JP2005138775A - 車両用温度検出装置および車両用空調装置 - Google Patents

車両用温度検出装置および車両用空調装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 IRセンサにより後席乗員の温度を検出する場合、IRセンサの被検温範囲から後席乗員が外れてしまうことを防止する。
【解決手段】 マトリクス状の被検温範囲700a、700bをもつマトリクスIRセンサ70a、70bをそれぞれ右側および左側の後席乗員の上方天井部分Ra、Rbに配置する。各マトリクスIRセンサにより、同じ視野で後席乗員の表面温度(Dr9〜Dr16)と、後席ドアの内装温度(Dr6、7)および後席ウインドウ表面温度(Dr2、3)を検出することができる。マトリクスIRセンサは各後席乗員の温度を上方から検出するので、乗員の体格、座高が変化しても、IRセンサ上の乗員肩部および大腿部の位置の変化は抑制される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、乗員の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサを備えた車両用温度検出装置に関し、さらには、検出された乗員の表面温度に応じて車室内の空調状態を制御する車両用空調装置に関する。
従来、マトリクス状に配置された複数の温度検出素子により非接触で対象物の温度を検出するマトリクスIRセンサを、運転者の前方のルームミラー近傍の天井部、あるいは、前席と後席の中間部で、かつ車両の幅方向中央部の天井部に配置して、運転者、あるいは後席乗員の顔部およびこの顔部の周囲の温度分布を検出するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−322416号公報
しかし、上記従来技術では、車室内においてマトリクスIRセンサを車両前方のルームミラー付近の天井部などに取り付けているため、マトリクスIRセンサが検温対象物である乗員を斜め前方から測定するように配置されている。このため、乗員の座高や体格の変化によって、例えば肩の位置が車両の上下方向(天地方向)に変化すると、乗員の斜め前方から測定しているマトリクスIRセンサの所定の被検温範囲から肩の位置が外れてしまう場合があった。したがって、肩の表面温度で乗員の温度を代表させる場合には、乗員の表面温度を正確に測定することができなくなるという問題がある。
本発明は、上記点に鑑み、マトリクスIRセンサにより乗員の温度を検出する場合、マトリクスIRセンサの被検温範囲から検温対象物が外れてしまうことを防止することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室(1)内の座席(30、31、30a、31a、30b、31b、30c、31c、30d、31d)付近の複数の被検温範囲(700a、700b)の表面温度をそれぞれ非接触で検出する複数の温度検出素子(Dr1〜Dr16、Pa1〜Pa16)を有する非接触温度センサ(70、70a、70b)を備える車両用温度検出装置であって、非接触温度センサは、前記座席の上方(Ra、Rb、Rc、Raf、Rbf、Rcf)に設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、車室内の座席付近の被検温範囲、例えば、座席または座席の乗員の表面温度を非接触で検出する温度検出素子を複数備えた非接触温度センサを、その座席の上方に設けることにより、非接触温度センサは座席に着座する乗員の上方からその乗員を見下ろすように配置できるので、非接触温度センサによる乗員の検温部位として乗員の肩部や大腿部を含めることができる。
したがって、着座乗員の体格(身長や座高)が変化しても、乗員を上方から見下ろすように配置されている非接触温度センサの複数の温度検出素子上において、乗員の被検温部位である肩部や大腿部の位置変化は少なく、それぞれの部位に対応する温度検出素子は変化することがないため、非接触温度センサによる乗員の各部位の検出精度を向上させることができる。
非接触温度センサは、請求項2に記載のように、車両前後方向において座席のシートクッション部(30、30a、30b、30c、30d)からシートバック部(31、31a、31b、31c、31d)までの領域の上方に設けることができる。なお、シートクッション部とは、乗員の尻および大腿部を支えるシート部位であり、シートバック部とは座席の背もたれ部に相当する。
さらに、非接触温度センサは、請求項3に記載のように、座席のシートクッション部の前端部と後端部との間の領域の上方に設けることができる。
このように、非接触温度センサをシートクッション部の上方からシートバック部までの領域の上方の位置に配置することにより、さらに好ましくはシートクッション部の前端部と後端部との間の領域の上方の位置に配置することにより、非接触温度センサは着座している乗員をより確実に上方から見下ろすことができる。
非接触温度センサが備える複数の温度検出素子は、請求項4に記載のように、座席に着座する乗員の少なくとも肩部と大腿部とのそれぞれの表面温度を検出することができる。これにより、乗員の体格や座高が変化しても、乗員の上方から見る乗員の肩部や大腿部の位置変化は少ないため、非接触温度センサの乗員表面温度の検出精度を向上させることができる。これにより、着座乗員の体格や座高が変化しても、非接触温度センサによる肩部や大腿部を検出する温度検出素子が異なることがさらに抑制され、それらの部位の検出精度を向上させることができる。
非接触温度センサが備える複数の温度検出素子は、請求項5に記載のように、座席に着座している乗員の表面温度と、乗員近傍のサイドウインドウの表面温度と、乗員とサイドウインドウとの間の内装の表面温度とをそれぞれ検出することができる。
また、請求項6に記載のように、非接触温度センサは、左右前席または左右後席の少なくとも一方の列の一方の右側乗員(RrDr)を被検温範囲(700a)に含むよう設けられている複数の温度検出素子(Dr1〜Dr16)を備える右側用マトリクスIRセンサ(70a)と、列の他方の左側乗員(RrPa)を被検温範囲(700b)に含むよう設けられている複数の温度検出素子(Pa1〜Pa16)を備える左側用マトリクスIRセンサ(70b)とを備えるように構成することができる。
そして、請求項7に記載のように、右側用マトリクスIRセンサを右側乗員の上方天井部分(Ra)に設けるとともに、左側用マトリクスIRセンサを左側乗員の上方天井部分(Rb)に設けることにより、右側用および左側用マトリクスIRセンサにより、それぞれ右側乗員および左側乗員の上方からより確実に検温することができる。
さらに、右側用および左側用マトリクスIRセンサを、請求項8に記載のように、それぞれ、右側乗員および左側乗員の中心よりも窓側の位置に設けるようにすれば、それぞれの乗員の表面温度を乗員の上方から検出することができることに加えて、側方日射の影響を受けやすい乗員の窓側の側部の表面温度を検出することができる。さらに、乗員近傍のサイドウインドウや内装の表面温度をも容易に検出することができる。
また、請求項9に記載のように、右側用マトリクスIRセンサは、前席右側のシートクッション部の領域の上方に配置されている前席用の右側用マトリクスIRセンサと後席右側のシートクッション部の領域の上方に配置されている後席用の右側用マトリクスIRセンサとを備えるとともに、左側用マトリクスIRセンサは、前席左側のシートクッション部の領域の上方に配置されている前席用の左側用マトリクスIRセンサと後席左側のシートクッション部の領域の上方に配置されている後席用の左側用マトリクスIRセンサとを備えるようにすれば、前席の右側および左側と、後席の右側および左側の4つの着座位置をそれぞれのマトリクスIRセンサで個別に検出できるので、それぞれの検出精度の低下を防止することができ、システム全体の精度向上が可能となる。
また、請求項10に記載のように、右側用マトリクスIRセンサと左側用マトリクスIRセンサとを車両左右方向のほぼ中心位置に互いに近接して配置するようにすれば、それぞれのマトリクスIRセンサの検出信号の出力処理部回路を1つにまとめることができる。
請求項11に記載の発明は、車室(1)内の空調状態を調整する空調手段(5、6)と、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の非接触温度センサにより検出された座席に着座している乗員の温度に基づき目標吹出温度を算出し、目標吹出温度に基づき空調状態を調整するように空調手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置である。
この発明により、検出された着座乗員の温度に応じた空調状態を実現することができ、乗員の快適性を向上させることができる。
また、請求項12に記載の発明は、制御手段は、非接触温度センサにより検出された座席付近の乗員の表面温度と、乗員近傍のサイドウインドウの表面温度と、乗員とサイドウインドウとの間の内装の表面温度との重み付け演算により座席付近の乗員の温度を算出し、乗員の温度に基づき目標吹出温度を算出することを特徴とする。
この発明では、非接触温度センサにより乗員の上方から乗員の温度を検出する。この場合、乗員の肩部や大腿部は、乗員の体格(身長、座高)などの変化に拘らず同じ温度検出素子で温度検出できるが、乗員の顔や胸の温度は安定して検出することが困難である。したがって、側方日射が直接顔や胸に当たっている状態を検出できないが、本発明では、安定して検出できる部位(肩部や大腿部)の表面温度のほかに、乗員の近傍のサイドウインドウおよび内装の各表面温度を検出し、これらの表面温度の重み付け演算により、座席付近の乗員の温度を算出し、この乗員の温度に基づき目標吹出温度を算出するので、乗員の温度とともに側方日射による乗員への輻射の影響を反映させた目標吹出温度を得ることができる。したがって、この目標吹出温度に基づく空調制御により乗員の快適性を向上させることができる。
さらに、請求項13に記載の発明のように、制御手段は、重み付け演算における重み係数の大きさが、乗員の表面温度に対する重み係数が最も大きく、サイドウインドウの表面温度に対する重み係数が最も小さくなるよう設定することができる。
これにより、乗員の温度を、乗員自身の表面温度、次に内装の表面温度さらにサイドウインドウの表面温度の順に寄与度が小さくなるように算出するので、乗員に対する側方日射による輻射の影響をより正確に推定できる。したがって、このような乗員の温度に基づいて算出した目標吹出温度に基づいて空調状態を調整すれば、乗員の空調快適性を向上させることができる。
請求項14に記載の発明は、車室(1)内の前席右側および左側と後席右側および左側のそれぞれの空調ゾーンの空調状態を独立に調整する空調手段(5、6)と、
