JP2015130808A - 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用 - Google Patents

発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2015130808A
JP2015130808A JP2014002919A JP2014002919A JP2015130808A JP 2015130808 A JP2015130808 A JP 2015130808A JP 2014002919 A JP2014002919 A JP 2014002919A JP 2014002919 A JP2014002919 A JP 2014002919A JP 2015130808 A JP2015130808 A JP 2015130808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme
seq
amino acid
acid sequence
enzymes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014002919A
Other languages
English (en)
Inventor
素子 林
Motoko Hayashi
素子 林
山本 浩明
Hiroaki Yamamoto
浩明 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2014002919A priority Critical patent/JP2015130808A/ja
Publication of JP2015130808A publication Critical patent/JP2015130808A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】発酵性基質を原料とし、高い選択率でアルキルジオールを生産、選択することができる微生物および当該微生物の製造方法の提供を課題とする。【解決手段】発酵性基質からアルキルジオールを生成する微生物の代謝経路を改変することにより、アルキルジオール生成プロセスの最適化を試みた。その結果、発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物において、D-乳酸脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素A、アルデヒド脱水素酵素B、メチルグリオキサールシンターゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ、リン酸アセチルトランスフェラーゼ、ギ酸アセチルトランスフェラーゼ、及びリンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)を欠損させることにより、代謝経路改変前と比較して、より高い選択率でアルキルジオールが得られることを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物、及び当該微生物の製造方法に関する。また本発明は、当該微生物を用いるアルキルジオールの製造方法に関する。
アルキルジオールは、溶剤あるいは合成樹脂や界面活性剤の原料として有用である。アルキルジオールはグリセリンを原料に化学的に合成することができる。しかし化学合成には、触媒が高価である、環境への負荷が大きいなどの課題がある。これらの課題を解決するために、生物学的な手法によるアルキルジオールの製造方法が求められている。
一方、グリセリン発酵により1,3−プロパンジオールを産生する微生物が知られている。このような微生物では、2段階の反応により、グリセリンが1,3−プロパンジオールに変換される。第一段階では、グリセリンが、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼにより3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)及び水へ変換される(式1)。つづいて第二段階では、3−HPAが、アルコールデヒドロゲナーゼにより1,3−プロパンジオールに還元される(式2)。
グリセロール→3−HPA+H2O(式1)
3−HPA+NAD(P)H+H+→1,3−プロパンジオール+NAD(P)+(式2)
遺伝子組み換え技術により、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼの活性が増強された遺伝子組み換え微生物も知られている。しかしこのような遺伝子組換え微生物には、グリセリンから1,3−プロパンジオールへの変換効率(選択率)が必ずしも高いとは言えないという問題があった。
特開2008−110931 特許4327909
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。本発明は、発酵性基質を原料とし、高い選択率でアルキルジオールを生産、選択することができる微生物および当該微生物の製造方法の提供を課題とする。また本発明は、当該微生物を用いるアルキルジオールの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、発酵性基質からアルキルジオールを生成する微生物の代謝経路を改変し、アルキルジオール生成プロセスの最適化を試みた。具体的には、微生物のグルコースの代謝経路において、アセチルCoAの生成過程に生じる副生成物を減らすとともに、アルキルジオールの生成に使用される炭素原子ロスをできるだけ回避するように代謝経路の改変を試みた。
その結果本発明者らは、発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物において、
解糖系において酸化還元反応を触媒する酵素
解糖系においてリン酸基の付加、脱離又は転移を触媒する酵素
TCA回路において酸化還元反応を触媒する酵素
を欠損させることにより、代謝経路改変前と比較して、より高い選択率でアルキルジオールが得られることを見出した。
具体的には、
解糖系において酸化還元反応を触媒する酵素(遺伝子名)として
・D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
・アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
・アルデヒド脱水素酵素A(aldA)及び
・アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
解糖系においてリン酸基の付加、脱離又は転移を触媒する酵素として
・メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
・ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
・リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)及び
・ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)、
TCA回路において酸化還元反応を触媒する酵素として
・リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)
を欠損させることが、アルキルジオール生成プロセスの最適化に好適であることを見出した。
本発明はこのような知見に基づくものであり、以下〔1〕から〔10〕に関する。
〔1〕発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物であって、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性が抑制されている微生物;
(1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素、
(2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素、及び
(3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素。
〔2〕(1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素が以下(a)から(d)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素であり、
(a)D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
(b)アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
(c)アルデヒド脱水素酵素A(aldA)及び
(d)アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
(2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素が以下(e)から(h)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素であり、
(e)メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
(f)ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
(g)リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)及び
(h)ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)
(3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する酵素が(i)リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)である、
〔1〕に記載の微生物。
〔3〕以下(a)から(i)に記載の各酵素の活性が抑制されている、〔2〕に記載の微生物;
(a)D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
(b)アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
(c)アルデヒド脱水素酵素A(aldA)、
(d)アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
(e)メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
(f)ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
(g)リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)、
(h)ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)及び
(i)リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)。
〔4〕酵素活性の抑制が酵素の欠損に起因する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の微生物。
〔5〕発酵性基質がグリセリンである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の微生物。
〔6〕アルキルジオールが1,3−プロパンジオールである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の微生物。
〔7〕微生物が、以下(1)及び/又は(2)、及び(3)に記載の遺伝子で形質転換されている、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の微生物;
(1)グリセロールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子
(2)ジオールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はジオールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子、及び
(3)アルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子。
〔8〕グリセロール脱水素酵素、ジヒドロキシアセトンキナーゼII型、アデノシルトランスフェラーゼをコードする各遺伝子でさらに形質転換されている、〔7〕に記載の微生物。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の微生物の製造方法であって、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性を抑制する工程を含む方法;
(1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素、
(2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素、及び
(3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素。
〔10〕〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の微生物の培養物、菌体、およびその処理物からなる群より選択される少なくとも1つと発酵性基質を接触させる工程を含む、発酵性基質からアルキルジオールを製造する方法。
本発明により、発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物が提供された。当該微生物により、生物学的な手法を用いて、発酵性基質からアルキルジオールを高い選択率で製造することが可能になった。本発明の微生物を使用することにより、化学合成とは対照的に、安価かつ環境へ負荷をかけずにアルキルジオールを製造することができる。
本発明は、発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物であって、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性が抑制されている微生物に関する。また本発明は、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性を抑制する工程を含む、発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物の製造方法に関する。
(1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素
(2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素
(3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する酵素
本発明において活性を抑制すべき対象は、通常、遺伝子組換え微生物の宿主に由来する内因性の酵素である。
本発明の微生物は、発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成することができる。本発明において選択率は、発酵性基質の減少量に対するアルキルジオールの産生量の割合(物質量(mol)換算)で表すことができる。
本発明の遺伝子組換え微生物は、例えば50%以上(例えば51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%)、好ましくは60%以上(例えば61%、62%、63%、64%)、さらに好ましくは65%以上(例えば66%、67%、68%、69%)、特に好ましくは70%以上(例えば71%、72%、73%、74%、75%、又はそれ以上)の選択率で、発酵性基質からアルキルジオールを生成することができる。
本発明におけるアルキルジオールは特に限定されるものではないが、例えば、1、3−プロパンジオール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオールなどがあり、特に1,3−プロパンジオールを例示することができる。
発酵性基質としては、グルコース、ラクトース、キシロース、スクロースなどの糖類の他、用いる宿主微生物によってはグリセリンやCOなど微生物が異化代謝することができ、その代謝産物としてアセチル−CoA、又は/及び、アセトアセチル-CoA、又は/及び、3−ヒドロキシブチリル−CoAを生成しうるものであれば好適に用いることができる。
本発明において、解糖系において酸化還元反応を触媒する酵素とは、解糖系においてNADH及び/又はNADPHを補酵素として、あるいはNAD+及び/又はNADP+を補酵素として、基質を還元あるいは酸化する反応を触媒する酵素をいう。そのような酵素として、EC1.1.1に分類されるCH-OHの結合に対して作用する酵素や、EC1.2.1に分類されるアルデヒドに対して作用する酵素を挙げることができる(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/)。EC番号とは、酵素を反応形式に従って系統的に分類するための4組の数字より成る番号で、国際生化学分子生物学連合の酵素委員会によって定義づけられている酵素の番号である。
このような酵素の具体例として、
