JP2005206939A - 薄膜形成方法、薄膜形成装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び電子機器 - Google Patents

薄膜形成方法、薄膜形成装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 マスク蒸着等の各種パターニング成膜を高精度かつ正確に行うことが可能となる薄膜形成方法、及び薄膜形成装置を提供し、更に当該薄膜形成方法を用いた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び有機エレクトロルミネッセンス装置と、当該有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 基板Gと材料源1の間にマスクMを配置して、前記材料源1の材料を基板Gに薄膜として形成する薄膜形成方法であって、マスクMと基板Gを密着させる基板密着工程と、マスクMと基板Gの隙間を測定する隙間測定工程と、当該隙間測定工程の測定結果に応じて前記薄膜を形成する薄膜形成工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄膜形成方法、薄膜形成装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び電子機器に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する。)装置は薄膜を積層した構造を有する自発光型の高速応答性表示素子であるため、軽くて動画対応に優れた表示パネルを形成できるため、近年ではFPD(Flat Panel Display)テレビ等の表示パネルとして非常に注目されている。その代表的な製造方法として、フォトリソグラフィ技術を用いることにより、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の透明陽極を所望の形状にパターニングし、更に抵抗加熱式真空蒸着装置で有機材料を積層成膜し、その後に陰極を形成する方法が知られている。ここで、MgAg等の低い低仕事関数の金属陽極膜を蒸着することによって陰極が形成され、更に、不活性ガス雰囲気中で密閉封止されることによって、水分や酸素等に対して発光素子が保護されている。
更に、発光材料を変えることにより、発光色を様々に変化させられるため、例えば、画素毎に赤、緑、青の発光素子を各々マスク蒸着によって作製することにより非常に鮮明なフルカラー有機EL装置を製造することが可能となる。
このようなフルカラー有機EL装置の製造方法は、パネルサイズより大きく薄く高精細なメタルマスクで所望蒸着部分を被覆し、そのメタルマスクをガラス基板背面からある特定の磁石により吸引した状態で、高精度な選択蒸着を各色毎に施すことにより、フルカラー有機EL装置を作製している(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−75638号公報
しかしながら、メタルマスクは熱膨張係数がパネル用ガラス基板に比べて非常に大きいため、パネルサイズが大きくなると蒸着時の輻射熱の作用によってメタルマスクがパネル用ガラス基板よりも大きく伸びることにより応力が生じ、当該応力に起因して磁石が吸引している部分において浮き上がりが生じてしまい、高精度かつ正確な蒸着を施すことができないという問題があった。例えば、他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良が多発し、歩留まりが非常に悪いという問題が生じていた。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、マスク蒸着等の各種パターニング成膜を高精度かつ正確に行うことが可能となる薄膜形成方法、及び薄膜形成装置を提供し、更に当該薄膜形成方法を用いた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び有機エレクトロルミネッセンス装置と、当該有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の薄膜形成方法は、基板と材料源の間にマスクを配置して、前記材料源の材料を前記基板に薄膜として形成する薄膜形成方法であって、前記マスクと前記基板を密着させる基板密着工程と、前記マスクと前記基板の隙間を測定する隙間測定工程と、当該隙間測定工程の測定結果に応じて前記薄膜を形成する薄膜形成工程と、を有することを特徴としている。
