JP2005287935A - シート構造 - Google Patents

シート構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2005287935A
JP2005287935A JP2004109923A JP2004109923A JP2005287935A JP 2005287935 A JP2005287935 A JP 2005287935A JP 2004109923 A JP2004109923 A JP 2004109923A JP 2004109923 A JP2004109923 A JP 2004109923A JP 2005287935 A JP2005287935 A JP 2005287935A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat
seated person
frame
elastic member
cushion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004109923A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4709496B2 (ja
Inventor
Yoshinori Fujita
悦則 藤田
Yumi Ogura
由美 小倉
Yoshiyuki Ueno
義雪 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Delta Tooling Co Ltd
Original Assignee
Delta Tooling Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Delta Tooling Co Ltd filed Critical Delta Tooling Co Ltd
Priority to JP2004109923A priority Critical patent/JP4709496B2/ja
Priority to EP05727518A priority patent/EP1731058A4/en
Priority to CN2005800120229A priority patent/CN1942123B/zh
Priority to US11/547,329 priority patent/US7971939B2/en
Priority to PCT/JP2005/006456 priority patent/WO2005094632A1/ja
Publication of JP2005287935A publication Critical patent/JP2005287935A/ja
Priority to KR1020067022348A priority patent/KR101215221B1/ko
Application granted granted Critical
Publication of JP4709496B2 publication Critical patent/JP4709496B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60NSEATS SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLES; VEHICLE PASSENGER ACCOMMODATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60N2/00Seats specially adapted for vehicles; Arrangement or mounting of seats in vehicles
    • B60N2/70Upholstery springs ; Upholstery
    • B60N2/7094Upholstery springs
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60NSEATS SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLES; VEHICLE PASSENGER ACCOMMODATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60N2/00Seats specially adapted for vehicles; Arrangement or mounting of seats in vehicles
    • B60N2/70Upholstery springs ; Upholstery
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60NSEATS SPECIALLY ADAPTED FOR VEHICLES; VEHICLE PASSENGER ACCOMMODATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60N2/00Seats specially adapted for vehicles; Arrangement or mounting of seats in vehicles
    • B60N2/70Upholstery springs ; Upholstery
    • B60N2/7023Coach-like constructions
    • B60N2/7035Cushions
    • B60N2/7047Springs
    • B60N2/7058Metallic springs

Abstract

【課題】 長時間着座に伴う着座者の疲労を軽減することができるシート構造を得る。
【解決手段】 車両用シート10では、前端側が座部用フレーム14の前端側に固定されたクッション材20の下層シート50の後端側が、可動フレーム34及び弾性部材であるトーションバー46を介して座部用フレーム14の後端側に弾性的に連結されている。クッション材20は、着座者の凸部を支持する部分のばね定数が他の部分のばね定数よりも小となるばね零特性を有する。この車両シート10は、座部用フレーム14を介して着座者の脊柱部に伝達される振動のエネルギを小さくし、その周辺部は生体にゆらぎに相当する振動に変え、座部用フレーム14を介して伝達される。着座者の脳には、落ち着いた覚醒状態に生じる10Hzから12Hzのα波を生じさせる。共振周波数帯域の振動は、振幅を減衰して着座者に伝達する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シート構造に係り、特に、自動車等の車両に搭載される乗物用シートのシート構造に関する。
車両用シートとしては、従来からポリウレタンフォーム(以下、ウレタンという)より成るクッション材を備えたものが知られている。このような車両用シートのクッション構造は、座部用フレームや背部用フレームに設けられたコンターマット(商品名)等のばね材やプレート上にウレタン製のクッション材を載置し、これらをファブリック材で包み込む構成が広く用いられている。
このため、クッション材の形状(意匠形状)と弾性特性及びポリウレタンフォームの圧縮特性が着座者の体圧分散性や振動吸収性に大きく影響を与えることが知られている。そして、種々の特性を有するウレタンを積層してクッション材を構成することで、着座者の臀部等における筋肉のばね特性に近いばね特性(弾性特性)を備えたクッション材を得ることができるが、このような構成では復元力が不足気味であり、また重量が重いという問題があった。
そこで、ウレタンに代わるクッション材として、一対のグランド地及び該グランド地間に配置された連結糸によって形成される3次元立体編物ないし、2次元織物を座部用フレームに張設してクッション構造を構成したシートが考えられている(例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。この3次元立体編物ないし2次元織物より成るクッション材は、へたりにくい弾性糸より構成される弾塑性構造物であり、ウレタンよりも薄型で、ウレタンに代わる弾性特性を発揮するようになっている。
ところで、上記車両用シート等のシート構造では、長時間着座による疲労を軽減することが望まれている。なお、疲労を軽減するとは、着座者の脳に休息を要求する信号である疲労に対し生体反応を鈍感にさせることではなく、着座に伴う疲労の蓄積、特に疲労の急激な進行を抑えることを意味する。そして、シート構造における疲労に影響を与える主な特性として、体圧分散、姿勢維持、振動吸収の3つが挙げられる。ここで、体圧分散及び姿勢維持の各特性は、着座者に作用する圧力や拘束力に基づく該着座者のストレスに影響を与え、このストレスは主に末梢性疲労に影響を及ぼす。一方、振動吸収特性は、着座者に伝達される振動の加速度に基づくストレスに影響を与え、このストレスは主に全身振動曝露環境下での末梢性疲労に影響を及ぼす。
また、着座者の末梢性疲労は、ゆらぎによっても軽減される。ゆらぎとは、生体のリズム振動であり一般に非線形振動とされる。このような生体リズムに基づく血流や体動等のゆらぎによって、上記の如きストレスが軽減され、末梢性の疲労が軽減される。したがって、シート構造には、着座者のゆらぎを許容する(邪魔しない)、より積極的には、着座者のゆらぎのパターンに合わせた刺激を該着座者に与えることが望まれる。
しかしながら、上記の如き従来のシートでは、単に着座者の特定部位の体圧を低減したり、振動や衝撃の吸収性を向上したりするようになっており、疲労のメカニズムに基づいて疲労を軽減にすることについて考慮されていなかった。
特許第5013089号明細書 特開2002−177099号公報 特開2002−219985号公報 特開2003−182427号公報
本発明は、上記事実を考慮して、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができるシート構造を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るシート構造は、座部用フレームと、前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されると共に後端側が前記座部用フレームの後端側に弾性部材を介して連結されたシート材を含むクッション材とを備え、前記クッション材は、静的着座状態において、着座者の凸部を支持する部分のばね定数が他の部分のばね定数よりも小となるばね特性を有する。
請求項1記載のシート構造では、人がクッション材上に静的に着座した状態、すなわち荷重変化のない平衡状態で、着座者の凸部である座骨結節下のばね定数が、着座者の他の部分のばね定数よりも小さいばね特性(以下、ばね零特性という)になる。座骨結節下のばね定数は、例えば、0N/mm乃至50N/mmとされる。このため、クッション材のシート材後端側が弾性部材を介して座部用フレームに連結されて構成されるシート構造は、着座者の体重が集中する座骨結節下では、質量が大きくばね定数が小さい振動系、すなわち減衰比が極めて大きい振動系となる。一方、座骨結節下以外の部分では、減衰比が比較的小さくばね定数が比較的大きい、すなわち十分な復元力を有する振動系となる。
これにより、座部用フレームを介して振動が入力されると、座骨結節下以外の部分における小さな減衰比によって底付感が抑えられ、上記ばね零特性に基づく大きな減衰比によって、臀部座骨結節下の振動が低減されると共に、シートからの跳ね返りが抑えられる。そのため、シートと着座者との相対変位が小さく抑えられる。したがって、振動入力による圧力変動が小さくなるため、着座者の姿勢変化が生じず、シートと着座者とが一体的に動くこととなる。このため、着座者の脊柱の共振周波数帯域(一般的に5Hz前後とされる)の振動が入力されても、着座者の視線の動きの周期が乗物の動きに一致し、着座者に与えるストレスが軽減される。また、着座者の脳にα波(8Hzから13Hz)を発生させる周波数帯域(一般に10Hz程度とされる)の振動が入力されると、上記ばね零特性によって着座者に伝達される振幅が減衰される。このため、着座者に与える不快感を抑制しつつ該着座者の脳にα波を発生させて快適感を感得させることができる。以上により、本シート構造では、人が着座して作り出されるばね零特性が、長時間着座による疲労を蓄積または増大させる原因となるストレスを着座者に与えることが抑制される。
また、上記のようなクッション材に部分的に作り出されるばね零特性は、着座者の血管を外部振動入力により潰してしまうことがないため、人のゆらぎ(例えば、皮膚血流のリズム)の周期を乱すこともなく、かつシートとの相対変位が少なく、そして低周波のゆらぎ振動を着座者の与えることを可能とし、着座者の血流を促進して疲労を軽減することに寄与する。すなわち、シートが着座者に伝達する振動に、該着座者の生体リズムを引き込んで、積極的に、着座者に対してゆらぎを生じさせる(引き込み現象により着座者のゆらぎにパターンに合わせた刺激を与える)ことができる。
このように、請求項1記載のシート構造では、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができる。
請求項2記載の発明に係るシート構造は、請求項1記載のシート構造において、前記座部用フレームを介して着座者の脊柱の共振周波数帯域の振動が入力されたときの振動伝達率を略1とし、前記シートフレームを介して着座者の脳にα波を生じさせる周波数帯域の振動が入力されたときの振動伝達率を略0.55以下とする。
請求項2記載のシート構造では、着座者の脊柱の共振周波数帯域の振動が入力されたときの振動伝達率が略1であるため、すなわち、振幅が殆ど増幅及び減衰することなく着座者に伝達されるため、上記の通り相対変位が小さいことと併せて、着座者の視線の動きが乗物の動きにほぼ一致する。このため、着座者に与えるストレスが確実に軽減される。一方、着座者の脳にα波を発生させる周波数帯域(一般に10Hz程度とされる)の振動が入力されると、この振動は振幅が入力振幅の0.55倍以下に減衰される。このため、着座者に不快感を与えることなく該着座者の脳にα波を発生させて快適感を感得させることができる。
請求項3記載の発明に係るシート構造は、請求項1または請求項2記載のシート構造において、着座者、前記クッション材、及び前記弾性部材を含む系の共振周波数が3Hz以上かつ4Hz以下の範囲内にある。
請求項3記載のシート構造では、着座者(主に質量)を含んで構成される振動系の共振周波数(固有振動数)が3Hz以上かつ4Hz以下の範囲内であるため、着座者の脊柱の共振周波数帯域(上記の通り5Hz前後)における振動伝達率をほぼ1とすることができる。特に、着座者の体重すなわち上記振動系の質量が異なる場合であっても、該振動系の共振周波数が3Hz以上かつ4Hz以下の範囲内にあるように、すなわち共振周波数の質量依存性を抑制するように、クッション材及び弾性部材の各特性、連結構造を設計することが望ましい。
上記目的を達成するために請求項4記載の発明に係るシート構造は、座部用フレームと、前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されると共に後端側が前記座部用フレームの後端側に弾性部材を介して連結されたシート材を含むクッション材と、を備えたシート構造であって、着座者が下側に変位するときの減衰比よりも、着座者が上側に変位するときの減衰比を大とした。
請求項4記載のシート構造では、着座者が下側に変位するときに、弾性部材が変形してシート材(例えば、3次元立体編物または2次元立体編物)が弛むことにより大きな減衰効果を生じさせ、かつ該下方向の減衰比よりも着座者が上側に変位するときの減衰比が大となる。そして、着座者が下側に変位するときすなわちクッション材に押し付けられるときの減衰比(以下、減衰比ζdという)よりも、上側に変位するときの減衰比(以下、減衰比ζuという)が大であるため、例えば衝撃性振動や衝撃力が作用した場合の着座者の跳ね上がり(リバウンド)が防止される。これにより、疲労を蓄積または増大させる原因となるストレスを着座者に与えることが抑制される。また、上下の減衰比に差を設けることで、系の減衰比が過大になることがなく、加速度の増加により底付感を生じさせることが防止される。
このように、請求項4記載のシート構造では、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができる。特に、減衰比ζdが0.1から0.25の範囲内でかつ減衰比ζuが0.15から0.3の範囲内にあることが好ましく、特に減衰比ζdが0.15から0.25の範囲内でかつ減衰比ζuが0.20から0.3の範囲内にあることが一層好ましく、さらに減衰比ζdと減衰比ζuとの差が0.05以上であることが好ましい。前者の構成では、減衰比ζdが0.1から0.25の範囲内であるため、例えば衝撃に伴う着座者の下方への変位に対しても底付きを生じさせない。そして、十分な減衰力が作用して衝撃や振動が吸収され、かつ減衰比ζuが0.15から0.3の範囲内であるため、着座者の跳ね上がりが効果的に防止される。また後者の構成では、減衰比ζuが0.3以下でかつ減衰比ζd、ζuの差が0.05以上であるためエネルギ消費に伴って座部用フレーム及び着座者に過大な力が作用することが防止される。
請求項5記載の発明に係るシート構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のシート構造において、前記弾性部材は、前記クッション材に下方への荷重が作用したときに、前記シート材の後端側が前方または下方に移動するように変形する。
請求項5記載のシート構造では、着座に伴ってシート材に下方への荷重が作用すると、弾性部材が弾性変形してシート材の後端側が、前方または下方に移動する。このため、着座に伴うシート材の張力の増大、すなわち着座者、クッション材、及び弾性部材を含んで構成される振動系のばね定数の増大が抑制される。すなわち、弾性部材のばね定数が主に上記振動系のばね定数となり、該振動系の振動特性を所望の特性に設定することが可能となる。特に、着座に伴う下方への荷重によって、シート材の後端側が前方へ移動しながら下降する(下降しつつ前方へも移動する)構成とすれば、換言すれば、シート材の後端側が前端側に近接する方向と下方への撓み方向とに共に移動するように構成すれば、着座に伴うシート材の張力増大が一層抑制され、上記効果が顕著となる。
また、着座に伴うシート材の張力増大が抑制されるため、シート材は着座者の体動に追従して変形しやすく、該着座者の呼吸に伴う体動を吸収する。すなわち、シート材が着座者の呼吸を阻害することが防止される。特に、シート材の後端側が前方に移動しながら下降する動きは、着座者の呼吸運動、具体的には呼吸に伴う仙骨の動き方向に対応する。このため、着座者の呼吸に伴う体動(荷重変化)に応じて弾性部材が変形してシート材の後端側が動き、着座者は余計な筋力を使うことなく呼吸することができる。換言すれば、シートが着座者の呼吸(に伴う生体のゆらぎ)を阻害しないため、これにより、疲労を蓄積または増大させる原因となる物理的、精神的ストレスを着座者に与えることが効果的に抑制される。さらに、微小振動が入力された場合には該振動が着座者の呼吸リズムを引き込む引き込み現象によって、着座者の呼吸を促進させるようにすることも可能である。
上記目的を達成するために請求項6記載の発明に係るシート構造は、座部用フレームと、前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されたシート材を含むクッション材と、前記座部用フレームの後部と前記シート材の後端側との間に設けられて該シート材を前記座部用フレームに張設し、前記シート材に下方への荷重が作用したときに該シート材の後端側が前方へ移動しながら下降するように変形する弾性部材とを備えている。
請求項6記載のシート構造では、着座に伴ってシート材に下方への荷重が作用すると、弾性部材が弾性変形してシート材の後端側が前方に移動しながら下降する。すなわち、シート材の後端は、張力を低減する方向に移動する。これにより、着座に伴うシート材の張力の増大、すなわち着座者、クッション材、及び弾性部材を含んで構成される振動系のばね定数の増大が抑制される。このスカイフックダンパ的効果が、所要の減衰特性及び復元力を備えつつ上記振動系の共振周波数を低く設定することを可能とする。また、シート材の張力が後端側に設けられたばね性により低く抑えられているため、張力の増大による着座者の臀部への圧迫や底付感が軽減される。さらに、例えば衝撃性振動や衝撃力が作用した場合、シート材の張力によりばね定数の小さい後端側の弾性部材の変位(変形)により該シート材の張力が減少し、着座者の下方(クッション材に押し付けられる側)への移動が生じ、それにより減衰が生じ、衝撃が効果的に吸収される。このため、着座者に入力される振動力が小さくなり、疲労を蓄積または増大させる原因となるストレスを着座者に与えることが抑制される。
このように、請求項6記載のシート構造では、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができる。
請求項7記載の発明に係るシート構造は、請求項5及び請求項6記載のシート構造において、前記クッション材に、前記シート材の上側で前記座部用フレームに張設され、前記弾性部材を変形させるように前記シート材における着座者の臀部に対応する部位を押圧する他のシート材をさらに設けた。
請求項7記載のシート構造では、後端側が弾性部材を介して座部用フレームに連結されるシート材(以下、他のシート材の有無に拘わらず、下側シート材という)の上側において座部用フレームに張設された他のシート材(以下、上側シート材という)が、下側シート材を下方に押圧している。すなわち、上側シート材は、着座前に弾性部材を変形させ、この弾性部材の付勢力を下側シート材との摩擦で保持するため、下側シート材の張力が低減されている。また、着座時には、上側シート材が着座者の体重の一部を支持するため、下側シート材の張力の増大が一層抑制される。これにより、上記請求項5または請求項6の効果が一層顕著となる。
また、下側シート材における着座者の臀部に対応する部分が、非着座時に座部用フレームの上縁よりも上側に位置するようにすれば、座部用フレームを薄型構造としても十分なストロークを確保することができる。そして、上側シート材は、下側シート材(及び弾性部材)により復元力が付与されるため、へたりが軽減され、振動特性も向上する。
請求項8記載の発明に係るシート構造は、請求項7記載のシート構造において、前記他のシート材は、3次元立体編物または2次元織物にて構成されている。
請求項8記載のシート構造では、上側シート材は、その素材自体に人の筋肉近似するばね特性及び減衰特性を持たせることができる3次元立体編物または2次元織物であるため、座部用フレームに直接的に張設されて着座に伴い着座者の臀部筋肉と共に圧縮方向に撓んで下側シート材を押圧する構成を実現することができる。また、3次元立体編物または2次元織物は、座部用フレームに張設されると、伸びが大きくなるほど人の筋肉に近似するばね定数となる荷重−撓み特性(非線形のばね特性)を有するため、例えば、着座者を含んで構成される振動系の共振周波数の体重依存性を緩和またはなくす設定とすることが可能となる。これは、筋肉特性を有する上下のシート材の組み合わせばねによる効果であり、着座者の体重差を吸収することを可能とする。
さらに、上記荷重−撓み特性を有する上側シート材と、弾性部材を介して座部用フレームに連結された下側シート材とを組み合わせることで、着座者の筋肉の特性に近似した層を2層持つばね特性を有するシートクッション(座部)を構成することができる。このように構成すれば、長時間着座によって着座者の筋肉を潰すことにより血行を阻害することや衝撃性振動による血行傷害が防止され、体圧の変動も小さくなり疲労の軽減に寄与する。
請求項9記載の発明に係るシート構造は、請求項7または請求項8記載のシート構造において、前記座部用フレーム及び前記クッション材を含んで構成されるシートクッションのジャークが、着座者の臀部の筋肉自体のジャークよりも小さくなるようにした。
請求項9記載のシート構造では、座部用フレーム及びクッション材(下側及び上側シート材)を含んで構成されたシートクッション(下層)のジャーク特性が、下層シート材の張力方向の伸びを小さくし、張力による圧縮特性の変化を小さくすることで、着座者の臀部の筋肉自体のジャーク特性よりも柔らかい(シートクッションのジャークが筋肉のジャークよりも小さい)特性とされている。したがって、衝撃性振動や軽度の衝突荷重が入力したときの加速度の変動が段階的に吸収され、極大値がなくなる。すると作用時間が伸びるため衝撃力が吸収される。このため、加速度の増大に伴うストレスが軽減される。
請求項10記載の発明に係るシート構造は、請求項5乃至請求項9の何れか1項記載のシート構造において、下端側が前記座部用フレームの後端側で該座部用フレームの左右方向に沿った軸線廻りに回動可能に支持されると共に、上端側が前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の後端側に係止された回動部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記回動部材の回動軸心に設けられ、該回動部材の回動に伴って弾性的に捩れ変形するトーションバーである。