・NADH及び/又はNADPHを補酵素としてピルビン酸を還元し乳酸の生成を触媒するD-乳酸脱水素酵素(ldhA)
・NADH及び/又はNADPHを補酵素としてアセチルCoAを還元しエタノールの生成を触媒するアルデヒド脱水素酵素(adhE)
・NAD+及び/又はNADP+を補酵素としてメチルグリオキサールを酸化しピルビン酸の生成を触媒するアルデヒド脱水素酵素A (aldA)、アルデヒド脱水素酵素B(aldB)
を挙げることができるがこれらに限定されない。
本発明においては、これらの酵素のうち1つ又は複数(2つ、3つ又は4つ)の酵素の活性を抑制することができる。
本発明においては、通常、遺伝子組換え微生物の宿主に由来する内因性の酵素の活性を抑制する。多くの遺伝子組換え微生物における内因性の各酵素は当業者に公知である。例えば宿主が大腸菌の場合、本発明におけるD-乳酸脱水素酵素(ldhA)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:2に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:1に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
D-乳酸脱水素酵素(ldhA)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 243, 2579 (1968)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるアルデヒド脱水素酵素(adhE)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:4に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:3に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:3に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:4に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
アルデヒド脱水素酵素(adhE)の酵素活性の測定方法は周知である。これに限定されるものではないが、例えばMeth. Enzymol., 1, 518 (1955)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるアルデヒド脱水素酵素A(aldA)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:6に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:5に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:5に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
アルデヒド脱水素酵素A (aldA)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 244, 5233 (1969)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるアルデヒド脱水素酵素B(aldB)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:8に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:8に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:7に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:7に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:8に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
アルデヒド脱水素酵素B(aldB)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 244, 5233 (1969)に記載の方法にしたがって行うことができる。
また本発明における、解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する酵素としては、解糖系においてリン酸基又はアシル基の転移反応を触媒する酵素や、解糖系においてリン酸基の付加、脱離を触媒する酵素を挙げることができる。そのような酵素として、例えば、EC2.3に分類されるアシル基の転移酵素(より具体的には、EC2.3.1に分類されるアミノアシル基以外のアシル基の転移酵素)、EC2.7に分類されるリン酸基の転移酵素、EC4.2.3に分類されるリン酸基の付加、脱離を触媒する酵素を挙げることができる(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/)。
このような酵素の具体例として、
・アセチルCoAからアセチルリン酸への生成を触媒するリン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)
・ピルビン酸から蟻酸への生成を触媒するギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)
・ピルビン酸をリン酸化しホスホエノールピルビン酸の生成を触媒するホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)
・ジヒドロキシアセトンリン酸を脱リン酸化しメチルグリオキサールの生成を触媒する、メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)
を挙げることができるがこれらに限定されない。
本発明においては、これらの酵素のうち1つ又は複数(2つ、3つ又は4つ)の酵素の活性を抑制することができる。
本発明におけるリン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:10に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:10に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:9に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:9に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:10に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
リン酸アセチルフェラーゼ(pta)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばMeth. Enzymol., 12, 381 (1969)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:12に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:12に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:11に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:11に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:12に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばMeth. Enzymol., 41, 508 (1975)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるメチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:14に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:14に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:13に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:13に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:14に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばFEBS Lett., 11, 273 (1971)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:16に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:16に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:15に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:15に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:16に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばThe Enzymes (3rd ed.), 10, 631 (1974)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明における、TCA回路において酸化還元反応を触媒する酵素とは、TCA回路においてNADH及び/又はNADPHを補酵素として、あるいはNAD+及び/又はNADP+を補酵素として、基質を還元あるいは酸化する反応を触媒する酵素をいう。そのような酵素として、EC1.1.1に分類されるCH-OHの結合に対して作用する酵素や、EC1.2.1に分類されるアルデヒドに対して作用する酵素を挙げることができる(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/)。
具体的には、
NADH及び/又はNADPHを補酵素としてオキサロ酢酸を脱炭酸するリンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)を挙げることができるがこれに限定されない。
本発明におけるリンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:18に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:18に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:17に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:17に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:18に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばBiochem. Biophys. Res. Commun., 55, 1285 (1973)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明においては、以下に記載した9種類の酵素(以下も参照)から選択される1つ又は複数(2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つ)の酵素の活性を抑制することができる。
D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
アルデヒド脱水素酵素A(aldA)、
アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)、
ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)及び
リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)
本発明においては、これら9種全ての酵素の活性を抑制させることが好ましい。また本発明においては、この他の酵素の活性が抑制されていてもよい。
本発明において酵素活性の抑制とは、野生型の細胞や組織、生物個体における酵素活性と比較して、酵素の活性が減少することを言う。酵素活性の抑制には、酵素の発現の減少、酵素の機能改変に伴う改変前の機能の喪失、遺伝子の欠損などを含む。
酵素活性の抑制は、例えばアンチセンス核酸による方法やsiRNAによる方法など、公知の方法により行うことができる。
アンチセンス核酸とは、標的遺伝子のDNAやRNAに対して相補的な配列をもつDNA断片やRNA断片をいう。アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上「新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現」,日本生化学会編,東京化学同人, pp.319-347, 1993)。
本発明で用いられるアンチセンス配列は、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的である。しかし、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。
アンチセンス核酸は、例えば、活性を抑制する酵素をコードするDNAの配列情報を基にホスホロチオネート法(Stein, Nucleic Acids Res., 16: 3209-3221, 1988)などにより調製することが可能である。調製されたDNAは、公知の方法で微生物に形質転換できる。アンチセンス核酸の配列は、形質転換する細胞が持つ内因性遺伝子の転写産物と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
さらに、内因性の酵素をコードするDNAの転写産物と相補的なdsRNA(二重鎖RNA)をコードするDNAにより、酵素活性を抑制することもできる。標的酵素をコードするDNAと同一もしくは類似した配列を有するdsRNAを細胞内に導入することにより、導入した外来遺伝子および標的内因性遺伝子の発現がいずれも抑制される、RNAi(RNA干渉、RNA interference)と呼ばれる現象を引き起こすことができる。細胞に約40〜数百塩基対のdsRNAが導入されると、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、dsRNAを3'末端から約21〜23塩基対ずつ切り出し、siRNA(short interference RNA)を生じる。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、ヌクレアーゼ複合体(RISC: RNA-induced silencing complex)が形成される。この複合体はsiRNAと同じ配列を認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部で標的遺伝子の転写産物(mRNA)を切断する。また、この経路とは別にsiRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RsRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成される。このdsRNAが再びダイサーの基質となって、新たなsiRNAを生じて作用を増幅する経路も考えられている。
siRNAは、標的酵素をコードするDNAの転写産物(mRNA)のいずれかの領域に対するアンチセンスRNAと、前記mRNAのいずれかの領域のセンスRNAを含むことができる。このようなRNAは、前記アンチセンスRNAをコードするDNAおよび前記センスRNAをコードするDNAより発現させることができる。また、これらのアンチセンスRNAおよびセンスRNAよりdsRNAを作成することもできる。本発明における標的配列は、標的配列と同一もしくは類似した配列を有するdsRNAを細胞内に導入した結果、活性を抑制したい酵素の発現が抑制されるものであれば特に制限されない。標的配列の一例としては、活性を抑制したい酵素の3'非翻訳領域配列が挙げられる。
dsRNAの発現システムをベクター等に保持させる場合の構成としては、同一のベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる場合と、異なるベクターからそれぞれアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる場合がある。例えば、同一のベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる構成としては、アンチセンスコードDNAおよびセンスコードDNAの上流にそれぞれpolIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンスRNA発現カセット、センスRNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを同方向にあるいは逆方向にベクターに挿入することにより構成することができる。