前席の右側の乗員の上方に配置され前席右側乗員の温度を検出する前席右側用マトリクスIRセンサと、前席の左側の乗員の上方に配置され前席左側乗員の温度を検出する前席左側用マトリクスIRセンサと、後席の右側の乗員の上方に配置され後席右側乗員の温度を検出する後席右側用マトリクスIRセンサと、後席の左側の乗員の上方に配置され後席左側乗員の温度を検出する後席左側用マトリクスIRセンサとを備える、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の非接触温度センサと、
前席右側用マトリクスIRセンサにより検出された前席右側の乗員の温度に基づき前席右側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、前席左側用マトリクスIRセンサにより検出された前席左側の乗員の温度に基づき前席左側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、後席右側用マトリクスIRセンサにより検出された後席右側の乗員の温度に基づき後席右側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、後席左側用マトリクスIRセンサにより検出された後席左側の乗員の温度に基づき後席左側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出するとともに、
前席右側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前席右側の空調ゾーンの空調状態を調整するように空調手段を制御し、前席左側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前席左側の空調ゾーンの空調状態を調整するように空調手段を制御し、後席右側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき後席右側の空調ゾーンの空調状態を調整するように空調手段を制御し、後席左側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき後席左側の空調ゾーンの空調状態を調整するように空調手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置である。
この発明によれば、前席の右側および左側と、後席の右側および左側との各空調ゾーンにおいて、それぞれの乗員の温度が個別に各マトリクスIRセンサにより検出され、それらに基づいて各空調ゾーンにおける目標吹出温度が算出され、各目標吹出温度に応じて書く空調ゾーンがそれぞれ独立に空調制御されるので、各空調ゾーンの乗員が望む目標の空調状態が異なっても、それぞれ精度よく検出された乗員の温度に応じた快適な空調状態を実現することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態による車両用空調装置の室内空調ユニット部の吹出口配置状態を示す平面概要図、図2は室内空調ユニット部および制御ブロックを含む全体構成図である。
本第1実施形態は、車室内1の前後左右の計4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dをそれぞれ独立して空調制御する。図1、図2は右ハンドル車の場合を示しており、上記空調ゾーン1a〜1dをより具体的に説明すると、空調ゾーン1aは、前席空調ゾーンのうち右側、すなわち、運転席側に位置する。空調ゾーン1bは、前席空調ゾーンのうち左側、すなわち、助手席側に位置する。
そして、空調ゾーン1cは、後席空調ゾーンのうち右側窓寄りに位置し、空調ゾーン1dは、後席空調ゾーンのうち左側窓寄りに位置する。なお、図1中、後部座席の乗員の尻部が当たる座面をシートクッション部30、乗員の背があたる面をシートバック部31として示し、特に後席右側(左側)乗員のシートクッション部30c(30d)、シートバック部31c(30d)として図示している。また、図1中の前後左右の各矢印は、車両搭載時における前後左右の方向を示す。
車両用空調装置の室内空調ユニット部は空調手段としての前席用空調ユニット5と後席用空調ユニット6とから構成されている。前席用空調ユニット5は、前席左右の空調ゾーン1a、1bのそれぞれの空調状態(例えば、空気温度)を独立して調整するためのものであり、後席用空調ユニット6は、後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれの空調状態を独立して調整するためのものである。
前席用空調ユニット5は、車室内1の最前部の計器盤7の内側に配置されており、後席用空調ユニット6は、車室内1の最後方に配置されている。前席用空調ユニット5は、車室内1の前席側に空気を送風するためのダクト50を備えている。このダクト50の最上流部には、車室内1から内気を導入するための内気導入口50aおよび車室外から外気を導入するための外気導入口50bが設けられている。
さらに、ダクト50には、外気導入口50bおよび内気導入口50aを選択的に開閉する内外気切替ドア51が設けられており、この内外気切替ドア51には、駆動手段としてのサーボモータ510aが連結されている。
また、ダクト50内のうち外気導入口50bおよび内気導入口50aの空気下流側には、車室内1に向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機52が設けられている。遠心式送風機52は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ52aにより構成されている。なお、図2において、この羽根車は図の簡略化のため軸流式羽根車を示しているが、実際は遠心式の羽根車が使用されている。
さらに、ダクト50内にて遠心式送風機52の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としてのエバポレータ53が設けられており、さらに、このエバポレータ53の空気下流側には、空気加熱手段としてのヒータコア54が設けられている。
そして、ダクト50内のうちエバポレータ53の空気下流側には仕切り板57が設けられており、この仕切り板57により、ダクト50内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、運転席側通路50cと助手席側通路50dとに仕切っている。
運転席側通路50cのうちヒータコア54の側方には、バイパス通路51aが形成されており、バイパス通路51aは、ヒータコア54に対してエバポレータ53により冷却された冷風をバイパスさせる。
また、助手席側通路50dのうちヒータコア54の側方には、バイパス通路51bが形成されており、バイパス通路51bは、ヒータコア54に対してエバポレータ53により冷却された冷風をバイパスさせる。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいてヒータコア54の空気上流側に、それぞれ、エアミックスドア55a、55bが独立に操作可能に設けられている。運転席側のエアミックスドア55aは、その開度により、運転席側通路50cを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路51aを通る量(冷風量)との比を調整して、前席運転席側の空調ゾーン1aへの吹出空気温度を調整する。
また、助手席側のエアミックスドア55bは、その開度により、助手席側通路50dを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路51bを通る量(冷風量)との比を調整して、前席助手席側の空調ゾーン1bへの吹出空気温度を調整する。
なお、前席左右のエアミックスドア55a、55bには、駆動手段としてのサーボモータ550a、550bがそれぞれ連結されており、エアミックスドア55a、55bの開度は、サーボモータ550a、550bによって、それぞれ独立に調整される。
エバポレータ53は、図示しないコンプレッサ、凝縮器、受液器、減圧器とともに、周知の冷凍サイクルを構成している低圧側の冷却用熱交換器である。このエバポレータ53は、ダクト50内を流れる空気から低圧側冷媒が蒸発潜熱を吸熱して蒸発することにより、ダクト50内の空気を冷却する。なお、冷凍サイクルのコンプレッサは、車両エンジンに電磁クラッチ(図示しない)を介して連結され、電磁クラッチを断続制御することによって駆動停止制御される。
ヒータコア54は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、このヒータコア54は蒸発器53通過後の空気を加熱する。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうちヒータコア54の空気下流側(最下流部)には、運転席側フェイス吹出口2aおよび助手席側フェイス吹出口2bが設けられている。
運転席側フェイス吹出口2aは、運転席側通路50cから運転席に着座する運転席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。また、助手席側フェイス吹出口2bは、助手席側通路50dから助手席に着座する助手席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。
さらに、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうち運転席側フェイス吹出口2aおよび助手席側フェイス吹出口2bの各空気上流部には、それぞれ、運転席側フェイス吹出口2aを開閉する吹出口切替ドア56aおよび助手席側フェイス吹出口2bを開閉する吹出口切替ドア56bが設けられている。これら吹出口切替ドア56aおよび56bは、それぞれ駆動手段としての運転席側のサーボモータ560a、および助手席側のサーボモータ560bによって、開閉駆動される。
なお、運転席側フェイス吹出口2aと助手席側フェイス吹出口2bは、具体的には図1に示すようにそれぞれ、計器盤7の左右方向の中央部寄り部位に位置するセンターフェイス吹出口と計器盤7の左右方向の両端部付近に位置するサイドフェイス吹出口とに分けて配置される。
また、図1、図2には図示していないが、運転席側通路50cの最下流部には、上記運転席側フェイス吹出口2aの他に、運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口が設けられている。運転席側フット吹出口は運転席側通路50cから運転者の下半身に空気を吹き出す。運転席側デフロスタ吹出口は運転席側通路50cからフロントガラスの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す。
