JP2018529358A - ジスルフィド酵素水素化分解によるメルカプタンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ジスルフィドから、酵素触媒作用によりメルカプタンを製造する方法、特にジメチルジスルフィドからメチルメルカプタンを製造する方法に関する。

Description

本発明は、有機還元性化合物を使った、酵素触媒作用によるジスルフィド、特にジメチルジスルフィドからのメルカプタン、特にメチルメルカプタンの製造方法に関する。
メルカプタンは、多くの分野、例えば、香味剤、ガス用着臭剤、重合における連鎖移動剤、医薬品または化粧品産業用の出発材料、酸化防止剤の合成のための出発材料、潤滑のための超高圧または耐摩耗添加剤として極めて有用である。これらの例は、現時点で知られている、また、本発明の方法により調製できるメルカプタンの使用を限定するものでは全くない。
特に、最初のメルカプタンであるメチルメルカプタン(CHSH)は、特に、動物の飼料に非常に広範に使用される必須アミノ酸のメチオニンの合成における出発材料として、工業的に極めて有益である。メチルメルカプタンはまた、多くのその他の分子の合成用に非常に広範に使用される出発材料でもある。
メルカプタンは、アルコールのスルフヒドリル化、不飽和の有機化合物への触媒的または光化学的硫化水素付加、硫化水素によるハロゲン化物、エポキシドまたは有機カーボネートの置換、などの多くの方法により合成され得る。
特に、メチルメルカプタンは、最近、反応(1)により、メタノールおよび硫化水素からトンスケールで工業的に製造されている。
CHOH+HS→CHSH+HO(1)
これらの方法は、メタノール(CHOH)を必要とし、硫化水素(HS、例えば、水素と硫黄から合成されるが、これにはさらに水素の合成を要する。)を合成するという欠点を有し、ジメチルエーテル(CHOCH)、ジメチルスルフィド(CHSCH)タイプの副産物、クラッキング産物および水を生じ、これは、メチルメルカプタンの精製に多くの工程を要することを意味する。
例えば、これらの反応に基づく方法の記載は、WO2013092129、WO2008118925、WO2007028708、WO2006015668およびWO2004096760などの特許出願で見つけられる。
以下の合成スキーム(2)に従って、(メタノール合成を避けるために)一酸化炭素、水素および硫化水素からメチルメルカプタンを製造したいという願望は、経済的に利点があることが立証され得る。
CO+2H+HS→CHSH+HO(2)
しかし、これらの方法は、合成ガス(CO/H)を必要とし、従って、炭化水素原料の水蒸気改質の実施を必要とし、COとHとの間の比率を適切にすることを必要とし、このため、「水性ガスシフト反応」(CO+HO→CO+H)と呼ばれる反応に伴うCO/H比率を調節できるようにすることを必要とし、また、HSを合成することを必要とするという難点がある。
これらの方法はまた、通常、大きな割合のCOを副産物として生じ、さらに、メタン、ジメチルスルフィド、および水も生じる。例えば、これらの反応に基づく方法の記載は、特許出願US2010286448、US2010094059、US2008293974、US2007213564で見つけられる。
さらに他の方法が記載されており、また、下記のような異なる反応が組み合わされている。
1)メタンと硫黄からCSおよびHSの形成(3):
CH+4S→CS+2HS(3)
2)CSの水素化(4):
CS+3H→CHSH+HS(4)
メタノールとの反応(反応1)または合成ガスとの反応(反応2)で、反応(3)および(4)由来の過剰のHSを使用して、さらにメチルメルカプタンを得ることも可能である。
これらの方法が、反応(1)および(2)に対し記載した欠点と、反応(4)を実施させるのに過剰の水素を要するというさらなる困難とを、併せ持っていることは明らかである。これらの方法の記載は、特許出願US2011015443、または、より具体的には、反応(4)に関して、出願WO2010046607で見つけられる。
出願WO200196290は、メタンとHSからメチルメルカプタンを直接合成し、水素を同時に製造する方法を提案している。このメタンとHSとの直接反応は、コロナ放電を伴うパルスプラズマにより行われる。この特許出願は合成例を何ら記載していないので、この技術によるメチルメルカプタンの大規模な工業的合成方法を想定するのは困難であろう。さらに、この方法は、HSが入手できない場合には、これを合成する必要がある。