請求項10記載のシート構造では、座部用フレームの後端側に下端側が回動可能に支持された回動部材の上端側に下側シート材の後端側が係止されており、回動部材の回動軸心にはトーションバーが該回動部材の回動に伴って弾性的に捩れ変形するように設けられている。すなわち、座部用フレームは、弾性部材であるトーションバーと、さらに回動部材とを介して下側シート材の後端側に連結されている。下側シート材に下方への荷重が作用すると、回動部材は、トーションバーを捩りつつ上端側が前下方に移動するように回動し、下側シート材の後端側を確実に前下方に移動させる。また、このように配置されたトーションバーは、線形性の強い弾性要素として機能するため、上記作用効果を奏するシート構造の設計、設計変更が容易である。
また、回動部材が下側シート材の後端側を所定幅に亘り係止する(係止部を有する)ように構成すれば、下側シート材には面状の張力場(剛性面)が形成され、例えばロール時の着座者の姿勢の崩れが防止される。また、下側シート材は着座者に張力線を感じさせずに該着座者を支持することができる。特に、上記座部用フレームに張設された上側シート材を備える構成では、該上側シート材と上記下層シート材との組み合わせにより、着座者の座骨結節下には上記筋肉特性によるアンカー効果が生じ、着座者は下端部が前後方向に運動しても姿勢の崩れが防止される。
請求項11記載の発明に係るシート構造は、請求項5乃至請求項10の何れか1項記載のシート構造において、前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の後端側における左右方向両端部と前記座部用フレームの後端側との間にそれぞれ設けられ、着座に伴って該シート材の前後方向の張力を増大する他の弾性部材をさらに備えた。
請求項11記載のシート構造では、着座に伴って他の弾性部材が変形することで、下側シート材における左右両端部の前後方向の張力が増大する。これにより、クッション材が左右方向両端部の高剛性部で着座者の体側を支持し、着座者の左右方向の移動が規制される。これにより、着座者は、筋力を使うことなく姿勢が維持され、疲労が軽減される。また、他の弾性部材が変形して生じる前後方向の張力によって、除負荷時のシート材の復元性も向上する。特に、上記座部用フレームに張設された上側シート材を備える構成では、該上側シート材の圧縮特性によって、着座者に他の弾性部材による張力線を感じさせずに該着座者を支持することができる。
請求項12記載の発明に係るシート構造は、請求項5乃至請求項11の何れか1項記載のシート構造において、着座した状態における前記着座者の座骨結節に対応する位置の前方に設けられ、着座に伴って作用する張力によって、前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の下方への撓みを規制するシート状部材をさらに備えた。
請求項12記載のシート構造では、着座に伴う下側シート材における着座者の座骨結節の前方の部位の下方への撓みが、下側シート材の下側における座骨結節に対応する位置の前方に配置されたシート状部材(張力構造体)によって規制される。これにより、着座者の座骨結節よりも前側には堰が形成され、着座者の姿勢変化や前滑りが防止される。一方、着座者は、重心移動によって、堰に案内される如き略円弧軌道の姿勢変化は許容される。これにより、着座者は、基本的には筋力を使うことなく姿勢が維持され、かつ疲労軽減に資する姿勢変化や運転動作に伴う姿勢変化は許容されつつ姿勢変化後の姿勢も筋力を使うことなく維持される。すなわち、着座者は、疲労に応じた最適な姿勢を筋力を使うことなく維持することができる。特に、本シート構造が着座者の上体体側を支持するシートバックをさらに備えた構成とすれば、シートバックが着座者の上体の第3腰椎部を弾性支持することよって、疲労が進行するのに伴い脊柱のカーブが直線傾向を示すのに対応して、着座者が筋力を使うことなく疲労に応じた最適な姿勢を確実に維持することができる。そして、背部用シート材は着座者の上体体側を支持するため、着座者は、左右方向の移動を規制されつつ上記重心移動に伴う円弧軌道の姿勢変化が許容され、左右方向の加速度に対しても上体の移動が小さくなり姿勢の崩れが少ない。
請求項13記載の発明に係るシート構造は、請求項1乃至請求項12の何れか1項記載のシート構造において、弾性構造体である背部用フレームと、背部用クッション材と、前記背部用クッション材の上端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの上端側に連結する第1弾性部材と、前記背部用クッション材の下端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの下端側に連結する第2弾性部材とを有し、前記各弾性部材によって着座者の上体を支持するようにしたシートバックをさらに備えた。
請求項13記載のシート構造では、着座に伴って着座者の上体から後方への荷重がシートバックの背部用クッション材に作用する。この荷重は、それぞれ背部用クッション材の上下端側と背部用フレームの対応する上下端側との間に介在する第1弾性部材及び第2弾性部材が変形して支持する。さらに、これら第1及び第2の弾性部材は、弾性構造体である背部用フレームに、クッション材を介して運動を与える。背部用フレームは、例えば、上端が硬いばね定数にて支持されると共に下端が上端のばね定数よりも小さいばね定数にて弾性支持された左右一対のサイドフレームを有する弾性構造体とされ、着座に伴って背部用フレームが変形することで第1及び第2の弾性部材の変形を抑制することができる。これら背部用フレームのばねは、該背部用フレーム自体の構造によるばね性や板ばね等の金属ばねにて与えられる。
このため、着座に伴う背部用クッション材の張力の増大が防止され、したがって着座者への反力が抑えられる。そして、第1及び第2弾性部材の張力が作用する背部用クッション材の左右方向両端部が着座者の上体を側方から支持(体側支持)する。これにより、シートバックでは、クッション材の反力による着座者の拘束感を緩和しつつ姿勢維持を図ることができる。また、背部用クッション材は、着座時における張力が小さく、変形が許容されるため、着座者のわずか体動(微小な荷重変化)を吸収することが可能となる。したがって、着座者は、クッション材からの反力が抑えられながらも上体が支持されつつ該上体の動き(ゆらぎ)が許容され、長時間着座に伴うストレスが軽減される。
このようなシートバックを設けることで、請求項1乃至請求項12記載のシート構造における長時間着座に伴う長時間の拘束感を低減し、着座者の疲労を一層効果的に軽減することができる。
上記目的を達成するために請求項14記載の発明に係るシート構造は、背部用フレームと、背部用クッション材と、前記背部用クッション材の上端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの上端側に連結する第1弾性部材と、前記背部用クッション材の下端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの下端側に連結する第2弾性部材と、を備え、前記各弾性部材によって着座者の上体を支持するようにした。
請求項14記載のシート構造では、着座に伴って着座者の上体から後方への荷重が背部用クッション材に作用する。この荷重は、それぞれ背部用クッション材の上下端側と背部用フレームの対応する上下端側との間に介在する第1弾性部材及び第2弾性部材が変形して支持する。このため、着座に伴う背部用クッション材の張力の増大が防止されつつ、第1及び第2弾性部材の張力が作用する背部用クッション材の左右方向両端部が着座者の上体を側方から支持(体側支持)する。これにより、着座者の拘束感を緩和しつつ姿勢維持を図ることができる。また、背部用クッション材は、着座時における張力が小さく、変形が許容されるため、着座者のわずか体動(微小な荷重変化)を吸収することが可能となる。したがって、着座者は上体が支持されつつ該上体の動き(ゆらぎ)が許容され、長時間着座に伴うストレスが軽減される。
このように、請求項14記載のシート構造では、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができる。
請求項15記載の発明に係るシート構造は、請求項13または請求項14記載のシート構造において、前記背部用クッション材と前記背部用フレームとの間に設けられ、前記背部用クッション材における着座者の腰椎部に対応する位置に左右方向の張力を生じさせる第3弾性部材をさらに備えている。
請求項15記載のシート構造では、第3弾性部材によって、背部用クッション材における着座者の腰椎部に対応する高さの部位に左右方向の張力が作用し、高さ方向の他の部分よりも高剛性になる。これにより、背部用クッション材における腰椎部に対応する位置は、着座によって前方に凸形状となり、クッション材に作用する張力によって該クッション材の係止に用いられる第3弾性部材のばね特性を有効に引き出すことで、より弾性感の強い支持となり、着座者の腰椎部の支持圧が他の部分よりも高くなる好ましい体圧分布が実現される。なお、弾性支持により外部振動の入力は低減される。また、第3弾性部材を設けることにより、着座者の姿勢によって腰椎部の支持圧を高くすることができる。そして、疲労時における姿勢維持の観点から背部用クッション材における胸椎部と骨盤に対応する部位とを結ぶラインを略直線形状とすることが好ましいが、第3弾性部材が腰椎部の支持圧を高くすることによって、疲労して着座者の脊柱が直線状になった場合でも、胸椎部を起こすことによって腰椎と骨盤とを結ぶラインの直線に戻ろうとする復元力で作られた支持面により脊柱が支持される。
請求項16記載の発明に係るシート構造は、請求項15記載のシート構造において、前記第1弾性部材、前記第2弾性部材、及び前記第3弾性部材をそれぞれ引張コイルばねとした。
請求項16記載のシート構造では、引張コイルばねである第1弾性部材、第2弾性部材、及び第3弾性部材がそれぞれ倒れるように(長手方向に湾曲するように)変形して着座者の上体を支持する。そして、第1弾性部材、第2弾性部材、及び第3弾性部材は、小さい荷重に対しては、それぞれ主に後方に倒れた状態で支持力を低く保ち、大きい荷重に対してはさらに伸長して大きな支持力を発生する。このため、体格の小さい(体重の軽い)着座者は低い支持力で支持され、体格の大きい人(体重の重い人)は高い支持力で支持され、体格の個人差が吸収される。
上記目的を達成するために請求項17記載の発明に係るシート構造は、背部用フレームと、少なくとも上下方向の一端側が弾性部材を介して前記背部用フレームに連結されて該背部用フレームに張設され、非着座状態で平坦なバックレストを形成する背部用クッション材と、を備えている。
請求項17記載のシート構造では、背部用フレームに背部用クッション材を張設して形成されたバックレストは、非着座状態では、略平坦(側面視で直線状)に形成されている。このため、バックレストに皺等が生じることがなく外観が良好である。そして、このバックレストは、背部用クッション材が弾性部材を介して背部用フレームに連結されて該背部用フレームに張設されているため、任意の形状に変形し易い。
このため、バックレストは、着座状態では、着座者の体型に応じた3次元形状に変形して該着座者を支持する。静的着座状態では、非着座時に略平坦であるバックレストには、張力の低い不安定部分が生じ、該不安定部分が着座者の姿勢変化を容易にする。着座者の上体は、疲労状態では疲労の少ない状態の姿勢に対し尻滑りして後傾気味の姿勢になるが、この姿勢変化を阻害しない周期性がバックレストに作られる。例えば、着座者の疲労が少ない状態では、バックレストにおける背部の支持力が比較的低いため、疲労が増して尻滑りするときに背部を後方に移動しつつ腰椎部を前方に移動しやすい。また、着座者が後傾気味の姿勢をとっているときにはバックレストにおける腰椎部の支持力が低いため、前傾動作(疲労が少ないときの姿勢に復帰する動作)が容易となる。これにより、バックレストが着座者に対し不必要な部位に押し出しを作用させることなく、着座者の疲労度に応じた支持状態が創出され、着座者にストレスを生じさせることが抑制される。
このように、請求項17記載のシート構造では、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減することができる。
以上説明したように本発明に係るシート構造は、全身振動と衝撃性振動を吸収し、着座者の生体リズムを阻害しないため、長時間着座に伴う着座者の末梢性の疲労を軽減し、衝突時は人体の後方への移動容易性と、リバウンドを抑制するシートバック・シートクッションの減衰比制御によって衝撃力を緩和することができるという優れた効果を有する。
本発明の実施の形態に係るシートが適用されたとしての車両用シート10について、図1乃至図20(B)に基づいて説明する。なお、各図に適宜示される矢印UP、矢印LO、矢印FR、矢印RE、矢印RI、及び矢印LEは、それぞれ車両用シート10が搭載される車両の進行方向を基準とした前方向(進行方向)、後方向、上方向、下方向、右方向、及び左方向を示しており、以下単に上下前後右左を示す場合は上記各矢印方向に対応している。
図1には車両用シート10の概略全体構成が一部切欠いた斜視図にて示されており、図2には車両用シート10の側面図が示されている。これらの図に示される如く、車両用シート10はシートフレーム12を備えており、シートフレーム12は、シートクッションフレームである座部用フレーム14と、シートバックフレームである背部用フレーム16とを有して構成されている。
そして、座部用フレーム14にクッション材20を設けることにより座部としてのシートクッション18が形成され、背部用フレーム16に背部用クッション材24を設けることによりシートバック22が形成されている。シートバック22は、背部用フレーム16の下端が座部用フレーム14の後端部にリクライニング機構26を介し支軸26Aを廻りの回動可能に連結されることで、シートクッション18に対する26A廻りの回動及び任意の回動位置での保持が可能とされている。このリクライニング機構26については、従来公知であるため詳細な説明は省略する。
先ず、シートクッション18の構成、シートバック22の構成を説明し、次いで、クッション材20、24の一部を構成する3次元立体編物110の具体例を説明することとする。
(シートクッションの構成)
図1及び図2に示される如く、シートクッション18を構成する座部用フレーム14は、それぞれ前後方向に長手とされた左右一対のサイドフレーム28を備えている。また、座部用フレーム14は、左右一対のサイドフレーム28を前後端近傍において連結するフロントフレーム30及びリヤフレーム32を備えている。これにより、座部用フレーム14は、平面視で略「ロ」字状に形成されている。
各サイドフレーム28の前部は、中間部の略水平とされた下縁に対し上方に屈曲した如く形成されている。各サイドフレーム28の中間部は、後方へ向けて上下方向に縮幅されるように上縁部が連続的に傾斜されている。これにより、各中間部の前後方向における着座者の座骨結節に対応する位置の上縁は、フロントフレーム30の上端よりも低位とされている。各サイドフレーム28の後部は、上記リクライニング機構26が取り付けられるように上縁が側面視で山形に隆起している。
さらに、各サイドフレーム28は、平板状部材の上下の縁部から所定幅の上フランジ部28A、28Bが形成されて構成されている。各サイドフレーム28の上端に位置する上フランジ部28Aは、それぞれシート外方に延出しており、後部の後部を除く前後方向の略全長に亘り設けられている。一方、各サイドフレーム28の下端に位置する下フランジ部28Bは、それぞれシート内方に向けて延出しており、前後方向の略全長に亘り設けられている。
この座部用フレーム14の後部には、可動フレーム34が設けられている。可動フレーム34は、座部用フレーム14の後端部に下方に突出して固定的に設けられた支持ブラケット36を備えている。図4(A)及び図4(B)に示される如く、支持ブラケット36は、それぞれサイドフレーム28に平行でかつシート内方に配置された左右一対の支持板36Aを備えている。各支持板36Aの下端近傍からは、それぞれシート内方に向けて互いに同軸となる支軸38が突設されており、各支軸38は、それぞれブッシュ40を介してアーム部材42の下端部を回転自在に軸支している。
左右一対のアーム部材42は、それぞれ第1アーム42A、第2アーム42Bを有する側面視で略V字状に形成されており、その下端に配置された角部に形成されたボス部42Cに支軸38がブッシュ40を介して挿入されることで、上記の通り支持ブラケット36に対し回転自在に支持されている。また、一対のアーム部材42は、それぞれの第1アーム42Aの先端(互いの上端部)間に架け渡された連結パイプ44によって連結されている。連結パイプ44は、左右方向に沿う各支軸38の軸線と平行に配置されており、該支軸38廻りの回動可能とされている。一方、左右一対のアーム部材42の回転軸心には、トーションバー46が配設されている。
トーションバー46は、その一端部が右側のアーム部材42のボス部42C及び支軸38の軸心部を貫通して支持板36Aに回り止め状態で嵌合されることで、座部用フレーム14に対する相対回転が阻止されている。一方、トーションバー46の他端部は、左側のアーム部材42のボス部42Cに回り止め状態で嵌合されることで該アーム部材42と同軸的かつ一体回転するように連結されている。これにより、アーム部材42の回動(揺動)に伴って、捩り角に比例した捩り荷重を生じる弾性部材であるトーションバー46が弾性的に捩れる構成である。
この可動フレーム34は、その連結パイプ44にクッション材20(後述する下層シート50)の後端側が係止されるようになっており、無負荷状態では一対のアーム部材42の各第1アーム42Aを直立状態よりも若干後傾させる(上端が下端よりも後方に位置する)ように構成されている。この状態で、各第2アーム42Bは、第1アーム42Aよりも前方に位置している。
さらに、座部用フレーム14の後端部における左右方向端部には、それぞればね掛け部材48が設けられている。各ばね掛け部材48は、それぞれリヤフレーム32及び対応するサイドフレーム28の後部に固定的に接続されている。各ばね掛け部材48は、後述する引張コイルスプリング54の後端部が係止されるようになっており、該係止部位がサイドフレーム28の中間部の上縁よりも高位とされている。
以上説明した座部用フレーム14には、クッション材20が張設されている。クッション材20は、本発明における「クッション材」としての下層シート50と、下層シート50の上側に配設される「他のクッション材」としての上層シート52とで構成され、2層構造とされている。本実施の形態では、下層シート50及び上層シート52は、それぞれ網目(ネット)構造の3次元立体編物110にて構成されており、張力による内部減衰を伴う面方向の伸長、及び該張力の除去による復元が可能とされている。また、下層シート50及び上層シート52は、上記3次元立体編物110にて構成されることにより、面方向に交差する方向の荷重による内部減衰を伴う厚み方向の潰れ、及び該荷重の除去による復元が可能とされている。
そして、本実施の形態では、下層シート50は、縦横すなわち前後左右共に伸び難い硬いばね特性とされており、上層シート52は、左右方向に伸び易い柔らかいばね特性とされると共に前後方向に伸び難い硬いばね特性とされている。また、本実施の形態では、下層シート50は、上層シート52に対し薄肉とされているが、その厚さは上層シート52と厚さと同等か若しくは上層シート52の厚さよりも厚くても良い。
下層シート50は、その前端部がフロントフレーム30に巻き掛けられて係止されると共に、その後端部が可動フレーム34の連結パイプ44に係止されている。図3に示される如く、下層シート50の幅は、左右のサイドフレーム28間の間隔よりも小とされており、下層シート50の左右の縁部と対応する側のサイドフレームとの間に隙間が形成されている。また、下層シート50の後端は、左右両端がそれぞれ切欠部50Aとされており、他の部分よりもさらに幅が小さくなっている。この下層シート50における左右の切欠部50A間の幅が連結パイプ44の長さに対応しており、該切欠部50A間の後端が略全幅に亘り連結パイプ44に係止されている。連結パイプ44の長さは、着座者の座骨結節間の距離よりも大とされている。
以上により、下層シート50の後端は、アーム部材42の支軸38廻りの回動に追従して移動可能とされている。下層シート50は、上層シート52を設けない状態で、初張力(主にトーションバー46の捩り荷重に釣り合う張力)が200N以下でかつ前後方向の伸びが5%以下とされている。そして、この状態では、トーションバー46が捩れて上記の通り各第1アーム42Aが若干後傾するように、下層シート50及びトーションバー46の各ばね特性、下層シート50の係止前におけるトーションバー46の自由状態でのアーム部材42の傾斜角、各アーム部材42の長さ(連結パイプ44の回動半径)等が決められている。
そして、下層シート50は、着座によって下方に撓みつつ、可動フレーム34の連結パイプ44を図2に示す矢印A方向に回動して前方へ移動させながら下降させるようになっている。すなわち、下層シート50は、着座に伴って連結パイプ44に係止された後端をフロントフレーム30に固定された前端に近接させつつ、トーションバー46の捩り荷重に基づく張力によって支持されるようになっている。したがって、このとき下層シート50に作用する張力は、可動フレーム34を設けない場合(例えば、他端部が座部用フレーム14の固定部分に係止される場合)と比較して小さくなる構成である。
さらに、下層シート50の各切欠部50Aの前縁近傍でかつ左右方向端部には、それぞれ引張コイルスプリング54の前端部が係止されている。各引張コイルスプリング54の後端部は、それぞれ座部用フレーム14の対応するばね掛け部材48に係止されている。この状態で、各引張コイルスプリング54は、前端が後端よりもシート内方側でかつ上側に位置している。上層シート52を設けない状態では、各引張コイルスプリング54は、自由状態または所定範囲で伸長した状態(本実施形態では伸長量が10mm以下)とされている。
これらの引張コイルスプリング54は、着座に伴って下層シート50が下方に撓むことによって伸長し、該下層シート50の左右方向両端部に張力を付加するようになっている。すなわち、各引張コイルスプリング54は、着座時に、可動フレーム34(トーションバー46)が下層シート50の切欠部50A間(左右方向中央部)における前後方向の張力を減少する方向に調整するのに対し、該下層シート50の左右方向両端部における前後方向の張力を増大する方向に調整する機能を果たすようになっている。そして、各引張コイルスプリング54は、着座に伴って下層シート50における着座者の骨盤よりも左右方向外側部分に前後方向の張力を生じさせ、下層シート50における着座者の大腿部(体側)を支持する部分を高張力とする構成である。
また、図1乃至図3に示される如く、サイドフレーム28間における前後方向中央部よりも若干前側には、左右方向に長手とされた矩形状の「シート状部材」としてのベルト部材56が配設されている。ベルト部材56は、長手方向に伸び難い布状部材(2次元張力構造体または3次元立体編物110)とされており、サイドフレーム28間に位置する左右両端部には、それぞれ引張コイルスプリング58の一端部が係止されている。各引張コイルスプリング58は、それぞれの他端部が対応するサイドフレーム28の上フランジ部28Aに係止されており、平面視で左右方向に長手とされると共に、無荷重時における正面視ではベルト部材56の係止部位の方が上フランジ部28A係止部位よりも低位となるように傾斜している。この状態でベルト部材56は、下層シート50の下面に接触するか極近接するようになっている。
これにより、着座に伴って下層シート50が下方に撓むと、ベルト部材56が下層シート50に押圧されて引張コイルスプリング58が伸び、この反力によって下層シート50におけるベルト部材56との接触部位の下方への撓みが規制される構成である。すなわち、各引張コイルスプリング58及びベルト部材56は、着座に伴って下層シート50に張力(圧力差)を付加し、着座に伴って下方へ撓んだ下層シート50がフロントフレーム30に向けて立ち上がる部分である堰S(図6参照)を、前後方向の所定位置(後述)に形成するようになっている。
以上により、下層シート50は、面状の張力場を形成する2次元ばね要素である可動フレーム34(トーションバー46)と、それぞれ張力線を形成する1次元ばね要素である左右の引張コイルスプリング54とで、張力方向が3次元となる張力場(後述)が生成される構成である。
なお、上記可動フレーム34のアーム部材42が本発明における「回動部材」に相当し、連結パイプ44が本発明における「係止部」に相当し、トーションバー46が本発明における「弾性部材」に相当し、引張コイルスプリング54が本発明における「他の弾性部材」に相当する。