また、異なる鎖上に対向するように、アンチセンスコードDNAとセンスコードDNAとを逆向きに配置した発現システムを構成することもできる。この構成では、アンチセンスRNAコード鎖とセンスRNAコード鎖とが対となった一つの二本鎖DNA(siRNAコードDNA)が備えられ、その両側にそれぞれの鎖からアンチセンスRNA、センスRNAとを発現し得るようにプロモーターを対向して備えられる。この場合には、センスRNA、アンチセンスRNAの下流に余分な配列が付加されることを避けるために、それぞれの鎖(アンチセンスRNAコード鎖、センスRNAコード鎖)の3'末端にターミネーターをそれぞれ備えることが好ましい。このターミネーターは、A(アデニン)塩基を4つ以上連続させた配列などを用いることができる。また、このパリンドロームスタイルの発現システムでは、二つのプロモーターの種類は異なっていることが好ましい。
また、異なるベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる構成としては、例えば、アンチセンスコードDNAおよびセンスコードDNAの上流にそれぞれpolIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンスRNA発現カセット、センスRNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを異なるベクターに保持させることにより構成することができる。
siRNAは、細胞内で毒性を示さない範囲の短鎖からなる二重鎖RNAを意味し、Tuschlら(前掲)により報告された全長21〜23塩基対に限定されるものではなく、毒性を示さない範囲の長さであれば特に限定はなく、例えば、15〜49塩基対と、好適には15〜35塩基対と、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。あるいは、発現されるsiRNAが転写され最終的な二重鎖RNA部分の長さが、例えば、15〜49塩基対、好適には15〜35塩基対、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。標的配列のインバーテッドリピートの間に適当な配列(イントロン配列が望ましい)を挿入し、ヘアピン構造を持つダブルストランドRNA(self-complementary 'hairpin' RNA(hpRNA))を作るようなコンストラクト(Smith, N.A., et al. Nature, 407: 319, 2000、Wesley, S. V. et al. Plant J. 27: 581, 2001、Piccin, A. et al. Nucleic Acids Res. 29:E55, 2001)を用いることもできる。
RNAiに用いるDNAは、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有する。また、配列の同一性は後述の手法により決定できる。
dsRNAにおけるRNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。本発明においては、dsRNAにおけるRNA同士が対合する二重鎖RNA領域中に、バルジおよびミスマッチの両方が含まれていてもよい。
また本発明においては、酵素をコードするDNAを欠損させることにより、あるいは他のDNAに置換することによって、酵素活性を抑制することもできる。酵素の欠損は、Wanner法、Scarless法などDNA配列を欠損させる手法によって行うことができる。また他のDNAへの置換はScarless法など公知の遺伝子を置換する手法によって行うことができる。
Wanner法とは、短い相同配列間で起こる組換えを利用し、目的遺伝子を欠損させる手法である。Scarless法とは、短い相同配列間で起こる組換えを利用し、DNA中の配列を欠損あるいは置換する手法である。
本発明の微生物は、発酵性基質を原料としてアルキルジオールを産生することができるものであれば特に限定されないが、以下(1)及び/又は(2)、及び(3)に記載の酵素あるいは再生活性化因子の活性が増強しているものが好ましい。
(1)グリセロールデヒドラターゼ及び/又はグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子
(2)ジオールデヒドラターゼ及び/又はジオールデヒドラターゼ再生活性化因子、及び
(3)アルコールデヒドロゲナーゼ
本発明において「活性が増強された」とは、これらの酵素あるいは再生活性化因子をコードするDNAで形質転換されてない野生型の宿主と比較して、上記(1)及び/又は(2)、及び(3)に記載の酵素あるいは再生活性化因子の活性が増加することを言う。より具体的には、宿主に対し、同種もしくは異種由来のこれらの酵素をコードするDNAを導入することによって、例えば、宿主に対して2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上、更に好ましくは10倍以上の活性を有する遺伝子組換え微生物を言う。このような微生物は、以下(1)又は(2)、及び(3)に記載の遺伝子で形質転換することにより取得することができる。
(1)グリセロールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子
(2)ジオールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はジオールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子、及び
(3)アルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子
本発明におけるアルコールデヒドロゲナーゼとして、好ましくはNADPHを補酵素とするアルコールデヒドロゲナーゼ、Escherichia coli由来のアルコールデヒドロゲナーゼ、Klebsiella pneumoniae由来の1,3-プロパンジオールデヒドロゲナーゼなどが挙げられるがこれらに限定されない。
グリセロールデヒドラターゼ及びジオールデヒドラターゼは、グリセロールから3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの生成を触媒する酵素である。またプロパンデヒドロゲナーゼは、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドから1,3−プロパンジオールの生成を触媒する酵素である。したがって、グリセロールデヒドラターゼ(GD)及び/又はグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子(GDR)、及び/又は、ジオールデヒドラターゼ(DD)及び/又はジオールデヒドラターゼ再生活性化因子(DDR)、及びアルコールデヒドロゲナーゼの活性が増強した微生物を使用すれば、より効率的に1,3−プロパンジオールを産生させることができる。
本発明におけるグリセロールデヒドラターゼ(GD)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:20に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:22に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:24に記載されたアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(b)配列番号:20に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:22に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:24に記載されたアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:19に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:21に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:23に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(d)配列番号:19に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:21に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:23に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(e)配列番号:20に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:22に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:24に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素。
グリセロールデヒドラターゼ(GD)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 271, 22352 (1996)に記載の方法にしたがって行うことができる。
また本発明におけるグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子(GDR)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載のタンパク質を挙げることができる。
(a)配列番号:26に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:28に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(b)配列番号:26に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:28に記載されたアミノ酸配列を含むβサブユニットを有する酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:25に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:27に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(d)配列番号:25に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:27に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(e)配列番号:26に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:28に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素
グリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子(GDR)の活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Bacteriol., 181, 4110 (1999)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるジオールデヒドラターゼ(DD)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:30に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:32に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:34に記載されたアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(b)配列番号:30に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:32に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:34に記載されたアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:29に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:31に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:33に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(d)配列番号:29に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:31に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:33に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素、
(e)配列番号:30に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:32に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するβサブユニット、配列番号:34に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するγサブユニットを含む酵素。
ジオールデヒドラターゼ(DD)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 270, 7142 (1995)に記載の方法にしたがって行うことができる。
また本発明におけるジオールデヒドラターゼ再生活性化因子(DDR)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載のタンパク質を挙げることができる。
(a)配列番号:36に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:38に記載されたアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(b)配列番号:36に記載されたアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:38に記載されたアミノ酸配列を含むβサブユニットを有する酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:35に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:37に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(d)配列番号:35に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:37に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素、
(e)配列番号:36に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するαサブユニット、配列番号:38に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するβサブユニットを含む酵素
ジオールデヒドラターゼ再生活性化因子(DDR)の活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 274, 3372 (1990)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)として特に好ましくは、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:40に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:40に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:39に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:39に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:40に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の酵素活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Mol. Biol., 342, 489 (2004)に記載の方法にしたがって行うことができる。
さらに本発明の微生物は、グリセロール脱水素酵素(GlyDH)、ジヒドロキシアセトンキナーゼII型(DHAK2)、アデノシルトランスフェラーゼ(ADT)の各酵素の活性が増強されたものであってもよい。このような微生物は、グリセロール脱水素酵素、ジヒドロキシアセトンキナーゼII型、アデノシルトランスフェラーゼの各酵素をコードする遺伝子で形質転換することにより取得することができる。
本発明におけるグリセロール脱水素酵素(GlyDH)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:42に記載されたアミノ酸配列を有する酵素、