ここで、「測定結果に応じて薄膜を形成する薄膜形成工程」とは、測定結果を基に薄膜形成工程を各種制御することを意味している。例えば、薄膜形成条件を変化させて所望の条件で薄膜の形成を実施するようになっている。
このようにすれば、基板密着工程を施すことによってマスクと基板を密着させることができる。更に、隙間測定工程を施すことによって密着状態にあるマスクと基板の隙間を測定するので、熱膨張に起因するマスクの浮き上がりを検出することができる。更に、当該隙間測定工程の測定結果に応じて薄膜形成工程を施すことによって、当該隙間の発生を防止し、マスクと基板を密着させた状態で基板に薄膜を形成することができる。このような一連の工程を経ることによって、マスクの開口部に応じた所定のパターンの薄膜を基板に対して高精度かつ正確に形成することができる。従って、従来問題となっていた他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を抑制するので、歩留まりの向上を達成することができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記薄膜形成工程の前に前記隙間測定工程を行うことを特徴としている。
このようにすれば、隙間測定工程を施した後に、当該隙間測定工程の測定結果に応じて薄膜形成工程を施すので、好適に密着させた状態で薄膜の形成を実施できる。また、マスクと基板の密着状態を確認してから薄膜の形成を実施することができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記薄膜形成工程と同時に前記隙間測定工程を行うことを特徴としている。
このようにすれば、隙間測定工程を施しながら、当該隙間測定工程の測定結果に応じて薄膜形成工程を施すので、薄膜が形成されている間に隙間が測定され、当該測定結果に応じて薄膜形成工程を施すことができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程の測定結果に応じて前記薄膜形成工程を停止することを特徴としている。
このようにすれば、例えば、隙間測定工程の測定結果が異常(隙間が大きくなってしまった)を示す場合に、薄膜形成工程が停止されるので、隙間が大きい状態で薄膜が形成されずに済む。従って、他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を未然に防止することができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程の測定結果に応じて前記基板密着工程の密着力を変えることを特徴としている。
このようにすれば、隙間の大きさに応じてマスクと基板の密着力が変わるので、例えば、隙間が大きくなった場合にはマスクと基板の密着力を高めることにより隙間を小さくすることができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記基板密着工程は、磁力によって前記基板と前記マスクを密着させることを特徴としている。
ここで、磁力を発生するものとしては、電磁石や永久磁石が採用される。電磁石を用いた場合には、電流量をコントロールすることによって磁力を制御することができる。また、磁石を用いた場合には、電流供給が不要になり所定の磁力で吸引できる。
このようにすれば、磁力によってマスクが基板側に吸着するので、両者を好適に密着させることができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記基板密着工程は、前記基板を前記マスクに押圧して密着させることを特徴としている。
ここで、基板をマスクに押圧させるとは、所定の重り用いて基板に荷重を付加したり、バネ等の弾性体を用いて基板に荷重を付加したりすることで行われる。
このようにすれば、基板をマスクに押圧することによって、両者を密着させることができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記基板密着工程は、静電力によって前記基板と前記マスクを密着させることを特徴としている。
ここで、静電力によってマスクと基板を密着させるとは、マスクと基板の各々に極性のことなる電位、プラス(+)及び(−)を付加することにより行われる。
このようにすれば、マスクと基板との間で生じる静電力を利用して、両者を密着させることができる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程は、レーザ光を用いることを特徴としている。
ここで、レーザ光を用いるとは、複数の測定対象物にレーザ光を照射し、当該複数の測定対象物のそれぞれによって反射されたレーザ光の強度を測定することにより、複数の測定対象物間の距離を測定するものである。