一方、上層シート52は、下層シート50の上側で座部用フレーム14に張設されている。具体的には、図5(A)に示される如く、上層シート52は、左右両端に前後方向に沿って設けられたフック部52Aが対応するサイドフレーム28の上フランジ部28Aに係止されている。また、上層シート52は、前端に左右方向に沿って設けられたフック部52Bがフロントフレーム30を廻り込むようにして該フロントフレーム30の下部に係止されている。上層シート52の後端は、シートバック22のクッション材24下端に固定的に接続されるか、座部用フレーム14の後端に弱いばねまたは引き布を介して接続(支持)されるかするが、ほぼ自由端に近い状態とされている。非着座(無荷重)状態における上層シート52の左右方向、前後方向の伸びは、共に5%以下とされている。
この上層シート52は、その後部が下層シート50上に積層されており、前部及びフロントフレーム30の前側に廻り込んだ部分は、下層シート50との間に設けられたスペーサ部材60によって、下層シート50から離間している。スペーサ部材60は、例えばポリウレタンフォーム等にて構成されている。これにより、シートクッション18の前端部は、他の部分よりも隆起して形成されている。また、図2に示される如く、上層シート52の後部は、下層シート50の後部を弱く下方に押し付けて若干撓ませている。これにより、上層シート52の張設状態では、トーションバー46が僅かに(上記後傾を維持する範囲で)矢印A方向に回動し、下層シート50の張力が低下するようになっている。
そして、この状態(非着座状態)では、左右の引張コイルスプリング54が若干伸長している。トーションバー46を僅かに捩ると共に各引張コイルスプリング54を伸長することにより生じる下層シート50の復元力は、上層シート52と下層シート50との摩擦によって保持されるようになっている。また、この状態では、図5(A)に示される如く、下層シート50における着座者の座骨結節に対応する部分を含む前後方向の部分が、各サイドフレーム28の上縁すなわち中間部における上フランジ部28Aよりも上側に位置している。これにより、着座時の連結パイプ44の矢印A方向への回動に伴う下層シート50の後端部の下方への移動ストローク(後述する撓み代)が確保される構成となっている。
さらに、シートクッション18の左右両端部には、それぞれ上層シート52よりも上方に突出した前後方向に長手のサイドサポート62が設けられている。図5(A)に示される如く、各サイドサポート62は、上層シート52の左右両端部(下層シート50よりも左右方向外側)及びサイドフレーム28の上フランジ部28A上に設けられたクッション部材62Aと、クッション部材62Aを被覆する表皮材62Bとで構成されている。クッション部材62Aは、例えば、ポリウレタンフォーム等で構成されており、上記スペーサ部材60と一体化されても良い。表皮材62Bは、一端部が上層シート52における下層シート50よりも左右方向外側部分の上側に縫製等によって接続されると共に、他端部がサイドフレーム28の下フランジ部28Bに係止されている。
これらのサイドサポート62は、主にサイドフレーム28の上縁よりも上側に位置する上層シート52上に設けられることで、少量のクッション部材62Aを用いて構成されている。また、このようなサイドサポート62の構造を採用することで、上記の通り上層シート52を座部用フレーム14の直接的に張設する構成が実現されている。
以上のように構成されたシートクッション18は、基本的には下層シート50が主に着座者の体重を支持すると共に、上層シート52が該着座者の体重の一部を支持するようになっている。また、下層シート50では、主にトーションバー46による張力が着座者の体重を支持し、引張コイルスプリング54による張力が該着座者の体重を分担支持するようになっている。そして、シートクッション18は、上記の通り着座に伴って3次元方向の張力場が生成される下層シート50に上層シート52とを組み合わせることで、全体としてコンプライアンスを人体(着座者)のコンプライアンス、及び緊張の程度や姿勢または振動により変化する筋肉のインピーダンス(力伝達特性)に適合(マッチング)されており、着座者に与える圧力や拘束力、振動伝達に基づく痛みや不快感等のストレスを軽減するようになっている。
具体的には、シートクッション18では、下層シート50の後端を連結パイプ44に係止してトーションバー46を介して座部用フレーム14に支持させることで全体として張力を低く抑えつつ、各引張コイルスプリング54によって左右方向両端部の張力を高く設定すると共に、ベルト部材56及び各引張コイルスプリング58によって前部の張力を高く設定している。そして、引張コイルスプリング54による高張力部位は、着座者の臀部から大腿部のかけての部分を側方から支持する体側支持構造を実現している。また、ベルト部材56及び各引張コイルスプリング58は、着座者の座骨結節下に対応する部位の前方に、着座に伴って上記した堰Sを形成するようになっている。
ここで、クッション材20に人体の筋肉のコンプライアンスやインピーダンスに適合させるための上記張力場を生成するために、上記した各構成要素等は、人体すなわち座骨結節下の位置Zを基準にした寸法で形成、配置、または設定されている。座骨結節下の位置Zを基準にシートクッション18を構成する各部の寸法を設定するのは、着座者の体圧(支持圧)が座骨結節下の位置Zの近傍において高く(例えば、座骨結節の直下を中心とした直径98mmの範囲に体重の略50%から80%が集中する)ことが知られており、この知見に基づいて上記張力場を設定するためである。なお、各構成要素等の具体的な寸法等は、車両用シート10のヒップポイント高による座角、意匠形状、体型差(販売地域や搭載車種毎に設定される設計上の体型差)に応じて調整される。
そして、本実施の形態では、着座者の座骨結節下の位置を、前後方向においてはシートクッション18の後端(着座時におけるシートバック22の下部前面)からの距離が略150mmの位置に設定している。また、左右の引張コイルスプリング54は、上記の通りそれぞれ着座者の骨盤の外側に配置されている。さらに、ベルト部材56は、堰Sが座骨結節下の位置の前方100mm以内の範囲に形成されるように配置されている。本実施の形態では、座骨結節下の位置Zから前方略30mm〜50mmの位置に堰Sが形成されるようになっている。すなわち、堰Sは、誰が着座しても前滑りがなく、皮膚血流の圧迫が少なく、呼吸による仙骨の動きを妨げず、かつほぼ同じ位置に着座することがきるように、形成されるようになっている。
以上により、シートクッション18では、弾性体である堰Sにより着座者の前滑りが防止または抑制されると共に、左右両端の高剛性面で着座者を臀部から大腿部にかけて体側支持することで、該着座者の前後及び左右の移動が抑制される構成である。これらにより、シートクッション18では、前滑りや着座姿勢が安定しないといった現象であるハンモック感を解消し、ローリングや左右方向の入力に対するフラット感が得られる構成である。また、シートクッション18では、体格の大きい人は引張コイルスプリング54による張力線に近接するより面剛性の高い位置で臀部から大腿部にかけて体側を支持され、体格の小さい人は引張コイルスプリング54による張力線からシート内方側に離間した比較的面剛性の低い部位で上記体側を支持されるようになっており、体格差が吸収される構成とされている。
一方、シートクッション18における引張コイルスプリング54の張力が作用する左右両端、及びベルト部材56により下層シート50の下方への撓みが規制される前部以外の部分は、トーションバー46を介した可動フレーム34による下層シート50の支持構造によって、低剛性面とされている。シートクッション18では、この低張力面が着座者の座骨結節下の位置を含むように連結パイプ44の長さが座骨結節間の距離よりも大きく設定されている。これにより、仙骨部や座骨部などの骨突起部については、部分的にクッション材20に周辺部よりも大きな変形を生じるが、筋肉が多くを占める骨突起部周辺部については、シートクッション18の後述する筋肉に近似したクッション特性により大きな変形は生じない構成とされている。また、トーションバー46による張力が連結パイプ44によって2次元(面)に作用するため、着座者の姿勢の崩れが防止され、また偏った着座姿勢による圧力の集中による座面の折れも防止されるようになっている。
以上説明したように、3次元方向の立体支持によって下層シート50に高張力部と低張力部とを有する張力場を形成することにより、クッション材20は、人体との間で総合的なインピーダンスマッチングとコンプライアンスマッチングが図られている。このため、シートクッション18では、着座者の姿勢を維持しつつ、該着座者の皮膚や筋肉に加わるずれ力(面の接線方向)や圧力(法線方向)が低減され、長時間着座による痺れや痛みを低減させることができる。
ここで、図13(A)には、車両用シート10に着座した人の体圧分布が示されている。一方、図13(B)、8(C)は比較のために示した他の車両用シートに着座した人の体圧分布を示している。図13(B)は、硬めのクッション特性を有する所謂姿勢維持型の車両用シート(例えば、従来のポリウレタンフォームをクッション材に用いたシート)による体圧分布であり、図13(C)は柔らかめのクッション特性を有する所謂体圧分散型の車両用シート(例えば、単に3次元立体編物を座部用フレーム14に張設したシート)による体圧分布である。
本車両用シート10のシートクッション18では、ベルト部材56設置部位に相当する部分の後方において、主に臀部及び大腿部を広い範囲の連続的な支持面で体圧を分散させて支持しつつ、臀部(骨盤)及び大腿部を側方から高い圧力で支持していることが判る。すなわち、シートクッション18は、上記の通り着座者を臀部から大腿部にかけて連続的に体側支持することによって着座者の左右方向の移動を抑制し、また堰Sによって着座者の前後方向の移動を抑制する構成とされている。また、シートクッション18では、着座者の座骨結節下の体圧が著しく低いことが判る。これは、後述するばね零特性によるものである。本車両用シート10は、後述するシートバック22による支持特性をも考慮して、体圧分散特性を備えた体側支持型シートということができる。
図7は、着座状態でのクッション材20の変形状態を模式図にて示したものである。この図において、Gは着座者P(図6参照)の大腿部を、Hは着座者Pの臀部を示す。図7(A)は座骨結節下の前方略300mmに相当する図6の7A−7A断面を示し、図7(B)は座骨結節下の前方略200mmに相当する図6の7B−7B断面を示し、図7(C)は座骨結節下の前方略50mm(着座者の重心位置)に相当する図6の7C−7C断面を示し、図7(D)は座骨結節下に相当する図6の7D−7D断面をそれぞれ示している。これらの図からも、シートクッション18が着座者の大腿部Gの後部及び臀部Hを側方から支持する構成であることが判る。なお、下層シート50の前後方向の伸びは、可動フレーム34の動作(トーションバー46の捩れ)によって20%以下に抑えられている。
また、図14(A)には、シートクッション18の前後方向における図14(B)に示す各部のコンプライアンスが示されている。この図において、シートクッション18の後端から150mmの位置が座骨結節下の位置に対応し、同250mmの位置が堰Sの若干前方に対応し、同350mmの位置がベルト部材56設置位置に対応している。また、この図には比較のために従来の代表的なシートの対応する位置にコンプライアンスが示されている。本実施の形態に係る車両用シート10のシートクッション18が、従来のシートと比較して十分に大きなコンプライアンス(小さなばね定数)を実現していることが判る。
さらに、図15には、上層シート52(3次元立体編物110)単体の静的な荷重−撓み特性が示されている。図15(A)及び図15(B)は、寸法の異なる円板を、座部用フレーム14に略対応する大きさの矩形枠状の治具に4辺固定状態で張設した上層シート52の中央部に所定の荷重となるまで50mm/minの速度で押し付けた場合の静的な荷重−撓み特性であり、図15(A)では円板の直径を98mm、所定の荷重を100Nとしており、図15(B)では円板の直径を30mm、所定の荷重を100Nとしている。但し、図15(B)では、人体への荷重上限を40Nとしている。図15(C)は、単に剛体面に載置された上層シート52の中央部に、直径200mmの円板を荷重が1000Nとなるまで50mm/minの速度で押し付けた場合の静的な荷重−撓み特性が示されている。これらの図から、人体と上層シート52との静的な荷重−撓み特性が概ね一致することが判る。また、上記の通り着座者の体重が集中する範囲に相当する直径98mmの円板による図15(A)の荷重−撓み特性では、上層シート52のばね定数が小さいことが判り、特に、座骨結節下の領域に相当する直径30mmの円板による図15(B)の荷重−撓み特性では、上層シート52のばね定数がさらに小さいことが判る。そして、図15(C)では、上層シート52の荷重−撓み特性が3次曲線状になり、撓み4mm程度で、荷重−撓み曲線の傾きであるばね定数が略0となることが判る。以上により、図15(A)、図15(B)により上層シート52と筋肉の特性と近似が図られることが判り、図15(C)に示す特性より動的な荷重変動を吸収し、金属ばねとの協働によりコンプライアンスマッチングが図られ、さらに張力の増減によりインピーダンスが変化し、人体の筋肉のゆらぎに応じたインピーダンスマッチングが図られることが判る。
そして、図16には、シートクッション18の静的な荷重−撓み特性が示されている。図16(A)乃至図16(C)は、寸法の異なる円板を、シートクッション18における上記図14のコンプライアンスの測定位置に対応する位置に、所定の荷重となるまで50mm/minの速度で押し付けた場合の静的な荷重−撓み特性である。図16(A)では円板の直径を200mm、所定の荷重を1000Nとしており、図16(B)では円板の直径を98mm、所定の荷重を100Nとしており、図16(C)では円板の直径を30mm、所定の荷重を100Nとしている。これらの図に示す如く、シートクッション18は、直径30mm、98mm、200mmの円板を押し付けた各特性は、押圧する座面の位置に拘わらずほぼ同一の特性であることが判る。すなわち、シートクッション18は、人体の筋肉の荷重−撓み特性に近似する特性を座面全体で維持している。一方、直径200mmの円板の押し付けにより大きな荷重が作用すると、トーションバー46が捩れて下層シート50が張力を増大することなく撓むことから、4辺固定の上層シート52単体の特性と比較すると、ばね定数が低減されている。すなわち、下層シート50が主に着座者の体重を支持し、着座に伴うストロークが創出される構成が実現されている。
また、シートクッション18では、人体の凸部に対応する小面積の円板に対してばね定数が小さくなる(コンプライアンスが大きく)なり、人体の凸部に作用する荷重を軽減しつつ該凸部をシートクッション18に埋め込むアンカー効果を創出できることが判る。すなわち、小面積の円板に相当する押圧範囲ではばね定数が極めて小さくなるため、静的な着座状態に対応する荷重変化のない平衡状態で、座骨結節下の領域に相当する範囲では、その外側の領域よりもばね定数が大幅に小さくなる特性(以下、ばね零特性という)が実現されている。このばね零特性が上記アンカー効果を創出し、弾性堰Sによる前滑り防止効果顕著となる。特に、座骨結節直下の直径30mmの範囲(図16(C)の150mmのデータ参照)で、ばね定数が極めて小さくなることが判る。また、上記の如く座骨結節の直下を中心とした直径98mmの範囲に着座者の体重の略50%〜80%が集中することから、図16(B)に示す直径98mmの円板による実験結果が着座状態の荷重−撓み特性に近い特性となる。そして、この図から座骨結節下の位置を基準とすると、10mm前方の位置(250mm)がやや固くなり、シート前端部(350mm)が柔らかい理想的な特性を示すことが判る。なお、座骨結節の直下を中心とした直径98mmの範囲内においても、さらにその外側の領域と比較してばね定数が小さくなることが判る。さらに、図16(A)に示すように、直径200mmの押圧に対しては大きなばね定数が得られ、シートクッション18が全体として十分な復元力を備えつつ、上記ばね例特性を実現していることが判る。
このシートクッション18では、上記フラット感を実現するために左右両端及び前部に他の部分よりも面剛性の高い部分が形成されるが、上記の通り着座者の筋肉に近似した所謂筋肉特性とされているため、筋肉を潰しきってしまうことが防止されるようになっている。一方、シートクッション18の低剛性面とされた他の部分では、着座者の筋肉に作用するせん断力や垂直力が上記ばね零特性により低減されると共に、振動による加速度や体重による圧力での血管の圧迫が抑制され、特に、着座者の体重が集中する座骨結節下廻りの筋肉(座骨結節下を中心として略直径30mmの範囲)に作用するせん断力や垂直力が低減されると共に皮膚血流(血管)への圧迫が抑制される構成とされている。
さらにまた、シートクッション18における上記の如く面剛性が低減された座骨結節下の位置を含む部位では、柔らかいジャーク特性が実現されている。すなわち、動的状態における加速度(力)の変化率が低減され、極大値がなく時間(加速度の変化に要する時間)が引き伸ばされるようになっている。これにより、上記張力場の圧力変動を吸収する構成とされている。これにより、微小振動の入力時等には体圧分布の変動が抑制され、上記好ましい体圧分散型の体圧分布が維持されるようになっている。そして、シートクッション18における上記の如く面剛性が低減された座骨結節下の位置を含む部位は、着座者の筋肉のゆらぎも吸収し、ゆらぎに伴う反力を着座者に与えないようになっている。図17(A)には、人体の臀部の筋肉のジャークに対するシートクッション18(領域C)のジャークの比が示されている。この図から、シートクッション18のジャーク特性は、各時点におけるジャークが人体の臀部の筋肉のジャークに対しほぼ半分以下であり、該筋肉に対し十分に柔らかい特性であることが判る。なお、図17(B)に示す如く、筋肉とほぼ同等のジャーク特性を得るように設定することも可能である。
さらに、シートクッション18は、荷重によって下層シート50の後端がトーションバーの捩れに伴って前方に移動しながら下降(矢印A方向に回動)し、除荷重によって反対向きに移動することで上記ばね零特性を実現する構成であるため、着座者の呼吸を阻害しない構成になっている。具体的には、図34(A)に示される如く、着座状態の人の仙骨は、矢印Xにて示すように吸気に伴って前下方に移動し、呼気に伴って矢印Yにて示すように後上方に移動する。そして、下層シート50後端の上記動きによって上記ばね零特性を実現するシートクッション18では、矢印A方向の変位に対してもばね零特性とされている。このため、静的着座状態では、シートクッション18が体圧(荷重)を殆ど変化することなく着座者の仙骨の動き追従して変位し、着座者が筋力を使うことなく呼吸を行なうこと可能としている。これにより、仙骨の動きを抑えることなく、姿勢を維持できることにより着座者に与えるストレス(腰部の痛み)が軽減されるようになっている。この作用については、後述する。図34(B)、図34(C)は、仙骨と骨盤との関係を示している。
また、シートクッション18は、上記の通り可動フレーム34のトーションバー46(及び引張コイルスプリング54)を上下方向の主要なばね要素とすることにより、該上下方向のばね定数が低減されており、着座者を含んで構成される振動系の共振周波数(固有振動数)を下げるようになっている。換言すれば、着座時における下層シート50の張力を低く抑えることにより、トーションバー46がシートクッション18の主要ばね要素となり、上記振動系の共振周波数をトーションバー46の特性によって設定することができる。そして、本実施の形態では、標準体重の着座者が着座したときの共振周波数が略3.5Hzとなるように、上記振動系のトーションバー46を主要ばね要素とするばね定数が設定されている。このように、トーションバー46を用いることで、従来困難であった、共振周波数を低く設定しつつ復元力を確保する構成が実現されている。
上記共振周波数は、理論的には共振周波数の√2倍の周波数で振動伝達率(入出力振幅比)が1になることを考慮して、人の脊柱の共振周波数帯域である5Hz(≒3.5×√2)程度の振動が入力されたときの振動伝達率を略1とするために設定されている。ここで、標準体重は、例えば車両用シート10の販売地域や搭載車両の顧客層毎に設定されるが、本実施の形態では64kgに設定している。そして、図18(A)に示される車両用シート10の振動伝達率曲線から、共振周波数が略3.5Hzであり、振動伝達率が1となる周波数が脊柱の共振周波数帯域である略5.2Hzである構成が実現されていることが判る。
これにより、人の脊柱の共振周波数帯域である振動が車両用シート10に入力された場合に、着座者の視線の動きを車両用シート10(車両)の動きに一致させて着座者に与えるストレスを軽減させるようになっている。また、この略3.5Hzは、後述するように従来の各種自動車用シートの共振周波数よりも十分に低い値である。これにより、上記振動系の共振周波数帯域(例えば、ハーフパワーポイントの幅)が狭くなり、例えば車両の加速によって振動数が連続的に上昇する過程で上記共振周波数帯域を速やかに通過させるようになっている。
さらに、可動フレーム34に後端が係止された下層シート50と座部用フレーム14に張設された上層シート52とを組み合わせた2層構造のシートクッション18は、上記図16に示す荷重−撓み特性、すなわち、比較的線形性が強いものの、変位(撓み)が大きくなるほどばね定数(荷重を変位で微分することで得られる傾き)が大きくなる非線形のばね定数特性とされている。これにより、着座者の体重が重いほどばね定数が大きくなるため、ばね定数を質量で除した値の平方根((k/m)1/2)に比例する上記共振周波数の質量(体重)依存性が軽減され、シートクッション18に異なる体重の人が着座しても共振周波数が大きくずれてしまうことがない構成とされている。本実施の形態では、上記図18(A)に示される如く、体重が55kgから92kgまでの人が着座した実験結果で、共振周波数は3.3Hzから3.7Hzの間にあり、共振周波数の質量依存性が極めて小さいことが確かめられている。
以上のようなシートクッション18における非線形のばね定数特性は、3次元立体編物110であり左右方向に伸び易い上層シート52の引張特性(荷重−伸び特性)が、例えば図19に示される如き特性、すなわち伸び量が所定値以上になると荷重が急激に立ち上がる非線形特性であることによって実現されている。このような特性の上層シート52は、独立して座部用フレーム14に張設されていることから、トーションバー46、引張コイルスプリング54等から成る下層シート50のばね要素とは並列のばね要素として把握され、また、着座によって主に左右方向に伸びて下方に撓むことから、単体では上記図19に示す特性と似た荷重−伸び特性を示す。
そして、シートクッション18は、この上層シート52が着座によって下層シート50を下方に押圧する構成であるため、体重が軽い(標準体重程度の)人の着座状態、すなわち上層シート52の伸び(ばね定数)が小さい状態では、主に下層シート50が該着座者の体重を支持し、トーションバー46(及び引張コイルスプリング54)が着座者を含むシートクッション18の振動系のばね定数を規定する。一方、体重が重い人の着座状態では、上層シート52が大きく変位しその支持する体重が増し、該上層シート52の大きな(上記所定値以上の伸び領域の)ばね定数がトーションバー46及び引張コイルスプリング54によるばね定数に付加される。これにより、シートクッション18では、上記の通り変位が大きくなるほど、ばね定数が大きくなる非線形のばね定数特性とされている。なお、上層シート52は、変位が小さい場合には、そのばね定数が小さく大きな反力は作用しない。
また、シートクッション18は、上記ばね定数特性によって、例えば通常走行で発生する0.3G程度の比較的小さい荷重変動はトーションバー46の初張力の範囲で吸収されるようになっている。さらに、シートクッション18では、下層シート50の主要ばね要素を機械的に変位方向の定まったトーションバー46とすることにより、車両用シート10に作用する前後方向の振動、ピッチング振動が上下方向の振動に変換されるようになっている。
さらに、シートクッション18では、上記の通り下層シート50が、その後端を可動フレーム34に係止され、下方への撓みに伴って後端が前端に近接して張力が減じられる構成であるため、衝撃荷重に対し下向きに大きな減衰が作用する構成とされている。すなわち、例えば衝撃荷重が作用して着座者がシートクッション18に沈み込もうとすると、トーションバー46が瞬時に捩れて下層シート50の張力が弛み、この下層シート50が張力を生じつつ荷重を受ける時間が長くなり、換言すれば入力荷重に対するストロークが大きくなり、減衰比が大きくなる。また、下層シート50は、3次元立体編物であるため、自らの伸びに伴う減衰力を生じつつ、換言すれば、この減衰力の弾性力に対する位相遅れによってトーションバー46の捩れに対する追従遅れを生じて上記弛み状態を長時間維持しつつ、上記衝撃荷重に対するより大きな減衰力を生じるようになっている。
