JP2005287517A - 新規なポリエステルバイオポリマー - Google Patents

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    • C12P7/625Polyesters of hydroxy carboxylic acids

Abstract

【課題】新規生分解性プラスチックの経済的な供給源を提供する。
【解決手段】生物中でポリエステルバイオポリマーを構築する方法であって、
ポリヒドロキシブチレートの合成に必要な酵素をコードする遺伝子の発現のため
に生物を選択する工程、この生物に、ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼを
コードする単離された構造遺伝子を、生物中の上記遺伝子の発現の調節配列と組
み合わせて導入する工程、および発現した酵素がポリヒドロキシブチレートを合
成するために適切な基質を提供する工程を包含する。
【選択図】なし

Description

本発明は、トランスジェニック生物、特にトランスジェニック植物における生分解性プラスチックの製造方法、および新規なポリエステルバイオポリマーに関する。National institute of health、海軍研究機関、および国立科学基金からの助成金の規定により、米国政府は本発明に権利を有する。
細菌による合成は、これまで長い間、多くのより複雑なバイオポリマーを産生する手段でしかなかった。最近になってようやく、これらのバイオポリマーの合成経路が確かめられた。これら経路に関係する様々な酵素および補助因子の単離に多くの努力が払われた。これらの発現の調節は主として経験上のものであった。即ち、栄養分濃度や酸素のようなその他の因子のレベルを変化させて、ポリマーの産生および組成が測定された。
これらの複雑なバイオポリマーの産生を制御し、それを特定の様式に改変するため、これらの合成に必要な化学反応工程を調べる以下の系を設計することが必要である;これらの化学反応工程に寄与するタンパク質を単離し、特徴付けること;これらのタンパク質をコードする遺伝子を単離し、配列決定し、クローニングすること;およびこれらの遺伝子の発現割合および発現レベルを調節するメカニズムを同定し、特徴付け、利用すること。
商業上有用な複雑なバイオポリマーであるポリヒドロキシブチレートは、多数の細菌が産生する細胞間保持物質である。ポリ−β−ヒドロキシブチレート(PHB)はD(−)−3−ヒドロキシブチレートの重合したエステルであり、1925年にBacillus megateriumで最初に発見された。この独特のポリエステルは、その化学的性質および物理的性質の両者のために、さらに進んだ研究の対象として注目されるバイオポリマーになった。PHBは生分解性/熱可塑性材料として、ある種の抗生物質の有機合成のためのキラル中心として、およびドラッグデリバリーと骨の置換のためのマトリックスとしての用途を含む、様々な応用が可能である。このポリマーはインビボの体内で、ヒト血液の正常な構成成分であるヒドロキシブチレートに分解される。
2生合成中間体のアセチルCoAからの疎水性結晶性PHB粒子の酵素的合成は、多数の細菌で研究されてきた。アセチルCoAからPHBへの変換には、βケトチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼおよびPHBポリメラーゼの3つの酵素が関与する。
チオラーゼは炭素−炭素結合の合成および開裂を触媒する遍在性酵素であり、従って細胞内代謝において中心的役割を占める。テルペノイド、ステロイド、マクロライドおよび他の生合成経路と、脂肪酸の分解とには、異なるチオラーゼ酵素が関与する。Z.ramigeraでは、2つのアセチルCoA基が縮合してアセトアセチルCoAを形成するのをβケトチオラーゼが触媒する。次にアセトアセチルCoAはNADP特異的レダクターゼで還元されて、PHBポリメラーゼの基質であるD(−)−β−ヒドロキシブチリル−CoAが形成される。
βケトチオラーゼ(アセチル−CoA−CoA−C−アセチルトランスフェラーゼ、E.C.2.3.1.9)は、A.beijerinckii(SeniorおよびDawes、Biochem.J.、134、225−238(1973))、A.eutrophus(OedingおよびSchlegel、Biochem J.、134、239−248(1973))、Clostridium pasteurianum(BerntおよびSchlegel、Arch.Microbiol.、103、21−30(1975))およびZ.ramigera(Nishimuraら、Arch.Microbiol.、116、21−27(1978))で研究された。Z.ramigeraのアセトアセチル−CoAレダクターゼ遺伝子のクローニングおよび発現は米国特許出願第067,695号に記載されている。次にこの遺伝子は、Alcaligenes eutrophusおよびNocardiaを含む他の細菌種からレダクターゼ遺伝子を単離するためのハイブリダイズ用プローブとして用いられた。
Z.ramigeraでPHB生合成に関与するレダクターゼはヒドロキシブチリル−CoAのD(−)異性体に立体特異的であり、補助因子としてもっぱらNADP(H)を利用する。最もよく特徴付けられたアセトアセチルCoAレダクターゼは、Saitoら、Arch. Microbiol.、114、211−217(1977)およびTomitaら、Biochemistry of Metabo1ic Processes、353、D.Lennonら編(Elsevier、Holland、1983)により記載されたZoogloea由来のものである。このNADP特異的な分子量92,000の酵素はFukuiら、Biochim.Biophys.Acta 917、365−371(1987)により、少量ではあるが均一にまで精製された。米国特許出願第067,695号に記載されたように、Z.ramigera由来のβケトチオラーゼ酵素は今日ではクローニングされ、発現され、その精製物は均一にまで精製されている。クローニングされた遺伝子は、Alca1igenes eutrophusおよびNocardiaを含む他の細菌種から相当するβケトチオラーゼを同定および単離するのに用いられた。
Z.ramigeraのPHBポリメラーゼはD−β−ヒドロキシブチリルCoAに対して立体特異的である。A.eutrophusは他の基質、例えばD−β−ヒドロキシバレリルCoAを使用し得る。A.eutrophusの培地にプロピオネートを添加すると、C5とC4ユニットのPHB/HVコポリマーへの取り込みが起こるからである。GriebelおよびMerrick、J.Bacteriol.、108、782−789(1971)はB. megateriumの天然のPHB粒子からPHBポリメラーゼを分離したが、その過程で酵素活性はすべて消失した。彼らは2つのタンパク質分画の1つへPHB粒子を添加することによってのみ、活性を再構築し得た。より最近、Fukuiら、Arch.Microbiol.、110、149−156(1976)およびTomitaら(1983)はZ.ramigeraにこの酵素を発見し、粒子に結合しないPHBポリメラーゼに部分精製した。クローニングし、発現させ、新規なポリマーの合成にその産生物を用いる方法は米国特許出願第067,695号に記載されている。
A.eutrophusおよびP.oleovaransを含む細菌により産生されるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)貯蔵ポリマーの全範囲が見いだされている。PHAポリマーは、側鎖の長さに変異を有する(CH3〜CH817)βヒドロキシアルカノエートのD−異性体のヘテロポマーである。例えば、A.eutrophusは5−クロロペンタン酸の存在下で生育させると、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレートおよび5−ヒドロキシバレレートをポリマーに取り込む。
このポリマーは古典的な発酵法で非常に高収量が得られること、および10,000よりも大きい分子量のPHAおよびPHBは多くの応用に有用であるという事実から、新規なPHB様バイオポリマーを開発して応用分野を改善、または新たに作り出すこと望まれている。
PHB以外のポリ−β−ヒドロキシアルカノエートの、A.eutrophusおよびPseudomonas oleovaransの単一培養による産生は、deSmetら、J.Bacteriol.、154、870−878(1983)により報告されている。両方の細菌で、ポリマーは制御された発酵により産生した。A.eutrophusはグルコースとプロピオネート下で生育させるとPHB−PHVのヘテロポリマーを産生し、PHV含有量は約30%に達する。P.oleovaransはオクタン下で生育させるとポリ−β−ヒドロキシオクタノエートを産生する。Nocardiaはn−ブタン下で生育させるとPHB−PH−2−ブテノエートのコポリマーを産生することが報告されている。選択された基質を用いる制御発酵により得られる3−ヒドロキシブチレートポリマーの最終組成の決定もまた、Holmesらの米国特許第4,477,654号に記載されている。
基質特異性に関して異なる様々な酵素の利用を可能にし、これらの酵素をコードする遺伝子を他の宿主、特に植物で発現させる方法により、現在利用可能な石油由来のプラスチックス、特にポリプロピレンの経済的な生体分解性代替物を提供することが可能となる。
従って、本発明の目的は、複合バイオポリマー、特にPHB、PHAおよび類似ポリマーの合成方法に用いられる酵素をさらに提供することである。
本発明の目的はさらに、これらのポリマー合成タンパク質をコードする他の遺伝子を単離し、配列決定し、クローニングすること、およびこれらの遺伝子の発現速度と発現レベルを調節する手段である。
本発明の他の目的は、ポリヒドロキシブチレートおよびポリヒドロキシアルカノエートを合成するタンパク質をコードする遺伝子から発現する、精製されたタンパク質を提供することである。
本発明の目的はさらに、これらのタンパク質および調節配列を用いて、ポリエステル骨格を有する新規なバイオポリマーを創製する方法を提供することである。
さらに本発明の目的は、細菌および植物細胞を製造に用い、生体分解性ポリヒドロキシアルカノエートおよび新規な関連ポリマーの経済的な供給源を提供することである。
本発明は、生物中でポリエステルバイオポリマーを構築する方法に関し、この方法は、ポリヒドロキシブチレートの合成に必要な酵素をコードする遺伝子の発現のために、生物を選択する工程、この生物に、ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼをコードする単離された構造遺伝子を上記生物中の上記遺伝子の発現の調節配列と組み合わせて導入する工程、および発現した上記酵素がポリヒドロキシブチレートを合成するために適切な基質を提供する工程を包含し:ここで、上記単離された構造遺伝子は、
Figure 2005287517
のヌクレオチド配列を有する遺伝子、および、このヌクレオチド配列とハイブリダイズし、かつポリヒドロキシブチレートポリメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子からなる群から選択され、このハイブリダイゼーションは、5×SSCP(1×SSCPは、0.15M NaCl、0.15Mクエン酸ナトリウム、10mM NaH2PO4、および10nM Na2HPO4を含む)、5×デンハート液、0.1%(w/v)SDS、10mM EDTAおよび100μg/ml超音波処理変性サケDNAを含む溶液中で約16から18時間の期間、65℃の温度で実施される。
本発明の方法は、上記酵素をそれらの基質特異性に基づいて選択する工程をさらに包含し得る。
本発明の方法は、上記酵素をコードする遺伝子を改変することによりこの酵素の基質特異性を変化させる工程をさらに包含し得る。
本発明の方法は、特定のインデューサーに反応して、ポリマーの合成に必要な酵素をコードする遺伝子の発現を制御する調節配列を発現ベクターに提供する工程をさらに包含し得る。上記ポリマー合成の特定のインデューサーは、温度変化および特定の基質からなる群から選択され得る。
上記遺伝子は、Zoogloea、Azotobacter、Alcaligenes、Bacillus、Nocardia、Clostridium、Halobacterium、Escherichia、PsuedomonasおよびPhodospirilliumからなる群から選択される細菌に由来し得る。
本発明の方法は、ポリマー合成に必要な酵素の少なくとも1つが欠損した細菌生物中で前記遺伝子を発現させる工程をさらに包含し得る。
本発明の方法は、上記遺伝子を植物中で発現させる工程をさらに包含し得る。
上記遺伝子は、ヒドロキシアシルCoA基質のD異性体に立体特異的な酵素をコードし得る。
本発明は、1つの局面で、ポリヒドロキシブチレートまたはそのコポリマーを合成するための生物に関し、この生物は、ポリヒドロキシブチレートの合成に必要な酵素をコードする遺伝子、および適切な基質と反応してポリヒドロキシブチレートまたはそのコポリマーを合成し得るこの生物中の、ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼをコードする単離された構造遺伝子の発現のための調節配列と組み合わせて上記遺伝子を発現する。
好ましくは、上記生物は、細菌または植物である。