このようにすれば、レーザ光の強度変化をマスクと基板の隙間の量として測定できるので、容易に隙間を測定できる。また、測定対象物に対して非接触で光学的に測定しているので、測定対象物を傷つけたり、破壊したりすることがない。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程は、静電容量の測定により行うことを特徴としている。
このようにすれば、静電容量をマスクと基板の隙間の量をとして測定できるので、容易に隙間を測定できる。また、測定対象物に対して非接触で電気的に測定しているので、測定対象物を傷つけたり、破壊したりすることがない。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程は、前記基板における前記薄膜の非形成面の側から行うことを特徴としている。
このようにすれば、材料源の材料が隙間測定手段に付着することがないので、隙間測定手段に材料が付着することによる測定誤差の発生を防止できる。従って、好適にマスクと基板の隙間を測定できる。
また、前記薄膜形成方法においては、前記隙間測定工程は、前記基板の主面内の隅部近傍、又は中央部のうちの少なくとも一方における前記隙間を測定することを特徴としている。
ここで、基板の主面内の隅部近傍やその中央部は、マスクと基板の隙間が生じやすい部位である。従って、隅部近傍や中央部を測定することにより、隙間が生じやすい部分の隙間を測定できる。
また、本発明の薄膜形成装置は、基板と材料源の間にマスクを配置して、前記材料源の材料を前記基板に薄膜として形成する薄膜形成装置であって、前記マスクと前記基板を密着させる基板密着手段と、前記マスクと前記基板の隙間を測定する隙間測定手段と、前記基板に薄膜を形成する薄膜形成手段と、を具備することを特徴としている。
このようにすれば、基板密着手段を有することによってマスクと基板を密着させることができる。更に、隙間測定手段を有することによって密着状態にあるマスクと基板の隙間を測定できるので、熱膨張に起因するマスクの浮き上がりや剥離を検出することができる。更に、当該隙間測定手段の測定結果に応じて薄膜形成工程を施すことによって、当該隙間の発生を防止し、マスクと基板を密着させた状態で基板に薄膜を形成することができる。このような手段を有することによって、マスクの開口部に応じた所定のパターンの薄膜を基板に対して高精度かつ正確に形成することができる。従って、従来問題となっていた他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を抑制するので、歩留まりの向上を達成することができる。
また、前記薄膜形成装置においては、前記基板と平行な方向に前記隙間測定手段を移動させる移動手段を更に備えることを特徴としている。
このようにすれば、基板面上の任意位置に前記隙間測定手段を配置させることができる。従って、任意位置のマスクと基板の隙間を測定できる。
また、前記薄膜形成装置においては、基板密着手段、前記隙間測定手段、前記薄膜形成手段、及び前記移動手段の少なくともいずれかを制御する制御手段を更に具備することを特徴としている。
ここで、制御手段は、薄膜形成装置の全体を制御する機能を有している。
従って、制御手段は、隙間測定手段の測定結果に応じて薄膜形成工程を制御することができる。また、当該制御手段は、基板密着手段の密着力を変化させることができる。また、当該制御手段は、移動手段を制御することができる。
また、本発明の有機EL装置の製造方法は、複数の異なる各々の材料を基板に対して所定のパターンで付着させることにより形成された有機EL装置の製造方法であって、先に記載の薄膜形成方法を用いることを特徴としている。
このようにすれば、複数の異なる各々の材料の薄膜を所定パターンで基板に形成することができる。また、当該所定パターンを高精度かつ正確に形成することができる。従って、従来問題となっていた他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を抑制するので、歩留まりの向上を達成することができる。そして、画素に対する混色を防止することができる。
また、本発明の有機EL装置は、先に記載の製造方法を用いることにより製造されたことを特徴としている。
このようにすれば、混色のない画素を有し、鮮やかな画像表示が可能な有機EL装置となる。
また、本発明の電子機器は、先に記載の有機EL装置を備えることを特徴としている。
ここで、電子機器としては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワープロ、パソコンなどの情報処理装置などを例示することができる。