一方、シートクッション18では、トーションバー46及び引張コイルスプリング54によって、下方に撓んだ状態から上方への復元力を生じる構成とされている。すなわち、線形性の強い金属ばねの弾性力を復元力とすることで、シートクッション18の復元力が不足することが防止されている。また、着座者の体重が重い場合には、上記大きいばね定数を付加する上層シート52の弾性力も復元力として作用するようになっており、上記の通り動的特性の質量依存性が軽減された構成とされている。
そして、このシートクッション18では、図20(A)に示される如く、下向きの減衰比ζdよりも上向きの減衰比ζuの方が大きい構成とされている。これにより、例えば衝撃荷重が作用して着座者がシートクッション18に沈み込んだ後の復元時においても大きな減衰が作用して底付感を低減し、さらに着座者の上方への変位が低減される構成とされている。すなわち、シートクッション18は、重力方向の減衰が大きく、着座者の跳ね返り(跳ね上がり)が防止される構成とされている。また、減衰比ζdよりも減衰比ζuを大きくすることにより、所要の復元力を確保しつつ、図20(A)(B)に示す如く共振周波数(固有振動数)を小さくすることができる。
ここで、本実施の形態では、減衰比ζd、ζuを、錘(6.7kg)をシートクッション18の上記領域Cに相当部分に対し略22mmの高さから落下させた際の、図21に示す錘の変位応答曲線から算出している。図21の変位は、正が無負荷状態からのシートクッション18の下方への変位(沈み込み)に対応しており、負が無負荷状態よりも上方への変位(撥ね返り)に対応している。そして、変位応答曲線の正側の極値a1、a2の減衰率からζdを算出し、負側の極値a3、a4の減衰率からζuを算出している。本実験では、ζdが略0.23、ζuが略0.29であり、これらの差0.06は有意差として認められるものである。このようにζuが大きくなるのは、上方への変位の過程で上層シート52の伸びが減少することで、上層シート52のばね定数の影響が小さくなる一方、上層シート52が減衰要素として機能を維持し、シートクッション18における振動系のばね定数が低減するためである。
また、上記減衰比ζd、ζdがそれぞれ0.23、0.29と比較的大きいことにより、シートクッション18では、上記振動伝達率の最大値が低減される構成とされている。これにより、標準体重の人が着座者した状態で上記共振周波数の振動を付与した場合の振動伝達率が2.0±0.2の範囲に抑えられる構成が実現されている。本実施の形態では、図18(A)に示される如く、体重64kgの着座者に対し最大の振動伝達率が略1.93であった。さらに、減衰比ζdが比較的小さく設定されることにより、例えば衝撃エネルギの吸収時に座部用フレーム14に過大な力からが作用することが防止される。なお、振動伝達率の下限は、上記ハーフパワー点となる周波数帯域を所定の幅以下とするために設定されている。
図22(A)は、錘(6.7kg)を載置したシートクッション18に所定振幅(片振幅で1mm)の強制振動を付加した場合の錘の応答変位と荷重との関係(リサージュ)を示している。この図でも正の変位がシートクッション18の下方への変位(沈み込み)に対応しており、負の変位が無負荷状態よりも上方への変位(撥ね返り)に対応している。この図から、シートクッション18が各周波数で大きな減衰を与える(減衰容量が大きい)ことが判る。また、錘の応答変位は、各周波数、特に共振周波数近傍で下方側よりも上方側の方が小さいことから、減衰比ζuが減衰比ζdよりも大きいことが判る。図22(B)は、比較のために示した従来のウレタンシートによる同条件の実験結果であり、車両用シート10と比較すると減衰容量が小さいために錘の応答振幅が大きい様子が判る。図22(C)は、共振周波数近傍の6.0Hzにおける車両用シート10と及び上記ウレタンシートのリサージュ曲線を重ね合わせたものであり、両者の減衰容量と応答振幅の相違が良く判る。なお、図22(C)は、応答振幅の最大と最小との中間点が変位0となるように補正して作図している。
さらに、シートクッション18では、上記減衰比と低い共振周波数とを実現することによって、10Hzでの振動伝達率が大きく低減される構成が実現されている。本実施の形態では、図18(A)に示される如く、体重92kgの着座者を除いて10Hzでの振動伝達率が0.5以下に抑えられている。また、体重92kgの着座者においても、10Hzでの振動伝達率が0.52程度であり、ほぼ0.5程度まで抑えられているということができる。一方、11Hzは、着座者の脳にα波(落ち着いた覚醒状態)を生じさせる周波数帯域であり、ここに、10Hz近傍の振動を減衰させて着座者に伝達することにより、該着座者に不快感を与えることなくα波を生じさせ、眠気の少ない落ち着いた覚醒状態を与えることが可能となる。なお、眠気を覚えたときに生じるα波の周波数は8Hz近傍である。
また、3次元立体編物110である上層シート52は、単体では長時間使用によってへたりを生じ完全に復元するまでに一定の時間を要するが、トーションバー46及び引張コイルスプリング54に支持された下層シート50を設けることにより、シートクッション18では、上層シート52のへたりが抑制される構成とされている。これにより、長時間に亘る着座の基間中、上記各好ましい特性が維持されるようになっている。
(シートバックの構成)
図1及び図2に示される如く、シートバック22を構成する背部用フレーム16は、それぞれの下端部がリクライニング機構26を介して座部用フレーム14の後端部に連結された左右一対の背部用サイドフレーム64を備えている。これにより、背部用フレーム16の支軸26A廻りの回動及び任意の回動位置での保持が可能とされている。左右の背部用サイドフレーム64は、それぞれ平板状部材に形成されており、それぞれの前縁からシート外方に前フランジ部64Aが延設されると共に、それぞれの後縁からシート内方に後フランジ部64Bが延設されて構成されている。
各背部用サイドフレーム64は、それぞの上端部間に掛け渡された上部フレーム66によって互いに連結されている。上部フレーム66は、それぞれ下端が背部用サイドフレーム64の上端に前後方向の略全幅に亘り固定されると共に上端がシート内方側である後方側に絞られた左右一対のサイド部66Aと、左右一対のサイド部66Aの後端部間を連結する橋架部66Bとで構成されている。橋架部66Bには、後述するヘッドレストフレーム82Aが固定されている。また、左右の背部用サイドフレーム64は、それぞれの下部間に架け渡された連結バー68によっても互いに連結されている。連結バー68は、後述する下側の引張コイルスプリング78に略対応する高さに配置されて左右の背部用サイドフレーム64の後部を連結している。
この連結バー68は、背部用フレーム16の左右方向の剛性向上に寄与し、かつ背部用フレーム16が回転方向に弾性変形し易い構成になっている。具体的には、各背部用サイドフレーム64は、図8(A)に示す如く、後フランジ部64Bを前後方向に揺動させる如き矢印B方向の弾性変形と、前端部を左右方向に揺動する如き矢印C方向の弾性変形とが可能とされている。この連結バー68は、背部用サイドフレーム64の矢印B、矢印C方向の変形を規制しないように、各背部用サイドフレーム64の後端間を架け渡している。
さらに、背部用フレーム16は、左右一対のサポートパイプ70を備えている。各サポートパイプ70は、全体として背部用サイドフレーム64よりも前方に突出しており、特に、着座者の肩部及び腰椎部に対応する部位が前方に突出している。各サポートパイプ70は、シート内方側でかつ後方側に折り曲げられた上端部が上部フレーム66の対応するサイド部66Aに固着されると共に、下端近傍がブラケット72を介して背部用サイドフレーム64の下端近傍に弾性的に接続されている。この状態で各サポートパイプ70の下端部は、対応する背部用サイドフレーム64に対し左右方向外側でかつ前方に位置している。すなわち、各サポートパイプ70は、上端が上部フレーム66に固着されて高剛性に支持されると共に、下端側が比較的低荷重で弾性変形する(ばね定数の小さい)ブラケット72にて低剛性に支持されている。このため、各サポートパイプ70は、上端を固定端として、図8(A)に示す矢印D及び矢印E方向に弾性変形可能とされている。すなわち、左右のサポートパイプ70は、ブラケット72を変形させつつ下端を互いに接離する方向、下端を前後方向に揺動する方向に、それぞれ独立して弾性変形可能とされている。また、各サポートパイプ70の矢印D、矢印E方向にばね定数は、それぞれ背部用サイドフレーム64の矢印B、矢印C方向のばね定数よりも十分に小とされている。
以上により、背部用フレーム16は弾性構造体とされており、この背部用フレーム16には、本発明における「背部用クッション材」としての背部用クッション材24が設けられている。背部用クッション材24は、本実施の形態では単層でバックレスト25を構成するようになっている。この背部用クッション材24は、上下方向及び左右方向共に伸び難い硬いばね特性を有する張力構造体にて構成されている。この張力構造体は、2次元織物(布ばね材)であっても良く、3次元立体編物110であっても良い。
この背部用クッション材24の上端における左右両端部には、上部フレーム66に上端を係止した「第1弾性部材」としての引張コイルスプリング74の下端が係止されている。また、背部用クッション材24の下端における左右両端部には、座部用フレーム14の後端部に下端を係止した「第2弾性部材」としての引張コイルスプリング76の上端が係止されている。この状態で背部用クッション材24は、上下方向の伸びが5%以下となる張力にて背部用フレーム16に張設されている。
これにより、図1及び図2に示される如く、背部用クッション材24は、非着座状態で略平坦となるバックレスト25を形成している。すなわち、背部用クッション材24の左右方向中央部(後述する左右のサイドサポート80間)に形成されるバックレスト25は、主に上下の引張コイルスプリング76、78の張力により非着座状態では側面視直線状に形成されている。この形状によって、バックレスト25は、着座に伴って張力を殆ど増大することなく、その形状を着座者の上体に対応した3次元形状に変化させる構成とされている。すなわち、着座者の上体が各引張コイルスプリング74、76によって支持されるようになっている。なお、背部用クッション材24の上端は、着座者の肩甲骨に対応する位置より若干高位とされ、背部用クッション材24の下端は、シートクッション18の近傍でかつ該シートクッション18に干渉しない高さとされている。また、略平坦とされたバックレスト25は、皺等が生じることがなく美しい外観を形成している。
また、背部用クッション材24の左右両側部には、それぞれ複数(本実施の形態では各2つ)の「第3弾性部材」としての引張コイルスプリング78の一端部が係止されている。各引張コイルスプリング78は、それぞれの他端部が背部用サイドフレーム64の前フランジ部64Aにおける腰椎部の高さ方向の位置に(上下の引張コイルスプリング78によって腰椎部を挟むように)係止されている。各引張コイルスプリング78は、正面視では左右方向に沿って略水平に配置されており、平面視では背部用クッション材24側が背部用サイドフレーム64側よりも後方に位置するように傾斜して配置されている。
この状態で、背部用クッション材24は、略全長に亘り背部用サイドフレーム64の前後端間に位置しており、各引張コイルスプリング78は、自由状態またはわすかに伸長した状態とされている。したがって、各引張コイルスプリング78は、バックレスト25の上記平坦形状を崩すことなく、着座に伴って着座者の腰椎部に対応する部位の支持圧を増す構成とされている。そして、着座者に大きな加速度が入力された場合、各引張コイルスプリング78を介して力が背部用サイドフレーム64に伝わり、該背部用サイドフレーム64が矢印B方向に、サポートパイプ70が矢印D方向にそれぞれ振動するようになっている。この背部用フレーム16の運動によって、シートバック22と着座者の上体とで構成される振動系の減衰比が制御される構成である。なお、図5(B)に示す如く、背部用クッション材24の左右両端は、それぞれ上下方向に沿って設けられたフック部24Aが背部用サイドフレーム64の前フランジ部64Aに係止されているが、この係止によっては背部用クッション材24には殆ど張力が作用しない構成とされている。すなわち、弛んだ状態で左右の前フランジ部64A間に掛け渡された背部用クッション材24が、上下の引張コイルスプリング74、76の付勢力によって上記の通り略全長に亘り背部用サイドフレーム64の前後端間に位置するようになっている。
また、シートバック22では、着座者の上体における胸椎部から骨盤にかけてのバックレスト25の形状は略直線形状であることが推奨されるが、各引張コイルスプリング78によって、上記の通り腰椎部の支持圧が増大して筋肉のインピーダンスに応じた形状が着座時にも維持されるようになっている。すなわち、着座に伴って上下の引張コイルスプリング74、76がお辞儀する如く折れ曲がり、バックレスト25における腰椎部に対応する部位が大きく後方に撓もうとするが、左右の引張コイルスプリング78が腰椎部の支持圧すなわち剛性を高くするため、バックレスト25における胸椎部から骨盤にかけての部分が筋肉のインピーダンスに応じた自然な形状とコンプライアンスとを変化しながら維持する。
さらに、各引張コイルスプリング78は、着座者の体格の個人差を吸収するようになっている。具体的には、引張コイルスプリング78は、体格の大きい人が着座した場合には、上下の引張コイルスプリング74、76と共に伸長して腰椎部の支持圧を高くし、体格が小さい人が着座した場合には、上下の引張コイルスプリング74、76と共に主にお辞儀する如く折れ曲がることで腰椎部の支持圧を低くする。何れの場合もバックレスト25における上記筋肉のインピーダンスに応じた形状が維持され、体格の小さい人が着座した場合には低い位置で腰椎部の支持圧が比較的高くなる。これにより、シートバック22では、着座者の体格に適した支持状態が得られる構成である。
また、シートバック22は、バックレスト25にて構成されるバックレスト25の左右両側にそれぞれ設けられ該バックレスト25よりも前方に突出するサイドサポート80を備えている。図5(B)に示される如く、各サイドサポート80は、サポートパイプ70及び背部用サイドフレーム64の前部を覆うように取り付けられたクッション部材80Aを、表皮材80Bが外側から被覆して構成されている。クッション部材80Aは、例えば、ポリウレタンフォーム等で構成されており、表皮材80Bは、一端部が背部用クッション材24の左右方向端部における前側に縫製等によって接続されると共に、他端部が背部用サイドフレーム64の後フランジ部64Bに係止されている。
各表皮材80Bは、例えば運転姿勢を確保するために、その上部が背部用クッション材24に縫製等により接合されているが、振動吸収性を優先する場合は、一部スリットが設けられたり、上下方向に沿って部分的に背部用クッション材24に接続されることによって、引張コイルスプリング78の自由度を大きくして動きを拘束しないようにすることもできる。また、同様の処置によって各表皮材80Bは、例えば着座者の肩甲骨部と腰椎部との間等、柔らかい圧縮特性が望まれる部位において背部用クッション材24(バックレスト25)の変位を規制しないようになっている。一方、堅めの特性が優先される場合は、図5(B)に示す状態が着座者の腰部に対応する位置まで続き、共に係止される引張コイルスプリング78によってばね感を付与される構成とすることも可能である。さらに、各表皮材80Bを、例えば3次元立体編物等であって伸び易い素材にて構成し各引張コイルスプリング78の変形や背部用クッション材24の変位を阻害しないように構成しても良い。
以上説明したシートバック22では、引張コイルスプリング74、76と、引張コイルスプリング78とによって、非着座状態でのバックレスト25の平坦性を担保しつつ外観を向上させ、着座状態における背部用クッション材24の張力方向が3次元とされ、シートクッション18と同様に、変化する人体のインピーダンスやコンプライアンスにシートバック22のコンプライアンスを適合する構成である。具体的には、着座時に張力の少ない張力構造体を作ろうとした場合、一般に非着座状態ではゆるみが生じ外観がダレてくるが、本設計要領に従うと、非着座状態での外観の張りと、着座状態での小さい張力とを両立することができる。そして、背部用クッション材24に上下方向の張力を付与する引張コイルスプリング74、76を左右方向両端に配置することにより、シートバック22では、体側支持構造を実現している。また、背部用クッション材24に左右方向の張力を付与する引張コイルスプリング78を着座者の腰椎部に対応して配置することにより、腰椎部の沈み込みを防止する構成を実現している。
そして、このシートバック22では、図13(A)に示される如き体圧分布となる。このシートバック22では、図13(B)、図13(C)に示す姿勢維持型、体圧分散型の各車両用シートと比較して、腰椎部を広い範囲で体圧を分散させて支持し、特に腰椎部及び骨盤部を側方から高い圧力で支持していることが判る。すなわち、シートバック22では、腰椎部から骨盤部にかけての体側支持によって着座者の左右方向の移動を抑制することが判る。本車両用シート10は、上記シートクッション18による支持特性と併せて、上記の通り体側支持型シートということができる。
図8は、このときの背部用クッション材24(バックレスト25)の変形状態を模式図にて示したものである。この図において、着座前の背部用クッション材24を想像線にて示している。図8(A)は腰椎に相当する図6の17A−17A断面を示し、図8(B)は胸椎部に相当する図6の17B−17B断面を示し、図8(C)は肩甲骨に相当する図6の17C−17C断面をそれぞれ示している。これらの図から、シートバック22では、背部用クッション材24による腰椎部の支持深さが深く、肩甲骨部においては主にサイドサポート80によって体側支持されるが背部用クッション材24による荷重支持(背部用クッション材24の後方への変位)が少ないことが判る。なお、背部用クッション材24の伸びは、各引張コイルスプリング74、76の変形によって、上下方向で20%以下に抑えられており、シートバック22の左右方向端部の弾性支持部材の変形(各背部用サイドフレーの前端が近接する回転方向の変形、クッション部材80Aの圧縮変形等)によって、左右方向にも20%以下に抑えられ張力の変化代が与えられている。
また、図23には、シートバック22の上下方向における図23(B)に示す各部のコンプライアンスが示されている。この図において、シートバック22の下端から150mmの位置が腰椎下部(骨盤上部)に対応し、同250mmの位置が腰椎部に対応し、同350mmの位置が胸椎部の下部に対応している。また、この図には比較のために従来の代表的なシートの対応する位置にコンプライアンスが示されている。本実施の形態に係る車両用シート10のシートクッション18が、従来のシートと比較して十分に大きなコンプライアンス(小さなばね定数)を実現し、腰部の弾性支持と上部の高剛性部による支持とでコンプライアンスに変化をつけていることが判る。
さらに、図24には、シートバック22の静的な荷重−撓み特性が示されている。図24(A)乃至図24(C)は、寸法の異なる円板を、シートクッション18における上記図23のコンプライアンスの測定位置に対応する位置に、所定の荷重となるまで50mm/minの速度で押し付けた場合の静的な荷重−撓み特性である。図24(A)では円板の直径を200mm、所定の荷重を500Nとしており、図24(B)では円板の直径を98mm、所定の荷重を100Nとしており、図24(C)では円板の直径を30mm、所定の荷重を100Nとしている。これらの図から、シートバック22が連続した特性を有することが判る。図24(A)に示す直径200mmの円板による押し付けでは、背上部(350mm)の剛性が高く、図24(B)に示す直径98mmの円板による押し付けでは、胸部(250mm)の剛性が小さくなり、図24(C)に示す直径30mmの円板による押し付けでは、腰部(150mm)が強く支持されると共に胸部が大きく撓み、背上部がその間の強さで支持されることが判る。これらの特性により、骨突出部の圧力を小さくし、かつ胸部、腰部での押圧面積の違いによる反力差を吸収してばね定数を概略一致させ、人の身体形状に対応した体圧分布をつくる。より具体的には、腸骨の稜や仙骨等の臀部から腰部にかけて存在する骨突出部の圧力を直径30mmの円板による押圧時の特性の如く小さくし、直径200mの円板による押圧に近似される胸部(背上部)と、左右に並べた直径98mmの円板2枚による押圧で近似される(並列ばねの如く、ばね定数2倍で近似)腰部とでばね定数を概略一致させ、人の身体形状に対応した体圧分布をつくり、しかも体格の個人差が吸収されるようになっている。これにより、振動吸収性、姿勢支持性、及び大きな加速度による衝撃力の吸収性をバランスさせている。
また、シートバック22では、人体の凸部に対応する小面積の円板に対してばね定数が小さく(コンプライアンスが大きく)なり、人体の凸部に作用する荷重を軽減できることが判る。さらに、これらの図から引張コイルスプリング78によって面剛性が高くなる腰椎下部に対応する上記150mmの位置でばね定数が最も大きくなることが判る。これにより、シートバック22においても、静的な着座状態に対応する荷重変化のない平衡状態で、人体の凸部(肩甲骨等)が接触する部位に相当する範囲では、その外側の領域よりもばね定数が大幅に小さくなる特性(以下、ばね零特性という)が実現されている。これにより、シートバック22は、呼吸に伴う着座者の状態の体動を吸収する(阻害しない)ようになっている。すなわち、静的着座状態では、背部用クッション材24が体圧(荷重)を殆ど変化することなく着座者上体の体動に追従して変位し、着座者が筋力を使うことなく、また反力変動を感じることなく呼吸を行なうこと可能としている。
以上説明したシートバック22は、シートクッション18と協働して着座者のホールド性及び姿勢維持性を高めつつ、該着座者の姿勢変化を許容するようになっている。
ホールド性は、縦断面で考えると、シートバック22による胸部(胸椎部)・肩部の2点支持、シートバック22及びシートクッション18による骨盤部の2点支持、及び支持圧の高い腰部(腰椎部)の支持深さによって決まる。本車両用シート10では、上記の通りシートバック22の背部用クッション材24(バックレスト25)が着座者の上体を肩部から骨盤部にかけて体側支持すると共にサイドサポート80が着座者の側方への移動を規制し、かつ腰椎部の支持深さが深いため、ホールド性、姿勢維持性が高い構成とされている。特に、ばね零特性による座骨結節下のアンカー効果と、引張コイルスプリング78によるバックレスト25の腰椎部(腰椎3番部)の高い支持圧とによって、着座者の姿勢を安定させることができる。
さらに、図25には、人体の臀部の筋肉のジャークに対するシートバック22の下部(図23(B)の150mmの位置)におけるジャークの比が示されている。この図から、シートバック22のジャーク特性は、シートクッション18と同様に、ジャークが人体の臀部の筋肉のジャークに対しほぼ半分以下であり、該筋肉に対し十分に柔らかい特性であることが判る。そして、同図に一点鎖線にて示すシートクッション18のジャーク特性(図17に示した特性)とシートバック22のジャーク特性とがほぼ同レベルであるため、シートバック22とシートクッション18とによって、臀部を傾けることなく支持すること(臀部保持の同期化)が可能である。このため、後述する姿勢変化が阻害されることもない構成とされている。さらに、シートクッション18の説明で述べたように、シートバック22のジャーク特性を筋肉のジャーク特性と同等の特性と吸うことも可能である。
また、シートクッション18では、骨盤部(座骨結節下)を支持する領域の外側に引張コイルスプリング54の張力による面剛性の高い領域を設けているため、柔らかい特性であるが支持圧の高い座骨結節下周りの領域が加速度や慣性力によって大きく撓むことが防止されるようになっている。一方、シートバック22では、上記の通り引張コイルスプリング78が腰椎部の支持圧を高めつつ後方への移動を規制するため、背部用クッション材24における腰椎部に対応する部分が加速度や慣性力によって大きく撓むことが防止されるようになっている。
さらに、車両用シート10では、上記通りシートクッション18及びシートバック22で支持圧の高い部位の撓みを規制する一方、これらの部位にはさらなる撓み代(撓みの余裕分)が設定されており、撓みに対する復元力が作用するようになっている。すなわち、シートクッション18では、上記外力が作用してもクッション材20が底付きしないようになっており、シートバック22では腕(例えば、運転者の場合はステアリングホイールを把持した腕)の伸展を許容する分が撓み代となる。
これらにより、車両用シート10では、車両との一体感が生じ、上記加速度や慣性力等の外力によって姿勢が崩れることが防止され、姿勢を戻すために筋肉(主に背筋)を使うことに伴う着座者への疲労(後述)蓄積を防止するようになっている。また、シートバック22においては、上記平衡状態におけるばね零特性と撓み代とを設定することにより、背部用クッション材24(バックレスト25)のたたきによる振動を低減し、着座者の頭部に伝わる振動を軽減し、11Hzのα波を生じやすくするようにもなっている。