(b)配列番号:42に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:41に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(d)配列番号:41に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する酵素、
(e)配列番号:42に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する酵素。
グリセロール脱水素酵素(GlyDH)の活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Bacteriol., 119, 50 (1974)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるジヒドロキシアセトンキナーゼII型(DHAK2)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:44に記載されたアミノ酸配列を有するKフラグメント、配列番号:46に記載されたアミノ酸配列を有するLフラグメント、配列番号:48に記載されたアミノ酸配列を有するMフラグメントを含む酵素、
(b)配列番号:44に記載されたアミノ酸配列を有するKフラグメント、配列番号:46に記載されたアミノ酸配列を有するLフラグメント、配列番号:48に記載されたアミノ酸配列を有するMフラグメントを含む酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:43に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するKフラグメント、配列番号:45に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するLフラグメント、配列番号:47に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するMフラグメントを含む酵素、
(d)配列番号:43に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するKフラグメント、配列番号:45に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するLフラグメント、配列番号:47に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するMフラグメントを含む酵素、
(e)配列番号:44に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するKフラグメント、配列番号:46に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するLフラグメント、配列番号:48に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するMフラグメントを含む酵素。
ジヒドロキシアセトンキナーゼII型(DHAK2)の活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばBiotechnol. Prog., 19, 263 (2003)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明におけるアデノシルトランスフェラーゼ(ADT)としては、下記(a)から(e)のいずれかに記載の酵素を挙げることができる。
(a)配列番号:50に記載されたアミノ酸配列を有するorfWフラグメント、配列番号:52に記載されたアミノ酸配列を有するorfYフラグメントを含む酵素、
(b)配列番号:50に記載されたアミノ酸配列を有するorfWフラグメント、配列番号:52に記載されたアミノ酸配列を含むorfYフラグメントを有する酵素のアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素、
(c)配列番号:49に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するorfWフラグメント、配列番号:51に記載された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するorfYフラグメントを含む酵素、
(d)配列番号:49に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するorfWフラグメント、配列番号:51に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列を有するorfYフラグメントを含む酵素、
(e)配列番号:49に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するorfWフラグメント、配列番号:51に記載のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するorfYフラグメントを含む酵素
アデノシルトランスフェラーゼ(ADT)の活性の測定方法は当業者に周知である。これに限定されるものではないが、例えばJ. Biol. Chem., 279, 23646 (2004)に記載の方法にしたがって行うことができる。
本発明において、「ある特定の配列番号に記載されたアミノ酸配列からなる酵素」のホモログは、「ある特定の配列番号に記載されたアミノ酸配列において、1若しくは複数(2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜5)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素」と表すことができる。当該ホモログは、特定の配列番号に記載されたアミノ酸配列からなる酵素と機能的に同等なタンパク質を意味する。本発明において「機能的に同等」とは、本明細書に記載する、各酵素の酵素活性(触媒反応、化学反応等)と同じ機能を有することを意味する。
ある特定の配列番号に記載のアミノ酸配列において、たとえば100以下、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、あるいは5以下のアミノ酸残基の変異は許容される。一般にタンパク質の機能の維持のためには、置換するアミノ酸は、置換前のアミノ酸と類似の性質を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸残基の置換は、保存的置換と呼ばれている。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性アミノ酸としては、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、Hisが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は許容される。
当業者であれば、本明細書において開示された塩基配列からなる各酵素のDNAに部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.6487 (1982), Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Practical Approach IRL Press pp.200 (1991))などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することにより各酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。各酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを宿主に導入して発現させることにより、各酵素のホモログを得ることが可能である。
さらに、本発明の各酵素のホモログとは、各酵素に対応した配列番号に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、又は99%以上)の同一性を有するタンパク質をいう。タンパク質の同一性検索は、例えばSWISS-PROT、PIR、DADなどのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベースやDDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST、FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネットを通じて行うことができる。
本発明に記載の各酵素は、当該酵素と機能的に同等な活性を有する限り、付加的なアミノ酸配列を結合することができる。たとえば、ヒスチジンタグやHAタグのような、タグ配列を付加することができる。あるいは、他のタンパク質との融合タンパク質とすることもできる。また本発明の各酵素あるいはそのホモログは、各酵素と機能的に同等な活性を有する限り、断片であってもよい。
本発明に記載された各酵素をコードするポリヌクレオチドは、以下のような方法によって単離することができる。例えば、各酵素に対応した配列番号に示される塩基配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行うことにより各酵素をコードするDNAを得ることができる。さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、各酵素のポリヌクレオチドを得ることができる。
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics 120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)などにより各酵素をコードするポリヌクレオチドを得ることも可能である。
なお本発明において、各酵素をコードするポリヌクレオチドとしては、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得られたDNAが含まれる。
ハイブリダイゼーションにおいては、各酵素に対応した配列番号に示される塩基配列の相補配列またはその部分配列からなる核酸(DNAまたはRNA)をプローブとして、対象とする核酸に対してハイブリダイゼーションを行い、ストリンジェントな条件下で洗浄後にプローブが対象とする核酸に有意にハイブリダイズしているかを確認する。プローブの長さは例えば連続した20塩基以上、好ましくは25塩基以上、さらに好ましくは30塩基以上、さらに好ましくは40塩基以上、さらに好ましくは80塩基以上、さらに好ましくは100塩基以上(例えば各酵素に対応した配列番号に示される塩基配列の全長)を用いる。プローブに各酵素に対応した配列番号に示される塩基配列またはその相補配列以外の無関係な配列(ベクター由来の配列など)が含まれる場合には、ネガティブコントロールとしてその配列だけをプローブにして同様にハイブリダイゼーションを行い、同様の条件下で洗浄後にそのプローブが対象とする配列に有意にハイブリダイズしないことを確認してもよい。ハイブリダイゼーションは、ニトロセルロース膜またはナイロン膜などを用いて慣用の方法にて実施することができる(Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratories; Ausubel, F.M. et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishe Associates/ John Wiley and Sons, New York. NY)。
ハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件を具体的に例示すれば、例えば6×SSC、0.5%(W/V) SDS、100μg/ml 変性サケ精子DNA、5×デンハルト溶液(1×デンハルト溶液は0.2%ポリビニールピロリドン、0.2%牛血清アルブミン、および0.2%フィコールを含む)を含む溶液中、45℃、好ましくは55℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは65℃で一晩ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて、4×SSC、0.5% SDS、20分を3回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、2×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 2×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.5×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 2×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.5×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.1×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。
これらの酵素をコードするポリヌクレオチドは、例えば、以下のような方法によって単離することができる。すなわち、公知の各酵素に対応する塩基配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行うことにより、各酵素をコードするDNAを得ることができる。
さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、各酵素をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics 120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)などにより各酵素をコードするポリヌクレオチドを得ることも可能である。
本発明において、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼを発現させるために形質転換の対象となる微生物は、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換され、発酵性基質を原料としてアルキルジオールを産生することができる生物であれば特に制限はない。利用可能な微生物としては、例えば以下のような微生物を示すことができる。
エシェリヒア(Escherichia)属
バチルス(Bacillus)属
シュードモナス(Pseudomonas)属
セラチア(Serratia)属
ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属
ストレプトコッカス(Streptococcus)属
ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌
ロドコッカス(Rhodococcus)属
ストレプトマイセス(Streptomyces)属等宿主ベクター系の開発されている放線菌
サッカロマイセス(Saccharomyces)属
クライベロマイセス(Kluyveromyces)属
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属
チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属
ヤロウイア(Yarrowia)属
トリコスポロン(Trichosporon)属
ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属
ピキア(Pichia)属
キャンディダ(Candida)属等宿主ベクター系の開発されている酵母
ノイロスポラ(Neurospora)属
アスペルギルス(Aspergillus)属
セファロスポリウム(Cephalosporium)属
トリコデルマ(Trichoderma)属等宿主ベクター系の開発されているカビ
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレキュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laboratories)。
グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼの宿主への導入には、不和合性を避けるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組換えベクターにより宿主を形質転換する方法や、単一のベクターに両遺伝子を導入する方法、両方、もしくは、片方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用することができる。