好ましくは、上記基質は、アセトアセチル誘導体、オレフィン、エステル、アルコール、ジオール、エポキシド、D−ヒドロキシブチリルCoA、D−βヒドロキシバレリルCoA、分岐βヒドロキシアシルCoA、D−3−ヒドロキシブチリルCoAのアシルCoAモノマー類似体、4−ヒドロキシブチルCoA、アシルチオエステルCoA、3ヒドロキシ−4−ペンテノイル−CoAおよびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
上記生物は、ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼタンパク質を発現し得る。
上記生物は、上記ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼ遺伝子が、Agrobacterium tumefaciensプラスミドおよび植物DNAウイルスからなる群から選択されるベクターを用いて導入された、植物であり得る。
上記生物は、上記ポリヒドロキシブチレートポリメラーゼ遺伝子が、細胞質、ミトコンドリア、またはクロロプラスト中に導入された、植物であり得る。
本発明は、ポリヒドロキシブチレート(PHB)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリエステル合成の遺伝子および酵素を、原核細胞および真核細胞、特に植物で分子レベルで操作することにより、バイオポリマー合成を制御し改変する方法に関する。
PHBおよびPHAポリマーの産生に関与する遺伝子の単離、特徴付け、および発現が例示されている。Zoogloea ramigera株I−16−M、Alcaligenes eutrophus、Nocardia salmonicolor、およびPseudomonas oleovarans由来のPHBおよびPHA合成経路の酵素(β−ケトチオラーゼ、アセトアセチル−CoAリダクターゼおよびPHBポリメラーゼあるいはPHAポリメラーゼ)をコードする遺伝子が、PHBを産生しない生物であるE.co1iで確認または単離され、発現された。
細菌細胞を用いた好ましい実施態様では、窒素またはリン酸制限条件下でPHBを乾燥細胞重量の70%から80%まで蓄積する能力のあるA.eutrophusにより産生される。他の実施例では、PHB、PHAおよび新規ポリマーの発現および合成のために、遺伝子が植物細胞に導入される。ポリマーの特定の改変には、ポリマー鎮の長さの変化、およびポリマーに異なるモノマーを組み入れて物理的性質の異なるコポリマーを製造することが含まれる。
(発明の実施の形態)
以下の方法は、βケトチオラーゼ、アセトアセチルCoAレダクターゼ、PHBポリメラーゼ、およびPHAポリメラーゼをコードする遺伝子とそれらの発現産物とを単離し、その発現を調節する配列を同定し特徴付け、そしてポリマー産生に対する培養条件および使用基質の影響を調べるために用いられた。PHBおよびPHA様バイオポリマーを製造する系を構築する技法もまた開示されている。これらの酵素を細菌または植物細胞で組み合わせ、適当な酸素および温度の制御培養条件下に適当な基質を用いることにより、様々なポリマーを作成できる。これらの発現を調節する酵素またはヌクレオチド配列もまた、発現量を変え、または基質特異性を変えて得られるポリマーをさらに変化させるために改変することが可能である。その効果は、完全細胞を用いては通常利用できなかった基質が、単離された酵素を用いることにより製造可能であることである。
方法、遺伝子、およびこれらの発現産物およびポリマー合成は以下の実施例に詳細が記載されているが、それに限定されない。
培地および培養条件
PHB生合成経路の遺伝学的研究のために、まず初めにZoogloea ramigera株I−16M(ATCC19623)を用いた。Z.ramigeraDNAは200mlの対数増殖期中期の培養物から、以下のように精製した。細胞を遠心して集め、20mMのTris−HC1、PH8.2で洗浄し、10mlのTris−HC1に再懸濁した。次に10mlの24% w/vポリエチレングリコール8000および2mlの25mg/mlリゾチームを加え、次に37℃で30分インキュベートして、細胞をスフェロプラストにした。スフェロプラストを遠心して集め、5mlのTE緩衝液(10mMのTris−HC1、pH8.0.1mMのEDTA)に再懸濁し、300μ1の10% w/v SDSを添加し、55℃で10分間インキュベートして細胞を溶解した。10mlのTEをさらに添加し、細胞溶解物をRNAse(50μg/ml)およびプロテイナーゼK(30μg/ml)と共に37℃で1時間インキュベートした。次にDNAをCsC1密度勾配遠心により精製した。
E.co1i株はLB(Luria Bertani)培地(NaC1、10g/l;トリプトン、10g/1;イースト抽出物、10g/1)または2XTY培地(NaCl、5g/1;トリプトン、16g/1:イースト抽出物、10g/1)に生育させた。組換えプラスミドを含有するE.co1iによる、PHBまたはPHAの産生には(NH42SO4濃度を0.04%に減少させ変更した最小培地を用いた。
A.eutrophus株はトリプチカーゼソイブロス(TSB、BBL Microbiology systems、 Cockeysvi11e、 Md)または0.39g/1 MgSO4:0.45g/1 K2SO4;12ml 1.1m H3PO4;15mg/1 FeSO4 7H2O;24ml痕跡元素(20mg/1 CuSO45H2O; 100mg/1 ZnSO46H2O;100mg/1 MnSO44H2O; 2.6g/1 CaCl22H2O)を含有する限定最小培地に生育させた。pHはNaOHで6.8に調整し、培地はオートクレーブで滅菌した。窒素源としてNH4Clを最終濃度0.1%または0.01%になるように添加し、フルクトースを最終濃度0.5〜1%(W/V)になるように添加した。
プラスミドDNAの調製は、Ish−HorowiczおよびBurke、Nucleic Acids Res.、9.2989−2998(1981)の記載に従いBirnboimおよびDolyのNucleic Acids Res.、7.1513−1523(1979)の方法で行った。λ DNAはManiatisら、Mo1ecular Cloning : A Laboratory Manual.(Co1d Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY 1982)に記載の標準的方法で調製した。DNA配列はM13mp18およびM13mp19クローニングベクターを(Yanisch−Perronら、Gene33、103−109(1985))用いてSangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74、5463−5467(1977)のジデオキシ鎖終結法により分析した。α−[35S]−dATPおよびDNAポリメラーゼ1のクレノウ断片はAmershamから購入した。配列データはVAXシステムでコンパイルし分析した。
ランダムなZ.ramigeraクロモソームDNA断片の組換えライブラリーを、YoungおよびDavis、Science、222、778−782(1983)の記載に従いλgt11発現ベクターに構築した。Z.ramigera DNAはAnderson、 Nucleic Acids、9、3015−3026(1981)の教示に従いまずEcoRIメチラーゼを用いてメチル化し、次にMg2+の存在下にDNAse 1で部分消化した。部分消化したDNA断片の末端をクレノウポリメラーゼで修復し、EcoRIリンカーを添加し、過剰量のEcoRIでDNAを完全に消化した。2−8 kbの断片を1.5%アガロースゲルでサイズ選別し、電気溶出により精製し、EcoRI消化されたホスファターゼ処理λgt11のDNAにライゲートした。ライゲーションは2μgのλgt11 DNAおよび1μgの断片化クロモソームDNAを用い全量10μlで、4℃で18時間行った。完全なライゲーション反応物はインビトロでManiatisら(1982)の記載に従い、E.co1i株BHB2688およびBHB2690、HohnおよびMurray、Proc.Natl.Acad.Sci.、 USA、74、3259−3263(1977)から調製したλ抽出物を用いてパッケージした。パッケージしたファージはE.co1i Y1088を用いてプレートにまき増幅させた。
λgt11発現ライブラリーのスクリーニングは、ウサギ抗チオラーゼ抗体を用いてYoungおよびDavis、Science、222、778−782(1983)に記載の変法により行った。
制限エンドヌクレアーゼ、T4 DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼ1
はNew England Biolabsから入手し、製造業者の指示した条
件下で用いた。子牛腸アルカリホスファターゼはBoehringer Mannheim Corporationから購入した。プラスミドの精製、E.co1iの形質転換等を含む全ての慣例的DNA操作は、Maniatisら(1982)の記載した方法で行った。クロモソームDNAはA.eutrophus株から精製し、TSB中で後期対数相まで生育させた。制限酵素消化DNA試料のアガロースゲルからニトロセルロースフィルターへの転写、32P標識DNAプローブを用いたプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションはPeoplesら、J.Biol.Chem.、 262、97−102(1987)に記載されている。制限酵素分析のためのA.eutrophusの組換え株からの迅速なプラスミドの単離は、BirnboimおよびDoly、Nucleic Acids Res.7.1513−1523(1979)のアルカリ抽出法で行った。
A.eutrophusへの接合伝達
広宿主プラスミドpLAFR3またはpLAFR3の組換え誘導体のA.eutrophusへの接合移入は、Eassonら、J.Bacteriol.、169、4518−4524(1987)に記載の方法により行った。但しこの場合、受容細胞A.eutrophusはソニケートせず、また接合移入体は窒素源として0.01% NH4Cl、炭素源として1%(w/v)フルクトース、および10μg/mlテトラサイクリンを含有するA.eutrophus無機塩寒天プレートで選択した。
Tn5変異誘発のために、自然ストレプトマイシン耐性株のA. eutrophus 11599(1599 S1)を用いた。唯一のドナーとしてE. co1i MM294A(pRK602)を用いて、上記の様にpRK602(Tn5)の移入を行った。Tn5を含有するA.eutrophus株はストレプトマイシン(500μg/ml)およびカナマイシン(100μg/ml)上での生育によって選択した。
Z.ramieraチオラーゼ遺伝子の同定
チオラーゼ抗血清は精製されたチオラーゼタンパク質を用いて標準方法により、New Zealand白色ウサギの雌を用いて調製した。抗体力価はActa Pathol.Microbio1.Scand.26、507−515(1949)のオクタロニー二重拡散アッセイで評価した。精製抗体は血清から、Bigheeら、Mol.Immunol.20、1353−1357(1983)に従いプロテインAアガロースのクロマトグラフィーで調製した。約4×104個の組換えファージをE.co1i Y1090に吸着させて15cmのLBアガープレートにまき、42℃で3時間インキュベートした。次にプレートを、予め10mM IPTGで飽和させたニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schull、BA85)の上に載せ、37℃でさらに4時間インキュベートした。フィルターを取り除き、TBST(50mM Tris−HCl、PH7.9、150mM NaCl、0.05% Tween−20)で10分間洗浄し、20% v/v牛胎児血清を添加したTBST中で30分間インキュベートして、TBSTですすいだ。第一抗体は精製した抗チオラーゼ抗体(10μl)を添加したTBSTの10ml中でこのフィルターを、室温で1時間インキュベートすることにより結合させた。次にフィルターを、TBSTを各5分間ずつ3回替えて洗浄した。結合した第一抗体はビオチン−アビシン ホースラディッシュペルオキシダーゼ検出系(Clontech Laboratories)およびホースラディッシュペルオキシダーゼ発色剤(Bio−Rad Laboratories、 Richmond、VA)を用いて検出した。
タンパク質はドデシル硫酸ナトリウムゲル電気泳動により、Laemmli、Nature 222、680−685(1970)の方法で分離し、Burnetti、Ana1.Biochem.112、195−203(1981)の記載に準じてニトセルロースフィルター(SchleicherおよびSchuell BA85)に電気泳動により移した。30Vで一晩移した後、フィルターをTBS(ツイン20を含有しないTBST)ですすぎ、5%ウシ血清アルブミンを添加したTBS中でインキュベートした。次に、抗チオラーゼ血清と反応するタンパク質を、フィルターを100mlの1%ゼラチン入りTBSに2mlの抗チオラーゼ血清を添加したものと共に1−2時間インキュベートすることにより検出した。結合した第一抗体は、ヤギ抗ウサギIgGのホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体およびホースラディッシュペルオキシダーゼ発色試薬(Bio−Rad Laboratories、 Richmond. CA)を用いて検出した。