一方で、特許出願EP0649837は、遷移金属硫化物を用いたジメチルジスルフィドの水素による触媒水素化分解を介したメチルメルカプタンの合成方法を提案している。この方法は効率的であるが、工業的に有利なレベルの生産性を得るためには、200℃程度の比較的高温を必要とする。
当業者なら、ナトリウムメチルメルカプチド(CHSNa)の水溶液の酸性化によりメチルメルカプタンを調製することが可能であることも知っている。この方法は、塩酸が使用されるか硫酸が使用されるかに応じて、塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムなどの大量の塩を生成するという大きな欠点がある。これらの塩類水溶液は多くの場合処理が極めて困難であり、また、微量の悪臭に満ちた生成物が残るため、この方法を工業規模ですぐに想定することはできない。
メチルメルカプタンより高級なメルカプタンの合成方法も同様に、多くの欠点がある。このように、アルコールを硫化水素で置換することは、高温、また多くの場合、高圧を必要とし、オレフィン、エーテルおよび硫化物タイプの望ましくない副産物をもたらす。
不飽和化合物に対する硫化水素の触媒的のまたは光化学的付加は、上記よりわずかに緩い条件下で起こることがよくあるが、この場合も、出発材料の異性化、非位置選択性の付加、または硫化物を生ずる二重付加により、形成される多くの副産物をもたらす。最終的に、ハロゲン化誘導体の置換は、工業的工程と容易には両立され得ない大量の排出物および塩類廃棄物を生成する工程をもたらす。
国際公開第2013/092129号 国際公開第2008/118925号 国際公開第2007/028708号 国際公開第2006/015668号 国際公開第2004/096760号 米国特許出願公開第2010/286448号明細書 米国特許出願公開第2010/094059号明細書 米国特許出願公開第2008/293974号明細書 米国特許出願公開第2007/213564号明細書 米国特許出願公開第2011/015443号明細書 国際公開第2010/046607号 国際公開第2001/96290号 欧州特許第0649837号明細書
本発明の主題は、メルカプタン、特にメチルメルカプタンを調製する、上記先行技術に由来する方法の記載した欠点のない、新規な方法を提案することである。
水素により再生されるグルタチオン/グルタチオンレダクターゼ複合体による還元を示す。
より具体的には、本発明の第1の主題は、式R−SHのメルカプタンの調製方法である:
a)混合物の調製ステップであって:
1)式R−S−S−R’のジスルフィド、
2)触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
3)触媒量の、2当量の前記チオール基含有アミノ酸間または2当量の前記チオール基含有ペプチド間に形成されたジスルフィド架橋の還元を触媒する酵素、
4)触媒量の、下記b)に関わる有機還元性化合物の脱水素を触媒する酵素、
5)触媒量の、還元および脱水素を触媒する2種の酵素に共通な補因子、
を含む混合物の調製ステップ、
b)式R−S−S−R’のジスルフィドに対して化学量論量の有機還元性化合物の付加ステップ、
c)酵素反応の実施ステップ、
d)式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの回収ステップ、
e)式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの分離および任意の精製ステップ
を少なくとも含む方法。
一般的に言って、2当量の前記チオール基含有アミノ酸間または前記チオール基含有ペプチド間に形成されたジスルフィド架橋の還元を触媒する酵素は、レダクターゼ酵素である。用語の「レダクターゼ」は、本発明を説明する記載の残りの部分で使用される。同様に、ステップb)に関与する有機還元性化合物の脱水素を触媒する酵素は通常、デヒドロゲナーゼ酵素と呼ばれ、用語の「デヒドロゲナーゼ」は、本発明を説明する記載の残りの部分で選択される。
還元および脱水素を触媒する2種の酵素(レダクターゼおよびデヒドロゲナーゼ)に共通の補因子の中で、フラビン補因子およびニコチン補因子が非制限的例として言及される。ニコチン補因子の使用が好ましく、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)がより好ましく、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)がさらに好ましい。上記補因子は、これらの還元型(例えば、NADPH、H+)および/またはこれらの酸化型(NADP+)で使用するのが好都合であり、即ち、これらは、前述の還元型および/または酸化型で反応媒体中に添加してよい。
