一般式(Ia)中のR18、R19、r、y、zと同じである。
一般式(Ib)で表される基および脂肪族環式基は、それぞれ、式(I)中のAにおける一般式(Ib)で表される基および脂肪族環式基と同じである。
Rの酸解離性溶解抑制基は、式(I)中のRと同じである。
多価フェノール化合物のフェノール性水酸基を保護する場合に一般的に用いられる方法としては、多価フェノール化合物と、上述したハロゲン化物(XR)のような酸解離性溶解抑制基を有する化合物とを有機溶剤に溶解し、水素化ナトリウム等の塩基触媒の存在下で反応させる方法が周知であり、その際の反応温度は通常0〜25℃(室温)の範囲で行われている。
しかし、かかる方法を用いて多価フェノール化合物(I’)のフェノール性水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護する反応を行った場合、フェノール性水酸基の全部が保護されることはなく、一部が保護されるだけである。また、保護されるフェノール性水酸基の数(保護数)にもばらつきがある。これは、分子内に存在する各フェノール性水酸基の反応性が、その位置によって異なることが影響していると考えられる。
これに対し、30〜145℃の温度条件下で反応を行う本発明の製造方法によれば、フェノール性水酸基の全部を酸解離性溶解抑制基で保護することができ、高い収率(たとえば100%)で化合物(I)を製造できる。
その理由としては、定かではないが、反応温度が30℃以上であることにより、多価フェノール化合物(I’)のフェノール性水酸基における、ハロゲン化物(XR)との反応性が高くなること、および反応温度が145℃以下であることにより、上記反応により形成された基−ORが熱等により分解することなく、安定に存在することが考えられる。
反応温度は、35〜120℃が好ましく、40〜100℃がより好ましく、40〜80℃が最も好ましい。
反応時間は、1〜24時間が好ましく、4〜15時間がより好ましい。
好ましい有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、THF、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン等を挙げることができ、これらを単独で、または混合して用いることができる。
反応溶媒としては、水素化ナトリウム等の塩基触媒と反応する有機溶剤は使用しないことが好ましい。
精製処理は、公知の方法によって行うことができ、たとえば回収した未精製の化合物(I)を酢酸エチル等の有機溶剤に溶解し、該有機溶液を、水性溶剤で洗浄することにより、不要な成分、たとえば未精製の化合物(I)中に含まれる不純物(たとえば多価フェノール(I’)や、該多価フェノール(I’)を酸解離性溶解抑制基で保護する際に用いた原料、触媒等)を除去できる。
有機溶剤としては、化合物(I)を溶解するものであればよく、たとえば後述するポジ型レジスト組成物に用いられる有機溶剤(S)と同様にものが使用できる。
水性溶剤としては、化合物(I)を溶解しないものであればよく、従来、有機合成において有機相の洗浄に一般的に用いられているものを使用できる。このとき、水性溶剤として酸性のものを用いる場合は、クエン酸、希塩酸等の、化合物(I)中の酸解離性溶解抑制基が解離しない程度の、比較的強度の弱い酸を使用する。
<ポジ型レジスト組成物>
本実施態様のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するポジ型レジスト組成物であって、前記(A)成分として低分子化合物(A1)を含有することを特徴とする。
(A)成分および(B)成分を含有するポジ型レジスト組成物においては、露光により前記(B)成分から発生した酸が前記(A)成分に作用すると、(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
(A)成分は、上記化合物(I)を含有する。
化合物(I)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、化合物(I)の割合は、40質量%超であることが好ましく、50質量%超であることがより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(A)成分中の化合物(I)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定できる。
かかる(A2)成分としては、例えば従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているものが挙げられ、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u’’は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
ポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。 リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類及びその誘導体;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体;
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
上記ポジ型レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に使用できる。
該レジストパターン形成方法は、たとえば以下のようにして実施できる。すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、任意にプレベーク(PAB)を施してレジスト膜を形成する。形成されたレジスト膜を、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施す。続いて、アルカリ現像液を用いて現像処理した後、リンス処理を行って、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流し、乾燥させて、レジストパターンを得る。