アガロースゲルから分離したDNA断片を用い、Southern,J. Mol.Biol.、 98、503−517(1975)の開発した方法に基づくSmithおよびSummers、 Anal.Biochem.109、123−129(1980)のサンドイッチブロット法によりDNAプロットを調製した。フィルターは、Rigbyら、J.Mol.Biol.、 113、237−251(1977)のニックトランスレーション法により[α−32P]dATPで高比活性(0.1〜1×108cpm/μgDNA)にラベルしたDNAプローブとハイブリダイズさせた。プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションは、シールされたポリテン(polythene)バッグ中で65℃にて行った。プレハイブリダイゼーション/ハイブリダイゼーション液は5×SSCP(1×SSCPは0.15M NaCl、0.15Mクエン酸ナトリウム、10mM Na2HPO4、10mM NaH2PO4を含有)、5×デンハー液、0.1%(w/v)SDS、10mM EDTAおよび100μg/ml超音波処理変性サケDNAを含有した。フィルターを8〜18時間プレハイダリダイズさせ、フィルター当り107cpmのラベル化DNAプローブを用いて16〜18時間バイブリダイズさせた。
溶原性λgt11組換えクローンはYoungおよびDavis、 Science、 222、778−782(1983)に記載のようにE.co1i Y1089で調製した。λファージにコードされるタンパク質の調製および分析のために、溶原菌をLB(100ml)で30℃にて、0.5 OD600に達するまで生育させた。プロファージは45℃で20分間インキュベートして誘導し、IPTGを5mMになるように添加して、誘導された溶原菌を37℃で1時間インキュベートした。細胞を集め、アッセイ緩衝液(0.1M Tris−HCl、pH7.5、5mM βメルカプトエタノール、5%(v/v)グリセロール)に再懸濁し、超音波処理により溶菌させ、遠心により細胞残渣をペレット化して、細胞抽出物を−20℃で貯蔵した。細菌溶解物のタンパク質濃度は、M.M.Bradford、Anal.Biochem.72、248−254(1976)の方法により標準としてウシ血清アルブミンを用いてアッセイした。チオラーゼ酵素のアッセイはNishimuraら、Arch.Microbio1.116、21−27(1978)の記載に従い行った。
DNA断片はMベクターmp10およびmp11にクローン化し、Sangerら、Nucleic Acids Res.10、141−158(1980)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74、5463−5467(1977)のジデオキシ鎖終結法により配列決定した。M13配列決定用プライマーおよび他の試薬はAmersham Corp. から購入した。G/Cに富む領域はMillsおよびKramer、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76.2232−2235(1979)に記載のように、dGTPの代わりにdITPを用いて再度配列決定した。コンピューターを用いた配列解析はNuC1eic Acids Res.10、141−158(1984)のStadenプログラムを用いて行った。
精製された目的のDNA1μgから、約2×105個の組換え体が得られ、これをE.co1i Y1088で増幅させた。合計105個の増幅ファージを、精製したウサギ抗チオラーゼ抗体を用いてスクリーニングした。最初のスクリーニングで10個の潜在的陽性クローンが確認された(LDBK1−LDBK10)。制限酵素分解による分析により、LDBK2−10のクローンは同一であることが示された。クローンLDBK1およびLDBK2を以下の研究のために選択した。LDBK1は3.6kbおよび0.75kbの2個のEcoRI断片を含む挿入物を有する。LDBK2は1.65kbおよび1.08kbの3個のEcoRI断片を含む挿入物を有する。
LDBK1およびLDBK2の挿入配列にコードされるタンパク質は、チオラーゼ酵素活性およびウサギ抗チオラーゼ血清との交叉反応について分析した。LDBK1およびLDBK2ファージDNAを含む溶原性株E.coli Y1089を調製した。各クローンからいくつかの溶原菌が得られ、その内の2つ、Y1089/LDBK1およびY1089/LDBK2を以下の研究に用いた。λgt11ベクターであるBNN97/λgt11の溶原菌をコントロールとして用いた。チオラーゼ酵素アッセイの結果は、Y1089/LDBK1由来のタンパク質はチオラーゼ活性をかなり含有していることを明確に示した。さらに、チオラーゼ活性はIPTG添加により、5倍より多くまでも誘導可能である。このことはチオラーゼをコードする配列の発現はλgt11ベクターに含まれるlacプロモーターの転写制御下に置かれていることを示す。Y1089/LDBK2もBNN97/λgt11も、そのタンパク質溶菌物は、IPTGで誘導した場合でさえも、有意なチオラーゼ活性を示さない。
ウサギ抗チオラーゼ抗体に対し最初に陽性反応を生じたタンパク質のサイズは、ウエスタンブロット実験により調べた。タンパク質溶菌物はSDSポリアクリルアミトゲル電気泳動で分離し、ニトロセルロースフィルターに写し、ウサギ抗チオラーゼ血清でスクリーニングした。結果は、Y1089/LDBK1のIPTG誘導およびIPTG非誘導溶菌物の両者に、免疫反応陽性の40,000ダルトンタンパク質が示された。
LDBK1挿入物の制限酵素地図を作成した。完全なチオラーゼ遺伝子領域を含有する大きな3.6kb EcoRI断片は、操作を容易とするためプラスミドベクターpUC8にサブクローンした。得られたサブクローンの一つであるpUCDKB1の制限酵素分析から、LDBK1のこの断片の制限地図を確立した。pUCDBK1のDNAは32Pで高比活性にラベル化し、Z.ramigeraクロモソームDNAをpUCDBK1の制限酵素地画に用いたのと同じ酵素で消化したものを含むニトロセルロースフィルターにハイブリダイズさせた。サザンハイブリダイゼーション実験により、5.4kbゲノム断片はpUCDBK1からの1.45kb SalI/EcoRI断片および1.05kbSalI断片の両方にハイブリダイズすることが確認された。サザンハイブリダイゼーション実験に基づき、クローン化されたpUCDBK1挿入物はZ.ramigeraゲノムに唯1つだけ示される。
pUCDBK1挿入物のDNA配列分析は、M13/サンガ−ジデオキシ鎖終結法を用いて行った。遺伝子をコードする領域を位置付けるため、6個のリーディングフレームの全てについて、各々のDNA配列をアミノ酸配列のNH2末端との相同性についてスキャンした。これらの手法を用いることにより、1.45kb EcoRI/SalI断片内の遺伝子コーディング領域を同定した。遺伝子のプラス鎖の完全ヌクレオチド配列を図1および配列表の配列番号1に示す。EcoRI部位から290bp下流には、DNA配列をNH2末端アミノ酸配列と比較して帰属されたチオラーゼ構造遺伝子の開始点がある。このNH2末端配列は、−89位からヌクレオチド1174位の終止コドン(TAG)まで伸びる単一の長いオープンリーディングフレーム内にある。セリンに始まり25残基伸びる部分は実験的に決定したNH2末端配列であり、これはDNA配列の解読による2位から26位の残基と同一である。次に、DNA配列を解読して残余の残基27位から391位(ヌクレオチド79位から1173位)までのアミノ酸配列を推定した。このようにして、ヌクレオチド1位から1174位(上記リーディングフレーム内)のDNA配列はアミノ酸391個の算出分子量40,598のポリペプチドをコードする(配列番号2)。この値はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で決定した分子量42,000と非常によく一致する。
他の2つの証拠から、この翻訳産物はチオラーゼの正しいアミノ酸配列であることが確認される。まず、活性部位ペプチドと推定されるアミノ酸配列(NH2−G1y−Met−Asn−Gln−Leu−Cys−Gly−Ser−Gly−COOH)を検索すると84位−92位残基に存在した。さらに、翻訳産物から推定されるアミノ酸組成は実験的に得られたものと非常によく一致している。1.46kb EcoRI−SalI断片のG/C含有量は66.2%と高い。分けて考えると、5’−フランキング290bpのG/C含有量は57.4%であり、構造遺伝子領域では68.4%である。アミノ酸配列から、Z.ramigeraチオラーゼが5個のシステイン残基を有することが確認される。Z.ramigera活性部位のシステインは残基Cys−89である、他の分子内または分子間ジスルフィド結合に関与するシステインはCys−125、Cys−323、Cys−377およびCys−387である。NH2末端配列の分析は、1位がセリンであることを示した。
ATG開始コドンから7ヌクレオチド上流にはE.coli配列との相同性から確認される、可能なリボソーム結合部位5’−CTGAGGA−3’がある。ある種の細菌の遺伝子で翻訳開始可能な、2つのGTGを含む他の開始コドンが、さらに上流に存在する。5’−フランキング領域を、E.coliプロモーターエレメントの”−10”および”−35”との相同性について調べることにより残基−122位から−116位に可能な”−35”領域が、また−100位から−95位に対応する”−10”領域である5’−TATAAT−3’が確認された。ポリ(T)トラクトもまた−255位から−266位に存在する。N−ホルミルメチオニン残基の除去のみがチオラーゼの翻訳後プロセシングであることが明かである。なぜなら、他の開始コドンであるATCまたはGTGはフレームからはずれているか、または構造遺伝子の開始前にインフレームの終止コドンがあるからである。
pUCDBK1の1.5Kb SalI−EcoRI断片は完全なZ.ramigeraのチオラーゼ構造遺伝子に加えて283bpの5’−フランキングDNAを含んでいる。このDNA断片がtacプロモーターのベクターpKK223−3(またはその誘導体)内に挿入された一連のプラスミド構築物を作成した。pZT3の作成のために、pUCKBK1をSalIで開裂させ、クレノウポリメラーゼで平滑末端にし、EcoRIリンカーを付加する。EcoRIで消化した後、1.5Kb断片をアガロースゲルから精製して、pKK223−3のEcoRI部位に挿入した。tacプロモーターに対して正しい方向に挿入された遺伝子を有する組換えクローンは、制限酵素分析の後E.co1i JM105を形質転換することにより確認した。
次に、チオラーゼ遺伝子の5’末端に隣接する283bpの配列が欠失した一連のクローンを構築した。pUCDBK1 DNAをEcoRIで消化し、Bal31ヌクレアーゼで処理した。SalI消化の後、断片の末端をクレノウで修復し、EcoRIリンカーを付加した。プラスミドDNAをEcoRIで開裂させ、1.2−1.4kbの正しいサイズ範囲内の断片をアガロースゲルから精製して、pKK223−3のEcoRI部位にライゲートした。目的のクローンを制限酵素地図により同定し、5’−欠失の程度をDNA配列決定により測定した。これらの一連のクローン、pZT3.1−pZT3.5の内、最も欠失の長いクローンは残った5’−フランキングDNAが84bpであった。従って続くBal31欠失を以下のように行った:pZT3.5 DNAをEcoRIで完全に消化し、Bal31ヌクレアーゼで処理した;クレノウポリメラーゼで末端を修復して、EcoRIリンカーを付加し、EcoRIおよびBamHIで完全に消化した後、チオラーゼのNH2末端領域に相当する断片をアガロースゲルから溶出して、BamHI−EcoRI消化したM13mp 11 DNAにライゲートし、E.co1i JM101上にプレートした;50個の形質転換体から一本鎖DNAを調製し、5’−欠失の程度をT−トラッキングで分析した;目的のクローンからインビトロで二本鎖DNAを調製し、EcoRI−BamHI挿入物を制限酵素消化およびアガロースゲルからの溶出により回収した。
完全なチオラーゼ遺伝子を再構築するために、pKK223−3からtacプロモーター上流のBamHI部位を欠失させた誘導体ベクター(pKK226)に、pZT3.5からの290bpのBamHI−HindIII断片をライゲートした;このC末端ベクターを次に、目的のBal31が欠失したNH2末端を再構築するために用いた;クローンpZT3.5.1およびpZT3.5.2を以下の研究に用いた。
チオラーゼのATG翻訳開始コドンに隣接した283bpのDNAの配列欠失の効果は、プラスミドpZT3.1−pZT3.5.2の産生するチオラーゼ活性レベルを分析することにより測定した。各プラスミドを含むE.coli JM105培養物の100mlをIPTGと共に15時間、インキュベートし、チオラーゼレベルをアッセイした。これらの結果のうち最も注目すべきことは、クローンpZT3.3−pZT3.5.2を用いて得られるチオラーゼの発現レベルは非常に高く、pZT3.5で最大の178U/mgが得られたことである。これは完全な283bpの5’フランキングDNAを含むプラスミドpZT3に比較して、5.9倍の増加を示している。このデータは、−84(pZT3.5)と−168(pZT3.2)との間に位置するチオラーゼ5’フランキング配列が、チオラーゼ遺伝子のtacプロモーターからの発現を強く阻害することを示す。これらの配列の位置は−84(pZT3.5)および−124(pZT3.4)の間に限定し得る。なぜならば、この領域を欠失させると、tac−誘起のチオラーゼ発現が最大レベルとなるためである。さらに−37(pZT3.5.1)まで、および−26(pZT3.5.2)までの欠失は、チオラーゼの発現レベルを増加せず、実際僅かに減少が観察された。この一連のクローンの誘導のタイムコースはpZT3と同じキネティックスに従い、欠失によってそれとわかるほど影響されないことは注目に値する。