本発明の一実施形態では、チオール基含有アミノ酸および/またはチオール基含有ペプチドは、前記アミノ酸および/または前記ペプチドのそれぞれのジスルフィドの形、例えば、グルタチオンジスルフィドの形のグルタチオン、であってよい。
上記で定義の方法のステップa)およびb)の異なる成分の添加の仕方および順番は、様々に実施してよい。いずれの場合でも、ステップc)の酵素反応は、触媒の系の成分の1種:酵素もしくは化学量論量で添加される成分の1種(ジスルフィドまたは有機還元性化合物)、または触媒量で添加される化合物の1種(チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチドまたは前記分子もしくは補因子に対応するジスルフィド)の添加により開始される。
さらに具体的には、本発明の主題は、少なくとも以下のステップを含む式R−SHのメルカプタンの調製方法である:
a’)混合物の調製ステップであって:
・式R−S−S−R’のジスルフィド、
・触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
・触媒量の、前記チオール基含有アミノ酸または前記チオール基含有ペプチドに対応するレダクターゼ酵素、
・触媒量のNADPH、
を含む混合物の調製ステップ、
b’)触媒量の対応するデヒドロゲナーゼ酵素を用いたジスルフィドおよびDMDSに対して化学量論量の有機還元性化合物の付加ステップ、
c’)酵素反応の実施ステップ、
d’)式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの回収ステップ、
e’)式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの分離および任意の精製ステップ
を少なくとも含む方法。
本発明においては、一般式R−S−S−R’に相当する任意のジスルフィドがメルカプタン製造方法に関与することができる。一般式R−S−S−R’では、同じまたは異なるRおよびR’は、相互に独立に、1から20個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素系基を表し、前記鎖は、飽和であるかまたは二重もしくは三重結合の形の1つ以上の不飽和部位を有する。RおよびR’は、一緒に、かつこれらを保持する硫黄原子と共に、4から22個の原子、好ましくは5から10個の原子を含む環状分子を形成してもよい。
好ましい態様では、同じかまたは異なる基RおよびR’は、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子を含み、任意的に、非制限的な例示としてのアルコール、アルデヒド、ケトン、酸、アミド、ニトリルもしくはエステル官能基、または、硫黄、リン、ケイ素もしくはハロゲンを含有する官能基から選択される1種以上の官能基により官能化された、直鎖もしくは分岐鎖の、飽和もしくは不飽和のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基から相互に独立に選択される。
式R−S−S−R’のジスルフィドは、本発明の方法に従って、式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンに還元できる。RがR’と異なる場合、非対称ジスルフィドに関し記載され、RがR’と同じの場合には、対称ジスルフィドに関して記載されている。対称ジスルフィドR−S−S−Rの場合、本発明の方法は、式R−SHのメルカプタンをもたらす。本発明の特に好ましい態様では、ジメチルジスルフィド(DMDS)は、メチルメルカプタンCHSHを製造する目的で使用される。
非対称ジスルフィドR−S−S−R’の場合、本発明の方法は、式R−SHおよびR’−SHのメルカプタンの混合物をもたらし、これは、そのまま使用され得るか、または、当業者に周知の1種以上の分離操作、例えば、蒸留することができる。
本発明の方法で1種以上の対称および/または非対称ジスルフィドの混合物を使用することも可能である。可能なジスルフィド混合物は、DSO(ジスルフィド油)を含んでよく、前記DSOは、従って、極めて有利に利用できる可能性があり得る。
