JP2005329932A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 乗車直後の乗員に空調風による快適感を充分に与える。
【解決手段】
車両用空調装置は、後席用空調ユニット6と、後席右側及び左側の乗員の着衣の表面温度を検出するIRセンサ70a、70bと、後席用空調ユニット6を制御して空調ゾーン1c、1dのそれぞれを独立して空調する電子制御装置8とを備える。電子制御装置8は、例えば、冬期にて乗員が着衣の表面温度が低い温度状態で乗車した場合には、室温により影響されて着衣温度が短期間で上昇してしまうものの、電子制御装置8が、乗員の着衣温度の上昇に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させることができる(S1234、S1236)。このため、空調ゾーン1c(1d)に吹き出す吹出空気温度が低下するのに時間遅れが生じるため、乗員が吹出空気温により“暖かい”と感じるまで、吹出空気温度を高い状態に保持することができる。
【選択図】 図9

Description

本発明は、非接触温度センサを用いて車室内を空調制御する車両用空調装置に関する。
従来、この種の車両用空調装置において、乗員の着衣の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサとしての焦電型温度センサ(すなわち、赤外線温度センサ)と、車室内に空調風を吹き出す空調ユニットと、この空調ユニットから車室内に吹き出す目標吹出温度を焦電型温度センサの検出温度に基づいて算出し、この目標吹出温度に吹出空気温度を近づけるように空調ユニットを制御する電子制御装置と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このものにおいては、冬期等で外気が低温時にて人が乗車する場合には、乗員の着衣温度が外気に影響されて低くなっているため、電子制御装置は、目標吹出温度を通常よりも高めに算出する。このため、乗車直前に、乗車直後には、低い着衣温度に対応して、空調ユニットから吹き出される吹出空気温度を高めにすることができる。
一方、夏期にて外気が高くなった状態にて人が乗車する場合には、着衣温度が高くなっているため、電子制御装置は、目標吹出温度を通常よりも低めに算出することになる。このため、乗車直前に、空調ユニットの制御状態が定常状態になっていても、乗車直後には、高い着衣温度に対応して、空調ユニットから吹き出される空気温度を低くめにすることができる。
特開昭62−299420号公報
ところで、本発明者らは、上述の車両用空調装置において乗車直後にて吹き出される空調風による快適感について鋭意検討したところ、次のような問題があることが分かった。
すなわち、冬期において、乗員の着衣の表面温度に対応して空調ユニットからの吹出温度を通常よりも高くすることができるものの、一般的に着衣は熱容量が小さいため、室温により影響されて着衣温度が短期間で上昇してしまい、電子制御装置が目標吹出温度が直ちに下げてしまう。このため、乗員が温風により“暖かい”と感じる以前に、空調ユニットから吹き出される空気温度が下がってしまう。したがって、乗車直後の乗員に対して温風による快適感を充分に与えることができない。
また、夏期において、乗車直後には空調ユニットからの吹出温度を通常よりも低くすることができるものの、室温により影響されて着衣温度が直ちに下がってしまい、電子制御装置が目標吹出温度が直ちに上げてしまう。このため、乗員が冷風により“冷えた”と感じる以前に、空調ユニットから吹き出される空気温度が上がってしまうので、乗車直後の乗員に対して冷風による快適感を充分に与えることができない。
本発明は、上記点に鑑みて、非接触温度センサを用いる車両用空調装置において、乗車後の乗員に対して、空調風による快適感を充分に与えることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内に空調風を吹き出す空調手段(5、6)と、
車室内の乗員着衣の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサ(70a、70b)と、
前記非接触温度センサの検出値に基づいて、前記車室内に吹き出す吹出空気温度を調整させるように前記空調手段を制御する制御手段(8、S123、S1233〜S1236、S128)と、を備える車両用空調装置であって、
前記制御手段は、人が乗車したと判定したときには、前記非接触温度センサの検出値の変化に基づく前記空調手段の制御に時間遅れを持たせることを特徴とする。
又、請求項2に記載の発明では、非接触温度センサの検出値の変化に時間遅れを持たせている。
ここで、例えば、冬期にて乗員着衣の表面温度が低い状態で乗車した場合には、室温により影響されて着衣温度が短期間で上昇してしまい、非接触温度センサの検出値も短期間で上昇する。
そこで、請求項1又は2に記載の発明によれば、制御手段は、空調手段の制御に時間遅れを持たせているか、又は、非接触温度センサの検出値の上昇に時間遅れを持たせて空調手段の制御に反映させるので、車室内に吹き出す吹出空気温度が低下するのに時間遅れが生じるため、乗員が吹出空気温により“暖かい”と感じるまで、吹出空気温度を高い状態に保持できる。したがって、乗車後の乗員に対して温風による快適感を充分に与えることができる。
一方、例えば、夏期にて乗員着衣の表面温度が高い状態で乗車した場合には、室温により影響されて着衣温度が短期間で低下してしまい、非接触温度センサの検出値も短期間で低下する。
これに対して、請求項1又は2に記載の発明によれば、制御手段は、空調手段の制御に時間遅れを持たせているか、非接触温度センサの検出値の低下に時間遅れを持たせて空調手段の制御に反映させるので、車室内に吹き出す吹出空気温度が上昇するのに時間遅れが生じるため、乗員が吹出空気温により“冷たい”と感じるまで、吹出空気温度を低い状態に保持できる。したがって、乗車後の乗員に対して冷風による快適感を充分に与えることができる。
ところで、空調手段の制御状態が過度状態であるときには、定常状態に比べて空調風の送風量がそもそも多くなっており、空調手段の制御状態が過度状態であるときに、人が車室内に乗り込んだと判定して、前記検出値の変化に時間遅れを持たせて前記空調手段の制御に反映させることを行うと、空調風の風量が、益々、増える。これに伴い、乗員に対して、空調風により、違和感を与える可能性がある。
これに対して、請求項3に記載の発明によれば、前記制御手段は、前記空調手段の制御状態が定常状態であると判定した場合において、前記人が車室内に乗り込んだと判定したときに、前記検出値の変化に時間遅れを持たせて前記空調手段の制御に反映させることを行うことにより、乗員に対して、空調風による違和感を与えることを未然に防ぐことができる。
ここで、請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載の車両用空調装置において、時間遅れは、時定数(τ)により規定されるものである。
ここで、請求項5に記載の発明のように、時定数として、前記制御手段により前記人が乗車したと判定されてからの時間経過に応じて小さくなるものを採用してもよい。
特に、請求項6に記載の発明のように、時定数として、前記制御手段により前記人が乗車したと判定されてから一定期間だけ一定値が継続されて、前記一定期間の後では、前記一定値よりも小さな値になるものを用いるようにしてもよい。
また、制御手段は、具体的には、請求項7に記載の発明のように、前記時定数(τ)をもって前記非接触温度センサの検出値の変化が変化するように前記非接触温度センサの検出値を補正するとともに、この補正された補正検出値に基づいて前記空調手段を制御するものである。
さらに、具体的には、制御手段は、請求項8に記載の発明のように、前記補正検出値を用いて前記空調手段から車室内に吹き出す目標吹出温度を算出し、この算出された目標吹出温度に前記吹出空気温度を近づけるように前記空調手段を制御するものである。
また、請求項9に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の車両用空調装置において、前記制御手段は、前記人が乗車したと判定した場合において、前記人が乗車したと判定する前に比べて、空調能力を上昇させるように前記空調手段を制御する。
したがって、乗員が着座したときに、車室内が強力に空調されるので、乗員の快適性を短時間で向上することができる。
ここで、請求項10に記載の発明によれば、設定手段(11)によって、前記空調手段の空調能力を上昇させる度合い(f5)を予め設定すれば、乗員の好みの空調能力に設定することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項9に記載の車両用空調装置において、前記制御手段は、前記非接触温度センサにより検出される乗員着衣温度に応じて前記空調手段の空調能力を変更することを特徴する。
したがって、乗員着衣温度に合わせて空調能力が自動的に調整されるため、乗員が着座したときには乗員にとって快適性を短期間で向上することができる。
ここで、請求項12に記載の発明によれば、前記制御手段は、前記空調手段の空調能力を上昇させる時間を前記非接触温度センサにより検出される乗員着衣温度に応じて変更するようにしてもよい。
また、請求項13に記載の発明によれば、請求項9ないし12のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
前記空調手段は、乗員上半身および乗員下半身に空調風を吹き出すための吹出口をそれぞれ有しており、
前記制御手段は、前記人が乗車したと判定したときには、乗員上半身および乗員下半身にそれぞれ空調風を吹き出させるように前記空調手段を制御することを特徴とする。
したがって、乗員が着座したときには、乗員上半身および乗員下半身にそれぞれ空調風が空調手段から吹き出されるため、短期間で乗員が快適感を得ることができる。
請求項14に記載の発明によれば、請求項9ないし12のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
前記空調手段は、乗員に空調風を吹き出すための複数の吹出口をそれぞれ有しており、
前記制御手段は、前記人が乗車したと判定したときには、前記複数の吹出口のうち乗員に近い吹出口から空調風を吹き出させるように前記空調手段を制御することを特徴とする。
したがって、人が着座したときには乗員に近い吹出口から空調風を乗員に吹き出されるので、乗員が短期間で快適感を得ることができる。
請求項15に記載の発明では、請求項9ないし14のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
前記空調手段は、車室内の第1、第2の座席に同一の送風手段(52)で送風し、かつ前記第1、第2の座席に吹き出す空気温度をそれぞれ独立して調節するようになっており、
前記制御手段は、前記非接触温度センサの検出値に応じて前記空調手段を制御して、前記同一の送風手段の送風量、および前記第1、第2の座席に吹き出す空気温度を調整するようになっており、
前記第1、第2の座席のうち一方について前記人が乗車したと判定した場合においては、当該判定前の他方の座席に対する空調能力を維持するために、前記空調手段から他方の座席に吹き出す空気温度を変更させることを特徴する。
ここで、請求項15に記載の発明によれば、第1、第2の座席のうち一方の座席に乗員が着座したとき、その乗員に対する非接触温度センサの検出値に応じて送風手段を制御することになる。したがって、一方の座席に乗員が着座したとき送風手段による第1、第2の座席に対する送風量が変化する場合もあるが、他方の座席に対して空調手段から吹き出す空気温度が調節されて当該判定前の他方の座席に対する空調能力が維持される。このため、他方の座席に予め着座している乗員が違和感を感じることはない。
ところで、上述のように、空調風により快適感を乗員に与えるために、非接触温度センサの検出値の変化に時間遅れを持たせて前記空調手段の制御に反映させることに限らず、次のように、空調手段の制御に対する前記非接触温度センサの検出値の寄与度を変化させて、空調風により快適感を乗員に与えるようにしてもよい。
具体的には、請求項16に記載の発明によれば、車室内に空調風を吹き出す空調手段(5、6)と、
車室内の乗員着衣の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサ(70a、70b)と、
前記非接触温度センサの検出値に基づいて、前記車室内に吹き出す吹出空気温度を調整させるように前記空調手段を制御する制御手段(8、S123、S1233〜S1236、S1234A、S1234B、S128)と、を備える車両用空調装置であって、
前記制御手段は、人が車室内に乗り込んだと判定した場合には、前記人が車室内に乗り込んだと判定する以前に比べて、前記空調手段の制御に対する前記非接触温度センサの検出値の寄与度を大きくすることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、制御手段が、乗車直後には、乗車以前に比べて、空調手段の制御に対する前記非接触温度センサの検出値の寄与度を大きくする。このため、前記検出値の寄与度を大きくすることにより、検出値が小さい値である場合程、吹出空気温度を高くすることができ、検出値が高い値である場合程、吹出空気温度が低くすることができる。
したがって、例えば、乗員着衣の表面温度が低い状態で乗車した場合には、検出値の寄与度を一定にする場合に比べて、空調手段からの吹出空気温度を高くすることができる。このため、乗員の体を短期間で充分に温めることができるので、乗車後の乗員に対して温風による快適感を充分に与えることができる。
一方、例えば、乗員着衣の表面温度が低い状態で乗車した場合には、検出値の寄与度を一定にする場合に比べて、空調手段からの吹出空気温度を低くすることができる。このため、乗員の体を短期間で充分に冷やすことができるので、乗車直後の乗員に対して冷風による快適感を充分に与えることができる。
また、空調手段の制御状態が過度状態であるときに、人が車室内に乗り込んだと判定して、検出値の寄与度を大きくすることを行うと、空調風の風量が、益々、増える。これに伴い、乗員に対して、空調風により、違和感を与える可能性がある。
これに対して、請求項17に記載の発明のように、制御手段は、前記空調手段の制御状態が定常状態であると判定した場合において、前記人が車室内に乗り込んだと判定したとき、前記検出値の寄与度を大きくすることにより、乗員に対して、空調風による違和感を与えることを未然に防ぐことができる。
また、請求項18に記載の発明によれば、請求項3または17に記載の車両用空調装置において、車室内の空気温度を検出する内気温検出手段(85)を備えており、前記制御手段は、前記内気温検出手段の検出値に基づいて前記空調手段の制御状態が定常状態であるか否かを判定してもよい。
また、請求項19に記載の発明によれば、前記制御手段は、前記非接触温度ンサの検出値に基づいて、前記空調手段から前記車室内に吹き出す目標吹出温度を算出するものであり、
前記空調手段の制御に対する前記検出値の寄与度を大きくすることは、前記目標吹出温度の算出に対する前記検出値の寄与度を大きくすることであることを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、制御手段は、前記人が車室内に乗り込んだと判定してから一定期間だけ、前記検出値の寄与度を大きくすることにより、一定期間以降では、前記検出値以外の他のパラメータ(具体的には、日照量)の寄与度が大きくなり、空調手段の制御に対する他のパラメータの応答性を高めることができる。
特に、請求項21に記載の発明のように、前記制御手段は、前記人が車室内に乗り込んだと判定直後に前記検出値の寄与度を大きくしてから前記寄与度を徐々に小さくすれば、判定直後以降には、空調手段の制御に対する他のパラメータの応答性を徐々に高めることができる。
また、請求項22に記載の発明によれば、前記人が車室内に乗り込んだか否かの判定を、前記非接触温度センサの検出値の変化量に基づいて、行うことを特徴とする。
具体的には、請求項23に記載の発明では、
前記非接触温度センサは、乗員が通常着座する通常着座部位にあたる第1の温度を検出するとともに、前記通常着座部位よりも乗員が着座する頻度の低い部位にあたる第2の温度を検出し、
前記第1の温度と前記第2の温度との差を用いて前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段を有しており、
前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする。
また、請求項24に記載の発明のように、車室内の空気に接触して空気温度を検出する空気温度センサ(85)を有しており、
前記空気温度センサの検出値と前記非接触温度センサの検出値と差を用いて前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段(S2020B、S2090B)を有しており、
前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとするように構成してもよい。
さらに、請求項25に記載の発明のように、前記非接触温度センサの検出値の変化量が所定条件を満たしているか否かを判定して前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段(S2020、S2090…)を有しており、
前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとするように構成してもよい。
具体的には、請求項26に記載の発明のように、
前記非接触温度センサの検出値が3箇所以上の被検温部位について求められるようになっており、
前記3箇所以上の被検温部位のうち、2箇所以上の被検温部位について前記検出値の変化量が所定条件を満たしている場合に前記乗員が着座したと前記着座判定手段が判定するようになっていることを特徴とする。
したがって、乗員が着座したか否かについて着座判定手段が正確に判定することができる。
例えば、請求項27に記載の発明のように、前記非接触温度センサの検出値が所定期間毎に求められるようになっており、
前記所定期間毎に、今回の前記検出値および前回以前の前記検出値の平均値を算出し、かつ前記検出値の変化が時間遅れを持って変化するように前記今回の検出値を補正して補正検出値を算出するようになっており、
前記今回算出される平均値が、前回に前記算出された補正検出値に比べて、所定値以上変化した場合には、前記検出値の変化量が所定条件を満たしていると前記着座判定手段が判定するようにしてもよい。
ところで、一般に車両の停止中でしか人は乗車しないため、仮に、車両が走行中に乗員が着座したと判定したとすると、その判定は誤って判定を行ったものである可能性が高い。
そこで、請求項28に記載の発明のように、前記着座判定手段が、当該車両の速度が一定速度未満(具体的には「0」)であると判定し、かつ前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすれば、誤判定を未然に防ぐことができる。
また、例えば、人が乗車するにはドアを開放する必要があるため、ドアが閉じられたままで乗員が着座したと判定したとすると、その判定は誤って判定を行ったものであると考えられる。
そこで、請求項29に記載の発明のように、乗員が乗降するためのドアが開けられてから所定期間の間に、前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすれば、誤判定を未然に防ぐことができる。
また、請求項30に記載の発明によれば、前記空調手段は、前記車室内に向けて吹き出す吹出空気温度をそれぞれ座席毎に独立して調整する複数の温度調整手段(65a、65b)を備えており、
前記非接触温度センサは、前記座席毎に対応するように複数設けられており、
前記制御手段は、前記複数の非接触温度センサによる各検出値に基づいて、前記複数の温度調整手段をそれぞれ制御して前記座席毎の吹出空気温度をそれぞれ独立して調整させることを特徴とする。
したがって、座席毎に独立して吹出空気温度を調整することができるので、乗車後において座席毎の乗員に対して空調風による快適感を充分に与えることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態による車両用空調装置の室内空調ユニット部の吹出口配置状態を示す平面概要図、図2は室内空調ユニット部および制御ブロックを含む全体構成図である。
本第1実施形態は、車室内1の前後左右の計4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dをそれぞれ独立して空調制御する。図1、図2は右ハンドル車の場合を示しており、上記空調ゾーン1a〜1dをより具体的に説明すると、空調ゾーン1aは、前席空調ゾーンのうち右側、すなわち、運転席側に位置する。空調ゾーン1bは、前席空調ゾーンのうち左側、すなわち、助手席側に位置する。
