JP5787360B2 - 1,3−ブタンジオール生産機能を付与された遺伝子組換え微生物及びその利用 - Google Patents
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Description
〔1〕下記(1)の酵素活性が増強された遺伝子組換え微生物であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性
〔式1〕
〔式2〕
〔2〕〔1〕に記載の式1及び式2におけるRが共にメチルである、発酵性基質から1,3-ブタンジオールを生成する〔1〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔3〕〔2〕に記載の、発酵性基質から生成する1,3-ブタンジオールが(R) 又は (S) の光学活性1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔4〕〔1〕(1)に記載の式1で表される反応を触媒する酵素が、国際酵素分類 においてEC 1.2.1.10に分類される酵素であることを特徴とする〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
〔5〕〔1〕(1)に記載の式1で表される反応を触媒する酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(a)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するタンパク質。
〔6〕〔1〕に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(2)の酵素活性が増強された遺伝子組換え微生物であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアルキルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-アルキルジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)
〔式1〕
〔式2〕
〔式3〕
〔7〕〔6〕に記載の式1〜3におけるRが共にメチルであり、発酵性基質から1,3-ブタンジオールを生成するという特徴を有する、〔6〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔8〕〔7〕に記載の発酵性基質から生成する1,3-ブタンジオールが(R)又は (S) の光学活性1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〔6〕又は〔7〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔9〕〔6〕に記載の式3で表される反応を触媒する酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素であることを特徴とする、〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(a)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
〔10〕〔1〕に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(3)の酵素活性が増強された遺伝子組換え微生物であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存して3-オキソアシル−CoAを還元し、3-ヒドロキシアシル−CoAを生成する酵素活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式4〕
〔11〕〔10〕に記載の式1及び式2におけるRが共にメチルであり、発酵性基質から式5で表される(R)-1,3-ブタンジオールを生成する〔10〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔式5〕
(a)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
〔13〕〔10〕に記載の式1及び式2におけるRが共にメチルであり、発酵性基質から式6で表される(S)-1,3-ブタンジオールを生成する〔10〕に記載の遺伝子組換え微生物。
〔式6〕
(a)配列番号:19に記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:19に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:20に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:20に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:19に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
〔15〕〔1〕に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(4)の酵素活性が増強された遺伝子組換え微生物であって、発酵性基質から式2で表される(R) 又は (S) の光学活性1,3-ブタンジオールを生成する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素としてβ-ヒドロキシブチリル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(4)式7で表される2分子のアセチル-CoAからアセトアセチル-CoAの生成を触媒するβ−ケトチオラーゼ活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式7〕
〔16〕〔15〕に記載の式7で表される反応を触媒する酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素であることを特徴とする、〔15〕に記載の遺伝子組換え微生物。
(a)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:22、24、又は26のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:22、24、又は26のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
〔17〕〔1〕に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(2)から(4)の酵素活性が増強された遺伝子組換え微生物であって、発酵性基質から式2で表される(R)又は (S) の光学活性1,3-ブタンジオールを生成する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素としてβ-ヒドロキシブチリル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシブチルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-ブタンジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)、
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存してアセトアセチル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチリル-CoAを生成する酵素活性、及び
(4)式7で表される2分子のアセチル-CoAからアセトアセチル-CoAの生成を触媒するβ−ケトチオラーゼ活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式3〕
〔式4〕
〔式7〕
〔18〕宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする、〔1〕から〔17〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
〔19〕〔1〕から〔18〕のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物の培養物、菌体、およびその処理物からなる群から選択される少なくとも一つの活性物質と、発酵性基質を接触させる工程、及び、式2で表される1,3-アルキルジオールを回収する工程を含む、式2で表されるジオール化合物の製造方法。
〔式2〕
〔20〕前記生成ジオール化合物が式5で表される(R)-1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〔19〕に記載のジオール化合物の製造方法。
〔式5〕
〔22〕前記発酵性基質が、糖類、グリセロールからなる群から選択される〔19〕から〔21〕のいずれかに記載のジオール化合物の製造方法。
〔23〕前記発酵性基質が、グルコース、ラクトース、キシロース、スクロース、グリセロールからなる群から選択される〔22〕に記載のジオール化合物の製造方法。
〔24〕遺伝子組換え微生物を培養する工程と、ジオール化合物を生産させる工程を分けて行うことを特徴とする、〔19〕から〔23〕のいずれかに記載のジオール化合物の製造方法。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性