本発明の方法では、製造されたメルカプタンは通常、固体、液体および/または気体の形で回収される。
本発明による製造方法は、有機還元性化合物を用いたジスルフィド、特にジメチルジスルフィドの酵素還元をベースにしており、この有機還元性化合物は、グルコースを有機還元性化合物(水素ドナー)として用いて、メチルメルカプタンが得られるジメチルジスルフィドにより例示される以下の反応による下記で定義の水素ドナーである:
Figure 2018529358
今般、この反応は、添付図1で記載のように、水素供与性有機化合物により再生される(アミノ酸またはペプチド)/対応するレダクターゼ酵素複合体の形の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、例えば、グルタチオンを用いた酵素系により容易に触媒されることが見出された。
従って、図1の説明により、ペプチド(グルタチオンで例示)は、ジスルフィド架橋を有するペプチド(グルタチオンジスルフィドで示す。)に変換することにより、ジスルフィド(DMDSで示す。)をメルカプタン(メチルメルカプタンで示す。)に還元する。レダクターゼ酵素(「グルタチオンレダクターゼ」で示す、EC1.8.1.7またはEC1.6.4.2)は、ペプチド(グルタチオン)を再生し、この同じ酵素は、当業者に周知の酸化還元酵素複合体、例えば、NADPH/NADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(還元型および酸化型))複合体により再生される。NADP+は次に、使用した有機還元性化合物に対応するデヒドロゲナーゼ酵素(この場合、グルコースデヒドロゲナーゼ、EC1.1.1.47)を用いて、酸化型(この場合、グルコノラクトン)に変換されることにより水素を供給する(水素ドナー)前記有機還元性化合物(グルコースで示す。)によりNADPHに再生される。
換言すれば、反応を触媒する酵素(グルタチオンレダクターゼで示す、酵素分類番号例EC1.8.1.7または1.6.4.2)は、ペプチド(グルタチオン)を再生し、同時に、補因子を酸化する(NADPH、H+で示す。)。酸化型(NADP+で示す。)はその後、当業者に周知の、関与するデヒドロゲナーゼ酵素(グルコースデヒドロゲナーゼ、酵素分類番号例EC1.1.1.47で示される。)を含む「リサイクル」酸化還元酵素複合体および有機還元性分子(グルコースで示す。)により還元される。その後、有機還元性化合物の酸化型が得られる(グルコノラクトンで示す。)。
特に最も好適する実施形態では、グルタチオンレダクターゼ酵素と組み合わされたグルタチオン/グルタチオンジスルフィド系は、本発明により、DMDSをメチルメルカプタンに還元することを可能にする。
グルタチオンは生物学に広く使用されるトリペプチドである。還元型(グルタチオン)または酸化型(グルタチオンジスルフィド)では、この種は、細胞中で重要なレドックス対を形成する。従って、グルタチオンは生物から重金属を取り除くのに不可欠である。従って、例えば、出願WO05107723はまた、グルタチオンがキレート化製剤を形成するために使用される配合物を記載しており、また、特許US4657856は、グルタチオンにより、Hなどのペルオキシドをグルタチオンペルオキシダーゼを介してHOに分解できることを教示している。最終的に、グルタチオンによりまた、タンパク質中のジスルフィド架橋の還元が可能とする(Rona Chandrawati,”Triggered Cargo Release by Encapsulated Enzymatic Catalysis in Capsosomes”,Nano Lett.,(2011),vol.11,4958−4963)。
本発明の方法では、触媒量のチオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチドを用いて、ジスルフィドからメルカプタンが製造される。
本発明の方法で使用し得るチオール基含有アミノ酸の中で、非制限的例としてのシステインおよびホモシステインに言及する。これらの事例では、システイン/シスチンレダクターゼ系EC1.8.1.6およびホモシステイン/ホモシステインレダクターゼ系と同様の方式で触媒サイクルを再生できる酸化還元酵素系を使用した。
本発明の方法で使用し得るチオール基含有ペプチドの中で、非制限的例としてのグルタチオンおよびチオレドキシンに言及する。従って、上記のグルタチオン/グルタチオンレダクターゼ系は、チオレドキシン(CAS番号52500−60−4)/チオレドキシンレダクターゼ(EC1.8.1.9またはEC1.6.4.5)系により置換することができる。