助手席側通路50dの最下流部には、上記助手席側フェイス吹出口2bの他に、助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口が設けられている。助手席側フット吹出口は助手席側通路50dから助手席乗員の下半身に空気を吹き出す。助手席側デフロスタ吹出口は助手席側通路50dからフロントガラスの内表面のうち助手席側領域に空気を吹き出す。
そして、運転席側通路50cにおいて運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら運転席側のフェイス、フットおよびデフロスタの各吹出口切替ドアは、上述した運転席側のサーボモータ560aにより連動して開閉駆動される。
また、助手席側通路50dにおいて助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら助手席側のフェイス、フットおよびデフロスタの各吹出口切替ドアは、上述した助手席側のサーボモータ560bにより連動して開閉駆動される。
後席用空調ユニット6は、車室内1に送風するためのダクト60を備えている。このダクト60内の最上流部には、車室内1から内気導入口60aを通して内気のみを導入する内気導入ダクト60bが接続されている。
内気導入ダクト60bの空気下流側には、車室内1に向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機62が設けられている。遠心式送風機62は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ62aにより構成されている。なお、この羽根車も図2において、上記と同様、図の簡略化のため軸流式羽根車を示しているが、実際は遠心式の羽根車が使用されている。
さらに、ダクト60内において遠心式送風機62の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としてのエバポレータ63が設けられており、このエバポレータ63の空気下流側には、空気を加熱する空気加熱手段としてのヒータコア64が設けられている。
そして、ダクト60内のうちエバポレータ63の下流部分には仕切り板67が設けられており、この仕切り板67により、ダクト60内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、後席右側通路(後席運転席側通路)60cと後席左側通路(後席助手席側通路)60dとに仕切っている。
後席右側通路60cのうちヒータコア64の側方には、バイパス通路61aが形成されており、バイパス通路61aは、ヒータコア64に対してエバポレータ63により冷却された冷風をバイパスさせる。
また、後席左側通路60dのうちヒータコア64の側方には、バイパス通路61bが形成されており、バイパス通路61bは、ヒータコア64に対してエバポレータ63により冷却された冷風をバイパスさせる。
後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいてヒータコア64の空気上流側には、それぞれエアミックスドア65a、65bが独立に操作可能に設けられている。後席右側のエアミックスドア65aは、その開度により、後席右側通路60cを流通する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路61aとを通る量(冷風量)との比を調整して、後席右側の空調ゾーン1cへの吹出空気温度を調整する。
また、後席左側のエアミックスドア65bは、その開度により、後席左側通路60dを通過する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路61bを通る量(冷風量)との比を調整して、後席左側の空調ゾーン1dへの吹出空気温度を調整する。
そして、後席右側および後席左側のエアミックスドア65a、65bには、駆動手段としてのサーボモータ650a、650bがそれぞれ連結されており、後席右側および後席左側のエアミックスドア65a、65bの開度は、サーボモータ650a、650bによって、それぞれ独立に調整される。
エバポレータ63は、上述した周知の冷凍サイクルにおいて前席側のエバポレータ53に対して並列的に配管結合される冷却用熱交換器である。
また、ヒータコア64は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、ヒータコア64は、温水回路において前席側のヒータコア54に対し並列的に接続され、エバポレータ63通過後の空気を加熱する。
ダクト60内の後席右側通路60cのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には、後席右側フェイス吹出口2cが設けられている。後席右側フェイス吹出口2cは、後席右側通路60cから後席の右側(すなわち、後席運転席側)に着座する乗員(以下、後席右側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
また、ダクト60内の後席左側通路60dのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には、後席左側フェイス吹出口2dが設けられている。後席左側フェイス吹出口2dは、後席左側通路60dから後席の左側(すなわち、後席助手席側)に着座する乗員(以下、後席左側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
ここで、後席左右の各フェイス吹出口2c、2dの空気上流部には、それぞれ吹出口切替ドア66a、66bが設けられ、後席左右の各フェイス吹出口2c、2dを開閉するようになっている。この後席左右の吹出口切替ドア66a、66bは、駆動手段としてのサーボモータ660a、660bによって開閉駆動される。
そして、図1、図2には図示しないが、後席右側通路60cの最下流部には、後席右側フェイス吹出口2cの他に後席右側フット吹出口が設けられている。この後席右側フット吹出口は、後席右側通路60cから空気を後席右側乗員の下半身に向けて吹き出す。
同様に、後席左側通路60dの最下流部には、後席左側フェイス吹出口2dの他に後席左側フット吹出口が設けられている。この後席左側フット吹出口は、後席左側通路60dから空気を後席左側乗員の下半身に向けて吹き出す。
この後席左右の各フット吹出口の空気上流部には、それぞれ吹出口切替ドア(図示せず)が設けられており、この後席左右の各吹出口切替ドアは、上記サーボモータ660c、660dによってそれぞれ開閉駆動される。
制御手段(空調制御装置)としてのエアコンECU8の入力側には、外気温度センサ81、冷却水温度センサ82、日射センサ83、内気温度センサ84、85および蒸発器温度センサ86、87が接続されている。
外気温度センサ81は、車室外温度を検出しその検出温度に応じた外気温度信号TamをエアコンECU8に出力する。冷却水温度センサ82は、エンジンの冷却水(すなわち温水)の温度を検出しその検出温度に応じた冷却水温度信号TwをエアコンECU8に出力する。
日射センサ83は、フロントウインドウの内側にて車両左右方向の略中央部分に配置された周知の2素子(2D)タイプの日射センサであり、車室内の運転席側空調ゾーン1aに入射される日射量と助手席側空調ゾーン1bに入射される日射量とを検出し、それら検出した各日射量に応じた日射量信号TsDrおよびTsPaをエアコンECU8に出力する。
内気温度センサ84は、車室内の空調ゾーン1a、1b(前席側空調領域)の空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrFrをエアコンECU8に出力する。内気温度センサ85は、車室内の空調ゾーン1c、1d(後席側空調領域)の空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrRrをエアコンECU8に出力する。
蒸発器温度センサ86は、エバポレータ53の吹出空気温度を検出しその検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeFrをエアコンECU8に出力するもので、蒸発器温度センサ87は、エバポレータ63の吹出空気温度を検出しその検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeRrをエアコンECU8に出力する。
また、エアコンECU8には、空調ゾーン1a、1b、1c、1dのそれぞれの希望温度TsetFrDr、TsetFrPa、TsetRrDr、TsetRrPaが乗員により設定される温度設定スイッチ9、10、11、12、および、後席右側の空調ゾーン1cおよび後席左側の空調ゾーン1d(すなわち、後席側空調領域)の各ゾーンの表面温度を検出するための非接触温度センサとしての右側用および左側用のマトリクス赤外線温度(IR)センサ70a、70bが接続されている。なお、温度設定スイッチ9、10、11、12のそれぞれ近傍には、希望温度等の設定内容を表示する希望温度表示手段としてのディスプレイ9a、10a、11a、12aが備えられている。
右側用および左側用のマトリクスIRセンサ70a、70bとしては、入力される赤外線量の変化に対応した起電力変化を温度変化として検出するサーモパイル型検出素子が用いられている。以下、右側用および左側用のマトリクスIRセンサ70a、70bの具体的な構成について図3〜図5を用いて説明する。
右側用および左側用のマトリクスIRセンサ70a、70bは、共に同様の構成を備えている。以下では、右側用のマトリクスIRセンサ70aについて説明し、左側用のマトリクスIRセンサ70bについては説明を簡略化する。
右側用マトリクスIRセンサ70aは、図3に示すように、検知部71を有しており、検知部71は、基板71a、この基板71a上に設置されるセンサチップ72、および、このセンサチップ72を覆うように配設される赤外線吸収膜73を備えている。検知部71は、台座71c上に配置されるとともに、カップ状のケース71bによって覆われている。ケース71bの底部には、四角形の窓71dがあけられ、この窓71dにはレンズ71eが填め込まれている。また、赤外線吸収膜73は、空調ゾーン1c、1dの各検温対象物からレンズ71eを通して入射される赤外線を吸収して熱に変換する役割を果たす。
センサチップ72上には、16個の熱電対部Dr1〜Dr16が縦4列、横4列のマトリクス状に配列されている。これらの熱電対部Dr1〜Dr16は、それぞれ、赤外線吸収膜73から発生する熱を電圧(電気エネルギー)にそれぞれ変換する温度検出素子である。
図4は右側用および左側用のマトリクスIRセンサ70a、70bの配置位置およびそれぞれの被検温範囲700a、700bを示す図であり、図5は、被検温範囲700a、700bの拡大図である。また、図6は、後席右側乗員、右側ドアおよびウインドウの各部位と温度検出素子である4行×4列の熱電対部Dr1〜Dr16との対応を示す図である。