さらに、シートクッション18では、上記通り弾性堰Sが形成されることによって、慣性力やジャーク、疲労による姿勢変化やペダル操作に伴う骨盤の回転等に起因する着座者の前滑り(尻滑り)が防止されており、姿勢の崩れが防止されるようになっている。そして、車両用シート10では、この堰Sによる前滑り防止構造と、上記体側支持によるホールド性付与構造とによって、姿勢変化が許容される構成とされている。
ここで許容する姿勢変化は、座骨結節点から大腿前部への重心移動、またはその逆の重心移動によって行なわれ、胴体の傾斜角(トルソーアングル)を調整するものである。これにより、弾性堰Sによる前滑り防止状態及び体側支持状態を維持しつつ、骨盤位置をほぼ定位置に保ちながら重心を前後方向に移動することで略円弧軌道の姿勢変化が行なわれる構成である。この姿勢変化の軌道は、疲労の蓄積によって着座者の上体が尻滑りして後傾気味に姿勢を変化させる軌道(後述)にも対応する。また、姿勢変化の過程では、着座者とシートバック22及びシートクッション18との接触面積が大きいことにより、上記体圧分散型の体圧分布と摩擦とによって姿勢の崩れが防止され、姿勢変化後においては、重心位置と堰Sと上体の支持点である体側支持(サイドサポート80)とによって、該変化後の姿勢が筋肉を使うことなく維持される構成とされている。
また、上記のような姿勢維持(拘束)と姿勢変化の許容(自由度)とを両立する車両用シート10は、衝突安全性にも優れる構成とされている。具体的には、上記の通り、シートクッション18における上下(重力)方向の減衰が大きいため、衝突時の着座者のリバウンド(上記跳ね返り)が少ない構成とされている。また、仮にリバウンドしても、左右のサイドフレーム28によって及びシートバック22の左右のサイドサポート80によって左右方向の移動が規制されるため、着座者が車両用シート10から飛ばされることが軽減されるようになっている。さらに、上記の通り背部用フレーム16が弾性構造体とされているため、衝突(後突)時の背部用フレーム16が変形(背部用サイドフレーム64、サポートパイプ70がそれぞれシート内方側に撓む)することで、着座者がシートバック22に押し付けられることに伴う背部用クッション材の張力増大が抑制され、該着座者に大きな減衰が作用する(減衰比が制御される)ようになっている。
以上説明したシートバック22の上方には、ヘッドレスト82が設けられている。図2に示される如く、ヘッドレスト82は、下方に開口した略コ字状のヘッドレストフレーム82Aを備えており、ヘッドレストフレーム82Aの下端は背部用フレーム16の上部フレーム66(橋架部66B)に固着されている。ヘッドレスト82は、ヘッドレストフレーム82Aの上端部における左右方向に長手の部分を覆うように取り付けられたクッション部材82Bを、表皮材82Cが外側から被覆して構成されている。クッション部材82Bは、例えば、ポリウレタンフォーム等で構成されている。表皮材82Cは、一端部が背部用クッション材24の上端における前面側に縫製等によって接続され、中間部がクッション部材82Bに巻きかけられて折り返され、他端部が背部用フレーム16の下端背面側に係止されている。すなわち、表皮材82Cは、シートバック22の背面側表皮材を兼ねて構成されている。
(3次元立体編物の具体例)
次に、クッション材20を構成する下層シート50、上層シート52、(及び背部用クッション材24)として用いられる3次元立体編物110の一例を説明する。
図9に示すように、3次元立体編物110は、互いに離間して配設された一対のグランド編地112、114と、この一対のグランド編地112、114の間を往復して両者を結合する多数の連結糸116によって形成されるパイル部118と、によって構成されている。
一方のグランド編地112は、例えば、図10に示すように、短繊維を撚った糸120から、ウェール方向及びコース方向の何れの方向にも連続したフラットな編地組織によってメッシュを形成したものを用いる。また、他方のグランド編地114は、例えば図11に示すように、短繊維を撚った糸122からハニカム状のメッシュを形成している。また、他方のグランド編地114は、一方のグランド編地112よりも大きな網目としている。なお、グランド編地112、114としては、細め組織やハニカム状に限らず、これ以外のメッシュ状の編地組織を用いたものであっても良い。
図9に示すように、連結糸116は、一方のグランド編地112と他方のグランド編地114が所定の間隔を保持するようにグランド編地112、114の間に編み込まれてパイル部118を形成している。これにより、メッシュニットとなっている3次元立体編物110に所定の剛性を付与するようにしている。
3次元立体編物110は、グランド編地112、114を形成するグランド糸(糸120、122)の太さ等によって、必要な腰の強さを具備させることができるが、グランド糸120、122は、編成作業が困難とならない範囲のものが選択されることが好ましい。また、グランド糸122、122としては、モノフィラメント糸を用いることができるが、風合いや表面感触の柔らかさ等を考慮して、マルチフィラメント糸やスパン糸を用いても良い。
連結糸116としては、モノフィラメント糸を用いることが好ましく、太さは、167デシテックス〜1110デシテックスの範囲のものが好ましい。マルチフィラメント糸では、復元力が良好なクッション性が得られなく、また、太さが167デシテックスを下回ると、3次元立体編物110の腰の強さが低下し、1110デシテックスを上回ると、硬くなり過ぎてしまい、適度のクッション性が得られなくなる。
すなわち、連結糸116として、167デシテックス〜1110デシテックスのモノフィラメント糸を用いることにより、シートに着座した乗員の荷重を、グランド編地112、114を形成する網目の変形と共に、パイル部118を形成する連結糸116の倒れや座屈による変形、また、変形した連結糸116にばね特性を付与する隣接した連結糸の復元力によって支持することができ、柔らかなばね特性を有して応力集中の起きない柔構造とすることができる。
なお、3次元立体編物110に凹凸を形成しても良い。すなわち、グランド編地112、114としては、表面に凹凸が生じるように編んだものであっても良く、凹凸を形成したときには、グランド編地112、114に断面略アーチ状のばね要素を形成できるため、さらに、柔らかなばね特性を付与することができ、筋肉の弾性コンプライアンスと略同等かそれよりも大きな弾性コンプライアンスを有する構造を容易に形成することができる。なお、弾性コンプライアンスは、(撓み量)/(接触する面の平均圧力値)で計算される。
グランド糸120、122及び連結糸116の素材としては、特に限定するものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。これらの素材は、単独で用いても良く、任意の組み合わせで併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。
また、グランド糸120、122及び連結糸116の糸形状も前記した説明に限定するものではなく、丸断面糸や異形断面糸等を用いても良い。
パイル部118を形成する連結糸116の配設の仕方であるパイル部118のパイル組織は、各グランド編地112、114を連結する連結糸116を側面から見た状態で表すと、図12(A)〜図12(E)に示す種類に分類することができる。
図12(A)、図12(B)は、グランド編地112、114の間に、連結糸116をほぼ垂直に編み込んだストレートタイプであり、このうち図12(A)は、8の字状にしてストレートに編んだものであり、図12(B)は、単純なストレートに編んだものである。
また、図12(C)、図12(D)、図12(E)は、グランド編地112、114の間において、連結糸116が中途で交差するように編んだクロスタイプを示している。このうち、図12(C)は、連結糸116を8の字状にクロスさせたものであり、図12(D)は、連結糸116を単純にクロスさせたものである。また、図12(E)は、連結糸116を2本ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させたものである。
なお、図12(C)〜図12(E)に示すように、連結糸116同士を交差させて斜めに配置したときには、連結糸116をグランド編地112、114の間でほぼ垂直に配置した形態(図12(A)、図12(B)参照)に比較して、各連結糸116の座屈強度により十分な復元力を保持しながら、圧縮率の大きな柔らかいばね特性を付与することができるという利点がある。
このような網目構造の3次元立体編物110を用いた下層シート50、上層シート52は、ばね性が小さくなって減衰比が高く、乗員の体型に追従した変形が生じ易く、よりフィットし易くなる。
なお、3次元立体編物110の上記構成は一例であり、下層シート50、上層シート52には、例えば、表面に凸部や凹部、畝等を形成する編目構造等、種々の編目構造を有する3次元立体編物を用いることができる。また、用途や機能に応じて異なる編目構造の3次元立体編物を用いても良い。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成の車両用シート10では、人が着座すると、シートクッション18では主に下層シート50(トーションバー46及び引張コイルスプリング54)が着座者の体重を支持し、上層シート52が着座者の体重の一部を分担支持する。具体的には、着座に伴って上層シート52が主に左右方向に伸びつつ下方に撓み、下層シート50を下方に押圧する。下層シート50は、トーションバー46を捩りつつ可動フレーム34の連結パイプ44を前方に移動させながら下降し、張力の増加を抑えつつ下方に撓む。このとき、左右の引張コイルスプリング54が伸びて着座者の骨盤外側には張力線が形成される。また、下層シート50は、下方へ撓むことでベルト部材56を下方に押圧し、左右の引張コイルスプリング58を引張り、その前部の下方への撓みが規制される。
これらにより、下層シート50は、全体として面剛性が低いが引張コイルスプリング54の張力が作用する左右方向両端部及びベルト部材56との接触部位で他の部分よりも面剛性が高くなる、上記張力場が形成されて着座者の体重を支持する。また、着座者の体重の一部は、下層シート50とは独立して座部用フレーム14に張設されている上層シート52に支持される。
一方、シートバック22では、着座に伴って各引張コイルスプリング74、76、78が後方にお辞儀をする如く折れ曲がると共に着座者の上体から受ける荷重に応じて伸長し、背部用クッション材24が張力を増大させることなく後方に変位する。すなわち、主に各引張コイルスプリング74、76、78が着座者の上体を連続的に支持し、張力による反力を小さくする。
以上により、シートクッション18では、着座に伴って着座者が臀部から大腿部にかけて体圧を分散しつつ体側支持され、また座骨結節前方に堰Sが形成される。また、シートバック22では、着座に伴って、着座者の上体が背部用クッション材24によって体圧を分散しつつ体側支持されると共に、腰椎部を引張コイルスプリング78の張力による高い支持圧で支持される。また、左右のサイドサポート80が着座者の臀部から肩部にかけて側方移動を規制する。
ところで、シートへの長時間着座によって着座者には末梢性の疲労(以下、単に疲労という)が蓄積する。疲労の進行度合いを疲労度とすると、図26に示される如く、疲労度は、静的には時間の経過に伴ってほぼ直線的に増大するものと考えられる。一方、図26にF1、F2で示す外的刺激による疲労信号が入力されると、疲労度は急激に増大するものと考えられる。そして、疲労の原因となる痛みや外的刺激は、皮膚血流を減少させることから、指尖容積脈波の波形から疲労度を算出することが可能である。ここで、人が疲労を感じるタイムスケールが分単位であるのに対し、指尖容積脈波の周期が秒単位であることから、指尖容積脈波と疲労のタイムスケールを一致させるために、指尖容積脈波の大域的変化(低周波成分の変化)から疲労度を算出する。具体的には、指尖容積脈波の振幅の二乗値の傾きを絶対値処理した時系列信号の所定時間(本実施の形態では18秒間)の積分値から疲労度を算出し、各時間毎の疲労度の頂点を結んで疲労曲線を得ることとした。この疲労曲線は、官能評価による筋疲労曲線とほぼ一致することが確かめられており、かつシートの性能差や着座者の個人差による影響が30分間の実験で差異として現れることが確かめられている。
図27に実線にて示す疲労曲線は、静置した車両用シート10に30分間着座した場合の疲労度の時間変化を示している。破線にて示す疲労曲線は、従来の車両用シート(ウレタンシート)に30分間着座した場合の同一の被験者による疲労度の時間変化を、比較のために示すものである。この図から判るように、静的な疲労については、30分間程度の着座では本車両用シート10と従来のシートとの間に大きな差は生じない。
一方、図28に実線にて示す疲労曲線は、加振台上に固定されランダム励振された車両用シート10に30分間着座した場合の動的疲労度の時間変化を示している。破線、一点鎖線にて示す疲労曲線は、それぞれ従来の車両用シート(ウレタンシート)に30分間着座した場合の同一の被験者による動的疲労度の時間変化を、比較のために示すものである。なお、破線は、上記図27で破線で静的疲労曲線を示したシートと同じシートの動的疲労曲線である。また、上記ランダム励振の波形は、各シートとも同じである。この図から判るように、車両用シート10では、従来の車両用シートと比較して、30分経過時点の疲労度が著しく低い。また、従来の2つの車両用シートでは、それぞれ7分、11分、18分、21分、28分頃に入力された疲労信号(衝撃性振動の入力)に敏感に反応して疲労度を急激な急激に増大させているのに対し、本車両用シート10では、上記各時間において疲労度の増大が認められないことが判る。
そして、図27と図28とを重ね合わせた図29に示される如く、車両用シート10では、動的着座状態での疲労曲線が静的着座状態での疲労曲線にほぼ一致する。すなわち、ランダム励振による外的刺激は、車両用シート10に吸収され、着座者に皮膚血流を変化させる(指尖容積脈波を変化させる)疲労要因としては伝達されていないことが判る。
以下、このような効果を奏する車両用シート10の作用を説明する。
車両用シート10において、シートクッション18では、引張コイルスプリング54の張力による臀部及び大腿部の体側支持と、ベルト部材56及び引張コイルスプリング58にて形成される弾性堰Sとによって、着座者の左右、前後の移動が規制される。一方、シートバック22では、背部用クッション材24による体側支持(及びサイドサポート80による支持)と、腰椎部に対応して設けられた引張コイルスプリング78による腰椎部の高い支持圧とによって、着座者が胸椎部から骨盤にかけてほぼ直線形状を維持しつつ左右の移動を規制される。これにより、着座者は、筋力(主に背筋力)をあまり使わずに着座姿勢を維持することができる。すなわち、車両用シート10の姿勢維持性能によって長時間着座に伴う筋疲労が低減される。なお、図13(B)に示す体圧分布を与える体圧分散型のシートでは、この姿勢維持性が低いために、姿勢維持のために着座者に筋力を使用させており、疲労軽減効果が小さかった。
また、シートクッション18では、上記の通りばね零特性が実現され、かつ着座者の仙骨の矢印X、Y方向の動きに追従するため、着座者の呼吸に伴う仙骨の動きを規制することが著しく抑制されている。ここで、仮に仙骨の動きがシートによって規制されると、腰椎第5番、腰椎第3番の動きが悪くなり、椎間板の呼吸が抑えられる。すると、体内では老廃物の搬出や栄養の供給が抑えられてすぐに疲れが生じる。さらに、腰椎第3番部、腰椎第5番部の椎間板の弾力が失われ、筋肉が緊張して痛みが生じる。本シートクッション18では、弾性堰Sとばね零特性によるアンカー効果とによって着座者の前滑り(姿勢変化)を規制しつつ、上記の通り呼吸に伴う仙骨の動きを規制しない(呼吸に伴う人体のゆらぎを許容する)ため、長時間着座に伴う疲労が軽減される。
また、車両用シート10では、着座者を含む振動系の共振周波数が略3.5Hzであるため、換言すれば、共振周波数が低いため、出力振幅が入力振幅に対し大きく増幅される(例えば、ハーフパワー点の)周波数帯域が狭い。このため、この周波数帯域に実際の振動数が一致する確率が低く、また変化する振動数がこの周波数帯域を速やかに通過し、着座者に対し振動の加速度に基づくストレスに影響を与えることが抑制される。
さらに、車両用シート10では、着座者の脊柱の共振周波数帯域(5Hz前後)の振動伝達率が略1となるため、実際の振動数が5Hz前後であるときに、着座者の脊柱すなわち視線がシートクッション18の動きに一致する。そして、脊柱の弾性支持により、椎間板に圧力変化が生じ、着座者体内の老廃物が搬出され栄養分が供給される。そこで、椎間板が十分な弾性を持つことにより、椎間板がへたりにくい状態となる。そのため、椎間板の段瀬により着座者に与えるストレスが軽減される。より具体的には、上記の通り振動伝達率が略1になると共に、上記座骨結節下(直径30mmの範囲)で特に著しいばね零特性によって、着座者の体重が集中する座骨結節下では、質量が大きくばね定数が小さい振動系すなわち減衰比が極めて大きい振動系が構成されるため、座骨結節下から脊柱、頭部へと伝達される振動入力時に、車両用シート10(シートクッション18)と着座者との位相差が小さく抑えられる。しかも、車両用シート10は高い振動吸収性を有する。そして、脊柱自体も柔軟性をもっている。したがって、振動入力による圧力変動が小さくなるため、着座者の姿勢変化が生じず、車両用シート10と着座者とが一体的に動くこととなり、上記の通り着座者の脊柱すなわち視線がシートクッション18の動きに一致し、着座者に与えるストレスが軽減される。
さらにまた、車両用シート10では、10Hzの振動を、振幅を入力振幅の半分以下に減衰して伝達するため、着座者に不快感を与えることなく該着座者の脳に10Hzから12Hzのα波を発生させることができる。すなわち、車両用シート10では、外部振動入力を利用してα波をパッシブに引き出すことができる。これにより、着座者に落ち着き感を与えて質の高い覚醒状態を作り、疲労の原因となるストレスが軽減される。特に、上記ばね零特性によって、座骨結節下から入力され頭部に伝達される振動が大きく減衰されることも、該振動の入力によって着座者に快適感のみを効果的に感得させることに寄与する。
また、車両用シート10では、ばね零特性によって、振動入力時の体圧変化を効果的に抑制することができる。図30(A)は、着座状態で共振周波数帯域の振動を入力した場合の、シートクッション18の体圧分布を示し、図30(B)は、従来のウレタンシートにおいて着座状態で共振周波数帯域の振動を入力した場合のシートクッションの体圧分布を示している。これらの図から、座骨結節下の領域でばね零特性を実現しているシートクッション18では、座骨結節下の体圧が著しく低い。すなわち、静的着座状態に対し体圧変化が小さい。図31は、図30の実験に用いた各シートの加振周波数毎(周波数を上昇が和に変化させた場合)の最大体圧を示す線図である。この図から、シートクッション18では、共振周波数前後の広い範囲で、体圧低減効果が得られることが判る。さらに、図32は、ランダム波形を入力した場合の体圧変動を示している。図32(A)に示す実線は、図32(B)に示す波形を入力した場合の、図32(C)に示す座骨結節下Zにおける体圧変動比(静的状態に対する体圧変化率)を示している。図32(A)の一点鎖線は、比較のために示す同条件での従来のシートの体圧変動比である。この図から、ばね零特性を有するシートクッション18では、ランダム波形に対して著しい体圧変動抑制効果が得られることが判る。このように、シートクッション18では、振動入力時に、単に振動(変位)伝達率が低減されるのみならず、体圧変動、特に座骨結節下廻りの体圧変動が抑えられるため、着座者にストレスを与えることが防止されて疲労の軽減が図られる。また、体圧上昇による血管への圧迫が抑制され、これによっても疲労の軽減が図られる。
図18(B)は、車両用シート10、及び従来の車両用シートの振動伝達率をそれぞれ示す線図である。この図に示される如く、共振周波数が略3.5Hzである車両用シート10に対し、従来の各シートは着座者を含む振動系の共振周波数が4Hz以上である。このため、従来の各シートでは、5Hz前後の周波数帯域で振動伝達率が1よりも大きいか、または10Hzでは振動伝達率が0.5よりも大きい。すなわち、従来のシートでは、共振周波数が高いため、5Hz前後の脊柱の共振周波数帯域における振動伝達率が1で、かつ10Hzで振動伝達率を0.5以下とすることを、負荷質量依存性を抑えつつ両立する振動特性を与えるものは存在しなかった。なお、この図に示す従来のシート1の92kgでは、共振周波数が4Hzよりも小さいが、これは共振周波数の質量依存性によるものである。
そして、シートクッション18では、着座状態でのシートクッション特性のインピーダンスやコンプライアンスが着座者の筋肉のインピーダンスやコンプライアンスにマッチングしているため、着座者は、上記の如く振動が伝達されても、支持圧や拘束力の変動、及びこれらに基づく痛みや不快感等のストレスが一層軽減される。特に、シートクッション18のジャーク特性が着座者の筋肉のジャーク特性に対し柔らかい特性であるため、振動入力時の荷重や支持圧の変動が吸収され、着座者の特定の部位に痛みを生じさせることが防止される。なお、図13(A)に示す体圧分布を与える姿勢維持型のシートでは、姿勢維持のために剛性が高く、長時間着座によって筋肉を潰してしまい、長時間着座に伴う疲労を軽減することができなかった。
さらにまた、車両用シート10では、上記コンプライアンスマッチングを図る構成によって、すなわち、着座に伴ってトーションバー46が捩れて下層シート50の張力を減じる構成によって、着座者の下方への移動に対する減衰が大きいため、衝撃性振動等の大入力を確実に吸収することができる。また、このような大入力が作用すると、上層シート52のばね力がトーションバー46のばね力に付加されて復元力が作用するため、衝撃吸収後には、着座者が筋力を使うことなく速やかに初期の着座姿勢に復帰する。しかも、復元(上向き)側の減衰比ζuが下向きの減衰比ζdよりも大きいため、該復元時に着座者がシートクッション18から跳ね上がってしまうこと(オーバーシュート)が防止される。また、上下の減衰比ζuとζdとに差があるため、上記跳ね上がりを抑えるために減衰比ζdまで大きくする構成と比較して、上下方向の全体の減衰比を大きくして上記ハーフパワー点の周波数帯域を広げてしまうことが防止されている。
なお、上記した図20(A)には、車両用シート10の他に、従来の各種シート(クッション材の後端が弾性部材を介して座部用フレームに接続されることのないシート)の上下方向の各減衰比が示されている。この図に示される如く、ζuがζdよりも大きなシートは従来から存在するが、これらはζuとζdとの差が小さいか、またはζdが0.2以下と小さいものであること(すなわち、ばね定数が大きくなり共振周波数が高いこと)が判る。したがって、後者のシートは、図22(B)に示す如きリサージュ曲線を示す、減衰容量の小さいシートとなる。一方、車両用シート10は、小さいばね定数にも拘わらず高い減衰能を示す。また、図20(B)は、車両用シート10及び上記各種シートにおける、共振周波数と下向き減衰比ζd(対数軸としている)との関係を示す線図である。この図から、共振周波数すなわちシートクッション18における着座者を含む振動系のばね定数を下げると減率ζdも下がってしまう各種シート群と、共振周波数に依存せず所定の減衰比ζdを得るシート群とがあることが判る。車両用シート10は後者であるが、従来の各種シートと比較して共振周波数が低く設定されることがこの図からも判る。
すなわち、従来のクッション材と座部用フレームとの間に弾性部材を備えないシートでは、共振周波数を下げると復元力が不足してしまうために減衰比を小さくするか、減衰比を確保するために共振周波数を高く設定するか必要があったが、本車両用シート10では、下層シート50の後端と座部用フレーム14の後端との間に、着座に伴い下層シート50の後端(連結パイプ)を前方に移動させながら下降させて該下層シート50の張力増大を防止する弾性部材を設けることで、上記好ましい振動特性を実現している。特に、座部用フレーム14に回動自在に支持された可動フレーム34(アーム部材42)を設けることで、弾性部材としてトーションバー46を用いることができ、連結パイプ44を介して下層シート50に2次元(面状)張力を作用させることが実現されている。以上により、上記各機能(効果)を果たしつつ、薄型である車両シート10が実現される。
また特に、この弾性部材を3次元立体編物であり着座者の体圧分散に寄与する下層シート50及び上層シート52と組み合わせることにより、着座者の筋肉とのコンプライアンスマッチング、体側支持、弾性堰Sの形成、筋肉特性の実現が果たされ、着座者の血流阻害や痛み等も確実に防止している。また、座部用フレーム14に張設された上層シート52が着座前に下層シート50を押圧して該下層シート50の張力を減じるため、特に下向きの減衰力を増大することに寄与する。しかも、車両用シート10では、シートクッション18の張力場及びシートバック22の引張コイルスプリング78による張力が着座者の体格差を吸収し、かつ共振周波数の質量依存性が極めて小さいため、体重の異なる人が着座しても、上記したように疲労の原因となるストレスを低減することができる。