グルタチオンおよびグルタチオン/グルタチオンレダクターゼ系は、これら化合物のコストおよび製造が容易であるために、本発明にとって特に好ましいものである。
本発明において使用し得る有機還元性化合物の中で、水素供与性化合物が最も好ましく、これらの中で、極めて好適する化合物は、アルコール、ポリオール、糖類などのヒドロキシル官能基を有する水素供与性有機還元性化合物である。
使用される酵素は、水素含有化合物を脱水素できる酵素、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼである。グルコースは、本発明の方法で、グルコースデヒドロゲナーゼと共に使用してグルコノラクトンを得るのに特に好適する糖である。
本発明による方法では、ジスルフィドおよびグルコースのみが化学量論量で使用され、その他の全ての成分(アミノ酸またはペプチド、補因子(例えば、NADPH)および2種の酵素)は、触媒量で使われる。
本発明の方法によりもたらされる利点は多い。これらの利点の中で、極めて穏やかな温度および圧力条件下および中性に近いpH条件下での水性または水性−有機溶液中での作業の可能性について言及する。全てのこれらの条件は、「環境に優しい」または「持続可能な」生物触媒工程に特有のものである。
方法がジメチルジスルフィドを使用する場合の別の利点は、反応条件下で気体状態である生成したメチルメルカプタンが形成された時点で反応媒体から出ていくことである。メチルメルカプタンは、従って、反応器を出ると、さらに下流の用途で直接に使用し得る。メルカプタンを分離したい場合、例えば、極低温で容易に液化することもできる。低流速の窒素を導入することにより、バブリングすることにより、反応媒体から離脱を加速することも場合により可能である。
ジメチルジスルフィド(DMDS)を、メチルメルカプタンと、例えば、酸素、硫黄もしくは過酸化水素水溶液などの酸化剤とから、または、硫酸ジメチルおよび二硫化ナトリウムから、別の場所で製造してもよい。DMDSはまた、上述のようにジスルフィド油(DSO)由来であってもよく、その後、出願WO2014033399に記載のように、例えば、反応蒸留により精製してもよい。DSOはまた、構成する異なるジスルフィド間で精製する必要もなく、そのままも使用してもよいことに留意されたい。メルカプタンの混合物はその後、本発明の方法を適用することにより得られる。
DMDSがジスルフィドとして使用される場合、本発明による方法は、従って、製造と使用の場所が異なる場合に、メチルメルカプタンを製造場所からの既存の工業的経路による使用場所への輸送の回避を可能とする方法と見なすことができる。実際に、メチルメルカプタンは、室温で有毒で極めて悪臭に満ちた気体であり、このため、輸送が極めて複雑化し、DMDSと異なり、輸送が従来から強く規制されている。本発明で記載の方法は、従って、メチルメルカプタンを後工程の使用現場で直接製造するために使用できる。
DMDSが反応で消費され、メチルメルカプタンが、形成された時点で反応媒体から出ていくので、グルコースおよびDMDSが連続的に供給される場合、有機還元性化合物の生成物、例えば、グルコノラクトンのみが反応媒体中に蓄積される。反応条件下で、グルコノラクトンの濃度が飽和点を超える場合、グルコノラクトンは沈殿し、その後、当業者に既知の任意の手段により、反応媒体から分離することができる。
グルコノラクトンは、幾つかの用途があり得る。例えば、グルコノラクトンは、参照番号E575で知られる食品添加物として使用される。グルコノラクトンは、酸性水性媒体中で加水分解され、グルコン酸を形成する。これも食品添加物(E574)として使用される。グルコノラクトンはまた、食品産業で豆腐の製造にも使用される(CN103053703を参照)。
特に、また好都合にも、本発明による方法からの「廃棄物」という点では、グルコノラクトンは、可能な発酵反応においてグルコースを置換して、バイオエタノールまたは糖もしくはデンプンの発酵に由来するいずれか他の分子を生成し得る。
実際に、J.P.van Dijken,”Novel pathway for alcoholic fermentation of gluconolactone in the yeast Saccharomyces bulderi”,J.Bacteriol.,(2002),Vol.184(3),672−678に記載のように、特定の細菌は、グルコノラクトンを発酵の炭素源として使用する場合がある。