右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、車室内において赤外線吸収膜73をほぼ水平方向となるよう配置され、その被検温範囲700a(700b)が右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)の鉛直下方に形成される。
さらに、右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、図4に示すように、空調ゾーン1c(1d)である後席右側(左側)乗員の上方、すなわち、後席右側(左側)乗員の着座位置におけるシートクッション部30c(30d、30)からシートバック部31c(31d、31)(図1参照)までの領域Lr0(図1参照)の上方の車室内天井部位置Ra(Rb)に配置されている。この位置Ra、Rbは、車両幅方向の中心位置に対して、窓側に変位した位置(窓側位置)とみなすことができる。
換言すれば、右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、少なくとも右側(左側)の後席乗員の各肩部および大腿部を被検温範囲700a(700b)に含むように配置されている。すなわち、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bは、それぞれ後席左右列における右側乗員(後席右側乗員)および後席左右列の左側乗員(後席左側乗員)の表面温度を検出する非接触温度センサに相当する。また、この非接触温度センサ、すなわち右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bと、これらの出力信号より、後述するように各部位の表面温度を算出するエアコンECU8とが、車両用温度検出装置に相当する。
なお、右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、より好ましくは、シートクッション部30cの前端部と後端部と間の車両前後方向の領域Lr1(図1参照)の上方に配置されることにより、後席乗員をより上方から見ることができ、乗員の肩部および大腿部の被検温範囲における位置ずれ抑制の効果を高めることができる。
さらには、右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、後席右側(左側)乗員の右肩(左肩)を含む右側面(左側面)と後席右側(左側)のドアの内装部分およびウインドウ部分を被検温範囲700a(700b)に含むように配置されている。このような被検温範囲700a(700b)を得るために、右側用(左側用)マトリクスIRセンサ70a(70b)は、後席右側(左側)乗員の着座位置の上方、かつ、窓側の位置の天井部Ra(Rb)に配置されることが望ましい。この場合、乗員の着座位置の中心よりもさらに窓側の位置であれば、容易に、側方日射の影響を受けやすい乗員の右側面(左側面)や、ドアの内装部分およびウインドウ部分を被検温範囲700a(700b)に含むようにすることができる。
図4、図5において、マトリクス状に表された被検温範囲700a、700bは、それぞれ上記位置に配置された右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bの各レンズ71eにより、それぞれ同一視野内で各温度検出素子上に集光される赤外線の輻射範囲、すなわち被検温範囲に相当する。なお、図5において、被検温範囲700aの各被検温範囲を表す符号Dr1〜Dr16は右側用マトリクスIRセンサ70aの温度検出素子である各熱電対部の符号に対応し、被検温範囲700bの各被検温範囲を表す符号Pa1〜Pa16は左側用マトリクスIRセンサ70bの温度検出素子である各熱電対部の符号にそれぞれ対応している。また、図4、図5において、被検温範囲700a、700bの形状は、車両上方から見たときの概略的な形状を表している。
このように配置された右側用マトリクスIRセンサ70aによる、後席右側の空調ゾーン1cの被検温範囲700aは図6に示すようになる。なお、左側用マトリクスIRセンサ70bによる後席左側の空調ゾーン1dの被検温範囲700bは、上記右側用マトリクスIRセンサ70aによる被検温範囲700aと、車両左右の中央線について線対称の関係にある(図4、図5)ので、図6においては省略している。
すなわち、右側用マトリクスIRセンサ70aが備える後席右側窓寄りの最外部の熱電対部の列Dr1〜Dr4のうち、熱電対部Dr2、Dr3により後席右側のウインドウの表面温度が検出され、最外部の内側の熱電対部の列Dr5〜Dr8のうち、熱電対部Dr6、Dr7により、後席右側のウインドウおよび後席右側乗員を含まない車室内の内装温度、すなわちドアやピラー部分の内張りの表面温度が検出される。
一方、右側用マトリクスIRセンサ70aが備える車幅方向内側の熱電対部の2列Dr9〜Dr12およびDr13〜Dr16のうち、熱電対部Dr9、Dr13により後席右側乗員RrDrの頭部を含む肩部の表面温度が検出され、熱電対部Dr10、Dr14により腹部の表面温度が検出される。また、熱電対部Dr11、Dr12により後席右側乗員の右大腿部の、および熱電対部Dr15、Dr16により左大腿部の各表面温度が検出される。すなわち、右側用マトリクスIRセンサ70aの内側の熱電対部の2列Dr9〜Dr12およびDr13〜Dr16により、後席右側乗員の肩部および左右大腿部を含む後席右側乗員の表面温度が検出される。
また、特に熱電対部の列Dr9〜Dr12は、後席右側の乗員の側方日射の影響を受けやすい部位である右半身の表面温度を検出できる。すなわち、右側用マトリクスIRセンサ70aを後席右側乗員の着座位置の上方、詳しくは、後席右側のシートクッション部30cの領域の上方で、かつ窓側位置の天井部Raに配置しているので、右側用マトリクスIRセンサ70aにより、後席右側乗員への側方日射の影響を受けやすい窓側の部位である後席右側乗員の右半身(または右側面)の表面温度を容易に検出することができる。
左側用マトリクスIRセンサ70bの被検温範囲700bについても同様に、左側用マトリクスIRセンサ70bが備える後席左側窓寄りの最外部の熱電対部の列Pa1〜Pa4のうち、熱電対部Pa2、Pa3により後席左側のウインドウの表面温度が検出され、最外部の内側の熱電対部の列Pa5〜Pa8のうち、熱電対部Pa6、Pa7により、後席左側のウインドウおよび後席左側乗員を含まない車室内の内装部分、すなわちドアやピラー部分の内張りの表面温度が検出される。
また、左側用マトリクスIRセンサ70bが備える車幅方向内側の熱電対部の2列Pa9〜Pa12およびPa13〜Pa16のうち、熱電対部Pa9、Pa13により後席左側乗員RrPaの頭部を含む肩部の表面温度が検出され、熱電対部Pa10、Pa14により腹部の表面温度が検出される。また、熱電対部Pa11、Pa12により後席左側乗員の右大腿部の、および熱電対部Pa15、Pa16により左大腿部の各表面温度が検出される。すなわち、左側用マトリクスIRセンサ70bの内側の熱電対部の2列Pa9〜Pa12およびPa13〜Pa16により、後席左側乗員の肩部および左右大腿部を含む後席左側乗員の表面温度が検出される。
このように、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bは、後席右側および左側の乗員のそれぞれの上方、例えば天井部に、より詳しくは、それぞれ乗員の着座位置のシートクッション部30c、30dおよびシートバック部31c、31dの上方、かつ、窓寄りの天井部Ra(Rb)に配置されるので、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bはそれぞれ後席右側乗員および後席左側乗員を上から見ることができる。
したがって、後席乗員の体格や座高が代わっても、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bの各被検温範囲における後席乗員の肩部の位置の変化はほとんどないので、後部座席位置に対して被検温範囲を固定しても肩部の表面温度を安定して検出できる。また、同様に、各後席乗員の左右の大腿部の被検温範囲における位置の変化も、乗員の体格変化によらずほぼ一定であり、したがって、大腿部の表面温度を安定して検出することができる。さらに、従来技術のように前席のシート位置、リクライニング角度や前席シートカバーの影響を受けることなく、後席乗員の表面温度を精度よく検出することができる。
また右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70bをそれぞれ、後席付近の窓寄りの天井部分に配置しているので、後席のドアのウインドウおよびこのウインドウと乗員との間の車室内の内装部分の表面温度も、乗員と同じ視野内で検出することができる。
エアコンECU8は、アナログ/デジタル変換器、マイクロコンピュータ等を有して構成される周知のものであり、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70b、日射センサ83、各温度センサ81、82、84、85、86、87および温度設定スイッチ9、10、11、12からそれぞれ出力される出力信号は、アナログ/デジタル変換器によりアナログ/デジタル変換されてマイクロコンピュータにそれぞれ入力されるように構成されている。
マイクロコンピュータは、ROM、RAMなどのメモリ、およびCPU(中央演算装置)等から構成される周知のもので、イグニッションスイッチがオンされたときに、図示しないバッテリから電力供給される。
次に、上記構成において本第1実施形態の作動を図7〜図10に基づいて説明する。
エアコンECU8は、電源が投入されると、メモリに記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)がスタートして、図7に示すフローチャートにしたがって空調制御処理を実行する。なお、以下では、前席空調処理および後席空調処理を分けて図7を参照して説明する。図7は各空調処理の内容を示している。
(前席空調処理)
まず、温度設定スイッチ9、10から設定温度信号TsetFrDr、TsetFrPaを読み込むとともに(ステップS121)、外気温度センサ81及び日射センサ83から外気温度信号Tam、日射量信号TsDr、TsPaを読み込むとともに、内気温度センサ84から内気温度TrFrを読み込む(ステップS122)。
そして、設定温度信号TsetFrDr、外気温信号Tam、日射量信号TsDr、内気温度信号TrFrを数式1に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOFrDrを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAOFrDrは、車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、前席右側(運転席)空調ゾーン1aの温度を設定温度TsetFrDrに維持するために必要な目標温度である。