さらに、シートバック22では、金属ばねである引張コイルスプリング74、76によって背部用クッション材24による体側支持を実現しているため、換言すれば、サイドサポート80による支持圧の高い剛構造の体側支持ではなく、背部用クッション材24の張力増加を伴わない3次元形状への変形による柔構造による体側支持が実現されるため、拘束によるストレスを低減しつつ姿勢維持性を確保することができる。特に、背部用クッション材24における腰椎部に対応する部位に左右方向の張力を作用させる引張コイルスプリング78を設けたため、腰椎部の支持圧が高くなり、姿勢維持性が向上する。また、背部用クッション材24と背部用フレーム16とを連結する弾性部材が、低荷重に対しては折れ曲がる引張コイルスプリング74、76、78であるため、着座者の体格に応じた支持圧が実現されている。さらに、背部用フレーム16の弾性により、背部用クッション材24の張力が荷重に応じて変化するためにばね定数及び減衰比(特に減衰比)が制御され、これらの効果が促進される。特に、衝突時等に大きな加速度(衝撃荷重)が入力された場合には、サポートパイプ70、背部用サイドフレーム64の各前端のシート内方側への変形により背部用クッション材24の張力が低減されて減衰比(減衰力)が増大し、大入力を効果的に吸収することができる。より大きな衝撃荷重が作用すると、上端が上部フレーム66に固定されると共に下端が支持ブラケット72を介し背部用サイドフレーム64に弱く支持されたポートパイプ70は、さらに背部用クッション24の張力を減じる方向に塑性変形して該衝撃力を効果的に吸収する。
またここで、図26に二点鎖線にて示される如く、着座者の姿勢変化、すなわち、着座者の自然な体動によるゆらぎによって疲労がリセットされる。すなわち、ゆらぎによって使う筋肉(の部位)を変更したり、姿勢を維持することに伴う心的ストレスが解消されたり、10Hzから12Hzのα波による精神的な高揚により疲労が軽減される。
そして、車両用シート10では、上記シートクッション18、シートバック22(サイドサポート80)による体側支持、及び堰Sによる前後方向の移動規制状態を維持しつつ、着座者の重心移動による姿勢変化を許容するため、着座者がステアリングホイールやペダルの操作または車両走行時に発生する振動エネルギを利用して無意識に行なう姿勢変化によって、疲労の蓄積が防止される。また、この姿勢変化によって着座者は筋力を使うが、該姿勢変化の過程ではシートクッション18による体圧分散(張力場)と着座者との摩擦によって基本的な姿勢は維持されるため、重心位置を変更する以外の大きな筋力を必要としない。これにより、筋力の使用が疲労を軽減する方向の刺激として作用する。さらに、姿勢変更後においては、重心と、弾性堰Sと、上記体側支持とによって、該変更後の姿勢を、変更前と同様に、筋力をあまり使うことなく維持することができる。なお、図13(A)に示す体圧分布を与える姿勢維持型のシートでは、姿勢変化を許容しないために長時間着座状態の着座者にストレスを伴う拘束感を与え、疲労軽減効果が小さかった。
さらに、車両用シート10では、上記の通り非着座状態でバックレスト25が略平坦とされるため、疲労の蓄積に伴う姿勢変化が一層容易である。具体的には、図33に示される如く、着座者の脊柱のラインは、非着座状態のバックレスト25のラインに対し、交差するように位置する。そして、疲労の少ない状態では、着座者の背部から臀部にかけてのラインは、二点鎖線にて示す如くなる。一方、疲労が蓄積して着座者の上体が後傾(尻滑り)すると、座骨結節下の位置が前方に移動し、着座者の背部から臀部にかけてのラインは破線にて示される如くなる。疲労の少ない状態では、疲労時の尻滑り状態と比較して、腰椎部の支持圧が比較的高く、背部の支持圧が比較的低い。このため、尻滑りしつつ後傾することに伴う臀部(座骨結節)の前方への移動が容易であり、着座者は、バックレスト25を押圧するための筋力をもあまり使うことなく、疲労度に応じた上体の尻滑り動作が許容される。
また、シートバック22では、着座に伴って張力を殆ど増大することなく、背部用クッション材24(バックレスト25)の形状を着座者の上体に対応した3次元形状に変化させるため、換言すれば、シートバック22において平衡状態でのばね零特性が実現されているため、例えば、呼吸等に伴う着座者の体動が背部用クッション材24の変形によって許容(吸収)される。したがって、着座者への負荷が軽減して座り心地が向上し、また長時間着座した場合のストレスも軽減される。
さらにここで、疲労は、上記の通り痛みや外的刺激等のストレスが皮膚血流を減少させて生じるものであるから、積極的に皮膚血流を促進させて疲労を軽減することが考えられる。外力により発生するランダム振動の大域的変化の特性を皮膚血流のリズム(生体リズム)振動の特性に一致させることで、換言すれば、車両に入力する振動を非線形振動である生体リズム振動に外力として与えて、引き込み現象を生じさせることができる。引き込み現象を生じると、リズム振動の周期は外力振動の周期に一致し、特に非線形振動であるあるリズム振動は位相も外力の位相に一致して共振する。これにより、振動入力を利用して積極的に生体リズム振動を生じさせて皮膚血流を促進させ、生体のゆらぎによって緊張状態やリラックス状態を作り、疲労を軽減することができる。そして、本車両用シート10では、シートクッション18の筋肉の特性に近似した荷重−撓み特性荷重(1/fゆらぎ特性)と、5Hz前後での振動伝達率が略1で10Hzでの振動伝達率が0.5である振動特性と、コンプライアンスがフラットである特性(ばね零特性)とによって、生体リズムを積極的に生じさせて疲労を軽減する構成を実現している。すなわち、上記の通り振動伝達率を略1にすると共に位相差を小さくする車両用シート10では、着座者に対し相対変位を最小とする(着座者がシートの動きに追従する)ように伝達する振動によって、該着座者の生理機能を変化させるという生物の生理にとって重要な性質を出現させることができる。
また、車両用シート10では、クッション材20と、トーションバー46を含む可動フレーム34と、引張コイルスプリング54と、ベルト部材56及び各引張コイルスプリング58とで上記張力場を生成するため、これら各部品の特性や接続位置、配置、設置数等の設定(の変更)によって、ヒップポイントや座角、意匠形状、想定される着座者の体型等に応じた所望の剛性面配置を容易に得ることができる。このため、上記構成の車両用シート10では、従来のシートと比較して(車両用シート10の特性を実現すること自体が困難であるが)、シート開発コストが大幅に低減する。すなわち、ウレタンシートでは、ウレタンの形状や異なる特性のウレタンの組み合わせによって剛性面配置を設定するため、要求される剛性面配置を得るためにウレタン型を変更して面剛性配置(特性)を検討(実験)する必要があったが、車両用シート10では、上記の通り該連結部材の特性や接続位置、配置、設置数等の設定によって所望の剛性面配置を容易に得ることができる。また、トーションバー46は、他の金属ばねと比較して、省スペース化を図ることができる。
以上まとめると、車両用シート10では、静的着座状態においては、シートクッション18及びシートバック22がそれぞれ着座者の呼吸による定周波ゆらぎを吸収する、すなわち、着座者の呼吸に伴うゆらぎを阻害しないため、長時間着座による疲労の蓄積が抑制される。また、車両シート10では、体側支持構造及び筋肉に近似した特性により、着座者の姿勢を該着座者に筋力を遣わせることなく維持しつつ、着座者の筋肉を潰して疲労をストレスを増大させることが防止され、かつ疲労抑制のたの姿勢変化を許容するため、疲労の蓄積が抑制される。これにより、車両用シート10に静的に着座した着座者は、ほぼ安静代謝状態となる。
一方、動的着座状態においては、通常着座者の体内で活動代謝が行なわれると共に疲労により代謝が促進されるが、車両用シート10では、上記の通り外部振動入力により着座者に伝達される振動(振幅、体圧変化)が軽減され、かつこの外部振動入力を利用して着座者の脳に落ち着いた覚醒状態に発生する10Hzから12Hzのα波を発生させるため、活動代謝自体の変化が安定した生体リズムに抑えられる。さらに、外部振動入力を利用して着座者の皮膚血流(生体リズム)が促進されるため、着座者の代謝を一層安定させる。これらにより、車両用シート10では、上記の如く着座者の動的疲労度が静的疲労度に一致する(図29参照)。
そして、車両用シート10を実車の運転席に搭載して行なった複数の被験者による官能評価において、各被験者から、呼吸が楽である、眠気が解消される、姿勢変化を行ない易いという評価が得られた。より具体的には、呼吸について、安定して着座しているのに拘わらず圧迫感なく呼吸を楽に行なうことができ、しかも呼吸に伴う体動が吸収されて視線の動きがなくなるとの評価を得た。これは、シートクッション18、シートバック22のそれぞれのばね零特性によるものである。また、眠気の解消について、特に運転前に眠気を覚えていた被験者において、興奮状態に陥ることなく運転開始直後から眠気が解消され、かつ運転期間中(約120分間)に亘り落ち着いた覚醒状態が持続したとの評価を得た。これは、車体フロアを介して伝達される振動により、10Hzから12Hzのα波が引き出されたことによる効果であると考えられる。さらに、姿勢変化について、安定した着座状態を維持しつつ臀部及び腰部を容易に意図した方向に移動することができたとの評価を得た。特に、姿勢変化をサポートする方向の力が車両用シート10から付与される感覚を得たとの評価を得た。これは、弾性堰Sとシートクッション18、シートバック22による体側支持とに加え、非着座状態で略平坦に張設された背部用クッション材24の姿勢変化に伴う支持圧変化(例えば、腰部が背部用クッション材24を押圧すると、該背部用クッション材24によって背上部が押圧されること)による効果である考えられる。また、車体フロアを介して伝達される振動によるクッション材20(トーションバー46)、背部用クッション材24の動きも、着座者の姿勢変化をサポートすることに寄与すると考えられる。そして、以上の官能評価では、総合的に、運転に伴う疲労が少ないとの各被験者からの評価、すなわち図29に示す疲労曲線に概ね一致する評価が得られた。
さらに、車両用シート10では、衝突時においては、弾性構造体である静部用フレーム16の変形によって減衰比を制御することで、着座者に作用する荷重を十分に軽減しつつ(時間をかけて)衝撃力を吸収することができる。
次に、車両用シート10の変形例を説明する。なお、上記実施の形態または前出の構成と基本的に同一の部品・部分については上記実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図35乃至図37には、ベルト部材56及び引張コイルスプリング58に代えて、第1変形例に係る「シート状部材」としての復元力を有する弾性ベルト部材90を備えた車両用シート10が示されている。これらの図に示される如く、ベルト部材90は、左右方向に長手の略矩形状に形成されており、長手方向の両端部がそれぞれサイドフレーム28の内面に固定された係止棒92に係止されている。本第1変形例では、ベルト部材90は、縫製等によって2層構造とされており、長手方向両端部に形成された環状部90A(図37参照)に係止棒92を入り込ませることで、該係止棒92に係止されている。このベルト部材90は、上記実施の形態におけるベルト部材56よりも若干後方(中間部の前端近傍)に配置されている。また、係止棒92、すなわちベルト部材90のサイドフレーム28への係止高さは、サイドフレーム28の上下方向における略中間部とされている。
また、下層シート50の略前半部における左右方向中央部の下面には、縦ベルト部材94が縫製等によって固定されている。縦ベルト部材94は、平面視で前後方向に長手の略矩形状に形成されており、前端部が下層シート50の前端近傍に位置すると共に後端部が下層シート50の前後方向略中間部に位置している。この縦ベルト部材94は、後端部で折り返された2層構造とされており、その前半部は上下層が縫製等にって固定されている。そして、縦ベルト部材94の後半部には、ベルト部材90が挿通されている。すなわち、ベルト部材90と縦ベルト部材94とは、下層シート50の前部に略T字状に配設されている。
以上説明したベルト部材90は、非着座状態では、縦ベルト部材94に挿通された中間部が係止棒92に係止された長手方向端部よりも高位であり、かつ張力が殆ど作用しないようになっている。
本第1変形例に係るベルト部材90、縦ベルト部材94を備えた車両用シート10では、着座に伴って下層シート50が下方に撓むと、初期にはベルト部材90が弛み、下層シート50の撓みが大きくなるとベルト部材90は張力によって下層シート50の前部の下方への撓みを規制する。この状態では、図37(の左半分)に示す如く、下層シート50における縦ベルト部材94の左右方向外側部分が主に大腿部Gを支持する。すなわち、下層シート50前部における縦ベルト部材94が取り付けられて面剛性が比較的高い左右方向中央部の変形が規制された状態で、ベルト部材90が下層シート50の下方への撓みを規制するため、着座者の大腿部Gの過度の沈み込みを防止つつ、該大腿部Gの内外側方からの体側支持を実現している。これにより、着座者の左右方向の移動が一層効果的に規制されて、姿勢維持性が向上する。
また、本第1変形例では、ベルト部材90及び縦ベルト部材94が着座に伴って下層シート50前部の面剛性を高めることで、着座者の座骨結節下の位置の前方に弾性堰Sを形成することは、上記実施の形態と同様である。
また、本第1変形例では、シートバック22の背部用クッション材24の背部用フレーム16による支持構造が、上記実施の形態とは異なる。具体的には、本第1変形例では、左右の背部用サイドフレーム64は、リクライニング機構26に取り付けられた下部部材64C(上記実施の形態では説明省略)との間にゴム等の弾性材より成るブッシュ91(または金属性のさらばねでも良い)が設けられれており、図35及び図39(A)に示す矢印F方向に回転変位しやすい構成とされている。すなわち、各背部用サイドフレーム64は、ブッシュ91を変形させつつ、前部をシート内方側に、後部をシート外方側に回動するように変位可能とされている。
さらに、本第1変形例では、各サポートパイプ70の下端近傍部分が、支持ブラケット72に代えて、支持ブラケット95を介して背部用サイドフレーム64に接続されている。支持ブラケット95は、背部用サイドフレーム64に固定された第1ブラケット95Aと、サポートパイプ70に固定された第2ブラケット95Bとがボルトナット等の締結手段にて接続されており、第1部ラケット95Aまたは第2部ラケット95Bのボルト孔が前後方向に長手の長孔とされている。これにより、各サポートパイプ70は、背部用サイドフレーム64に対し矢印E方向の弾性変形がしやすい構成とされている。さらに、図39(A)示す如く、各背部用サイドフレーム64には、それぞれ板ばね97が取り付けられており、各板ばね97は支持ブラケット95すなわちサポートパイプ70をシート内方側に変形する方向に付勢している。
そして、背部用クッション材24は、その上端部における左右両側部分がサポートパイプ70の屈曲部に対応して形成されたフック部24Bによって、それぞれサポートパイプ70の上端部に係止されている。すなわち、本第1変形例では、上端固定の片持ち構造である左右のサポートパイプ70が第1弾性部材に相当する。背部用クッション材24の上端における左右方向中間部は、ヘッドレストフレーム82Aに巻き掛けられて上部フレーム66の橋架部66Bに一端部が係止された引き布96の他端部に接続されている。背部用クッション材24の下端部は、その左右両側部が上記実施形態と同様に引張コイルスプリング76を介して座部用フレーム14の後端に連結されると共に、左右方向中央部が上層シート52の後端部に縫製等によって連結されている。
また、背部用クッション材24は、サポートパイプ70に係止された上端(着座者の肩部に沿うとする部分)を除き、図39(A)にも示される如く、左右両端部がフック部24Aを介して背部用サイドフレーム64の前フランジ部64Aに係止されている。そして、背部用クッション材24の左右両側部における着座者の腰椎部に対応する位置では、その前面に縫製等によって接続された引き布98を介して引張コイルスプリング78の一端部が連結されている。引張コイルスプリング78の他端部は、サポートパイプ70に係止されている。また、本第1変形例では、引張コイルスプリング78が左右各3つ設けられている。この引き布98及び引張コイルスプリング78を比較的厚手とされた表皮材80Bが覆うことで、クッション部材80Aを設けることなくサイドサポート80が形成されている。表皮材80Bは、フック部24Bをも覆うようになっている。
以上により、第1変形例に係るシートバック22では、背部用フレーム16(特に、サポートパイプ79、背部用サイドフレーム64)が弾性構造体とされている。このシートバック22では、非着座状態で背部用クッション材24が左右の背部用サイドフレーム64の略前端間に位置し、この背部用クッション材24の前方にサイドサポート80が形成されている。なお、背部用クッション材24は、その上部では、引き布96が左右方向中央部をサイドサポート80よりも後方に位置させ、引張コイルスプリング78が設けられた部分では、引き布98のシート内方側端部と後フランジ部64Bとの間に設けられたワイヤ99の張力によって左右方向中央部をサイドサポート80よりも後方に位置させている。これにより、左右のサイドサポート80間には、非着座上体で略平坦となるバックレスト25が形成されている。
また、シートバック22では、サポートパイプ70が板ばね97によってシート内方側に付勢されているため、引張コイルスプリング78の伸長が抑えられ、背部用クッション材24の張力が低減されるようになっている。すなわち、背部用クッション材24は、着座に伴って、張力の増大が抑制されつつ後方に撓むようになっている。これらにより、引張コイルスプリング76とサポートパイプ70の上端部とで左右両側部に上下方向の張力が作用する背部用クッション材24は、上記実施形態と同様の体側支持構造、ばね零特性が実現されると共に、随時変化する筋肉とのインピーダンスやコンプライアンスのマッチングが適時図られている。
そして、各背部用サイドフレーム64が矢印F方向に容易に(低荷重で)変位可能であるため、着座者の呼吸に伴う体動(体圧変化)が、各背部用サイドフレーム64の矢印F方向に変位による背部用クッション材24の張力を調整することで(ばね零特性により)吸収される。すなわち、本第1変形例では、ブッシュ91を設けることにより、上記実施の形態よりも平衡状態におけるばね定数が0に近い構成とされている。これにより、着座者は、図38及び図39(A)に示す静的な着座状態では、殆ど筋力を使うことなく呼吸を行なうことができ、疲労が軽減される。また、旋回Gが高くなるような運転状態では、背部用サイドフレーム64に直に取り付けられたフック部24Aの係止部位で力を受け、車両の操縦を安定して行なうことができる。
また、このシートバック22では、背部用サイドフレーム64よりも低剛性であるサポートパイプ70に引張コイルスプリング78が係止されているため、換言すれば、背部用クッション材24に作用する前後方向の荷重が引張コイルスプリング78から直接的に左右のサポートパイプ70に作用しこれらが互いに近接するように矢印D方向に変形し易いため、背部用クッション材24の張力増大が抑制され、より効果的な減衰比の制御が可能となる。このため、例えば、図38及び図39(B)に示す衝突状態では、左右のサポートパイプ70(支持ブラケット95)がシート内方側に変形すると共に各引張コイルスプリング78が伸長し、背部用クッション材24は張力の増大が抑えられつつ後方へ撓み、大きな減衰によって効果的に衝撃を吸収することができる。このとき、左右の背部用サイドフレーム64は、矢印F方向に変位しつつ、上記実施の形態と同様に矢印B方向に沿ってシート内方側に弾性変形し、上記減衰比の制御に寄与する。
以上説明した本第1変形例では、上記の他の構成、作用効果は上記実施の形態と全く同様である。
図40乃至図44には、ベルト部材56及び引張コイルスプリング58に代えて、第1変形例に係る「シート状部材」としてのベルト部材100を備えた車両用シート10が示されている。これらの図に示される如く、ベルト部材100は、左右方向に長手の略矩形状に形成されており、長手方向の両端部がそれぞれ上層シート52の対応する左右方向端部に縫製等によって固定されている。すなわち、ベルト部材100は、下層シート50の下側に配置され、該下層シート50の左右方向外側に突出した長手方向端部が上層シート52に固定されている。また、ベルト部材100は、上記ベルト部材56、92と比較して前後方向の幅が大とされており、前端がサイドフレーム28の前部の後部近傍に位置すると共に、後端が下層シート50の前後方向中間部より後方に位置している。
以上説明したベルト部材100は、非着座状態では、前端が下層シート50の下面に接触するか極近接して位置しており、後端が下層シート50の下面から下方に離間して位置している(図41参照)。したがって、この状態では、ベルト部材100には張力が作用しない構成とされている。
本第2変形例に係るベルト部材100を備えた車両用シート10では、着座に伴って下層シート50が上層シート52と共に下方に撓むと、図44(の左半分)に示す如く上層シート52における左右方向両端部は殆ど変位しないことから、ベルト部材100は、下層シート50に押圧されて張力が作用する。この張力の反力によって、ベルト部材100は張力によって下層シート50の前部の下方への撓みを規制する。この状態では、下層シート50における縦ベルト部材94の左右方向外側部分が主に大腿部Gを支持する。これにより、着座者の大腿部Gの過度の沈み込みを防止つつ、該大腿部Gの上記体側支持を実現している。このため、着座者の左右方向の移動が一層効果的に規制されて、姿勢維持性が向上する。
また、本第2変形例では、ベルト部材100が着座に伴って下層シート50前部の面剛性を高めることで、着座者の座骨結節下の位置の前方に堰Sを形成することは、上記実施の形態と同様である。さらに、本第2変形例では、上記の他の構成は上記実施の形態と全く同様であり、上記実施の形態と同様の効果が得られる。なお、図40、36、図43では、引張コイルスプリング78の図示を省略している。
なお、上記実施の形態及び各変形例では、共振周波数を略3.5Hzとする振動伝達特性と、上下の減衰比ζd、ζuを異ならせる減衰特性とを両立する好ましい構成を示したが、本発明はこれに限定されず、これらの少なくとも一方を実現する構成であれば良い。
また、上記実施の形態及び各変形例では、下層シート50の後端側を着座に伴って前方に移動させながら下降させる弾性部材として、可動フレーム34を介して下層シート50の後端に連結されたトーションバー46を備えた好ましい構成を示したが、本発明はこれに限定されず、他の弾性部材を用いることも可能である。したがって、例えば、連結パイプ44に、座部用フレーム14に一端部が係止された引張コイルスプリングの他端部を刑しても良く、アーム部材42と座部用フレーム14(支持ブラケット36)との間に捩りコイルばね設けた構成としても良い。また、下層シート50の後端側を前方に移動させながら下降させるガイド手段が支軸38周りに回動する可動フレーム34に限定されることはなく、例えば、単に下層シート50の後端側を直線状に移動させるガイド部材等であっても良い。
さらに、上記実施の形態及び各変形例では、シートクッション18のクッション材20が2層構造である好ましい構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、クッション材20は、単層にて構成されても良く、3層以上の他層構造とされても良い。また、本発明は、上層シート52がシートクッション18の表皮材を兼ねる構成に限定されることもなく、例えば、上層シート52の上側を本革等の表皮材で被覆しても良い。この表皮材は、サイドサポート62の表皮材62Bと一体化することも可能である。
さらにまた、上記実施の形態及び各変形例では、着座に伴って下層シート50の左右方向両端部に張力を付与する引張コイルスプリング54を備えた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、引張コイルスプリング54に代えて他の弾性部材を設けても良く、引張コイルスプリング54に相当する部材を設けなくても良い。
また、上記実施の形態及び各変形例では、シートバック22の背部用クッション材24が単層構造である好ましい構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、背部用クッション材24を2層以上の多層構造として良い。また、背部用クッション材24は、引張コイルスプリング74、76、78を介して背部用フレーム16に連結される構成には限定されず、例えば、他の弾性部材を介して背部用フレーム16に連結されても良い。
さらに、上記実施の形態及び各変形例では、第3弾性部材に相当する引張コイルスプリング78が左右片側で上下の異なる位置に2つ設けられた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、引張コイルスプリング78を片側1つまたは3つ以上設けても良く、第3弾性部材に相当する弾性部材を備えない構成とすることも可能である。