さらに他の糖類を本発明の方法で使用し得、例えば、グルコース/グルコノラクトン/グルコースデヒドロゲナーゼ系を、系:グルコース−6−リン酸/6−ホスホグルコノ−δ−ラクトン/グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.49)で置換することが可能である。
本発明の方法では、糖の代わりにアルコールを使用することにより、グルコース/グルコノラクトン/グルコースデヒドロゲナーゼ系の代わりに、一般系:アルコール/ケトンまたはアルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1)を、およびより具体的には、イソプロパノール/アセトン・イソプロパノールデヒドロゲナーゼ系(EC1.1.1.80)を使用することも可能である。
実際に、この系は、DMDSがジスルフィドとして使用される場合、反応媒体から出ていく(従って、何ら生成物の蓄積がない。)、メチルメルカプタン(MeSH)およびアセトンからなる混合物を得ることが可能である。MeSHおよびアセトンは、必要に応じ、単純な蒸留により容易に分離し得る。その他のジスルフィドの場合では、形成されるメルカプタンの沸点および反応媒体中での溶解度に応じて、アセトンは媒体から容易に除去し得、また、メルカプタンを簡単に分離するために、反応媒体から沈殿させることもできる。
一般に、反応温度は、10℃から50℃、好ましくは、15℃から45℃、より好ましくは、20℃から40℃の範囲内である。
反応のpHは、6から8、好ましくは、6.5から7.5であってよい。反応媒体のpHは、緩衝液により調整してもよい。リン酸緩衝液のpHは、7.3になるように選択されるのが特に好ましい。
反応に使われる圧力は、試薬および使用装置に応じて、大気圧より減圧から数バール(数百kPa)までの範囲であってよい。DMDSがジスルフィドとして使用される場合には、実際に減圧がより急速な生成メチルメルカプタンのガス抜き処理を可能とし得るが、水およびDMDSの飽和蒸気圧が上昇し、形成されたメチルメルカプタンの汚染を少し高めるという欠点がある。好ましくは、使用は、大気圧から20バール(2MPa)の範囲の圧力で実施され、またはさらに好ましくは、方法は、大気圧から3バール(300kPa)の範囲の圧力下で実施される。
本発明による方法は、選択操作条件および使用試薬に応じて、ガラスまたは金属反応器中でバッチ式でまたは連続式で実施できる。
理想的な有機還元性化合物/ジスルフィドモル比は、化学量論(モル比=1)であるが、当業者が何らかの利益があると考える場合、例えば、ジスルフィドを連続添加とする一方で、還元性化合物を開始時から反応器に導入するなどの場合、0.01から100まで変わってもよい。好ましくは、このモル比は、反応全体にわたり、総じて0.5から5の間で選択される。
上記ステップa)で調製された混合物中に触媒で存在する要素(チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、レダクターゼ酵素、補因子、例えば、NADPH)は、市販品として容易に入手できるかまたは当業者に周知の技術により調製できる。これらの異なる要素は、固体または液体形態であってよく、極めて好都合にも、水に溶解して、本発明の方法で使用され得る。使われる酵素は、支持物上にグラフト化されてもよい(担持酵素の場合)。
アミノ酸またはペプチドを含む酵素複合体の水溶液はまた、当業者に既知の方法により、例えば、これらの要素を含む細胞の透過化により再構成され得る。次の実施例1で与えられる組成物である、この水溶液は、反応媒体の合計重量を基準にして、0.01重量%から20重量%の間の含量で使用し得る。0.5%から10%の含量で使用されるのが好ましい。
別の態様では、本発明は、ジスルフィドからメルカプタンの合成のための、上記で定義のチオール官能基含有アミノ酸または上記で定義のチオール官能基含有ペプチドを含む酵素複合体の水溶液の使用に関する。
上記の方法のステップa)で使用可能である混合物は、下記:
1)式R−S−S−R’のジスルフィド、
2)触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
3)触媒量の、2当量の前記チオール基含有アミノ酸間または2当量の前記チオール基含有ペプチド間に形成されたジスルフィド架橋の還元を触媒する酵素、
4)任意選択の、触媒量の有機還元性化合物の脱水素を触媒する酵素、
5)触媒量の、還元および脱水素を触媒する2種の酵素に共通な補因子を含み、