〔式1〕
本発明において、式1に表される通りNADH及び/又はNADPHを補酵素として、3-ヒドロキシブチリル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチルアルデヒドを生成する酵素としては、IUBMB(INTERNATIONAL UNION OF BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY)により、アルデヒド+CoA+NAD+ = アシル−CoA+NADH+H+の反応を触媒するacetaldehyde:NAD+ oxidoreductase(CoA-acetylating)の系統名が付けられているEC1.2.1.10に分類される酵素を挙げることができる(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/)。EC番号とは、酵素を反応形式に従って系統的に分類するための4組の数字より成る番号で、国際生化学分子生物学連合の酵素委員会によって定義づけられている酵素の番号である。具体的には、ブタノール発酵経路を有する微生物において、ブタノールの生合成経路中のブチリル-CoAをNADHもしくは又はNADPH依存的に還元しブチルアルデヒドの生成を触媒する酵素(例えばブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ)を挙げることができる。本酵素もしくは類似の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子は一般に adhEと命名されている。
(a)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するタンパク質。
ある特定の配列番号に記載のアミノ酸配列において、たとえば100以下、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、あるいは5以下のアミノ酸残基の変異は許容される。一般にタンパク質の機能の維持のためには、置換するアミノ酸は、置換前のアミノ酸と類似の性質を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸残基の置換は、保存的置換と呼ばれている。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性としては、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、Hisが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は許容される。
100mM Tris-HCl緩衝液(pH 6.5)、70mM セミカルバジド(pH 6.5)、0.2mM NADH、0.2mM 3−ヒドロキシブチリル-CoA、又は、ブチリル−CoA、必要に応じて1mM DTTからなる組成液を、30℃、3分間平衡化した後、BCDHを含む無細胞抽出液を添加し、アシル-CoAの還元におけるNADHの減少に伴う340nmの吸光度の減少を測定する。目的とする酵素が酸素存在下では失活するような場合は、嫌気雰囲気下(窒素雰囲気下)で反応液の調製、及び、反応を行う。この条件下、1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量を1Uとする。また、タンパク質の定量は、Bovine Plasma Albuminを標準タンパク質として、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアルキルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-アルキルジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)
〔式1〕
〔式2〕
〔式3〕
(a)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
50mM MES緩衝液(pH 6.0)、0.2mM NADH、20mM 3−ヒドロキシブチルアルデヒド、又は、ブチルアルデヒド、必要に応じて1mM DTTからなる組成液を、30℃、3分間平衡化した後、BDHを含む無細胞抽出液を添加し、アルキルアルデヒドの還元におけるNADHの減少に伴う340nmの吸光度の減少を測定する。目的とする酵素が酸素存在下では失活するような場合は、嫌気雰囲気下(窒素雰囲気下)で反応液の調製、及び、反応を行う。1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量を1Uとする。また、タンパク質の定量は、Bovine Plasma Albuminを標準タンパク質として、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存して3-オキソアシル−CoAを還元し、3-ヒドロキシアシル−CoAを生成する酵素活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式4〕
(a)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、又は
(e)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
(a)配列番号:19に記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:19に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:20に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:20に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、又は
(e)配列番号:19に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
100mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、0.2mM NAD(P)H、0.2mM アセトアセチル-CoA、必要に応じて1mM DTTからなる組成液を、30℃、3分間平衡化した後、3HBDを含む無細胞抽出液を添加し、アセトアセチル-CoAの還元におけるNAD(P)Hの減少に伴う340nmの吸光度の減少を測定する。1分間に1μmolのNAD(P)Hの減少を触媒する酵素量を1Uとする。また、タンパク質の定量は、Bovine Plasma Albuminを標準タンパク質として、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素としてβ-ヒドロキシブチリル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(4)式7で表される2分子のアセチル-CoAからアセトアセチル-CoAの生成を触媒するβ−ケトチオラーゼ活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式7〕
〔式9〕
(a)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質、
(b)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:22、24、又は26のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:22、24、又は26のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:21、23、又は25のいずれかに記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有する酵素。
100mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)、10mM 塩化マグネシウム、0.2mM CoA、0.05mM アセトアセチル-CoA、必要に応じて1mM DTTからなる組成液からなる組成液を、30℃、3分間平衡化した後、β-ケトチオラーゼを含む無細胞抽出液を添加し、Mg2+- アセトアセチル-CoA複合体の分解を303nmの吸光度の減少で測定する。1分間に1μmolのアセトアセチル-CoAが減少を触媒する酵素量を1Uとする。また、タンパク質の定量は、Bovine Plasma Albuminを標準タンパク質として、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
100mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)、2.0mM NADH、0.2mM アセチル-CoA、2.0U Clostridium acetobutylicum由来の3−ヒドロキシブチリル-CoA デヒドロゲナーゼからなる組成液を、30℃、3分間平衡化した後、β-ケトチオラーゼを含む無細胞抽出液を添加し、アセチル-CoAの縮合に続くアセトアセチル-CoAの還元におけるNADHの減少に伴う340nmの吸光度の減少を測定する。1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量を1Uとする。また、タンパク質の定量は、Bovine Plasma Albuminを標準タンパク質として、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素としてβ-ヒドロキシブチリル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシブチルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-ブタンジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)、
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存してアセトアセチル-CoAを還元し、3-ヒドロキシブチリル-CoAを生成する酵素活性、及び
(4)式7で表される2分子のアセチル-CoAからアセトアセチル-CoAの生成を触媒するβ−ケトチオラーゼ活性
〔式1〕
〔式2〕
〔式3〕
〔式4〕
〔式7〕
エシェリヒア(Escherichia)属
バチルス(Bacillus)属
シュードモナス(Pseudomonas)属
セラチア(Serratia)属
ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属
ストレプトコッカス(Streptococcus)属
ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌
ロドコッカス(Rhodococcus)属
ストレプトマイセス(Streptomyces)属等宿主ベクター系の開発されている放線菌
サッカロマイセス(Saccharomyces)属
クライベロマイセス(Kluyveromyces)属
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属
チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属
ヤロウイア(Yarrowia)属
トリコスポロン(Trichosporon)属
ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属
ピキア(Pichia)属
キャンディダ(Candida)属等宿主ベクター系の開発されている酵母
ノイロスポラ(Neurospora)属
アスペルギルス(Aspergillus)属
セファロスポリウム(Cephalosporium)属
トリコデルマ(Trichoderma)属等宿主ベクター系の開発されているカビ
エシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとして、例えばpBR、pUC系プラスミドを利用でき、lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、trc (lac、trpの融合)、λファージ PL、PR等に由来するプロモーター等が利用できる。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーター等を用いることができる。
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984)等のプラスミドベクターが利用可能である。
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクター等が利用可能である (J. Gen. Microbiol. 138,1003 (1992))。
クライベロマイセス属、特にクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)においては、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNA等との相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGK等に由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))、菜種、トウモロコシ、またはジャガイモ等の植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており好適に利用できる。
〔式2〕
また、上記方法に好適に使用される微生物としては、上述した各段階における好適な酵素を機能的に発現する形質転換体を上げることができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
[実施例1]Ralstonia eutropha由来のβ-ケトチオラーゼ遺伝子のクローニング
ペプトン 5g/L、Meat extract 3g/LからなるpH 7.0に調製した50mLの液体培地に、Ralstonia eutropha DSM 531を接種し、30℃、21時間、振とう培養した。
得られた培養液から遠心分離によって集菌し、その菌体からゲノムDNAを採取した。ゲノムDNAは、Genomic Tip-100/G(QIAGEN製)Kitにより調製した。
Ralstonia eutropha DSM 531より得られたゲノムDNAに含まれるphbA遺伝子(以下、ReTHL遺伝子と称す、DDBJ ID=J04987、アミノ酸配列 配列番号:21、塩基配列 配列番号:22)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれReTHL-A3、ReTHL-T3)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
ReTHL-A3(配列番号:27)
gacggtacctatatATGACTGATGTTGTCATCGTATCC
ReTHL-T3(配列番号:28)
cacaagcttaTTATTTACGTTCAACTGCCAGCGC
ReTHL遺伝子の全体を含むプラスミドの作製を図1に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をKpnI、HindIIIで二重消化し、KpnI-HindIII処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、ReTHL遺伝子の発現プラスミドpSQ-RET1を作製した。
実施例1で作製したプラスミドpSQ-RET1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株E.coli JM109 (pSQ-RET1) を得た。この形質転換株を以下の方法により培養を行った。
Tryptone 10g/L、Yeast extract 5g/L、NaCl 10g/LからなるpH7.2に調製したLB培地7mLを含む21mmφ試験管に形質転換株を接種し、30.0℃、18時間、攪拌速度250rpm、好気条件下にて培養した。その後、最終濃度0.1mMとなるようにIPTGを添加し、30.0℃、4時間、攪拌速度250rpm、好気条件下にて誘導発現を行った。
得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性を、THL活性測定法−1によって測定したところ、47.1U/mgであった。
実施例1と同様に、Zoogloea ramigera DSM 287からゲノムDNAを採取した。
得られたゲノムDNAに含まれるphbA 遺伝子(以下、ZrTHL遺伝子と称す、DDBJ ID=J02631、アミノ酸配列 配列番号:23、塩基配列 配列番号:24)のクローニングを行うために、6種のPCRプライマー(それぞれZrTHL-A2、ZrTHL-T2、ZrTHL-Nco-F1、ZrTHL-Nco-F2、ZrTHL-Nco-R1、ZrTHL-Nco-R2)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
ZrTHL-A2(配列番号:29)
gacggtacctatatATGAGTACTCCATCAATCGTC
ZrTHL-T2(配列番号:30)
cacaagcttaTTAAAGACTTTCGATGCACATCGC
ZrTHL-Nco-F1(配列番号:31)
GGAATCCATGTCAATGGCCCCG
ZrTHL-Nco-F2(配列番号:32)
GCTCGATTCAATGGCGAAGC
ZrTHL-Nco-R1(配列番号:33)
CAATGCGGGGCCATTGACATGG
ZrTHL-Nco-R2(配列番号:34)
CGGAGCTTCGCCATTGAATCGAG
これら3種のDNA断片を鋳型として、ZrTHL遺伝子の全ORFの構築を行った。すなわち、PfuUltra用buffer中に、3種のDNA断片と2 種の PCR プライマー(ZrTHL-A2、ZrTHL-T2)と0.2mM dNTPと3.0UのPfuUltraを組成とする50μLの溶液を調製し、これを95℃、30秒;55℃、30秒;72℃、1分20秒を1サイクルとして30サイクル繰り返した。その結果、約1.2kbのDNA断片が増幅された。
ZrTHL遺伝子を含むプラスミドの作製を図2に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をKpnI、HindIIIで二重消化し、KpnI-HindIII処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、ZrTHL遺伝子の発現プラスミドpSQ-ZRT1を作製した。