従って、本発明によれば、先に記載の有機EL装置を用いた表示部を備えているので、混色のない画素を有し、鮮やかな画像表示が可能な表示部を備えた電子機器となる。
以下、本発明の薄膜形成方法、薄膜形成装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び電子機器について、図1から図8を参照して説明する。
なお、以下の説明においては、薄膜形成方法及び薄膜形成装置の一態様としてマスク蒸着法及びマスク蒸着装置について説明する。また、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
(マスク蒸着装置の第1実施形態)
図1は、本発明のマスク蒸着装置(薄膜形成装置)の概略構成を示す側断面図である。
図1に示すように、マスク蒸着装置EXは、チャンバCH内の下部近傍に、蒸着源(材料源、薄膜形成手段)1、膜厚センサ2、及びシャッター(薄膜形成手段)3を備え、チャンバCH内の上部近傍に、蒸着マスクM、蒸着対象の基板G、シート磁石(基板密着手段)4、及びレーザ変位計(隙間測定手段)5を備え、チャンバCHの外部に、排気手段Vc、移動装置(移動手段)T、及び制御装置(制御手段)CONTを備えている。
次に、各構成要素について説明する。
チャンバCHは、内部が真空状態に施されても、その圧力に耐え得る頑強な容器である。また、チャンバCHには、不図示のバルブ等が設けられており、これらの接合面にはOリング等のシール部材が設けられ、内部が気密な真空状態に保持されるようになっている。
蒸着源1は、基板Gに蒸着するための所定材料を有するものであり、不図示のヒータ等によって当該所定材料は気化可能となっている。
膜厚センサ2は、水晶振動子を有しており、蒸着源1が発している蒸着物の速度(蒸着速度)を厳密に管理するようになっている。当該膜厚センサ2によって基板Gに蒸着する膜厚の管理が施されるようになっている。
シャッター3は、蒸着源1と基板Gとの間を遮蔽したり、それを解除したりするものである。当該シャッター3は、膜厚センサ2によって管理された膜厚が所定の値に達した際に動作し、蒸着源1の直上を遮蔽し、蒸着を終了又は停止するようになっている。
マスクMは、複数の開口部Maを有しており、当該Maを通過する蒸着物のみを基板Gに付着させるようになっている。従って、開口部Maを所定パターンに形成することにより、基板Gに所定パターンの蒸着物を形成することができる。例えば、有機EL装置の画素パターンに対応して開口部Maが形成されることにより、蒸着によって基板Gに蒸着物の画素パターンを形成することができる。また、マスクMの材料としては、磁石等によって吸着が可能な磁性材料や、結晶異方性エッチングによってマスク形成が可能なシリコン材料等の非磁性材料等が採用される。本実施形態におけるマスクMは、シート磁石4によって吸着可能な磁性材料からなる。
基板Gは、蒸着対象であり、マスクMを介して蒸着源1と対向配置されるものである。当該基板Gの材料としては、例えばガラス基板等の透明性基板や、金属材料や樹脂材料等の非透明性材料等が採用される。また、ガラス基板の材料としては、石英ガラスやホウケイ酸ガラスが採用されている。
シート磁石4は、本発明の基板密着手段として機能するものであり、本実施形態では、マスクMがメタルマスク等である場合に、当該メタルマスクを基板Gに吸着するために用いられる。そして、当該シート磁石4は、蒸着源1側から見て基板Gの裏側、即ち、蒸着物の非形成面側に設けられている。更に、シート磁石4には、開口部4aが所々に設けられており、レーザ変位計5のレーザ光を通過させるようになっている。
レーザ変位計5は、本発明の隙間測定手段として機能するものであり、レーザ光を利用してマスクMと基板Gの隙間を測定するようになっている。そして、レーザ変位計5は、蒸着源1側から見て基板Gの裏側、即ち、蒸着物の非形成面側に設けられている。
排気手段Vcは、真空ポンプ及び圧力調整バルブからなるものであり、チャンバCHに設けられた不図示の真空計の測定値に応じて、当該チャンバCH内の圧力を所望に維持するほうになっている。
移動装置Tは、本発明の移動手段として機能するものであり、レーザ変位計5をシート磁石4面上(基板Gの面上)における平面方向において移動させるものである。これによって、レーザ変位計5は、平面内の所定位置におけるマスクMと基板Gの隙間を測定することが可能となっている。