そして、空調ゾーン1cは、後席空調ゾーンのうち右側窓寄りに位置し、空調ゾーン1dは、後席空調ゾーンのうち左側窓寄りに位置する。なお、図1中の前後左右の各矢印は、車両搭載時における前後左右の方向を示す。
車両用空調装置の室内空調ユニット部は空調手段としての前席用空調ユニット5と後席用空調ユニット6とから構成されている。前席用空調ユニット5は、前席左右の空調ゾーン1a、1bのそれぞれの空調状態(例えば、空気温度)を独立して調整するためのものであり、後席用空調ユニット6は、後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれの空調状態を独立して調整するためのものである。
前席用空調ユニット5は、車室内1の最前部の計器盤7の内側に配置されており、後席用空調ユニット6は、車室内1の最後方に配置されている。前席用空調ユニット5は、車室内1の前席側に空気を送風するためのダクト50を備えている。このダクト50の最上流部には、車室内1から内気を導入するための内気導入口50aおよび車室外から外気を導入するための外気導入口50bが設けられている。
さらに、ダクト50には、外気導入口50bおよび内気導入口50aを選択的に開閉する内外気切替ドア51が設けられており、この内外気切替ドア51には、駆動手段としてのサーボモータ510aが連結されている。
また、ダクト50内のうち外気導入口50bおよび内気導入口50aの空気下流側には、車室内1に向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機52が設けられている。遠心式送風機52は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ52aにより構成されている。なお、図2において、この羽根車は図の簡略化のため軸流式羽根車を示しているが、実際は遠心式の羽根車が使用されている。
さらに、ダクト50内にて遠心式送風機52の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としてのエバポレータ53が設けられており、さらに、このエバポレータ53の空気下流側には、空気加熱手段としてのヒータコア54が設けられている。
そして、ダクト50内のうちエバポレータ53の空気下流側には仕切り板57が設けられており、この仕切り板57により、ダクト50内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、運転席側通路50cと助手席側通路50dとに仕切っている。
運転席側通路50cのうちヒータコア54の側方には、バイパス通路51aが形成されており、バイパス通路51aは、ヒータコア54に対してエバポレータ53により冷却された冷風をバイパスさせる。
また、助手席側通路50dのうちヒータコア54の側方には、バイパス通路51bが形成されており、バイパス通路51bは、ヒータコア54に対してエバポレータ53により冷却された冷風をバイパスさせる。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいてヒータコア54の空気上流側に、それぞれ、エアミックスドア55a、55bが独立に操作可能に設けられている。運転席側のエアミックスドア55aは、その開度により、運転席側通路50cを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路51aを通る量(冷風量)との比を調整して、前席運転席側の空調ゾーン1aへの吹出空気温度を調整する。
また、助手席側のエアミックスドア55bは、その開度により、助手席側通路50dを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路51bを通る量(冷風量)との比を調整して、前席助手席側の空調ゾーン1bへの吹出空気温度を調整する。
なお、前席左右のエアミックスドア55a、55bには、駆動手段としてのサーボモータ550a、550bがそれぞれ連結されており、エアミックスドア55a、55bの開度は、サーボモータ550a、550bによって、それぞれ独立に調整される。
エバポレータ53は、図示しないコンプレッサ、凝縮器、受液器、減圧器とともに、周知の冷凍サイクルを構成している低圧側の冷却用熱交換器である。このエバポレータ53は、ダクト50内を流れる空気から低圧側冷媒が蒸発潜熱を吸熱して蒸発することにより、ダクト50内の空気を冷却する。なお、冷凍サイクルのコンプレッサは、車両エンジンに電磁クラッチ(図示しない)を介して連結され、電磁クラッチを断続制御することによって駆動停止制御される。
ヒータコア54は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、このヒータコア54は蒸発器53通過後の空気を加熱する。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうちヒータコア54の空気下流側(最下流部)には、運転席側フェイス吹出口2aおよび助手席側フェイス吹出口2bが設けられている。
運転席側フェイス吹出口2aは、運転席側通路50cから運転席に着座する運転席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。また、助手席側フェイス吹出口2bは、助手席側通路50dから助手席に着座する助手席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。
さらに、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうち運転席側フェイス吹出口2aおよび助手席側フェイス吹出口2bの各空気上流部には、それぞれ、運転席側フェイス吹出口2aを開閉する吹出口切替ドア56aおよび助手席側フェイス吹出口2bを開閉する吹出口切替ドア56bが設けられている。これら吹出口切替ドア56aおよび56bは、それぞれ駆動手段としての運転席側のサーボモータ560a、および助手席側のサーボモータ560bによって、開閉駆動される。
なお、運転席側フェイス吹出口2aと助手席側フェイス吹出口2bは、具体的には図1に示すようにそれぞれ、計器盤7の左右方向の中央部寄り部位に位置するセンターフェイス吹出口と計器盤7の左右方向の両端部付近に位置するサイドフェイス吹出口とに分けて配置される。
また、図1、図2には図示していないが、運転席側通路50cの最下流部には、上記運転席側フェイス吹出口2aの他に、運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口が設けられている。運転席側フット吹出口は運転席側通路50cから運転者の下半身に空気を吹き出す。運転席側デフロスタ吹出口は運転席側通路50cからフロントガラスの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す。
助手席側通路50dの最下流部には、上記助手席側フェイス吹出口2bの他に、助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口が設けられている。助手席側フット吹出口は助手席側通路50dから助手席乗員の下半身に空気を吹き出す。助手席側デフロスタ吹出口は助手席側通路50dからフロントガラスの内表面のうち助手席側領域に空気を吹き出す。
そして、運転席側通路50cにおいて運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら運転席側のフェイス、フットおよびデフロスタの各吹出口切替ドアは、上述した運転席側のサーボモータ560aにより連動して開閉駆動される。
また、助手席側通路50dにおいて助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら助手席側のフェイス、フットおよびデフロスタの各吹出口切替ドアは、上述した助手席側のサーボモータ560bにより連動して開閉駆動される。
後席用空調ユニット6は、車室内1に送風するためのダクト60を備えている。このダクト60内の最上流部には、車室内1から内気導入口60aを通して内気のみを導入する内気導入ダクト60bが接続されている。
内気導入ダクト60bの空気下流側には、車室内1に向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機62が設けられている。遠心式送風機62は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ62aにより構成されている。なお、この羽根車も図2において、上記と同様、図の簡略化のため軸流式羽根車を示しているが、実際は遠心式の羽根車が使用されている。
さらに、ダクト60内において遠心式送風機62の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としてのエバポレータ63が設けられており、このエバポレータ63の空気下流側には、空気を加熱する空気加熱手段としてのヒータコア64が設けられている。
そして、ダクト60内のうちエバポレータ63の下流部分には仕切り板67が設けられており、この仕切り板67により、ダクト60内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、後席右側通路(後席運転席側通路)60cと後席左側通路(後席助手席側通路)60dとに仕切っている。
後席右側通路60cのうちヒータコア64の側方には、バイパス通路61aが形成されており、バイパス通路61aは、ヒータコア64に対してエバポレータ63により冷却された冷風をバイパスさせる。
また、後席左側通路60dのうちヒータコア64の側方には、バイパス通路61bが形成されており、バイパス通路61bは、ヒータコア64に対してエバポレータ63により冷却された冷風をバイパスさせる。
後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいてヒータコア64の空気上流側には、それぞれエアミックスドア65a、65bが独立に操作可能に設けられている。後席右側のエアミックスドア65aは、その開度により、後席右側通路60cを流通する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路61aとを通る量(冷風量)との比を調整して、後席右側の空調ゾーン1cへの吹出空気温度を調整する。
また、後席左側のエアミックスドア65bは、その開度により、後席左側通路60dを通過する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路61bを通る量(冷風量)との比を調整して、後席左側の空調ゾーン1dへの吹出空気温度を調整する。
そして、後席右側および後席左側のエアミックスドア65a、65bには、駆動手段としてのサーボモータ650a、650bがそれぞれ連結されており、後席右側および後席左側のエアミックスドア65a、65bの開度は、サーボモータ650a、650bによって、それぞれ独立に調整される。
エバポレータ63は、上述した周知の冷凍サイクルにおいて前席側のエバポレータ53に対して並列的に配管結合される冷却用熱交換器である。
また、ヒータコア64は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、ヒータコア64は、温水回路において前席側のヒータコア54に対し並列的に接続され、エバポレータ63通過後の空気を加熱する。
ダクト60内の後席右側通路60cのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には、後席右側フェイス吹出口2cが設けられている。後席右側フェイス吹出口2cは、後席右側通路60cから後席の右側(すなわち、後席運転席側)に着座する乗員(以下、後席右側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
また、ダクト60内の後席左側通路60dのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には、後席左側フェイス吹出口2dが設けられている。後席左側フェイス吹出口2dは、後席左側通路60dから後席の左側(すなわち、後席助手席側)に着座する乗員(以下、後席左側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
ここで、後席左右の各フェイス吹出口2c、2dの空気上流部には、それぞれ吹出口切替ドア66a、66bが設けられ、後席左右の各フェイス吹出口2c、2dを開閉するようになっている。この後席左右の吹出口切替ドア66a、66bは、駆動手段としてのサーボモータ660a、660bによって開閉駆動される。
そして、図1、図2には図示しないが、後席右側通路60cの最下流部には、後席右側フェイス吹出口2cの他に後席右側フット吹出口が設けられている。この後席右側フット吹出口は、後席右側通路60cから空気を後席右側乗員の下半身に向けて吹き出す。
同様に、後席左側通路60dの最下流部には、後席左側フェイス吹出口2dの他に後席左側フット吹出口が設けられている。この後席左側フット吹出口は、後席左側通路60dから空気を後席左側乗員の下半身に向けて吹き出す。
この後席左右の各フット吹出口の空気上流部には、それぞれ吹出口切替ドア(図示せず)が設けられており、この後席左右の各吹出口切替ドアは、上記サーボモータ660c、660dによってそれぞれ開閉駆動される。
制御手段(空調制御装置)としてのエアコンECU8の入力側には、外気温度センサ81、冷却水温度センサ82、日射センサ83、内気温度センサ84および蒸発器温度センサ86、87が接続されている。
外気温度センサ81は、車室外温度を検出しその検出温度に応じた外気温度信号TamをエアコンECU8に出力する。冷却水温度センサ82は、エンジンの冷却水(すなわち温水)の温度を検出しその検出温度に応じた冷却水温度信号TwをエアコンECU8に出力する。
日射センサ83は、フロントウインドウの内側にて車両左右方向の略中央部分に配置された周知の2素子(2D)タイプの日射センサであり、車室内の運転席側空調ゾーン1aに入射される日射量と助手席側空調ゾーン1bに入射される日射量とを検出し、それら検出した各日射量に応じた日射量信号TsDrおよびTsPaをエアコンECU8に出力する。
内気温度センサ84は、車室内の空調ゾーン1a、1b(前席側空調領域)の代表的な空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrFrをエアコンECU8に出力する。内気温度センサ85は、車室内の空調ゾーン1c、1d(後席側空調領域)の代表的な空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrRrをエアコンECU8に出力する。
蒸発器温度センサ86は、エバポレータ53の吹出空気温度を検出しその検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeFrをエアコンECU8に出力するもので、蒸発器温度センサ87は、エバポレータ63の吹出空気温度を検出しその検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeRrをエアコンECU8に出力する。
また、エアコンECU8には、空調ゾーン1a、1b、1c、1dのそれぞれの希望温度FrTsetDr、FrTsetPa、RrTsetDr、RrTsetPaが乗員により設定される温度設定スイッチ9、10、11、12、および、後席右側の空調ゾーン1cおよび後席左側の空調ゾーン1d(すなわち、後席側空調領域)の各ゾーンの表面温度を検出するための非接触温度センサとしての右側用および左側用のマトリックス赤外線温度(IR)センサ70a、70bが接続されている。そして、温度設定スイッチ9、10、11、12のそれぞれ近傍には、希望温度等の設定内容を表示する報知手段(表示手段)としてのディスプレイ9a、10a、11a、12aが備えられている。ディスプレイ9a、10a、11a、12aは、それぞれ座席毎に、その車両前側にて乗員に向けて配置されている。
右側用および左側用のマトリックスIRセンサ70a、70bとしては、入力される赤外線量の変化に対応した起電力変化を温度変化として検出するサーモパイル型検出素子が用いられている。以下、右側用および左側用のマトリックスIRセンサ70a、70bの具体的な構成について図3、図4を用いて説明する。
右側用および左側用のマトリックスIRセンサ70a、70bは、共に同様の構成を備えている。以下では、右側用のマトリックスIRセンサ70aについて説明し、左側用のマトリックスIRセンサ70bについては説明を簡略化する。
右側用マトリックスIRセンサ70aは、図3に示すように、検知部71を有しており、検知部71は、基板71a、この基板71a上に設置されるセンサチップ72、および、このセンサチップ72を覆うように配設される赤外線吸収膜73を備えている。検知部71は、台座71c上に配置されるとともに、カップ状のケース71bによって覆われている。ケース71bの底部には、四角形の窓71dがあけられ、この窓71dにはレンズ71eが填め込まれている。また、赤外線吸収膜73は、空調ゾーン1c、1dの各検温対象物からレンズ71eを通して入射される赤外線を吸収して熱に変換する役割を果たす。
センサチップ72上には、4個の熱電対部Dr1〜Dr4が配列されており、これらの熱電対部Dr1〜Dr4は、それぞれ、赤外線吸収膜73から発生する熱を電圧(電気エネルギー)にそれぞれ変換する温度検出素子である。
図4はマトリックスIRセンサ70a(70b)の配置位置および熱電対部Dr1〜Dr4のそれぞれの被検温範囲を示す図である。なお、図4中の符号Dr1〜Dr4は、熱電対部Dr1〜Dr4の被検温範囲を示す。
先ず、右側用(左側用)マトリックスIRセンサ70a(70b)は、車室内中央部において赤外線吸収膜73を水平方向よりやや後方に傾斜して配置され、その被検温範囲がマトリックスIRセンサ70a(70b)の鉛直下方よりも後方に形成される。
具体的には、熱電対部Dr1の被検温範囲はリアトレー(Rrトレー)の右側領域に形成され、熱電対部Dr2の被検温範囲は後席右側座席の乗員の肩を含んで形成される。熱電対部Dr3の被検温範囲は後席右側座席の乗員の胸腹を含むように形成され、熱電対部Dr4の被検温範囲は後席右側座席の乗員の太股を含むように形成される。
ここで、リアトレーはリアウインドウの下側に位置し、リアトレーの表面温度は車室外からリアウインドウを通してリアトレー右側領域に入射される日射、或いは、冷輻射に影響される。このため、熱電対部Dr1は、リアトレー右側領域に入射される日射、冷輻射を含む温度情報を検出することができる。また、肩、胸腹、太股の表面温度は、乗員着衣の表面温度をそれぞれ、示すものであって、空調ゾーン1cの空気温度に影響されて、空調ゾーン1cの内気温度として見なされる。
また、左側用マトリックスIRセンサ70bによる後席左側の空調ゾーン1dの被検温範囲700bは、上記右側用マトリックスIRセンサ70aによる被検温範囲700aと、車両左右の中央線について線対称の関係にあるので、図4においては省略している。
すなわち、左側用マトリックスIRセンサ70bが備える熱電対部Dr1が、リアトレー左側領域に入射される日射、冷輻射を含む温度情報を検出することができる。また、熱電対部Dr2〜Dr4は、後席左側座席の乗員の肩、胸腹、太股の表面温度をそれぞれ検出する。これら肩、胸腹、太股の表面温度は、空調ゾーン1dの空気温度と見なされる。
一方、エアコンECU8は、アナログ/デジタル変換器、マイクロコンピュータ等を有して構成される周知のものであり、右側用および左側用マトリックスIRセンサ70a、70b、日射センサ83、各温度センサ81、82、84、86、87および温度設定スイッチ9、10、11、12からそれぞれ出力される出力信号は、アナログ/デジタル変換器によりアナログ/デジタル変換されてマイクロコンピュータにそれぞれ入力されるように構成されている。
マイクロコンピュータは、ROM、RAMなどのメモリ、およびCPU(中央演算装置)等から構成される周知のもので、イグニッションスイッチがオンされたときに、図示しないバッテリから電力供給される。
次に、上記の構成において本第1実施形態の作動を図5〜図11に基づいて説明する。
エアコンECU8は、電源が投入されると、メモリに記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)がスタートして、図5に示すフローチャートにしたがって空調制御処理を実行する。ここで、前席空調処理および後席空調処理は、それぞれ交互に実行されるもので、前席空調処理および後席空調処理は、それぞれ、一定期間Ts(具体的には,250ms)毎に実行される。なお、以下に、前席空調処理および後席空調処理を分けて図5を参照して説明する。図5は各空調処理の内容を示している。
(前席空調処理)