チオラーゼプロモーターが領域−84(pZT3.5)から−124(pZT3.4)に存在するか否かを決定するために、BerkおよびSharp、Cell 12、721−732(1977)の方法に従いZ.ramigera RNAについてS1ヌクレオチド保護実験を行った。全RNAを100mlの対数増殖期中期の培養物から、Hinnenbuschら、J.Biol.Chem.258、5238−5247(1983)の熱フェノール/ガラスビーズ抽出法により単離した。5’−32Pラベル化DNAプローブは以下のように調製した:10μgのプラスミドpZT3.1DNAをAvaIで完全に消化し、続いてCIPで処理した;AvaI制限酵素断片の5’末端を、[γ−32P]−ATPおよびポリヌクレオチドキナーゼでラベル化した;EcoRI消化の後、DNAを8%アクリルアミドゲルで分離して、32Pラベル化した280bpのプローブ断片を溶出し、工クノール沈澱により回収した。プローブ(10,000cpm)および11μgRNAをプールし、凍結乾燥し、10μgハイブリダイゼーション緩衝液(40mM PIPES、pH6.4;1mM EDTA、pH8.0; 0.4M NaCl; 80%(v/v)ホルムアミド)に再懸濁して、90℃で10分間変性させ、55℃で一晩アニールさせた。2000単位のS1ヌクレアーゼを含有する235μlの氷冷S1ヌクレアーゼ緩衝液(0.25M NaCl: 30mM NaOAc; 1mM ZnSO4; 200μg一本鎖子牛胸腺DNA)を添加した後、37℃で30分間インキュベートした。反応混合物をフェノール−クロロホルムで1回抽出し、0.2M NaOAcおよび10μgイーストtRNAキャリアーの存在下でエタノール沈澱を行った。得られた断片を6%(w/v)アクリルアミド、7M尿素のDNA配列決定ゲルで分析した。サイズ標準としてマキサムギルバートのGおよびC配列決定反応を、50,000cpmの5’−32P−ラベル化プローブDNAで行った。結果は、保護された断片を明確に示し、そしてRNA開始部位が、−86位または−87位のCまたはT残基に位置することを明かに示した。コントロールは、Z.ramigera RNAの非存在下でプローブは完全に分解されることを示し、このことはチオラーゼのプロモーター領域が約10bp(−96)および35bp(−121)上流に存在することを実証する。チオラーゼの5’非翻訳領域の長さは86bpである。
誘導実験の結果から、チオラーゼ遺伝子がE.coliにおいて可溶性で触媒活性な形態で高レベルで発現し得ることを明確に示した。S1ヌクレアーゼの実験で、Z.ramigeraのチオラーゼ遺伝子の転写開始部位をヌクレオチド−86/−87位に位置付けてきた。
チオラーゼプロモーターの”−35”領域が認識され、RNAポリメラーゼを結合することが示されているけれども、転写開始速度を決定するのは”−10”領域である。例えばpZT3の場合、ベクターおよび挿入プロモーターの両方にRNAポリメラーゼ分子が同時に結合することにより、tacプロモーターから速やかに転写が開始される結果となり、次にこのtacプロモーターがZoogloeaプロモーターに結合したポリメラーゼ分子の存在により阻害されるのであろう。2つのプロモーターが接近している程、ポリメラーゼの両者への同時の結合チャンスは少なくなり、同時に阻害が低くなる。従って、これにより、酵素の発現速度を制御する1つの手段が提示される。
Z.ramigeraレダクターゼ遺伝子の確認
チオラーゼ遺伝子のプロモーター領域を確認し、チオラーゼTAG終止コドンの下流に、可能なターミネーター配列が存在しないことを確認した後、クローンpUCDBK1に存在する残余の2kbのZoogloeaDNAを配列決定して、レダクターゼ遺伝子について調べた。完全なpUCDBK1挿入またはその断片を含有する一連の発現プラスミド(pZT1〜pZT3)を、E.coli tacプロモーターベクターpKK223.3中に構築した。各プラスミドはtacプロモーターに対して発現のために正しい方向に位置するチオラーゼ遺伝子を有する。tacプロモーターはチオラーゼの発現を指令するのではなく、オペロン様タイプの機構の2.3kb下流に位置する任意の遺伝子の発現を指令すると予想するのが理にかなっている。クローンpZT1は、pUCDBK1の完全な3.8kbEcoRI Z.ramigera DNA挿入を、ベクターpKK223−3のEcoRI部位に挿入することにより構築した。続いて、pZT2をpZT1から、850bp SmaI断片を欠失させる直接的な方法で派生させた。pZT3はチオラーゼプロモーターの確認についての記載のようにして構築する。一連のtacプロモーター誘導実験は、各々の組換えクローンpZT1、pZT2およびpZT3で行った。ベクターpKK223−3をコントロールとして用いた。
各々のプラスミドを含有するE.coli細胞を生育させ、イソプロピル−β−D−カラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度2mMとなるように添加することにより誘導させた。15時間誘導を行った後、10mlの培地を収穫し、超音波で溶菌させた。次に各クローンから細胞溶解物を、酵素アッセイおよびSDS−PAGEの両者で分析した。どちらの細胞溶解物からもPHBポリメラーゼ活性は検出されなかった。3つの組換えプラスミドpZT1、pZT2およびpZT3の各々は、チオラーゼ活性を相当なレベルで示した。さらに、pZT1およびpZT2からの細胞溶解物は、NADPHを補助因子とするAcAc−CoAレダクターゼ活性を比較的高レベルで有する。NADPHを補助因子として用いる場合は、どの細胞溶解物にもレダクターゼ活性が検出されない。コントロールのpKK223−3はチオラーゼ活性もレダクターゼ活性も有さない。pZT1およびpZT2の細胞溶解物は実際に、正しいレダクターゼを含有するということを確認するために、この細胞溶解物もまたD(−)β−ヒドロキシブチリル−CoAの酸化についてアッセイした。どちらの場合にも、NADPを電子受容体として用いて酵素活性が観察された。
上記細胞溶解物の各々はSDS−PAGEでも分析した。結果は、pZT1、pZT2およびpZT3の細胞溶解物タンパク質中に42,000ダルトン付近のチオラーゼタンパク質が存在することを示す。このタンパク質はコントロールであるpKK223−3の細胞溶解物には存在しない。pZT1およびpZT2の細胞溶解物は、pZT3またはコントロールには存在しない小さな25,000ダルトンタンパク質も有し、このタンパク質はAcAcCoAレダクターゼに相当する。結果は、AcAc−CoAレダクターゼ遺伝子はチオラーゼ遺伝子の下流に位置することを示す。この酵素の完全な構造遺伝子はpUCDBK1のチオラーゼの3’末端と下流の最初のSmaI部位との間に位置するにちがいない。
レダクターゼ遺伝子の転写開始部位の確認と過剰発現
pUCDBK1の最初のSalI部位の2.3kb下流に位置する、2339bpの完全ヌクレオチド配列を図2および配列表の配列番号3に示す。チオラーゼ遺伝子のコドン使用情報を標準として用いて配列データのコンピューター分析を行い、3つのオープンリーディングフレームを同定した。pZT1およびpZT2の誘導された細胞溶解物中に存在する25,000ダルトンのバンドを、次に調製用SDS−PAGEにかけて電気溶出し、N末端タンパク質配列のデータを得た。このデータを用いて対応する遺伝子の転写開始部位を確立した。実験で決定したN末端の5個のアミノ酸は、最初のオープンリーディングフレームのDNA配列から推定される2位〜6位の残基と一致する。このリーディングフレームの翻訳により、分子量25,000のポリペプチドが推定される(配列番号4)。ヌクレオチド37位のATGに始まりTGA終止コドンヌクレオチドに終わる最初のオープンリーディングフレームの翻訳産物を図2および配列表の配列番号4に示す。これはアセトアセチルCoAレダクターゼタンパク質の推定される一次アミノ酸配列である。
クローンpZT1およびpZT2のアセトアセチルCoAレダクターゼ遺伝子はE.coliで、納得できるほど高レベルで発現可能である。しかし、両方の場合共、tacプロモーターからのレダクターゼ遺伝子の発現は、チオラーゼ構造遺伝子および5’フランキング配列の存在のために至適ではない。より単純なアセトアセチル−CoAレダクターゼ過剰産生ベクターとしてpZR14を構築した。pUCDBK1 DNAをSalIとSmaIとで完全に消化し、SalI末端をDNAポリメラーゼのクレノウ断片で修復した。EcoRIリンカーを付加しEcoRIで消化した後、断片をアガロースゲル電気泳動で分離した。アセトアセチルCoAレダクターゼ構造遺伝子に、5’末端の36bpフランキングおよび3’末端の266bpフランキングを加えたものに相当する1.05kb断片を精製し、pKK223−3のEcoRI部位にライゲートした。次に、このpZR14が、レダクターゼ遺伝子が正しい方向に入った正しい制限酵素地図を有することを確認した。pZR14の誘導実験をpZT1、pZT2およびpZT3についての記載と同様にして行った。アセトアセチルCoAレダクターゼが発現した。
A.eutrophusでのチオラーゼおよびレダクターゼ遺伝子の確認
Zoogloeaから最初の2つのPHB遺伝子を単離した方法を適用し、Zoogloeaチオラーゼ遺伝子領域を相同な配列の位置を決めるハイブリダイゼーション用プローブとして用いて、他のPHB産生種であるAlcaligenes eutrophusから遺伝子を同定し、単離し、特徴付けた。
次に、pUC8にクローン化された(クローンpAeT3)A.eutrophus DNAの2kb PstI断片の配列を分析して、A.eutrophus H16ゲノム中の対応するチオラーゼ遺伝子領域を同定した。pAeT3の下流の配列もまた、ZoogloeaクローンpUCDBK1のNADP−関与レダクターゼ遺伝子領域と相同である。Alcaligenesチオラーゼおよびレダクターゼ遺伝子の配列を図3および図4(図4は図3に示す配列の続きの配列を示している)、ならびに配列表の配列番号5に、そしてそれらの推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号6および7にそれぞれ示す。
チオラーゼおよびレダクターゼ遺伝子をpAeT3からpKK223.3にクローニングすることにより、各々の酵素の発現が得られる。ZoogloeaとA.eutrophusとでチオラーゼタンパク質配列を比較することにより、2つのタンパク質が活性部位Cys−89を含め63%について相同であることが確立された。
A.eutrophusおよびZoogloeaチオラーゼ遺伝子領域は両方とも、NocardiaおよびPseudomonas oleovaransDNAを相同な遺伝子についてスクリーニングするための、ハイブリダイゼーション用プローブとして用いた。チオラーゼ、レダクターゼおよび他の合成酵素の遺伝子を、相同な配列を有する上記以外の他の種から、同定する手法は当業者に周知である。
Z.ramigeraのPHBポリメラーゼ遺伝子の確認
Z.ramigera由来のPHBポリメラーゼは、D(−)−ヒドロキシルブチル−CoAを利用し、これらを鋳型に依存しないヘッドトゥーテイル縮合反応によるオキソエステル結合で重合し、直鎖状のポリマーを得る。これらのポリマーは、最大で10,000個のモノマーユニットを含み得、1×106以上の分子量となり得る。このポリマーは迅速に不溶性となり、細胞中で独立した顆粒として蓄積される。
広域宿主プラスミドpRK290の誘導体を基にした接合移入システムは、Dittaらの、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77、7347−7351(1980)に記載され、Z.ramigeraおよびA.eutrophusについてPHBポリメラーゼ遺伝子を単離するために、PHB陰性変異体の単離、特徴付けおよび補完性に関連して、トランスポゾン変異誘発および相補性分析が使用し得る。Schlegelらの、Arch.Microbiol.71、283−294(1970)に記載されている様に、スダンブラック染色がPHB陰性変異体の検出に用いられる。生育させ、収穫し、そしてPHBを放出させるために細胞を溶解することにより、変異体の補完性をスクリーニングし、次いでこれを精製し、その存在および分子量分布を測定し得る。溶解液中のチオラーゼ、リダクターゼおよびPHBポリメラーゼの活性もまた試験される。
A.eutrophusのPHBポリメラーゼ遺伝子の確認
これらの技術はまた、A.eutrophus H16のポリ(β)−ヒドロキシブチレート−陰性変異体の補完性を用いて、Alcaligenes eutrophus H16中にPHBポリメラーゼ遺伝子(phbC)クローニング、配列決定、および発現させることにも応用される。PHBの生合成経路の3つの酵素をコードしている遺伝子は、phbC−phbA−phbBと統合されていることが結果から示された。E.coli中で3つ全ての遺伝子を発現させたところ、この細菌では顕著なレベル(乾燥細胞の50%)のPHB産生があった。phbCは、典型的な膜タンパク質とは異なる親水性の特性の、Mr=63,900のポリペプチドをコードしており、このことは、PHBの生合成には恐らく膜複合体が含まれないことを示している。