TAOFrDr=KsetFrDr・TsetFrDr−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsDr・TsDr+CFrDr ・・・(数式1)
なお、KsetFrDrは前席右側用温度設定ゲイン、KrFrは前席用内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、KsDrは日射ゲイン、CFrDrは前席右側用補正定数である。
次に、外気温信号Tam、設定温度信号TsetFrPa、日射量信号TsPa、内気温度TrFrを数式2に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOFrPaを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAOFrPaは、前席左側(助手席)空調ゾーン1bの温度を設定温度TsetFrPaに維持するために必要な目標温度である。
TAOFrPa=KsetFrPa・TsetFrPa−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsPa・TsPa+CFrPa ・・・(数式2)
なお、KsetFrPaは前席左側用温度設定ゲイン、KrFrは前席用内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、KsPaは日射ゲイン、CFrPaは前席左側用補正定数である。
次に、TAOFrPa、TAOFrDrの平均値(以下、前席用目標平均値という)に基づいて、図8の制御マップにより、内気循環モードおよび外気導入モードのいずれか一方を内外気切替モードとして決定する(ステップS124)。内気循環モードでは、内気導入口50aより車室内空気(内気)を導入し、外気導入モードでは、外気導入口50bより車室外空気(外気)を導入する。
具体的には、図8に示すように、TAOFrPa、TAOFrDrの平均値(図8中のTAOに相当する)が所定温度以下となる領域(最大冷房域)では、内外気切替ドア51により内気導入口50aを全開し、外気導入口50bを全閉する内気循環モードを選択し、TAOFrPa、TAOFrDrの平均値が所定温度より高くなると、内外気切替ドア51により外気導入口50bを全開し、内気導入口50aを全閉する外気導入モードを選択する。
次に、図9により吹出口モードを前席側空調ゾーン1a、1bに対して個別に決定する(ステップS125)。図9は、予めROMに記憶されている吹出口モード決定の制御マップであって、本例では、TAOFrDr(図9中のTAOに相当する)が上昇するにつれて、空調ゾーン1aの吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。また、TAOFrPa(図9中のTAOに相当する)が上昇するにつれて、空調ゾーン1bの吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替えるようになっている。
ここで、フェイスモードとは、フェイス吹出口だけから空調風を吹き出すモードであり、フットモードとは、フット吹出口だけから空調風を吹き出しモードである。また、バイレベルモードとは、フェイス吹出口およびフット吹出口から空調風を吹き出すモードである。
たとえば、フェイスモードでは、吹出口切替ドア56a(56b)にてフェイス吹出口2a(2b)を開口し、フェイス吹出口2a(2b)のみから空調風が車室内の乗員上半身側へ吹き出す。バイレベルモードでは、吹出口切替ドア56a(56b)にてフェイス吹出口2a(2b)およびフット吹出口(図示せず)を開口し、空調風がフェイス吹出口2a(2b)およびフット吹出口から車室内の乗員上半身側および乗員下半身側へ同時に吹き出す。フットモードでは、吹出口切替ドア(図示せず)にてフット吹出口を全開し、フット吹出口から主に空調風が車室内の乗員下半身側へ吹き出す。
このように、空調ゾーン毎に吹出口モードを決定すると、各吹出口切替ドアのそれぞれのサーボモータを空調ゾーン毎に制御して、空調ゾーン毎にこの決定される吹出口モードとなるように各吹出口切替ドアをそれぞれ開閉させる。
次に、上述の目標吹出温度TAOFrPa、TAOFrDrの平均値に基づいて、送風機モータ52aに印加するブロワ電圧を決定する(ステップS126)。このブロワ電圧としては、送風機52の風量を制御するためのもので、TAOFrPa、TAOFrDrの平均値に基づいて、予めROM内に記憶された図10の制御マップにしたがって決定されるものである。
図10の制御マップにおいて、図10中のTAOがTAOFrPa、TAOFrDrの平均値に相当し、この平均値(=TAO)が中間領域内にあるときには、ブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が一定値となり、TAOが中間領域より大きい場合にはこのTAOが大きくなるほどブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が大きくなる。また、TAOが中間領域より小さい場合にはTAOが小さくなるほどブロワ電圧(すなわち送風機52の風量)が小さくなる。このようにして、ブロワ電圧が決定される。
次に、エアミックスドア55a、55bの目標開度θ1、θ2を次の数式3、4によって算出する(ステップS127)。
θ1={(TAOFrDr−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%) ・・・(数式3)
θ2={(TAOFrPa−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%) ・・・(数式4)
なお、数式3、4において、TeFrは蒸発器温度センサ86の蒸発器吹出温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水(温水)温度信号である。θ1=0%およびθ2=0%は、最大冷房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて、前席側のエバポレータ53通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路51a、51bを流れる。また、θ1=100%およびθ2=100%は、最大暖房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて、前席側のエバポレータ53通過後の空気(冷風)の全量がコアヒータ54に流入して加熱される。
以上のように決定したブロワ電圧、目標開度θ1、θ2、内外気切替モード、吹出口モードのそれぞれを示す各制御信号をサーボモータ510a、550a、550b、560a、560bおよび送風機モータ52a等に出力して内外気切替ドア51、エアミックスドア55a、55b、吹出口切替ドア56a、56b、送風機52の各作動を制御する。(ステップS128)
その後、ステップS129で一定期間経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121〜S129)が繰り返される。このような演算、処理の繰り返しによって前席空調ゾーン1a、1bの空調が自動的に制御されることになる。
(後席空調処理)
この場合、温度設定スイッチ11、12から設定温度信号TsetRrDr、TsetRrPaを読み込む(ステップS121)。さらに、外気温センサ81及び日射センサ83から外気温度信号Tam、日射量信号TsDr、TsPa、内気温度センサ85から内気温度TrRrを読み込むとともに、後席右側温度Tir1c、および後席左側温度Tir1dを読み込む(ステップS122)。
なお、後席右側温度Tir1cは、下記の数式5に基づき、後席右側ウインドウ表面温度TirWRrDr、後席右側の内装温度TirINRrDr、および後席右側の乗員温度TirRrDrの各パラメータに対し、それぞれ重み0.2、0.3、および0.5による重み付け演算で算出される。
Tir1c=0.2×TirWRrDr+0.3×TirINRrDr+0.5×TirRrDr ・・・(数式5)
これにより、後席右側の乗員に対する後席右側からの側方日射による輻射の影響を反映した乗員温度を得ることができる。
なお、数式5において、後席右側ウインドウ表面温度TirWRrDr、後席右側の内装温度TirINRrDr、および後席右側の乗員温度TirRrDrは、それぞれ数式6、数式7および数式8に示す平均値演算により算出される。なお、数式6〜数式8において、TDr2、TDr3、・・・は、マトリクスIRセンサ70aの熱電対部Dr2、Dr3、・・・の各検出温度を表す。
TirWRrDr=(TDr2+TDr3)/2 ・・・(数式6)
TirINRrDr=(TDr6+TDr7)/2 ・・・(数式7)
TirRrDr=(TDr9+TDr10+TDr11+TDr12+TDr13+TDr14+TDr15+TDr16)/8 ・・・(数式8)
そして、後席右側の空調ゾーン1cにおける設定温度信号TsetRrDr、外気温信号Tam、日射量信号TsDr、内気温度TrRr、後席右側温度Tir1cを、数式9に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAORrDrを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAORrDrは、車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、後席右側空調ゾーン1cの温度を設定温度TsetRrDrに維持するために必要な目標温度である。
TAORrDr=KsetRrDr・TsetRrDr−KirRrDr・Tir1c−KrRr・TrRr−KsDr・TsDr−Kam・Tam+CRrDr ・・・(数式9)
ここで、KsetRrDrは後席右側用温度設定ゲイン、KirRrDrは後席右側用IRゲイン、KrRrは内気温ゲイン、KsDrは右側日射ゲイン、Kamは外気温ゲイン、CRrDrは後席右側用補正定数である。
また、同様に、後席左側温度Tir1dは、下記の数式10に基づき、後席左側ウインドウ表面温度TirWRrPa、後席左側の内装温度TirINRrPa、および後席左側の乗員温度TirRrPaの各パラメータに対し、それぞれ重み0.2、0.3、および0.5による重み付け演算で算出される。
Tir1d=0.2×TirWRrPa+0.3×TirINRrPa+0.5×TirRrPa ・・・(数式10)