さらに、上記の形態及び各変形例では、本発明に係るシートクッション18とシートバック22とを共に備えた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、少なくともシートクッション18及びシートバック22の一方を備えていれば良い。
さらにまた、上記の実施の形態及び各変形例では、本発明を車両用シート10に適用した構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の各種乗物用シートや事務用椅子、家具用椅子等の各種シート等に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る車両用シートの斜視図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートの側面図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションの平面図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成する可動フレームを示すであって、(A)は斜視図、(B)は分解斜視図である。 (A)は図2の5A-5A線に沿った断面図、(B)は図2の5B-5B線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートの着座状態を示す側面図である。 (A)は図6の7A−7A線に沿った断面図、(B)は図6の7B-7B線に沿った断面図、(C)は図6の7C−7C線に沿った断面図、(D)は図6の7D-7D線に沿った断面図である。 (A)は図6の8A−8A線に沿った断面図、(B)は図6の8B−8B線に沿った断面図、(C)は図6の8C−8C線に沿った断面図である。 クッション部材として用いる3次元立体編物を示す概略断面図である。 3次元立体編物に用いる一方のグランド編地の一例を示す概略図である。 3次元立体編物に用いる他方のグランド編地の一例を示す概略図である。 (A)から(E)のそれぞれは、パイル部の適用例を示す3次元立体編物の要部の概略断面図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートの体圧分布を示す図、(B)及び(C)はそれぞれ異なる従来のシートの体圧分布を示す図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションの各部におけるコンプライアンスを示す線図、(B)は上記コンプライアンスの測定部位を示す模式図である。 (A)から(C)のそれぞれは、本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成する上層シートの荷重−撓み特性を、異なる条件で測定した結果を示す線図である。 (A)から(C)のそれぞれは、本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションの荷重−撓み特性を、異なる条件で測定した結果を示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションの着座者の筋肉に対するジャーク比を示す線図であって、(A)は筋肉よりも柔らかいジャーク特性の線図、(B)は筋肉と同等のジャーク特性の線図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートの振動伝達率を示す線図、(B)は従来の各種シートの振動伝達率を示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成する上層シート単体での荷重−伸び特性を示す線図である。 (A)は、本発明の実施の形態に係る車両用シート、及び従来の各種シートのシートクッションにおける沈み込みの減衰比と撥ね返りの減衰比との関係を示すグラフ、(B)は、本発明の実施の形態に係る車両用シート、及び従来の各種シートのシートクッションにおける共振周波数と減衰比との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る車両用シートのシートクッションにおける沈み込みの減衰比と撥ね返りの減衰比とを算出するための変位応答曲線を示す線図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートのシートクッションにおける変位と荷重との動特性を示す線図、(B)は従来の代表的なシートのシートクッションにおける変位と荷重との動特性を示す線図、(C)は(A)及び(B)の共振点近傍の動特性を重ね合わせた線図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートバックの各部におけるコンプライアンスを示す線図、(B)は上記コンプライアンスの測定部位を示す模式図である。 (A)から(C)のそれぞれは、本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートバックの荷重−撓み特性を、異なる条件で測定した結果を示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートバックの着座者の筋肉に対するジャーク比を示す線図である。 着座による疲労の進行具合を示す疲労曲線を説明するための概念的な線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シート及び従来の代表的なシートの静的な疲労曲線をそれぞれ示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シート及び従来の代表的なシートの動的な疲労曲線をそれぞれ示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シート及び従来の代表的なシートの静的及び動的な疲労曲線をそれぞれ示す線図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションにおける振動入力時の体圧分布を示す線図、(B)は従来の代表的シートにおける振動入力時の体圧分布を示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションにおける振動入力時の周波数と最大体圧との関係を示す線図である。 (A)は本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートクッションにおける衝撃入力時の時間と体圧変動比との関係を示す線図、(B)は入力した衝撃波形を示す線図、(C)は体圧測定点を示す線図である。 本発明の実施の形態に係る車両用シートを構成するシートバックにおける着座者の姿勢変化を示す模式図である。 (A)は人の呼吸に伴う仙骨の動きを示す図、(B)及び(C)は仙骨と骨盤との配置関係を示す図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る車両用シートの斜視図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る車両用シートを構成するシートクッションの平面図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る車両用シートにおける図7(B)に対応する断面図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る車両用シートの着座状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態の第1変形例に係る車両用シートのシートバックの断面図であって、(A)は静的着座状態の断面図、(B)は衝突状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態の第2変形例に係る車両用シートの斜視図である。 本発明の実施の形態の第2変形例に係る車両用シートの側面図である。 本発明の実施の形態の第2変形例に係る車両用シートを構成するシートクッションの平面図である。 本発明の実施の形態の第2変形例に係る車両用シートの着座状態を示す側面図である。 図43の44−44線に沿った断面図である。
符号の説明
10 車両用シート
14 座部用フレーム
16 背部用フレーム
18 シートクッション
20 クッション材
22 シートバック
24 背部用クッション材
25 バックレスト
42 アーム部材(回動部材)
44 連結パイプ(回動部材)
46 トーションバー(弾性部材)
50 下層シート(シート材)
52 上層シート(他のシート材)
54 引張コイルスプリング(他の弾性部材)
56 ベルト部材(シート状部材)
74 引張コイルスプリング(第1弾性部材)
76 引張コイルスプリング(第2弾性部材)
78 引張コイルスプリング(第3弾性部材)
90 ベルト部材(シート状部材)
100 ベルト部材(シート状部材)
110 3次元立体編物

Claims (17)

  1. 座部用フレームと、前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されると共に後端側が前記座部用フレームの後端側に弾性部材を介して連結されたシート材を含むクッション材とを備え、
    前記クッション材は、静的着座状態において、着座者の凸部を支持する部分のばね定数が他の部分のばね定数よりも小となるばね特性を有するシート構造。
  2. 前記座部用フレームを介して着座者の脊柱の共振周波数帯域の振動が入力されたときの振動伝達率を略1とし、前記シートフレームを介して着座者の脳にα波を生じさせる周波数帯域の振動が入力されたときの振動伝達率を略0.55以下とする請求項1記載のシート構造。
  3. 着座者、前記クッション材、及び前記弾性部材を含む系の共振周波数が3Hz以上かつ4Hz以下の範囲内にある請求項1または請求項2記載のシート構造。
  4. 座部用フレームと、前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されると共に後端側が前記座部用フレームの後端側に弾性部材を介して連結されたシート材を含むクッション材とを備えたシート構造であって、
    着座者が下側に変位するときの減衰比よりも、着座者が上側に変位するときの減衰比を大としたシート構造。
  5. 前記弾性部材は、前記クッション材に下方への荷重が作用したときに、前記シート材の後端側が前方または下方に移動するように変形する請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のシート構造。
  6. 座部用フレームと、
    前端側が前記座部用フレームの前端側に固定されたシート材を含むクッション材と、
    前記座部用フレームの後部と前記シート材の後端側との間に設けられて該シート材を前記座部用フレームに張設し、前記シート材に下方への荷重が作用したときに該シート材の後端側が前方へ移動しながら下降するように変形する弾性部材と、
    を備えたシート構造。
  7. 前記クッション材に、前記シート材の上側で前記座部用フレームに張設され、前記弾性部材を変形させるように前記シート材における着座者の臀部に対応する部位を押圧する他のシート材をさらに設けた、請求項5または請求項6の何れか1項記載のシート構造。
  8. 前記他のシート材は、3次元立体編物または2次元織物にて構成されている請求項7記載のシート構造。
  9. 前記座部用フレーム及び前記クッション材を含んで構成されるシートクッションのジャークが、着座者の臀部の筋肉自体のジャークよりも小さくなるようにした請求項7または請求項8記載のシート構造。
  10. 下端側が前記座部用フレームの後端側で該座部用フレームの左右方向に沿った軸線廻りに回動可能に支持されると共に、上端側が前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の後端側に係止された回動部材をさらに備え、
    前記弾性部材は、前記回動部材の回動軸心に設けられ、該回動部材の回動に伴って弾性的に捩れ変形するトーションバーである、
    請求項5乃至請求項9の何れか1項記載のシート構造。
  11. 前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の後端側における左右方向両端部と前記座部用フレームの後端側との間にそれぞれ設けられ、着座に伴って該シート材の前後方向の張力を増大する他の弾性部材をさらに備えた請求項5乃至請求項10の何れか1項記載のシート構造。
  12. 着座した状態における前記着座者の座骨結節に対応する位置の前方に設けられ、着座に伴って作用する張力によって、前記弾性部材を介して前記座部用フレームに連結されるシート材の下方への撓みを規制するシート状部材をさらに備えた請求項5乃至請求項11の何れか1項記載のシート構造。
  13. 弾性構造体である背部用フレームと、背部用クッション材と、前記背部用クッション材の上端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの上端側に連結する第1弾性部材と、前記背部用クッション材の下端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの下端側に連結する第2弾性部材とを有し、前記各弾性部材によって着座者の上体を支持するようにしたシートバックをさらに備えた請求項1乃至請求項12の何れか1項記載のシート構造。
  14. 背部用フレームと、
    背部用クッション材と、
    前記背部用クッション材の上端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの上端側に連結する第1弾性部材と、
    前記背部用クッション材の下端側における左右方向両端部をそれぞれ前記背部用フレームの下端側に連結する第2弾性部材と、
    を備え、前記各弾性部材によって着座者の上体を支持するようにしたシート構造。
  15. 前記背部用クッション材と前記背部用フレームとの間に設けられ、前記背部用クッション材における着座者の腰椎部に対応する位置に左右方向の張力を生じさせる第3弾性部材をさらに備えた請求項13または請求項14記載のシート構造。
  16. 前記第1弾性部材、前記第2弾性部材、及び前記第3弾性部材をそれぞれ引張コイルばねとした請求項15記載のシート構造。
  17. 背部用フレームと、
    少なくとも上下方向の一端側が弾性部材を介して前記背部用フレームに連結されて該背部用フレームに張設され、非着座状態で平坦なバックレストを形成する背部用クッション材と、
    を備えたシート構造。
JP2004109923A 2004-04-02 2004-04-02 シート構造 Expired - Fee Related JP4709496B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004109923A JP4709496B2 (ja) 2004-04-02 2004-04-02 シート構造
EP05727518A EP1731058A4 (en) 2004-04-02 2005-04-01 SEAT STRUCTURE
CN2005800120229A CN1942123B (zh) 2004-04-02 2005-04-01 座椅结构
US11/547,329 US7971939B2 (en) 2004-04-02 2005-04-01 Seat structure
PCT/JP2005/006456 WO2005094632A1 (ja) 2004-04-02 2005-04-01 シート構造
KR1020067022348A KR101215221B1 (ko) 2004-04-02 2006-10-26 시트 구조

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004109923A JP4709496B2 (ja) 2004-04-02 2004-04-02 シート構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005287935A true JP2005287935A (ja) 2005-10-20
JP4709496B2 JP4709496B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=35063457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004109923A Expired - Fee Related JP4709496B2 (ja) 2004-04-02 2004-04-02 シート構造

Country Status (6)

Country Link
US (1) US7971939B2 (ja)
EP (1) EP1731058A4 (ja)
JP (1) JP4709496B2 (ja)
KR (1) KR101215221B1 (ja)
CN (1) CN1942123B (ja)
WO (1) WO2005094632A1 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006061406A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Delta Tooling Co Ltd シート
WO2007077699A1 (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Delta Tooling Co., Ltd. 乗物用シート及び乗物用シートの評価方法
JP2009000493A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Delta Tooling Co Ltd 座席構造
JP2010000995A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Delta Tooling Co Ltd 乗物用シート構造
WO2012043807A1 (ja) 2010-10-01 2012-04-05 日産自動車株式会社 車両用シートおよび車両用シートの剛性設定方法
JP2018001857A (ja) * 2016-06-29 2018-01-11 トヨタ紡織株式会社 乗物用シート
JP2019025991A (ja) * 2017-07-27 2019-02-21 マツダ株式会社 車両用シート
WO2019082876A1 (ja) * 2017-10-24 2019-05-02 デルタ工業株式会社 乗物用シートのシートクッション及び乗物用シート
JP2019077437A (ja) * 2017-10-24 2019-05-23 デルタ工業株式会社 乗物用シートのシートクッション及び乗物用シート
WO2019188107A1 (ja) * 2018-03-26 2019-10-03 マツダ株式会社 車両用シート構造
JP2020050256A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 マツダ株式会社 車両用シート構造
JP2021004036A (ja) * 2017-07-27 2021-01-14 マツダ株式会社 車両用シート
JP7083121B1 (ja) 2021-03-31 2022-06-10 NatureArchitects株式会社 構造体、振動デバイス及び体感音響装置

Families Citing this family (61)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006175976A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Tachi S Co Ltd 車両用衝撃吸収シート構造
US8131513B2 (en) * 2006-07-14 2012-03-06 Lear Corporation Method and system of computer assisted vehicle seat design
DE102006059745A1 (de) * 2006-12-18 2008-06-19 Grammer Ag Luftfeder für einen Fahrzeugsitz sowie Fahrzeugsitz mit einer derartigen Luftfeder
AT505223A1 (de) * 2007-04-13 2008-11-15 Greiner Purtec Gmbh Sitz, insbesondere für öffentliche verkehrsmittel
DE102007019365B4 (de) * 2007-04-23 2013-04-11 Grammer Aktiengesellschaft Verfahren und Vorrichtung zur Auswertung von auf eine Person wirkenden Schwingungen eines Fahrzeuges
DE102007019366B4 (de) * 2007-04-23 2016-12-15 Grammer Ag Vorrichtung und Verfahren zur Erfassung von auf eine Person übertragene Schwingungen eines Fahrzeuges
DE102007032897B4 (de) * 2007-07-14 2014-05-28 Grammer Aktiengesellschaft Fahrzeugsitz mit einem Grundrahmen und einem gegenüber diesem Grundrahmen realtivbeweglichen Sitzrahmen
DE102007056700B4 (de) * 2007-11-24 2012-03-29 Grammer Aktiengesellschaft Vorrichtung mit einem Federungssystem sowie Verfahren zur Einstellung eines Federungssystems
DE102008022045B3 (de) * 2008-05-03 2009-07-30 Grammer Ag Fahrzeugsitz mit einer Einrichtung zur Steuerung eines pneumatisch geregelten Federungssystems
JP5408688B2 (ja) * 2008-05-28 2014-02-05 株式会社デルタツーリング シート
US9555728B2 (en) * 2008-06-03 2017-01-31 Lear Corporation Layered seating system with attachments
DE102008052960B4 (de) * 2008-10-23 2014-02-13 Grammer Aktiengesellschaft Federungsschwingungssystem zur Schwingungsreduzierung
DE102008056200B4 (de) * 2008-11-06 2014-04-03 Grammer Aktiengesellschaft Scherengestell für einen Fahrzeugsitz, Fahrzeugsitz, insbesondere Kraftfahrzeugsitz, und Verfahren zum Herstellen eines Unterbaus eines Fahrzeugsitzes
KR101443671B1 (ko) * 2008-12-24 2014-09-23 존슨 컨트롤스 테크놀러지 컴퍼니 자동차 시트 구조
DE102009005381B4 (de) * 2009-01-21 2013-05-08 Grammer Aktiengesellschaft Vorrichtung zum Federn einer Masse und Verfahren zum Einstellen und/oder Betreiben einer Fluidfeder
JP5085603B2 (ja) * 2009-04-24 2012-11-28 本田技研工業株式会社 シートバック装置
DE102010026569B4 (de) * 2009-07-28 2014-03-27 Grammer Aktiengesellschaft Regelungseinrichtung zur Reduzierung einer Schwingungsbewegung einer federkraftbeaufschlagten schwingenden Vorrichtung