まず、温度設定スイッチ9、10から設定温度信号FrTsetDr、FrTsetPaを読み込むとともに(ステップS121)、外気温度センサ81及び日射センサ83から外気温度信号Tam、日射量信号TsDr、TsPaを読み込むとともに、内気温度センサ84から内気温度TrFrを読み込む(ステップS122)。
そして、設定温度信号FrTsetDr、外気温信号Tam、日射量信号TsDr、内気温度信号TrFrを数式1に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOFrDrを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAOFrDrは、車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、前席右側(運転席)空調ゾーン1aの温度を設定温度FrTsetDrに維持するために必要な目標温度である。
FrTAODr=KsetFrDr・FrTsetDr−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsDr・TsDr+CFrDr・・・(数式1)
なお、KsetFrDrは前席右側用温度設定ゲイン、KrFrは前席用内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、KsDrは日射ゲイン、CFrDrは前席右側用補正定数である。
次に、外気温信号Tam、設定温度信号FrTsetPa、日射量信号TsPa、内気温度TrFrを数式2に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOFrPaを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAOFrPaは、前席左側(助手席)空調ゾーン1bの温度を設定温度FrTsetPaに維持するために必要な目標温度である。
FrTAOPa=KsetFrPa・FrTsetPa−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsPa・TsPa+CFrPa・・・(数式2)
なお、KsetFrPaは前席左側用温度設定ゲイン、KrFrは前席用内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、KsPaは日射ゲイン、CFrPaは前席左側用補正定数である。
次に、FrTAOPa、FrTAODrの平均値(以下、前席用目標平均値という)に基づいて、図6の制御マップにより、内気循環モードおよび外気導入モードのいずれか一方を内外気切替モードとして決定する(ステップS124)。内気循環モードでは、内気導入口50aより車室内空気(内気)を導入し、外気導入モードでは、外気導入口50bより車室外空気(外気)を導入する。
具体的には、図6に示すように、FrTAOPa、FrTAODrの平均値(図8中のTAOに相当する)が所定温度以下となる領域(最大冷房域)では、内外気切替ドア51により内気導入口50aを全開し、外気導入口50bを全閉する内気循環モードを選択し、FrTAOPa、FrTAODrの平均値が所定温度より高くなると、内外気切替ドア51により外気導入口50bを全開し、内気導入口50aを全閉する外気導入モードを選択する。
次に、図7により吹出口モードを前席側空調ゾーン1a、1bに対して個別に決定する(ステップS125)。図7は、予めROMに記憶されている吹出口モード決定の制御マップであって、本例では、FrTAODr(図7中のTAOに相当する)が上昇するにつれて、空調ゾーン1aの吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。また、FrTAOPa(図7中のTAOに相当する)が上昇するにつれて、空調ゾーン1bの吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替えるようになっている。
ここで、フェイスモードとは、フェイス吹出口だけから空調風を吹き出すモードであり、フットモードとは、フット吹出口だけから空調風を吹き出しモードである。また、バイレベルモードとは、フェイス吹出口およびフット吹出口から空調風を吹き出すモードである。
たとえば、フェイスモードでは、吹出口切替ドア56a(56b)にてフェイス吹出口2a(2b)を開口し、フェイス吹出口2a(2b)のみから空調風が車室内の乗員上半身側へ吹き出す。バイレベルモードでは、吹出口切替ドア56a(56b)にてフェイス吹出口2a(2b)およびフット吹出口(図示せず)を開口し、空調風がフェイス吹出口2a(2b)およびフット吹出口から車室内の乗員上半身側および乗員下半身側へ同時に吹き出す。フットモードでは、吹出口切替ドア(図示せず)にてフット吹出口を全開し、フット吹出口から主に空調風が車室内の乗員下半身側へ吹き出す。
このように、空調ゾーン毎に吹出口モードを決定すると、各吹出口切替ドアのそれぞれのサーボモータを空調ゾーン毎に制御して、空調ゾーン毎にこの決定される吹出口モードとなるように各吹出口切替ドアをそれぞれ開閉させる。
次に、上述の目標吹出温度FrTAOPa、FrTAODrの平均値に基づいて、送風機モータ52aに印加するブロワ電圧を決定する(ステップS126)。このブロワ電圧としては、送風機52の風量を制御するためのもので、FrTAOPa、FrTAODrの平均値に基づいて、予めROM内に記憶された図8の制御マップにしたがって決定されるものである。
図8の制御マップにおいて、図8中のTAOがFrTAOPa、FrTAODrの平均値に相当し、この平均値(=TAO)が中間領域内にあるときには、ブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が一定値となり、TAOが中間領域より大きい場合にはこのTAOが大きくなるほどブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が大きくなる。また、TAOが中間領域より小さい場合にはTAOが小さくなるほどブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が小さくなる。このようにして、ブロワ電圧が決定される。
次に、エアミックスドア55a、55bの目標開度θ1、θ2を次の数式3、4によって算出する(ステップS127)。
θ1={(FrTAODr−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%)・・・(数式3)
θ2={(FrTAOPa−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%)・・・(数式4)
なお、数式3、4において、TeFrは蒸発器温度センサ86の蒸発器吹出温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水(温水)温度信号である。θ1=0%およびθ2=0%は、最大冷房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて、前席側のエバポレータ53通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路51a、51bを流れる。また、θ1=100%およびθ2=100%は、最大暖房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて、前席側のエバポレータ53通過後の空気(冷風)の全量がコアヒータ54に流入して加熱される。
以上のように決定したブロワ電圧、目標開度θ1、θ2、内外気切替モード、吹出口モードのそれぞれを示す各制御信号をサーボモータ510a、550a、550b、560a、560bおよび送風機モータ52a等に出力して内外気切替ドア51、エアミックスドア55a、55b、吹出口切替ドア56a、56b、送風機52の各作動を制御する(ステップS128)。
その後、ステップS129の表示処理(この処理は、後述する後席空調処理でのみ実行される)を行わずに、ステップS130に移行する。ここで、一定期間経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121〜S130)が繰り返される。このような演算、処理の繰り返しによって前席空調ゾーン1a、1bの空調が自動的に制御されることになる。
(後席空調処理)
後席空調処理は、一定期間Ts(具体的には,250ms)毎に実行されるものである。
この後席空調処理では、先ず、温度設定スイッチ11、12から設定温度信号RrTsetDr、RrTsetPaを読み込む(ステップS121)。さらに、外気温センサ81及び日射センサ83から外気温度信号Tam、日射量信号TsDr、TsPaを読み込み、またマトリックスIRセンサ70aの熱電対部Dr1〜Dr4から検出温度Tir1〜Tir4を読み込む。さらに、マトリックスIRセンサ70bの熱電対部Dr1〜Dr4から検出温度信号Tir1〜Tir4を読み込む(ステップS122)。
これに伴い、マトリックスIRセンサ70aの熱電対部Dr2から読み込まれた今回の検出温度信号(以下、検出温度信号Tir2(n)という。nはサンプリング回数)と、今回に先立って読み込まれた15個の検出温度信号Tir2(n−1)、Tir2(n−2)、Tir2(n−3)、Tir2(n−4)…Tir2(n−15)との平均値RrDrShoulderを算出する(RrDrShoulder={Tir2(n)+Tir2(n−1)+Tir2(n−2)…Tir2(n−15)}/16)。
次に、マトリックスIRセンサ70aの熱電対部Dr3から読み込まれた今回の検出温度信号(以下、検出温度信号Tir3(n)という。nはサンプリング回数)と、今回に先立って読み込まれた15個の検出温度信号Tir3(n−1)、Tir3(n−2)、Tir3(n−3)、Tir3(n−4)…Tir3(n−15)との平均値RrDrbodyを算出する(RrDrbody={Tir3(n)+Tir3(n−1)+Tir3(n−2)…Tir3(n−15)}/16)。
次に、マトリックスIRセンサ70aの熱電対部Dr4から読み込まれた今回の検出温度信号(以下、検出温度信号Tir4(n)という。nはサンプリング回数)と、今回に先立って読み込まれた15個の検出温度信号Tir4(n−1)、Tir4(n−2)、Tir4(n−3)、Tir4(n−4)…Tir4(n−15)との平均値RrDrlegを算出する(RrDrleg={Tir4(n)+Tir4(n−1)+Tir4(n−2)…Tir4(n−15)}/16)。
なお、熱電対部Dr2、Dr3、Dr4は乗員着衣の一部(肩、胸腹、太股)の表面温度をそれぞれ検出する役割を果たす。
以上のように、平均値RrDrShoulder、平均値RrDrbody、平均値RrDrlegを算出すると、これら3つの平均値RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrleg、設定温度信号RrTsetDr、外気温度信号Tam、日射量信号TsDrなどに基づいて、車室内の空調ゾーン1cに吹き出す空気の目標吹出温度RrTAODrを算出する(ステップS123)。
この目標吹出温度RrTAODrは、車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、後席右側空調ゾーン1cの温度を設定温度RrTsetDrに維持するために必要な目標温度である。以下、目標吹出温度RrTAODrの算出について図9のフローチャートを用いて説明する。
先ず、内気温度センサ85からの内気温度信号TrRrに基づいて、車室内の空調ゾーン1cの内気温(図9中のTrに相当する)が20℃以上35℃未満であるか否かを判定する(ステップS1231)。
ここで、空調ゾーン1cの内気温が20℃以上35℃であるときには、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1cへの制御状態が定常状態であるとして、ステップS1231にてYESと判定する。
これに伴い、外気温度センサ81からの外気温度信号Tamに基づいて、現在が冬期である否かを判定する(ステップS1232)。例えば、外気温が10℃未満であるときには現在が冬期であるとしてYESと判定する。これに伴い、3つの平均値RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegに基づいて、空調ゾーン1cに人が乗車したか否かを次のように判定する(ステップS1233)。
ここで、3つの平均値RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegは、後席空調処理の実行毎に算出されるものである。このため、今回算出されたこれら3つの平均値と、前回算出された3つの平均値を区別するために、今回算出された3つの平均値をRrDrShoulderNEW、RrDrbodyNEW、RrDrlegNEWと呼び、前回の平均値をRrDrShoulderOLD、RrDrbodyOLD、RrDrlegOLDと呼ぶ。
そして、下記の関係式5〜7のうち2つ以上の関係式が成立する否かを判定する。すなわち、肩、胸腹、太股に関する平均温度について二つ以上の平均温度が3℃低下したか否かを判定することになる。
RrDrShoulderNEW−RrDrShoulderOLD≦−3
…(数式5)
RrDrbodyNEW−RrDrbodyOLD≦−3…(数式6)
RrDrlegNEW−RrDrlegOLD≦−3…(数式7)
ここで、下記の関係式5〜7のうち2つ以上の関係式が成立する場合には、空調ゾーン1cに人が乗車したとしてYESと判定する。以下、このYESと判定したタイミングを乗車時刻という。
次に、図9中の特性グラフG1、および、乗車時刻から経過した経過期間tに基づいて、時定数τを決定する。この時定数τは、後述するように目標吹出温度RrTAODrの算出に用いられる。例えば、経過期間tが2sec未満ならば、時定数τを180secとし、経過期間tが2sec以上ならば、時定数τを30secとする。
一方、上述のステップS1233において数式5〜数式7の関係式のうち成立する関係式が二つ未満のときには、空調ゾーン1cに人が乗車していないとしてNOと判定して、時定数τを30secとする(ステップS1236)。
また、空調ゾーン1cの内気温が20℃未満、或いは35℃以上であるときには、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1cへの制御状態が過度状態であるとして、ステップS1231にてNOと判定して、時定数τを30secとする(ステップS1236)。
また、上述のステップS1232において、外気温が10℃以上であるときには夏期であるとしてNOと判定する。このとき、下記の関係式8〜10のうち2つ以上の関係式が成立する否かを判定する。すなわち、肩、胸腹、太股に関する平均温度について二つ以上の平均温度が2.5℃以上上昇したか否かを判定することになる。
RrDrShoulderNEW−RrDrShoulderOLD≦2.5
…(数式8)
RrDrbodyNEW−RrDrbodyOLD≦2.5…(数式9)
RrDrlegNEW−RrDrlegOLD≦2.5…(数式10)
ここで、下記の関係式8〜10のうち2つ以上の関係式が成立する場合には、空調ゾーン1cに人が乗車したとしてYESと判定する。以下、このYESと判定したタイミングを乗車時刻という。
続いて、ステップS1234に移行して、上述と同様に、図9中の特性グラフG1、および、乗車時刻から経過した経過期間tに基づいて、時定数τを決定する。例えば、経過期間tが2sec未満ならば、時定数τを180secとし、経過期間tが2sec以上ならば、時定数τを30secとする。
一方、上述のステップS1235において数式8〜数式10の関係式のうち成立する関係式が二つ未満のときには、空調ゾーン1cに人が乗車していないとしてNOと判定して、時定数τを30secとする(ステップS1236)。
以上のように時定数τを決定すると、この時定数τを用いて後述するように着衣補正温度RrTirDr(平均)を算出し、この着衣補正温度RrTirDr(平均)、希望温度RrTsetDr、外気温度信号Tam、日射量信号TsDrを数式11に代入して目標吹出温度RrTAODrを算出する(ステップS1237)。
RrTAODr=7×RrTsetD−3×RrTirDr(平均)
−1.1×Tam−1.5×TsDr−65…(数式11)
ここで、「7」は後席右側用温度設定ゲイン、「3」は後席右側用IRゲイン、「1.1」は外気温ゲイン、「1.5」は右側日射ゲイン、「65」は後席右側用補正定数である。
以下に、着衣補正温度RrTirDr(平均)の算出について説明すると、上述の如く算出されたRrDrShoulderNEWと、RrDrbodyNEWと、RrDrlegNEWとを平均化した平均値(以下、今回の着衣温度RrDrTirNEWという。)を算出する{RrDrTirNEW=(RrDrShoulderNEW+RrDrbodyNEW+RrDrlegNEW)/3}。
次に、RrDrShoulderOLDと、RrDrbodyOLDと、RrDrlegOLDとを平均化した平均値(以下、前回の着衣温度RrDrTirOLDという。)を算出する{RrDrTirOLD=(RrDrShoulderOLD+RrDrbodyOLD+RrDrlegOLD)/3}。
また、以下、3つの値RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegを平均化した値を単に着衣温度RrDrTirという(RrDrTir=(RrDrShoulder+RrDrbody+RrDrleg)/3)。
続いて、着衣温度RrDrTirの変化量(RrDrTirOLD−RrDrTirNEW:)が時間遅れをもって変化し、かつ、例えば4sec(更新時間)毎に更新させるように着衣温度RrDrTirを補正する。但し、当該時間遅れは、上述した時定数τによって規定されるものである。
具体的には、数式9に、RrDrTirの変化量、つまり、偏差E(=RrDrTirNEW−RrDrTirOLD)、および、時定数τを数式12の飽和曲線KO(t)に代入する。
KO(t)=E(1−exp(−t/τ))…(数式12)
ここで、τが180secの場合には、τ:180secをKO(t)に代入すると、KO(t)は、図10に示すように飽和特性となり、KO(t)に更新時間4secをtとして代入して関数値KO(4)を補正着温度RrTirDr(平均)とする。なお、KO(t)は、時刻tに180sec(=τ)を代入したときに、E×0.632の値となる関数である。
一方、τが30secである場合には、τ:30secをKO(t)に代入すると、KO(t)は、図11に示すように飽和特性となり、KO(t)に更新時間4secをtとして代入して関数値KO(4)を補正着衣温度RrTirDr(平均)とする。なお、KO(t)は、時刻tに30sec(=τ)を代入したときに、E×0.632の値となる関数である。
次に、車室内の後席右側空調ゾーン1dに吹き出す空気の目標吹出温度RrTAOPaの算出について説明する。なお、目標吹出温度RrTAOPaの算出は、対象となる空調ゾーンが異なるだけで、目標吹出温度RrTAODrの算出と実質的に同様であるので、目標吹出温度RrTAOPaの算出の説明については簡素化する。
この目標吹出温度RrTAOPaは、車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、後席右側空調ゾーン1dの温度を設定温度RrTsetPaに維持するために必要な目標温度である。以下、目標吹出温度RrTAOPaの算出について図9のフローチャートを用いて説明する。
先ず、マトリックスIRセンサ70aにおけるRrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegと同様、マトリックスIRセンサ70bにおいてもその検出温度信号Tir2〜Tir4に基づいて乗員着衣の一部、つまり、肩、胸腹、太股の表面温度の平均値:RrPaShoulder、RrPabody、RrPalegを算出する。
ここで、RrPaShoulder、RrPabody、RrPalegにおいて、今回の値と前回の値とを区別するために、前回のRrPaShoulder、RrPabody、RrPalegをRrPaShoulderOLD、RrPabodyOLD、RrPalegOLDという。今回のRrPaShoulder、RrPabody、RrPalegをRrPaShoulderNEW、RrPabodyNEW、RrPalegNEWという。また、RrPaShoulderと、RrPabodyと、RrPalegとを平均化した値を、以下、着衣温度RrPaTirという。
