JP2005253892A - 内視鏡用被検体内推進装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内視鏡2の先端部5の外周面には、リング状のマグネット16を内周面に埋め込んだ略円筒状の回転部材17が、固定部材19及び29の間に挟まれるようにして回転自在に装着される。内視鏡2のチャンネル13内に配置された棒状のマグネット23をモータ24により回転することにより、このマグネット16に対して磁気的に回転させる力を及ぼす磁界を印加してマグネット16と共に回転部材17を回転させ、その外周面に設けた螺旋状の突起部18による体腔内を推進させる。
【選択図】 図1
Description
内視鏡用被検体内推進装置の従来例としての特公昭60−56489号公報には内視鏡の挿入部の先端部の外周面に励磁コイルを取り付けると共に、その外周側の回転部材にマグネットを取り付け、挿入部内あるいは外周面に沿って配置された給電線により励磁コイルを励磁して回転部材を回転するステッピングモータを形成している。
また、体腔内で使用できるようにするためには、内視鏡と同様に、内視鏡用被検体内推進装置側も洗浄及び滅菌可能な構造にすることが必要となるが、この従来例ではケース内に非回転部材となる励磁コイルと、回転されるマグネットとを同時に収納する構造となっているので、簡単に水密構造にしにくい構造となっている。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、内視鏡の先端部が必要以上に太くなることなく、洗浄及び滅菌が可能な水密構造にすることが容易にできる内視鏡用被検体内推進装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、既存の内視鏡の先端部が必要以上に太くなることなく、洗浄及び滅菌が可能な水密構造にすることができる内視鏡用被検体内推進装置を提供することを目的とする。
前記先端部に着脱自在かつ回転自在に装着され、マグネットが設けられた略円筒形状で、水密構造にされた回転部材と、
前記内視鏡の先端部内に配置され、前記マグネットを回転させる磁界を作用させる磁界印加装置と、
を具備したことを特徴とする。
上記構成により、内視鏡の先端部内に配置される磁界印加装置と、この磁界印加装置による磁界により先端部の外周側に配置され、回転される回転部材とを別体にした構造にしているので、先端部を必要以上に太くすることなく、水密構造にして内視鏡を推進できるようにしている。
図1に示す内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2の先端部に着脱自在に装着され、内視鏡2を体腔内等の被検体内に円滑に導入する内視鏡用被検体内推進装置3とから構成される。
内視鏡2は体腔内に挿入される細長な挿入部4を有し、この挿入部4の基端側には図示しない操作部が設けてある。また、挿入部4は、その先端に設けられた硬質の先端部5と、この先端部5の後端に設けられた湾曲自在な湾曲部6と、この湾曲部6の後端から操作部の前端に至る長尺の軟性部7とを有する(図5参照)。
この挿入部4内には、照明光を伝送するライトガイド8が挿通され、このライトガイド8の後端となる照明光の入射端には、図示しない光源装置から照明光が供給される。このライトガイド8の先端面は、照明光の出射端面となる。このライトガイド8により伝送された照明光がこの出射端面からさらに照明レンズ9を経て前方側に出射され、前方側の体腔内を照明する。
図1に示すように挿入部4の先端部5には、照明レンズ9が取り付けられた照明窓に隣接して観察窓(撮像窓)が設けてあり、この観察窓に取り付けられた対物レンズ11により照明された体腔内の光学像を結像する。その結像位置には撮像素子として例えば電荷結合素子(CCDと略記)12が配置されており、CCD12は、結像された光学像を光電変換する。
また、この内視鏡2の挿入部4内には、鉗子等の処置具を挿通可能とするチャンネル13が設けてあり、このチャンネル13の後端側は挿入部4の後端付近で分岐し、この分岐した一方は、処置具挿入口14に連通し、他方は図示しない吸引装置に接続される吸引口金に至る。
