JP4587348B2 - 新規な(r)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド依存性の新規な(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素に関する。また本発明は、該酵素タンパク質をコードするポリヌクレオチド、該酵素の製造方法、該酵素を用いたアルコール、特に(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、微生物によるグルコースを原料とした(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの発酵生産において、また、微生物における2,3−ブタンジオール代謝において重要な役割を有する酵素である。またこの酵素反応によって生成する(2R,3R)−2,3−ブタンジオールは、液晶、医薬品などの合成原料として有用な化合物である。
【0003】
なお、(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素とは、2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基を選択的に酸化する活性を有する脱水素酵素であり、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとともにメソ−2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基も酸化する活性を有する。
【0004】
従来、2,3−ブタンジオール脱水素活性を有する酵素に関しては、2,3−ブタンジオールの生合成、代謝に関する研究によって、たとえば以下のような微生物において(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに対する脱水素酵素活性が報告されている(Arch. Microbiol. 116, 197-203 ,1978、J. Ferment. Technol. 61, 467-471 ,1983、J. Ferment. Technol. 62, 551-559 ,1984)。しかし、いずれも無細胞抽出液を用いた活性測定のみであり、様々な酵素が混在しているために、2,3−ブタンジオール脱水素酵素の立体選択性、比活性などの諸性質は明らかにされていない。
アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)
バチルス・セレウス(Bacillus cereus IAM 1072)、
バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans ATCC 8038)、
ミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus IAM 1056)、
ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus IAM 1097)、
ミクロコッカス・ローゼウス(Micrococcus roseus IAM 1295)、
シュードモナス・サッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila IAM 1504)、
サルシナ・ルテア(Sarcina lutea IAM 1099)、
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)
【0005】
高度に精製され、諸性質が明らかにされた酵素としては、以下に示すような酵素で2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を有することが示されている。しかし、DL体に対する活性のみでその立体選択性は報告されていない。また、ピキア・オフナエンシスを除き、2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性は、グリセロール脱水素酵素活性と同レベルかそれ以下の活性しか有せず、その比活性は一般に低い。
アクロモバクター・リキダム(Achromobacter liquidum KY 3047)由来のグリセロール脱水素酵素(特公昭 58-40467)、
バチルス・エスピー(Bacillus sp. G-1)由来のグリセロール脱水素酵素(特公平 03-72272)、
バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来のグリセロール脱水素酵素(Biochim. Biophys. Acta 994, 270-279 (1989))、
シトロバクター・フロインディー(Citrobacter freundii DSM 30040)由来のグリセロール脱水素酵素(J. Bacteriol. 177, 4392-4401 (1995))、
エルビニア・アロイデア(Erwinia aroideae IFO 3830)由来のグリセロール脱水素酵素(Chem. Pharm. Bull. 26, 716-721 (1978))、
ジオトリカム・キャンディダム(Geotrichum candidum IFO 4597)由来のグリセロール脱水素酵素(特公平 01-27715)、
ピキア・オフナエンシス(Pichia ofunaensis AKU 4328)由来のジヒドロキシアセトン還元酵素(J. Biosci. Bioeng. 88, 148-152 (1999))、
シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)由来のグリセロール脱水素酵素(J. Gen. Microbiol. 131, 1581-1588 (1985))、
【0006】
高度に精製され、かつ、2,3−ブタンジオールの(2R,3R)体に対する高い選択性が明らかにされている酵素としては、イシャリヒア・コリ(Escherichia coli W-1485)の生産するグリセロール脱水素酵素(J. Biol. Chem. 259, 2124-2129 (1984))が公知である。この酵素は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに対するVmaxが28.0U/mg−蛋白質であり、ラセミ体に対するVmaxが21.2U/mg−蛋白質であることから(2R,3R)体に対する立体選択性が示唆される。ここで、酵素1Uは、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを基質として1分間に1μmolの酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADと省略する)を還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADHと省略する)へ還元する酵素活性である。
また、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)由来の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素(Arch. Microbiol. 154, 267-273 (1990))は、2,3−ブタンジオンから(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを生産することが報告されているが、DL−2,3−ブタンジオールに対する脱水素酵素活性は20.3U/mg−蛋白質程度であり、いずれも比活性は低い。
【0007】
更に、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)より2,3−ブタンジオール代謝に関与する2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードする遺伝子がクローニングされ、大腸菌で発現されている(FEMS Microbiol. Lett. 124 (2), 141-150 (1994))が、その立体選択性は報告されていない。また、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)のゲノム解析の結果、シュードモナス・プチダ由来の2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子に高いホモロジーを有する遺伝子が同定されているが、実際に、この遺伝子を発現させ、その酵素活性、立体選択性などは確認されていない。
【0008】
(2R,3R)−2,3−ブタンジオールなどの光学活性アルコールの生産に有用な、立体選択性が高く、比活性の高い(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の探索、特に、該酵素を容易に大量生産を可能にするため、該酵素をコードする遺伝子の単離、該酵素を発現可能な形質転換体の調製は、産業上重要な課題となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、NADを補酵素として利用しうる(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の提供を課題とする。また本発明は、2,3−ブタンジオンを基質とする光学活性(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの酵素的な製造工程に利用した場合に、光学的純度の高い生成物を収率良く与えることができる(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を提供することも課題としている。
【0010】
更に本発明は、目的とする性状を備えた(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするDNAを単離し、組換え体として得ることを課題とする。加えて、新規な(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素による光学活性(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの酵素的な製造方法の提供をも課題とするものである。