続いて、内気温度センサ85から出力される内気温度信号TrRrに基づいて、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1dへの制御状態が定常状態であるか否かを判定する(ステップ1231)。そして、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1dへの制御状態が定常状態であるときには、外気温度センサ81からの外気温度信号Tamに基づいて、現在が冬期である否かを判定する(ステップS1232)。
ここで、冬期であるとしてステップS1232でYESと判定したときには、上述と同様に、RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegに基づいて、空調ゾーン1dに人が乗車したか否かを判定する(ステップS1233)。
そして、空調ゾーン1dに人が乗車したと判定したときには、上述と同様に、図9中の特性グラフG1、および、乗車時刻から経過した経過期間tに基づいて、時定数τとして、180sec、30secのうちいずれか一方の値を決定する(ステップS1234)。
一方、ステップS1232において、外気温度センサ81からの外気温度信号Tamに基づいて、現在が冬期でなく、夏であるとしてNOと判定したときには、上述と同様に、RrPaShoulder、RrPabody、RrPalegに基づいて、空調ゾーン1dに人が乗車したか否かを判定する(ステップS1235)。
そして、空調ゾーン1dに人が乗車したと判定したときには、上述と同様に、図9中の特性グラフG1、および、乗車時刻から経過した経過期間tに基づいて、時定数τとして、180sec、30secのうちいずれか一方の値を決定する(ステップS1234)。
また、ステップS1236において、空調ゾーン1dに人が乗車していないとしてNOと判定すると、時定数τを30secとし、また、空調ゾーン1dの内気温が20℃未満、或いは35℃以上であるときには、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1dへの制御状態が過度状態であるとして、ステップS1231にてNOと判定して、時定数τを30secとする(ステップS1236)。
以上のように時定数τを決定すると、この時定数τを用いて後述するように着衣補正温度RrTirPa(平均)を算出し、このRrTirPa(平均)、希望温度RrTsetPa、外気温度信号Tam、日射量信号TsPaを数式13に代入して目標吹出温度RrTAOPaを算出する。
RrTAOPa=7×RrTsetD−3×RrTirPa(平均)
−1.1×Tam−1.5×TsPa−65…(数式13)
ここで、「7」は後席右側用温度設定ゲイン、「3」は後席右側用IRゲイン、「1.1」は外気温ゲイン、「1.5」は右側日射ゲイン、「65」は後席右側用補正定数である。
以下、RrTirPa(平均)の算出についてその概略を説明する。
先ず、RrPaShoulderNEW、RrPabodyNEW、RrPalegNEWの検出平均値:RrPaTirNEWを算出する{RrPaTirNEW=(RrPaShoulderNEW+RrPabodyNEW+RrPalegNEW)/3}。
次に、RrPaShoulderOLD、RrPabodyOLD、RrPalegOLDを平均して検出平均値:RrPaTirOLDを算出する{RrPaTirOLD=(RrPaShoulderOLD+RrPabodyOLD+RrPalegOLD)/3}。
その後、着衣温度RrPaTirの変化量(RrPaTirOLD−RrPaTirNEW:)が時間遅れをもって変化し、かつ、例えば4sec(更新時間)毎に更新させるように着衣温度RrPaTirを補正する。但し、当該時間遅れは、上述した時定数τによって規定されるものである。
具体的には、τが180secの場合には、上述の数式11に示す飽和曲線KO(t)に、τ:180sec、更新時間t:4secを代入した関数値KO(4)を着衣補正温度RrTirDr(平均)とする。一方、時定数が30secの場合には、τとして30sec、更新時間tとして4secを代入した関数値KO(4)を着衣補正温度RrTirDr(平均)とする。
その後、内外気モードの決定処理(ステップS124)を実行せずに(これは、後席空調では外気モードが設定されていないため)、吹出口モードの決定処理(ステップS125)を実行する。この吹出口モードの決定処理では、RrTAODr、TAORrPaに基づき、図6により吹出口モードを後席側の空調ゾーン1c、1dに対して個別に決定する。
具体的には、空調ゾーン1cの吹出口モードとしては、図7中のTAOをRrTAODrとし、このRrTAODrが上昇するにつれて吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。また、空調ゾーン1dの吹出口モードとしては、図7中のTAOをTAORrPaとし、このTAORrPaが上昇するにつれて吹出口モードをフェイスモード→バイレベルモード→フットモードと順次自動的に切り替える。
ここで、フェイスモードでは、吹出口切替ドア66a(66b)にてフェイス吹出口2c(2d)を開口し、フェイス吹出口2c(2d)のみから空調風が車室内の乗員上半身側へ吹き出す。バイレベルモードは、吹出口切替ドア66a(66b)にてフェイス吹出口2c(2d)およびフット吹出口(図示せず)を開口し、空調風がフェイス吹出口2c(2d)およびフット吹出口から車室内の乗員上半身側および乗員下半身側へ同時に吹き出す。フットモードは、吹出口切替ドア(図示せず)にてフット吹出口を全開し、フット吹出口から主に空調風が車室内の乗員下半身側へ吹き出す。
次に、上述の目標吹出温度RrTAODr、TAORrPaの平均値(以下、後席用目標平均値という)を求め、この後席用目標平均値に基づき、図8の制御マップにしたがって、送風機モータ52aの場合と同様、送風機モータ62aに印加するブロワ電圧を決定する(ステップS126)。
次に、エアミックスドア65a、65bの目標開度θ3、θ4を次の数式14、15によって算出する。なお、TeRrは蒸発器温度センサ87の蒸発器温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水温度信号である。
θ3={(RrTAODr−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%)・・・(数式14)
θ4={(TAORrPa−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%)・・・(数式15)
なお、数式7、8において、TeRrは蒸発器温度センサ87の蒸発器温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水(温水)温度信号である。θ3=0%およびθ4=0%は、最大冷房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて、後席側のエバポレータ63通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路61a、61bを流れる。また、θ3=100%およびθ4=100%は、最大暖房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて、後席側のエバポレータ63通過後の空気(冷風)の全量がコアヒータ64に流入して加熱される。
以上のように決定したブロワ電圧、目標開度θ3、θ4、内外気切替モード、吹出モードのそれぞれを示す各制御信号を送風機モータ62aおよびサーボモータ650a、650b、660a、660b等に出力して送風機62、エアミックスドア65a、65b、吹出口切替ドア66a、66bの作動を制御する(ステップS128)。
その後、ステップS130において一定期間経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121、S122、S123、S125〜S130)が繰り返される。このような処理の繰り返しによって後席の空調ゾーン1c、1dの空調が自動的に制御されることになる。
以下に、本第1実施形態の作用効果について説明する。すなわち、本実施形態の車両用空調装置は、車室内の後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれを独立して空調する後席用空調ユニット6と、後席右側及び後席左側の乗員の着衣(肩、胸腹、太股)の表面温度を検出するためのIRセンサ70a(70b)と、後席用空調ユニット6を制御して空調ゾーン1c、1dのそれぞれの空調状態を独立して制御するエアコンECU8と、を備えている。
そして、エアコンECU8は、空調ゾーン1c(1d)に人が乗車したと判定したときには、IRセンサ70a(70b)により検出される着衣温度RrDrTir(RrPaTir)の変化量に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させる。
具体的には、エアコンECU8は、着衣温度RrDrTir(RrPaTir)の変化量を時間遅れをもって変化させるように着衣温度RrDrTirを補正してその補正着衣温度RrTirDr(平均)(RrTirPa(平均))に基づいて、目標吹出温度RrTAODr(RrTAOPa)を算出する。そして、後席用空調ユニット6を制御して空調ゾーン1c(1d)に吹き出させる吹出温度を目標吹出温度RrTAODr(RrTAOPa)に近づける。
したがって、例えば、冬期にて乗員が着衣の表面温度が低い温度状態で乗車した場合には、室温により影響されて着衣温度が短期間で上昇してしまうものの、電子制御装置8が、乗員の着衣温度(すなわち、IRセンサ70a(70b)の検出値)の上昇に時定数τ(180sec)にて時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させることができる。
このため、空調ゾーン1c(1d)に吹き出す吹出空気温度が低下するのに時間遅れが生じるため、乗員が吹出空気温により“暖かい”と感じるまで、吹出空気温度を高い状態に保持することができる。したがって、乗車直後の乗員に対して空調風による快適感を充分に与えることができる。
一方、例えば、夏期にて乗員が着衣の表面温度が高い温度状態で乗車した場合には、室温により影響されて着衣温度が短期間で低下してしまうものの、電子制御装置8が、乗員の着衣温度(すなわち、IRセンサ70a(70b)の検出値)の低下に時定数τ(180sec)にて時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させることができる。
このため、空調ゾーン1c(1d)に吹き出す吹出空気温度が上昇するのに時間遅れが生じるため、乗員が吹出空気温により“冷たい”と感じるまで、吹出空気温度を低い状態に保持することができる。したがって、乗車直後の乗員に対して空調風による快適感を充分に与えることができる。
ところで、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1c(1d)の制御状態が過度状態であるときには、そもそも、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1c(1d)への送風量が多くなっている。このため、電子制御装置8が、空調ゾーン1c(1d)の制御状態が過度状態であるときに、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させると、乗員の乗車直後の着衣温度に対応して、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1c(1d)への送風量が、益々、多くなり、乗員に違和感を与える可能性がある。
これに対して、本実施形態では、電子制御装置8が、空調ゾーン1c(1d)の制御状態が定常状態であるときに、空調ゾーン1c(1d)に人が乗車したと判定すると、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させる。このため、風量の増加による違和感を乗員に与えることを未然に防ぐことができる。
ここで、電子制御装置8が、内気温度センサ85の検出信号を利用して、特別な部材、処理などを用いないで、空調ゾーン1c(1d)の制御状態が定常状態であるか否かを判定する。このため、大幅のコストアップを招くことなく、空調ゾーン1c(1d)の制御状態が定常状態であるか否かを判定することができる。
さらに、本発明者等の検討によれば、人が乗車してからその人が“暑い”、“寒い”と感じるのも、約2sec程度の期間だけである。
そこで、本実施形態によれば、電子制御装置8は、人が乗車したと判定してから2secだけ、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化が時定数τ:180secをもって変化するようにIRセンサ70a(70b)の検出値を補正するとともに、この補正された補正検出値に基づいて後席用空調ユニット6を制御する。このため、人が乗車してから2sec間にて“暑い”、“寒い”と感じるのを解消することができる。
また、人が乗車したと判定してから約2sec以後では、時定数τを下げて30secにしているので、IRセンサ70a(70b)の検出値(着衣温度など)の変化に対する後席用空調ユニット6の応答性を高めることができる。
さらに、着座するに際して座席に加わる加重を検出して乗員の着座を検出する着座センサを用いて、人が乗車したか否かを判定することができる。この場合には、乗員の着衣温度の変化量に関わらず、人が乗車したか否かを判定することができる。
これに対して、本実施形態では、電子制御装置8は、IRセンサ70a(70b)の検出値に基づいて、人が乗車したか否かを判定する。このため、乗員の着衣温度の変化量に基づいて、人が乗車したか否かを判定することができるので、本当に乗員が暑い(或いは寒い)ときに、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させることができる。
さらに、本発明者等の検討によれば、煙草の火、アイスクリーム、冷えた缶珈琲など冷温物体がIRセンサ70a(70b)の検出範囲内に入ると、冷温物体の検出値に基づいて後席用空調ユニット6の空調状態(例えば、送風量)が急激に変わって乗員に違和感を与える可能性がある。
これに対して、本実施形態によれば、乗車時刻前、および一定期間以降においても、時定数τ:30secを用いて、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させるようにしている。このため、煙草の火、アイスクリーム、冷えた缶珈琲など冷温物体がIRセンサ70a(70b)の検出範囲内に入っても、冷温物体の検出値に基づいて後席用空調ユニット6の空調状態(例えば、送風量)が急激に変わって乗員に違和感を与えることを未然に防ぐことができる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、乗車直後の乗員に対して空調風(温風、冷風)による快適感を充分に与えるために、電子制御装置8が、人が乗車したと判定したときから、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させるようにした例について説明したが、これに代えて、本第2実施形態では、次のように、IRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を変更して、乗車直後の乗員に対して空調風(温風、冷風)による快適感を充分に与える。
本実施形態では、電子制御装置8は、図9のフローチャートに代わる図12、図13のフローチャートにしたがって、目標吹出温度の算出処理を実行する。以下、本実施形態の目標吹出温度の算出処理について説明する。なお、図12、図13において、図9と同一符号は同一処理、或いは実質的同一処理を示す。
先ず、電子制御装置8は、図12、図13のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。
すなわち、図12のステップS1231にて、内気温度センサ85からの内気温度信号TrRrに基づいて、車室内の空調ゾーン1cへの制御状態が定常状態であるとしてYESと判定し、かつ、ステップS1232にて、外気温度センサ81からの外気温度信号Tamに基づいて、現在が冬期であるとしてYESと判定すると、ステップS1233に移行する。そして、この判定処理において、人が乗車したとしてYESと判定すると、ステップS1234Aに移行して、後述する目標吹出温度の補正項RrRirekiDrを算出する。
すなわち、このRrRirekiDrは、{f1×(RrTirDr(平均)のバランス点−RrTirDr(平均))}で表される式で算出される補正項であり、係数f1は、図10中の矢印Cの制御マップで決定され、この制御マップは、縦軸を係数f1とし、横軸を「乗車時刻からの経過時間」とするグラフであり、乗車時刻以前はf1が「0」であり、時間経過に伴い係数f1が「乗員の乗車判定」から所定時間td(例えば、2秒)までは、「3」から徐々に小さくなり、所定時間td以降になると係数f1は「0」になる。
このため、乗車時刻から所定時間td(例えば2min)の間では、マトリックスIRセンサ70aの検出温度が、乗車時刻以前に比べて、RrTAODrの算出に大きく寄与させる。そして、RrTAODrの算出に対する検出温度の寄与度は、乗車時刻後にて時間経過に伴い小さくなる。
ここで、RrTirDr(平均)のバランス点とは、(肩の表面温度のバランス点)、(胸腹の表面温度のバランス点)及び(太股の表面温度のバランス点)の平均値である。肩、胸腹、太股の表面温度のバランス点は、温度設定スイッチ11の設定温度を25°とした場合において、空調制御が定常状態になったときのそれぞれの箇所の検出温度である。
また、RrTirDr(平均)は、上述の第1実施形態で説明した着衣補正温度であって、例えば、tとしての4sec、τとしての30secを数式12の飽和曲線KO(t)に代入することにより求められる。
また、図12のステップS1231にて、車室内の空調ゾーン1cへの制御状態が定常状態であるとしてYESと判定し、かつ、ステップS1232にて、現在が冬期でなく、夏期あるとしてNOと判定すると、図13のステップS1235に移行する。そして、この判定処理において、人が乗車したとしてYESと判定すると、ステップS1234Bに移行して、後述する目標吹出温度の補正項RrRirekiDrを算出する。
すなわち、このRrRirekiDrは、{f1×(RrTirDr(平均)のバランス点−RrTirDr(平均))}で表される式で算出される補正項であり、係数f1は、図13中の矢印Cの制御マップで決定され、この制御マップは、縦軸を係数f1とし、横軸を「乗車時刻からの経過時間」とするグラフであり、乗車時刻以前はf1が「0」であり、時間経過に伴い係数f1が「乗員の乗車判定」から所定時間td(例えば、2秒)までは、「3」から徐々に小さくなり、所定時間td以降になると係数f1は「0」になる。
このため、乗車時刻から所定時間td(例えば2min)の間では、マトリックスIRセンサ70aの検出温度が、その乗車時刻以前に比べて、RrTAODrに大きく寄与する。
具体的には、冬期では、検出温度の低さがRrTAODrの算出に大きく寄与し、夏期では、検出温度の高さがRrTAODrの算出に大きく寄与し、そして、このRrTAODrの算出に対する検出温度の寄与度は、乗車時刻後の時間経過に伴い徐々に小さくなる。
また、ステップS1231でNOと判定したときに係数f1を「0」とし、またステップS1233でNOと判定したときに係数f1を「0」とする。
以上にように補正項RrRirekiDrを算出すると、このRrRirekiDr以外に、着衣補正温度RrTirDr(平均)、希望温度RrTsetDr、外気温度信号Tam、日射量信号TsDrを数式16に代入して、後席右側空調ゾーン1cの目標吹出温度RrTAODrを算出する。
RrTAODr=7×RrTsetD−3×RrTirDr(平均)
−1.1×Tam−1.5×TsDr
+RrRirekiDr−65…(数式16)
ここで、「7」は後席右側用温度設定ゲイン、「3」は後席右側用IRゲイン、「1.1」は外気温ゲイン、「1.5」は右側日射ゲイン、「65」は後席右側用補正定数である。
次に、車室内の後席右側空調ゾーン1dに吹き出す空気の目標吹出温度RrTAOPaの算出について説明する。なお、目標吹出温度RrTAOPaの算出は、対象となる空調ゾーンが異なるだけで、目標吹出温度RrTAODrの算出と実質的に同様であるので、目標吹出温度RrTAOPaの算出の説明については簡素化する。以下、目標吹出温度RrTAOPaの算出について図12、13のフローチャートを用いて説明する。
先ず、図12のステップ1231において、後席用空調ユニット6による空調ゾーン1dへの制御状態が定常状態であるとして、YESと判定し、かつ、現在、冬期であるとしてステップS1232でYESと判定したときには、空調ゾーン1dに人が乗車したか否かを判定する(ステップS1233)
そして、空調ゾーン1dに人が乗車したと判定したときには、ステップS1234Aに移行して、後述する目標吹出温度の補正項RrRirekiPaを算出する。なお、図12のステップS1234Aは、補正項RrRirekiPaではなく、補正項RrRirekiDrについて示している。