式中、RおよびR’は上記で定義の通りであって、新規であり、従って、本発明の一部を形成する。
本発明の一実施形態では、チオール基含有アミノ酸および/またはチオール基含有ペプチドは、前記アミノ酸および/または前記ペプチドのジスルフィドの形であり得る。
より具体的には、前記混合物は、
・式R−S−S−R’のジスルフィド、
・触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
・触媒量の、前記チオール基含有アミノ酸または前記チオール基含有ペプチドに対応するレダクターゼ酵素、および
・触媒量のNADPHを含み、
式中、RおよびR’は上記で定義の通りである。
本発明の範囲に対し、非限定的である、以下の実施例によって、本発明はよりよく理解されるであろう。
[実施例1]
10mlのグルタチオン複合体(Aldrich)および19.2g(0.1mol)のグルコースを、pH7.30の150mlの0.1mol/lのリン酸緩衝液を含む反応器中に導入する。酵素複合体の溶液は、下記を含む:
185mg(0.6mmol)のグルタチオン、200Uのグルタチオンレダクターゼ、50mg(0.06mmol)のNADPHおよび200Uのグルコースデヒドロゲナーゼ。
反応媒体を機械的に攪拌をしながら25℃にする。第1の試料をt=0で採取する。その後、ジメチルジスルフィド(9.4g、0.1mol)をビュレットに入れ、反応器に滴加し、反応が開始される。窒素流を反応器中に導入する。反応器を出る気体のガスクロマトグラフィー分析では、窒素およびメチルメルカプタン(微量の水)が存在することを実質的に示す。これらの出口気体は、20%の水酸化ナトリウム水溶液でトラップする。DMDSを6時間導入し、反応器の出口のトラップ中のメチルメルカプタンナトリウム塩の電位差銀滴定により反応をモニターする。さらに、反応媒体の最終的ガスクロマトグラフィー分析により、DMDSが存在しないことを確認し、UPLC/質量分析により、微量のグルコースおよび実質的に単独で存在するグルコノラクトンを認める。
[実施例2]
実施例1の反応媒体に、19.2g(0.1mol)のグルコースを1度に再導入し、9.4g(0.1mol)のDMDSを6時間かけて滴下して導入する。反応器の出口の20%の水酸化ナトリウム溶液を交換後、反応を実施例1と同様にモニターする。反応の終了時点での分析により、DMDSの完全な消失を確認し、完全にメチルメルカプタンに変換され、水酸化ナトリウム溶液中のナトリウム塩型として認められる。反応の終わりでは、グルコノラクトンのみが反応媒体中で分析され、認められる。この実施例は、触媒系の堅牢さについて再現性があることを示す。

Claims (13)

  1. 式R−SHのメルカプタンの調製方法であって、
    a)混合物の調製ステップであって、
    1)式R−S−S−R’のジスルフィド、
    2)触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
    3)触媒量の、2当量の前記チオール基含有アミノ酸間または2当量の前記チオール基含有ペプチド間に形成されたジスルフィド架橋の還元を触媒する酵素、
    4)触媒量の、下記ステップb)に関わる有機還元性化合物の脱水素を触媒する酵素、
    5)触媒量の、還元および脱水素を触媒する2種の酵素に共通な補因子、
    を含む混合物の調製ステップ、
    b)式R−S−S−R’のジスルフィドに対して化学量論量の有機還元性化合物の付加ステップ、
    c)酵素反応の実施ステップ、
    d)前記式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの回収ステップ、
    e)前記式R−SHのメルカプタンおよび/または前記式R’−SHのメルカプタンの任意の分離および任意の精製ステップ、
    を少なくとも含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    a’)混合物の調製ステップであって、
    ・式R−S−S−R’のジスルフィド、
    ・触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
    ・触媒量の、前記チオール基含有アミノ酸または前記チオール基含有ペプチドに対応するレダクターゼ酵素、
    ・触媒量のNADPH、
    を含む混合物の調製ステップ、