【0011】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、ピキア・アンガスタ(旧名称:ハンゼヌラ・ポリモルファ)におけるグリセロール代謝に関与する酵素群に関する研究を進めてきた(Agri. Biol. Chem. 51, 2401-2407 (1987) )。本菌株においては、グリセロール代謝経路としてリン酸化経路と酸化経路の2種類が存在し、pH6.0でNADHとジヒドロキシアセトンを基質とした還元反応を触媒するグリセロール脱水素酵素I(GDH−I)とpH9.0でNADとグリセロールを基質として酸化反応を触媒するグリセロール脱水素酵素II(GDH−II)を併せ持つことが明らかになっている。
【0012】
これら2種類の酵素のうち、GDH−Iを電気泳動的に単一のバンドまで精製し、その諸性質を明らかにした結果、GDH−Iが2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基に対して高い活性と高い選択性を併せ持つ、新規な(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素であることが明らかとなった。
【0013】
更に、本酵素をコードするDNAを単離し、本酵素を高発現する組換え菌を造成し、本発明を完成した。すなわち本発明は、以下の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素、この酵素をコードするDNA、この酵素の製造方法、および用途に関する。
〔1〕次の(1)から(3)に示す理化学的性質を有する(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
(1)作用
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに作用し、(R)−アセトインを生成する。還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、2,3−ブタンジオンを還元し、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを生成する。
(2)基質特異性
酸化反応の補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。還元反応の補酵素として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。また、2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基を優先的に酸化する。
(3)比活性
精製酵素の蛋白質1mg当たり100U以上の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を有する。
〔2〕更に付加的に、次の(4)、(5)に示す理化学的性質を有する〔1〕に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
(4)至適pH
グリセロール酸化反応の至適pHが10。
(5)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるサブユニットの分子量が36,000、ゲル濾過による分子量が76,000。
〔3〕ピキア属に属する微生物によって産生される〔1〕に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
〔4〕ピキア属に属する微生物が、ピキア・アンガスタである〔3〕に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
〔5〕下記(a)から(d)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド。
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
(d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
〔6〕配列番号:1に記載の塩基配列と70%以上の相同性を有する塩基配列を含む、〔5〕に記載のポリヌクレオチド。
〔7〕配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードする、〔5〕に記載のポリヌクレオチド。
〔8〕〔5〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされる蛋白質。
〔9〕配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する〔8〕に記載のタンパク質。
〔10〕〔5〕に記載されたポリヌクレオチドを含むベクター。
〔11〕〔5〕に記載されたポリヌクレオチド、または〔10〕に記載のベクターを保持する形質転換体。
〔12〕〔11〕に記載の形質転換体を培養し、発現産物を回収する工程を含む、〔9〕に記載の蛋白質の製造方法。
〔13〕ピキア属に属し、〔1〕に記載の酵素、または〔8〕に記載のタンパク質を産生する微生物を培養する工程を含む、〔1〕に記載の酵素、または〔8〕に記載のタンパク質の製造方法。
〔14〕ピキア属に属する微生物が、ピキア・アンガスタ(Pichia angusta)である〔13〕に記載の製造方法。
〔15〕〔1〕に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素、〔8〕に記載のタンパク質、それらを産生する微生物、およびそれらの処理物からなる群から選択されるいずれかの酵素活性物質を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの存在下でケトンに作用させ、生成するアルコールを回収する工程を含むアルコールの製造方法。
〔16〕微生物が、〔11〕に記載の形質転換体である〔15〕に記載のアルコールの製造方法。
〔17〕ケトンが、2,3−ブタンジオンであり、アルコールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオールである〔15〕に記載のアルコールの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、補酵素としてNADを利用しうること、2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基を優先的に酸化すること、また、NADHを補酵素として2,3−ブタンジオンを還元し、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを生成することによって特徴付けられる。
【0015】
本発明において、(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及びグリセロールに対する酸化活性で表され、次のようにして確認することができる。
【0016】
(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに対する酸化活性測定法:
100mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、2.5mM NADH、50mM(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び酵素を合む反応液中30℃で反応させ、NADHの増加にともなう340nmの吸光度の増加を測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADHの増加を触媒する酵素量とする。また、タンパク質の定量は、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法により行う。
【0017】
グリセロールに対する酸化活性測定法:
100mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、2.5mM NADH、100mMグリセロール及び酵素を合む反応液中30℃で反応させ、NADHの増加にともなう340 nmの吸光度の増加を測定する。1Uは、1分間に1μmolのNADHの増加を触媒する酵素量とする。
【0018】
上記のような理化学的性状を持つ(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、たとえばピキア属酵母の培養物より精製することができる。ピキア属酵母としては、ピキア・アンガスタ(Pichia angusta)が特に本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の産生能に優れる。本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を得るために利用することができるピキア・アンガスタは、たとえば、ATCC 26012としてAmerian Type Culture Collection より入手することができる。
【0019】
上記微生物は、YPD(1%酵母エキス、1%ペプトン、2%グルコースを含むpH6.0の培地)培地等の真菌の培養に用いられる一般的な培地で培養することができる。本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を生産するには、YPD培地のグルコースをメタノールもしくはグリセロールに変えた培地や、メタノール1g、塩化アンモニウム0.5g、リン酸2水素1カリ0.1g、リン酸1水素2カリ0.1g、硫酸マグネシウム7水和物0.05g、塩化鉄 (III) 6水和物3.0mg、塩化カルシウム2水和物1.0mg、塩化マンガン4水和物1.0mg、硫酸亜鉛7水和物1.0mg、チアミン塩酸塩200mg、ビオチン2mg(培養液100mLあたり)を含むpH7.0の培地(以下、培地Aと略す)でも培養可能であり、培地Aにおけるメタノールの代わりにグリセロールを利用することもできる。
【0020】