そして、この処置具挿入口14から内視鏡用被検体内推進装置3を構成する以下に説明する回転部材17と別体の磁界印加部材15を挿入することができる。
この回転部材17は、略円筒形状であり、図2に示すようにその外周面には螺旋状に形成された突起部18が設けてあり、回転部材17と共にを回転させることによって、この螺旋状の突起部18により推進力を得ることができるようにしている。なお、この突起部18は、中空のチューブを螺旋状に取り付けるようにしても良いし、中実の紐状のものを螺旋状に取り付けるようにしても良い。また、1条でも2条でも3条以上に形成しても良い。
上記回転部材17を先端部5の外周面に取り付ける場合、先端部5の後端付近の外周面に嵌合して固定されるリング状の固定部材19と、先端面に固定される中空の開口20aを設けた略円板状の固定部材20とが用いられる。この固定部材20には、チャンネル13の先端開口に圧入などにより取り付けられる突部21が設けてある。
つまり、回転部材17の両側に固定部材19と20とを先端部5に取り付けることにより、回転部材17を先端部5に回転自在に取り付けられるようにしている。この場合、図3に示すように固定部材20には、内視鏡2の先端面に対向する部分において、照明窓と観察窓とを遮光しないようにして視野を確保する開口20aが設けてある。
一方、チャンネル13内に挿通される磁界印加部材15は、回転力を伝達するフレキシブルシャフト22の先端にマグネット23が取り付けてある。このフレキシブルシャフト22の後端は、モータ24の回転軸に取り付けてあり、モータ24を回転させることにより、フレキシブルシャフト22の先端のマグネット23を回転させることができるようにしている。
図4に示すようにこのマグネット23は、周方向或いは径方向にN,Sの磁極が配置された構造にしてあり、回転マグネット方式により、回転部材17を回転駆動することができるようにしている。
本実施例においては、内視鏡2はチャンネル13を有する通常の内視鏡が使用できるので、内視鏡2自体は洗浄及び滅菌が可能な水密構造となっている。
一方、回転部材17は、例えばリング状のマグネット16を取り付けた洗浄及び滅菌が可能な樹脂部材等により形成される。また、固定部材19及び20も洗浄及び滅菌が可能な樹脂部材等により形成される。
また、磁界印加部材15側も簡単な構成であるので、洗浄及び滅菌が可能な水密構造にし易い。
なお、フレキシブルシャフト22の後端側に目盛りなどを設け、予めマグネット23がマグネット16の内周における(長手方向の)中央位置に対向する位置に設定される場合の目盛りの位置にマーク等を付けてその位置でフレキシブルシャフト22の後端側を処置具挿入口14に回転自在に固定するようにしても良い。
そして、回転部材17が取り付けられた内視鏡2の挿入部4を体腔内に挿入する。内視鏡検査を行う術者は、例えば肛門側から挿入部4の先端側を挿入する。
この回転部材17の外周面には螺旋状の突起部18が設けてあり、図5に示すように、この突起部18が回転されることにより、突起部18が接触する体腔内壁、具体的には大腸25の襞状(凹凸状)の内壁面と係合して、回転部材17に推進力が作用する。つまり、ねじを回転させることにより、ねじが取り付けられる部材の深部側にねじを螺入させることができるように作用する。
このようにして、回転部材17を回転させることにより、回転部材17側に推進力が作用し、この回転部材17の回転と共に、この回転部材17が回転自在に取り付けられた先端部5を、大腸25の深部側に円滑に推進或いは誘導することができる。
本実施例の構成によれば、先端部5の外周側にはマグネット16を設けた略円筒形状の回転部材を取り付け、これを非接触で磁気的に回転させる磁界印加部材15をチャンネル13内に配置する構成にしてあるので、先端部5の外径が太くなりすぎることなく、先端部5を円滑に推進させることができる。
つまり、先端部5の外周面にマグネット16を設けた略筒体状の回転部材17を取り付け、磁界印加部材15をチャンネル13内に配置することにより、回転部材17を非接触で磁気的に回転させることができる。また、回転部材17側と磁界印加部材15とを別体としているので、それぞれの構造を簡単化でき、かつ水密構造にし易くなる。
また、内視鏡2自体の水密は、あらかじめ取れている上、回転部材17も液体等との接触に支障がない。回転部材17は、着脱も容易である。また、その構造から分かるように、洗浄性が高く、確実に洗浄、滅菌できる。
また本実施例の構成は、既存の内視鏡2に取り付けることが可能である。また、処置具用のチャンネル13を除く内視鏡2の機能を、そのまま使用できるので湾曲機能を使用しながら推進させることを円滑に行うことが可能である。
実施例1においては、磁界印加部材15としてフレキシブルシャフト22の先端に棒状のマグネット23を取り付けていたが、本変形例においては、図6及び図7に示すように電磁石27を取り付けている。
つまり、フレキシブルシャフト22の先端には鉄心28にコイル29を設けて電磁石27が設けてある。なお、コイル29の両端に接続された信号線は、フレキシブルシャフト22の中空部内を挿通され、後端側においてバッテリなどの直流電源に接続される。
そして、実施例1と同様にモータ24によりフレキシブルシャフト22が回転され、このフレキシブルシャフト22の回転と共に、電磁石27も回転される。
なお、電磁石27には、コイル29の中心に純鉄などの強磁性体を設けても良い。この場合、電磁石27が発生する磁界を強くすることができ、より確実にマグネット16を回転させることができる。本変形例は、実施例1とほぼ同様の効果を有する。
図8は第2変形例を示す。本変形例は、処置具用のチャンネル13内に並列に配置した電磁石27a、27bに流す電流を変化させることにより、その外周側に配置されるマグネット16を回転させる磁界を印加するようにしている。例えば図8に示すように隣接して配置された2つの電磁石27a、27bに流す電流の大きさを変化させるようにすることにより、マグネット16に対して回転させる磁界として作用する。なお、電流の向きを変化させるようにしても良い。
この変形例の場合には、モータ24により回転させることが不要となる。本変形例によれば、磁界印加部材15側を回転させなくても済むメリット(長所)がある。その他は、実施例1とほぼ同様の効果を有する。
つまり、回転部材17の長手方向の全長に近い長さのリング状のマグネット16Bにしている。マグネット23Bもほぼ同様の長さにしている。
また、本変形例においては、固定部材19及び20を用いない構造にしている。つまり、回転部材17は、先端部5の外周面に回転自在となるように先端部5の外周面にほぼ嵌合する内径にしている。この場合、そのままでは先端部5からその長手方向に移動してしまう可能性があるが、その内周側にマグネット23Bが配置されているので、マグネット16Bとこのマグネット23Bとの磁力により、長手方向に移動することが規制されるようにしている。
従って、本変形例は、その構造をシンプルにでき、かつマグネット23B側を回転させることにより、回転部材17を大きな力で回転させることができる。また、固定部材19、20を用いないで、回転部材17を簡単に先端部5に着脱できる。
図10は第4変形例を示す。本変形例は、実施例3における回転部材17全体をマグネット16Bで構成している。本変形例によれば、回転力を向上できる。その他は、第3変形例と同様の効果を有する。
図11は第5変形例を示す。本変形例は、実施例1における先端側の固定部材20を透明部材にすると共に、その先端側を半球形状にした半球形状部20bを設けている。本変形例によれば、内視鏡2による観察を確保できると共に、先端側を半球形状にすることにより、体腔内壁との円滑な接触を確保できる。また、固定部材19も後側に向かって球状体19aにすると、内視鏡2を引き抜くときもスムーズに行える。
本変形例によれば、推進力を向上できる。その他は第5実施例と同様の効果を有する。 図13及び図14は第7変形例を示す。本変形例は、実施例1において、回転中心軸と内視鏡2の中心軸にずれが生じないように磁気軸受けを設けた構成にしている。
具体的には、内視鏡2の先端部5における先端寄りと後端寄りの各外周面位置には、それぞれリング状の凹部を設けてリング状のマグネット31a、31bをそれぞれ取り付けている。
この場合におけるマグネット31a、31bは、図14に示すように半径方向の内側と外側で異なる磁極が形成されている。具体的には、内側がN極、外側がS極である。
一方、マグネット32a、32bは、図14に示すように半径方向の内側と外側で異なる磁極が形成され、かつマグネット31a、31bと反発力が作用するように設定されている。具体的には、内側がS極、外側がN極である。
従って、先端側で対向するマグネット31a,32aとには反発力が作用し、また後端側で対向するマグネット31b,32bとにも反発力が作用し、回転部材17側は、先端部5の外周面から浮いた状態に保持される。これにより、回転部材17は、内視鏡2と接触せずに回転できるため、回転の効率が良い。
具体的には、内視鏡2の先端部5側に設けたマグネット31a,31bの間隔を、回転部材17側に設けたマグネット32a、32bの間隔よりも大きく設定している。そして、ユーザが、先端部5の外周面に回転部材17を回転自在に取り付けた場合、図15に示すように大きな間隔で取り付けたマグネット31a,31bの内側に少しずれて(具体的にはΔだけずれて)マグネット32a、32bが対向するようにしている。
このような構成にすることにより、図16に示すような作用が得られる。
このため、図13の構成における固定部材19と20とが不要となる。
本変形例によれば、固定部材19、20を用いなくても簡単な構成により回転部材17を回転自在に保持できる。
つまり、先端部5にベアリング34を装着し、その後から回転部材17をこのベアリング34が、先端部5と回転部材17との間に介挿されるようにして装着する。本変形例では、ベアリング34の洗浄が難しいのでディスポ(使い捨て)のベアリング34を用いるようにしている。
本変形例によれば、回転部材17を実施例1の場合よりも、より確実に回転自在に保持できる。
この場合、図19に示すように回転部材17の内周面に設けたストッパ36にコロ35を挿入し、その後から内視鏡2の先端部5を挿入すれば良い。なお、コロ35を途中まで挿入した状態で内視鏡2の先端部5を挿入しても良い。
なお、コロ35の数をより多くしても良い。
図20は第11変形例を示す。本変形例は、第7変形例と同様の理由により、回転部材17の装着時に玉軸受け38を使用するようにしている。
本変形例では、例えば固定部材19及び20における回転部材17に対向する面における複数箇所、例えば3、4箇所には、半球より若干大きい凹部が形成され、その内部に玉(ボール)39を回転自在に収納している。
また、回転部材17における固定部材19及び20に対向する面にはそれぞれ周方向に半球より若干小さい凹部がリング状に形成され、玉39に対して回転自在に接触する玉軸受け38が形成されている。
本変形例においても、回転部材17を確実に回転自在に保持できる。
次に図21を参照して第13変形例を説明する。本変形例は、例えば図12のような構成の変形例に相当する。図12の構成の場合には回転部材17の先端側への移動が機械的に規制されていないため、例えば図9のように大きなマグネットを用いないと所望の位置から移動してしまう可能性が発生する。
そこで本変形例では、小さなマグネットを用いた場合にも、回転部材17が先端側に移動するのを規制できるようにしたものである。
そして、タイヤ42は、内視鏡2の先端部5の外周面を略半球形状に切り欠いて形成した周溝43に係合するように付勢されている。従って、タイヤ42は、周溝43の内壁に弾性的に圧接して、回転自在に係合すると共に、回転部材17が先端側に移動するのを規制している。
本変形例によれば回転部材17が前後に移動してしまうのを防止する移動防止機構の機能を持つと共に、タイヤ42によりベアリングを用いたように回転部材17を円滑に回転自在に保持することができる。
つまり、実施例1においては、先端側の固定部材20をチャンネル13の先端開口に圧入などのはめ込み式で固定する構造にしていたが、本変形例では、処置具用のチャンネル13の先端開口にネジ孔部45を設け、ネジ固定式とした。
本変形例によれば、固定部材20をより強固に先端部5に固定でき、従って回転部材17が先端側に移動してしまうことをより確実に防止できる。
図24は第15変形例を示す。本変形例は、内視鏡2の先端部5の先端側の外周面に雄ネジ部51を設けている。そして、この雄ネジ部51を、先端外周につば(フランジ部)52を有する円筒53の内周面に設けた雌ネジ部54と螺合させることにより、先端部5の外周面にこの円筒53を固定する。
図25は第16変形例を示す。本変形例では、実施例1における突部21としてチャンネル13の先端開口に嵌合する形状とし、この突部21から後方側に延出部56を設けている。この突出部56は、チャンネル13内に挿通されるマグネット23の先端から突出する連結部材57とにより回転自在に連結されるようにしている。
具体的には、突出部56の後端に拡径部を設け、連結部材57の先端には、この拡径部を収納する中空部を設け、互いに回転自在に連結している。従って、延出部56側に対してマグネット23側は回転自在に保持されている。本変形例によれば、チャンネル13内のマグネット23を回転部材17のマグネット16の位置に容易に配置することができる。本変形例は、第15変形例と同様の効果を有する。
一方、実施例1における磁界印加部材15の機能を持つ電磁石61を内視鏡2の先端部5の外周面に、この電磁石61の外周側に回転部材17に設けたマグネット16が対向する位置に設けて、ダイレクトドライブ方式により回転部材17のマグネット16を回転させるようにしている。
つまり、実施例1と同様の回転部材17と固定部材19、20を用いる。本実施例において、実施例1と異なるのは内視鏡2に回転磁場発生作用の電磁石61を内蔵させたことである。電磁石61は外部から水分が侵入しないように密封されている。
図27はこの場合のダイレクトドライブ方式による動作原理図を示す。
その他の構成は、実施例1において説明した構成と同じ構成であり、同じ構成要素には同符号を付けてその説明を省略する。また、本実施例の側面図と正面図は、実施例1における図2及び図3と同じとなるため、図示を省略する。
本実施例は以下の効果を有する。
内視鏡2を専用の設計としなくてはならないが、実施例1と同様に回転部材17と内視鏡2それぞれを水密構造にし易い。
なお、本実施例の変形例としては、実施例1の第1変形例〜第3変形例を除いて第4変形例〜第15変形例をそのまま適用することができる。
本実施例を備えた内視鏡装置71は、内視鏡2とこの内視鏡2に着脱自在の内視鏡用被検体内推進装置73とからなる。
この内視鏡2は、実施例1で示した内視鏡2において、1つのチャンネル13であったものが、複数のチャンネル13a及び13bを備えた構成となっている。この場合、チャンネル13a及び13bは、例えば図29に示すように、先端部5の先端面において、中心軸において上下方向に対称に設けてある。内視鏡2におけるその他の構成は、実施例1の内視鏡2と同様であるので、同じ符号を用いて説明する。
また、モータ77a、77bは、回転制御回路78に接続され、この回転制御回路78に設けた操作パネル79を操作することにより、モータ77a、77bを同期した状態で同相で回転させたり、逆相で回転させたりすることができるようにしている。
また、本実施例では、内視鏡2の先端部5の外周面には、筒体81が取り付けられる。この筒体81は、先端部5の外周面に嵌合する内径を有し、この筒体81内に先端部5が挿入される。
筒体81における先端部5が挿入された際の深部側となる端面(前端面)には、例えば突部82a、82bが設けてあり、これら突部82a、82bをそれぞれチャンネル13a、13bに圧入することにより、筒体81は先端部5に固定される。また、図29に示すようにこの筒体81の前端面における少なくとも照明窓及び観察窓に対向する部分には開口81aが設けてある。
より具体的には、筒体81における外周面には周方向の4箇所に半径外側方向に突出する支持枠体85aが設けられ、各支持枠体85aの先端にはリング状の支持枠体85bが連設されている。リング状の支持枠体85bには、上下方向に対向する2箇所と、左右方向に対向する2箇所にそれぞれマグネット製の円環ないしは円板形状のタイヤ83a、83bと、マグネット製でないダミーのタイヤ84a、84bとがそれぞれ回転自在に取り付けられている。
従って、図29に示すようにマグネット製のタイヤ83a、83bは、その内側となる内視鏡2のチャンネル13a、13b内に配置されたマグネット76a、76bと近接する状態で対向する。そして、チャンネル13a、13b内に配置されたマグネット76a、76bをモータ77a、77bにより回転することにより、マグネット製のタイヤ83a、83bをそれぞれ回転できるようにしている。
図31はマグネット76a(76bも同様)とタイヤ83a(83bも同様)の磁極の構成及び回転駆動の原理図を示す。
長手方向の軸の回りで回転される棒状のマグネット76aは、その回転される軸に対して斜めにN、Sの磁極が交互に形成されるように着磁されている。これに対して、タイヤ83aを構成するリング状のマグネットは、周方向にN,Sの磁極が交互に形成されるように着磁されている。
従って、棒状のマグネット76aを回転させることにより、タイヤ83aを構成するリング状のマグネットには、マグネット76aに近接するマグネット部分には磁界が周期的に変化する。この周期的に変化する磁界により、この例えば矢印で示すようにタイヤ83aを回転させることができる。
すると、チャンネル13a、13b内に配置された棒状のマグネット76a、76bは、互いに反対方向に回転される。そして図31の原理図のように、マグネット製のタイヤ83a、83bは互いに逆方向に回転する。
従って、タイヤ83a、83bの外周側は、体腔内壁面に対してその内側となる筒体81及び先端部5側を前方に推進させるように作用する。
また、タイヤ83a、83bを個別に動作させることが可能なので進行方向を変えることも可能である。
本実施例は以下の効果を有する。
タイヤ83a、83bの軸受け部分を低摩擦材料によるすべり軸受け等の簡易な構造にすれば洗浄性がよい。また、上記のようにタイヤ83a、83bを個別に動作させることが可能なので進行方向を変えることも可能である。
つまり、筒体81の外周面における(チャンネル13a、13bに対向する)上下方向に相当する位置に、筒体81の長手方向に凹部(溝部)を設けて、各溝内にマグネット製のローラ91a,92aと、91b、92bとを収納して回転自在に支持している。
また、対となるローラ91a,92a間にはベルト形状のキャタピラ93aが、ローラ91b、92b間にはキャタピラ93bが、それぞれ架け渡してあり、キャタピラ式の駆動機構94a、94bを形成している。
また、対となるローラ91c,92c間にはキャタピラ93cが、ローラ91d、92d間にはキャタピラ93dが、それぞれ架け渡してあり、ダミーのキャタピラ式の駆動機構94c、94dを形成している。ここでも、キャタピラ93d及びキャタピラ式の駆動機構94dは、図面上には現れない。
その他は、実施例3と同様の構成である。本変形例によれば、先端部5の長手方向に対となるようにそれぞれローラ91a,92a等を設けるようにしているので、実施例3の場合よりも安定して先端部5側を推進させることができる。その他は実施例3と同様の効果を有する。
図34ないし図36を参照して第2変形例を説明する。図34は、第2変形例の構成を断面図により示す。本変形例は、第1変形例において、キャタピラ式の駆動機構の代わりにクランク押圧式の駆動機構95a、95bを設けている。
各ホイールhには、クランク機構が設けてあり、ホイールhの回転によりホイールhにその一端が連結されたプッシュロッド98が凹部から突没自在(突出量を変化自在)となる。各プッシュロッド98は、ロッド保持筒体99内を通され、ロッド保持筒体99によりスライド自在に保持されている。
図36はクランク押圧式の駆動機構の原理図を示す。この図36に示すようにホイールhが略半回転することにより、プッシュロッド98が斜め後方側に次第に突出量が大きくなるように突出することになるため、その先端が体腔内壁wを斜め後方側に押圧することになる。このため、体腔内壁wにより、このホイールhを設けた筒体81及び先端部5側は斜め下側方向となる前方側に押圧される。
また、実施例3で説明したように操作パネル79を操作してモータ77a,77bの回転速度を制御することにより、推進させる方向を変更することもできる。その他、変形例1と同様の効果を有する。
なお、上述した各実施例等を部分的に組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
[付記]
1.請求項2であって、前記磁界印加部材は、棒状マグネットからなり、該棒状マグネットは、回転駆動される。
2.付記1であって、前記棒状マグネットは、径方向に着磁されている。
3.付記1であって、前記棒状マグネットは、回転される軸方向に対して斜め方向に着磁されている。
4.請求項1であって、前記磁界印加装置は、電磁石である。
5.請求項1であって、前記マグネットは、リング形状である。
6.付記5であって、前記マグネットは、前記回転部材の内周面付近に配置される。
8.請求項3であって、前記マグネットは、周方向に着磁されている。
9.請求項1であって、前記回転部材におけるその長手方向の少なくとも一側には、前記回転部材の長手方向への移動を規制する規制部材が設けてある。
10.請求項1であって、前記磁界印加装置は、回転される内側マグネットにより構成され、前記マグネットは、該内側マグネット間に作用する磁力により、前記マグネットが設けられた前記回転部材がその長手方向に移動するのを規制する規制手段の機能を持つ。 11.請求項1であって、前記回転部材には、その長手方向の両端寄りの位置に、前記回転部材の長手方向への移動を規制するマグネットが設けてある。
12.請求項1であって、前記回転部材は、軸受けにより回転自在に保持される。
13.付記12であって、前記軸受けは、ボールまたは棒状部材を用いて構成される。
15.付記14であって、前記マグネットは、前記筒体の長手方向に2つ配置される。 16.付記14であって、前記マグネットは、前記筒体の周方向に少なくとも2つ配置される。
17.付記15であって、前記2つ配置されたマグネット間にはベルト状部材が架け渡してある。
18.付記16であって、前記2つ配置されたマグネットには、それぞれクランク機構を介して突没するプッシュ用ロッドが設けてある。
19.付記16であって、前記周方向に2つ配置されたマグネット間にはさらに前記マグネットと同じ外形のダミー部材が回転自在に配置される。
21.請求項2であって、前記磁界印加部材は電磁石からなり、回転磁界を発生する。 22.付記9であって、前記規制部材は、前記内視鏡前面に設けられ、前記規制部材には内視鏡視野を確保する視野確保手段が設けてある。
23.付記22であって、前記視野確保手段は、前記内視鏡観察窓に対する開口である。24.付記22であって、前記視野確保手段は、透明部材で形成された規制部材である。25.付記9であって、前記規制部材を前記内視鏡に嵌合によって固定するための嵌合固定手段が設けられている。
26.付記9であって、前記規制部材を前記内視鏡にねじによって固定するためのねじ固定手段が設けられている。
27.請求項1であって、前記略円筒形状の回転部材が、内視鏡前面を覆う形状であり、且つ前記回転部材の少なくとも前面部分が透明材料で形成されている。
2…内視鏡
3…内視鏡推進装置
4…挿入部
5…先端部
6…湾曲部
8…ライトガイド
11…対物レンズ
12…CCD
13…チャンネル
15…磁界印加部材
16…マグネット
17…回転部材
18…突起部
19、20…固定部材
21…突部
22…フレキシブルシャフト
23…マグネット
24…モータ
27…電磁石
代理人 弁理士 伊藤 進
Claims (4)
- 内視鏡の先端部に着脱自在に装着され、回転することにより内視鏡の先端部を被検体内で推進するための内視鏡用被検体内推進装置において、
前記先端部に着脱自在かつ回転自在に装着され、マグネットが設けられた略円筒形状で、水密構造にされた回転部材と、
前記内視鏡の先端部内に配置され、前記マグネットを回転させる磁界を作用させる磁界印加装置と、
を具備したことを特徴とする内視鏡用被検体内推進装置。 - 前記磁界印加装置は、前記内視鏡のチャンネル内に配置され、前記マグネットを回転させる磁界を作用させる水密構造の磁界印加部材により構成されることを特徴とする内視鏡用被検体内推進装置。
- 内視鏡の先端部に着脱自在に装着され、回転することにより内視鏡の先端部を被検体内で推進するための内視鏡用被検体内推進装置において、
前記先端部に着脱自在に装着される略円筒形状の筒体に略円板ないしは円環形状のマグネットを回転自在に設けると共に、内視鏡のチャンネル内に配置され、前記マグネットを回転させる磁界を作用させる水密構造の磁界印加部材を具備したことを特徴とする内視鏡用被検体内推進装置。 - 前記回転部材の外周面には螺旋状に形成された突起部が設けてあることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用被検体内推進装置。
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