すなわち、このRrRirekiPaは、{f1×(RrTirPa(平均)のバランス点−RrTirPa(平均))}で表される式で算出される補正項であり、係数f1は、図13中の矢印Cの制御マップで決定され、この制御マップは、縦軸を係数f1とし、横軸を「乗車時刻からの経過時間」とするグラフであり、乗車時刻以前はf1が「0」であり、時間経過に伴い係数f1が「乗員の乗車判定」から所定時間td(例えば、2秒)までは、「3」から徐々に小さくなり、所定時間td以降になると係数f1は「0」になる。
このため、乗車時刻から所定時間td(例えば2min)の間では、その乗車時刻以前に比べて、マトリックスIRセンサ70bの検出温度がRrTAOPaの算出に大きく寄与する。
具体的には、冬期では、検出温度の低さがRrTAOPaの算出に大きく寄与し、夏期では、検出温度の高さがRrTAOPaの算出に大きく寄与する。そして、RrTAOPaの算出に対する寄与度は、乗車時刻後の時間経過に伴い徐々に小さくなる。
また、ステップS1231でNOと判定したときに係数f1を「0」とし、またステップS1233でNOと判定したときに係数f1を「0」とする。
また、RrTirPa(平均)のバランス点は、上述の第1実施形態で説明したRrTirPa(平均)のバランス点と同様であり、RrTirPa(平均)は、上述の第1実施形態で説明した着衣補正温度であって、例えば、tとしての4sec、τとしての30secを数式12の飽和曲線KO(t)に代入することにより求められる。
以上にように補正項RrRirekiPaを算出すると、このRrRirekiPa以外に、着衣補正温度RrTirPa(平均)、希望温度RrTsetPa、外気温度信号Tam、日射量信号TsPaを数式17に代入して、後席右側空調ゾーン1cの目標吹出温度RrTAOPaを算出する。
RrTAOPa=7×RrTsetD−3×RrTirPa(平均)
−1.1×Tam−1.5×TsPa
+RrRirekiPa−65…(数式17)
ここで、「7」は後席右側用温度設定ゲイン、「3」は後席右側用IRゲイン、「1.1」は外気温ゲイン、「1.5」は右側日射ゲイン、「65」は後席右側用補正定数である。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車室内の後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれを独立して空調する後席用空調ユニット6と、後席右側及び後席左側の乗員の着衣(肩、胸腹、太股)の表面温度を検出するためのIRセンサ70a、70bと、IRセンサ70a、70bの各検出値に基づいて、後席用空調ユニット6を制御して空調ゾーン1c、1dのそれぞれを独立して空調する電子制御装置8と、を備えている。
そして、電子制御装置8は、人が空調ゾーン1c(1d)に乗り込んだと判定した場合には、その空調ゾーン1c(1d)への乗車する時刻前に比べて、後席用空調ユニット6の制御に対するIRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を大きくする。
これに伴い、IRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を大きくすることにより、検出値が低い場合程、空調ゾーン1c(1d)への吹出空気温度が高くなり、検出値が高い場合程、空調ゾーン1c(1d)への吹出空気温度が低くなる。
したがって、例えば、冬期にて乗員が着衣の表面温度が低い温度状態で乗車した場合には、乗車しても検出値の寄与度を一定にする場合に比べて、空調ゾーン1c(1d)に吹き出す吹出空気温度を高くすることができるので、乗車直後の乗員に対して温風による快適感を充分に与えることができる。
一方、夏期にて乗員が着衣の表面温度が高い温度状態で乗車した場合には、乗車しても検出値の寄与度を一定にする場合に比べて、空調ゾーン1c(1d)に吹き出す吹出空気温度を低くすることができるので、乗車直後の乗員に対して冷風による快適感を充分に与えることができる。
さらに、本発明者等の検討によれば、人が乗車してからその人が“暑い”、“寒い”と感じるのも、約2sec程度の期間だけである。そこで、本実施形態によれば、電子制御装置8は、人が乗車したと判定してから2secだけ、IRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を上げてその2sec間以降では、その寄与度を下げている。このため、人が乗車してから2sec間にて“暑い”、“寒い”と感じるのを解消することができる。また、人が乗車したと判定してから約2sec以後では、日射量などの変化に対する後席用空調ユニット6の動作の応答性を高めることができる。
以下、上記第1、第2実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、前席用空調ユニット5および後席用空調ユニット6のうち一方が空調手段に相当する。請求項1に記載の制御手段は、「エアコンECU8、S1233〜S1236、S123、S128の制御処理」から構成されており、マトリックスIRセンサ70a、70bがそれぞれ非接触温度センサに相当し、「2sec」が一定期間に相当し、関数値KO(4)(τ=180sec)が補正検出値に相当し、RrTAODr、RrTAOPaが目標吹出温度に相当し、請求項8に記載の制御手段は、エアコンECU8、S1233〜S1236、S1234A、S1234B、S123、S128」から構成されており、「後席用空調ユニット6による空調ゾーン1dへの制御状態が定常状態であること」が、「空調手段の制御状態が定常状態であること」に相当する。エアミックスドア65a、65bが温度調整手段に相当する。また、内気温度センサ85が内気温検出手段に相当する。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、人が着座(すなわち乗車)したと判定したときから、所定期間、空調能力を増強して、乗車直後の乗員に対して短期間で空調風(温風、冷風)による快適感を充分に与える。以下、後席側空調ゾーン1cの後席空調処理について図14〜図21を参照して説明する。
本実施形態のマトリックスIRセンサ70aには、熱電対部Drr1〜Drr4が設けられており、熱電対部Drr1〜Drr3の被検温範囲は、図14に示すように、後席側空調ゾーン1cの乗員にあたる領域に形成される。
具体的には、熱電対部Drr1の被検温範囲は、図15に示すように、乗員の胸部にあたる領域(乗員の着衣領域)に形成され、熱電対部Drr2の被検温範囲は、乗員の腹部にあたる領域(乗員の着衣領域)に形成される。そして、熱電対部Drr3の被検温範囲は、乗員の腰部、太股部にあたる領域(乗員の着衣領域)に形成され、熱電対部Drr4の被検温範囲は、リアトレーの領域に形成される。
次に、本実施形態の後席空調処理において電子制御装置8による目標吹出温度RrTAODrの算出処理について図16〜図22を用いて説明する。図16〜図19は、目標吹出温度の算出処理を示すフローチャートであり、このフローチャートは、上述の第1実施形態で用いた図9のフローチャートに代えて用いられる。目標吹出温度の算出処理は、電子制御装置8によって一定期間毎に繰り返し行われるものである。
先ず、熱電対部Drr1〜Drr4から出力される検出温度信号が、一定期間毎(具体的には250msec毎)に読み込まれて、熱電対部Drr1〜Drr4の検出温度Tirr1(n)〜Tirr4(n)(nはサンプリング回数である)が一定期間毎に取得される。
そして、今回検出される検出温度と前回以前に検出される検出温度との平均値AvTir1(n)〜AvTir4(n)を熱電対部毎に算出する(S2000)。
先ず、熱電対部Drr1により今回検出された検出温度Tirr1(n)と、前回以前に検出された15個の検出温度Tirr1(n−1)、Tirr1(n−2)…Tirr1(n−15)との平均値AvTir1(n)=〈{(Tirr1(n)+Tirr1(n−1)+Tirr1(n−2)+…+Tirr1(n−15))/16}〉を算出する。
次に、熱電対部Drr2により今回検出された検出温度Tirr2(n)と、前回以前に検出された15個の検出温度Tirr2(n−1)、Tirr2(n−2)…Tirr2(n−15)との平均値AvTir2(n)=〈{(Tirr2(n)+Tirr2(n−1)+Tirr2(n−2)+…+Tirr2(n−15))/16}〉を算出する。
次に、熱電対部Drr3により今回検出された検出温度Tirr3(n)と、前回以前に検出された15個の検出温度Tirr3(n−1)、Tirr3(n−2)…Tirr3(n−15)との平均値AvTir3(n)=〈{(Tirr3(n)+Tirr3(n−1)+Tirr3(n−2)+…+Tirr3(n−15))/16}〉を算出する。
以上のように平均値AvTir1(n)〜AvTir3(n)が算出されると、次に、外気温度センサ81から出力される外気温度信号Tamに基づいて、外気温が10℃未満か否かを判定する(ステップS2010)。このことにより、季節が冬期か否かを判定することになる。
そして、外気温が10℃未満であるときには、季節が冬期であるとして、YESと判定して、ステップS2020に移行する。ここで、上述の如く算出されるAvTir1(n)〜AvTir3(n)と、温度補正データHTir1(n−1)〜HTir3(n−1)とを用いて、後席側空調ゾーン1cの座席(後側運転座席)に乗員が乗り込んだか否かを判定する。
ここで、温度補正データは、後述するごとく、検出温度信号に対してそれぞれの熱電対部の検出値変化に時定数τを持って時間遅れを持たせるように補正し、かつ4sec毎に更新されるものである。そして、HTir1(n−1)〜HTir3(n−1)は、前回、算出された温度補正データである。
以下、乗員が乗り込んだか否かの判定処理について説明すると、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間(具体的には1分)以内である場合において、(1)〜(3)の条件を全て満たしているか否かを判定する(ステップS2020)。
(1)AvTir1(n)−HTir1(n−1)≦−3
& AvTir2(n)−HTir2(n−1)≦−3
(2)AvTir2(n)−HTir2(n−1)≦−3
& AvTir3(n)−HTir3(n−1)≦−3
(3)AvTir3(n)−HTir3(n−1)≦−3
& AvTir1(n)−HTir1(n−1)≦−3
ここで、車速の検出には、車速センサから出力信号は用いられ、また、乗員が乗降するためのドアの開放を検出するために、ドアの開放に伴い閉じる常開型スイッチが用いられ、この常開型スイッチから出力されるスイッチ信号に応じて、ドアの開放が検出される。
そして、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられて、一定期間以内である場合において、(1)〜(3)の条件を全て満たしているときには、乗員が乗り込んだとして、YESと判定して、ステップS2030に移行して、「乗員が乗り込んだと判定してから経過した経過時間f3」を算出する。
ここでは、乗員が乗り込んだと判定する直前において熱電対部Drr1〜熱電対部Drr3により検出された乗り込み判定直前検出温度Tirr1Off〜Tirr3Offの平均値V1「={Tirr1Off+Tirr2Off+Tirr3Off}/3」を算出する。
更に、熱電対部Drr1〜Drr3により今回検出される検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)の平均値V2「={Tirr1(n)+Tirr2(n)+Tirr3(n)}/3」を算出する。
そして、双方の平均値の差ΔT[=V2−V1]と図中の制御マップに基づいて経過時間f3を算出する。図中の制御マップでは、ΔT<−10℃未満のときには、経過時間f3を180秒と見なし、0℃≧ΔT≧−10℃未満のときには、ΔTが上昇するにつれて経過時間f3が180秒から徐々に0秒まで低下し、更に、ΔT>0のときには、経過時間f3を0秒と見なす。
以上のように経過時間f3を算出すると、ステップS2050に移行して、経過時間f3と、図中の制御マップに基づいて時定数τ(これは、後述する如く、温度補正データの算出に用いられる)を算出する。図中の制御マップでは、0秒≦f3≦4秒のときには、時定数τ=1と見なし、f3>4秒のときには、時定数τ=60と見なす。
次のステップS2060では、経過時間f3と図中の制御マップに基づいて、制御係数f1(これは、後述する如く、目標吹出温度の後席右側用補正定数の算出に用いられる)。図中の制御マップでは、f3が大きくなるにつれて制御係数f1が徐々に小さくなる。
以上のように、f1、τを算出すると、ステップS2070Bに移行して、目標吹出温度の後席右側用補正定数RrRirekiDrを算出する。
先ず、温度補正データHTir1(n−1)〜HTir3(n−1)を算出する。すなわち、平均値AvTir1(n)と前回の温度補正データHTir1(n−1)との間の偏差E{=AvTir1(n)−HTir1(n−1)}を算出して、その偏差E、および時定数τを上述の数式12の飽和曲線KO(t)(図21、図22参照)に代入する。このように求められるKO(t)に更新時間4secをtとして代入して関数値KO(4)をHTir1(n)とする。なお、図21は、時定数τ=1secの場合の飽和曲線を示し、図22は、時定数τ=60secの場合の飽和曲線を示す。
そして、検出温度信号Tirr2(n)の場合と同様、平均値AvTir2(n)と前回の温度補正データHTir2(n−1)との間の偏差E{=AvTir2(n)−HTir2(n−1)}を算出して、その偏差E、および時定数τを数式12の飽和曲線KO(t)に代入する。この代入されたKO(t)に更新時間4secをtとして代入して関数値KO(4)をHTir2(n)とする。
次に、Tirr1(n)、Tirr2(n)の場合と同様に、検出温度信号Tirr3(n)の温度補正データHTir3(n)を算出する。
以上のように、今回の温度補正データHTir1(n)〜HTir3(n)を算出すると、HTir1(n)〜HTir3(n)の平均値V3{HTir1(n)+HTir2(n)+HTir3(n)}/3を算出し、その平均値V3と、上述の平均値V1との差ΔT(=V3−V1)を算出する。なお、平均値V1は、乗り込み判定直前検出温度Tirr1Off〜Tirr3Offの平均値(V1={Tirr1Off+Tirr2Off+Tirr3Off}/3)である。
さらに、このように平均値V3、V1の差ΔT(=V3−V1)を算出すると、このΔT、f1を数式18に代入して後席右側用補正定数RrRirekiDrを求める。
RrRirekiDr=f1×9×(V3−V1)・・・(数式18)
以上により、後席右側用補正定数RrRirekiDrが算出されることになる。
次に、外気温度センサ81から出力される外気温度信号Tamに基づいて、外気温が15℃以上か否かを判定する(ステップS2080)。このことにより、季節が夏期か否かを判定することになる。
そして、外気温が15℃以上であるときには、季節が夏期であるとして、YESと判定して、ステップS2090に移行して、後席側空調ゾーン1cの座席(後側運転座席)に乗員が乗り込んだか否かを判定する。
先ず、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間(具体的には1分)以内である場合において、(4)〜(6)の条件を全て満たしているか否かを判定する(ステップS2090)。
(4)AvTir1(n)−HTir1(n−1)≦3
& AvTir2(n)−HTir2(n−1)≦3
(5)AvTir2(n)−HTir2(n−1)≦3
& AvTir3(n)−HTir3(n−1)≦3
(6)AvTir3(n)−HTir3(n−1)≦3
& AvTir1(n)−HTir1(n−1)≦3
そして、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられて、一定期間以内である場合において、(4)〜(6)の条件を全て満たしているときには、乗員が乗り込んだとして、YESと判定して、ステップS2100に移行して、「乗員が乗り込んだとステップS2020で判定してから経過した経過時間f4」を算出する。
ここでは、乗員が乗り込んだとステップS2020で判定する直前において熱電対部Drr1〜熱電対部Drr3により検出された乗り込み判定直前検出温度Tirr1Off〜Tirr3Offの平均値V1「={Tirr1Off+Tirr2Off+Tirr3Off}/3」を算出する。
更に、熱電対部Drr1〜Drr3により今回検出される検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)の平均値V2「={Tirr1(n)+Tirr2(n)+Tirr3(n)}/3」を算出する。
そして、双方の平均値の差ΔT[=V2−V1]と図中の制御マップに基づいて経過時間f4を算出する。図中の制御マップでは、ΔT<−10℃未満のときには、経過時間f4を0秒と見なし、0℃≧ΔT≧−10℃未満のときには、ΔTが上昇するにつれて経過時間f4が0秒から徐々に180秒まで上昇し、更に、ΔT>0のときには、経過時間f4を180秒と見なす。
以上のように経過時間f4を算出すると、ステップS2110に移行して、経過時間f4と、図中の制御マップに基づいて時定数τを算出する。図中の制御マップでは、0秒≦f4≦4秒のときには、時定数τ=1と見なし、f4>4秒のときには、時定数τ=60と見なす。
次のステップS2120では、経過時間f4と図中の制御マップに基づいて、制御係数f1を算出する。ここで、図中の制御マップでは、f4が大きくなるにつれて制御係数f1が徐々に小さくなる。
以上のように、f1、τを算出すると、ステップS2130Bに移行して、目標吹出温度の後席右側用補正定数RrRirekiDrを算出する。
すなわち、上述のステップS2070Bの場合と同様、f1、τ、数式12の飽和曲線KO(t)、AvTir1(n)〜AvTir3(n)に基づいて温度補正データHTir1(n−1)〜HTir3(n−1)を算出する。
次いで、HTir1(n)〜HTir3(n)の平均値V3{HTir1(n)+HTir2(n)+HTir3(n)}/3を算出し、その平均値V3と、上述の平均値V1との差ΔT(=V3−V1)を算出する。なお、平均値V1は、乗り込み判定直前検出温度Tirr1Off〜Tirr3Offの平均値(V1={Tirr1Off+Tirr2Off+Tirr3Off}/3)である。
さらに、このように平均値V3、V1の差ΔT(=V3−V1)を算出すると、このΔT、f1を数式18に代入して後席右側用補正定数RrRirekiDrを求める。
RrRirekiDr=−f1×9×(V3−V1)・・・(数式19)
このことにより、後席右側用補正定数RrRirekiDrが算出されることになる。
以上のように数式18、19のいずれかで後席右側用補正定数RrRirekiDrを算出すると、ステップS2140に移行して、RrRirekiDr、希望温度RrDrTset、外気温度Tam、日射量TsDrを数式20に代入して後席側空調ゾーン1cの目標吹出温度RrTAODrを算出する(ステップS2130B)。
RrTAODr=RrKset×RrDrTset−RrKr×RrTr−RrKam×Tam−RrKs×TsDr+RrC+RrRirekiDr・・・(数式20)
ここで、RrKsetは温度設定ゲイン、RrKrは内気温ゲイン、RrKamは外気温ゲイン、RrKsは日射ゲインである。
その後、目標吹出温度RrTAODrを用いて上述の第1実施形態と同様に、吹出口モードの切換制御、送風量制御(ブロワ電圧)、エアミックスドアの開度制御を処理する。
次に、本第3実施形態の作用効果について説明する。すなわち、本第3実施形態によれば、マトリックスIRセンサ70aの熱電対部Drr1〜Drr3により乗員の胸部、腹部、腰部、太股部などにあたる領域(乗員着衣領域)の表面温度を検出するようになっており、電子制御装置8は、熱電対部(Drr1〜Drr3)による検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)が一定期間(250msec)毎に取得するようになっている。なお、当該一定期間は、請求項26に記載の「所定期間」に相当する。
さらに、電子制御装置8は、一定期間毎に、今回の検出温度および前回以前の検出温度の平均値AvTir1(n)、AvTir2(n)、AvTir3(n)を熱電対部(Drr1〜Drr3)毎に算出する[AvTir1(n)={Tirr1(n)…Tirr1(n−15)}/16、AvTir2(n)={Tirr2(n)…Tirr2(n−15)}/16、AvTir3(n)={Tirr3(n)…Tirr3(n−15)}/16]。