これらの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用するポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
露光光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、上記ポジ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザー、電子線またはEUV、特にArFエキシマレーザーまたは電子線に対して有効である。
なお、場合によっては、上記アルカリ現像後ポストベーク工程を含んでもよいし、基板とレジスト膜との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けてもよい。
上記化合物(I)は、ポジ型レジスト組成物用の溶解抑制剤としても好適に用いることができる。化合物(I)からなる溶解抑制剤を用いることにより、該溶解抑制剤を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜(露光前)のアルカリ溶解性が抑制される。そのため、該レジスト膜を選択的に露光した際に、露光部と未露光部との間のアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなり、解像性や形状が良好なレジストパターンが形成できる。
かかる溶解抑制剤は、酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分と酸発生剤成分とを含む2成分系の化学増幅型レジスト組成物に添加して用いることができ、また、酸解離性溶解抑制基を有さない樹脂成分と酸発生剤成分と溶解抑制剤とを用いる、いわゆる3成分系の化学増幅型のレジスト組成物としても用いることができる。
実施例1
2gの下記式(1)で表される多価フェノール化合物(1)(本州化学工業製)を10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、16gのブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチルと、2.3gの60質量%水素化ナトリウム(NaH)を加えた後、67℃の反応温度で12時間加熱還流した。反応終了後、反応液中の不溶物を濾別し、ろ液を減圧下濃縮した。
得られた残渣に100gの酢酸エチルを加え、該酢酸エチル溶液を、10%クエン酸水溶液50mLで3回の洗浄を行い、続けて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mLで3回の洗浄を行い、さらに飽和食塩水50mLで3回の洗浄を行って、酢酸エチル相と水相とを分離した。分離した酢酸エチル相を乾燥剤(無水硫酸ナトリウム)にて乾燥後、乾燥剤を濾別し、ろ液を減圧下濃縮することにより、下記式(2)で表される化合物(2)を得た。収率は88%であった。
1H−NMRデータ(重ジメチルスルホキシド(DMSO)、内部標準:テトラメチルシラン、400MHz):δ(ppm)=6.88〜6.40 m 14H(Ha),5.98 s 2H(Hb),4.67 s 8H(Hc),4.53 s 4H(Hd),3.61 s 2H(He),2.27〜2.11 m 12H(Hf),2.10〜1.80 m 48H(Hf),1.79〜1.34 m 66H(Hf)。
この結果から、化合物(2)が下記に示す構造を有する化合物、すなわち、化合物(1)における6個のフェノール性水酸基のうちの6個が保護された化合物(6保護体)であることが確認できた。
<逆相液体クロマトグラフィー条件>
・装置:ヒューレットパッカード社製SERIES1100
・カラム:資生堂社製MGタイプ(官能基:C18粒子径3μm、カラム内径4.6mm、カラム長さ75mm)
・検出波長:280nm
・流量:2.0mL/分
・測定温度:45℃
・測定時間:0〜22分
・サンプル注入量:1.0μL
・サンプル濃度(固形分濃度):約1.3質量%(THFにて希釈)
・溶離液
0〜1分:(1)純水/THF=60/40(質量比)
1〜21分:(1)から、下記(2)の組成に徐々に変化
21〜22分:(2)純水/THF=10/90(質量比)
実施例1における反応温度を23℃に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。
得られた化合物(2’)について、実施例1と同じ条件で逆相液体クロマトグラフィーによる定量を行った。
上記定量の結果、ピーク面積の割合から、化合物(2’)が、化合物(1)における6個のフェノール性水酸基のうち、0〜4個が保護された化合物(0〜4保護体)の混合物であり、6保護体が含まれないことが確認された。なお、0保護体は化合物(1)そのものである。
つまり、比較例1においては、6保護体の収率は0%であった。
実施例1における反応温度を153℃に変更し、また、反応温度が高いことから、反応溶媒をTHFからジメチルスルホキシド(DMF)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。
得られた化合物(2”)について、実施例1と同じ条件で逆相液体クロマトグラフィーによる定量を行った。
上記定量の結果、ピーク面積の割合から、化合物(2”)には、原料である化合物(1)(0保護体)のみが含まれており、化合物(1)のフェノール性水酸基が保護された化合物が含まれてないことが確認された。
つまり、比較例2においては、6保護体の収率は0%であった。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で表される化合物。
- 下記一般式(I’)で表される多価フェノール化合物と、一般式X−R[式中、Rは第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基および環状エーテル基から選ばれる酸解離性溶解抑制基であり;Xはハロゲン原子である。]で表される化合物とを、30〜145℃の範囲内の温度下で反応させて下記一般式(I)で表される化合物を得る工程を有することを特徴とする化合物の製造方法。
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