実施例3で作製したプラスミドpSQ-ZRT1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQ-ZRT1) を得た。この形質転換株を実施例2に記載の方法により培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のZrTHL活性を、THL活性測定法−1によって測定したところ、31.8U/mgであった。
実施例1に記載の方法により、Escherichia coliからゲノムDNAを採取した。
得られたゲノムDNAに含まれるatoB遺伝子(以下、EcTHL遺伝子と称す、DDBJ ID=AP009048、アミノ酸配列 配列番号:25、塩基配列 配列番号:26)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれEcTHL-A1、EcTHL-T1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
EcTHL-A1(配列番号:35)
gacggtacctatatATGAAAAATTGTGTCATCGTCAG
EcTHL-T1(配列番号:36)
cacaagcttaTTAATTCAAGCGTTCAATCACCATC
EcTHL遺伝子を含むプラスミドの作製を図3に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をKpnI、HindIIIで二重消化し、KpnI-HindIII処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、EcTHL遺伝子の発現プラスミドpSQECTH1を作製した。
実施例5で作製したプラスミドpSQECTH1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109(pSQECTH1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のEcTHL活性を、THL活性測定法−2によって測定したところ、5.61U/mgであった。
実施例1にて調製したRalstonia eutropha DSM 531のゲノムDNA含まれるphbB遺伝子(以下、ReAR1遺伝子と称す、DDBJ ID=J04987、アミノ酸配列 配列番号:9、塩基配列 配列番号:10)のクローニングを行うために、4種のPCRプライマー(それぞれReAR1-A3、ReAR-T3、ReAR-Nco-F1、ReAR-Nco-R1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
ReAR-A3(配列番号:37)
gaggaattcatatATGACTCAACGTATTGCGTATGTG
ReAR-T3(配列番号:38)
cagactagtaTTAGCCCATGTGCAGGCCG
ReAR-Nco-F1(配列番号:39)
CATGGCTTCACTATGGCACTGGC
ReAR-Nco-R1(配列番号:40)
GCCAGTGCCATAGTGAAGCCATG
これら2種のDNA断片を用いてReAR1遺伝子の全ORFの構築を行った。すなわち、PfuUltra用buffer中に、2種のDNA断片と2 種の PCR プライマー(ReAR-A3、ReAR-T3)と0.2mM dNTPと3.0UのPfuUltraを組成とする50μLの溶液を調製し、これを95℃、30秒;55℃、30秒;72℃、1分を1サイクルとして30サイクル繰り返した。その結果、約800bpのDNA断片が増幅された。
ReAR1遺伝子を含むプラスミドの作製を図4に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびReAR1遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTHRA1を作製した。
実施例7で作製したプラスミドpSQTHRA1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTHRA1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ReAR1活性を3HBD活性測定法によって測定したところ、それぞれ41.3U/mg、6.12U/mgであった。
実施例3にて調製したZoogloea ramigera DSM 287のゲノムDNA含まれるphbB遺伝子(以下、ZrAR1と称す、WO 9100917、アミノ酸配列 配列番号:11、塩基配列 配列番号:12)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれZrAR-A2、ZrAR-T2)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
ZrAR-A2(配列番号:41)
gaggaattcatatATGAGTCGTGTAGCATTGGTAAC
ZrAR-T2(配列番号:42)
cagactagtaTTAGACGAAGAACTGGCCG
ZrAR1遺伝子を含むプラスミドの作製を図5に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびZrAR1遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTHZA1を作製した。
実施例9で作製したプラスミドpSQTHZA1をHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109(pSQTHZA1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ZrAR1活性を3HBD活性測定法にて測定したところ、それぞれ72.9U/mg、0.582U/mgであった。
グルコース 4g/L、Yeast extract 4g/L、Malt extract 10g/L、からなるpH 7.2に調製した50mLの液体培地(YM培地)に、Streptomyces violaceoruber IFO 15146 を接種し、28℃、24時間、振とう培養した。
得られた培養液から遠心分離によって集菌し、その菌体からゲノムDNAを採取した。ゲノムDNAは、Genomic Tip-100/G(QIAGEN製)Kitにより調製した。
得られたゲノムDNAに含まれるactIII遺伝子(以下、SvKR1遺伝子と称す、DDBJ ID=M19536、アミノ酸配列 配列番号:15、塩基配列 配列番号:16)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれSvKR-A4、SvKR-T4)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
SvKR-A4(配列番号:43)
gaggaattcatatATGGCCACGCAGGACTCC
SvKR-T4(配列番号:44)
cagactagtaTTAGTAGTTCCCCAGCCCG
SvKR1遺伝子を含むプラスミドの作製を図6に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびSvKR1遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTHSK1を作製した。
実施例11で作製したプラスミドpSQTHSK1をHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTHSK1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、SvKR1活性を3HBD活性測定法にて測定したところ、それぞれ7.71U/mg、0.0547U/mgであった。
ポリペプトン 10g/L、Yeast extract 2g/L、MgSO4・H2O 1g/LからなるpH 7.0に調製した50mLの液体培地に、Geobacillus stearothermophilus NBRC 12550を接種し、50℃、21時間、振とう培養した。
得られた培養液から遠心分離によって集菌し、その菌体からゲノムDNAを採取した。ゲノムDNAは、Genomic Tip-100/G(QIAGEN製)Kitにより調製した。
得られたゲノムDNAに含まれるβ-ケトアシル-ACP還元酵素遺伝子(以下、BstKR1遺伝子と称す、特開 2002-209592、アミノ酸配列 配列番号:13、塩基配列 配列番号:14)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれBstKR-A3、BstKR-T3)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
BstKR-A3(配列番号:45)
gaggaattcatatATGTCTCAACGTTTTGCAGGTC
BstKR-T3(配列番号:46)
cagactagtaTTAACATTTTGGACCACCTGC
BstKR1遺伝子を含むプラスミドの作製を図7に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびBstKR1遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTHBSKを作製した。