A.eutrophus H16の誘導体(11599 S1、表1)のPHB−陰性変異体の構築、特徴付けおよび相補性のための方針をPHBポリメラーゼをコードする遺伝子(複数の遺伝子の場合も)の確認および単離に用いた。トランスポゾン変異誘発を用いたことにより、全ての興味ある株へのTn5挿入のクロモソーム中での位置決めにDNAハイブリダイゼーション分析の使用が可能となった。窒素を制限した最少寒天プレートで生育させた時の、不透明なコロニー(opaque colony)表現型により、32個の潜在的なPHB陰性変異体が確認された。3つのクラスに属するだけなのに、Tn5のDNAプローブを用いたDNAハイブリダイゼーションで32もの変異体が見つかったのは、これがPHB−欠損株を濃縮するために用いられる方法であるため、驚くことではない。次に、各クラスからの代表、即ち、PHB #2、PHB #3およびPHB #19を分析するためにさらに詳細なDNAハイブリダイゼーション実験を行った。これらの実験により、PHB #2およびPHB #3株の場合不透明な表現型を引き起こすTn5挿入はクロモソーム中、図3および図4に示した様に、phbA−phbB遺伝子からそれぞれ約1.2kbおよび1.6kb上流に位置していると結論される。PHB #19株の場合、Tn5挿入はA.eutrophusクロモソームの他の場所に位置している。
phbCの、単離および特徴付けに用いた実験方法および実験材料は以下の通りである。この実験方法および実験材料は、phbAおよびphbB遺伝子の単離に関して記述したものと類似である。
細菌株およびプラスミドは表1に示してある。培地および培養条件は上述の通りである。
Figure 2005287517
DNAの操作方法は上述したのと類似である。制限エンドヌクレアーゼのT4 DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼ1は、New England Biolabsから入手し製造者の指示に従い使用した。ウシの腸のアルカリフォスファターゼは、Boehringer Mannheim Corporationから購入した。常法のDNA操作方法は、プラスミドの精製、E.coliの形質転換、その他を含め全て、Maniatisらの記載した方法を用いて行った。クロモソームDNAは前述した様に、TBS中で対数増殖期後期まで生育させたA.eutrophus株から精製した。アガロースゲルからニトロセルロースフィルターへの制限酵素消化されたDNA試料の転写、プリハイブリダイゼーションおよび32P−標識DNAプローブとのハイブリダイゼーションは前述した通りである。制限酵素分析用の、A.eutrophusのリコンビナント株からのプラスミドの迅速な単離は、アルカリ抽出法で行った。
A.eutrohus中への接合
A.eutrophus中への、広域宿主プラスミドpLAFR3あるいはpLAFR3のリコンビナント誘導体の接合移入は、前述したのと同じ方法を用いて行った。しかしこの場合、受容細胞であるA.eutrohus細胞は超音波処理せず、そして接合移入体(Transconjugants)は、0.01%のNH4Clを窒素源、1%(w/v)のフルクトースを炭素源として10μg/mlのテトラサイクリンを含んだA.eutrohus無機質寒天プレート上で選択した。
Tn5変異誘発用には、11599(1599 S1)のA.eutrohusストレプトマイシン自然耐性株を用いた。pRK602(Tn5)の移入は、上述の様にE.coliのMM294A(pRK602)を唯一のドナーとして用いて行った。Tn5を含んだA.eutrophus株は、ストレプトマイシン(500μg/ml)およびカナマイシン(100μg/ml)上で生育させることにより選択した。
PHB−欠損変異体の増幅および確認
A.eutrophusのPHB−欠損株を確認するための増幅およびスクリーニングの方法は、SchlegelおよびOedingの、Radiation and Radioisotopes for Industrial Microorganisms. International Atomic Energy Agency、Vienna、223−231(1971)に記載されているものを使用した。約105個のKanr接合移入体(Tn5挿入変異体)のプールを、0.01%のNH4Cl、1%のフルクトースおよび100μg/mlのカナマイシンを含んだ10mlの無機質培地に接種し、そして30℃で18時間培養した。この培養物を次に100mlの同じ培地に接種し、30℃で30時間培養した。PHB−欠損変異株を増幅するために、この培養物から109の細胞を含んだ一部を、密度平衡遠心分離によりショ糖の段階グラジエントで分画し、そして0.01%のNH4Cl、1%のフルクトースおよび100μg/mlのカナマイシンを含んだ無機塩寒天プレート上に蒔いた。30℃で4から5日間生育させた後、不透明な(PHB−欠損)および白(PHB−含有)のコロニーが容易に区別できた。不透明なおよび白の両方のコロニーにより産生されたPHBのレベルを定量することにより、不透明なコロニーはPHB−欠損で、白コロニーはPHBを含有することが確認された。
タンパク質の分析
β−ケトチオラーゼ、NADPH−関与のアセトアセチル−CoAリダクターゼおよびPHB−ポリメラーゼのアッセイを行うために、100mlのA.eutrophus株の培養物を30℃で40時間TBS中で生育させた。Tn5変異体株用には100μg/mlの濃度のカナマイシンを加え、そしてpLAFR3あるいはその誘導体を含んだ株用には10μg/mlのテトラサイクリンを加えた。遠心分離で細胞を回収し、2mlの細胞溶解バッファー(10mMのTris HCl、pH8.0;5mMのβ−メルカプトエタノール;5mMのEDTA、0.02mMのフェニル−メチル−スルフォニル−フルオライド;10%v/vのグリセリン)に再懸濁し、そして超音波処理で細胞溶解した。細胞溶解液の一部を遠心分離して細胞残渣デブリスを除去し、β−ケトチオラーゼおよびアセトアセチル−CoAレダクターゼのアッセイ用とした。β−ケトチオラーゼ活性は、DavisらのJ.Biol.Chem.262、82−89(1987)に記載された様に、NADPHを補助因子として、アセトアセチル−CoAのアセトアセチル−CoAのチオリシスの速度の測定により決定された。PHBポリメラーゼアッセイは粗細胞溶解液を用いて行い、そして、FukuiらのArch. Microbiol、110、149−156(1976)に記載された様に、D−3H−ヒドロキシブチル−CoA(約2μCi/μmolの放射比活性)の取り込みレベルを測定した。タンパク質濃度は、BradfordのAnal.Biochem.72、248−254(1976)の方法により、Bioradのアッセイ溶液および標準物としてウシ血清アルブミンを用いて決定された。E.coliのmaxi−cell標識実験は、SancarらのJ.Bacteriol.137、692−693(1979)に記載された様に行った。
PBHの精製および定量
異なった株のPHBレベルを調べるために、粗細胞溶解液の100μlを5%の次亜塩素酸ナトリウム1.2mlにて37℃にて1時間処理した。不溶のPHBを次に、10分間微量遠心管で遠心分離し回収し、1mlのH2O、1mlのアセトン、1mlのエタノールで連続して洗浄し、減圧下で乾燥した。次にPHB濃度は、LawおよびSlepeckyのJ.Bacteriol.82、33−36(1961)に記載されている様に分光光度計で標準曲線を用いて定量し、mg PHB/mgタンパク質で表した。
プラスミドの構築および相補正分析
プラスミドpLA29、pLA40、pLA41およびpLA42は、pAeT29の制限酵素断片を広域宿主ベクターpLAFR3に挿入するクローニングで構築し、PHB−陰性のA.eutrophus株を相補性分析した。pLAFR3はpLAFR1の誘導体で、FriedmanのGene 18、289−296(1982)に記載され、EcoRI部位へ挿入されたpUC8ポリリンカークローニング部位を有する。pAeT9の異なった断片をpLAFR3ヘクローニングした。pLA29は、pAeT29からの15kbのEcoRI部位挿入体全体をpLAFR3のEcoRI部位へつなげることで構築した。pLA40、pLA41およびpLA42を構築するため、先ずpUC18へ対応する断片をクローニングし、プラスミドpAeT40、pAeT41およびpAeT42を生成した。次にこの断片をBamHIおよびEcoRIによる消化でpUC18から切り出し、アガロースゲル電気泳動で精製し、そしてBamHI/HindIIIで消化したpLAFR3につなげた。pAeT40を構築するため、pAeT29のDNAをNdeIで完全に消化しDNAポリメラーゼのクレノウ断片を用いて結合性末端を埋めた。アガロースゲル上で断片を分画した後、目的の7kb断片を電気溶出で精製し、pUC18のSmaI部位につなげ、そして次にE.coliのDH5α細胞を形質転換した後に制限酵素分析によりリコンビナントプラスミドpAeT40を確認した。NdeI部位の一つがこの酵素の構造遺伝子の中にあるために、この構築によりアセトアセチル−CoAリダクターゼ活性は除去される。pAeT41の構築は、SmaI/EcoRI消化されたpAeT29のDNAをアガロースゲルで分画し、そして5kbのSmaI/EcoRI断片を精製し、SmaI/EcoRI消化したpUC18につなぎ、正しいプラスミドを得た。β−ケトチオラーゼおよびアセトアセチル−CoAレダクターゼの構造遺伝子を有する2.3kbのPstI断片の欠損は、pAeT41のDNAをPstIにより部分消化し、そして再びつなぐことにより行い、pAeT42を構築した。
Tn5挿入物のハイブリダイゼー−ションによるマッピング
105個のA.eutrophus 11599 S1のTn5挿入変異体のライブラリーを構築し、そして32個の潜在的にPHB−陰性のコロニーを、前述の様に窒素制限最少プレート上での不透明なコロニー表現型で確認した。これらはさらにSouthern DNAハイブリダイゼーション分析により特徴付けられた。DNAハイブリダイゼーション実験は、制限酵素消化された各株からのクロモソームDNAを、それぞれTn5 DNAプローブ〈プラスミドpRK602)と、でA.eutrohusのphbA−phbB遺伝子座(図3)を含んだ2つのプラスミドpAeT10およびpAeT29とを用いて分析して行った。
32個の「不透明な」株は、たった三つの明確な変異体タイプの雑多なコピーを表している。これらの三つの明確な変異体タイプは、株PHB #2、PHB #3およびPHB #19で表される。株PHB #2およびPHB #3では、トランスポゾンTn5はそれぞれ2.3kbおよび0.6kbのクロモソームのPstI断片に挿入された。これらのクロモソームのPstI断片の両方は、pAeT29にクローニングされた15kbのA.eutrophusのDNA上に位置付されたが、phbA−phbB構造遺伝子上にはなかった。株PHB #19は、PstI断片にTn5を挿入したが、pAeT29プラスミド上にはなかった。
さらに詳細なDNAハイブリダイゼーション実験を、PHB #2およびPHB #3からのクロモソームDNAに対して行い、これらの変異体のそれぞれでのTn5挿入部位の位置決めをした。これらの株のそれぞれ、および野生株H16およびPHB #19からのクロモソームDNAをSalI、SmaIおよびBglIIで消化し、ニトロセルロースフィルターの両面へ転写し、そしてTn5 DNA(pRK602)プローブおよびpAeT29 DNAプローブとハイブリダイゼーションさせて、PHB #2およびPHB #3株中でのTn5挿入の位置をマッピングした。
野生株H16および、各変異株PHB #2、PHB #3およびPHB #19の生化学分析の結果を表2に示した。各株の定常相の培養物を100mlを回収し、細胞溶解し、そしてPHB含量およびβ−ケトチオラーゼ、NADP特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼおよびPHBポリメラーゼ活性に関してアッセイした。これらの生育条件下では、野生株H16は有意なレベルのPHB(1.3mgPHB/mgタンパク質、表2)を産生し、三つの酵素活性全てが高いレベルであった。変異株PHB #2およびPHB #3は、PHBを実質的に産生せず、そしてPHB #19株は野生株のレベルのたった5%しか産生しなかった(表2)。PHBポリメラーゼ活性はこれら三つの変異株全てで検出されなかったが、しかしPHB #19株の細胞溶解液中にPHBが存在していることは、酵素活性がアッセイの検出レベルよりも恐らく低いが、酵素が存在していることを示している。三つの変異体全てのβ−ケトチオラーゼ活性は、野生株H16の45%(PHB #2)から38%(PHB #19)のオーダーに減少していた。同様に、NADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼ活性は、野生株の50%付近であった。PHB−ポリメラーゼ遺伝子はphbA−phbBから上流に位置し、後者の遺伝子の発現はPHB #2およびPHB #3株の場合上流に挿入されたTn5に影響されることがこれらのデータから結論される。