これらの培地を用いて培養した後、対数増殖期の菌体を回収することで、高い酵素活性を有する菌体とすることができる。また、培養においては、通気条件を少し抑制した条件において、酵素含量の高い菌体を調製することができる。
【0021】
得られた菌体を、2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol)等の還元剤や、フェニルメタンスルホニルフルオリド(phenylmethansulfonyl fluoride;PMFS)やエチレンジアミン4酢酸(以下、EDTAと略す)、ペプスタチン、ロイペプチン、ホスホラミドンのようなプロテアーゼ阻害剤を加えた緩衝液中でガラスビーズとの物理的な衝撃やミニラボ、フレンチプレスなどの高圧を利用するなどして破砕し、無細胞抽出液を得る。無細胞抽出液から、蛋白質の溶解度による分画(アセトンやジメチルスルホキシドなどの有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることにより本発明の酵素を精製する事ができる。例えば、無細胞抽出液をブルー−セファロース、フェニル−セファロース、Resource Q(いずれもファルマシア製)などのカラムクロマトグラフィーを組み合わせることにより、電気泳動的にほぼ単一バンドにまで精製することができる。
【0022】
ピキア・アンガスタに由来する本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は以下の(1)−(3)の理化学的性質を有する蛋白質である。
(1)NADを補酵素として、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに作用し、(R)−アセトインを生成する。NADHを補酵素として、2,3−ブタンジオンを還元し、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを生成する。
(2)酸化反応の補酵素としてNADを、また還元反応の補酵素としてNADHを利用する。また、2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基を優先的に酸化する。
(3)精製酵素の蛋白質1mg当たり100U以上の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を有する。
【0023】
本発明の酵素は、更に付加的に、以下の(4)−(5)の理化学的性質を有するタンパク質である。
(4)至適pH
グリセロール酸化反応の至適pHが10。
(5)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動(以下SDS-PAGEと省略する)によるサブユニットの分子量が36,000、ゲル濾過による分子量が76,000。
【0024】
更に本発明の酵素は、以下の性状(6)−(9)によって特徴付けることができる。
(6)安定pH範囲
pH6−9.5の範囲で比較的安定である。
(7)作用適温の範囲
至適温度は30℃である。
(8)温度安定性
30℃まで比較的安定である。
(9)阻害
SH試薬であるパラクロロ水銀安息香酸(PCMB:p-chloromercuribenzoic acid)、o-フェナンスロリン (o-phenanthrolin) , 2,2’−ビピリジル(2,2'-bipyridyl)、塩化銅、塩化水銀、塩化鉄 (III) により阻害されるが、EDTAでは阻害されない。
【0025】
ピキア・アンガスタに由来する(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、補酵素として酸化反応におけるNADP、あるいは還元反応におけるNADPHを実質的に利用することができない。しかし、NADPやNADPの利用性に関わらず、前記物理学化学的性状(1)−(3)、望ましくは(1)−(6)、あるいは更に望ましくは(1)−(9)を備えた酵素は、本発明に含まれる。
【0026】
本発明は、(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドおよびそのホモログに関する。本発明において、ポリヌクレオチドは、DNAやRNA等の天然のポリヌクレオチドに加え、人工的なヌクレオチド誘導体を含む人工的な分子であることもできる。また本発明のポリヌクレオチドは、DNA-RNAのキメラ分子であることもできる。本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドは、たとえば配列番号:1に示す塩基配列を含む。配列番号:1に示す塩基配列は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードしており、このアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の好ましい態様を構成する。
【0027】
本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドのホモログとは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、前記理化学的性質(1)−(3)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。当業者であれば、配列番号:1記載のポリヌクレオチドに部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.6487 (1982) , Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Practical Approach IRL Press pp.200 (1991) などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することによりポリヌクレオチドのホモログを得ることが可能である。
【0028】
また、本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは、配列番号:1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドであって、かつ、前記理化学的性質(1)−(3)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドも含む。ストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとは、配列番号:1に記載中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、たとえば40、60または100個の連続した配列を一つまたは複数選択したDNAをプローブDNAとし、たとえばECL direct nucleic acid labeling and detection system (Amersham Pharmaica Biotech社製)を用いて、マニュアルに記載の条件(wash:42℃、0.5x SSCを含むprimary wash buffer)において、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。
【0029】
さらに、本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上のホモロジーを有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。タンパク質のホモロジー検索は、たとえばSWISS-PROT, PIRなどの蛋白質のアミノ酸配列に関するデータベースや DDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST, FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネット通じて行うことができる。
【0030】
配列番号:2に記載のアミノ酸配列を用いてSWISS-PLOTを対象にBLASTプログラムを用いてホモロジー検索を行った結果、既知のタンパク質の中でもっとも高いホモロジーを示したのは、サッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)のYAG0であった。YAG0は、ゲノム解析の結果から推測された、仮想アルコール脱水素酵素様蛋白質(HYPOTHETICAL ZINC-TYPE ALCOHOL DEHYDROGENASE-LIKE PROTEIN)で、その蛋白質としての存在、機能、理化学的性質などは全く不明である。このYAG0に対するホモロジーはIdentityで46%、Positiveで62%であった。本発明の70%以上のホモロジーとは、例えば、BLASTプログラムを用いたPositiveの相同性の値を表す。
【0031】
本発明は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質に関する。本発明はまた、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質のホモログを含む。
本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のホモログとは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を意味する。本発明において、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等とは、当該タンパク質が前記(1)−(3)に示した物理化学的性状を有することを意味する。当業者であれば、配列番号:1記載のDNAに部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.6487 (1982) , Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Practical Approach IRL Press pp.200 (1991) )などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することにより(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。その(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを宿主に導入して発現させることにより、配列番号:2に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のホモログを得ることが可能である。