実施例13で作製したプラスミドpSQTHBSKをHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTHBSK) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、BstKR1活性を3HBD活性測定法にて測定したところ、それぞれ99.0U/mg、1.494U/mgであった。
ATCC より購入したゲノムDNAに含まれる3−ヒドロキシブチリル−CoA デヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、CaHBD遺伝子と称す、DDBJ ID=AE001437、アミノ酸配列 配列番号:19、塩基配列 配列番号:20)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれCaHBD-A1、CaHBD-T1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
CaHBD-A1(配列番号:47)
gaggaattcatatATGAAAAAGGTATGTGTTATAGGTGC
CaHBD-T1(配列番号:48)
cagactagtaTTATTTTGAATAATCGTAGAAACCTTTTCC
CaHBD遺伝子を含むプラスミドの作製を図8に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびCaHBD遺伝子を有する共発現プラスミドpSQRTCH1を作製した。
実施例15で作製したプラスミドpSQRTCH1をHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQRTCH1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ReAR1活性を3HBD活性測定法にて測定したところ、それぞれ13.8U/mg、63.2U/mgであった。
グルコース10g/L、ペプトン(大豆由来) 5g/L、Yeast extract 3g/L、Malt extract 3g/L、からなるpH 7.0に調製した50mLの液体培地に、Pichia finlandica DSM 70280を接種し、25℃、24時間、振とう培養した。
得られた培養液から遠心分離によって集菌し、その菌体からゲノムDNAを採取した。ゲノムDNAは、Genomic Tip-100/G(QIAGEN製)Kitにより調製した。
得られたゲノムDNAに含まれる(R)-2-オクタノールデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、PfODH遺伝子と称す、DDBJ ID=AB259114、アミノ酸配列 配列番号:17、塩基配列 配列番号:18)のクローニングを行うために、6種のPCRプライマー(それぞれPfODH-A3、PfODH-T3、PfODH-Xba-F1、PfODH-Xba-R1、PfODH-Hind-F1、PfOHD-Hind-R1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
PfODH-A3(配列番号:49)
gaggAATTCTAAAATGTCTTATAATTTCCATAACAAGGTTGC
PfODH-T3(配列番号:50)
tcgACTAGTATTATTGTGCTGTGTACCCACCGTCAACC
PfODH-Xba-F1(配列番号:51)
GGCTCTGGAGTACGCATCTCATGGTATTCGTGTAAATTC
PfODH-Xba-R1(配列番号:52)
GAATTTACACGAATACCATGAGATGCGTACTCCAGAGCC
PfODH-Hind-F1(配列番号:53)
GTAAGCCTGCACCCTATTGGGCGTCTGGGTCGTC
PfODH-Hind-R1(配列番号:54)
GACGACCCAGACGCCCAATAGGGTGCAGGCTTAC
これら3種のDNA断片を用いてPfODH遺伝子の全ORFの構築を行った。すなわち、PfuUltra用buffer中に、3種のDNA断片と2 種の PCR プライマー(PfODH-A3、PfODH-T3)と0.2mM dNTPと3.0UのPfuUltraを組成とする50μLの溶液を調製し、これを95℃、30秒;55℃、30秒;72℃、1分を1サイクルとして30サイクル繰り返した。その結果、約800bpのDNA断片が増幅された。
PfODH遺伝子を含むプラスミドの作製を図9に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をEcoRI、SpeIで二重消化し、EcoRI-SpeI処理した実施例1で作製したベクターpSQ-RET1と連結し、ReTHL遺伝子およびPfODH遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTHPO2を作製した。
実施例17で作製したプラスミドpSQTHPO2をHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTHPO2) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。その菌体に1mM DTTを含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、PfODH活性を3HBD活性測定法にて測定したところ、それぞれ74.9U/mg、0.0120U/mgであった。
100mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.4)、2.5mM NADH、2.5mM アセチル-CoAを含む組成液中に、実施例14にしたがって調製したReTHLおよびCaHBDを含む無細胞抽出液 6.2μLを加え、30℃、1時間で反応させた。その反応液に、5μL-60%(v/v)過塩素酸、5μL-5N 水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応終了させた。その反応処理液に510μL-200mM リン酸カリウム緩衝液を加え、遠心分離によって上清を得た。その上清をHPLCにより分析した結果、0.27mM 3−ヒドロキシブチリル−CoAが生成していることが確認された。
HPLCの条件は、以下のとおりである。
−HPLCカラム:和光純薬株式会社製 WakosilII 5C18HG(4.6mm x 150mm)
−溶離液: 50mM リン酸緩衝液(pH 5.0):アセトニトリル = 95:5
−カラム温度:30℃
−流速: 1.0mL/min
−検出: 254nmにおけるUV吸収
上記条件下で、3−ヒドロキシブチリル−CoAは、15.3分に溶出された。3−ヒドロキシブチリル−CoA(Sigma 製)を用いて得られた検量線に基づいて蓄積濃度を決定した。
実施例15にて得られたメガプラスミドpSOL1に含まれるアルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、CaAdhE遺伝子と称す、DDBJ ID=AE001438、アミノ酸配列 配列番号:1、塩基配列 配列番号:2)のクローニングを行うために、4種のPCRプライマー(それぞれCaAdhE2-A1、CaAdhE2-T1、CaAdhE2-Nde-F1、CaAdhE2-Nde-R1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
CaAdhE2-A1(配列番号:55)
gaccatATGAAAGTTACAAATCAAAAAGAACTAAAAC
CaAdhE2-T1(配列番号:56)
ctgttaaTTAAAATGATTTTATATAGATATCCTTAAGTTC
CaAdhE2-Nde-F1(配列番号:57)
CTATAGAAGCATACGTTTCGG
CaAdhE2-Nde-R1(配列番号:58)
CCGAAACGTATGCTTCTATAG
これら2種のDNA断片を用いてCaAdhE遺伝子全ORFの構築を行った。すなわち、PfuUltra用buffer中に、2種のDNA断片と2 種の PCR プライマー(CaAdhE2-A1、CaAdhE2-T1)と0.2mM dNTPと3.0UのPfuUltraを組成とする50μLの溶液を調製し、これを95℃、30秒;50℃、30秒;72℃、2分30秒を1サイクルとして30サイクル繰り返した。その結果、約2.6kbのDNA断片が増幅された。
CaAdhE遺伝子を含むプラスミドの作製を図10に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をNdeI、PacIで二重消化し、NdeI-PacI処理したベクターpSE420U(WO 2006-132145)と連結し、CaAdhE遺伝子を有する発現プラスミドpSUCAAH1を作製した。
実施例20で作製したプラスミドpSUCAAH1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSUCAAH1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のCaAdhEのBCDH活性を、ブチリル-CoAを基質としたBCDH活性測定法にてブチリル-CoAを基質として測定したところ、0.129U/mgであった。