微生物菌体内などにおいて、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼを発現させるためには、まず微生物中で安定に存在するプラスミドベクターまたはファージベクターへこれらの酵素をコードするDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる。そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターをグリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼのDNA鎖の5'-側上流に、より好ましくはターミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込めばよい。このプロモーター、ターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーター、ターミネーターを用いる。これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーター、ターミネーター等に関しては、例えば「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Adv. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Yeast 8, 423-488 (1992)、等に詳細に記載されている。
エシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとして、例えばpBR、pUC系プラスミドを利用でき、lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、trc(lac、trpの融合)、λファージ PL、PR等に由来するプロモーター等が利用できる。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーター等を用いることができる。
バチルス属においては、ベクターとしてpUB110系プラスミド、pC194系プラスミド等が利用可能であり、染色体にインテグレートさせることも可能である。また、プロモーターまたはターミネーターとしてapr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、またはamy(α−アミラーゼ)等が利用できる。
シュードモナス属においては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)等の宿主ベクター系が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010等に由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む)pKT240等が利用可能である。プロモーターまたはターミネーターとしては、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子等が利用できる。
ブレビバクテリウム属、特にブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))等のプラスミドベクターが利用可能である。プロモーターまたはターミネーターとしては、大腸菌で使用されているプロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能である。
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984))等のプラスミドベクターが利用可能である。
ストレプトコッカス(Streptococcus)属においては、pHV1301(FEMS Microbiol. Lett. 26, 239 (1985))、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (1985))等がプラスミドベクターとして利用可能である。
ラクトバチルス(Lactobacillus)属においては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J. Bacteriol. 137, 614 (1979))等が利用可能であり、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが利用可能である。
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクター等が利用可能である (J. Gen. Microbiol. 138,1003 (1992))。
ストレプトマイセス(Streptomyces)属においては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486 (Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gene 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1995) )等が使用できる。また、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11, 46-53 (1997))。
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae) においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラスミド等が利用可能であり、染色体内に多コピー存在するリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグレーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノラーゼ)等のプロモーターおよびターミネーターが利用可能である。
クライベロマイセス属、特にクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)においては、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNA等との相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGK等に由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のARS (自律複製に関与する遺伝子)、およびサッカロマイセス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マーカーを含むプラスミドベクター等が利用可能である(Mol. Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用できる(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用できる。
チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ (Zygosaccharomyces rouxii)由来の pSB3(Nucleic Acids Res. 13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクター等が利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ由来 PHO5 プロモーター、およびチゴサッカロマイセス・ロウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 2521 (1990))等が利用可能である。
ピキア(Pichia)属においては、ピキア・アンガスタ(Pichia angusta、旧名:ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))において宿主ベクター系が開発されている。ベクターとしては、ピキア・アンガスタ由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であるが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーションが有効である(Yeast 7, 431-443 (1991))。また、メタノールなどで誘導されるAOX(アルコールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーター等が利用可能である。また、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製に関与する遺伝子 (PARS1、PARS2)等を利用した宿主ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol. 5, 3376 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能なAOXなど強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids Res. 15, 3859 (1987))。
キャンディダ(Candida)属においては、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ウチルス (Candida utilis) 等において宿主ベクター系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおいてはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニングされ(Agri. Biol. Chem. 51, 51, 1587 (1987))、これを利用したベクターが開発されている。また、キャンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレートタイプのベクターの強力なプロモーターが開発されている(特開平08-173170)。
アスペルギルス(Aspergillus)属においては、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) 等がカビの中で最もよく研究されており、プラスミド、および染色体へのインテグレーションの利用が可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (1989))。
トリコデルマ(Trichoderma)属においては、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ遺伝子由来プロモーター等が利用できる(Biotechnology 7, 596-603 (1989))。
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))、菜種、トウモロコシ、またはジャガイモ等の植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており好適に利用できる。
また本発明は、本発明の遺伝子組換え微生物を利用する、アルキルジオールの製造方法に関する。より具体的には、本発明の遺伝子組換え微生物の培養物、菌体、およびその処理物からなる群から選択される少なくとも一つと発酵性基質を接触させる工程、及び、アルキルジオールを回収する工程を含む、アルキルジオールの製造方法に関する。
本発明の遺伝子組換え微生物等を発酵性基質と接触させることにより、発酵性基質を遺伝子組換え微生物によって資化せしめ、アルキルジオールを産生させることができる。遺伝子組換え微生物と発酵性基質の接触形態は特に限定されない。発酵性基質は、遺伝子組換え微生物が発酵性基質を資化し、且つ、目的とする酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したものである。
本発明の遺伝子組換え微生物の処理物には、界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、凍結乾燥やスプレードライなどにより調製した乾燥菌体、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したもの、精製酵素、形質転換体や酵素を固定化した固定化酵素、固定化微生物などが含まれる。
本発明のアルキルジオールの製造方法において、遺伝子組換え微生物の培養条件は、・グリセロールデヒドラターゼ
・グリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子
・ジオールデヒドラターゼ、
・ジオールデヒドラターゼ再生活性化因子
・アルコールデヒドロゲナーゼ、
・グリセロール脱水素酵素、
・ジヒドロキシアセトンキナーゼII型
、アデノシルトランスフェラーゼ
の活性が増強された形質転換体の発酵性基質の資化活性にとって好ましい培養条件を選択することができる。
アルキルジオールを生産するための原料である発酵性基質の濃度に特に制限はないが、通常0.1〜30%程度、好ましくは0.5〜20%、より好ましくは1〜15%の濃度が用いられる。
なお、本発明における「%」は、いずれも「重量/容量(w/v)」を意味する。
また、原料は発酵開始時に一括して添加することも可能であるが、発酵液中に連続的、もしくは間欠的に添加することも可能である。
また、本発明の遺伝子組換え微生物は、一般的に大腸菌の培養に用いられる培地で培養することができ、公知の方法によって発現誘導することによって、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼを高発現させることができる。例えば、当該酵素活性が増強された大腸菌を2×YT培地(2.0%バクト−トリプトン、1.0%バクト−酵母エキス、1.0%塩化ナトリウム、pH7.2)中で培養し、イソプロピル−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)によって発現誘導させ、十分に増殖させた後に、培養液をそのまま、もしくは、菌体を回収して1,3−アルキルジオール生産に用いることができる。
アルキルジオールの生産に使用する本発明の遺伝子組換え微生物は、発酵性基質を含むアルキルジオール生産用発酵液で生育させながらアルキルジオールを生産させても良く、予め培養して増殖させた培養液、もしくは、回収した菌体を用いても良い。予め培養して増殖させた培養液、もしくは、回収した菌体の量は、通常は、発酵性基質を含むアルキルジオール生産用発酵液量に対して0.1〜100%、好ましくは0.5〜50%、より好ましくは1〜20%程度用いることができる(ここで言う「%」は、アルキルジオール生産用発酵液に対する植菌率を示しており、「[予め増殖させた培養液]/[アルキルジオール生産用発酵液](v/v)」を意味する)。
アルキルジオール生産用発酵液は、アルキルジオールを生産するための発酵性基質以外にも、必要に応じてアルキルジオールの生産を促進するものが含まれていることが好ましく、本目的のために用いられる遺伝子組換え大腸菌の栄養源となる培地成分を含んでいてもよい。具体的には、大腸菌の培養に用いられる培地であるLB(1.0%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1.0%塩化ナトリウム、pH7.2)、2×YT(2.0%バクト−トリプトン、1.0%バクト−酵母エキス、1.0%塩化ナトリウム、pH7.2)、M9培地(6.8g/L Na2HPO4、3.0g/L KH2PO4、0.5g/L NaCl、1.0g/L NH4Cl、0.493g/L MgSO4・7H2O、14.7mg/L CaCl2・2H2O、pH7.5)などを挙げることができる。予め培養して十分量の菌体をアルキルジオール生産用発酵液に供する場合は、より高濃度の発酵性基質の存在下でアルキルジオールの生産を行うことができ、上記培地を除くこともできる。また、必要に応じて発酵中のpHをアルキルジオール生産に適したpHに維持させるための成分、例えば緩衝剤を10mM〜800mM、好ましくは、50〜500mM、より好ましくは100〜250mM含んでいてもよく、具体的には、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液、MES緩衝液、Tris緩衝液、リン酸緩衝液などを挙げることができる。発酵温度は本発明の遺伝子組換え微生物が発酵性基質の資化能力を発現でき、且つ、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼの酵素活性を発現でき、アルキルジオールを生成できる温度であれば良く、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃で行うことができる。またpHも、グリセロールデヒドラターゼ又はジオールデヒドラターゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼの酵素活性を発現でき、アルキルジオールを生成できるpHであれば良く、通常はpH4〜12、好ましくは、pH5〜11、より好ましくはpH6〜9で行うことができる。また、発酵は攪拌下、あるいは静置下で行うことができる。また、発酵性基質をより効率的にアルキルジオールに変換させるために、十分量の酸素を供給した好気的条件下、酸素供給量を制限した微好気的条件下、もしくは、酸素を供給しない嫌気的条件下の反応培地で行うことができる。
本発明のアルキルジオールの製造は、水中もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、メチルイソブチルケトン、メチルターシャリーブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相系、もしくは水に溶解する有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシドなどとの混合系により行うことができる。アルキルジオールの製造は、バッチ式、流加式、連続式のいずれの生産方式で行うことも可能であり、固定化菌体、固定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