【0032】
さらに、本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のホモログとは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上のホモロジーを有するタンパク質をいう。タンパク質のホモロジー検索は、たとえばSWISS-PROT, PIRなどの蛋白質のアミノ酸配列に関するデータベースやDDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST、FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネット通じて行うことができる。
【0033】
本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドは、たとえば、以下のような方法によって単離することができる。
【0034】
配列番号:1に記載の塩基配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行うことにより本発明のDNAを得ることができる。
【0035】
さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。
【0036】
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics 120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)などにより本発明のポリヌクレオチドを得ることも可能である。
【0037】
なお本発明のポリヌクレオチドには、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得られたDNAが含まれる。
このようにして単離された、本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするポリヌクレオチドを公知の発現ベクターに挿入することにより、(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素発現ベクターが提供される。
また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を組み換え体から得ることができる。
【0038】
本発明においてNADを電子受容体とする(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を発現させるために、形質転換の対象となる微生物は、NADを電子受容体とする(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換され、NADを電子受容体とする(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を発現することができる生物であれば特に制限はない。利用可能な微生物としては、たとえば以下のような微生物を示すことができる。
【0039】
エシェリヒア(Escherichia)属
バチルス(Bacillus)属
シュードモナス(Pseudomonas)属
セラチア(Serratia)属
ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属
ストレプトコッカス(Streptococcus)属
ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌
ロドコッカス(Rhodococcus)属
ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター系の開発されている放線菌
サッカロマイセス(Saccharomyces)属
クライベロマイセス(Kluyveromyces)属
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属
チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属
ヤロウイア(Yarrowia)属
トリコスポロン(Trichosporon)属
ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属
ピキア(Pichia)属
キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母
ノイロスポラ(Neurospora)属
アスペルギルス(Aspergillus)属
セファロスポリウム(Cephalosporium)属
トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ
【0040】
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレキュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laboratories)。微生物中などにおいて、本発明のNADHを電子供与体とする(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子を発現させるためには、まず微生物中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。
そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5'-側上流に、より好ましくはターミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込めばよい。このプロモーター、ターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーター、ターミネーターを用いる必要がある。これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーター、ターミネータ−などに関して「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Adv. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Yeast 8, 423-488 (1992)、などに詳細に記述されている。
【0041】
例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、 trc (lac、trpの融合)、λファージ PL、PRなどに由来するプロモーターなどが利用できる。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーターなどを用いることができる。これらの中で、市販のpSE420(Invitrogen製)のマルチクローニングサイトを一部改変したベクターpSE420D(特開2000-189170に記載)が好適に利用できる。
【0042】
バチルス属においては、ベクターとしてpUB110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能であり、染色体にインテグレートすることもできる。また、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミラーゼ)などが利用できる。
【0043】
シュードモナス属においては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ターミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子などが利用できる。
【0044】
ブレビバクテリウム属特に、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))などのプラスミドベクターが利用可能である。プロモーター、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されているプロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能である。
【0045】
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが利用可能である。
【0046】
ストレプトコッカス(Streptococcus)属においては、pHV1301(FEMS Microbiol. Lett. 26, 239 (1985)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (1985))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
【0047】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属においては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J. Bacteriol. 137, 614 (1979))などが利用可能であり、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが利用可能である。
【0048】
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能である (J. Gen. Microbiol. 138,1003 (1992) )。
【0049】