制御装置CONTは、本発明の制御手段として機能するものであり、蒸着源1、膜厚センサ2、シャッター3、レーザ変位計5、排気手段Vc、及び移動装置Tの各構成要素を統括的に制御するようになっている。そして、制御装置CONTは、所定のコンピュータプログラムに応じて各構成要素を動作させることも可能となっている。また、レーザ変位計5の測定結果から隙間が規定値以下であるか否かを判定するようになっている。更に、このような測定結果や判定結果に応じてシャッター3の開閉動作を行ったり、蒸着源1のヒータに電力を供給したり、チャンバCH内の圧力を調整したり等、各種薄膜形成条件を調整することも可能となっている。
なお、マスク蒸着装置EXにおいては、蒸着の膜厚分布を改善するために、図1に示すように基板Gと蒸着マスクMを固定したまま回転させるための回転機構を備えてもよい。
次に、図2を参照して、レーザ変位計5の構成及び動作について説明する。
レーザ変位計5は、光源部5a、ミラー部5b、レンズ部5c、レンズ駆動部5d、及び受光部5eを主な構成要素として具備している。
このような構成においては、光源部5aで発光したレーザ光は、ハーフミラーを備えたミラー部5bを経て、レンズ駆動部5dによって上下振動しているレンズ部5cを経て、被測定部を照射する。ここで、レンズ部5cを上下振動させることにより、レーザ光の照射方向において、レーザ光の焦点位置が走査される。そして、レーザ光の焦点が結合した被測定部のみによって反射したレーザ光は、ミラー部5bのハーフミラーを介して受光部5eによって受光される。このように、被測定部のみによって反射したレーザ光は、それ以外の部分によって反射したレーザ光と比較して、強度が大きいため、受光部5eは被測定部の位置をレーザ光の強さのピーク値として検出することができる。
従って、図2に示すように、光源部5aが照射するレーザ光Lは、被測定面を走査する。そして、レーザ光Lの焦点が基板Gの蒸着形成面Gaの位置と合致することで、反射光L1が生じ、当該反射光L1は受光部5eによってピーク値として検出される。また、レーザ光Lの焦点がマスクMの密着面Mbの位置と合致することで、反射光L2が生じ、当該反射光L2は受光部5eによってピーク値として検出される。
そして、反射光L1と反射光L2から得られたピーク値の間隔を演算することにより、蒸着形成面Gaと密着面Mbの距離、即ち、マスクMと基板Gの隙間を測定することができる。
このようなレーザ変位計5は、一般に市販されているものを採用するのが好ましく、例えばキーエンス社のLT−8010、LT−8110、LT−9500が好適である。当該測定器は非常にコンパクトな本体であるので、狭いチャンバCH内に配置するのに都合がよい。
(マスク蒸着方法の第1実施形態)
次に、図3のフローチャート図を参照して、マスク蒸着方法の第1実施形態を説明する。また、当該マスク蒸着方法においては、先に記載したマスク蒸着装置EXを用いることによって基板Gに画素パターンを形成する場合について説明する。
まず、マスクMと基板Gの隙間測定回数をリセットするために、当該測定回数N=1の入力を行う(ステップS1)。
ここで、当該隙間測定回数は制御装置CONTにおいて記憶される。
次に、マスクMと基板Gの位置合わせ(アライメント)を行う(ステップS2)。
当該ステップS2においては、不図示の搬送機構や位置決め機構を作動することにより、マスクMの開口部Maが基板Gに設けられた所定のパターンに合致するように行われる。
次に、マスクMと基板Gを密着させる基板密着工程を施す(ステップS3)。
当該ステップS3においては、基板Gを挟持するようにマスクMとシート磁石4を接近させることで、両者間に吸引力(磁力)が生じ、マスクMは基板Gの蒸着形成面Gaに密着される。
次に、マスクMと基板Gの隙間を測定する隙間測定工程を施す(ステップS4)。
当該ステップS4は、上記のレーザ変位計5を用いて行われる。従って、レーザ光Lが蒸着形成面Gaと密着面Mbに照射されることで、反射した反射光L1、L2の強度を測定することで、蒸着形成面Gaと密着面Mbの隙間が測定される。また、当該ステップS4においては、移動装置Tがレーザ変位計5を前後左右に移動させながら測定する。
次に、蒸着形成面Gaと密着面Mbの隙間が規定値より小さいか、又は大きいかを判定する(ステップS5)。
当該ステップS5は、制御装置CONTにおいて行われる。制御装置CONTにおいては、規定値が予め記憶されており、当該規定値と隙間測定値が比較される。
これによって、隙間が規定値よりも大きい場合(Noの場合)には、蒸着不可能であると判断して、ステップS6に移る。また、隙間が規定値よりも小さい場合(Yesの場合)には、蒸着可能であると判断して、ステップS7に移る。
ステップS6においては、隙間測定回数が3回を満たしているかどうか、制御装置CONTにおいて判定される。制御装置CONTにおいては、隙間測定回数の規定値が予め記憶されており、当該規定値と隙間測定回数が比較される。