反応により生成したアルキルジオールの回収、精製は、遠心分離や濾過などによる分離、有機溶媒による抽出、イオン交換クロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー、吸着剤による吸着、凝集剤、脱水剤による脱水もしくは凝集、晶析、蒸留、などを適宜組み合わせることにより行うことができる。
たとえば、微生物菌体を含む発酵液を遠心分離や膜濾過等によって微生物菌体を除去、タンパク質を除去した後、水溶液中から、濃縮、蒸留などの公知の方法によりアルキルジオールを精製することができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
Wanner法の実施
実施例1:コンピテントセルの作成
大腸菌K12株(Escherichia coli K12)をLB培地(10g/L トリプトン、5g/L 酵母エキス、10g/L 塩化ナトリウム、pH 7.2)に接種し、37℃で終夜振盪培養することで前培養液を得た。これをLB培地に培地量の1%植菌し、37℃で振盪してOD 0.5程度になるまで培養した。培養液1mLを1.5mLエッペンドルフチューブに移し、氷上で5分冷却した後、遠心分離して上清を除去した。ここに10% グリセロール 1mLを添加して菌体を懸濁し、再度遠心分離して上清を除去した。この操作を計3回繰り返して菌体を洗浄した。ここに10% GYT(10% グリセロール、0.25% トリプトン、0.125% 酵母エキス)100μLを添加して菌体を懸濁し、コンピテントセルを作成した。
実施例2:pKD46による形質転換体取得
実施例1で得られたコンピテントセル 50μLに、プラスミドpKD46溶液を1μL添加して混合した。これを、エレクトロポレーション用のキュベットに添加し、氷上で5分間冷却した後、エレクトロポレーションにより形質転換した(1800V、25μF、200Ω)。あらかじめ30℃でインキュベートしておいたSOC培地(20g/Lトリプトン、5g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、0.186g/L 塩化カリウム、10mM 硫酸マグネシウム、10mM塩化マグネシウム、20mM グルコース)500μLを添加し、ファルコンチューブに移液して、30℃、200rpmで1時間振盪した。SOC培地で適宜希釈し、終濃度50mg/L アンピシリンを含むLBプレートに塗布して30℃で終夜培養し、大腸菌K12 (pKD46) を得た。
実施例3:コンピテントセルの作成
大腸菌K12 (pKD46) を終濃度50μg/L アンピシリンを含むLB培地に接種し、30℃で終夜振盪培養することで前培養液を得た。これを終濃度10mM アラビノースと終濃度50mg/L アンピシリンを含むSOB培地(20g/Lトリプトン、5g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、0.186g/L 塩化カリウム、10mM 硫酸マグネシウム、10mM塩化マグネシウム)に培地量の1%植菌し、30℃で振盪してOD 0.5程度になるまで培養した。培養液5mLを50 mLコーニングチューブに移し、氷上で5分冷却した後、遠心分離して上清を除去した。ここに10% グリセロール 5mLを添加して菌体を懸濁し、再度遠心分離して上清を除去した。この操作を計3回繰り返して菌体を洗浄した。ここに10% GYT(10% グリセロール、0.25% トリプトン、0.125% 酵母エキス)50μLを添加して菌体を懸濁し、コンピテントセルを作成した。
実施例4:相同組換え
プラスミドpKD13をテンプレートとし、ldhA-w-up及びldhA-w-downをプライマーとして、ExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 94℃、30秒;アニール 58℃、30秒;伸長 72℃、2分;30サイクル)。
ldhA-w-up:TATTTTTAGTAGCTTAAATGTGATTCAACATCACTGGAGAAAGTCTTATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:53)
ldhA-w-down:CTCCCCTGGAATGCAGGGGAGCGGCAAGATTAAACCAGTTCGTTCGGGCATGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:54)
得られたPCR産物をGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GEヘルスケア社製)で精製した。
実施例3で得られたコンピテントセル 50μLに、精製したPCR産物を100ngとなるように添加して混合した。これを、エレクトロポレーション用のキュベットに添加し、エレクトロポレーションにより形質転換した(1800V、25μF、200Ω)。あらかじめ37℃でインキュベートしておいたSOC培地1mLを添加し、ファルコンチューブに移液して、37℃、200rpmで3時間振盪した。SOC培地で適宜希釈し、終濃度20mg/L カナマイシンを含むLBプレートに塗布して37℃で終夜培養した。
生育したコロニーをテンプレートとし、ldhA-up及びldhA-downをプライマーとして、Emerald Mix(タカラバイオ製)を用いてコロニーPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、30秒;伸長 72℃、2分;30サイクル)。
ldhA-w-up: CTGGTCACGGGCTTACCGTTTA(配列番号:55)
ldhA-w-down: CGTCAACGGCACAAGAATAATCAG(配列番号:56)
アガロースゲルによる電気泳動でPCR産物の長さを確認し、1800bp程度の長さが得られたものを大腸菌K12 (pKD46) -ΔldhA::Km-rとして、以後の操作を実施した。
実施例5:コンピテントセルの作成
大腸菌K12 (pKD46) -ΔldhA::Km-rを終濃度20μg/L カナマイシンを含むLB培地に接種し、37℃で終夜振盪培養することで前培養液を得た。これをLB培地に培地量の1%植菌し、37℃で振盪してOD 0.5程度になるまで培養した。培養液1mLを1.5mLエッペンドルフチューブに移し、氷上で5分冷却した後、遠心分離して上清を除去した。ここに10% グリセロール 1mLを添加して菌体を懸濁し、再度遠心分離して上清を除去した。この操作を計3回繰り返して菌体を洗浄した。ここに10% GYT(10% グリセロール、0.25% トリプトン、0.125% 酵母エキス)100μLを添加して菌体を懸濁し、コンピテントセルを作成した。
実施例6:pCP20による形質転換体取得
実施例5で得られたコンピテントセル 50μLに、プラスミドpCP20溶液を1μL添加して混合した。これを、エレクトロポレーション用のキュベットに添加し、氷上で5分間冷却した後、エレクトロポレーションにより形質転換した(1800V、25μF、200Ω)。あらかじめ30℃でインキュベートしておいたSOC培地(20g/Lトリプトン、5g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、0.186g/L 塩化カリウム、10mM 硫酸マグネシウム、10mM塩化マグネシウム、20mM グルコース)500μLを添加し、ファルコンチューブに移液して、30℃、200rpmで1時間振盪した。SOC培地で適宜希釈し、終濃度50mg/L アンピシリンを含むLBプレートに塗布して30℃で終夜培養し、大腸菌K12 (pKD46) -ΔldhA::Km-r (pCP20) を得た。
実施例7:大腸菌K12-ΔldhAの取得
実施例6で得られたコロニーをLBプレートに塗布して42℃で終夜培養した。生育したコロニーを、LBプレート、50mg/Lアンピシリンを含むLBプレート、及び20mg/Lカナマイシンを含むLBプレートにリプレートして37℃で終夜培養した。LBプレートのみに生育が見られたコロニーをテンプレートとし、ldhA-up及びldhA-downをプライマーとして、Emerald Mix(タカラバイオ製)を用いてコロニーPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、30秒;伸長 72℃、2分;30サイクル)。
ldhA-w-up: CTGGTCACGGGCTTACCGTTTA(配列番号:57)
ldhA-w-down: CGTCAACGGCACAAGAATAATCAG(配列番号:58)
アガロースゲルによる電気泳動でPCR産物の長さを確認し、500bp程度の長さが得られたものを大腸菌K12-ΔldhAとした。
実施例8:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhEの取得
実施例7で得られた大腸菌K12-ΔldhAに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhEを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
adhE-w-up: CGAGCAGATGATTTACTAAAAAAGTTTAACATTATCAGGAGAGCATTATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:59)
adhE-w-down: CCGTTTATGTTGCCAGACAGCGCTACTGATTAAGCGGATTTTTTCGCTTTTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:60)
adhE-up: CGCATCATTCATTATCGCTGGAA(配列番号:61)
adhE-down: TGGATCACGTAATCAGTACCCAG(配列番号:62)
実施例9:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δptaの取得
実施例8で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhEに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δptaを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
pta-w-up: GCTGTTTTGTAACCCGCCAAATCGGCGGTAACGAAAGAGGATAAACCGTGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:63)
pta-w-down: GCAGCGCAAAGCTGCGGATGATGACGAGATTACTGCTGCTGTGCAGACTGTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:64)
pta-up: AACTGTCTCTGGGCAAACTGGGCGT(配列番号:65)
pta-down: TCACCAACGTATCGGGCATTGC(配列番号:66)
実施例10:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflBの取得
実施例9で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δptaに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflBを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
pflB-w-up: CGAAGTACGCAGTAAATAAAAAATCCACTTAAGAAGGTAGGTGTTACATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:67)
pflB-w-down: TTTTACTGTACGATTTCAGTCAAATCTAATTACATAGATTGAGTGAAGGTTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:68)
pflB-up: GGCCGTCTACGGTTCCACA(配列番号:69)
pflB-down: TGTAATCCGCGACTTCGCATC(配列番号:70)
実施例11:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldBの取得
実施例10で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflBに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldBを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
aldB-w-up: CCAGTCACGTCTACCCTTGTTATACCTCACACCGCAAGGAGACGATCATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:71)
aldB-w-down: TGAATACCCAATGCGACCAGCTTCTTATATCAGAACAGCCCCAACGGTTTTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:72)
aldB-up: ATGCCCTGAAAGATGCCTGTG(配列番号:73)
aldB-down: GCTCACCATCGAAACGCGAG(配列番号:74)
実施例12:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsAの取得
実施例11で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldBに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsAを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
mgsA-w-up: TAAGTGCTTACAGTAATCTGTAGGAAAGTTAACTACGGATGTACATTATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:75)
mgsA-w-down: AACAGGTGGCGTTTGCCACCTGTGCAATATTACTTCAGACGGTCCGCGAGTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:76)
mgsA-up: GAAGTGATGGTTTTCCGGCTG(配列番号:77)
mgsA-down: ACAGTACGCTGCTTTCGGGTG(配列番号:78)
実施例13:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsAの取得
実施例12で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsAに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsAを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
ppsA-w-up: AGAAATGTGTTTCTCAAACCGTTCATTTATCACAAAAGGATTGTTCGATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:79)
ppsA-w-down: CGGCGACTAAACGCCGCCGGGGATTTATTTTATTTCTTCAGTTCAGCCAGTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:80)
ppsA-up: CGCATCATTCATTATCGCTGGAA(配列番号:81)
ppsA-down: CCGATGGTTTATGTGGAAATTGTC(配列番号:82)
実施例14:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldAの取得
実施例13で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsAに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldAを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
aldA-w-up: GATGTTAATTAACAATGTATTCACCGAAAACAAACATATAAATCACAGGAGTCGCCCATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:83)
aldA-w-down: GCACAGGCGGAGGAAAAAACCTCCGCCTCTTTCACTCATTAAGACTGTAAATAAACCACGTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:84)
aldA-up: GTGAACCACTTGTTTGCAAACGG(配列番号:85)
aldA-down: CAAGCAACCACCAATAACGAGTC(配列番号:86)
実施例15:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcAの取得