A.eutrohusを挿入したpAeT29の断片を含んだ一連のプラスミドを、広域宿主ベクターpLAFR3中で構築して、PHB−陰性変異体の相補性分析を行った。
各リコンビナントプラスミドpLA29、pLA40、pLA41およびpLA42は、連結により各A.eutrophus株に導入され、そして得られた連結体は、白(PHBプラス)の表現型の復活に関して窒素制限プレート上で分析された。プラスミドpLA29、pLA40、pLA41およびpLA42は、それぞれPHB #2およびPHB #3株のクロモソーム中にTn5が挿入されたphbA−phbBから上流の領域を含み、これらの二つの株のそれぞれの変異を相補し、白いコロニーの表現型を復活している。4つのリコンビナントプラスミド全てはまた、変異株PHB #19に対して野生株コロニーの表現型を復活した。この株の場合、Tn5挿入体は各プラスミドに含まれているA.eutrophusのクロモソーム領域の外側に位置した。ベクターpLAFR3を用いた対照実験では、三つの変異株のそれぞれに導入すると不透明なコロニー表現型が得られた。
各相補株の生化学分析は、変異株の特徴付けに関して記述したように行い、そしてこれらの結果もまた表2に示してある。各変異株にpLA29を導入すると、PHBポリメラーゼ活性およびPHB生合成が復活した(表2)。さらに、約3から5倍のレベルのβ−ケトチオラーゼおよびNADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼ活性が観察された。プラスミドpLA40およびpLA41はまた、PHB−ポリメラーゼおよびPHB産生をPHB #2(表2)、PHB #3およびPHB #19に復活させたが、pLA40の場合には、phbB遺伝子はこのプラスミドの構築中に破壊された。最後に、プラスミドpLA42は、三つの変異株全てにPHBポリメラーゼ活性およびPHB産生を復活したが、phbA−phbB遺伝子は欠損していた。このプラスミドを含んだ株の場合、β−ケトチオラーゼおよびNADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼ活性は、野生株と同じレベルで残っていた(表2)。
Figure 2005287517
上述の様に、プラスミドpAeT29上に位置するphbA−phbBは、A.eutrophusプロモーターの制御下でE.coli中で発現した。PHB #2およびPHB #3株での、phbC遺伝子がphbA−phbBから上流に確認されたことと、チオラーゼおよびリダクターゼ活性の減少の観察とから、これら三つの遺伝子全てはphbCから上流に位置する単一のプロモーターから発現されていることが示された。このことから、プラスミドpAeT41およびpAeT42を含んだE.coli株の培養物を、細胞が静止期相に達するまで窒素制限条件下で生育させ、その時点で細胞を回収し、分析した。pUC18を含んだE.coliを対照として用いた。β−ケトチオラーゼ、アセトアセチル−CoAリダクターゼ、PHBポリメラーゼおよび濃度のアッセイの結果は表3に示されており、pAeT41を含んだE.coliの細胞溶解液は、各酵素活性およびPHB産生が顕著なレベルであることを示している。
上述のE.coli株のMaxi−cell分析を、プラスミドpAeT41およびpAeT42にコードされたポリペプチドの分子量の決定に用いた。このプラスミドは、pUC8ベクターのlacZプロモーターからのA.eutrophusのphbA−phbB遺伝子を発現していたので、プラスミドpAeT10もこの分析に含められた。プラスミドpAeT10およびpAeT41を含んだ試料中で、付加的なタンパク質バンドがそれぞれMr 40,000およびMr 26,000に存在した。これらのプラスミドの両方は、β−ケトチオラーゼ(Mr 41,000)およびNADP−特異的アセトアセチル−CoAレダクターゼ(Mr 26,000)をコードするphbA−phbB遺伝子を発現している。これら2つのタンパク質のいづれも、phbA−phbB遺伝子を含まないプラスミドpAeT42を含んだ細胞の抽出液中には存在しなかった。ベクターpUC8を用いた対照実験では、Mr 41,000あるいはMr 26,000にはシグナルを与えなかった。プラスミドpAeT41およびpAeT42の両者は、E.coli中でPHBポリメラーゼ遺伝子(phbC)を発現し、そしてこれらのプラスミドを含んだ細胞の抽出物を含んだ試料中には、Mr58,000のシグナルが明瞭に現れた。さらに、このタンパク質は、phbC遺伝子を含まないプラスミドpAeT10を含んだ細胞からの抽出液を含んだ試料中には存在せず、そしてpUC8を含んだ細胞の対照試料にも存在しない。Mr 30,000付近の付加的なバンドは、全ての試料中に存在し、そしてpUC8を含んだ細胞抽出液の対照実験でもまた見いだされ、それ故これはベクターのタンパク質であろうと思われる。これらのデータからE.coliで発現されているphbC遺伝子は約Mr58,000のポリペプチドをコードしていると考えられる。
Figure 2005287517
phbCのヌクレオチド配列分析
プラスミドpAeT42中にクローニングされたA.eutrophusクロモソームDNAの2kbのSmaI−PstI断片は、phbCおよび恐らく調節配列の完全な構造遺伝子を含んでいる。この断片は、上述のジデオキシ配列決定方法を用いて、DNA鎖の両方から何回も配列決定された。単一の長いオープンリーディングフレームは、ヌクレオチド820からヌクレオチド2608のTGA停止コドンまで延びている。潜在的な翻訳開始コドンは、位置842(ATG)、1067(ATG)および1097(ATG)に存在する。これらの潜在的な開始部位から翻訳すると、それぞれMr 63,940、Mr 55,513およびMr 54,483のタンパク質が生成される。位置842のATGからの翻訳生成物と、位置1067のATGからの翻訳生成物および以下に記述するP.oleovaransのPHAポリメラーゼ遺伝子の生成物との間のアミノ酸配列に顕著に相同性があることは、恐らく最初のATG(位置842)が正しいことを示している。図5および配列表の配列番号8は、SmaI部位から下流に位置するphbA遺伝子の最初の30のヌクレオチドまでの、この領域の全部のヌクレオチド配列を表している。位置842のATGから位置2609のTGAまでの、このオープンリーディングフレームの翻訳生成物もまた示してある。プラスミドpAeT42のphbC遺伝子にコードされたPHBポリメラーゼは、Mr=63,940の589アミノ酸のポリペプチドである(配列番号9)。phbA遺伝子産生物のN−末端の10個のアミノ酸もまた図5に示されている。図5に示されたヌクレオチド配列の付加的な特徴には、SmaI部位から上流で始まり、位置76のTGA停止コドンで終わる、オープンリーディングフレームのC−末端が含まれる。phbCのTGA停止コドン(位置2609)から85bp下流の位置にphbA構造遺伝子のATG開始コドン(位置2969)がある。これらのデータから、A.eutrophusのPHB生合成経路の三つの酵素は、図5に示した様にphbC−phbA−phbBとして統合された三つの遺伝子にコードされていることは明白である。
E.coli中でphbCのみを発現させると、PHBあるいは顕著なレベルのPHBポリメラーゼ活性のいづれも産生されない(プラスミドpAeT42)。E.coliはA.eutrophusのphbA−phbB遺伝子が存在しないと、PHBポリメラーゼを基質としてD−(−)−ヒドロキシルブチリル−CoAを合成できない様である。pAeT42の挿入体はphbC用のプロモーターおよび構造遺伝子を含んでいるので(プラスミドpLA42はPHB−陰性変異株の全て相補する、表2)、E.coli中では使用できる基質がない場合に、PHBポリメラーゼは活性がないか分解されると考えられる。
PHBポリメラーゼをコードする、プラスミドpLA42中にA.eutrophusクロモソームDNAを挿入した核酸配列は、Mr 63,940の単一のポリペプチド(図4)を予測させる。PHBポリメラーゼは以前には精製および特徴付されていないが、E.coliのmaxi−cell実験の結果はこのペプチドがMr=58,000であることを示し、遺伝子配列から予想されるのと良く一致している。
何年もの間、(D)−β−ヒドロキシブチリル−CoAの重合は、膜に結合したポリメラーゼが関与し、サイトプラズムの水性の環境と疎水性の結晶性PHB顆粒との間に一種のバリアーを形成する、と提唱されていた。PHBポリメラーゼポリペプチドの親水性の性質は、典型的な膜貫通構造を示唆しない。さらに、Methylobacteriusの天然のPHB顆粒のNMRによる研究では、高度に結晶性で固体の状態とは逆で、これらの顆粒は流動性の状態であることが示された。これらのデータを合わせると、PHBの生合成には複雑な膜に結合した重合系を全く必要としないという考えに保証を与える。文献で提案されたPHBポリメラーゼ用の機構には二つの部分的反応が含まれる。最初のアシル−S−酵素中間体の形成の次に、第二の反応でプライマー受容体への転移が起こる。PHBポリメラーゼの予測される一次構造には5つのシステイン残基Cys246、Cys319、Cys382、Cys438およびCys459がある。
P.oleovarans PHAポリメラーゼ遺伝子の確認
Pseudomonas oleovarans中でのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)ポリエステルの生合成に関与する遺伝子もまた以下の様に単離された。
1983年にde SmetらはJ.Bacteriol. 154、870−878で、Pseudomonas oleovarans TF4−1L(ATCC 29347)により産生されるポリマーであるポリ−β−ヒドロキシオクタノエートを確認した。引き続きの研究で、P.oleovaransは、使用する炭素源に依存して一連のPHAバイオポリマーを産生し得ることが示された。炭素源は、例えば、n−アルカンおよび1−アルケン(Lageveenら、Appl.Environ.Microbiol. 54、2924−2932(1988))、あるいは脂肪酸(Brandlら、Appl.Environ.Microbiol. 54、1977−1982(1988)である。この経路は、アルカン/アルケンの脂肪酸への変換を含む様であり、次にこの脂肪酸がβ−酸化経路に入り、β−ヒドロキシアセチル−CoAのD異性体の形成が起こり、PHAポリメラーゼによりポリマー中に取り込まれる。1)チオラーゼ/リダクターゼ酵素を有さない、あるいは2)PHAポリメラーゼはβ−ヒドロキシルブチレートを基質として使用できないことから、P.oleovaransは、β−ヒドロキシルブチレートの取り込みを示していない。P.oleovaransのPHAポリメラーゼに使用される広い範囲の基質により、この酵素をコードする遺伝子は、ポリエステルのバイオポリマー工学において特別の興味をもたれている。
Z.ramigeraのβ−ケトチオラーゼ遺伝子をDNAハイブリダイゼーションプローブとして用い、A.eutrophusのβ−ケトチオラーゼおよびNADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼを単離するために用いたアプローチを、上述の通り行い、P.oleovaransのPHAポリメラーゼ遺伝子を単離した。P.oleovaransクロモソームDNAのサザンDNAハイブリダイゼーションにより、A.eutrophusのPHBポリメラーゼ遺伝子(phbC)に高い相同性を示す6kbのEcoR1制限酵素断片が確認された。この6kbのEcoR1制限酵素断片は、E.coliプラスミドベクターであるpUC18中に標準的な方法でクローニングされ、プラスミドpPO23を得た。A.eutrophusのphbC遺伝子にハイブリダイゼションする領域は、図6に示した様に位置づけされた。完全な6kbの断片のヌクレオチド配列分析により、三つの潜在的なタンパク質コード領域(図6に示されたオープンリーディングフレームORF1、ORF2およびORF3)が確認された(配列番号10)。ORF1は、ヌクレオチド554のATG開始コドンから始まりヌクレオチド2231のTGA停止コドンで終わる(図7、図8および図9。図8に示される配列は図7に示される配列の、そして図9に示される配列は、図8に示される配列の続きの配列をそれぞれ示す)。このオープンリーディングフレームは、A.eutrophusのphbC遺伝子とハイブリダイゼーションするpPO23挿入領域に含まれている。
ORF1は、Mr=62,300ダルトンの559アミノ酸のポリペプチドをコードしている(配列番号11)。ORF1を翻訳して推定したタンパク質の配列と、A.eutrophusのPHBポリメラーゼとを、プログラムALIGNを用いて比較し、二つのタンパク質の間に52%の同一性のあることが判明した。ORF3は、位置2297のATGから始まり、位置3146のTAAで終わり、そしてMr=64,400ダルトンの577アミノ酸のタンパク質をコードしている(配列番号13)。ORF1およびORF3の推定されたポリペプチド産生物は、phbC遺伝子産物と40%および42%の絶対同一性があった。単離され試験し得た全てのPHA陰性株はORF1で相補され、この遺伝子が通常に発現されるPHAポリメラーゼをコードしていることが確認された。ORF3はまた、PHAポリメラーゼをコードしていると信じられている。しかし、遺伝子発現試験はORF3が通常は発現されないことを示している。