これにより、後席左側の乗員に対する後席左側からの側方日射による輻射の影響を反映した乗員温度を得ることができる。
なお、数式10において、後席左側ウインドウ表面温度TirWRrPa、後席左側の内装温度TirINRrPa、および後席左側の乗員温度TirRrPaは、それぞれ数式11、数式12および数式13に示す平均値演算により演算される。なお、数式11〜数式13において、TPa2、TPa3、・・・は、マトリクスIRセンサ70bの熱電対部Pa2、Pa3、・・・の各検出温度を表す。
TirWRrPa=(TPa2+TPa3)/2 ・・・(数式11)
TirINRrPa=(TPa6+TPa7)/2 ・・・(数式12)
TirRrPa=(TPa9+TPa10+TPa11+TPa12+TPa13+TPa14+TPa15+TPa16)/8 ・・・(数式13)
そして、後席左側の空調ゾーン1dにおける設定温度信号TsetRrPa、外気温度信号Tam、日射量信号TsPa、内気温度TrRr、後席左側温度Tir1dを数式14に代入して、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAORrPaを算出する(ステップS123)。この目標吹出温度TAORrPaは、後席左側空調ゾーン1dの温度を設定温度TsetRrPaに維持するために必要な目標温度である。
TAORrPa=KsetRrPa・TsetRrPa−KirRrPa・Tir1d−KrRr・TrRr−KsPa・TsPa−Kam・Tam+CRrPa ・・・(数式14)
ここで、KsetRrPaは後席左側用温度設定ゲイン、KirRrPaは後席左側用IRゲイン、KrRrは内気温ゲイン、KsPaは左側日射ゲイン、Kamは外気温ゲイン、CRrPaは後席左側用補正定数である。
次に、内外気モードの決定処理(ステップS124)を実行せずに(これは、後席空調では外気モードが設定されていないため)、吹出口モードの決定処理(ステップS125)を実行する。この吹出口モードの決定処理では、TAORrDr、TAORrPaに基づき、図9により吹出口モードを後席側の空調ゾーン1c、1dに対して個別に決定する。
具体的には、空調ゾーン1cの吹出口モードとしては、図9中のTAOをTAORrDrとし、このTAORrDrが上昇するにつれて吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。また、空調ゾーン1dの吹出口モードとしては、図9中のTAOをTAORrPaとし、このTAORrPaが上昇するにつれて吹出口モードをフェイスモード→バイレベルモード→フットモードと順次自動的に切り替える。
ここで、フェイスモードでは、吹出口切替ドア66a(66b)にてフェイス吹出口2c(2d)を開口し、フェイス吹出口2c(2d)のみから空調風が車室内の乗員上半身側へ吹き出す。バイレベルモードは、吹出口切替ドア66a(66b)にてフェイス吹出口2c(2d)およびフット吹出口(図示せず)を開口し、空調風がフェイス吹出口2c(2d)およびフット吹出口から車室内の乗員上半身側および乗員下半身側へ同時に吹き出す。フットモードは、吹出口切替ドア(図示せず)にてフット吹出口を全開し、フット吹出口から主に空調風が車室内の乗員下半身側へ吹き出す。
次に、上述の目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaの平均値(以下、後席用目標平均値という)を求め、この後席用目標平均値に基づき、図10の制御マップにしたがって、送風機モータ52aの場合と同様、送風機モータ62aに印加するブロワ電圧を決定する(ステップS126)。
次に、エアミックスドア65a、65bの目標開度θ3、θ4を次の数式15、16によって算出する。なお、TeRrは蒸発器温度センサ87の蒸発器温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水温度信号である。
θ3={(TAORrDr−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%) ・・・(数式15)
θ4={(TAORrPa−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%) ・・・(数式16)
なお、数式15、16において、TeRrは蒸発器温度センサ87の蒸発器温度信号、Twは冷却水温度センサ82の冷却水(温水)温度信号である。θ3=0%およびθ4=0%は、最大冷房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて、後席側のエバポレータ63通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路61a、61bを流れる。また、θ3=100%およびθ4=100%は、最大暖房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて、後席側のエバポレータ63通過後の空気(冷風)の全量がコアヒータ64に流入して加熱される。
以上のように決定したブロワ電圧、目標開度θ3、θ4、内外気切替モード、吹出モードのそれぞれを示す各制御信号を送風機モータ62aおよびサーボモータ650a、650b、660a、660b等に出力して送風機62、エアミックスドア65a、65b、吹出口切替ドア66a、66bの作動を制御する(ステップS128)。
その後、ステップS129において一定期間経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121、S122、S123、S125〜S129)が繰り返される。このような処理の繰り返しによって後席の空調ゾーン1c、1dの空調が自動的に制御されることになる。
以上説明したように、本第1実施形態では、後席右側および後席左側の乗員の着座位置付近の表面温度、すなわち乗員の表面温度および後席左右のドアのウインドウおよび内装の表面温度を、後席左右の乗員のそれぞれの上方、換言すれば後席左右のそれぞれの着座位置におけるシートクッション部およびシートバック部の上方の天井に配置したマトリクスIRセンサ70a、70bにより検出するので、乗員の体格変化によらず乗員の特に肩部および大腿部の表面温度を安定して検出することができる。
さらに、本第1実施形態のマトリクスIRセンサ70a、70bは、後席乗員の上部の窓側の天井部に配置されているので、後席乗員の表面温度と同じ視野内で、後席乗員の側面の後席ドアのウインドウ表面温度および後席ドア付近の内装温度をも検出することができる。
さらに、本第1実施形態では、後席右側の空調ゾーン1cの目標吹出温度TAORrDrは、後席右側の窓からの側方日射の影響を後席右側ウインドウの表面温度TirWRrDrおよび後席右側の内装温度TirINRrDrによる重み付け演算により補正されるとともに、さらに後席右側乗員の大腿部温度(膝温度)の温度上昇の影響も補正されているので、後席右側乗員への輻射の影響をより正確に推定して決定することができる。
また、後席左側の空調ゾーン1dの目標吹出温度TAORrPaは、後席左側の窓からの側方日射の影響を、後席左側ウインドウの表面温度TirWPaおよび後席左側の内装温度TirINPaによる重み付け演算により補正されるとともに、さらに後席左側乗員の大腿部温度(膝温度)の温度上昇の影響も補正されているので、後席左側乗員への輻射の影響をより正確に推定して決定することができる。
そして、両者の目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaはそれぞれ個別に演算される。したがって、後席右側乗員および後席左側乗員の快適性をそれぞれ個別に向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態とは、非接触温度センサ70であるマトリクスIRセンサ70a、70bの構造が異なること、およびマトリクスIRセンサ70a、70bの車室内天井における配置位置が異なることに特徴があり、その他の構成は同じである。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
第2実施形態の非接触温度センサ70は、図11に示すように、後席右側乗員RrDrの方向に向けられる右側用マトリクスIRセンサ70aと、後席左側乗員RrPaの方向に向けられる左側用マトリクスIRセンサ70bとを備えている。右側用マトリクスIRセンサ70aと左側用マトリクスIRセンサ70bとは、互いに近接して配置されている。なお、これらのマトリクスIRセンサ70a、70bは、1つのパッケージ内に収納されて、このパッケージが車室内の適宜箇所に配置されることが望ましい。さらに、各マトリクスIRセンサ70a、70bはいずれも同様の構成を備えている。
右側用マトリクスIRセンサ70aには後席右側(運転席側)の空調ゾーン1cの同一視野内の被検温範囲の対象物から放出される赤外線が右側用のレンズ71eを通して入射される。また、左側用マトリクスIRセンサ70bには、後席左側(助手席側)の空調ゾーン1dの同一視野内の被検温範囲の対象物から放出される赤外線が左側用のレンズ71eを通して入射される。
ここで、非接触温度センサ70は、図12に示すように、車室内天井部の後席上方、すなわち後部座席のシートクッション部30からシートバック部31までの領域Lr0(図1参照)の上方、かつ車両左右方向の中央部Rc付近に配置されるものである。なお、より好ましくは、非接触温度センサ70は、シートクッション部30の前端部と後端部との間の車両前後方向の領域Lr1(図1参照)の上方に配置されることにより、左右の後席乗員をより上方から見ることができ、乗員の肩部および大腿部の被検温範囲における位置ずれ抑制の効果を高めることができる。
そして、非接触温度センサ70が備える右側用マトリクスIRセンサ70aのセンサチップ72および右側用レンズ71eと、左側用マトリクスIRセンサ70bのセンサチップ72および左側用レンズ71eとを、それぞれ後席右側乗員と後席左側乗員とに向くよう、車両中央部における車両左右方向に直交する線Aに対して所定角度φだけ右外側および左外側に斜めに向くように傾斜配置している。
これにより、図11、12の図示例では、右側用マトリクスIRセンサ70aの検出面である右側用のセンサチップ72の面(赤外線の入射面に相当)および、左側用マトリクスIRセンサ70bの検出面である左側用のセンサチップ72の面(赤外線の入射面に相当)に対して、それぞれ後席右側乗員付近および後席左側乗員付近から赤外線が所定角度φ、例えば、72°程度の範囲にわたって入射されるようになっている。