実施例14で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldAに対し、実施例1〜7を繰り返し、大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcAを得た。
但し、PCRに使用したプライマーは以下とした。
sfcA-w-up: TAAAGCAAAGACGATAAAAGCCCCCCAGGGATGGATATTCAAAAAAGAGTGAGTGACATGATTCCGGGGATCCGTCGACC(配列番号:87)
sfcA-w-down: GGGAAATAGCCCGGTAGCCTTCACTACCGGGCGCAGGCTTAGATGGAGGTACGGCGGTAGTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG(配列番号:88)
sfcA-up: CGCCATTCTTAACATGAAGATCGG(配列番号:89)
sfcA-down: CGTCATATTCTTGGACTGGACC(配列番号:90)
実施例16:大腸菌由来アルコール脱水素酵素(EcPDH)のクローニング
大腸菌K12株由来のアルコール脱水素酵素の塩基配列(Accession No. U00096)を元に、クローニング用のプライマーEcPDH-A1、EcPDH-Nc、EcPDH-N、EcPDH-T1を合成した。
EcPDH-A1: CAACATATGAATAATTTTAATCTGCACACC(配列番号:91)
EcPDH-Nc: GGCCCAGCATGTGCGTTGCC(配列番号:92)
EcPDH-N: GGCAACGCACATGCTGGGCC(配列番号:93)
EcPDH-T1: GTCTTAATTAACGAGCTGCTTCGTATATACG(配列番号:94)
大腸菌K12株から精製したゲノムDNAを鋳型とし、EcPDH-A1とEcPDH-Ncをプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。同様の条件で、EcPDH-NとEcPDH-T1をプライマーとして、PCRを行った。
2種類のPCR産物を混合して鋳型とし、EcPDH-A1とEcPDH-T1をプライマーとして、同様の条件でPCRを行った。得られたPCR産物を制限酵素NdeIとPacIで二重消化し、同制限酵素で二重消化したpSE420U にTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-EPD1を構築した。
実施例17:クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsielllla pneumoniae)由来グリセロール脱水酵素(KpGD)のクローニング
pSUI2E(GD)(J. Biol. Chem., 271, 22352-22357 (1996))の配列情報を元に、クローニング用のプライマーKpgldA-A1、KpgldA-T1、KpgldB-A1、KpgldB-T1、KpgldC-A1、KpgldC-T1を合成した。
KpgldA-A1: GTCTCATGAAACGTTCAAAACGTTTTGCAGTACTGGC(配列番号:95)
KpgldA-T1: CATTATAAGATCTCCTTATTCAATGGTGTCTGGCTGAAC(配列番号:96)
KpgldB-A1: CAGACACCATTGAATAAGGAGATCTTATAATGCAACAGACAACCCAA(配列番号:97)
KpgldB-T1: CATTATAGGTACCTCATTCACGTACTAAGTCGATGTGCAG(配列番号:98)
KpgldC-A1: CGTGAATGAGGTACCTATAATGAGCGAGAAAACCATGCGC(配列番号:99)
KpgldC-T1: GACTCTAGATTAGCTTCCTTTACGCAGCTTATGACGCTGCTG(配列番号:100)
pSUI2E(GD)を鋳型とし、KpgldA-A1とKpgldA-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。同様の条件で、KpgldB-A1とKpgldB-T1-T1をプライマーとして、PCRを行った。同様の条件で、KpgldC-A1とKpgldC-T1-T1をプライマーとして、PCRを行った。
3種類のPCR産物を混合して鋳型とし、KpgldA-A1とKpgldC-T1をプライマーとして、同様の条件でPCRを行った。得られたPCR産物を制限酵素BspHIとXbaIで二重消化し、制限酵素NcoIとXbaIで二重消化したpSE420UにTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-KGD1を構築した。
実施例18:クレブシエラ・ニューモニエ由来グリセロール脱水酵素再活性化因子(KpGDR)のクローニング
pCXV(dgrBA)(J. Biol. Chem., 271, 22352-22357 (1996))の配列情報を元に、クローニング用のプライマーKpGdrB-A1、KpGdrA-T1を合成した。
KpGdrB-A1: GAGGAATTCATACATGTCACTTTCACCTCCAGGTGTACGC(配列番号:101)
KpGdrA-T1: GACAAGCTTCTAGATTAATTAGCTTGACCAGCCAGTAGCAG(配列番号:102)
pCXV(dgrBA)を鋳型とし、KpGdrB-A1とKpGdrA-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。
得られたPCR産物を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化し、同制限酵素で二重消化したpSE420UにTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-KGR1を構築した。
実施例19:クレブシエラ・オキシトーカ(Klebsielllla oxytoca)由来ジオール脱水酵素(KoDD)のクローニング
pSUI2ENd(DD)(J. Biol. Chem., 270, 7142-7148 (1995))の配列情報を元に、クローニング用のプライマーKopduA-A1、KopduA-Nde-R、KopduA-Nde-F、KopduA-T1、KopduB-A1、KopduC-T1を合成した。
KopduA-A1: GTCTTAATTAAGGAGGTTTAAACATATGCGTTCGAAACGTTTTGAAG(配列番号:103)
KopduA-Nde-R: CGACGACGTTCATGTGCGAAACCACT(配列番号:104)
KopduA-Nde-F: CGACGACGTTCATGTGCGAAACCACT(配列番号:105)
KopduA-T1: CATTAATTTCCATggataatatccTTAATCAATCTCGTTGGGATC(配列番号:106)
KopduB-A1: GATTAAggatattatccATGGAAATTAATGAAAAATTGCTGCGC(配列番号:107)
KopduC-T1: CTGTCTAGATTAATCGTCGCCTTTGAGTTTTTTACGCTCG(配列番号:108)
pSUI2ENd(DD)を鋳型とし、KopduA-A1とKopduA-Nde-Rをプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。同様の条件で、KopduA-Nde-FとKopduA-T1をプライマーとして、PCRを行った。同様の条件で、KopduB-A1、KopduC-T1をプライマーとして、PCRを行った。
3種類のPCR産物を混合して鋳型とし、KopduA-A1とKopduC-T1をプライマーとして、同様の条件でPCRを行った。得られたPCR産物を制限酵素PacIとXbaIで二重消化し、同制限酵素で二重消化したpSE420UにTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-KDD1を構築した。
実施例20:クレブシエラ・オキシトーカ由来ジオール脱水酵素再活性化因子(KoDDR)のクローニング
pSUI2ENd(6/5b)(J. Biol. Chem., 274, 3372-3372 (1999))の配列情報を元に、クローニング用のプライマーKoDdrB-A1、KoDdrA-T1を合成した。
KoDdrB-A1: CTGGAATTCTATCATGAACGGTAATCATAGCGCACCAGCCATCGC(配列番号:109)
KoDdrA-T1: GTCAAGCTTCTAGATTAACGTTCATGTGCAAACTCCTTATGC(配列番号:110)
pSUI2ENd(6/5b)を鋳型とし、KoDdrB-A1とKoDdrA-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。
得られたPCR産物を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化し、同制限酵素で二重消化したpSE420UにTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-KDR1を構築した。
実施例21:EcPDH-KpGD-KpGDR共発現プラスミドの構築
実施例16で構築したpSU-EPD1を制限酵素PacIとHindIIIで二重消化し、アガロースゲルで分離後、Qiaquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて精製した。同様に、実施例17で構築したpSU-KGD1を制限酵素PacIとEcoRIで二重消化したもの、及び実施例18で構築したpSU-KGR1を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化したものを精製した。
得られた断片を混合し、TAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSEPGGR1を構築した。
実施例22:EcPDH-KoDD-KoDDR共発現プラスミドの構築
実施例16で構築したpSU-EPD1を制限酵素PacIとHindIIIで二重消化し、アガロースゲルで分離後、Qiaquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて精製した。同様に、実施例19で構築したpSU-KDD1を制限酵素PacIとEcoRIで二重消化したもの、及び実施例20で構築したpSU-KDR1を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化したものを精製した。
得られた断片を混合し、TAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSEPDDR1を構築した。
実施例23:クレブシエラ・ニューモニエ由来グリセロール脱水素酵素(KpGlyDH)のクローニング
クレブシエラ・ニューモニエ由来のグリセロール脱水素酵素を含む塩基配列(Accession No. AX082621)を元に、クローニング用のプライマーGpGlyDH-A1、KpGlyDH-T1を合成した。
KpGlyDH-A1: GTCGAATTCACATATGCTAAAAGTTATTCAATCTCCAGCC(配列番号:111)
KpGlyDH-T1: AGACTTAAGTCTAGATTAACGCGCCAGCCACTGCTG(配列番号:112)
クレブシエラ・ニューモニエATCC25955株から精製したゲノムDNAを鋳型とし、KpGlyDH-A1とKpGlyDH-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。
得られたPCR産物を制限酵素EcoRIとAflIIで二重消化し、同制限酵素で二重消化したpSE420U にTAKARA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSU-KPG1を構築した。
実施例24:クレブシエラ・ニューモニエ由来ジヒドロキシアセトンキナーゼII型(KpDHAK2)のクローニング
クレブシエラ・ニューモニエ由来のジヒドロキシアセトンキナーゼII型を含む塩基配列(Accession No. AX082621)を元に、クローニング用のプライマーKpDHAK-A1、KpDHAK-T1、KpDHAL-A1、KpDHAL-T1、KpDHAM-A1、KpDHAM-T1を合成した。
KpDHAK-A1: TAATCTAGAGGAATTCTATAATGAAAAAGCTGATTAACCGTG(配列番号:113)
KpDHAK-T1: GTATATATACCTCCTTAATTACCCCAGTTCAGCGCC(配列番号:114)
KpDHAL-A1: AGGAGGTATATATACATGTCACTGAACAGAACGCAAA(配列番号:115)
KpDHAL-T1: ATTATTTATCCTCCTTATTCTTTAGCGGCGGCGGCCA(配列番号:116)
KpDHAM-A1: AGGAGGATAAATAATATGGTAAACCTGGTTATTGTTTC(配列番号:117)
KpDHAM-T1: CAAAACAGCCAAGCTTGCTAGCATTAATCACGGATAAGGCGCTGG(配列番号:118)
クレブシエラ・ニューモニエATCC25955株から精製したゲノムDNAを鋳型とし、KpDHAK-A1とKpDHAK-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。同様に、KpDHAL-A1とKpDHAL-T1をプライマーとしてPCRを行った。更に、KpDHAM-A1とKpDHAM-T1をプライマーとして同様にPCRを行った。
得られたPCR産物を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化したpSE420U にIn-Fusionシステム(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pSUKPDT3を構築した。
実施例25:クレブシエラ・ニューモニエ由来アデノシルトランスフェラーゼ(KpADT)のクローニング
クレブシエラ・ニューモニエ由来のアデノシルトランスフェラーゼを含む塩基配列(WO98/21341記載)を元に、クローニング用のプライマーKpORFW-A1、KpORFW-T1、KpORFY-A1、KpORFY-T1を合成した。
KpORFW-A1: TAATCTAGAGGAATTCACATATGTATCGTATCTATACCCGC(配列番号:119)
KpORFW-T1: CATATATAGGTACCTCTCAAGCGCAAGCATCAGGC(配列番号:120)
KpORFY-A1: GAGGTACCTATATATGATGAACAAGAGCCAACAAG(配列番号:121)
KpORFY-T1: CAAAACAGCCAAGCTTGCTAGCTTAATTAATTATAATGCGGAAAAACAATCCAGGG(配列番号:122)
クレブシエラ・ニューモニエATCC25955株から精製したゲノムDNAを鋳型とし、KpORFW-A1とKpORFW-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。同様に、KpORFY-A1とKpORFY-T1をプライマーとしてPCRを行った。
得られたPCR産物を制限酵素EcoRIとHindIIIで二重消化したpMW219U にIn-Fusionシステム(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pMU-KPA1を構築した。
実施例26:KpGlyDH-KpDHAK2-KpADT共発現プラスミドの構築
実施例23で得られたpSU-KPG1をテンプレートとして、KpGlyDH-IF-A1とKpGlyDH-IF-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。
KpGlyDH-IF-A1: AAGAGGTATATACATATGCTAAAAGTTATTCAATCTCCAGC(配列番号:123)
KpGlyDH-IF-T1: GGATTATTCCTCCTTAATTAACGCGCCAGCCACTGC(配列番号:124)
実施例26で得られたpSUKPDT3をテンプレートとして、KpDHAK2-IF-A1とKpDHAK2-IF-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、30秒;30サイクル)。
KpDHAK-IF-A1: TTAAGGAGGAATAATCCATGAAAAAGCTGATTAACCGTGTTG(配列番号:125)
KpDHAK-IF-T1: GTGAATTCCTCTAGATTAGTCACGGATAAGGCGCTG(配列番号:126)
実施例25で得られたpMU-KPAをテンプレートとして、pMU-KPA1-IF-A1とpMU-KPA1-IF-T1をプライマーとして、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)を用いてPCRを行った(変性 98℃、10秒;アニール 55℃、5秒;伸長 72℃、60秒;30サイクル)。
pMU-KPA1-IF-A1: ATGTATATACCTCTTTAATTTTTAATAATAAAGTTAATC(配列番号:127)
pMU-KPA1-IF-T1: TCTAGAGGAATTCACATATGTATCG(配列番号:128)
ここで得られたPCR産物をIn-Fusionシステム(タカラバイオ製)を用いてライゲーションし、pMKPGLY3を構築した。
実施例27:大腸菌K12 (pSEPGGR1/pMKPGLY3) の構築