ストレプトマイセス(Streptomyces)属においては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486 (Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gene 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11, 46-53 (1997) )。
【0050】
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在するリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグレーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
【0051】
クライベロマイセス属、特にクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)においては、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
【0052】
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のARS (自律複製に関与する遺伝子)及びサッカロマイセス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マーカーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol. Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用できる(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用できる。
【0053】
チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)由来のpSB3(Nucleic Acids Res. 13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクターが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 2521 (1990))などが利用可能である。
【0054】
ピキア(Pichia)属においては、ピキア・アンガスタ(旧名:ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))において宿主ベクター系が開発されている。ベクターとしては、ピキア・アンガスタ由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であるが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーションが有効である(Yeast 7, 431-443 (1991))。また、メタノールなどで誘導されるAOX(アルコールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーターなどが利用可能である。また、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製に関与する遺伝子 (PARS1、 PARS2)などを利用した宿主ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol. 5, 3376 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能なAOXなど強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids Res. 15, 3859 (1987))。
【0055】
キャンディダ(Candida)属においては、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ウチルス(Candida utilis)などにおいて宿主ベクター系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおいてはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニングされ(Agri. Biol. Chem. 51, 51, 1587 (1987))、これを利用したベクターが開発されている。また、キャンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレートタイプのベクターは強力なプロモーターが開発されている(特開平 08-173170)。
【0056】
アスペルギルス(Aspergillus)属においては、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) などがカビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (1989))。
【0057】
トリコデルマ(Trichoderma)属においては、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnology 7, 596-603 (1989))。
【0058】
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。
【0059】
本発明において使用する(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素生産能を有する微生物は、NAD依存性(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素生産能を有するピキア属に属するすべての菌株、突然変異株、変種、遺伝子操作技術の利用により作成された本発明の酵素生産能を獲得した形質転換株を含む。
【0060】
本発明は、前記(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のケトンの還元によるアルコール、特に(R)−2,3−ブタンジオールの製造用途に関する。酵素分子、その処理物、酵素分子を含む培養物、あるいは酵素を生成する微生物等の形質転換体が生きた状態で反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることができる。なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。
反応溶液は、基質や酵素反応に必要な補酵素であるNADHを酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したものである。本発明における(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を含む微生物の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。
【0061】
本発明によるアルコールの製造方法におけるケトンとしては、隣接するジケトンを有する2,3−ブタンジオンや2,3−ペンタンジオンが好適に用いられる。
【0062】
本発明は、前記(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素によるアルコールの酸化反応によるケトンの製造用途に関する。酵素分子、その処理物、酵素分子を含む培養物、あるいは酵素を生成する微生物等の形質転換体が生きた状態で反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることができる。なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。
反応溶液は、基質や酵素反応に必要な補酵素であるNADを酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したものである。本発明における(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を含む微生物の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。
【0063】
本発明によるケトンの製造方法におけるアルコールとしては、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール、メソ−2,3−ブタンジオールが挙げられ、それぞれ、(R)−アセトイン、(S)−アセトインを合成することができる。
【0064】
上記還元反応に付随してNADHから生成するNADの、NADHへの再生は、微生物の持つNAD還元能(解糖系、メチロトローフのC1化合物資化経路など)を用いて行うことができる。これらNAD還元能は、反応系にグルコースやエタノール、ギ酸などを添加することにより増強することが可能である。また、NADからNADHを生成する能力を有する微生物やその処理物、酵素を反応系に添加することによっても行うことができる。たとえば、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などを含む微生物、その処理物、ならびに部分精製もしくは精製酵素を用いてNADHの再生を行うことができる。これらのNADH再生に必要な反応を構成する成分は、本発明によるアルコールの製造のための反応系に添加する、固定化したものを添加する、あるいはNADHの交換が可能な膜を介して接触させることができる。
【0065】