CaAdhE遺伝子は、アセチル-CoA、ブチリル-CoAに作用することは知られているが、3-ヒドロキシブチリル-CoAに作用することは今までに報告されておらず、不明である。そこで、基質を3-ヒドロキシブチリル-CoAとしてBCDH活性を測定したところ、0.0237U/mgであり、ブチリル-CoAにして18%の相対活性を有していることを見出した。
50mM MES緩衝液(pH 6.0)、36mM NADH、15mM 3−ヒドロキシブチリル−CoAを含む組成液中に、実施例21にしたがって調製したCaAdhE酵素を含む無細胞抽出液 0.0938Uを加え、37℃、24時間で反応させた。その反応液を遠心分離し、沈殿物を除いた上清をHPLCにより分析した結果、3.66mM 1,3-BGが生成していることが確認された。
HPLCの条件は、以下のとおりである。
−HPLCカラム:信和化工製 ULTRON PS-80H(8.0mm x 300mm)
−溶離液: 10mM 硫酸水溶液
−カラム温度:40℃
−流速: 0.7mL/min
−検出: RI(視差屈折計)
上記条件下で、1,3-BGは、20.1分に溶出された。1,3-BG(和光製)を用いて得られた検量線に基づいて蓄積濃度を決定した。
DSMより購入したゲノムDNAに含まれるアルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、TpAdhE遺伝子と称す、アミノ酸配列 配列番号:65、塩基配列 配列番号:66)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれTpadhE-A1、TpAdhE-T1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
TpAdhE-A1(配列番号:69)
gaccatATGCCTAACTTATTACAAGAACGCCGCGAAGTAAAAGA
TpAdhE-T1(配列番号:70)
gctgttaattaaTTATTCTCCATAGGCTTTGCGATATATTTCTGC
TpAdhE遺伝子を含むプラスミドの作製を図11に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をNdeI、PacIで二重消化し、NdeI-PacI処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、TpAdhE遺伝子を有する発現プラスミドpSQTPAH1を作製した。
実施例23で作製したプラスミドpSQTPAH1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTPAH1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法により培養を行った。
上記方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のTpAdhEの3-ヒドロキシブチリル-CoA に対するBCDH/BDH活性を測定した結果、 0.00538 U/mgであり、調製した3-ヒドロキシブチルアルデヒドに対するBDH活性は、0.0619 U/mgであった。
DSMより購入したゲノムDNAに含まれるアルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下、PfALD遺伝子と称す、アミノ酸配列 配列番号:67、塩基配列 配列番号:68)のクローニングを行うために、2種のPCRプライマー(それぞれPfadhE-A1、PfAdhE-T1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
PfAdhE-A1(配列番号:71)
gaccatATGGATTTCTCATTGACCGAAGACCAGCAG
PfAdhE-T1(配列番号:72)
gctgttaaTTAACTACGGTAGTCGCGCAGTGCACC
PfALD遺伝子を含むプラスミドの作製を図12に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をNdeI、PacIで二重消化し、NdeI-PacI処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、PfALD遺伝子を有する発現プラスミドpSQPFAH1を作製した。
実施例25で作製したプラスミドpSQPFAH1をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQPFAH1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法により培養を行った。
上記方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のPfALDの3-ヒドロキシブチリル-CoA に対するBCDH活性を測定した結果、 0.0826 U/mgであった。
1,3-BG発酵生産プラスミドを構築するために、実施例20で作製したpSUCAAH1プラスミドのCaAdhE遺伝子のpSQTHRA1へのサブクローニングを図13に示す方法にて行った。すなわち、pSUCAAH1をNdeI、PacIで二重消化し、NdeI-PacI処理したベクターpSQTHRA1と連結し、ReTHL遺伝子、ReAR1遺伝子、CaAdhE遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTRCA1を作製した。
実施例27で作製したプラスミドpSQTHRA1をHanahan法により、E. coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQTHRA1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ReAR1活性を3HBD活性測定法、CaAdhEのBCDH活性を、基質をブチリル-CoAとしたBCDH活性測定法にて測定したところ、それぞれ6.46U/mg、0.952U/mg、0.118U/mgであった。
C. acetobutylicum より、bdhB遺伝子(以下、CaBDHB遺伝子と称す、DDBJ ID=AE001437、アミノ酸配列 配列番号:3、塩基配列 配列番号:4)のクローニングを行うために、6種のPCRプライマー(それぞれCaBDHB-A2、CaBDHB-T2、CaBDHB-Nco-F1、CaBDHB-Nco-R1、CaBDHB-Xba-F1、CaBDHB-Xba-R1)を設計した。以下に設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
CaBDHB-A2(配列番号:59)
ggaccATGGTTGATTTCGAATATTCAATACCAACTAGAA
CaBDHB-T2(配列番号:60)
cgatctagaaTTACACAGATTTTTTGAATATTTGTAGGACTTCGGAG
CaBDHB-Nco-F1(配列番号:61)
GATGGAAATCCGTGGGATATTGTG
CaBDHB-Nco-R1(配列番号:62)
CACAATATCCCACGGATTTCCATC
CaBDHB-Xba-F1(配列番号:63)
GTTTACCATCTCGTCTGCGTGATGTTG
CaBDHB-Xba-R1(配列番号:64)
CAACATCACGCAGACGAGATGGTAAAC
これら3種のDNA断片を用いてCaBDHB遺伝子の全ORFの構築を行った。すなわち、PfuUltra用buffer中に、3種のDNA断片と2 種の PCR プライマー(CaBDHB-A2、CaBDHB-T2)と0.2mM dNTPと3.0UのPfuUltraを組成とする50μLの溶液を調製し、これを95℃、30秒;50℃、30秒;72℃、1分30秒を1サイクルとして30サイクル繰り返した。その結果、約1.2kbのDNA断片が増幅された。
CaBDHB遺伝子の全体を含むプラスミドの作製を図14に示す方法にて行った。すなわち、PCRより得られたDNA断片をNcoI、XbaIで二重消化し、NcoI-XbaI処理したベクターpSE420Q(WO 2006-132145)と連結し、CaBDHB遺伝子を有する発現プラスミドpSQCABB2を作製した。
実施例29で作製したプラスミドpSQCABB2をHanahan法により、E.coli JM109に導入し、形質転換株 E.coli JM109 (pSQCABB2) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のCaBDHB活性を、ブチルアルデヒドを基質としたBDH活性測定法にて測定したところ、0.0971U/mgであった。
CaBDHBは、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドに作用することは知られているが、3-ヒドロキシブチルアルデヒドに作用することは今までに報告されておらず、不明である。そこで、調製した3-ヒドロキシブチルアルデヒド(3-ヒドロキシブチルアルデヒド:アセトアルデヒド=3:1)を基質としてCaBDHB活性を測定したところ、0.0462U/mgであり、ブチルアルデヒドに対する活性を100%とすると、48%の相対活性を有していることを見出した。
1,3-BG発酵生産プラスミド2を構築するために、実施例29で作製したpSQCABBプラスミドのCaBDHB遺伝子のpSQTRCA1へのサブクローニングを図15に示す方法にて行った。すなわち、pSQCABB2をNcoI、XbaIで二重消化し、NcoI-XbaI処理したベクターpSQTRCA1と連結し、ReTHL遺伝子、ReAR1遺伝子、CaAdhE遺伝子、CaBDHB遺伝子を有する共発現プラスミドpSQTRCB1を作製した。