また、図11には図示していないが、右側用マトリクスIRセンサ70aおよび左側用マトリクスIRセンサ70bを構成する4列×4行の16個の温度検出素子の各々は、上述の図3に示した第1実施形態のマトリクスIRセンサの検知部71と同様、レンズ71eを通して入射される赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収膜73と、この赤外線吸収膜73にて発生する熱量に応じた起電力を発生する熱電対部Dr1〜Dr16およびPa1〜Pa16とを備えている。
図11において、センサ処理回路71fは右側用マトリクスIRセンサ70aおよび左側用マトリクスIRセンサ70bの各温度検出素子の起電力信号すなわち検出温度信号が入力される回路部で、コネクタ71gによりエアコンECU8の入力側に接続される。
このように配置された本第2実施形態の非接触温度センサ70による被検温範囲について説明する。図13は、非接触温度センサ70のうちの右側用マトリクスIRセンサ70aによる被検温範囲700aの概略を示している。
図13において、後席右側の乗員RrDrの方向に向けられた右側用マトリクスIRセンサ70aの4行×4列、16個の温度検出素子は、後席右側窓寄りの最外部から最内部(車両左右中央側)へと順に、熱電対部列Dr1〜Dr4、Dr5〜Dr8、Dr9〜Dr12、Dr13〜Dr16として配列されている。なお、それぞれの熱電対列における符号は、車両後方から前方へと順に付すものとする。
なお、図示しないが後席左側の乗員RrPaの方向に向けられた左側用マトリクスIRセンサ70bによる被検温範囲700bも、図13に示す被検温範囲700aと車両中心線に関して線対称となるよう設定される。すなわち、左側用マトリクスIRセンサ70bの4行×4列、16個の温度検出素子は、後席左側窓寄りの最外部から最内部(車両左右中央側)のへと順に、熱電対部列Pa1〜Pa4、Pa5〜Pa8、Pa9〜Pa12、Pa13〜Pa16として配列されている。
図13において、最外部の熱電対部列Dr1〜Dr4のうち2つの熱電対部Dr3、Dr4により後席右側のウインドウの表面温度に相当する温度TDr3、TDr4が検出され、エアコンECU8にて、後席右側ウインドウ表面温度TirWRrDrが数式17により平均値演算される。
TirWRrDr=(TDr3+TDr4)/2 ・・・(数式17)
また、熱電対部Dr7、Dr8により後席右側のドアの内装温度に相当する温度TDr7、TDr8が検出され、エアコンECU8にて、後席右側内装温度TirINRrDrが数式18により平均値演算される。
TirINRrDr=(TDr7+TDr8)/2 ・・・(数式18)
さらに、8個の熱電対部Dr9〜Dr16により後席右側乗員RrDrの表面温度の相当するTDr9〜TDr16が検出され、エアコンECU8にて、後席右側の乗員温度TirRrDrが数式19により平均値演算される。
TirRrDr=(TDr9+TDr10+TDr11+TDr12+TDr13+TDr14+TDr15+TDr16)/8 ・・・(数式19)
同様に、後席左側乗員RrPaについても、最外部の2つの熱電対部Pa3、Pa4により後席左側のウインドウの表面温度に相当する温度TPa3、TPa4が検出され、エアコンECU8にて、後席左側ウインドウ表面温度TirWRrPaが数式20により平均値演算される。
TirWRrPa=(TPa3+TPa4)/2 ・・・(数式20)
また、熱電対部Pa7、Pa8により後席左側のドアの内装温度に相当する温度TPa7、TPa8が検出され、エアコンECU8にて、後席左側内装温度TirINRrPaが数式21により平均値演算される。
TirINRrPa=(TPa7+TPa8)/2 ・・・(数式21)
さらに、8個の熱電対部Pa9〜Pa16により後席左側乗員RrPaの表面温度の相当するTPa9〜TPa16が検出され、エアコンECU8にて、後席左側の乗員温度TirRrPaが数式22により平均値演算される。
TirRrPa=(TPa9+TPa10+TPa11+TPa12+TPa13+TPa14+TPa15+TPa16)/8 ・・・(数式22)
このように、本第2実施形態では、非接触温度センサ70を後席乗員の上方、かつ車両の左右中央部Rcに、後席の左右の各乗員に向けて配置しているので、後席乗員の体格、座高が変化しても、肩部や大腿部の被検温範囲における位置変化が少ない。
また、右側用マトリクスIRセンサ70aおよび左側用マトリクスIRセンサ70bが両者の検出信号を処理するセンサ処理回路71fを共有できるので、システムを低コストに構成することができる。
次に、本第2実施形態の作動を説明する。第2実施形態の作動は、上記第1実施形態と同様、図7のフローチャート、および図8〜10の制御マップにしたがって空調制御が実行される。すなわち、図7におけるステップS123にて、数式9および14による後席右側の目標吹出温度TAORrDrおよび後席左側の目標吹出温度TAORrPaの演算、および数式5および数式10による後席右側温度Tir1c、後席左側温度Tir1dの演算は上記第1実施形態と同じであるが、後席左右のウインドウ表面温度TirWRrDr、TirWPa、ドアの内装温度TirINRrDr、TirINPa、乗員温度TirRrDr、TirRrPaを、上記数式17〜19および数式20〜22により演算される点のみが、上記第1実施形態と異なる。その他の演算、および前席および後席の空調制御方法は上記第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、前席乗員、すなわち運転者および助手席乗員の表面温度を用いないで、前席空調ゾーン1a、1bの空調制御を行う例について説明したが、前席側も、後席側と同様に、前席左右列において、右側用および左側用のマトリクスIRセンサ70a、70bにより右側および左側の前席乗員、すなわち運転者および助手席乗員の表面温度を検出し、この検出された前席乗員の表面温度に応じて前席右側および左側の空調ゾーン1a、1bをそれぞれ独立に空調制御してもよい。以下、このような実施形態について説明する。
(1)左右の前席乗員の表面温度を非接触で検出する非接触温度センサとして、上記第1実施形態で用いられる2つの独立したマトリクスIRセンサ70a、70b(図3参照)と同じ2つのマトリクスIRセンサを、図14、図15に示すように運転席のシートクッション部30aとシートバック部31aとの間の領域Lf0の上方で、かつ前席の左右窓側の各位置Raf、Rbfにそれぞれ配置する。
この場合も、後席用のマトリクスIRセンサ70a、70bと同様、前席のシートクッション部30a、30bの前端部と後端部との間の車両前後方向の領域Lf1の上方で、かつ前席乗員の着座位置中心よりも更に窓側位置とすることにより、前席乗員のみならず、容易に前席左右のドアの内装部分およびウインドウ部分を被検温範囲700a(700b)に含むようにすることができる。
(2)あるいは、他の実施形態として、上記第2実施形態で用いられる図11に示した1パッケージに収納された非接触温度センサ70としての右側用マトリクスIRセンサ70a、左側用マトリクスIRセンサ70bを、前席左右の中央部の天井に配置し、かつ、それぞれ運転席および助手席に向くように傾斜配置することにより、前席左右乗員と前席左右のドアの内装部分およびウインドウ部分とを被検温範囲700a(700b)に含むようにすることができる。
この場合も、好ましくは、上記他の実施形態と同様、右側用および左側用マトリクスIRセンサ70a、70gを備えた非接触温度センサ70のパッケージを、前席のシートクッション部30a、30bの前端部と後端部との間の車両前後方向の領域Lf1の上方位置に配置することにより、前席の左右乗員をより上から見ることにより、乗員の肩部および大腿部の被検温範囲における位置ずれ抑制の効果を高めることができる。
なお、(1)および(2)において、前席用のマトリクスIRセンサ70a、70bの温度検出素子である熱電対部を表す符号は、図5、図6および図13に示す後席用のマトリクスIRセンサ70a、70bにおける符号Dr1〜Dr16、Pa1〜Pa16と同じ符号を用いるものとして説明する。
(3)上記(1)または(2)で得られた前席用のマトリクスIRセンサ70a、70bの検出信号は、図2に示すように、エアコンECU8に入力される。エアコンECU8では、上述した後席側の空調ゾーン1c、1dの目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaの演算に加えて、前席用のマトリクスIRセンサ70a、70bの検出信号に基づく同様の演算により、前席側の空調ゾーン1a、1bの目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPaが、上記数式1および数式2の代わりに、次のように演算される。なお、マイコンECU8の空調制御フローは図7に示すフローチャートと同じであるので、説明を省略する。下記の演算は、ステップS123において行われる。
TAOFrDr=KsetFrDr・TsetFrDr−KirFrDr・Tir1a−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsDr・TsDr+CFrDr ・・・(数式23)
TAOFrPa=KsetFrPa・TsetFrPa−KirFrPa・Tir1b−KrFr・TrFr−Kam・Tam−KsPa・TsPa+CFrPa ・・・(数式24)
ここで、前席右側温度Tir1aおよび前席左側温度Tir1bは、それぞれ数式25、数式26で算出される。
Tir1a=0.2×TirWFrDr+0.3×TirINFrDr+0.5×TirFrDr ・・・(数式25)
Tir1b=0.2×TirWFrPa+0.3×TirINFrPa+0.5×TirFrPa ・・・(数式26)
ここで、前席右側ウインドウ表面温度TirWFrDr、前席右側の内装温度TirINFrDr、および前席右側の乗員温度TirFrDrは、それぞれ、上記(1)のセンサ配置においては上記数式6、数式7および数式8に示す平均値演算により算出され、上記(2)のセンサ配置においては上記数式17、数式18および数式19に示す平均値演算により算出される。
また、前席左側ウインドウ表面温度TirWFrPa、前席左側の内装温度TirINFrPa、および前席左側の乗員温度TirFrPaは、それぞれ、上記(1)のセンサ配置においては上記数式11、数式12および数式13に示す平均値演算により算出され、上記(2)のセンサ配置においては上記数式20、数式21および数式22に示す平均値演算により算出される。
なお、上記数式23、数式24において、KirFrDrは前席右側用IRゲイン、KirFrPaは前席左側用IRゲインであり、その他の符号は、数式1および数式2に用いられるものと同じである。
上記数式24、数式25により算出された前席の空調ゾーン1a、1bの目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPaに基づき、上記第1実施形態と同様の制御フローに基づき、内外気モード決定(ステップS124)、吹出口モード決定(ステップS125)、ブロワ電圧決定(ステップS126)およびエアミックスドアの開度決定(ステップS127)が行われる。