また、電子制御装置8は、熱電対部(Drr1〜Drr3)の検出温度の変化が時間遅れを持って変化するように今回の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)を補正して温度補正データHTir1(n−1)、HTir2(n−1)、HTir3(n−1)を算出するようになっている。
さらに、電子制御装置8は、今回の平均値AvTir1(n)、AvTir2(n)、AvTir3(n)が、前回の温度補正データHTir1(n−1)〜HTir3(n−1)に比べて、それぞれ、3℃(所定値)以上変化した場合には、後席空調ゾーン1cに乗員が着座したと判定するようになっている。
本第3実施形態によれば、空調ゾーン1cの座席に乗員が着座したか否かを判定するに際して、乗員の胸部、腹部、腰部、太股部にあたる領域の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)を用いている。したがって、座席に“物”を置いただけでは、人が着座したと判定することはない。このため、乗員が着座したか否かを精度良く判定することができる。
ここで、当該着座の判定に際して、平均値AvTir1(n)〜AvTir4(n)および温度補正データHTir1(n−1)〜HTir3(n−1)を用いている。
ここで、外乱により熱電対部Drr1〜Drr3の検出温度が一時的に変化しても、AvTir1(n)〜AvTir4(n)、HTir1(n−1)〜HTir3(n−1)には、検出温度の一時的変化の影響が大きく現れない。したがって、検出温度が一時的変化しても、判定精度の低下することを抑制できる。
また、本第3実施形態によれば、目標吹出温度RrTAODrの算出に際して、後席右側用補正定数RrRirekiDrを用いている。このRrRirekiDrは、温度補正データHTir1(n)〜HTir3(n)を用いて算出されている。
このような後席右側用補正定数RrRirekiDrを用いて後席側空調ゾーン1cの空調制御が行われるので、上述の第1実施形態と同様に、IRセンサ70aにより検出される検出温度の変化量に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させることができる。
ここで、IRセンサ70aにより、乗員の胸部、腹部、腰部(太股部)といった3箇所以上の被検温部位(乗員着衣温度)にあたる領域の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)が求められるようになっており、3箇所以上の被検温部位のうち2箇所以上の被検温部位についてその変化量が上述の如く(1)〜(3)或いは(4)〜(6)の条件をを満たしている場合に乗員が着座したと判定するようになっているので、乗員が着座したか否かを高精度に判定することができる。
また、RrRirekiDrは、上述の如く{f1×9×(V3−V1)}または{−f1×9×(V3−V1)}であるため、RrRirekiDr≠0であるためには、f1≠0であることが必要である。
ここで、f1は、経過時間f3により決まるため、経過時間f3がある一定時間以上になると、f1=0になる。すなわち、人が着座したと判定してから一定時間以前は、f1≠0、RrRirekiDr≠0であり、一定時間以上経過すると、f1=0、RrRirekiDr=0となる。
このようなRrRirekiDrを用いて算出されるRrTAODrを用いて吹出口モードの切換制御、送風量制御(ブロワ電圧)、エアミックスドアの開度制御を処理する。このため、電子制御装置8が後席用空調ユニット6を制御するに際して、人が着座したと判定してから一定時間の間は、人が着座したと判定する以前に比べて後席側空調ゾーン1cへの空調能力を上昇させることになる。
したがって、乗員が着座したときに、後席側空調ゾーン1cは強力に空調されるので、乗員の快適性を短時間で向上することができる。
ここで、人が着座したと判定してからf1=0(すなわちRrRirekiDr=0)になるまでの時間(以下、補正時間Thという)は、f3、ひいては、熱電対部Drr1〜Drr3の検出温度に応じて決まる。したがって、後席側空調ゾーン1cへの空調能力を上昇させる時間Thが、熱電対部Drr1〜Drr3の検出温度に応じて決まることになる。このため、乗員の快適性をより一層向上することができる。
ここで、電子制御装置8は、平均値V3、V1(すなわち、乗員の胸部、腹部、腰部といった3箇所以上の乗員着衣温度)を用いてRrRirekiDrを算出しているので、RrTAODr、すなわち後席側空調ゾーン1cへの空調能力は、IRセンサ70aの検出温度により変更されることになる。
したがって、乗員着衣温度に合わせて空調能力が自動的に調整されるため、乗員が着座したときには乗員にとって快適性を、さらに短期間で向上することができる。
ところで、一般に車両の停止中でしか人は乗車しないため、仮に、車両が走行中に乗員が着座したと判定したとすると、その判定は誤って判定を行ったものである可能性が高い。
これに対して、本実施形態では、車速が一定速度未満、すなわち0km/hであるときに、(1)〜(3)或いは(4)〜(6)の条件を全て満たしているときに着座したと判定している。したがって、人が着座したか否かについて誤って判定することを未然に防ぐことができる。
また、人が乗車するにはドアを開放する必要があるため、ドアが閉じられたままで乗員が着座したと判定したとすると、その判定は誤って判定を行ったものであると考えられる。
これに対して、本実施形態では、ドアを開けてから一定期間だけ、(1)〜(3)或いは(4)〜(6)の条件を全て満たしているか否かを判定しているので、誤判定を未然に防止することができる。
(変形例)
また、上述の第3実施形態において、乗員が後席側空調ゾーン1cの座席に着座したと判定したときに、RrRirekiDrを用いて吹出口モードの切換制御を実施するようにしてもよい。この場合の吹出口モードの切換制御処理について図22を用いて説明する。
先ず、ステップS2200において、RrRirekiDr=0であるか否かを判定する。すなわち、乗員が着座したと判定してから補正時間Thが終了する前であるか否かを判定することになる。
ここで、乗員が着座してから時間が補正時間Th以上経過するとRrRirekiDr=0になる。一方、乗員が着座して補正時間Th以上経過以前であれば、RrRirekiDr≠0になり、NOと判定して、ステップS2210に移行する。
ここで、空調ゾーン1cの吹出口モードの切換制御が、マニュアルではなく、自動制御に設定されているときには、ステップS2210でYesと判定して、シート脇吹出口モードに設定する。シート脇吹出口モードは、図14中符号H3示すように、座席およびドアの間に設けられるシート脇吹出口から乗員に向けて空調風が吹き出されるモードである。
ここで、シート脇吹出口は、ドア上部から乗員上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口(図14中の符号H4参照)、中央コンソール後壁に設けられて乗員下半身に向けて空調風を吹き出すフット吹出口(図14中の符号H2参照)などの他の吹出口に比べて乗員に近い位置に配置される。このため、乗員が着座したときには短時間で、乗員の温感を向上することができる。
また、乗員が後席側空調ゾーン1cの座席に着座したと判定したときに、シート脇吹出口モードではなく、フェイス吹出口、フット吹出口から乗員の上半身および下半身に均等に空調風が吹き出されるバイレベルモードに切り替えるようにしてもよい。この場合にも、乗員が着座したときには短時間で、乗員の温感を向上することができる。
以下、上記第3実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、「このため、電子制御装置8が後席用空調ユニット6を制御するに際して、人が着座したと判定してから一定時間の間は、人が着座したと判定する以前に比べて後席側空調ゾーン1cへの空調能力を上昇させることになる。」が、請求項9に記載の「前記制御手段は、前記人が乗車したと判定した場合において、前記人が乗車したと判定する前に比べて、空調能力を上昇させるように前記空調手段を制御する。」に相当する。
また、「シート脇吹出口」が請求項14に記載の「前記複数の吹出口のうち乗員に近い吹出口」に相当する。
「ドア上部から乗員上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口、中央コンソール後壁に設けられて乗員下半身に向けて空調風を吹き出すフット吹出口」が、請求項13に記載の「乗員上半身および乗員下半身に空調風を吹き出すための吹出口」に相当する。「温度補正データHTir1(n)〜HTir3(n)」が請求項14に記載の「補正検出値」に相当する。
ステップS2020、S2090の着座判定処理が請求項27に記載の「前記非接触温度センサの検出値の変化量が所定条件を満たしているか否かを判定して前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段」に相当する。
(第4実施形態)
上述の第3実施形態では、乗員が着座したか否かを判定するに際して、乗員の胸部、腹部、腰部(太股部)といった領域の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)の変化を用いる例について説明したが、本第5実施形態では、これに代えて、通常乗員が着座する座席と、この部位よりも乗員が着座する頻度の低い部位との温度とを用いるようにする。
すなわち、図23に示すように、熱電対部Drr1〜Drr3により乗員の胸部、腹部、腰部(太股部)にあたる領域の表面温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)を検出する。なお、熱電対部Drr1〜Drr3の被検温範囲が、「乗員が通常着座する通常着座部位」に相当する。
また、熱電対部Drr5により熱電対部Drr1の被検温範囲の側方の領域の表面温度Tirr5(n)を検出し、熱電対部Drr6により熱電対部Drr2の被検温範囲の側方の領域の表面温度Tirr6(n)を検出し、熱電対部Drr7により熱電対部Drr3の被検温範囲の側方の領域の表面温度Tirr7(n)を検出する。
ここで、熱電対部Drr5〜Drr7の被検温範囲は、空調ゾーン1cの座席および空調ゾーン1dの座席の間の中間座席に形成され、この中間座席は、「通常着座部位よりも乗員が着座する頻度の低い部位」に相当する。
以上のようなTirr1(n)〜Tirr3(n)、Tirr5〜Tirr7を用いて数式21〜数式23の関係式が成立するか否かを判定する。
|Tirr1−Tirr5|≧2・・・(数式21)
|Tirr2−Tirr6|≧2・・・(数式22)
|Tirr3−Tirr7|≧2・・・(数式23)
ここで、乗員の胸部、腰部、太股付近のうち二つ以上の部分の検出温度の絶対値の方がその側方の中間座席にあたる表面温度の絶対値よりも2℃以上高い場合には、(数式21)〜(数式23)のうち二つ以上の関係式が成り立つ。この場合、後席空調ゾーン1cにて乗員が着座しているとして判定する。また、(数式21)〜(数式23)のうち成立する関係式が1つ未満である場合には、乗員不在であると判定する。
以下、上記第4実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、熱電対部Drr1〜Drr3の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)が請求項23に記載の「乗員が通常着座する通常着座部位にあたる第1の温度」に相当し、熱電対部Drr4〜Drr6の検出温度Tirr4(n)〜Tirr6(n)が請求項23に記載の「前記通常着座部位よりも乗員が着座する頻度の低い部位にあたる第2の温度」に相当する。
(第5実施形態)
上述の第3、第4の実施形態では、乗員の胸部、腹部、腰部の表面の検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)の変化を用いて、乗員が着座したか否かを判定する例について説明したが、乗員の胸部、腹部、腰部の表面温度が、外乱により一時的に変化したときには、乗員の着座を誤って判定する可能性がある。
そこで、本第6実施形態では、外乱により乗員の着座を誤って判定することを防止する例について説明する。この場合の制御処理を図24〜図27に示す。図24〜図27は、目標吹出温度の算出処理を示すフローチャートであって、図16〜図19のフローチャートに代えて用いられている。
先ず、本実施形態では、電子制御装置8が、マトリックスIRセンサ70aの熱電対Drr4により検出されるリアトレーの表面温度Tirr1(n)を用いて着座判定処理を実施する。
なお、図24中のステップS2020Aが、図16中のステップS2020に代えて用いられており、図26中のステップS2090Aが、図16中のステップS2090に代えて用いられている。
先ず、ステップS2020Aでは、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間以内であって、上述の(1)〜(3)の条件を満たしていることに加えて、次の(7)の条件を満たしているときには、乗員が後席側空調ゾーン1cの座席に着座したと判定する。
(7)AvTir4(n)−HTir4(n−1)>−3
また、ステップS2090Aでは、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間以内であって、上述の(4)〜(6)の条件を満たしていることに加えて、次の(8)の条件を満たしているときには、乗員が後席側空調ゾーン1cの座席に着座したと判定する。
(8)AvTir4(n)−HTir4(n−1)>3
ここで、AvTir4(n)は、熱電対部Drr4により今回の検出温度Tirr4(n)と、前回以前に検出された15個の検出温度Tirr4(n−1)、Tirr4(n−2)…Tirr4(n−15)との平均値である{AvTir4(n)={Tirr1(n)+Tirr1(n−1)+Tirr1(n−2)+…+Tirr1(n−15)}/16}。
HTir4(n−1)は、検出温度信号に対してそれぞれの熱電対部の検出値変化に時定数τを持って時間遅れを持たせるように補正し、かつ4sec毎に更新される温度補正データであって、前回(すなわち、一周期前)に算出されたデータである。
一方、ステップS2020Aにおいて(7)の条件を満たしていないときには、乗員が着座していないと判定する。また、ステップS2090Aにおいて(8)の条件を満たしていないときには、乗員が着座していないと判定する。
また、本実施形態では、乗員の乗り込み時の目標吹出温度RrTAODrの補正度合いf5(すなわち、空調能力の補正度合い)を温度設定スイッチ11により予め乗員により設定できるようにする。
すなわち、図24中のステップS2001では、温度設定スイッチ11により設定されるf5を読み込む。f5は、「OFF」、「強」、「中」、「弱」のうち1つが選択され、「OFF」を選択時にはf5=0、「強」を選択時にはf5=15、「中」を選択時にはf5=9、「弱」を選択時にはf5=3になる。
以上のように選択される補正度合いf5を用いてステップS2070A、S2130Aでは、RrRirekiDrを算出する。
すなわち、ステップS2070Aでは、f5以外に、上述の第4実施形態と同様に算出されるf1、V3、V1を数式24に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=f1×f5×(V3−V1)・・・(数式24)
また、ステップS2130Aでも、f5、f1、V3、V1を数式25に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=−f1×f5×(V3−V1)・・・(数式25)
以上のように算出されるRrRirekiDrは、f5の値により変動するため、RrRirekiDrを用いて算出される目標吹出温度もf5の変動に伴い変動する。
ここで、目標吹出温度によって、空調ゾーン1cに対する後席用空調ユニット6の空調能力が決まる。したがって、乗員によるf5の設定により、乗員が着座したときの空調ゾーン1cに対する後席用空調ユニット6の空調能力が調整されることになる。
なお、図24〜図27中のステップS2000、S2010、S2030、S2050、S2060、S2080、S2100、S2110、S2120、S2140は、図16〜図19中のS2000、S2010、S2030、S2050、S2060、S2080、S2100、S2110、S2120、S2140とそれぞれ同一ステップである。
以下、上記第5実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、f5が請求項10に記載の「空調手段の空調能力を上昇させる度合い」に相当し、「温度設定スイッチ11」が請求項10に記載の「設定手段」に相当する。
(第6実施形態)
本第6実施形態では、乗員が着座したときには、その着座前よりも空調ゾーン1cに対する後席用空調ユニット6の空調能力を上昇させるようにする。この場合の制御処理を図24〜図27に示す。図28〜図31は、目標吹出温度の算出処理を示すフローチャートであって、図16〜図19のフローチャートに代えて用いられている。
本第7実施形態では、図17中のステップS2070Bに代えて、図29中のステップS2070Cが用いられ、図17中のステップS2130Bに代えて、図31中のステップS2130CCが用いられている。
先ず、ステップS2070Cでは、f5以外に、上述の第4実施形態と同様に算出されるf1、f4を数式26に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=f1×9×f4・・・(数式26)
また、ステップS2130Cでも、f1、f4を数式27に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=−f1×9×f4・・・(数式27)
さらに、以上のように算出されるRrRirekiDrを上述の第4実施形態と同様に、数式20に代入して目標吹出温度RrTAODrを算出する。
RrTAODr=RrKset×RrDrTset−RrKr×RrTr−RrKam×Tam−RrKs×TsDr+RrC+RrRirekiDr・・・(数式20)
以上のように、乗員が着座したと判定されたときの目標吹出温度が算出されることになる。
一方、乗員が着座したと判定される前では、RrRirekiDr=「0」として目標吹出温度RrTAODrを算出する。したがって、外気温が10℃未満でステップS2010でYesと判定されたときには、ステップS2070Cで算出されるRrRirekiDr>0になる。すなわち、冬期では、乗員が着座したと判定されると目標吹出温度が上昇することになる。これに伴って、空調ゾーン1cに対する後席用空調ユニット6の空調能力を上昇させることになる。
一方、外気温が10℃以上でステップS2010でYesと判定されたときには、ステップS2130Cで算出されるRrRirekiDr<0になる。すなわち、夏期では、乗員が着座したと判定されると目標吹出温度が低下することになる。これに伴って、空調ゾーン1cに対する後席用空調ユニット6の空調能力を上昇させることになる。
(第7実施形態)
上述の各実施形態では、前席側の空調ゾーン1a、1bに対して1つの送風機52を設け、かつ、後席側の空調ゾーン1c、1bに対して1つの送風機62を設ける例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、前席側の空調ゾーン1aおよび後席側の空調ゾーン1cに対して1つの送風機を設け、前席側の空調ゾーン1bおよび後席側の空調ゾーン1dに対して1つの送風機を設ける例について説明する。
この場合の構成について図32を用いて説明する。なお、図32において、空調ユニットにおいて、便宜的に、前席側の空調ゾーン1aおよび後席側の空調ゾーン1cに対して空調風を吹き出すための構成だけを示し、前席側の空調ゾーン1bおよび後席側の空調ゾーン1dに対して空調風を吹き出すための構成を省略している。また、図32にて、図2中の構成要素と同一或いは実質的同一の構成要素には、同一符号が付されている。
先ず、本実施形態の空調ユニット5Aは、前席右(Dr)側空調ゾーン1aと後席右(Dr)側空調ゾーン1cとの温度調節および吹出口モードの変更等を互いに独立して行うものである。
具体的には、空調ユニット5Aは、車両の車室内の前方に配置されたダクト50を備えている。このダクト50の空気上流側には、内外気切替ドア51および送風機52が設けられている。内外気切替ドア51は、サーボモータ14等の電動アクチュエータにより駆動されて内気導入口50aと外気導入口50bとの開度を変更する。
送風機52は、ブロワモータ52aにより回転駆動されて、ダクト50内において車室内に向かう空気流を発生させる遠心式送風機である。ブロワモータ52aは、ブロワ駆動回路52cによって制御される。ダクト50の中央部には、ダクト50内を通過する空気を冷却するエバポレータ53が設けられている。
また、エバポレータ53の空気下流側には、仕切り板57により前席用空気通路57Aと後席用空気通路57Bとが区画されている。