また、本発明のDNAを含む組み換えベクターで形質転換した微生物の生菌体を前記アルコールの製造方法に利用する場合には、NADH再生のための付加的な反応系を不要とできる場合がある。すなわち、NADH再生活性の高い微生物を用いることにより、形質転換体を用いた還元反応において、NADH再生用の酵素を添加することなく効率的な反応が行える。さらに、NADH再生に利用可能なグルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などの遺伝子を、本発明のNADH依存性(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素をコードするDNAと同時に宿主に導入することによって、より効率的なNADH再生酵素とNAD依存性(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の発現、還元反応を行うことも可能である。これらの2つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入には、不和合性を避けるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組み換えベクターにより宿主を形質転換する方法や、単一のベクターに両遺伝子を導入する方法、一方、もしくは、両方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用することができる。
【0066】
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター、ターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも可能である。
【0067】
本発明の酵素を用いた還元反応は、水中もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサンなどの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相系により行うことができる。本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
【0068】
本発明の反応は、反応温度4−60℃、好ましくは15−30℃、pH3−11、好ましくはpH6−9.5、基質濃度0.01−90%、好ましくは0.1−30%で行うことができる。反応系には必要に応じて補酵素NADもしくはNADHが0.001mM−100mM、好ましくは、0.01−10mM添加できる。また、基質は反応開始時に一括して添加することも可能であるが、反応液中の基質濃度が高くなりすぎないように連続的、もしくは非連続的に添加することが望ましい。
【0069】
NADHの再生のために、たとえば、グルコース脱水素酵素を利用する場合のグルコース、ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはイソプロパノールなどが反応系に添加される。これらの化合物は、基質ケトンに対してモル比で0.1−20、好ましくは1−5倍過剰に添加することができる。一方、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素などの、NADH再生用の酵素は、本発明のNADH依存性カルボニル脱水素酵素に比較して酵素活性で0.1−100倍、好ましくは0.5−20倍程度添加することができる。
【0070】
本発明のケトンの還元により生成するアルコールの精製は、菌体、タンパク質の遠心分離、膜処理などによる分離、溶媒抽出、蒸留などを適当に組み合わせることにより行うことができる。
たとえば、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールでは、微生物菌体を含む反応液を遠心分離し、微生物菌体をのぞいた後、限外濾過によりタンパク質を除去し、その濾液に酢酸エチルなどの溶媒を添加して(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを溶媒層に抽出する。これを相分離後、蒸留することにより純度の高い(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を精製することができる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の精製
ピキア・アンガスタ ATCC 26012株を7LのグリセロールをC源とした培地A中で、28℃、40時間培養し、遠心分離により湿菌体を調製した。得られた湿菌体約100gを50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、1mM 2−メルカプトエタノール−130mLに澱懸し、ビードビーター(Biospec社製)により破砕後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。
この無細胞抽出液を緩衝液A(50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)及び1mM 2−メルカプトエタノール)で平衡化したブルーセファロース6B(2.2cm x 20cm)に添加し、緩衝液Aで洗浄した後、0から1M 塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出した。溶出したグリセロール脱水素酵素活性を示す画分を回収した。
【0072】
濃縮した酵素液を緩衝液Aに対して透析した後、40%硫安飽和緩衝液Aで平衡化したフェニル−セファロース(1.0 cm × 10 cm)に添加した。同緩衝液でカラムを洗浄した後、40%から0%硫安飽和の勾配溶出を行った。溶出したグリセロール脱水素酵素活性画分を回収し、限外濾過により濃縮した。
濃縮酵素液を20mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)及び1mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液で平衡化したリソースQカラム(Resource Q HR 5/5)に添加し、同緩衝液で洗浄した後、0から1 M 塩化ナトリウムの濃度勾配溶出を行った。活性画分を濃縮し、SDS−PAGEにより解析した結果、ほぼ単一バンドであった(図1)。
精製酵素の比活性は約218U/mg(グリセロール脱水素酵素活性;(2R,3R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性で1350U/mg相当)であった。
精製の要約を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004587348
【0074】
[実施例2](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の分子量測定
実施例1で得られた酵素のサブユニットの分子量をSDS−PAGEにより求めた結果、3.6万であった。また、スーパーデックスG200のゲルろ過カラムを用いて分子量を測定したところ、約7.6万であった。
【0075】
[実施例3](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の至適pH
McIIvaine緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液を用いてpHを変化させて、実施例1で得られた酵素のグリセロール脱水素酵素活性を調べ、最大活性を100とした相対活性で表し、図2に示した。反応の至適pHは10であった。
【0076】
[実施例4](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の作用至適温度
実施例1で得られた酵素を標準反応条件のうち温度だけを変化させてグリセロール脱水素酵素活性を測定し、最大活性を100とした相対活性で表し、図3に示した。至適温度は30℃であった。
【0077】
[実施例5](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のpH安定性
実施例1で得られた酵素を、McIIvaine緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH2−12中で、30℃、10分間インキュベートし、残存活性を測定した。結果は、未処理の活性を100とした残存活性で表し、図4に示した。本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、pH6−9.5において比較的安定であった。
【0078】
[実施例6](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の温度安定性
実施例1で得られた酵素をpH7.5で10分間放置した後、グリセロール脱水素酵素活性を測定した。結果は、未処理の活性を100とした残存活性で表し、図5に示した。本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、30℃まで比較的安定であった。
【0079】
[実施例7](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の基質特異性
実施例1で得られた酵素を種々試薬500mMと反応させ、その脱水素活性を測定した。結果は、NADを補酵素としたグリセロール脱水素活性を100とした相対活性で表し、表2に示した。
【0080】
【表2】
Figure 0004587348
【0081】
[実施例8](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の立体選択性
実施例1で得られた酵素を1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオールの両異性体500mMに対して反応させ、グリセロールに対する活性を100とした相対活性で表し、表3に示した。
【0082】
【表3】
Figure 0004587348
【0083】
[実施例9](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の試薬に対する挙動
種々の試薬中で30℃、10分間処理した後、グリセロール脱水素酵素活性を測定し、試薬を含まない条件で30℃、10分間処理した後の残存活性を100とした残存活性で表し、表4に示した。本発明による(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、パラクロロ水銀安息香酸 (PCMB)、o-フェナンスロリン、2,2’−ジピリジル、塩化銅、塩化水銀、塩化鉄 (III) によって顕著に阻害され、エチレンジアミン4酢酸 (EDTA) では阻害されなかった。
【0084】
【表4】