実施例31で作製したプラスミドpSQTRCB1をエレクトロポレーション法により、E. coli W3110に導入し、形質転換株 E.coli W3110 (pSQTRCB1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ReAR1活性を3HBD活性測定法、CaAdhEのBCDH活性をBCDH活性測定法(基質:ブチリル-CoA)、CaBDHB活性をBDH活性測定法(基質:ブチルアルデヒド)にて測定したところ、それぞれ10.0U/mg、2.08U/mg、0.0298U/mg、0.124U/mgであった。
実施例27で作製したプラスミドpSQTHRA1をエレクトロポレーション法により、E. coli HB101に導入し、形質転換株 E.coli HB101 (pSQTHRA1) を得た。この形質転換株を実施例2の方法を利用して培養を行った。
上に述べられる方法にて得られた培養液を2mLのEppendorf Tubeに分注し、遠心分離によって集菌した。嫌気条件下で、その菌体に1mM DTTを含む50mM MOPS緩衝液(pH7.0)を加え、超音波破砕を行い、遠心分離によって、未破砕菌体および菌体の残渣を除いた無細胞抽出液を得た。
得られた無細胞抽出液のReTHL活性をTHL活性測定法−1、ReAR1活性を3HBD活性測定法、CaAdhEのBCDH活性をBCDH活性測定法(基質:ブチリル-CoA)およびBDH活性測定法(ブチルアルデヒド)にて測定したところ、それぞれ7.36U/mg、1.18U/mg、0.0434U/mg、0.151U/mgであった。
本実施例の目的は、E.coli JM109 (pSQTRCA1)を利用した発酵において、グルコースから1,3-BGを生産することである。
10g/L Tryptone、5g/L Yeast extract、10g/L NaCl、50mg/L アンピシリンからなるpH7.2に調製したLB培地7mLを含む21mmφ試験管に形質転換株E.coli JM109 (pSQTRCA1)を接種し、30℃、18時間、攪拌速度250rpm、好気条件下にて前培養した。
20g/L Trypton、10g/L Yeast extract、10g/L NaCl、50mg/L アンピシリンからなるpH7.0に調製した液体培地50mLを含む500mL-ヒダ付きフラスコに前培養した培養液を接種し、30.0℃、18時間、攪拌速度140rpmにて本培養した。誘導発現には、0.02mM IPTGを採用した。
発酵液2:MES緩衝液(pH6.0)、56g/L グルコースを含む組成液10mLを有する100mL-ヒダ付きフラスコに、上にしたがって本培養したE.coli JM109(pSQTRCA1)の10倍濃縮した洗浄菌体を植菌率100%となるように加え、30℃、72時間、攪拌速度100rpmとし、シリコン栓で栓をし、通気しない条件で発酵を行った。
発酵を開始してから72時間後の発酵液を2mLサンプリングし、遠心分離により菌体および不溶物を除いた上清をMillex-LH(MILLIPORE製)により濾過した濾液を実施例22と同様の条件でHPLCにより分析した。1,3-BGの生産濃度を表1に示す。プラスミドを有しないE.coli JM109を使用して、同様の発酵条件で発酵を行ったが、検出可能な1,3-BGを生成しないことが確認された。
実施例34に述べられる方法にてE.coli HB101 (pSQTRCA1)、E.coli HB101 (pSQTRCB1)の前培養および本培養を行った。
発酵液3:6.8g/L Na2HPO4、3.0g/L KH2PO4、0.5g/L NaCl、1.0g/L NH4Cl、493mg/L MgSO4・7H2O、14.7mg/L CaCl2・2H2OからなるpH 7.5に調製したM9培地、100mM HEPES緩衝液(pH 7.5)、0.02mM IPTG、30g/L グルコースを含む組成液100mLを有する500mL-ヒダ付きフラスコに、本培養したE.coli HB101(pSQTRCA1)の10倍濃縮した洗浄菌体を植菌率20%となるように加え、30℃、48時間、攪拌速度140rpmとし、シリコ栓で栓をし、発酵を行った。
発酵液4:発酵温度を37℃にしたこと以外は発酵液3と同一の様式で発酵を行った。
発酵液5:植菌する形質転換株をE.coli HB101 (pSQTRCB1)に変更したこと以外は発酵液4と同一の様式で発酵を行った。
発酵を開始してから48時間後の発酵液を2mLサンプリングし、遠心分離により菌体および不溶物を除いた上清をMillex-LH(MILLIPORE製)により濾過した濾液を実施例22と同様の条件でHPLCにより分析した。1,3-BGの生産濃度を表2に示す。
発酵液4の発酵48時間後のサンプル1mLから酢酸エチルを使用して有機層を抽出し、塩化ナトリウムを使用して塩析した。得られた抽出液を濃縮後、0.1mL 塩化アセチルを加え、25℃、10分間反応させた。得られた反応液に飽和炭酸水素ナトリウムを用いて中和した後、1mL ヘキサンを使用して有機層を抽出した。その抽出液をHPLCにより分析した結果、(R)-1,3-BGの光学純度は86.6% であった。
HPLCの条件は、以下のとおりである。
−HPLCカラム:ダイセル化学工業株式会社製 CHIRALCEL(4.6mm x 250mm)
−溶離液: ヘキサン:イソプロパノール=19:1
−カラム温度:40℃
−流速: 1.0mL/min
−検出: 220nmにおけるUV吸収
上記条件下で、(S)-1,3-BGは6.8分に、(R)-1,3-BGは8.5分に溶出された。各溶出フラクションの220nmにおけるUV吸収に基づいて光学純度を決定した。
Claims (19)
- 下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって、下記(1)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する遺伝子組換え大腸菌:
(a)配列番号:65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素
(b)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素
(c)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(d)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(e)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性
〔式1〕
〔式2〕
- 請求項1に記載の式1及び式2におけるRが共にメチルである、発酵性基質から1,3-ブタンジオールを生成する請求項1に記載の遺伝子組換え大腸菌。
- 請求項2に記載の、発酵性基質から生成する1,3-ブタンジオールが(R)‐1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遺伝子組換え大腸菌。
- 下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって、下記(1)の酵素活性が増強され、かつ、下記(f)から(j)のいずれかに記載の酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって、下記(2)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する遺伝子組換え大腸菌:
(a)配列番号:65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素
(b)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素
(c)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(d)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(e)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素
(f)配列番号:5又は7のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素
(g)配列番号:5又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素
(h)配列番号:6又は8のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(i)配列番号:6又は8のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(j)配列番号:5又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアルキルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-アルキルジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)
〔式1〕
〔式2〕
〔式3〕
- 請求項4に記載の式1〜3におけるRが共にメチルであり、発酵性基質から1,3-ブタンジオールを生成するという特徴を有する、請求項4に記載の遺伝子組換え大腸菌。