この前席用空気通路57Aの空気下流側に連通する吹出ダクトの空気下流端には、前席側空調ゾーン1aに向けて開口している図示しないデフロスタ吹出口と前席用フェイス吹出口と前席用フット吹出口とが形成されている。
また、この後席用空気通路57Bの空気下流側に連通する吹出ダクトの空気下流端には、後席側空調ゾーン1cに向けて開口している図示しない後席用フェイス吹出口と後席用フット吹出口とが形成されている。
さらに、この前席用空気通路57A及び後席用空気通路57Bを通過する空気を走行用エンジンの冷却水(温水)と熱交換して加熱するヒータコア54が設けられている。
さらに、前席用空気通路57Aのうちヒータコア54の空気上流側には、ヒータコア54に流入される空気(加熱空気)とヒータコア54を迂回する空気(冷却空気)との割合を決定する前席用エアミックスドア58aが設けられている。また、後席用空気通路57Bのうちヒータコア54の空気上流側には、ヒータコア54に流入される空気(加熱空気)とヒータコア54を迂回する空気(冷却空気)との割合を決定する後席用エアミックスドア58bが設けられている。
ここで、前席用A/Mドア24及び後席用A/Mドア25は、サーボモータ580a、580b等のアクチュエータによりそれぞれ駆動されて、前席側、後席側の各吹出口から車室内の前席側、後席側空調ゾーン1c、1dに向けてそれぞれ吹き出される空調空気の温度を独立して変更する。
なお、エバポレータ53は、冷凍サイクルの一構成部品をなす。ここで、冷凍サイクルは、走行用エンジンから電磁クラッチを介して駆動されて冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、この圧縮機より吐出口された冷媒を凝縮液化させるコンデンサと、このコンデンサにより凝縮液化された冷媒を気相分離するレシーバと、このレシーバより流入した液冷媒を断熱膨張させるエキスパンションバルブと、このエキスパンションバルブから流入した気液二層状態の冷媒を蒸発気化させるエバポレータ53とから構成される。
また、エアコンECU8には、図32に示すように、車室内の前席側空調ゾーン1a内の空気に接触して空気温度を検出する前席側内気温度センサ(例えば、サーミスタ)84と、車室内の後席側空調ゾーン内の温度を空気に接触して検出する後席側内気温度センサ(例えば、サーミスタ)85と、車室外温度を検出する外気温センサ81と、エバポレータ53を通過した冷却空気の温度(エバ後温度)を検出する冷却空気温度センサ86と、車両のエンジン冷却水温Twを検出する水温センサ82とが接続されている。
さらに、エアコンECU8には、運転席側空調ゾーン1aに入射される日射量と助手席側空調ゾーン1bに入射される日射量とを検出する日射センサ83、および、上述の第1実施形態で説明したマトリックス赤外線温度(IR)センサ70a、70bとが接続されている。またエアコンECU8には、エアコン操作パネル9aの各種操作スイッチから出力されるスイッチ信号が入力される。
なお、エアコン操作パネル9aの各種操作スイッチには、内外気切替スイッチ、吹出モード切替スイッチ、風量切替スイッチ、A/Cスイッチ、前席側温度設定スイッチ、後席側温度設定スイッチ等が設置されている。そして、前席側温度設定スイッチは、前席側空調ゾーン内の温度を所望の温度(前席側設定温度)TsetFrに設定するためのものであり、後席側温度設定スイッチは、後席側空調ゾーン内の温度を所望の温度(後席側設定温度)に設定するためのものである。
次に、エアコンECU8の詳細構成について図33を参照して説明する。図33は、エアコンECU8の構成を示すブロック図である。エアコンECU8は、上述したように、各種センサ81〜86及びエアコン操作パネル9aの各種操作スイッチから出力される信号に基づき、各アクチュエータ52c、52d、580a、580b等を制御している。
エアコンECU8は、図33に示すように、入力部410と、前席目標吹出温度(FrTAO)算出部420と、後席目標吹出温度(RrTAO)算出部430と、前席用エアミックスドア開度(FrSW)算出部440と、後席エアミックスドア開度(RrSW)算出部450と、ブロワレベル算出部460と、FrA/Mドア制御部470と、FrA/Mドア制御部480と、ブロワレベル制御部490と、内外気切替制御部500とを備えている。
入力部410は、各種センサ31〜35、70a、70b及びエアコン操作パネル9aの各種操作スイッチから出力される信号を入力している。
FrTAO算出部420は、入力部410に入力された前席側設定温度FrTsetDr、前席側空調ゾーンの温度TrFr、および、外気温度Tam、運転席側日射量TsDrを数式18に代入して、前席目標吹出温度FrTAOを算出する。
FrTAODr=KsetFrDr・FrTsetDr−KrFr・TrFr−FrKs×TsDr−Kam・Tam+CFrDr・・・(数式28)
なお、KsetFrDrは前席右側用温度設定ゲイン、KrFrは前席用内気温ゲイン、Kam外気温ゲイン、FrKsは日射ゲイン、CFrDrは前席右側用補正定数である。
RrTAO算出部430は、入力部410に入力された後席側設定温度RrTsetDr、後席側空調ゾーンの温度TrRrなどに基づいて後席目標吹出温度RrTAODrを算出する。
以下、後席目標吹出温度RrTAODrの算出処理について図34〜図37を参照して説明する。図34〜図37は、RrTAO算出部430による後席目標吹出温度RrTAODrの算出処理を示すフローチャートである。
先ず、上述の第4実施形態と同様、熱電対部Drr1〜Drr3から一定期間毎に検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)を熱電対部毎に取得するともに、検出温度Tirr1(n)〜Tirr3(n)に基づいて平均値AvTir1(n)〜AvTir3(n)を熱電対部毎に算出する(S2000)。
ここで、外気温が10℃未満であるときには、ステップS2010でYESと判定して、ステップS2020Bに移行する。ここでは、上述の如く算出されるAvTir1(n)〜AvTir3(n)と、内気温度センサ85で検出される後席側空調ゾーン内の空気温度RrTrとを用いて、後席側空調ゾーン1cの座席(後側運転座席)に乗員が乗り込んだか否かを判定する。
すなわち、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間(具体的には1分)以内である場合において、(9)〜(11)の条件を全て満たしているか否かを判定する。
(9)AvTir1(n)−RrTr≦−3
& AvTir2(n)−RrTr≦−3
(10)AvTir2(n)−RrTr≦−3
& AvTir3(n)−RrTr≦−3
(11)AvTir3(n)−RrTr≦−3
& AvTir1(n)−RrTr≦−3
そして、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられて、一定期間以内である場合において、(9)〜(11)の条件を全て満たしているときには、乗員が乗り込んだとして、YESと判定して、ステップS2030に移行して、「乗員が乗り込んだと判定してから経過した経過時間f3」を算出する。
次いで、ステップS2050に移行して外気温に基づいて制御係数f6を算出すると、その後、ステップS2060に移行してf3に基づいて制御係数f1(
これは、上述の如くIRセンサ70aの検出値によって算出される。)を算出する。
すると、f1、f6を数式29に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=f1×9×f6・・・(数式29)
また、外気温が15℃以上のときには、ステップS2080でYESと判定して、ステップS2090Bに移行する。そして、上述の如く算出されるAvTir1(n)〜AvTir3(n)と、内気温度センサ85で検出される後席側空調ゾーン内の空気温度RrTrとの差を用いて、後席側空調ゾーン1cの座席(後側運転座席)に乗員が乗り込んだか否かを判定する。
すなわち、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられてから一定期間(具体的には1分)以内である場合において、(12)〜(14)の条件を全て満たしているか否かを判定する。
(12)AvTir1(n)−RrTr≧3
& AvTir2(n)−RrTr≧3
(13)AvTir2(n)−RrTr≧3
& AvTir3(n)−RrTr≧3
(14)AvTir3(n)−RrTr≧3
& AvTir1(n)−RrTr≧3
そして、車速が0km/hであって、かつ乗員が乗降するためのドアが開けられて、一定期間以内である場合において、(12)〜(14)の条件を全て満たしているときには、乗員が乗り込んだとして、YESと判定して、ステップS2100に移行して、「乗員が乗り込んだと判定してから経過した経過時間f3」を算出する。
次いで、ステップS2050に移行して外気温に基づいて制御係数f6を算出すると、その後、ステップS2120Cに移行してf3に基づいて制御係数f1を算出する。すると、f1、f6を数式30に代入してRrRirekiDrを算出する。
RrRirekiDr=−f1×9×f6・・・(数式30)
以上のようにステップS2070C或いはステップS2120Cで算出されるRrRirekiDrを用いて上述の第4実施形態と同様に目標吹出温度RrTAODrを算出する(ステップS2140)。
次に、FrSW算出部440は、入力部410に入力されたエバ後温度Te及び冷却水温Tw、並びに、FrTAO算出部420にて算出された前席目標吹出温度FrTAODrを数式20に代入して、前席用エアミックスドア開度FrSWを算出する。
FrSW={(FrTAODr−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
・・・(数式20)
ここで、前席用エアミックスドア開度FrSWが0%の場合が、前席用空調空気が冷却空気のみからなるいわゆるmax−coolモードとなる。一方、前席用エアミックスドア開度FrSWが100%の場合が、前席用空調空気が加熱空気のみからなるいわゆるmax−hotモードとなる。
RrSW算出部450は、入力部410に入力されたエバ後温度Te及び冷却水温Tw、並びに、RrTAO算出部430にて算出された後席目標吹出温度RrTAODrを数式21に代入して、後席用エアミックスドア開度RrSWを算出する。
RrSW={(FrTAODr−Te)/(Tw−Te)}×100(%)
・・・(数式21)
ここで、後席用エアミックスドア開度RrSWが0%の場合が、後席用空調空気が冷却空気のみからなるいわゆるmax−coolモードとなる。一方、後席用エアミックスドア開度RrSWが100%の場合が、後席用空調空気が加熱空気のみからなるいわゆるmax−hotモードとなる。
ブロワレベル算出部460は、FrTAO算出部420にて算出された前席目標吹出温度FrTAODr、および、RrTAO算出部430にて算出された前席目標吹出温度RrTAODrに基づき、ブロワモータ52aに付与する印加電圧(以下、ブロア電圧ともいう)を算出する。このことにより、送風機52により送風する風量レベル(すなわち、目標送風量)を算出することになる。
具体的には、FrTAODrおよびRrTAODrの平均値{(FrTAODr+RrTAODr)/2}を算出して、その平均値と図38に示す制御マップにしたがって、ブロアモータ52aに付与するブロア電圧(すなわち、風量レベル)を決定する。図38の制御マップでは、平均値が中間域から大きくなるにつれてブロア電圧が上昇し、平均値が中間域から小さくなるにつれてブロア電圧が上昇する。
一方、FrA/Mドア制御部470は、FrSW算出部440にて算出された前席用エアミックスドア開度FrSWに基づき、FrA/Mドア用のサーボモータ26を制御する。
すなわち、FrA/Mドア制御部470は、前席用エアミックスドア58aの位置を制御している。RrA/Mドア制御部(後席用エアミックスドア位置制御手段)480は、RrSW算出部4500にて算出された後席用エアミックスドア開度RrSWに基づいて、RrA/Mドア用のサーボモータ580bを制御する。すなわち、RrA/Mドア制御部480は、後席用エアミックスドア58bの位置(開度)を制御している。
ブロワレベル制御部(風量レベル増加補正手段)490は、ブロワレベル算出部460にて算出された出力ブロワレベルに基づき、ブロワ駆動回路52cを制御して送風機52による風量を制御する。内外気切替制御部500は、入力部410に入力された内外気切替スイッチから出力される信号に基づき、内外気切替用のサーボモータ52cを制御する。
次に、上述した構成からなるエアコンECU8のうちエアミックスドア制御及びブロワレベル制御に関する処理動作について図39〜図44を参照して説明する。なお、図39は、エアコンECU8のメイン処理を示すフローチャートである。
図39に示すように、エアコンECU8は、まず、入力部410にて、各種センサ31〜35、70a、70b及びエアコン操作パネル9aの各種操作スイッチから出力される信号を入力する(ステップS1)。続いて、FrTAO算出部420にて、前席目標吹出温度FrTAODrを算出する(ステップS2)。続いて、RrTAO算出部430にて、後席目標吹出温度RrTAODrを算出する(ステップS3)。
次に、FrTAO算出部420は、FrTAODrを後部運転座席(空調ゾーン1c)への着座の有無に応じて、補正する(ステップS3a)。
例えば、上述の図34、図36のステップS2020B、S2090Bにおいて、後部運転座席に乗員が着座したと判定したときには(ステップS71:Yes)、着座を判定した後のブロア電圧と着座を判定する前のブロア電圧との差ΔBVを算出し、このΔBVと図41、図42の制御マップを基にFrTAODrの補正量を算出する。
先ず、補正前のFrTAODrが25℃より高いとき(すなわち、冬期の場合)には、ΔBVと図41の制御マップを基に、FrTAODrの補正量Thを算出する。
ここで、図41の制御マップでは、1<ΔBV<15のときには、ΔBVが上昇するにつれて補正量Thが上昇し、ΔBV≦1では、補正量Thが最高値で一定になり、ΔBV≧15では、補正量Thが最低値で一定になる。
このような補正量Thを求めると、前席目標吹出温度FrTAODrから補正量Thをひいて(FrTAODr−Th)を補正後の前席目標吹出温度FrTAODrとする。但し、補正後の前席目標吹出温度FrTAODr<25℃になる場合には、補正後の前席目標吹出温度FrTAODr=25℃とする。
一方、補正前のFrTAODrが25℃より低いとき(すなわち、夏期の場合)には、ΔBVと図42の制御マップを基に、FrTAODrの補正量Thを算出する。
ここで、図42の制御マップでは、1<ΔBV<15のときには、ΔBVが上昇するにつれて補正量Thが下降し、ΔBV≦1では、補正量Thが最低値で一定になり、ΔBV≧15では、補正量Thが最高値で一定になる。
このように補正量Thを算出すると、前席目標吹出温度FrTAODrから補正量Thをひいて(FrTAODr−Th)を補正後の前席目標吹出温度FrTAODrする(ステップS72)。但し、補正後の前席目標吹出温度FrTAODr>25℃になる場合には、補正後の前席目標吹出温度FrTAODr=25℃とする。
以上のように前席目標吹出温度FrTAODrを補正するのは、後部運転座席(空調ゾーン1c)に着座したと判定した場合において、空調ゾーン1aに対する空調能力がその判定前の空調ゾーン1aに対する空調能力を維持するようにするためである。
以上のように、前席目標吹出温度FrTAODrを補正すると、この補正後の前席目標吹出温度FrTAODrを後述するステップS4〜S6の制御処理で用いる。
一方、上述の図34、図36のステップS2020B、S2090Bにおいて、後部運転座席に乗員が着座していないと判定したときには(ステップS71:NO)、補正量Thを算出しないで、補正前の前席目標吹出温度FrTAODrをそのまま、後述するステップS4〜S6の制御処理で用いる。
次に、FrSW算出部440及びFrA/Mドア制御部470にて、前席用エアミックスドア開度FrSW算出制御処理を行う(ステップS4)。すなわち、FrSW算出制御処理では、FrTAO算出部420から前席目標吹出温度FrTAODrを読み込む、FrSW算出部440にて、前席用エアミックスドア開度FrSWを算出する。続いて、FrA/Mドア制御部470にて、算出された前席用エアミックスドア開度FrSWに基づき、FrA/Mドア用のサーボモータ26を制御する。
その後、RrSW算出制御処理を行う(ステップS5)。ここでは、まず、RrTAO算出部430から後席目標吹出温度RrTAODrを読み込む。続いて、RrSW算出部450にて、後席用エアミックスドア開度RrSWを算出する(ステップS22)。続いて、RrA/Mドア制御部480にて、算出された後席用エアミックスドア開度RrSWに基づき、RrA/Mドア用のサーボモータ27を制御する。
次に、ブロワレベル算出制御処理を行う(ステップS6)。ここでは、ブロワレベル算出部460は、前席目標吹出温度FrTAOおよび後席目標吹出温度RrTAODrの平均値に基づいてブロア電圧(ブロアレベル)を算出し、ブロワレベル制御部490は、ブロワレベル算出部460にて算出されたブロワ電圧に基づき、ブロワ駆動回路52cを制御して送風機52による風量を制御する。
以上のような処理が一定期間毎に繰り替えされることにより、車室内の空調制御が行われることになる。
以上説明したような本実施形態によれば、空調ゾーン1cの後部運転座席に人が着座したと判定した場合において、上述の如く、前席目標吹出温度FrTAODrを補正して、空調ゾーン1aに対する空調能力がその判定前の空調ゾーン1aに対する空調能力を維持するようにしている。
ここで、空調ゾーン1cの後部運転座席に人が着座した場合には、その人(乗員)に対するIRセンサ70aの検出値に応じてRrRirekiDr、ひいては目標吹出温度RrTAODrが算出される。そして、このRrTAODrに基づいて、送風機52により空調ゾーン1a、1cに対して送風する風量レベルが算出される。
このため、空調ゾーン1cの後部運転座席に人が着座した場合には、その着座前に比べて、送風機52による空調ゾーン1aに対して送風する風量レベルが変動する場合があるものの、上述の如く、前席目標吹出温度FrTAODrを補正して、空調ゾーン1aに対する吹き出し空気温度が調整されて、判定後の空調ゾーン1aに対する空調能力がその判定前の空調ゾーン1aに対する空調能力を維持するようにしている。
したがって、空調ゾーン1cの座席に人が着座して、空調ゾーン1aに対して送風する風量レベルが変動しても、空調ゾーン1aに対する空調能力がその判定前の空調ゾーン1aに対する空調能力を維持するようにしているので、空調ゾーン1aの前部運転座席に予め着座している乗員が違和感を感じることはない。
なお、上述の第7実施形態では、FrTAO算出部420は、FrTAODrを後部運転座席(空調ゾーン1c)への着座の有無に応じて、補正するようにした例について説明したが、これに加えて、RrTAO算出部430は、RrTAODrを前部運転座席(空調ゾーン1a)への着座の有無に応じて、補正するようにしてもよい。
この場合、乗員が前部運転座席に着座したか否かの判定に際して、後部運転座席への着座判定処理と同様に、マトリックス赤外線温度センサの検出値を用いても良く、あるいは、前部運転座席のクッション部に加わる圧力を検出する圧力センサを採用して、この圧力センサの検出値に応じて、前部運転座席に乗員が着座したか否かを判定してもよい。
以下、上記第7実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、ステップS2020B、およびステップS2090Bの着座判定処理が請求項24に記載の「前記空気温度センサの検出値と前記非接触温度センサの検出値と差を用いて前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段」に相当する。また、空調ゾーン1aの座席が、請求項15に記載の「第1、第2の座席の他方の座席」に相当し、空調ゾーン1cの座席が、請求項15に記載の「第1、第2の座席の一方の座席」に相当する。
(他の実施形態)
上述の各実施形態では、「非接触温度センサの検出値」として、「着衣温度RrDrTir(RrPaTir)」を採用した例について説明したが、これに限らず、次のようにしてもよい。すなわち、「非接触温度センサの検出値」として、「RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegのうちいずれか1つ」を用いるようにしてもよく、また、RrDrShoulder、RrDrbody、RrDrlegのうちいずれか二つの値の平均値を用いてもよい。
また、「非接触温度センサの検出値」として、熱電対部Dr2、Dr3、Dr4の各検出値のうちいずれか1つを用いるようにしてもよく、「非接触温度センサの検出値」として、熱電対部Dr2、Dr3、Dr4の各検出値のうち二つの値の平均値を用いてもよい。