ORF2は、位置2297のATGから始まり位置3146のTAAで終わり、そしてMr=31,400ダルトンの283アミノ酸のタンパク質をコードしている(配列番号12)。この遺伝子は、PHAデポリメラーゼをコードしていると考えられる。
PHB、PHAおよび類似ポリマーの合成
以上により、A.eutrophusのPHB生合成遺伝子をE.coliへ導入することにより、新しいPHB産生株を構築することか可能で、乾燥細胞重量の50%までのPHBの蓄積が得られることが確立された。新しいあるいは改良されたポリエステル産生株の構築が、多くのシステムで、A.eutrophusからのPHB生合成遺伝子、あるいはP.oleovaransからのPHAポリメラーゼ遺伝子およびORF2およびORF3のいづれかにより現在可能となった。A.eutrophusのβ−ケトチオラーゼおよびP.oleovarans中のNADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼ遺伝子を、広域宿主発現ベクターpNM185(Mermodら、J.Bacteriol. 167、447−454(1986)、あるいはpERD20/pERD21(Ramosら、FEBS LETTERS 226、241−246(1986)の中で、xylSプロモーターの制御下で発現するプラスミドが構築し得る。あるいは、広域宿主tacプロモーター発現ベクターpMMB24/pMMB22(Bagdasarianら、Gene 26、273−282(1983))による。これらと同じベクターが、A.eutrophusのPHBポリメラーゼ遺伝子あるいはプラスミドpPO23にクローニングされた三つのP.oleovarans遺伝子の発現に使用し得る(図6)。
二つのプラスミドpLAP1およびpLAP2が構築され、これらはP.oleovaransのPHAポリメラーゼ遺伝子およびORF2(pLAP1)あるいはPHAポリメラーゼ遺伝子およびORF2プラスORF3(pLAP2)をA.eutrophusのphbCプロモーターの制御下で発現するはずである(図5)。
これらのプラスミドを構築するため、phbCプロモーターを含んだプラスミドpAeT42中のA.eutrophus挿入体の最初の810ヌクレオチドを含んだ、810bpのSmaI−BstB 1制限酵素断片をE.coliベクターpUC19中の唯一のSmaI部位につなげ、プラスミドpAeTB1を得た。Fsp1消化したpPO23のDNAの端から170bp上流までエクソヌクレアーゼBal31を用いて除去し、P.oleovaransのPHAポリメラーゼ遺伝子プロモーターを除去し、そして引続きCla1で消化することによりPHAポリメラーゼ構造遺伝子プラスORF2を回収し、そしてこの断片をSmaI/Cla1消化したpBLSK+ベクター(Stratagene、La Jolla、CA 92037)にクローニングした。pPOB10の挿入は、PHAポリメラーゼ構造遺伝子のATG開始コドン(ヌクレオチド535、図7)からすぐ上流の19bpを含むことで、完全なPHAポリメラーゼ構造遺伝子およびORF2であることを確認した。構造遺伝子とORF2は次に、2.6kbのBamHI−Xho1断片上に回収され得、そしてBamHI/SalI消化したpAeTB1につなげ、プラスミドpAeP1を得た。phbCプロモーター−PHAポリメラーゼ構造遺伝子−ORF2構築物を含んだpAeP1の完全な挿入体を、次に3.4のEcoR1−HindIII断片に切り取り、そして広域宿主ベクターpLAFR3のポリリンカー領域にクローニングし、A.eutrophus株中にとりこんだ。pAeP2を構築するために、pPOB10からの2.6kbのBamHI−Cla1断片と、ORF3を含んだpPO23からの2.5kbのCla1−Xho1断片とを、BamHI/SalI消化したpAeTB1とつなげ、pAeP2を得た。もう一度、phbC−PHAポリメラーゼ−ORF2−ORF3構築物を、5.9kbのEcoR1−HindIII断片として切り取り、そしてpLARF3のポリリンカー領域ヘクローニングし、pLAP2を得た。pLAP1は、A.eutrophus中のPHAポリメラーゼおよびORF2の両方を発現するはずであり、そしてpLAP2はそれに加えてORF3を発現するはずである。もしこれらの遺伝子が発現されないなら、β−ケトチオラーゼおよびNADP−特異的アセトアセチル−CoAリダクターゼ遺伝子用に上述した、広い宿主領域を有する発現ベクターに挿入し得る。
PHBポリメラーゼおよびPHAポリメラーゼ遺伝子は、細菌および植物システム中では、PHAポリマーの産生の役に立たないことを証明しなければならない。しかし、クローニングされ特徴付けられた遺伝子は、さらに二つのポリメラーゼの融合による構築あるいは化学的変異誘発により改変し得る。機能的なポリメラーゼ酵素は次に、表現型による外観あるいは増大した密度によりポリマーの蓄積が検出できる適切な生物体中で選択できる。これは、酵素の特異性を変える、新規のポリメラーゼを創製するための直線的なアプローチである。
酵素の発現レベルの変化によるポリマー合成の改変
Z.ramigera、A.eutrophus、N.salmonicolor、およびP.oleovaransで示した様に、一連の生物体からのポリマー遺伝子および遺伝子産生物の単離および特徴付けの後、遺伝子産生物の発現を制御する手段が確立し得る。Zoogloeaのチオラーゼ遺伝子の過剰生産は、Z.ramigeraの転写開始部位およびプロモーターを定義するために使用する実験で示された。過剰産生は酵素を均一まで精製することを可能にし、そして分析および基質特異性の比較のための試薬に用い得る量を与える。加えて、精製された酵素は、in vitroのポリマー合成用の立体特異的基質の合成に使用し得る。さらに、ポリマーの過剰生産に対応する転写調節機構が一連の環境条件下で解明されたなら、既知のポリマーおよび新規のポリマーの酵素的合成用のin vitroシステムが開発され、新しい物質が提供される。この新しい物質は、次にこのポリマーの最適の利用がなされる様に、化学組成、分子量およびレオロジー特性に関して分析される。
E.coli中でのZ.ramigeraチオラーゼの過剰生産システムは、合成されたtacプロモーターを用いて構築され、一連のチオラーゼ発現プラスミドを生成し、E.coli細胞中に導入された最適の構築体が総可溶性細胞タンパク質の約20−30%のチオラーゼを与える。この方法は試薬に用い得る量のチオラーゼを与え、平均150mgの純粋なチオラーゼが1Lの培養物から得られる。
Z.ramigeraおよびA.eutrophusの遺伝子調節が起こると予想される本質的に二つの条件がある;栄養制限条件下で炭素が不足した細胞に引続いて炭素源を与え、次いで栄養制限条件下で生育した細胞が大量のPHBを蓄積させ、そして栄養制限条件を取り去ると、PHBの分解が起こる。
ポリマーの生合成遺伝子の転写調節は、以下の様に決定される。種々の条件下で生育した培養物を、酵素アッセイ(チオラーゼ、リダクターゼおよびシンセターゼ)およびRNA精製の両方ために回収する。RNA試料をクローニングされた遺伝子をプローブとして、一連のノーザンハイブリダイゼーション実験で分析する。有用なRNAハイブリダイゼーションの方法論には、RNAのグリオキシル化(McMasterおよびCarmichaelのProc.Natl.Acad.Sci.USA 74、4835(1977));ホルムアルデヒド/アガロースゲル電気泳動(LehrachらのProc.Natl.Acad.Sci.USA 16、4743(1977));ニトロセルロースあるいはナイロンフィルターへの移動(ThomasのProc.Natl.Acad.Sci.USA 77、5201(1980));およびニックトランスレーションにより32Pで標識したDNAプローブとのハイブリダイゼーション(RigbyらのJ.Mol.Biol. 113、237(1977))が含まれる。DNAプローブは、クローンpUCDBK1(Z.ramigera);およびpAeT3(A.eutrophus)から調製した。これらの実験の結果の一つとして、遺伝子のオペロンの統合およびmRNAの長さの確定ができた。
それぞれの生合成酵素のレベルを操作し、そしてポリマー合成におけるその効果をモニターした。速度制限酵素(あるいは複数の場合も有り得る)を過剰産生することで経路の流量を増大させるためには、生合成経路中の速度制限酵素(あるいは複数の場合も有り得る)を確認することが必要である;各酵素の過剰生産の効果は、異なるモノマーユニットの取り込み、即ちブチレートで生育させたA.eutrophusにより産生されたコポリマー中のPHB:PHVの比率に影響する;そして一つの種からの遺伝子を他の種の中で発現させ、例えば、Zoogloeaの遺伝子をA.eutrophusで、およびその逆に、および他の生物体からの他の単離および特徴付けられた不均一な遺伝子を、例えばNocardiaおよびP.oleovaransをZoogloeaおよびA.eutrophus中で発現させる。
複数の宿主生物体中でポリマー生合成遺伝子を過剰生産させるためには、これらの細菌中で機能する広域宿主発現ベクターを使用しなければならない。一つの例として、遺伝子投与量による酵素の過剰生産を行った。例えば、プロモーター領域を含んだ完全なpUCDBK1挿入体は、ベクターpSUP104(A.Pobler編集のMolecular Genetics of the Bacteria−Plant Interaction、(Spring−Verlag、NY 1983)中にSimonらが記載)ヘクローニングし得、そしてZ.ramigera I−16−Mを形質転換するのに使用し得る。各酵素の過剰生産の度合は酵素アッセイでモニターされ得る。同様のアプローチが、いかなる数の他の遺伝子にも行い得る;例えば、チオラーゼ;チオラーゼおよびリダクターゼ;リダクターゼ;リダクターゼおよびシンセターゼ、その他。第二に、遺伝子は、高効率のプロモーター、即ちtac(GillらのJ.Bact. 167、611−615(1986)およびtol(MermodらのJ.Bact. 167、447−454(1986)の転写調節下に置き得る。この場合構築物は、対応した遺伝子を欠損した変異体へ連節される。ポリマーの生合成遺伝子あるいは目的の遺伝子の発現は、次に過剰生産のレベルを酵素アッセイを用いてモニターし定量することで、厳密に調節し得る。各構築物を試験するので、ポリマー合成の効果、即ち合成の速度およびレベルをルーチン的にモニターすることができる。
得られる基質あるいは酵素の特異性を変えることによるポリマー合成の改変
異なった細菌によって産生されたPHBあるいはPHAの分子量を決定する因子は、種々の細菌により産生されたポリマーの分子量分布を分析することで解明できる。多くのPHB−生産微生物が、D(−)−ヒドロキシルブチレート以外のモノマーをポリマー鎖に組み込む能力にはほとんど疑問はない。A.eutrophusにより産生されたPHB−PHVコポリマーの場合、プロピオネートが先ずプロピオニル−CoAに変換され、次にこれがβ−ケトチオラーゼの基質として働くと提案されている。過剰生産システムから得られる高い収量の純粋な酵素が、三つのPHB−生合成酵素のそれぞれが利用し得る代わりの基質の範囲を決定するために必要であり、そして得られる基質が厳格に制御し得るin vitroシステム中で、種々のタイプのPHB−様の新ポリマーが合成され得る。
チオラーゼおよびリダクターゼ酵素は、PHBおよびPHB−様のポリマーの生合成の本質的な部分であるが、生成される新しいタイプのポリマーを最終的に決定するのはPHBポリメラーゼである。このことは、その多くは細胞中に入らず、そのため発酵工程によるPHBへの取り込みを試験できない基質についても、全部の範囲の基質を試験することが、酵素を用いたin vitroシステムの開発により、容易となった。
一つ以上のリダクターゼ酵素の過剰産生および精製により、酵素の反応速度および特異性を比較する手段が提供された。Zoogloeaのリダクターゼは、NADP−特異的であると報告されているが、A.eutrophusの酵素は明かにNADあるいはNADPのいづれかを使用する。この酵素の立体特異性は、この酵素をPHBポリメラーゼの研究用のD−基質の合成用の有用な試薬として得る。アセトアセチル誘導体の内試験されるものは、CoAのオキソエステルおよびオキソパンテテインピヴァロエート(OPP)およびそのメチレン誘導体である。このメチレンアナログのオキソエステルではなくケトンがZoogloeaのチオラーゼにより分解される。
種々のより長い鎖のアルキル誘導体が、特にC5からC8の直鎖の3−オキソチオールエステル、オキソエステルおよびメチレンケトン、もまたPHBポリメラーゼの基質として有用であり得、B.megaterium中のC5−C8−β−ヒドロキシアルカノエートが存在すれば、オレフィン、アルコールおよびエポキシドも基質として有用であり得る。
Z.ramigeraの粗抽出物中の、L−ヒドロキシルブチリルCoAではなくD−β−ヒドロキシルブチリルCoAはPHBポリメラーゼの基質である。他のD−ヒドロキシルアシルCoA種も代わりの基質あるいはD−β−ヒドロキシバレリルCoA(HV−CoA)の様な共基質として利用できると予測されている。[2−3H]HB−CoAおよびβ−[3−14C]−HV−CoAは、それぞれ酵素的あるいは化学的合成により簡単に調製でき、そして基質として使用し得、そして沈澱したあるいはゲル濾過で分離したポリマー中の3Hおよび14C含量あるいは比率をモニターし得る。ブロックコポリマー領域、例えば(HB)500(HV)1000(HB)500'は、例えば、HB−oxo−CoAおよびHV−S−CoAモノマーの様な基質の比率および延長期での脱離基を慎重に制御することで構築し得ると予測できる。