Figure 0004587348
【0085】
[実施例10](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の部分アミノ酸配列
実施例1で得られた酵素を用いて、プロテインシーケンサーによりN末端アミノ酸配列を解析したが、N末アミノ酸はブロックされていることが示唆された。次に、V8プロテアーゼ(シグマ社製)を用いて精製酵素を部分消化し、SDS-PAGEにより分離後、PVDFメンブレンにブロッティングした。
ブロッティングされたペプチド断片をプロテインシーケンサー(アプライド・バイオシステム製)によりアミノ酸配列を解析した結果、3種類のアミノ酸配列が得られた。ペプチドA、ペプチドB、ペプチドCのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5に示した。
【0086】
配列番号:3:ペプチドA
Lys-Pro-Gly-Asp-Arg-Val-Ala-Val-Glu-Ala
配列番号:4:ペプチドB
Ala-Thr-Ser-His-Cys-Ser-Asp-Arg-Ser-Arg-Tyr-Lys-Asp-Thr-Val-Ala-Gln-Asp-Leu-Gly-Leu
配列番号:5:ペプチドC
Phe-His-Ala-Ala-Phe-Asp
【0087】
[実施例11]ピキア・アンガスタからの染色体DNAの調製
ピキア・アンガスタ ATCC 26012株よりCryerらの方法(Meth. Cell Biol. 12, 39-44 (1975))により、染色体DNAを精製した。
【0088】
[実施例12](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子のコア領域のPCRによるクローニング
ペプチドAに対応するセンスプライマーA及びペプチドCに対応したアンチセンスプライマーCを合成した。それぞれの塩基配列を配列番号:6(プライマーA)、7(プライマーC)に示した。
【0089】
プライマーA(配列番号:6)
AARCCNGGNGAYMGNGTNGC
プライマーC(配列番号:7)
TCRTCRAANGCNGCRTGRAA
【0090】
[実施例13]PCR条件
ピキア・アンガスタ由来染色体DNA200ng、ExTaq 1.25U、ExTaq用緩衝液 (宝酒造製)を含む30μLの下層反応液を80℃5分、4℃1分処理した後、プライマーA及びBを各20pmol、dNTP20nmol、ExTaq用緩衝液を含む20μLの上層反応液をAmpliWaxPCR Gem 50 (宝酒造製)に添加し、94℃、1分間熱処理し、更に94℃1分、56℃1分、72℃2分のサイクルを計35回行った。
【0091】
[実施例14](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子のコア領域のPCR断片のサブクローニング
実施例13で得られたDNA断片を1%低融点アガロースを用いて電気泳動して精製した。精製したDNA断片をベクターpT7Blue-2T(宝酒造製)と、Takara Ligation Kitを用いてライゲーションし、大腸菌JM109株を形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)を含むLB培地(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム、以下、LB培地と略す)プレート上で生育させた。
目的とするプラスミドを有する形質転換株よりプラスミドを精製し、挿入DNAの塩基配列を解析した。DNA塩基配列の解析には、BigDye Terminator Cycle Sequencing ready Reaction Kit (アプライドバイオシステムズ製)を用いてPCRを行い、PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ製)により行った。決定されたコア領域の塩基配列をそれぞれ配列番号:8として示した。
【0092】
[実施例15](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子のコア領域の周辺DNAのサブクローニング
ピキア・アンガスタの染色体DNAを制限酵素ApoI, PstI, XhoIでそれぞれ消化し、T4リガーゼを用いて16℃で終夜セルフ・ライゲーション反応により、各断片を環化させた。次にプライマーPODR-C5U(配列番号:9)、PODR-C3D(配列番号:10)を各50pmol、dNTP10nmol、セルフ・ライゲーションさせたDNA50ng、Ex-Taq用緩衝液(宝酒造製)、Ex-Taq1.5U(宝酒造製)を含む50μLの反応液を用い、変性(94℃、30秒)、アニール(55℃、30秒)、伸長(72℃、6分40秒)を30サイクル、GeneAmp PCR System 2400(パーキンエルマー製)を用いて行った。PCR反応液の一部をアガロースゲル電気泳動により解析した結果、ApoI, PstI, XhoIで消化した鋳型DNAに対応して、約760bp、6000bp、3500bpのDNA断片が検出できた。
【0093】
PODR-C5U(配列番号:9)
TTGGCATGCGATCTGTCGGAGCAATG
PODR-C3D(配列番号:10)
TGAGCATGCAAATGCTGTTCTCAAGGC
【0094】
PCRで増幅されたそれぞれのDNA断片は、フェノール/クロロホルム抽出後、エタノール沈殿として回収後、SphIによる制限酵素消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、目的とするバンド(PstI、XhoIで消化したDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片中に、SphI切断部位が存在したために、PCR断片は2つに分かれた。それらのうちの、大きなDNA断片を精製した)を切り出し、Sephaglas(ファルマシア製)により精製、回収した。
【0095】
得られたそれぞれのDNA断片をSphIで制限酵素消化したpUC18(宝酒造製)とTakara Ligation Kit Ver.2を用いて、ライゲーションし、大腸菌JM109株を形質転換した。形質転換株をアンピシリン(50μg/mL)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(50μg/mL)、イソプロピルチオ-β-D-ガラクトピラノシド(以下、IPTGと呼ぶ)(20μg/mL)を含むLB培地プレート上で生育させ、いくつかの白色のコロニーをアンピシリンを含む液体LB培地で培養し、Flexi-Prep (ファルマシア製) によりプラスミドを精製した。得られたプラスミドを、PCRの鋳型としたDNAの調製に用いた制限酵素ApoI, PstI, XhoIに対応して、それぞれpPAD-Apo, pPAD-Pst, pPAD-Xhoとした。
【0096】
精製したプラスミドから挿入DNAの塩基配列を解析した。DNA塩基配列の解析には、Dye Terminator Cycle Sequencing FS ready Reaction Kit (パーキンエルマー製)を用いてPCRを行い、DNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)により行った。
【0097】
pPAD-Apo, pPAD-Pst, pPAD-Xho内の挿入DNA断片の解析した塩基配列を、コア領域の5’−上流側(5U)、3’−下流側(3D)に分け、それぞれApo-5U(配列番号:11)、Apo-3D(配列番号:12)、Pst-5U(配列番号:13)として示した。また、これらのDNA断片の位置を制限酵素マップとして図6に示した。
【0098】
PCR増幅断片内にSphI切断部位が存在したために、コア配列上流のApoIからSphI部位の間の断片がクローン化できなかったために、新たにプライマー PODR-SPH(配列番号:14)を合成し、プライマーPODR-C5Uと共に、ピキア・アンガスタより精製した染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、得られたPCR産物を精製後、PstI消化し、PstI, SmaIで2重消化したpUC18とライゲーションを行い、プラスミドpPAD-Sphを得た。このpPAD-Sph内の挿入断片部分の塩基配列を解析し、得られた配列をSph-5Uとして配列番号:15に示した。
【0099】
Pst-5U, Sph-5U, Apo-5U, Apo-3Dの各塩基配列を図6のマップに基づき合成し、オープンリーディングフレーム(ORF)検索により(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子の配列を決定した。決定したDNA配列は配列番号:1に、コードするタンパク質の配列は配列番号:2に示す。これらの合成、ORF検索は、Genetyx-ATSQ/WIN、およびGenetyx-WIN(ともにソフトウェア開発株式会社製)ソフトの上で行った。
【0100】
[実施例16](R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子のクローニング
(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の構造遺伝子の塩基配列を元に発現ベクター構築用のプライマーPAD-ATG1(配列番号:16)、PAD-TAA1(配列番号:17)を合成した。プライマーを各50pmol、dNTP10nmol、ピキア・アンガスタ由来染色体DNA50ng、Pfu-DNA polymerase用緩衝液 (STRATAGENE製)、Pfu-DNA polymerase2U (STRATAGENE製)を含む50μLの反応液を用い、変性(95℃、30秒)、アニール(50℃、1分)、伸長(75℃、5分)を30サイクル、GeneAmp PCR System 2400 (パーキンエルマー製)を用いて行った。
【0101】
PAD-ATG1(配列番号:16)
TGCTCATGAAAGGTTTACTTTATTACGGTA
PAD-TAA1(配列番号:17)
CAGTCTAGATTAGGAAACCTCGTTCGGC