さらに、具体的には、RrTAODr(RrTAOPa)の算出に用いられるRrTirDr(平均){RrTirPa(平均)}としては、着衣温度RrDrTir(RrPaTir)の変化量が時間遅れをもって変化するように着衣温度RrDrTir(RrPaTir)が補正された値を用いるのではなく、RrDrTir自体を用いるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、時定数としては、人が乗車したと判定されてから2sec(一定期間)だけ180sec(一定値)が継続されて、2secの後では、前記一定値よりも小さな値:30secになるようにした例について説明したが、これに代えて、人が乗車したと判定された直後にて時定数が180secとなりその後時間経過に伴い時定数が180secから徐々に小さくなるようにしてもよい。ここで、時定数としては、180sec、30secといった値を用いたが、これに限らず、他の値をもちいてもよい。
上述の第1実施形態では、乗車時刻後一定期間(2sec)の間には、時定数として一定値(具体的には180sec)を継続させた例について説明したが、これに代えて、乗車直後にて時定数を例えば180secとし、その後時間経過に応じて徐々に下げるようにしてもよい。また、乗車直後に用いられる時定数としては180secに限らず、他の値を用いてもよい。
上述の第1実施形態では、乗車時刻前でも、時定数30secを用いて、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させるようにした例について説明したが、これに代えて、乗車時刻前においては、IRセンサ70a(70b)のリアルタイムの検出値を用いて、後席用空調ユニット6を制御してもよい。
上述の第1実施形態では、乗車時刻後の後一定期間以降でも、時定数30secを用いて、IRセンサ70a(70b)の検出値の変化に時間遅れを持たせて後席用空調ユニット6の制御に反映させるようにした例について説明したが、これに代えて、乗車時刻前においては、IRセンサ70a(70b)のリアルタイムの検出値を用いて、後席用空調ユニット6を制御してもよい。
上述の第2実施形態では、乗車直後にてIRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を上げてその後時間経過に応じて寄与度を下げるようにした例について説明したが、これに代えて、乗車直後にてIRセンサ70a(70b)の検出値の寄与度を上げて一定値にして一定期間の間にて一定値に保持してその後、寄与度を下げるようにしてもよい。
上述の各実施形態では、前席乗員、すなわち運転者および助手席乗員の表面温度を用いないで、前席空調ゾーン1a、1bの空調制御を行う例について説明したが、前席側も、後席側と同様に、前席左右列において、右側用および左側用のマトリックスIRセンサ70a、70bにより右側および左側の前席乗員、すなわち運転者および助手席乗員の表面温度を検出し、この検出された前席乗員の表面温度に応じて前席右側および左側の空調ゾーン1a、1bをそれぞれ独立に空調制御してもよい。
上述の各実施形態では、マトリックスIRセンサ70a、70bとして、入力される赤外線量の変化に対応した起電力変化を温度変化として検出するサーモパイル型検出素子を用いる例について説明したが、これに代えて、赤外線のエネルギーを直接電気信号に変換する量子型検出素子、赤外線の量の変化に対応した温度変化による自極分極を利用する焦電型検出素子、或いは、赤外線の量の変化に対応した温度変化による抵抗値変化を利用するボロメータ型検出素子を用いてもよい。
上述の各実施形態では、内気温度センサ85から出力される内気温度信号TrRrに基づいて、後席用空調ユニット6の制御状態が定常状態であるか否かを判定するようにした例について説明したが、これに限らず、RrTAODr(RrTAOPa)およびTrRrの関係に基づいて、後席用空調ユニット6の制御状態が定常状態であるか否かを判定してもよい。RrTsetDr(RrTsetPa)およびTrRrの関係に基づいて、後席用空調ユニット6の制御状態が定常状態であるか否かを判定してもよい。
上述の第3〜第7の実施形態では、乗員が着座したと判定されるためには、三つの条件(例えば、上述の(1)〜(3))が全て満たしていることを必要とする例について説明したが、これに限らず、三つの条件のうち二つ以上(例えば、上述の(1)、(2))の条件を満たしていれば、乗員が着座したと判定されるようにしてもよい。
また、IRセンサ70a、70b(非接触温度センサ)の検出値に時間遅れを持たせれば、それに伴う空調制御にも時間遅れが生じるが、検出値に時間遅れを設定せず、直接的に吹出口モードの切換制御、送風量制御、エアミックスドアの開度制御等の制御に時間遅れを設定してもよい。
本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態による車両用空調装置の吹出口配置状態を示す平面概要図である。 本発明の第1実施形態による車両用空調装置全体の模式的構成図である。 マトリックスIRセンサの構成を示す図である。 マトリックスIRセンサの配置および被検温範囲を示す図である。 エアコンECUによる空調制御処理を示すフローチャートである。 図5の空調制御処理中において内外気モードを決めるための制御マップを示す図である。 図5の空調制御処理中において吹出口モードを決めるための制御マップを示す図である。 図5の空調制御処理中においてブロワ電圧を決めるための制御マップを示す図である。 図5の空調制御処理で用いられる目標吹出温度算出処理を示すフローチャートである。 図5の空調制御処理で用いられる目標吹出温度算出処理について説明するための図である。 図5の空調制御処理で用いられる目標吹出温度算出処理について説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述第2実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態においてIRセンサの温度検出範囲を示す図である。 上述の第3実施形態のIRセンサの温度検出範囲を詳細に示す図である。 上述の第3実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第3実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第3実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第3実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第3実施形態に係る温度補正データを説明するための図である。 上述の第3実施形態に係る温度補正データを説明するための図である。 上述の第3実施形態の変形例に係る制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態においてIRセンサの温度検出範囲を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第5実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第5実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第5実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第6実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第6実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第6実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 本発明に係る車両用空調装置の第7実施形態の構成を示す模式図である。 上述の第7実施形態の電気的構成を示す模式図である。 上述の第7実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係る目標吹出温度算出処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係るブロワ電圧を決めるための制御マップを示す図である。 上述の第7実施形態に係る空調制御処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係る空調制御処理の一部を示すフローチャートである。 上述の第7実施形態に係る空調制御処理中において目標吹出温度の補正について説明するための図である。 上述の第7実施形態に係る空調制御処理中において目標吹出温度の補正について説明するための図である。 上述の第7実施形態の変形例に係る空調制御処理中において目標吹出温度の補正について説明するための図である。 上述の第7実施形態の変形例に係る空調制御処理中において目標吹出温度の補正について説明するための図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d…空調ゾーン、6…後席空調システム、
70a、70b…マトリックスIRセンサ、8…エアコンECU。

Claims (30)

  1. 車室内に空調風を吹き出す空調手段(5、6)と、
    車室内の乗員着衣の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサ(70a、70b)と、
    前記非接触温度センサの検出値に基づいて、前記車室内に吹き出す吹出空気温度を調整させるように前記空調手段を制御する制御手段(8、S123、S1233〜S1236、S128)と、を備える車両用空調装置であって、
    前記制御手段は、人が乗車したと判定したときには、前記非接触温度センサの検出値の変化に基づく前記空調手段の制御に時間遅れを持たせることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記制御手段は、人が乗車したと判定したときには、前記非接触温度センサの検出値の変化に時間遅れを持たせて前記空調手段の制御に反映させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記制御手段は、前記空調手段の制御状態が定常状態であると判定した場合において、前記人が車室内に乗り込んだと判定したときに、前記検出値の変化に時間遅れを持たせて前記空調手段の制御に反映させることを行うことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記時間遅れは、時定数(τ)により規定されるものであることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
  5. 前記時定数は、前記制御手段により前記人が乗車したと判定されてからの時間の経過に応じて小さくなることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記時定数は、前記制御手段により前記人が乗車したと判定されてから一定期間だけ一定値が継続されて、前記一定期間の後では、前記一定値よりも小さな値になることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
  7. 前記制御手段は、前記時定数(τ)をもって前記非接触温度センサの検出値の変化が変化するように前記非接触温度センサの検出値を補正するとともに、この補正された補正検出値に基づいて前記空調手段を制御することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記制御手段は、前記補正検出値を用いて前記空調手段から車室内に吹き出す目標吹出温度を算出し、この算出された目標吹出温度に前記吹出空気温度を近づけるように前記空調手段を制御するものであることを特徴とする請求項7に記載の車両用空調装置。
  9. 前記制御手段は、前記人が乗車したと判定した場合において、前記人が乗車したと判定する前に比べて、空調能力を上昇させるように前記空調手段を制御する請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  10. 前記空調手段の空調能力を上昇させる度合い(f5)を予め設定するための設定手段(11)を有していることを特徴する請求項9に記載の車両用空調装置。
  11. 前記制御手段は、前記非接触温度センサにより検出される乗員着衣温度に応じて前記空調手段の空調能力を変更することを特徴する請求項9に記載の車両用空調装置。
  12. 前記制御手段は、前記空調手段の空調能力を上昇させる時間を前記非接触温度センサにより検出される乗員着衣温度に応じて変更することを特徴する請求項9に記載の車両用空調装置。
  13. 前記空調手段は、乗員上半身および乗員下半身に空調風を吹き出すための吹出口をそれぞれ有しており、
    前記制御手段は、前記人が乗車したと判定したときには、乗員上半身および乗員下半身にそれぞれ空調風を吹き出させるように前記空調手段を制御することを特徴とする請求項9ないし12のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  14. 前記空調手段は、乗員に空調風を吹き出すための複数の吹出口をそれぞれ有しており、
    前記制御手段は、前記人が乗車したと判定したときには、前記複数の吹出口のうち乗員に近い吹出口から空調風を吹き出させるように前記空調手段を制御することを特徴とする請求項9ないし12のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  15. 前記空調手段は、車室内の第1、第2の座席に同一の送風手段(52)で送風し、かつ前記第1、第2の座席に吹き出す空気温度をそれぞれ独立して調節するようになっており、
    前記制御手段は、前記非接触温度センサの検出値に応じて前記空調手段を制御して、前記同一の送風手段の送風量、および前記第1、第2の座席に吹き出す空気温度を調整するようになっており、
    さらに、前記制御手段は、前記第1、第2の座席のうち一方について前記人が乗車したと判定した場合においては、当該判定前の他方の座席に対する空調能力を維持するために、前記空調手段から他方の座席に吹き出す空気温度を変更させることを特徴する請求項8ないし14のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  16. 車室内に空調風を吹き出す空調手段(5、6)と、
    車室内の乗員着衣の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサ(70a、70b)と、
    前記非接触温度センサの検出値に基づいて、前記車室内に吹き出す吹出空気温度を調整させるように前記空調手段を制御する制御手段(8、S123、S1233〜S1236、S1234A、S1234B、S128)と、を備える車両用空調装置であって、
    前記制御手段は、人が車室内に乗り込んだと判定した場合には、前記人が車室内に乗り込んだと判定する以前に比べて、前記空調手段の制御に対する前記非接触温度センサの検出値の寄与度を大きくすることを特徴とする車両用空調装置。
  17. 前記制御手段は、前記空調手段の制御状態が定常状態であると判定した場合において、前記人が車室内に乗り込んだと判定したとき、前記検出値の寄与度を大きくすることを行う特徴とする請求項16に記載の車両用空調装置。
  18. 車室内の空気温度を検出する内気温検出手段(85)を備えており、
    前記制御手段は、前記内気温検出手段の検出値に基づいて前記空調手段の制御状態が定常状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項3または16に記載の車両用空調装置。
  19. 前記制御手段は、前記非接触温度センサの検出値に基づいて、前記空調手段から前記車室内に吹き出す目標吹出温度を算出するものであり、
    前記空調手段の制御に対する前記検出値の寄与度を大きくすることは、前記目標吹出温度の算出に対する前記検出値の寄与度を大きくすることであることを特徴とする請求項18に記載の車両用空調装置。
  20. 前記制御手段は、前記人が車室内に乗り込んだと判定してから一定期間だけ、前記検出値の寄与度を大きくすることを特徴とする請求項18または19のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  21. 前記制御手段は、前記人が車室内に乗り込んだと判定直後に前記検出値の寄与度を大きくしてから前記寄与度を徐々に小さくすることを特徴とする請求項18ないし20のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  22. 前記人が車室内に乗り込んだか否かの判定は、前記非接触温度センサの検出値の変化量に基づいて、行われるものであることを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  23. 前記非接触温度センサは、乗員が通常着座する通常着座部位にあたる第1の温度を検出するとともに、前記通常着座部位よりも乗員が着座する頻度の低い部位にあたる第2の温度を検出し、
    前記第1の温度と前記第2の温度との差を用いて前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段を有しており、
    前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする請求項22に記載の車両用空調装置。
  24. 車室内の空気に接触して空気温度を検出する空気温度センサ(85)を有しており、
    前記空気温度センサの検出値と前記非接触温度センサの検出値と差を用いて前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段(S2020B、S2090B)を有しており、
    前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする請求項22に記載の車両用空調装置。
  25. 前記非接触温度センサの検出値の変化量が所定条件を満たしているか否かを判定して前記乗員が着座したか否かを判定する着座判定手段(S2020、S2090…)を有しており、
    前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする請求項22に記載の車両用空調装置。
  26. 前記非接触温度センサの検出値が3箇所以上の被検温部位について求められるようになっており、
    前記3箇所以上の被検温部位のうち、2箇所以上の被検温部位について前記検出値の変化量が所定条件を満たしている場合に前記乗員が着座したと前記着座判定手段が判定するようになっていることを特徴とする請求項25に記載の車両用空調装置。
  27. 前記非接触温度センサの検出値が所定期間毎に求められるようになっており、
    前記所定期間毎に、今回の前記検出値および前回以前の前記検出値の平均値を算出し、かつ前記検出値の変化が時間遅れを持って変化するように前記今回の検出値を補正して補正検出値を算出するようになっており、
    前記今回算出される平均値が、前回に前記算出された補正検出値に比べて、所定値以上変化した場合には、前記検出値の変化量が所定条件を満たしていると前記着座判定手段が判定するようになっていることを特徴とする請求項25または26に記載の車両用空調装置。
  28. 前記着座判定手段が、当該車両の速度が一定速度未満であると判定し、かつ前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする請求項22ないし27のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  29. 乗員が乗降するためのドアが開けられてから所定期間の間に、前記着座判定手段が前記乗員が着座したと判定したときには、前記人が車室内に乗り込んだとすることを特徴とする請求項22ないし28のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  30. 前記空調手段は、前記車室内に向けて吹き出す吹出空気温度をそれぞれ座席毎に独立して調整する複数の温度調整手段(65a、65b)を備えており、
    前記非接触温度センサは、前記座席毎に対応するように複数設けられており、
    前記制御手段は、前記複数の非接触温度センサによる各検出値に基づいて、前記複数の温度調整手段をそれぞれ制御して前記座席毎の吹出空気温度をそれぞれ独立して調整させることを特徴とする請求項1ないし29のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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