分岐したβ−ヒドロキシアシルCoA類を含んだ付加的な他の基質も試験し得る。この様な化合物は通常細胞中へ輸送されないので、全細胞中では試験は行えない。他の基質は、正常な[14C]−PHB形成の阻害に関して、先ず可溶性の[14C]−HBCoAを不溶性のポリマーに取り込ませることで、次いで共重合の共基質として、そして最後にホモポリマー化で、試験され得る。代わりの基質は、HB−CoA’に対するKm、Vmax、および、キャリブレートされたゲル濾過実験で決定されるポリマーサイズで試験される。
連続してPHBを産生する方法
PHBは、栄養制限条件下、通常は窒素制限条件(例えば、0.1%窒素、種に依存する)で生育させると、細菌中で産生され貯蔵され、酸素、リン酸あるいは他の非−炭素栄養源を制限してもまたPHB合成および貯蔵は誘起される。例えば、窒素固定細菌Azotobacter beijerinckiiは、酸素制限下、グルコース/アンモニウム塩で生育すると、乾燥細胞重量の70%までをPHBとして蓄積する。利用可能な酸素を増大させるとPHB合成が減少し、そして二つの生合成酵素のレベルの減少を伴う。酵素レベルの減少は遺伝子レベルで働いている調節機構(あるいは複数の場合も有り得る)を反映する。Alcaligenes eutrophusの生育の窒素制限は、乾燥細胞重量の80%までのPHB収量を与える。同様に、HalobacteriumおよびPseudomonas sp.も窒素制限下でPHB産生を増大させる。
非制限条件下では、通常はPHBを産生する生物体中のPHBは、分解酵素により迅速に分解する。制限条件下の生育で蓄積されたPHBは非制限条件下では分解されないので、この分解酵素が不活性な様にあるいは欠失している様に、これらの生物体を変異することができる。これらの細菌を生育させるために、PHBは培地中に排出されても良い。あるいは、PHBを代謝(生合成および分解)しない必須酵素を生物体へ導入し、その生物体に制限条件下で大量のPHBを蓄積させ、そして条件が非制限に変化したときに、生物体が培地中へPHB放出するようにし得る。
制限および非制限条件をくりかえすことで、最大量のPHBを蓄積することができ(ポリマー含量の関数として増殖する細菌の吸光度に基づき)、細菌の複製を促進する非制限条件へ変化させることで、蓄積されたポリマーを培地中へ放出させる。細菌を破壊することなくポリマーを含んだ培地を連続除去することで、生物体は通常の発酵システムで培養できる。
植物中での発現、および、PHBおよびPHAポリマーの産生
上述の様に細菌発現システムを用いて、チオラーゼ、リダクターゼ、および/あるいはPHB用のポリメラーゼ、あるいはPHAをコードしている遺伝子は、種々の種の植物中で発現され得、所望するポリマー性の産生物を産生する。この様なシステムの利点は、石油に基づくプラスティックヘの依存の減少、および種々の土壌の上で生育可能な植物用の経済的に有用な作物の創製、等で即座に明白となる。
植物の遺伝子工学用の第一に要求されることは、外来DNAを植物組織へ運搬
するシステムである。現時点で最も一般的なベクターは、Agrobacterium tumefaciensの腫瘍誘起(Ti)プラスミドであり、感染によりDNAを運搬する。カリフラワーモザイクウイルスあるいはGeminiウイルスベクターを基にしたベクターの様な、植物DNAウイルスもまたベクターとして使用し得る。植物細胞へ直接遺伝子を転移する多くの方法があり、プロトプラストによる化学的に刺激されたDNAの取り込み、エレクトロポーレーション、無処理の植物細胞のエレクトロインジェクション、リポソームを介したプロトプラストの形質転換、および植物への直接注入によるDNA形質転換、が含まれる。化学的に刺激した取り込みは、プロトプラストをドナーおよびキャリアーDNAを13%(w/v)のポリエチレングリコールの存在下で40mMのCaCl2中でインキュベートすることが必要である。ポスト−インキュベーションを行い、CaCl2濃度を徐々に上昇させると共にPEG濃度を徐々に低くする。エレクトロポーレーションは、高い電圧の電気パルスを用い、細胞膜を可逆的に透過性とし、DNAを含む大きな分子の取り込みを容易にする。電気注入および直接注入は、最初にプロトプラストの形成を行う必要がないという利点を有する。これらの方法は、当業者には既知である。例えば、C.P.LichtensteinおよびS.L.Fullerによる総説、”Vectors for the genetic engineering of plants”、Genetic Engineering、 P.W.J.Rigby編集vol.6、104−171(Academic Press Ltd. 1987)を参照。
遺伝子は、サイトプラズム、ミトコンドリア、あるいはクロロプラストヘ、直接あるいはターゲッティング用配列のいづれかを用いて、導入し得る。ベクターおよびターゲッティング用配列および植物用のプロモーターは、当業者に既知であり、そしてPharmacia−LKB Biotechnology、800 Centennial Ave.、Piscataway、NJ 08854−9932およびStragene、La Jolla、CAから市販されている。
有用な炭素基質を産生する全てのタイプの植物は、ポリマー産生のために改良し得る。植物中でのポリマーの産生に関して用いる場合、用語「ポリマー」は、PHB、PHA、および開示したポリメラーゼを使用して脂肪酸から合成される炭素を基にした新規のポリマーを含む。もしも植物が適切な脂肪酸を形成しない場合、チオラーゼおよびリダクターゼ遺伝子を一つあるいはそれ以上のポリメラーゼと共に植物に導入し得る。A.eutrophusのポリメラーゼは、C4およびC5基質を重合する。P.oleovaransのポリメラーゼは、C6からC18の脂肪酸の様に、より長い基質に働き、短い鎖の脂肪酸には働かない。好ましくは変異誘発により、グリセリンエステルおよび脂肪酸分解経路をブロックして植物が適切な基質を形成する様に改変し得る。
遺伝子は、全てのタイプの植物へ導入し得る。広く生育され、これらの遺伝的システムは良く特徴付けられているために、トウモロコシ、小麦および米の様な、穀物植物が好ましい。他の有用な農耕用の植物には、タバコおよび高脂肪種子植物、特に荒れ他あるいは無機塩を含んだ土壌で生育するこれらの変種が含まれる。
これらの遺伝子は、また、植物細胞培養システムヘも導入でき、これらの多くは当業者に既知である。種々の穀物および他の農耕用の作物の培養は、D.A.Evans、W.R.SharpおよびP.V.Ammirato編集のHandbook of Plant Cell Culture vol.4(Macmillan Publishing Co.NY 1986)に詳細に記載されている。多くの遺伝子研究が行われた植物システムの特別な例は、Arabidopsis thalianaである。細菌中での産生に関して記述したように、細胞培養中でのポリマー産生は、クローニングされた遺伝子の導入のみならず、基質および条件の変化により操作できる。
本発明の、炭素−炭素骨格を有するポリヒドロキシブチレートおよびポリヒドロキシブチレート−様のポリマーを、上述の詳細な記述に従ったリコンビナント技術を用いて作る方法、および得られるポリマー、の改変および変更は当業者には明白である。この様な変更および改変は添付した請求項の範囲内にあるものと見なされる。
Zoogloea ramigera由来のチオラーゼの遺伝子配列を示す図である。転写開始部位(太い矢印)の上流(−100から−95、および−122から−116)で、E.co1i”−10”および”−35”コンセンサス領域と相同な位置にある配列を下線で示す。リポソーム結合部位と考えられる部位を下線で示す(−11から−8)。 クローンpUCDBK1のチオラーゼ遺伝子の下流にある、アセトアセチルCoAレダクターゼをコードするZ.ramigera DNAの2.3kbの完全なヌクレオチド配列を示す図である。初めのSalI部位から次のSmaI部位まで伸びる2094bpの配列が示されている。ヌクレオチド37のATGからヌクレオチド760のTGA終止コドンまで伸びるアセトアセチルCoAレダクターゼ構造遺伝子の翻訳産物も示す。四角で囲んだアミノ酸残基2位から6位は、精製タンパク質のエドマン分解で得られる配列と同一である。可能なリボソーム結合部位を下線で示し、可能なターミネーターは矢印で示す。SalIおよびSmaIの制限酵素部位が示されている。 プラスミドpAeT3にクローニングされたA.eutrophusDNAの、相当する2kb断片のヌクレオチド配列の一部を示す図である。図4と合わせてこの2kb断片の全体を示し、ヌクレオチド40〜1219および1296〜2034に伸びるA.eutrophusチオラーゼとアセトアセチルCoAリダクターゼ遺伝子との転写産物を示す。図4と合わせて過剰産生ベクターpATおよびpARの構築に用いた制限エンドヌクレアーゼ開裂部位もまた示される。Pst1=Pst1;Ava=2およびDde=Dde1。 プラスミドpAeT3にクローニングされたA.eutrophusDNAの、相当する2kb断片のヌクレオチド配列の一部を示す図である。図3に示す配列の続きの配列を示す図である。 Alcaligenes eutrophus H16のPHBポリメラーゼ(phbC)遺伝子座のヌクレオチド配列を示す図である。オープンリーディングフレーム842位から2608位の転写産物で、推定するPHBポリメラーゼのアミノ酸配列を示す。phbA遺伝子の最初の72個のヌクレオチドの転写産物も示す。ヘアピン構造を形成可能な配列(2660位)を矢印で示す。 P.oleovarans PHAポリメラーゼ遺伝子の可能なコーディング領域、オープンリーディングフレームORF1、ORF2、およびORF3を示す図である。ORF1は開始コドンATGのヌクレオチド554に始まって終止コドンTGAのヌクレオチド2231に終わり、アミノ酸559個からなるMr=62,300ダルトンのポリペプチドをコードする。ORF2は開始コドンATGのヌクレオチド2297に始まってTAAのヌクレオチド3146に終わり、アミノ酸283個からなるMr=31,400ダルトンのタンパク質をコードする。ORF3はATGのヌクレオチド3217に始まってTGAのヌクレオチド4948に終わり、アミノ酸557個からなるMr=64,400ダルトンのタンパク質をコードする。 P.oleovarans phbC遺伝子を含有する6kb断片の完全なヌクレオチド配列分析の一部を示す図である。図8および図9と合わせてこの6kb断片の全部の配列を示す。 P.oleovarans phbC遺伝子を含有する6kb断片の完全なヌクレオチド配列分析の一部を示す図である。図7に示す配列の続きの配列を示す図である。 P.oleovarans phbC遺伝子を含有する6kb断片の完全なヌクレオチド配列分析の一部を示す図である。図8に示す配列の続きの配列を示す図である。

Claims (3)

  1. 単離されたポリヌクレオチドであって、以下の、
    (1)
    Figure 2005287517
    Figure 2005287517
    で示されるヌクレオチド配列を有するか、又は
    (2) 上記(1)のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、且つPseudomonas oleovaransのポリヒドロキシアルカノエートポリメラーゼ陰性株に対してC6〜C12基質が重合されるポリヒドロキシアルカノエート・ポリマー生産能を相補するヌクレオチド配列を有し、
    ここで、該ハイブリダイゼーションは、5×SSCP(1×SSCPは、0.15M NaCl、0.15M クエン酸ナトリウム、10mM NaHPO、および10mM NaHPOを含む)、5×デンハート液、0.1%(w/v) SDS、10mM EDTAおよび100μg/ml超音波処理変性サケDNAを含む溶液中で16から18時間の期間、65℃の温度で実施されることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
  2. 前記ポリマーの炭素源としてn−アルカン、1−アルケン又は脂肪酸を利用し得る細菌から得られることを特徴とする、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
  3. ポリエステルバイオポリマーを製造する方法であって、以下の工程:
    (a)細菌宿主細胞に、適切な調節配列の支配下にある請求項1又は2に記載のポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを導入して、C6〜C12基質をポリマーに重合し得るポリヒドロキシアルカノエートポリメラーゼを発現させる工程;
    (b)前記工程(a)で発現が確認された宿主細胞を増殖させる工程:
    (c)前記工程(b)での宿主細胞に、少なくとも1つ以上のC6〜C12基質単位を含有するポリヒドロキシアルカノエート・ポリマーの生産のための基質を供給する工程;及び
    (d)前記宿主細胞からポリエステルバイオポリマーを回収する工程、
    を含むことを特徴とする、前記方法。
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