- 請求項5に記載の発酵性基質から生成する1,3-ブタンジオールが(R) -1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、請求項5に記載の遺伝子組換え大腸菌。
- 下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって、下記(1)の酵素活性が増強され、かつ、下記(f)から(j)のいずれかに記載の酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって、下記(3)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌であって、発酵性基質から式2で表される1,3-アルキルジオールを生成する遺伝子組換え大腸菌:
(a)配列番号:65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素
(b)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素
(c)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(d)配列番号:66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(e)配列番号:65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素
(f)配列番号:11、13、15、又は17のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素
(g)配列番号:11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素
(h)配列番号:12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(i)配列番号:12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素
(j)配列番号:11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存して3-オキソアシル−CoAを還元し、3-ヒドロキシアシル−CoAを生成する酵素活性
〔式1〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す。CoAは補酵素Aを表す)
〔式2〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す)
〔式4〕
(式中、R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を、CoAは補酵素Aを表す)。 - 下記(1)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌の培養物、菌体、およびその処理物からなる群から選択される少なくとも一つの活性物質と、発酵性基質を接触させる工程、及び、式2で表される1,3-アルキルジオールを回収する工程を含む、式2で表されるジオール化合物の製造方法であって、該処理物が、有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた大腸菌、乾燥菌体、または固定化大腸菌である、方法:
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性
〔式1〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す。CoAは補酵素Aを表す)
〔式2〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す)。 - 請求項9(1)に記載の式1で表される反応を触媒する酵素が、国際酵素分類 においてEC 1.2.1.10に分類される酵素であることを特徴とする請求項9又は10に記載のジオール化合物の製造方法。
- 請求項9(1)に記載の式1で表される反応を触媒する酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素である、請求項9〜11のいずれかに記載のジオール化合物の製造方法:
(a)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:2、66又は68のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:1、65又は67のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素。 - 請求項9に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(2)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌の培養物、菌体、およびその処理物からなる群から選択される少なくとも一つの活性物質と、発酵性基質を接触させる工程、及び、式2で表される1,3-アルキルジオールを回収する工程を含む、式2で表されるジオール化合物の製造方法であって、該処理物が、有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた大腸菌、乾燥菌体、または固定化大腸菌である、方法:
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(2)式3で表される、NADH及び/もしくはNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアルキルアルデヒドを還元し、式2で表される1,3-アルキルジオールの生成を触媒する酵素活性(式3は2つの反応を表すのではなく、アルデヒドからアルコール生成のみを表す)
〔式1〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す。CoAは補酵素Aを表す)
〔式2〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す)
〔式3〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す)。 - 請求項13に記載の式3で表される反応を触媒する酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素であることを特徴とする、請求項13又は14に記載のジオール化合物の製造方法:
(a)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:4、6、又は8のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:3、5、又は7のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素。 - 請求項9に記載された下記(1)の酵素活性に加えて、さらに下記(3)の酵素活性が増強された遺伝子組換え大腸菌の培養物、菌体、およびその処理物からなる群から選択される少なくとも一つの活性物質と、発酵性基質を接触させる工程、及び、式2で表される1,3-アルキルジオールを回収する工程を含む、式2で表されるジオール化合物の製造方法であって、該処理物が、有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた大腸菌、乾燥菌体、または固定化大腸菌である、方法:
(1)式1で表される、NADH及び/又はNADPHを補酵素として3-ヒドロキシアシル-CoAを還元し、3-ヒドロキシアルキルアルデヒドの生成を触媒する酵素活性、及び
(3)式4で表されるNADH及び/又はNADPHに依存して3-オキソアシル−CoAを還元し、3-ヒドロキシアシル−CoAを生成する酵素活性
〔式1〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す。CoAは補酵素Aを表す)
〔式2〕
(式中R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を表す)
〔式4〕
(式中、R基は炭素数1〜3個のアルキル基もしくは水素を、CoAは補酵素Aを表す)。 - 請求項16に記載の式4で表される反応を触媒する酵素であってR体特異的な還元酵素が、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素であることを特徴とする、請求項16又は17に記載のジオール化合物の製造方法:
(a)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:10、12、14、16、又は18のいずれかに記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:9、11、13、15、又は17のいずれかに記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有する酵素。 - 遺伝子組換え大腸菌を培養する工程と、ジオール化合物を生産させる工程を分けて行うことを特徴とする、請求項9〜18のいずれかに記載のジオール化合物の製造方法。
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