CN101695908B (zh) * 2009-10-30 2011-12-21 江苏大学 汽车多自由度并联减振座椅
EP2501260A4 (en) * 2009-11-16 2016-01-13 Johnson Controls Tech Co SEAT CUSHION STRUCTURE
KR101549993B1 (ko) * 2010-02-10 2015-09-03 오카무라 가부시키가이샤 의자용 씌우개의 인장 설치 구조
JP5229285B2 (ja) * 2010-08-25 2013-07-03 株式会社デンソー 座位保持装置
JP5229283B2 (ja) * 2010-08-25 2013-07-03 株式会社デンソー 座位保持装置
JP5189146B2 (ja) * 2010-08-26 2013-04-24 トヨタ紡織株式会社 車両用シート
DE102011003119B4 (de) * 2011-01-25 2020-02-06 Brose Fahrzeugteile Gmbh & Co. Kommanditgesellschaft, Coburg Fahrzeugsitz mit in einem Querrohr angeordneter Drehstabfeder
DE102012203056B4 (de) * 2011-03-17 2014-06-05 Brose Fahrzeugteile Gmbh & Co. Kommanditgesellschaft, Coburg Fahrzeugsitz mit in einem Querrohr angeordneterDrehstabfeder
US8974003B2 (en) * 2012-03-30 2015-03-10 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Rear seat cushion sound reduction mat
JP5896020B2 (ja) * 2012-04-23 2016-03-30 トヨタ自動車株式会社 移動体用座席
JP5867309B2 (ja) * 2012-06-22 2016-02-24 トヨタ紡織株式会社 シートバックフレーム
US8998323B2 (en) 2012-08-09 2015-04-07 Ami Industries, Inc. Warped-floor tolerant aircraft seat
CN102860692B (zh) * 2012-10-11 2015-04-29 郑林风 一种保护脊椎的椅子
JP6162942B2 (ja) * 2012-10-31 2017-07-12 東海旅客鉄道株式会社 乗物用座席
JP5976508B2 (ja) * 2012-11-19 2016-08-23 トヨタ紡織株式会社 車両用シート
EP2960536A4 (en) * 2013-02-22 2016-11-09 Nabeya Bi Tech Kabushiki Kaisha COUPLING
US9688170B2 (en) * 2014-06-13 2017-06-27 Lear Corporation Seat assembly having a tiltable front cushion module
CN106004562A (zh) * 2016-06-18 2016-10-12 金余和 带双向缓冲滑杆和发泡缓冲的儿童安全座椅
JP6512196B2 (ja) * 2016-09-15 2019-05-15 トヨタ自動車株式会社 車両用シート
JP2018075885A (ja) * 2016-11-07 2018-05-17 トヨタ自動車株式会社 車両用シート構造
DE102016123681B4 (de) 2016-12-07 2018-11-29 Faurecia Autositze Gmbh Befestigungsmittel zum schwenkbaren Befestigen einer Sitzwanne eines Fahrzeugsitzes, Fahrzeugsitz und Verfahren zum schwenkbaren Befestigen einer Sitzwanne an einem Fahrzeugsitz
US10737053B2 (en) 2016-12-09 2020-08-11 Faurecia Automotive Seating, Llc Occupant comfort system
US10806260B2 (en) * 2016-12-20 2020-10-20 Kokuyo Co., Ltd. Chair
US10384737B2 (en) * 2017-03-23 2019-08-20 Harley-Davidson Motor Company Group, LLC Motorcycle seat assembly with hammock-type suspension
US10479246B2 (en) 2017-04-28 2019-11-19 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Lattice based seat cushion to improve comfort and vibration isolation
JP6958211B2 (ja) * 2017-10-12 2021-11-02 トヨタ自動車株式会社 車両のシート
US10710479B2 (en) 2017-12-19 2020-07-14 Faurecia Automotive Seating, Llc Occupant comfort system
US10391899B2 (en) 2017-12-22 2019-08-27 Faurecia Automotive Seating, Llc Motion sickness mitigation
US10493878B2 (en) 2017-12-22 2019-12-03 Faurecia Automotive Seating, Llc Motion sickness mitigation
US10377275B2 (en) 2017-12-28 2019-08-13 Faurecia Automotive Seating, Llc Motion sickness mitigation
CN108312923A (zh) * 2018-04-03 2018-07-24 曲阜丰美汽车内饰件有限公司 一种汽车座椅弹力悬架结构
CN109109682A (zh) * 2018-08-29 2019-01-01 扬州大学 一种具有主动提升安全性的驾驶座椅
DE102018127626A1 (de) * 2018-11-06 2020-05-07 Faurecia Autositze Gmbh Polsterlager für einen Fahrzeugsitz
CN111374466A (zh) * 2018-12-27 2020-07-07 廖文显 座椅的座垫及背靠的组合方法及组合结构
US10836286B2 (en) 2019-01-30 2020-11-17 Ford Global Technologies, Llc Modular suspension seatback with integrated upper and lower supports
US10821861B2 (en) 2019-02-13 2020-11-03 Ford Global Technologies, Llc Articulating flexmat seat suspension
US10899254B2 (en) 2019-02-13 2021-01-26 Ford Global Technologies, Llc Articulating flexmat seat suspension
FR3102724B1 (fr) * 2019-10-31 2022-04-29 Faurecia Sieges Dautomobile Dispositif de vibration intégré à un siège
US20230000409A1 (en) * 2019-12-06 2023-01-05 Panasonic lntellectual Property Management Co., Ltd. Fatigue estimation system, estimation device, and fatigue estimation method
RU2745892C1 (ru) * 2020-07-10 2021-04-02 Роман Георгиевич Живчиков Сиденье транспортного средства и способ обеспечения безопасности пользователя сиденья транспортного средства
JP2022078853A (ja) * 2020-11-13 2022-05-25 日本発條株式会社 車両用シート
US11927236B2 (en) 2020-12-21 2024-03-12 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Vibration isolation for rotating machines
US11603903B2 (en) 2020-12-21 2023-03-14 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Vibration isolation for rotating machines
US11897379B2 (en) 2021-10-20 2024-02-13 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Seat with shape memory material member actuation

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62142950A (ja) * 1985-12-17 1987-06-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 浴槽水浄化装置のフイルタ−洗浄装置
JPH07322934A (ja) * 1994-05-31 1995-12-12 Takashimaya Nippatsu Kogyo Kk 車輛用シートにおけるクッションパッドの支持装置
JP2002253381A (ja) * 2001-03-02 2002-09-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd シート構造
JP2003180481A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Delta Tooling Co Ltd 座席構造
JP2003182427A (ja) * 2001-12-20 2003-07-03 Delta Tooling Co Ltd 衝撃吸収構造及び座席構造
JP2003259933A (ja) * 2002-03-12 2003-09-16 Araco Corp シート及びシート用パッド材
WO2004026080A1 (ja) * 2002-09-03 2004-04-01 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho シート

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62142950U (ja) * 1986-03-04 1987-09-09
JPS6414053U (ja) * 1987-07-15 1989-01-24
AT394829B (de) * 1989-08-04 1992-06-25 Schuster Wilhelm Rueckenlehne fuer einen fahrzeugsitz, mit einer verstellbaren lendenstuetze
US5013089A (en) 1989-09-15 1991-05-07 General Motors Corporation Thin profile integrated suspension and seat trim cover
US5076643A (en) * 1990-08-20 1991-12-31 Lear Seating Corporation Lumbar support
US5393126A (en) * 1993-06-21 1995-02-28 Art Design International Inc. Tubular frame seating structure with tension sleeve
US5624161A (en) 1994-05-31 1997-04-29 Takashimaya Nippatsu Kogyo Co., Ltd. Seat cushion pad supporting construction
EP1011385A1 (en) * 1996-11-08 2000-06-28 William W. Chow Therapeutic sling seat
US5775779A (en) * 1997-03-27 1998-07-07 General Motors Corporation Polyurethane thermoplastic elastomer membrane for seat suspension
SE510961C2 (sv) * 1997-11-20 1999-07-12 Volvo Ab Anordning vid ryggstöd till ett fordonssäte
JP4245232B2 (ja) * 1999-07-21 2009-03-25 株式会社デルタツーリング ネット材を用いた構造体、シート及びネット材の端末部処理方法
JP2001087077A (ja) * 1999-09-20 2001-04-03 Delta Tooling Co Ltd 3次元ネットを有するシート
US6478381B1 (en) * 1999-10-29 2002-11-12 Lear Corporation Elastomeric seat back and slide-over head rest assembly for a vehicle seat
JP4380896B2 (ja) * 2000-08-02 2009-12-09 株式会社デルタツーリング シート
JP4484346B2 (ja) * 2000-09-29 2010-06-16 株式会社デルタツーリング 車両用シート
US20020096932A1 (en) * 2000-10-02 2002-07-25 Etsunori Fujita Vehicle seat
JP2002219985A (ja) * 2001-01-24 2002-08-06 Delta Tooling Co Ltd 乗物用シート
US6854805B2 (en) * 2002-03-27 2005-02-15 Delta Tooling Co., Ltd. Seat structure
US7134718B2 (en) * 2002-04-26 2006-11-14 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Vehicle seat
JP2004135836A (ja) * 2002-10-17 2004-05-13 Delta Tooling Co Ltd シート構造
JP2004229957A (ja) * 2003-01-31 2004-08-19 Delta Tooling Co Ltd 座席構造
JP4330383B2 (ja) * 2003-06-20 2009-09-16 株式会社デルタツーリング 低周波振動シート
US20060006640A1 (en) * 2004-07-12 2006-01-12 Benoit Machine L.L.C. Pipe coupling device

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62142950A (ja) * 1985-12-17 1987-06-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 浴槽水浄化装置のフイルタ−洗浄装置
JPH07322934A (ja) * 1994-05-31 1995-12-12 Takashimaya Nippatsu Kogyo Kk 車輛用シートにおけるクッションパッドの支持装置
JP2002253381A (ja) * 2001-03-02 2002-09-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd シート構造
JP2003180481A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Delta Tooling Co Ltd 座席構造
JP2003182427A (ja) * 2001-12-20 2003-07-03 Delta Tooling Co Ltd 衝撃吸収構造及び座席構造
JP2003259933A (ja) * 2002-03-12 2003-09-16 Araco Corp シート及びシート用パッド材
WO2004026080A1 (ja) * 2002-09-03 2004-04-01 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho シート

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006061406A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Delta Tooling Co Ltd シート
JP5153345B2 (ja) * 2005-12-28 2013-02-27 株式会社デルタツーリング 乗物用シート
WO2007077699A1 (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Delta Tooling Co., Ltd. 乗物用シート及び乗物用シートの評価方法
KR101018394B1 (ko) 2005-12-28 2011-02-28 가부시키가이샤 데루타 쓰-링 탑승물용 시트 및 탑승물용 시트의 평가 방법
JP2012176330A (ja) * 2005-12-28 2012-09-13 Delta Tooling Co Ltd 乗物用シート
US8287047B2 (en) 2005-12-28 2012-10-16 Delta Tooling Co., Ltd. Vehicle seat and vehicle seat evaluation method
JP2009000493A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Delta Tooling Co Ltd 座席構造
JP2010000995A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Delta Tooling Co Ltd 乗物用シート構造
US10543764B2 (en) 2010-10-01 2020-01-28 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle seat and stiffness setting method for vehicle seat
WO2012043807A1 (ja) 2010-10-01 2012-04-05 日産自動車株式会社 車両用シートおよび車両用シートの剛性設定方法
JP2018001857A (ja) * 2016-06-29 2018-01-11 トヨタ紡織株式会社 乗物用シート
US11400842B2 (en) 2017-07-27 2022-08-02 Mazda Motor Corporation Vehicle seat
JP2019025991A (ja) * 2017-07-27 2019-02-21 マツダ株式会社 車両用シート
JP2021004036A (ja) * 2017-07-27 2021-01-14 マツダ株式会社 車両用シート
WO2019082876A1 (ja) * 2017-10-24 2019-05-02 デルタ工業株式会社 乗物用シートのシートクッション及び乗物用シート
JP2019077437A (ja) * 2017-10-24 2019-05-23 デルタ工業株式会社 乗物用シートのシートクッション及び乗物用シート
US11155193B2 (en) 2017-10-24 2021-10-26 Delta Kogyo Co., Ltd. Seat cushion for vehicle seat and vehicle seat
JP2019167024A (ja) * 2018-03-26 2019-10-03 マツダ株式会社 車両用シート構造
CN111867882A (zh) * 2018-03-26 2020-10-30 马自达汽车株式会社 车辆用座椅结构
US11273744B2 (en) 2018-03-26 2022-03-15 Mazda Motor Corporation Vehicle seat structure
WO2019188107A1 (ja) * 2018-03-26 2019-10-03 マツダ株式会社 車両用シート構造
CN111867882B (zh) * 2018-03-26 2022-09-06 马自达汽车株式会社 车辆用座椅结构
JP2020050256A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 マツダ株式会社 車両用シート構造
JP7240589B2 (ja) 2018-09-28 2023-03-16 マツダ株式会社 車両用シート構造
JP7083121B1 (ja) 2021-03-31 2022-06-10 NatureArchitects株式会社 構造体、振動デバイス及び体感音響装置
WO2022208935A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 NatureArchitects株式会社 構造体、振動デバイス、体感音響装置、構造体の設計方法、構造体の製造方法、およびプログラム
JP2022158868A (ja) * 2021-03-31 2022-10-17 NatureArchitects株式会社 構造体、振動デバイス、体感音響装置、構造体の設計方法、構造体の製造方法、およびプログラム
JP2022159139A (ja) * 2021-03-31 2022-10-17 NatureArchitects株式会社 構造体、振動デバイス及び体感音響装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN1942123B (zh) 2012-06-20
KR101215221B1 (ko) 2012-12-24
EP1731058A1 (en) 2006-12-13
US20070236071A1 (en) 2007-10-11
KR20060135040A (ko) 2006-12-28
CN1942123A (zh) 2007-04-04
US7971939B2 (en) 2011-07-05
WO2005094632A1 (ja) 2005-10-13
JP4709496B2 (ja) 2011-06-22
EP1731058A4 (en) 2010-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4709496B2 (ja) シート構造
JP4611130B2 (ja) 座席用ベースネット支持機構及び座席構造
US7731294B2 (en) Seat
JP4749449B2 (ja) 二次元ネット材
JP4554444B2 (ja) 座席構造
EP1084902B1 (en) Seat having a three-dimensional net
JP4757553B2 (ja) シート
JP4634761B2 (ja) シート
JP4330383B2 (ja) 低周波振動シート
JP5888776B2 (ja) ベースネット及び座席構造
JP4243669B2 (ja) 座席構造
JP5570056B2 (ja) 座席構造
JP2005046355A (ja) シート用面状支持部材
JP4001502B2 (ja) シート
JP2002199955A (ja) 3次元ネットを有するシート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4709496

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees