以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図10は、本発明の第1の実施形態に係り、図1は回転自走式内視鏡装置の全体構成を示す外観斜視図、図2は図1の回転自走式内視鏡装置における内視鏡の先端部と湾曲部と螺旋形状部のそれぞれを部分的に示す断面図、図3は図2のIII−III線に沿った湾曲部の断面図、図4は湾曲部内のマルチルーメンチューブを示す斜視図、図5は図2の内視鏡における螺旋形状部を示し、一部を断面で示す要部拡大図、図6はコネクタカバーとモータボックスの内部構成を説明するための図、図7はマルチルーメンチューブの湾曲作用を説明するための図、図8は図7の状態から一方向へ湾曲した状態のマルチルーメンチューブの湾曲作用を説明するための図、図9は挿入補助具を患者の肛門から直腸へ挿入し、挿入部本体が直腸まで挿入された状態を示す図、図10は大腸内に挿入された挿入部本体が盲腸近傍に到達した状態を示す図である。
まず、本実施形態の回転自走式内視鏡装置の全体構成について、図1を用いて以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の回転自走式内視鏡装置1は、回転自走式の内視鏡2を有して構成されている。この回転自走式内視鏡装置1は、回転自走式の内視鏡2と、3つの制御系機器を備えると共に、モニタ3aと、吸引器5とによって主に構成されている。
内視鏡2は、挿入部6と、回動手段を構成するモータボックス16と、によって主に構成されている。このうち、挿入部6は、先端側から順に先端部8、及び湾曲部9を備えた挿入部本体10と、挿入補助具11と、挿入部収納ケース12と、挿入補助具11と挿入部収納ケース12との間に介装されるコルゲート状チューブからなる先端側案内管13と、コネクタカバー15と挿入部収納ケース12との間に介装されるコルゲート状チューブからなるカバー側案内管14と、このカバー側案内管14の一端が連結されるコネクタカバー15等によって構成されている。また、内視鏡2のモータボックス16には、後述する回転筒体に回転力を付与するモータ等が内蔵されている。
本実施の形態の回転自走式内視鏡装置1は、内視鏡2に操作部を有さず、後述するがリモートコントロールユニット67によって湾曲操作される湾曲部9が流体により湾曲自在な構成となっている。
制御系の機器には、電気的な構成を制御する制御手段である第1の制御装置3と、内視鏡機能である送気、及び湾曲部9の湾曲を制御する流体給排手段の1つを構成する第2の制御装置54と、内視鏡機能である送水、及び吸引を制御する流体給排手段のもう1つを構成する第3の制御装置55と、から構成されている。これら3つの制御装置3,54,55は、キャスタ付のトロリー59に載置されている。
第1の制御装置3は、各種内視鏡機能を一括して操作可能な操作指示部である、上述のリモートコントロールユニット(以下、リモコンと略記する)67が接続されている。このリモコン67には、各種内視鏡機能を操作する操作スイッチ68と、内視鏡2の湾曲部9の湾曲操作をするための、例えば、ジョイスティックタイプの操作レバー69を有している。
このリモコン67は、第1の制御装置3と、図示しないが、ここでは背面側で接続されている。また、リモコン67は、他の制御装置54,55が背面側で図示しない通信ケーブルにより第1の制御装置3に電気接続されており、これら3つの制御装置3,54,55を一括して操作指示可能となっている。
また、第1の制御装置3は、内視鏡2の撮像系、照明系、及び回転自走のためのモータの駆動を制御するものである。つまり、第1の制御装置3は、内視鏡2が捉える画像処理、後述する照明手段であるLED照明への給電、及びモータボックス16に設けられた上記モータへの給電をリモコン67の各種スイッチ68の操作に基づいて駆動制御する。
尚、第1の制御装置3には、内視鏡2の後述の回転筒体を所定の方向へ回動させ停止させるための操作を行なうフットスイッチが電気ケーブルを介して接続されていても良い。
また、上記回転筒体の回転方向の操作、停止操作などを行なう進退スイッチとしては、上記リモコン67以外に、第1の制御装置3の前面等にも配設されている(特に図示せず)。この第1の制御装置3の前面には、電源スイッチのほか、内視鏡2の上記回転筒体の回転速度を、可変操作を行なう操作ダイヤル等、各種の操作部材が配設されている。
また、第1の制御装置3は、モニタ3aと電気的に接続されている。モニタ3aは、内視鏡2によって取得された内視鏡画像を表示する表示装置である。
第2の制御装置54には、二酸化炭素(CO2)ボンベ57が接続されており、図示しないが、エアー送気のためのコンプレッサ、給排気弁などが内蔵されている。
リモコン67の操作レバー69により、所定の操作がなされると、第2の制御装置54の制御によってCO2ボンベ57、バルブ類、及び排気弁(いずれも、不図示)が動作して湾曲部9の湾曲操作が行えるようになっている。
リモコン67の各種スイッチ68により、所定の操作がなされると、第2の制御装置54の制御によって、図示しないコンプレッサ,バルブ類の動作に従いコンプレッサからの空気は、内視鏡2の先端部8に形成された開口部(特に図示せず)から噴射されるようになっている。尚、この送気に用いられる流体は、CO2ボンベ57からの二酸化炭素ガスを用いることがあり、エアー、或いは二酸化炭素ガスの送気時に、リモコン67により何れかの流体の送気が選択自在となっている。
また、第3の制御装置55には、チューブ5aを備えた吸引器5、及び送水タンク24が接続されている。この送水タンク24の内部には、蒸留水,生理食塩水等が貯留されている。尚、本実施形態の回転自走式内視鏡装置1においては、第2の制御装置54に接続される別体構成の吸引器5を用いた例を示しているが、これに換えて、例えば病院、施設に備え付けの吸引システムを利用するような形態としてもよい。
リモコン67の各種スイッチ68により、所定の操作がなされたとき、第3の制御装置55の制御によって図示しない吸引ポンプ,バルブ類等が動作して、送水タンク24から蒸留水または生理食塩水等が、先端部8に形成される開口部(特に図示せず)から外部へ向けて(先端部8の前面に向けて)噴出するようになっている。
そして、リモコン67の各種スイッチ68により、所定の操作がなされると、第3の制御装置55の制御によって吸引ポンプ,バルブ類(図示せず)が動作して先端部8の吸引チャンネル開口部(図示せず)から被検体内の体液等が吸引される。この吸引された体液等は、第2の制御装置54にチューブ5aで接続される吸引器5へと送り込まれる。
上述したトロリー59には、ここでは3つの関節部を有するアーム58の一端が固定されている。また、このアーム58の他端には、内視鏡2のモータボックス16が固定される。このアーム58には、図示していないが、内視鏡2の各種流体供給用のチューブ、及び先端部8内の光学機器、及びモータボックス16内の後述するモータ65と接続される各種通信ケーブルが挿通、或いは外表面に沿わされている。尚、これら各種チューブ、及び各種通信ケーブルは、本実施の形態において、夫々対応した制御装置3,54,55に背面側で接続されている。
次に、内視鏡2の挿入部6の一部を構成する先端部8、及び湾曲部9を備えた挿入部本体10の詳細な構成について図2を用いて以下に説明する。
まず、先端部8は、生体適合性を有する樹脂部材、或いは金属によって略円筒形状に形成される本体環26により外形が主に構成されている。
この本体環26の内部には、光学装置の1つである電気装置の撮像ユニット27等が配設されている。この撮像ユニット27は、略短管状の保持管28aと、この保持管28aの基端面、及び外周の一部を覆うように配設されるカバー管28bと、保持管28aの前面側を覆うように先端面の一部を構成する透明なカバー体29とによって、その外形が形成されている。
保持管28a、及びカバー管28bは、生体適合性を有する金属により形成されている。カバー体29は、生体適合性を有する透明な合成樹脂により形成されている。保持管28aは、本体環26の内部に収容されている。
カバー管28bは、保持管28aの基端側に嵌着されており、その底面部には貫通孔が形成されている。この貫通孔に信号ケーブル33が挿通している。カバー体29は、保持管28aの前面側の先端開口を気密に封止するように嵌着されている。
上述した、撮像ユニット27において、保持管28a,カバー管28b,カバー体29等によって形成される空間内には、対物レンズ群30と、この対物レンズ群30の光軸上に配置されるCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の光電変換素子である撮像素子31と、フレキシブルプリント基板32等が配設されている。
フレキシブルプリント基板32は、撮像素子31による光電変換処理によって生成される画像信号を受けて増幅等の各種の信号処理を行なう回路等が実装されている。そして、このフレキシブルプリント基板32には、信号ケーブル33が接続されている。この信号ケーブル33は、カバー管28bの貫通孔から延出し、当該先端部8から湾曲部9、及び内筒管49aを挿通して、コネクタカバー15(図1参照)へと至り、当該コネクタカバー15内部のコネクタ(図示せず)に接続されている。
対物レンズ群30は対物レンズ枠30aに保持されている。この対物レンズ枠30aは、保持体35に固定されている。対物レンズ枠30aの後方には、撮像素子31を保持する撮像枠31aが嵌合している。
撮像素子31の裏面には、回路基板31bが取り付けられている。この回路基板31bには、フレキシブルプリント基板32が電気的に接続されている。
保持体35は、略円形状に形成されており、その周縁部がカバー体29の基端側内周面に対して固着されている。このとき、カバー体29の中心軸と対物レンズ群30の光軸とが略一致するように、カバー体28に対して保持体35が配置されている。
また、保持体35には、光学装置の1つであり、照明部である複数のLED34が対物レンズ群30を囲むように配置されている。
このように構成される撮像ユニット27は、本体環26の長手方向の中心軸に対して偏芯した所定の位置に配置された状態で、本体環26の先端側開口部に配設される先端キャップ36によって本体環26に固定されている。
撮像ユニット27の保持管28aと本体環26との間に形成される隙間には、処置具/吸引用チューブ23の先端部分と、この処置具/吸引用チューブ23の先端側に連設される処置具/吸引管37が配置されている。この処置具/吸引管37の先端部分は、先端キャップ36に固着されている。
先端キャップ36の先端側には、前面に向けて開口する流体給排部であると共に流体機能部を構成するチャンネル開口部38が形成されている。
尚、図示していないが、保持管28aと本体環26との間に形成される隙間には、送気用チューブ、及び送水用チューブに連通する管路も配設されている。そして、先端キャップ36には、これらの管路のチャンネル開口部が形成されている。
次に、図2に加えて、図3〜図6に基づいて、内視鏡2の湾曲部9の内部構成について説明する。
図2〜図6に示すように、湾曲部9内には、先端側で先端部8の基端内周と嵌合固定されたチューブ保持環86と、このチューブ保持環86に先端が嵌着し、複数の穴部であるルーメン82が軸に沿って形成された流体機能部を構成するマルチルーメンチューブ81と、このマルチルーメンチューブ81の内周に固着された内径保持チューブ84と、マルチルーメンチューブ81の外周に固着された外径保持チューブ85と、マルチルーメンチューブ81の基端に嵌着する封止環87と、が設けられている。
チューブ保持環86は、金属、或いは硬質な樹脂により形成され、マルチルーメンチューブ81の先端面を覆い、各ルーメン82の先端を封止している。
マルチルーメンチューブ81は、各ルーメン82の先端部分を封止する封止材83を有し、シリコンゴムなどの弾性材(合成樹脂)から形成されている。すなわち、マルチルーメンチューブ81の各ルーメン82の先端部分は、封止材83、及びチューブ保持環86により気密保持された状態となっている。また、本実施の形態のマルチルーメンチューブ81には、図3、及び図4に示すように、湾曲部9の上下左右に合わせた位置にルーメン82が4つ形成されている。
内径保持チューブ84は、コイル管、コルゲート管などからなり、所定の可撓性を有している。また、外径保持チューブ85は、薄肉の平コイル管、網管であるブレード管、コルゲート管などからなる可撓性を有した部材で形成されている。また、この外径保持チューブ85の外周には、チューブ体の湾曲外皮41が被覆されている。
封止環87は、マルチルーメンチューブ81の各ルーメン82の基端部分を封止しており、各ルーメン82に対応して連通する、クランク状の4つ接続パイプ88の一端が嵌着されている。これら接続パイプ88の他端には、夫々、二酸化炭素(CO2)ガスを供給するための湾曲用チューブ89の先端が接続されている。
尚、図示しないが、各湾曲用チューブ89の基端は、上述したアーム58に挿通、或いは外表面に沿わされて、第2の制御装置54に接続されている。
本実施の形態では、湾曲部9の湾曲外皮41を一体的に形成した生態適合性のあるラテックスゴム、合成ゴム、熱加工性エラストマなどの伸縮性に富んだ樹脂から形成している。この湾曲外皮41は、先端部分と基端部分が先端部8の本体環26、及び後述する螺旋管接続口金48の外周を覆うように装着され、糸巻き接着部42により固着されている。
次に、図2に加え、図5、及び図6を用いて、先端部8、及び湾曲部9以外の挿入部本体10について説明する。
挿入部本体10には、内筒管49aが配設されている。この内筒管49aは、細線のワイヤなどを筒状に編み込んで可撓性を持たせたチューブ体等によって形成される。そして、内筒管49a内には、LED34のケーブルを含む信号ケーブル33、及び湾曲用チューブ89等の各種チューブが挿通配置されている。これにより、内筒管49aは、内部に挿通配置される上述の各構成要素を保護している。
この内筒管49aには、その先端部分に設けられ合成樹脂により形成され上記湾曲部9との連結用係合部となる先端側口金50と、この先端側口金50に対して先端部分が接着剤52により固着される螺旋形状部51とから構成された回転筒体が外挿している。
先端側口金50は、先端部分に螺旋管接続口金48の突起部48aと係合し、いわゆるスナップフィットに係合する係合部50aが形成されている。先端側口金50の係合部50aと螺旋管接続口金48の突起部48aとが係合した状態では、先端側口金50は、螺旋管接続口金48に対して長手方向の軸廻りに回動自在となっている。そして、先端側口金50の先端外周側には、若干の隙間を有して湾曲外皮41の基端部が被覆されている。
この先端側口金50に対して接着剤52により一体的に固着されている螺旋形状部51は、挿入方向である長手方向の軸回りに回動可能となるように構成されている。尚、挿入部本体10は、回転しない。
この螺旋形状部51は、コイル91と樹脂薄膜92とによって構成されており、挿入部本体10の先端部分から少なくとも600mm以上の範囲に亘って、若しくは湾曲部9よりも基端側の挿入部本体10の全長に亘って設けられている。ここで、螺旋形状部51の長さを、挿入部本体10の先端部分から少なくとも600mm以上の範囲に亘って設けるようにしているのは、次のような理由による。即ち、一般に肛門からS状結腸と下行結腸との境界までの長さが600mm程度と言われていることを根拠として設定している。
螺旋形状部51は、モータボックス16(図1参照)に配設された、ここでは図示しない、後述するモータにより回転力が与えられるようになっている。螺旋形状部51は、モータにより回転力が与えられて回転すると、螺旋形状部51が被検体の体腔壁100(図3参照)と接触することにより推進力が発生し、これにより当該螺旋形状部51は、挿入方向へ進行することになる。このとき、螺旋形状部51の先端部に固着されている先端側口金50は、螺旋管接続口金48に当接して湾曲部9を押圧する。これにより、先端部8、及び湾曲部9を含めた挿入部本体10全体が体腔内の深部に向かって前進することになる。
したがって、上記モータを内蔵するモータボックス16は、螺旋形状部51(推進力発生部;後述する)を長手軸廻りに回転させる回転装置としての機能を有している。
次に、螺旋形状部51の詳細構成について、図5を参照して以下に説明する。
螺旋形状部51は、内筒管49aの外周側において、当該内筒管49aを軸中心として回転自在に配置され、推進力発生部として機能するようになっている。この螺旋形状部51は、疎に巻いて形成され生体適合性を有するコイル91と、このコイル91の条線間を連設し生体適合性を有する樹脂薄膜92とによって形成されている。
コイル91の材質としては、例えばNi(ニッケル)フリーコイル等の金属部材若しくは樹脂部材が適用される。また、コイル91の素線の断面形状は、例えば略円形状のものとし、良好なトルク追従性となることを考慮して、その素線径を例えば1.0mm程度に設定している。そして、コイル91のリード角は、推進速度が内視鏡検査に好適となるように、例えば角度9°(度)〜15°(度)の範囲となるように設定されている。
樹脂薄膜92は、図5に示すようにコイル91の条線間を繋ぐように、当該コイル91の外周側を被覆する形態で配置されている。これにより、コイル91の条線間は連設した状態になる。
樹脂薄膜92は、柔軟性と耐久性とのバランスを考慮して、例えば樹脂硬度50〜90度、膜厚さ0.03〜0.20mmの材質で形成されている。そして、この樹脂薄膜92を形成する樹脂としては、滑り性,柔軟性,成形性が良好で、かつ生体適合性を有する樹脂部材、例えばウレタン,熱可塑樹脂,ポリエステル等が用いられ、透明または半透明若しくは暗色に形成されている。
このように、螺旋形状部51は、樹脂薄膜92によってコイル91の条線間を連設しつつ、当該コイル91の外周側を被覆していることから、螺旋形状部51の山部を高く形成することができる。したがって、体腔壁100との引っかかりがよく、これにより得られる推進力が強くなるという性質を得えている。また、螺旋形状部51は、コイル91を用いていることから、その螺旋角度(リード角)等の設計を所望の設定に形成することができる上、構成が複雑にならないという利点がある。
さらに、疎に巻いたコイル91を用いていることから、軽量に構成することができ、先端部8、及び湾曲部9を含めた挿入部本体10の操作性を良好に保つことができるという利点もある。
さらに、螺旋形状部51は、樹脂薄膜92が金属コイル91の内周側から内側に向けて突出するようなことがないので、内筒管49aに干渉することもないという効果もある。
尚、螺旋形状部51を最大限度まで湾曲させた場合には、コイル91の被覆部材となっている樹脂薄膜92がコイル91の条線間から内側に向けて突出する可能性も考えられる。このような場合において、樹脂薄膜92が内筒管49a等の内側配設部材等に干渉したり、これらを圧迫したり、干渉に起因して内筒管49aが共廻りしたりしないように、充分なクリアランス(隙間)が設けられている。
一方、螺旋形状部51は、金属コイル91を用いて形成されることから伸縮性を有する。このことから、挿入部の先端が腸壁に突き当たった際などには、当該先端が腸を押す力をゆるやかに変化させることになるので、腸への負荷を軽減するという効果がある。
このように、本実施形態の回転自走式内視鏡装置1における挿入部6は、先端部8、及び湾曲部9を含む挿入部本体10と、これらをカバーする挿入補助具11、先端側案内管13、挿入部収納ケース12、カバー側案内管14等の各構成部材によって構成されている。
次に、挿入部本体10に配設される螺旋形状部51を回転駆動するための、コネクタカバー15内、及びモータボックス16内の構成について、図6を参照して簡単に説明する。
挿入部本体10の基端は、図6に示すように、コネクタカバー15内で回動自在に設けられた回転パイプ60に固定されている。この回転パイプ60は、両端側を回動保持する軸受け61と、これら軸受け61の間に配設される受動側ギヤ62と、を有している。また、軸受け61は、コネクタカバー15内で固定されている。
尚、挿入部本体10の内筒管49aは、コネクタカバー15に設けられる固定環63により、固定支持されている。この固定環63の基端からは、各種電気ケーブル、及び湾曲用チューブ89等の各種チューブが延出している。
モータボックス16には、回転駆動手段であるモータ65が設けられている。コネクタカバー15がモータボックス16に合体されると、モータ65の能動側ギヤ66が回転パイプ60の受動側ギヤ62と噛合する構成となっている。これにより、モータ65の回転駆動力が各ギヤ66,62を介して、回転パイプ60に伝達され、挿入部本体10に設けられた螺旋形状部51が軸回りの所定方向に回転する。
次に、以上のように構成された本実施の形態の湾曲部9の湾曲動作について、図7、及び図8を用いて説明する。
内視鏡2の湾曲部9は、例えば、図7に示すように、マルチルーメンチューブ81の、ここでは紙面に向かった上方のルーメン82内に二酸化炭素ガスが供給加圧されると、上述した内周側、及び外周側で覆われた保持チューブ84,85によって、当該ルーメン82の膨張が規制される。すると、マルチルーメンチューブ81は、二酸化炭素ガスが供給されたルーメン82側のみが先端側へ延伸する作用を受け、図8に示すように、紙面に向かった下方へ湾曲する。
このように、マルチルーメンチューブ81は、何れかのルーメン82内が二酸化炭素ガス供給により加圧されることで、上下左右の4方向へ湾曲する。尚、マルチルーメンチューブ81は、隣接した2つのルーメン82内を同時に加圧し、その圧力加減によっては、長軸回りに自由に湾曲する。
以上のことから、本実施の形態の内視鏡2の湾曲部9は、内部のマルチルーメンチューブ81の湾曲動作に伴って、湾曲する。尚、この湾曲部9の湾曲指示は、上述したように、リモコン67の操作レバー69により行われる。
また、本実施の形態においては、マルチルーメンチューブ81に供給される二酸化炭素ガスと、さらに体腔内観察のための送気も、第2の制御装置54に接続される流体供給源であるCO2ボンベ57から供給されるものである。すなわち、本実施の形態では、第2の制御装置54は、内視鏡2の湾曲部9の湾曲動作のための二酸化炭素ガスと、送気用の二酸化炭素ガスを1つの供給源であるCO2ボンベ57から取り込み、リモコン67の操作に基づいて制御している。
このように構成された本実施形態の回転自走式内視鏡装置1は、図9、及び図10に示すように体腔に内視鏡2の挿入部本体10が回転自走しながら挿入される。尚、以下の説明においては、本実施形態の回転自走式内視鏡装置1を用いて大腸内視鏡検査を行なう場合を例に挙げて説明する。
回転自走式内視鏡装置1の基本的な使用形態は、図1示すような形態である。このとき、先端部8、及び湾曲部9を含めた挿入部本体10は、挿入部収納ケース12の内部において、例えばループを描いた状態で収容されている。
術者は、まず、回転自走式内視鏡装置1の挿入補助具11を、例えばベッド上に横たわっている患者の肛門501から挿入する。
挿入補助具11は、外向フランジ状の当接部11a(図9参照)を有し、この当接部11aが患者の肛門501近傍の臀部に当接することで、挿入管のみが肛門501から直腸502内に挿入された状態となる。即ち、挿入補助具11は、当接部11aによって、その全体が直腸502内に挿入されてしまうことが防止されるように構成されている。尚、このとき、術者は、当接部11aをテープなどで患者の臀部へ固定すると良い。
この状態において、術者は、リモコン67の手元操作等、所定の操作を行なって、挿入部本体10に設けられた螺旋形状部51を長手軸回りの所定の方向であって、当該螺旋形状部51が前進する方向であり、螺旋形状部51が体腔内に挿入される所定の方向に回転させる。
即ち、術者は、内視鏡2のモータボックス16内に配設されるモータ65をリモコン67の手元操作によって回転駆動状態にする。螺旋形状部51には、基端部分から先端側へ回転力が伝達され、その全体が軸回りの所定の方向に回転(正回転)し、挿入部収納ケース12の案内管固定部材から推進力が与えられる。
推進力を与えられた螺旋形状部51は、先端部8、及び湾曲部9を含む挿入部本体10全体と共に、先端側案内管13、及び挿入補助具11を介して大腸内の深部に向かって進んでゆく。
このとき、術者は、挿入部本体10を把持して押し進めることなく、挿入補助具11の基端側を軽く把持しておればよい。これにより、挿入部本体10は、案内管固定部材64内で与えられた推進力のみによって大腸内の深部に向かって前進する。
挿入部本体10が螺旋形状部51の作用によって前進するのは、腸内に挿入された螺旋形状部51と腸壁の襞との接触状態が雄ねじと雌ねじとの関係になることによる。
即ち、螺旋形状部51は、案内管固定部材64内で与えられた推進力と、腸壁の襞との接触により発生した推進力とによってスムーズに前進し、結果として挿入部本体10を前進させ、当該挿入部本体10は、直腸502からS状結腸503、下行結腸504、横行結腸506、上行結腸508を通過して盲腸509付近の深部に向かって進んでいくのである。こうして、S状結腸503を通過した、挿入部本体10は、図10に示すように、先端部8が盲腸509付近に到達するまで、回転自走して、前進する。
尚、本実施の形態の回転自走式内視鏡装置1は、S状結腸503、下行結腸504と横行結腸506との境界である脾湾曲505、及び横行結腸506と上行結腸508との境界である肝湾曲507などの体腔屈曲領域に挿入部本体10を通過させるため、螺旋形状部51の回転を一旦停止して、湾曲部9を湾曲操作して、先端部8を挿入方向へ臨ませた後、再度、螺旋形状部51を回転させることで、大腸の深部方向へ挿入が容易に行える。
このとき、本実施の形態の湾曲部9は、流体による湾曲可変機構であるため、図10に示すように、挿入部本体10が体腔に合わせて複数箇所で屈曲、ループなどした状態であっても、ワイヤによる湾曲可変機構に比して、挿入部本体10を硬化させることなく、湾曲部9の湾曲角度を充分に大きくさせて湾曲することができる。
また、図10では、横行結腸506が所謂、γループ状になっている状態である。このような状態であると、従来のような湾曲ワイヤを用いた湾曲可変機構の湾曲部を備えた内視鏡であると、挿入部が硬化し、充分な湾曲角度で湾曲部が湾曲挙動しない。しかし、本実施の形態では、流体の給排による湾曲可変機構の湾曲部9であるため、このような不具合が解消できる。
以上の結果、本実施の形態の回転自走式内視鏡装置1は、内視鏡2の湾曲部9の湾曲操作を充分な角度を有して行え、操作性、及び挿入性が非常に良い構成となる。また、挿入部本体10の湾曲部9の湾曲機構は、流体によって湾曲可変するマルチルーメンチューブ81であるため、安価に製造することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の回転自走式内視鏡装置1について説明する。尚、以下の説明において、第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
尚、図11〜図17は、本発明の第2の実施の形態に係り、図11はコネクタカバーとモータボックスの内部構成を説明するための図、図12は挿入部側コネクタとシステム側コネクタの構成を示す断面図、図13は図12の状態から挿入部側コネクタとシステム側コネクタが接続した状態を示す断面図である。
本実施の形態では、挿入部6のコネクタカバー15と、制御側のモータボックス16とが着脱自在な構成である場合において、電気系と流体管路系の接続機構について説明する。
図11に示すように、コネクタカバー15には、挿入部6の挿入部本体10における非回転の内筒管49aの基端部に接続される第1のコネクタである挿入部側コネクタ75が設けられている。また、モータボックス16には、挿入部側コネクタ75に着脱自在な第2のコネクタであるシステム側コネクタ76が設けられている。これらコネクタ75,76は、コネクタカバー15とモータボックス16との着脱時に、同時に着脱が成される。
ここで、図12を参照して、本実施の形態での接続機構である各コネクタ75,76の具体的な構成について説明する。
図12に示すように、挿入部側コネクタ75は、前面側が内筒管49aと固着されている。この挿入部側コネクタ75は、硬度JISデュロメータタイプA80〜90程度の硬質なゴム、合成樹脂などから形成されている。
挿入部側コネクタ75の前後の両端面には、後端面側に設けられる電気的な接点部である、複数の端子から構成されたコネクタ端子部107、及び前端面に設けられた、雄コネクタ端子部107の端子と同数の複数の接続端子108と、を有している。これら雄コネクタ端子部107と、接続端子108とは、それぞれ対応する端子同士が挿入部側コネクタ75内に挿通する電気素線により電気的に接続されている。
この前端面に配された接続端子108の複数の端子は、それぞれが対応する、挿入部本体10内に挿通する信号ケーブル33の複数の電気コードと半田などにより電気的に接続されている。
また、挿入部側コネクタ75には、前後の端面で開口する複数、ここでは2つのみ図示された、流体通路125,126が形成されている。これら流体通路125,126は、挿入部側コネクタ75の後端面側に形成される第1の係合部であるコネクタ係入孔121,122に連通している。
また、挿入部側コネクタ75の前端面側において、流体通路125,126のそれぞれが対応する挿入部本体10内に挿通する処置具/吸引用チューブ23、及び湾曲用チューブ89と連通するように接続されている。また、湾曲用チューブ89と、挿入部側コネクタ75に形成される流体通路125は、説明の簡略のため、ここでは1つのみ図示しているが、第1の実施の形態に示したように、4つ設けられるものである。
さらに、ここでは図示していないが、内視鏡2の先端部8から、例えば、送気、送水のための流体を体腔内へ吐出するためのチューブがある場合には、その数に対応して、流体通路、及びチューブは各種内視鏡機能に要する流体給排のために必要な数が設けられるものである。
システム側コネクタ76は、モータボックス16に固定されている。このシステム側コネクタ76は、硬質な合成樹脂から形成されている。
システム側コネクタ76の前後の両端面には、後端面側に設けられた複数の接続端子105と、電気的な接点部である、接続端子105の端子と同数の複数の端子から構成された雌コネクタ端子部106と、を有している。これら雌コネクタ端子部106と、接続端子105とは、それぞれ対応する端子同士がシステム側コネクタ76内に挿通する電気素線により電気的に接続されている。
この後端面に配された接続端子105の複数の端子は、それぞれが対応する、アーム58に沿わされた、第1の制御装置3(図1参照)に接続される信号ケーブル95の複数の電気コードと半田などにより電気的に接続されている。
また、システム側コネクタ76には、前後の端面で開口する複数、ここでは2つのみ図示された、流体通路113,114が形成されている。これら流体通路113,114は、システム側コネクタ76の前端面から突出形成される第2の係合部である係入コネクタ111,112に連通している。また、システム側コネクタ76の後端面側において、流体通路113,114のそれぞれが対応して、吸引、或いは湾曲のために流体を給排する第2、及び第3の制御装置54,55に接続されるチューブ96,97と連通するように接続されている。
尚、ここでも、2つの流体通路113,114、及びチューブ96,97のみ図示しているが、挿入部側コネクタ75の流体通路125,126、及びチューブ89,23の数に合わせて、これらは各種内視鏡機能に要する流体給排のために必要な数が設けられるものである。また、チューブ96と、システム側コネクタ76に形成される流体通路113は、説明の簡略のため、ここでも1つのみ図示しているが、第1の実施の形態に示したように、4つ設けられるものである。
挿入部6が着脱自在な回転自走式内視鏡装置1において、以上のように構成された、2つのコネクタ75,76は、コネクタカバー15がモータボックス16に連結されると、図13に示すように、それぞれ対応した、電気的な接続と、各種流体が給排される流体通路113,114,125,126同士を接続することができる。
詳述すると、電気的な接続としては、挿入部側コネクタ75の雄コネクタ端子部107と、システム側コネクタ76の雌コネクタ端子部106とが夫々対向した所定の位置で設けられており、挿入部側コネクタ75の後端面とシステム側コネクタ76の前端面が当接することにより電気的に接続される。
したがって、第1の制御装置3からの給電、制御信号などが、内視鏡2の先端部8に配設された各種電気装置との伝送を行うことができるように、第1の制御装置3と先端部8の各種電気装置とが電気的に接続される構成となる。
また、流体通路113,114,125,126の接続としては、挿入部側コネクタ75のコネクタ係入孔121,122と、システム側コネクタ76の係入コネクタ111,112とが夫々対向した所定の位置で設けられており、挿入部側コネクタ75の後端面とシステム側コネクタ76の前端面が当接に合わせて、係入コネクタ111,112がそれぞれ対応するコネクタ係入孔121,122に係入される。
すなわち、係入コネクタ111,112がコネクタ係入孔121,122に係入されることで、流体通路113,114,125,126同士を接続することができる。尚、このとき、係入孔121,122の孔径は、係入コネクタ111,112の外径よりも若干に小さくすることで、挿入部側コネクタ75の弾性力により、気密にそれぞれ対応した流体通路113,114,125,126同士を接続することができる。尚、本実施の形態においても、コネクタカバー15とモータボックス16との接続に合わせて、容易に各コネクタ75,76が一度に接続される。
したがって、第2、及び第3の制御装置54,55によって、内視鏡2の先端部8側に給排する流体を伝送することができる構成となる。
以上の結果、本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加え、挿入部6のコネクタカバー15と、制御側のモータボックス16とが着脱自在な構成である場合でも、簡単な構成により、電気系と流体管路系の接続が確保される機構となる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の回転自走式内視鏡装置1について説明する。尚、以下の説明において、第1、及び第2の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
本実施の形態において、図14〜図21は第3の実施の形態に係り、図14は内視鏡の先端部と湾曲部と螺旋形状部のそれぞれを部分的に示す断面図、図15は図14の内視鏡の挿入部本体を体腔内へ挿入した状態を示す図、図16は図15からさらに体腔深部へと挿入部本体を挿入した図、図17は図16からさらに体腔深部へと挿入部本体を挿入した図、図18はコネクタカバーとモータボックスの内部構成を説明するための図、図19は図18の挿入部側コネクタとシステム側コネクタの構成を示す断面図、図20は図19の状態から挿入部側コネクタとシステム側コネクタが接続した状態を示す断面図、図21は挿入部側コネクタとシステム側コネクタが接続した状態を示す拡大した断面図である。
本実施の形態の内視鏡2は、湾曲部9の外周にも螺旋形状部51を形成して、先端部8、及び湾曲部9自体も挿入軸周りに一体的に回転する構成である。
図14に示すように、本実施の形態の湾曲部9は、マルチルーメンチューブ81の外周を被覆する外径保持チューブ85の外周を覆うように、螺旋形状部51が形成されている。また、樹脂薄膜92の先端部分は、先端部8の本体環26の基端外周部と糸巻き接着部42により固着されている。こうして、本実施の形態の内視鏡2は、挿入部本体10の基端方向から伝達された回転力は、湾曲部9、及び先端部8をも一体的に回転する構成となっている。
本実施の形態の先端部8は、撮像素子31に対物レンズ群30で集光された撮影光の軸が、回転軸に一致するように、撮像ユニット27が中央部に配置されている。尚、撮像ユニット27も回転するため、表示される内視鏡画像が回転像とならないように、画像の回転と挿入部本体10の回転の位相を合わせる制御が行われるものである。この撮影画像の回転位相制御については、周知であるため、ここでは説明を省略する。
また、本実施の形態の撮像ユニット27のカバー体29aは、ドーム状となっている。これにより、先端部8の挿入時に体腔壁100の襞などをかわし、引っ掛かることのないよう、挿入性がより向上するように構成されている。
尚、先端部8は、チャンネル開口部38に対して、中心軸に沿った線対称の位置の先端キャップ36の先端面に流体給排部であると共に流体機能部を構成する開口部40を有している。この開口部40には、送気送水管39が嵌着され、この送気送水管39に接続された送気送水チューブ22が基端にむけて、挿入部本体10内に挿通している。
このように構成された本実施の形態の内視鏡2は、体腔、大腸などに挿入されるとき、図15に示すように、略直線状の体腔では、湾曲部9まで螺旋形状部51が形成されているため、自己推進力が向上する。また、図16に示すように、内視鏡2は、体腔の屈曲部においても、屈曲した体腔壁に沿って湾曲部9が接触するため、湾曲部9を湾曲操作することなく体腔深部へと挿入部本体10が回転自走しながら容易に挿入される。
そして、図17に示すように、体腔深部へ先端部8が到達した場合、挿入部本体10を回転しながら抜去し、観察したい場合では、挿入部本体10の回転を停止させて、湾曲部9の湾曲操作により、体腔内の内視鏡検査を容易に行うことができる。また、この内視鏡検査は、挿入部本体10を抜去しながら行うのが一般的である。
以上のように、本実施の形態では、内視鏡2の湾曲部9の外周に螺旋形状部51を形成し、一体的に回転させることで、挿入部本体10の体腔への挿入性をさらに向上させることができる。
また、本実施の形態の内視鏡2の挿入部6が着脱自在な構成の、挿入部6のコネクタカバー15と、制御側のモータボックス16とが着脱自在である場合において、電気系と流体管路系の接続機構は、図18〜図21に示すような構成とすることで実施することができる。
詳しくは、図18に示すように、コネクタカバー15内には、螺旋形状部51の基端に配され、回転支持されている回転パイプ60の基端部に第1のコネクタである挿入部側コネクタ77が固着されている。また、モータボックス16には、挿入部側コネクタ77と着脱自在な第2のコネクタであるシステム側コネクタ78が固着されている。
図19に示すように、挿入部側コネクタ77は、前端側が回転パイプ60の基端に嵌着するフランジ形状をしており、後端側に略円柱状に延出している形状をしており、合成樹脂などの非導電性材から形成されている。
後端側に延設する略円柱状の部位は、端面(後端面)の略中央から内部に向けて円柱状の穴部142が形成されている。この穴部142の外周には、複数、ここでは3つの円環形状をした電気接点部141が略等間隔に配設されている。
これら電気接点部141は、回転パイプ60内で挿入部側コネクタ77の前端面に設けられたここでは3つの接続端子108と、挿入部側コネクタ77内を挿通する電気素線により電気的に接続されている。
これら接続端子108の複数の端子は、第2の実施の形態と同様に、それぞれが対応する、挿入部本体10内に挿通する信号ケーブル33の複数の電気コードと半田などにより電気的に接続されている。
また、挿入部側コネクタ77は、後端に延出する部位の外周に周溝145,146が形成されている。そして、これら周溝145,146の両端を形成する外周部には、それぞれDLCコーティングされたOリング149が、ここでは3つ設けられている。
また、挿入部側コネクタ77には、前端面で一端がそれぞれ開口し、一方の他端が周溝145で開口する流体通路143と、他方の他端が周溝146で開口する流体通路144と、が形成されている。一方の流体通路143は、挿入部側コネクタ77の前端面において、湾曲用チューブ89と連通するように接続されている。また、他方の流体通路144は、挿入部側コネクタ77の前端面において、吸引用チューブ23aと連通するように接続されている。尚、本実施の形態では、処置具を挿通するチャンネルは、別途に設けられるものとする。
また、湾曲用チューブ89と、挿入部側コネクタ77に形成される流体通路143は、説明の簡略のため、ここでは1つのみ図示しているが、第2の実施の形態で説明したように、4つ設けられるものである。
さらに、ここでは図示していないが、内視鏡2の先端部8から、例えば、送気、送水のための流体を体腔内へ吐出するためのチューブがある場合には、その数に対応して、流体通路、及びチューブは各種内視鏡機能に要する流体給排のために必要な数が設けられるものである。
システム側コネクタ78は、モータボックス16に固定されている。このシステム側コネクタ78は、硬質な合成樹脂から形成されている。
システム側コネクタ78は、前端面の略中央に、内部に向かって、挿入部側コネクタ77の延出した部位と略同じ円柱形状の係合穴部133が形成されている。
システム側コネクタ78の後端面側には、複数の接続端子105が設けられ、第2の実施の形態と同様に、この後端面に配された接続端子105の複数の端子は、それぞれが対応する、アーム58に沿わされた、第1の制御装置3(図1参照)に接続される信号ケーブル95の複数の電気コードと半田などにより電気的に接続されている。
また、システム側コネクタ78の係合穴部133には、底面の略中央から、挿入部側コネクタ77の穴部142と略同じ円柱形状の電気接点係合部131が前方へ延設されている。この電気接点係合部131の外周には、円環状の3つの電気接点部132が挿入部側コネクタ77の電気接点部141に対応して略等間隔で設けられている。
これら電気的な電気接点部132と、接続端子105とは、それぞれ対応する端子同士がシステム側コネクタ78内に挿通する電気素線により電気的に接続されている。
また、システム側コネクタ78には、後端面で一端がそれぞれ開口し、係合穴部133の周面上で他端が穴軸方向にずれて開口する、ここでは2つのみ図示された、流体通路134,135が形成されている。これら流体通路134,135は、挿入部側コネクタ77の周溝145,146の離間距離に対応して係合穴部133の穴軸方向にずれて開口している。また、システム側コネクタ78の後端面側において、流体通路134,135のそれぞれが対応して、吸引、或いは湾曲のために流体を給排する第2、及び第3の制御装置54,55に接続されるチューブ96,97と連通するように接続されている。
尚、ここでも、2つの流体通路134,135、及びチューブ96,97のみ図示しているが、挿入部側コネクタ77の流体通路145,146、及びチューブ89,23の数に合わせて、これらは各種内視鏡機能に要する流体給排のために必要な数が設けられるものである。また、チューブ96と、システム側コネクタ78に形成される流体通路134は、説明の簡略のため、ここでも1つのみ図示しているが、第2の実施の形態で説明したように、4つ設けられるものである。
以上のように構成された、本実施の形態の挿入部6が着脱自在な回転自走式内視鏡装置1において、2つのコネクタ77,78は、コネクタカバー15がモータボックス16に連結されると、図20に示すように、それぞれ対応した、電気的な接続と、各種流体が給排される流体通路134,135,143,144同士を連通することができる。
詳述すると、電気的な接続としては、挿入部側コネクタ77の電気接点部141が設けられた穴部142に、システム側コネクタ78の電気接点部132が設けられた電気接点係合部131が係入される。すると、それぞれ対応する各電気接点部131,132同士
が接触して電気的に接続される。
すなわち、本実施の形態では、回転する回転パイプ60に固着された挿入部側コネクタ77も軸周りに回転するため、穴部142が電気接点係合部131に対して回転しても、それぞれ対応する各電気接点部131,132同士が常に接触するため電気的な接続が保たれる、いわゆるスリップリング機構が構成される。尚、撮像ユニット27で得た内視鏡画像は、無線により第1の制御装置3へ伝送しても良い。
したがって、第1の制御装置3からの給電、制御信号などは、内視鏡2の先端部8に配設された各種電気装置との授受を行うことができるように、第1の制御装置3と先端部8の各種電気装置とが電気的に接続される構成となる。
また、流体通路134,135,143,144の連通機構としては、係合穴部133を形成する内周面に各Oリング149が当接して、挿入部側コネクタ77の各周溝145,146が互いに気密が保持された状態となる。
そのため、挿入部側コネクタ77の流体通路143と、システム側コネクタ78の流体通路134と、が周溝145を介して気密に連通した状態となり、また、挿入部側コネクタ77の流体通路144と、システム側コネクタ78の流体通路135と、が周溝146を介して気密に連通した状態となる。
したがって、第2、及び第3の制御装置54,55によって、内視鏡2の先端部8側に給排する流体を授受することができる構成となる。
以上の結果、本実施の形態では、先端部8、及び湾曲部9が一体的に回転する内視鏡2であって、挿入部6のコネクタカバー15と、制御側のモータボックス16とが着脱自在な構成である場合でも、簡単な構成により、電気系と流体管路系の接続が確保される機構となる。尚、本実施の形態においても、コネクタカバー15とモータボックス16との接続に合わせて、容易に各コネクタ77,78が一度に接続される。
尚、図21に示すように、各電気接点部132,141との絶縁を保つため、流体、特に液体がこれら接点部132,141に入り込まないように、穴部142の開口近傍にOリング150を設けても良い。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の回転自走式内視鏡装置1について説明する。尚、以下の説明において、第1〜第3の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
本実施の形態において、図22〜図30は第4の実施の形態に係り、図22は主に内視鏡の先端部を示す断面図、図23は図22の先端部を示す斜視図、図24は図23に対応した先端部の断面図、図25はバルーンが膨張した状態の先端部の斜視図、図26は図25の先端部を示す部分断面図、図27は第1の変形例の先端部を示す斜視図、図28は図27に対応し、バルーンが膨張した状態の先端部の斜視図、図29は第2の変形例を示し、バルーンに螺旋形状部を設けた内視鏡の挿入状態を示す図、図30は図29のバルーンが膨張した状態の内視鏡の挿入状態を示す図である。
本実施の形態では、内視鏡2の先端部8に流体機能部を構成するバルーン70を設けた構成となっている。
図22〜図24に示すように、本実施の形態の先端部8は、外周部を被覆するように、バルーン70が設けられている。このバルーン70は、略筒状をしており、生態適合性のあるラテックスゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマなどの伸縮性に富んだ樹脂から形成されている。
バルーン70の両端は、先端部8の外周形状を構成する本体環26に接着、熱溶着、糸巻きなどにより気密保持が保たれた状態で接合されている。すなわち、本体環26の外周面と、バルーン70の内周面との間に空間が形成された状態となっている。
本体環26には、内周側から接続されたL字パイプ71が上記空間と連通するように嵌合されている。このL字パイプ71の基端には、所定の硬質性を備え、ある程度の可撓性を備えたフッ素系の樹脂材等から形成された、上述したバルーン用チューブ23dの先端部分が外挿接着固定されている。
このように構成された、本実施の形態のバルーン70内(上記空間内)には、図1に示した、第2の制御装置54から供給される、ここでは二酸化炭素(CO2)ガスがバルーン用チューブ23dを介して、L字パイプ71から供給加圧され、図25、及び図26に示すように先端部8の径方向へ膨張する。尚、この二酸化炭素ガスの供給操作は、上述したように、リモコン67の操作スイッチ68(図1参照)の所定の操作により行われる。また、バルーン70を、図22〜図24に示した、元の状態に収縮させる場合にも、リモコン67の操作スイッチ68を再度、操作することで、第2の制御装置54内の図示しない排気弁の開放により行うことができる。
このように、上述した第1〜第3の実施の形態において説明した構成による流体の供給先を本実施の形態のバルーン70とし、このバルーン70の伸縮に用いられるCO2ガスを流体として各実施の形態の作用効果を適用可能であることは言うまでもない。
また、図27、及び図28に示すように、勿論、第2の実施の形態に対応して、湾曲部9に螺旋形状部51を設けても良い。
さらに、図29、及び図30に示すように、先端部8のバルーン70の外周に螺旋形状部51と同様な螺旋状の突出部70aを設けても良い。このような構成とすることで、図30に示すように、バルーン70を膨張させれば、螺旋状の突出部70aが確実に体腔壁100に作用して、挿入性を向上させることができる。
尚、この突出部70aは、バルーン70と同一な生体適合性のあるラテックスゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマなどの伸縮性に富んだ樹脂から形成されているものである。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。