    b’)触媒量の対応するデヒドロゲナーゼ酵素を用いた、前記ジスルフィドおよびDMDSに対して化学量論量の有機還元性化合物の付加ステップ、
    c’)酵素反応の実施ステップ、
    d’)式R−SHのメルカプタンおよび式R’−SHのメルカプタンの回収ステップ、
    e’)前記式R−SHのメルカプタンおよび前記式R’−SHのメルカプタンの分離および任意の精製ステップ、
    を少なくとも含む方法。
  3. 同じまたは異なるRおよびR’が、相互に独立に、1から20個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖または環状鎖の炭化水素系基を表し、前記鎖が、飽和であるかまたは二重もしくは三重結合の形の1つ以上の不飽和部位を有し、RおよびR’が、さらに一緒に、かつこれらを保持する硫黄原子と共に、4から22個の原子、好ましくは5から10個の原子を含む環状分子を形成できる、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 同じまたは異なる基RおよびR’が、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子を含み、任意的に、アルコール、アルデヒド、ケトン、酸、アミド、ニトリルもしくはエステル官能基、または、硫黄、リン、ケイ素もしくはハロゲンを含有する官能基から選択される1種以上の官能基により官能化された、直鎖もしくは分岐鎖の、飽和もしくは不飽和のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基から相互に独立に選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記式R−S−S−R’のジスルフィドがジメチルジスルフィドである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記チオール基含有アミノ酸または前記チオール基含有ペプチドが、システイン、ホモシステイン、グルタチオンおよびチオレドキシンから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記有機還元性化合物が、アルコール、ポリオール、糖類、などから選択される、ヒドロキシル官能基を有する水素供与性有機還元性化合物である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記有機還元性化合物が、グルコース、グルコース−6−リン酸およびイソプロパノールから選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 反応のpHが、6から8、好ましくは、6.5から7.5である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 有機還元性化合物/ジスルフィドのモル比が、反応全体にわたり、0.01から100、好ましくは、全体で0.5から5、極めて好ましくは、前記モル比が1である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ジスルフィドからメルカプタンの合成のための、チオール官能基含有アミノ酸またはチオール官能基含有ペプチドを含む酵素複合体の水溶液の使用。
  12. 混合物であって、
    ・式RSSR’のジスルフィド、
    ・触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
    ・触媒量の、2当量の前記チオール基含有アミノ酸間または2当量の前記チオール基含有ペプチド間に形成されたジスルフィド架橋の還元を触媒する酵素、
    ・任意選択の、触媒量の、有機還元性化合物の脱水素を触媒する酵素、
    ・触媒量の、還元および脱水素を触媒する前記2種の酵素に共通な補因子を含み、
    式中、RおよびR’は請求項1で定義の通りである、
    混合物。
  13. 請求項12に記載の混合物であって、
    式R−S−S−R’のジスルフィド、
    触媒量の、チオール基含有アミノ酸またはチオール基含有ペプチド、
    触媒量の、前記チオール基含有アミノ酸または前記チオール基含有ペプチドに対応するレダクターゼ酵素、および
    触媒量のNADPHを含み、
    式中、RおよびR’は請求項1で定義の通りである、
    混合物。
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