実施例1で得られた大腸菌K12株のコンピテントセルに対し、実施例21で得られたpSEPGGR1と実施例26で得られたpMKPGLY3を当量混合したものを添加し、実施例2と同様の方法で形質転換体大腸菌K12 (pSEPGGR1/pMKPGLY3)を得た。
実施例30:大腸菌K12 (pSEPDDR1/pMKPGLY3) の構築
実施例1で得られた大腸菌K12株のコンピテントセルに対し、実施例22で得られたpSEPDDR1と実施例26で得られたpMKPGLY3を当量混合したものを添加し、実施例2と同様の方法で形質転換体大腸菌K12 (pSEPDDR1/pMKPGLY3)を得た。
実施例31:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPGGR1/pMKPGLY3) の構築
実施例15で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcAを用いて実施例1と同様の方法でコンピテントセルを作成し、実施例27と同様の方法で形質転換体大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPGGR1/pMKPGLY3)を得た。
実施例32:大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPDDR1/pMKPGLY3) の構築
実施例31で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcAのコンピテントセルに対し、実施例22で得られたpSEPDDR1と実施例26で得られたpMKPGLY3を当量混合したものを添加し、実施例2と同様の方法で形質転換体大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPDDR1/pMKPGLY3)を得た。
実施例33〜34:1,3-プロパンジオール生産性評価
LB培地に終濃度50 mg/Lアンピシリン水溶液と終濃度20 mg/L カナマイシン水溶液を添加した。実施例31で得られた大腸菌K12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPGGR1/pMKPGLY3)(実施例33)及びK12-ΔldhA-ΔadhE-Δpta-ΔpflB-ΔaldB-ΔmgsA-ΔppsA-ΔaldA-ΔsfcA (pSEPDDR1/pMKPGLY3)(実施例34)のコロニーから一白金耳植菌し、33℃で7時間振盪培養を行い、前培養液を調製した。
500 mLひだ付き三角フラスコに入れたTM-3培地に、終濃度50 mg/Lアンピシリン水溶液、終濃度20 mg/L カナマイシン水溶液、終濃度 0.02mM イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド、終濃度2mg/Lシアノコバラミンを添加し、前培養液から1.25mLを培地(20g/Lグリセロール)植菌して33℃、140rpmで16時間培養した。16時間後、撹拌数を70rpmに落とし、更に培養を続け、植菌から40hで培養液の遠心分離上清中のグリセロール及び1,3-プロパンジオールを、HPLCを用いて以下の条件により分析を行った結果を表1に示した。
HPLC分析条件:
カラム:Shodex Ionpak KC-811 (8.0 mm×300 mm) (昭和電工製)
溶離液:10mM 硫酸水溶液
流速:0.7 mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
比較例1〜2
実施例29で得られた大腸菌K12 (pSEPGGR1/pMKPGLY3)(比較例1)及び実施例30で得られたK12 (pSEPDDR1/pMKPGLY3)(実施例34)について、実施例33〜34と同様に実験を行った。結果を表1に示した。
Figure 2015130808

Claims (10)

  1. 発酵性基質からアルキルジオールを生成する遺伝子組換え微生物であって、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性が抑制されている微生物;
    (1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素、
    (2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素、及び
    (3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素。
  2. (1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素が以下(a)から(d)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素であり、
    (a)D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
    (b)アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
    (c)アルデヒド脱水素酵素A(aldA)及び
    (d)アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
    (2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素が以下(e)から(h)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素であり、
    (e)メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
    (f)ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
    (g)リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)及び
    (h)ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)
    (3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素が(i)リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)である、
    請求項1に記載の微生物。
  3. 以下(a)から(i)に記載の各酵素の活性が抑制されている、請求項2に記載の微生物;
    (a)D-乳酸脱水素酵素(ldhA)、
    (b)アルデヒド脱水素酵素(adhE)、
    (c)アルデヒド脱水素酵素A(aldA)、
    (d)アルデヒド脱水素酵素B(aldB)、
    (e)メチルグリオキサールシンターゼ(mgsA)、
    (f)ホスホエノールピルビン酸シンターゼ(ppsA)、
    (g)リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)、
    (h)ギ酸アセチルトランスフェラーゼ(pflB)及び
    (i)リンゴ酸脱水素酵素(オキサロ酢酸を脱炭酸する)(sfcA)。
  4. 酵素活性の抑制が酵素の欠損に起因する、請求項1〜3のいずれかに記載の微生物。
  5. 発酵性基質がグリセリンである、請求項1〜4のいずれかに記載の微生物。
  6. アルキルジオールが1,3−プロパンジオールである、請求項1〜5のいずれかに記載の微生物。
  7. 微生物が、以下(1)及び/又は(2)、及び(3)に記載の遺伝子で形質転換されている、請求項1〜6のいずれかに記載の微生物;
    (1)グリセロールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はグリセロールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子
    (2)ジオールデヒドラターゼをコードする遺伝子及び/又はジオールデヒドラターゼ再生活性化因子をコードする遺伝子、及び
    (3)アルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子。
  8. グリセロール脱水素酵素、ジヒドロキシアセトンキナーゼII型、アデノシルトランスフェラーゼをコードする各遺伝子でさらに形質転換されている、請求項7に記載の微生物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の微生物の製造方法であって、以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つの酵素の活性を抑制する工程を含む方法;
    (1)解糖系において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素、
    (2)解糖系においてリン酸基又はアシル基の付加、脱離又は転移を触媒する1又は複数の酵素、及び
    (3)TCA回路において酸化還元反応を触媒する1又は複数の酵素。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の微生物の培養物、菌体、およびその処理物からなる群より選択される少なくとも1つと発酵性基質を接触させる工程を含む、発酵性基質からアルキルジオールを製造する方法。
JP2014002919A 2014-01-10 2014-01-10 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用 Pending JP2015130808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014002919A JP2015130808A (ja) 2014-01-10 2014-01-10 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014002919A JP2015130808A (ja) 2014-01-10 2014-01-10 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015130808A true JP2015130808A (ja) 2015-07-23

Family

ID=53898629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014002919A Pending JP2015130808A (ja) 2014-01-10 2014-01-10 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015130808A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529358A (ja) * 2015-09-30 2018-10-11 アルケマ フランス ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
JP2018529356A (ja) * 2015-09-30 2018-10-11 アルケマ フランス 水素支援ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
CN108753802A (zh) * 2018-05-22 2018-11-06 昆明理工大学 一个苹果酸脱氢酶基因cimdh1及其重组表达载体
JP2021523731A (ja) * 2018-05-24 2021-09-09 コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー 1,3−pdo生成能を有し、3−hp生成能が阻害された組換えコリネバクテリウム及びこれを用いた1,3−pdoの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529358A (ja) * 2015-09-30 2018-10-11 アルケマ フランス ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
JP2018529356A (ja) * 2015-09-30 2018-10-11 アルケマ フランス 水素支援ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
JP7036713B2 (ja) 2015-09-30 2022-03-15 アルケマ フランス 水素支援ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
JP7036714B2 (ja) 2015-09-30 2022-03-15 アルケマ フランス ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法
CN108753802A (zh) * 2018-05-22 2018-11-06 昆明理工大学 一个苹果酸脱氢酶基因cimdh1及其重组表达载体
CN108753802B (zh) * 2018-05-22 2021-07-16 昆明理工大学 一个苹果酸脱氢酶基因cimdh1及其重组表达载体
JP2021523731A (ja) * 2018-05-24 2021-09-09 コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー 1,3−pdo生成能を有し、3−hp生成能が阻害された組換えコリネバクテリウム及びこれを用いた1,3−pdoの製造方法
JP7046229B2 (ja) 2018-05-24 2022-04-01 コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー 1,3-pdo生成能を有し、3-hp生成能が阻害された組換えコリネバクテリウム及びこれを用いた1,3-pdoの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5787360B2 (ja) 1,3−ブタンジオール生産機能を付与された遺伝子組換え微生物及びその利用
US7109010B2 (en) Methods and materials for the synthesis of organic products
Wang et al. Glycerol dehydrogenase plays a dual role in glycerol metabolism and 2, 3-butanediol formation in Klebsiella pneumoniae
KR102302146B1 (ko) 1,3-부탄다이올 생산 유기체
CA2825267C (en) Recombinant clostridium bacterium and uses thereof in isopropanol production
KR101519670B1 (ko) 재생가능한 공급원으로부터 발효에 의한 글리콜산의 제조 방법
CN104395455B (zh) 重组微生物及其使用方法
Tai et al. Engineered biosynthesis of medium-chain esters in Escherichia coli
KR102400332B1 (ko) 정제 화학약품의 개선된 생산을 위한 재조합 미생물
JP4651896B2 (ja) (r)−2−オクタノール脱水素酵素、該酵素の製造方法、該酵素をコードするdnaおよびこれを利用したアルコールの製造方法
FR2862068A1 (fr) Souches de microorganismes optimisees pour des voies de biosyntheses consommatrices de nadph
JP6942878B2 (ja) エクトイン産生酵母
CN106559997B (zh) 基于nadph依赖型丙酮醇还原酶和改进的nadph供给用于生产1,2-丙二醇的新微生物和方法
WO2010085731A2 (en) Production of 1,4 butanediol in a microorganism
CA2956184C (en) Method for producing acetoin
SG192706A1 (en) Cells and methods for producing isobutyric acid
WO2018112634A1 (en) Metschnikowia species for biosynthesis of compounds
JP2015130808A (ja) 発酵性基質から高い選択率でアルキルジオールを生成する組換え微生物及びその利用
WO2012133275A1 (ja) Kluyveromyces属の変異体酵母及びこれを用いたエタノールの製造方法
US20140030773A1 (en) Modified microorganism for high efficient production of 1,4-butanediol
JP6622564B2 (ja) 1,4−ブタンジオールの製造方法
JP2009118806A (ja) 1−プロパノールの製造方法
JP6343754B2 (ja) 耐酸耐塩性付与方法と耐酸耐塩性酵母を用いた有用物質生産
JP2013070675A (ja) アルキルジオールを産生する組換え菌の培養方法
JP4587348B2 (ja) 新規な(r)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素