【0102】
PCR反応液の一部をアガロースゲル電気泳動により解析した結果、特異的なバンドが検出できた。
得られたDNA断片を、フェノール/クロロホルム抽出後、エタノール沈殿として回収した。DNA断片を制限酵素BspHI、XbaIで二重消化し、アガロースゲル電気泳動を行い、目的とするバンドの部分を切り出し、Sephaglas (ファルマシア製) により精製した。
得られたDNA断片を、NcoI、XbaIで二重消化したpSE420D(Invitrogen製のプラスミドベクターpSE420のマルチクローニングサイトを改変したプラスミド、特開2000-189170)とTakara Ligation Kitを用いて、ライゲーションし、大腸菌HB101株を形質転換した。
形質転換株をアンピシリン(50μg/mL)を含むLB培地プレート上で生育させ、いくつかのコロニーよりプラスミドを精製し、挿入断片の塩基配列を解析した。目的とする(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子を持つプラスミドをpSE-PAD1とした。
【0103】
[実施例17]組換え(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の大腸菌による生産
(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子の発現プラスミドpSE-PAD1で形質転換された大腸菌HB101株をアンピシリンを含む液体LB培地で終夜30℃培養し、0.1mM IPTG(イソプロピルチオガラクトピラノシド)を加え、さらに4時間培養を行った。
菌体を遠心分離により集菌後、0.02% 2−メルカプトエタノールを含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)に懸濁し、密閉式超音波破砕装置UCD−200TM(コスモバイオ製)を用いて4分間処理することで、菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離し、その上清を菌体抽出液中として回収した。
【0104】
[実施例18]組換え(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の基質特異性
実施例17で調製した組換え(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を用いて種々の基質に対する活性を測定し、プラスミドを含有しない状態で実施例17と同様に調製した無細胞抽出液の活性と比較した、酸化反応の結果を表5に、還元反応の結果を表6に示した。
【0105】
【表5】
Figure 0004587348
【0106】
【表6】
Figure 0004587348
【0107】
【発明の効果】
光学活性アルコールなどの生産に有用なNAD依存性の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素ならびにそれをコードするDNAが提供された。本酵素を利用することにより、光学純度の高い(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの効率的な生産方法が提供された。本発明の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素は、NADPよりも安定なNAD依存性であることから、より容易に工業的な製造工程に応用することができる。
本発明による光学純度の高い(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの製造方法は、液晶や医薬品原料等の製造方法として有用である。
【0108】
【配列表】
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348
Figure 0004587348

【図面の簡単な説明】
【図1】グリセロール脱水素酵素活性を示す画分を濃縮し、SDS−PAGEにより解析を行った結果を示す写真である。
【図2】(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の至適pHの測定結果を示した図である。、最大活性を100とした相対活性で表した。
【図3】(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の作用至適温度の測定結果を示す図である。最大活性を100とした相対活性で表した。
【図4】(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素のpH安定性の測定結果を示す図である。未処理の活性を100とした残存活性で表した。
【図5】(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素の温度安定性を測定した結果を示す図である。未処理の活性を100とした残存活性で表した。
【図6】(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素遺伝子周辺の制限酵素地図を表わした図である。

Claims (14)

  1. 次の(1)から()に示す理化学的性質を有する(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
    (1)作用
    ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに作用し、(R)−アセトインを生成する。還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを補酵素として、2,3−ブタンジオンを還元し、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを生成する。
    (2)基質特異性
    酸化反応の補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。還元反応の補酵素として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを利用する。また、2,3−ブタンジオールの(R)配置の水酸基を優先的に酸化する。
    (3)比活性
    精製酵素の蛋白質1mg当たり100U以上の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素活性を有する。
    (4)至適pH
    グリセロール酸化反応の至適pHが10。
    (5)分子量
    ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるサブユニットの分子量が36,000、ゲル濾過による分子量が76,000。
  2. ピキア属に属する微生物によって産生される請求項1に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
  3. ピキア属に属する微生物が、ピキア・アンガスタである請求項に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素。
  4. 下記(a)から()のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
    (a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド。
    (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
    (d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
    (e)配列番号:1に記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドであって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド
    (f)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と機能的に同等な蛋白質をコードするポリヌクレオチド
  5. 請求項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる蛋白質。
  6. 配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する請求項に記載のタンパク質。
  7. 請求項に記載されたポリヌクレオチドを含むベクター。
  8. 請求項に記載されたポリヌクレオチド、または請求項に記載のベクターを保持する形質転換体。
  9. 請求項に記載の形質転換体を培養し、発現産物を回収する工程を含む、請求項に記載の蛋白質の製造方法。
  10. ピキア属に属し、請求項1に記載の酵素、または請求項に記載のタンパク質を産生する微生物を培養する工程を含む、請求項1に記載の酵素、または請求項に記載のタンパク質の製造方法。
  11. ピキア属に属する微生物が、ピキア・アンガスタ(Pichia angusta)である請求項10に記載の製造方法。
  12. 請求項1に記載の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素、請求項に記載のタンパク質、それらを産生する微生物、およびそれらの処理物からなる群から選択されるいずれかの酵素活性物質を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの存在下でケトンに作用させ、生成するアルコールを回収する工程を含むアルコールの製造方法。
  13. 微生物が、請求項に記載の形質転換体である請求項12に記載のアルコールの製造方法。
  14. ケトンが、2,3−ブタンジオンであり、アルコールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオールである請求項12に記載のアルコールの製造方法。
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