このようにして、左右前席、すなわち運転席および助手席の乗員温度とその近傍のドア内装温度およびウインドウ温度をマトリクスIRセンサ70a、70bにより検出し、検出した各温度に基づき左右の空調ゾーン1a、1bの目標吹出温度を乗員の温度および側方日射による前席乗員への輻射の影響を考慮して算出することにより、前席乗員の快適性を向上させることができる。
(4)上記各実施形態では、非接触温度センサには、温度検出素子として複数の熱電対部をマトリクス状に配置したマトリクスIRセンサ70a、70bを用いた例を示したが、これに限らない。例えば、温度検出素子を1つのみ用い、この温度検出素子に入射する赤外線の通路を被検温範囲にわたって2次元的に走査するようにしてもよい。このような走査駆動装置は、例えば、特開平9−159531号公報に開示されている周知技術を用いることができる。これにより、温度検出素子を複数設ける必要がなく、したがって素子間の検出感度の較正(キャリブレーション)を行うことなく、被検温範囲全体の検出精度を向上させることができる。
(5)上記各実施形態では、温度検出装置である非接触温度センサとしてのマトリクスIRセンサ70a、70bを、それらにより検出された後席乗員および前席乗員の表面温度に基づいて、後席および前席の各空調ゾーンの空調状態を制御する車両用空調装置に適用した例を示したが、これに限らない。たとえば、温度検出装置としてマトリクスIRセンサ70a、70bを、マトリクスIRセンサ70a、70bが検出した被検温範囲の温度分布から乗員の着座の有無や着座姿勢を判定する空調装置以外の装置にも適用することができる。
本発明に係る車両用空調装置の一実施形態による車両用空調装置の吹出口配置状態を示す平面概要図である。 本発明の一実施形態による車両用空調装置全体の模式的構成図である。 マトリクスIRセンサの構成を示す図である。 マトリクスIRセンサの配置を示す図である。 マトリクスIRセンサの被検温範囲を示す図である。 マトリクスIRセンサの被検温範囲を示す図である。 エアコンECUによる空調制御処理を示すフローチャートである。 図7の空調制御処理中において内外気モードを決めるための制御マップを示す図である。 図7の空調制御処理中において吹出口モードを決めるための制御マップを示す図である。 図7の空調制御処理中においてブロワ電圧を決めるための制御マップを示す図である。 第2実施形態のマトリクスIRセンサの構成を示す図である。 第2実施形態のマトリクスIRセンサの配置を示す図である。 第2実施形態のマトリクスIRセンサの被検温範囲を示す図である。 他の実施形態のマトリクスIRセンサの配置位置を説明するための図である。 他の実施形態のマトリクスIRセンサの配置を示す図である。 他の実施形態のマトリクスIRセンサの配置を示す図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d…空調ゾーン、5…前席空調システム、
6…後席空調システム、70a、70b…マトリクスIRセンサ、
8…エアコンECU。

Claims (14)

  1. 車室(1)内の座席(30、31、30a、31a、30b、31b、30c、31c、30d、31d)付近の複数の被検温範囲(700a、700b)の表面温度をそれぞれ非接触で検出する複数の温度検出素子(Dr1〜Dr16、Pa1〜Pa16)を有する非接触温度センサ(70、70a、70b)を備える車両用温度検出装置であって、
    前記非接触温度センサは、前記座席の上方(Ra、Rb、Rc、Raf、Rbf、Rcf)に設けられていることを特徴とする車両用温度検出装置。
  2. 前記非接触温度センサは、車両前後方向において前記座席のシートクッション部(30、30a、30b、30c、30d)からシートバック部(31、31a、31b、31c、31d)までの領域の上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用温度検出装置。
  3. 前記非接触温度センサは、前記座席のシートクッション部の前端部と後端部との間の領域の上方に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用温度検出装置。
  4. 前記非接触温度センサが備える複数の温度検出素子は、前記座席に着座する乗員の少なくとも肩部と大腿部とのそれぞれの表面温度を検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用温度検出装置。
  5. 前記非接触温度センサが備える複数の温度検出素子は、前記座席に着座している乗員の表面温度と、該乗員近傍のサイドウインドウの表面温度と、前記乗員とサイドウインドウとの間の内装の表面温度とをそれぞれ検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用温度検出装置。
  6. 前記非接触温度センサは、左右前席または左右後席の少なくとも一方の列の一方の右側乗員(RrDr)を前記被検温範囲(700a)に含むよう設けられている複数の温度検出素子(Dr1〜Dr16)を備える右側用マトリクスIRセンサ(70a)と、前記列の他方の左側乗員(RrPa)を前記被検温範囲(700b)に含むよう設けられている複数の温度検出素子(Pa1〜Pa16)を備える左側用マトリクスIRセンサ(70b)とを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用温度検出装置。
  7. 前記右側用マトリクスIRセンサは前記右側乗員の上方天井部分(Ra)に設けられるとともに、前記左側用マトリクスIRセンサは前記左側乗員の上方天井部分(Rb)に設けられることを特徴とする請求項6に記載の車両用温度検出装置。
  8. 前記右側用および左側用マトリクスIRセンサは、それぞれ、前記右側乗員および左側乗員の中心よりも窓側の位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の車両用温度検出装置。
  9. 前記右側用マトリクスIRセンサは、前席右側のシートクッション部の領域の上方に配置されている前席用の右側用マトリクスIRセンサと後席右側のシートクッション部の領域の上方に配置されている後席用の右側用マトリクスIRセンサとを備えるとともに、前記左側用マトリクスIRセンサは、前席左側のシートクッション部の領域の上方に配置されている前席用の左側用マトリクスIRセンサと後席左側のシートクッション部の領域の上方に配置されている後席用の左側用マトリクスIRセンサとを備えていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の車両用温度検出装置。
  10. 前記右側用マトリクスIRセンサと前記左側用マトリクスIRセンサとが車両左右方向のほぼ中心位置に互いに近接して配置されることを特徴とする請求項6に記載の車両用温度検出装置。
  11. 車室(1)内の空調状態を調整する空調手段(5、6)と、
    請求項1ないし10のいずれか1つに記載の非接触温度センサにより検出された前記座席に着座している乗員の温度に基づき目標吹出温度を算出し、該目標吹出温度に基づき前記空調状態を調整するように前記空調手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  12. 前記制御手段は、前記非接触温度センサにより検出された前記座席付近の乗員の表面温度と、該乗員近傍のサイドウインドウの表面温度と、前記乗員とサイドウインドウとの間の内装の表面温度との重み付け演算により前記座席付近の乗員の温度を算出し、該乗員の温度に基づき前記目標吹出温度を算出することを特徴とする請求項11に記載の車両用空調装置。
  13. 前記制御手段は、前記重み付け演算における重み係数の大きさが、前記乗員の表面温度に対する重み係数が最も大きく、前記サイドウインドウの表面温度に対する重み係数が最も小さくなるよう設定されていることを特徴とする請求項12に記載の車両用空調装置。
  14. 車室(1)内の前席右側および左側と後席右側および左側のそれぞれの空調ゾーンの空調状態を独立に調整する空調手段(5、6)と、
    前記前席の右側の乗員の上方に配置され前記前席右側乗員の温度を検出する前席右側用マトリクスIRセンサと、前記前席の左側の乗員の上方に配置され前記前席左側乗員の温度を検出する前席左側用マトリクスIRセンサと、前記後席の右側の乗員の上方に配置され前記後席右側乗員の温度を検出する後席右側用マトリクスIRセンサと、前記後席の左側の乗員の上方に配置され前記後席左側乗員の温度を検出する後席左側用マトリクスIRセンサとを備える、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の非接触温度センサと、
    前記前席右側用マトリクスIRセンサにより検出された前記前席右側の乗員の温度に基づき前記前席右側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、前記前席左側用マトリクスIRセンサにより検出された前記前席左側の乗員の温度に基づき前記前席左側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、前記後席右側用マトリクスIRセンサにより検出された前記後席右側の乗員の温度に基づき前記後席右側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出し、前記後席左側用マトリクスIRセンサにより検出された前記後席左側の乗員の温度に基づき前記後席左側の空調ゾーンの目標吹出温度を算出するとともに、
    前記前席右側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前記前席右側の空調ゾーンの空調状態を調整するように前記空調手段を制御し、前記前席左側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前記前席左側の空調ゾーンの空調状態を調整するように前記空調手段を制御し、前記後席右側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前記後席右側の空調ゾーンの空調状態を調整するように前記空調手段を制御し、前記後席左側の空調ゾーンの目標吹出温度に基づき前記後席左側の空調ゾーンの空調状態を調整するように前記空調手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用空調装置。
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