これによって、隙間測定回数が3よりも少ない場合(Noの場合)には、ステップS6Aに移る。また、隙間測定回数が3である場合(Yesの場合)には、ステップS6Bに移る。
ステップS6Aにおいては、隙間測定回数Nの値に1を加えた後に、ステップS2に戻り、再度マスクMと基板Gのアライメント調整が施される。また、ステップS6Bにおいては、マスクMと基板Gの密着力を強化するための措置が取られる。例えば、現行シート磁石4を交換して、磁力が強いシート磁石を設置する等の措置が取られる。ステップS6Bを経た後に、ステップS1に戻り、再度当該測定回数N=1の入力を行い、上記ステップ1からステップ6までの動作フローに基づいて各種動作が行われる。
ステップS7においては、蒸着を施す薄膜形成工程を行う。
従って、蒸着源1の蒸着材料が気化して、蒸着物質が基板Gに向けて飛び、蒸着物質はマスクMの開口部Maの相当する基板Gの露出部のみに入射する。これによって、蒸着物質は開口部Maのパターンに対応して基板Gに蒸着し、薄膜が形成される。なお、薄膜の膜厚は、膜厚センサ2により厳密に管理される。
次に、蒸着が行われている状態で、マスクMと基板Gの隙間を測定する隙間測定工程を施す(ステップS8)。
当該ステップS8は、先のステップ4と同様に行われる。従って、レーザ光Lが蒸着形成面Gaと密着面Mbに照射されることで、反射した反射光L1、L2の強度を測定することで、蒸着形成面Gaと密着面Mbの隙間が測定される。また、当該ステップS8においては、移動装置Tがレーザ変位計5を前後左右に移動させながら測定する。
次に、蒸着形成面Gaと密着面Mbの隙間が規定値より小さいか、又は大きいかを判定する(ステップS9)。
当該ステップS9は、制御装置CONTにおいて行われる。制御装置CONTにおいては、規定値が予め記憶されており、当該規定値と隙間測定値が比較される。
これによって、隙間が規定値よりも大きい場合(Noの場合)には、蒸着不可能であると判断して、ステップS10に移る。また、隙間が規定値よりも小さい場合(Yesの場合)には、蒸着可能であると判断して、ステップS11に移る。
ステップ10においては、シャッター3が蒸着源1の上方を遮蔽することにより、蒸着処理が中断する。その後、ステップ2に戻り、マスクMと基板Gの位置合わせを行い、上記ステップ2からステップ9までの動作フローに基づいて各種動作が行われる。
ステップ11においては、蒸着が終了か否かを判定する。
当該ステップ11においては、膜厚センサ2が測定した膜厚が所定の値に達しているかどうかが判定される。
これによって、膜厚が所定の値を満たしていない場合(Noの場合)には、ステップ8に戻り、隙間を測定しながら蒸着が行われる。また、膜厚が所定の値を満たしている場合(Yesの場合)には、蒸着終了となるので、シャッター3が蒸着源1の上方を遮蔽し、蒸着マスクMと基板Gの固定を解除し、基板Gのみを搬出する。
上述したように、マスク蒸着装置EX、及びマスク蒸着方法においては、シート磁石4を用いることで基板密着工程を施し、マスクMと基板Gを密着させることができる。更に、レーザ変位計5を用いることで隙間測定工程を施し、密着状態にあるマスクMと基板Gの隙間を測定するので、熱膨張に起因するマスクMの浮き上がりや剥離を検出することができる。更に、レーザ変位計5の測定結果に応じて蒸着を行うので、マスクMと基板Gの隙間の発生を防止し、マスクMと基板Gを密着させた状態で基板Gに薄膜を蒸着形成することができる。このような一連の工程を経ることによって、マスクMの開口部Maに応じた所定のパターンの薄膜を基板Gに対して高精度かつ正確に蒸着形成することができる。従って、従来問題となっていた他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を抑制するので、歩留まりの向上を達成することができる。
また、蒸着を行う前に、マスクMと基板Gの隙間を測定するので、好適に密着させた状態で薄膜を蒸着形成することができる。また、マスクMと基板Gの隙間を測定しながら、当該隙間の測定結果に応じて薄膜を蒸着形成することができる。
また、マスクMと基板Gの隙間の測定結果に応じて蒸着を停止するので、測定結果が異常(隙間が大きくなってしまった)を示す場合には、当該隙間が大きい状態で薄膜が形成されずに済む。従って、他の色の画素に材料が混合してしまう等の不良発生を未然に防止することができる。
また、マスクMと基板Gの隙間を測定する手段として、レーザ変位計5を用いるので、レーザ光Lの強度変化をマスクMと基板Gの隙間の量として測定できるので、容易に隙間を測定できる。また、測定対象に対して非接触で光学的に測定しているので、測定対象を傷つけたり、破壊したりすることがない。
また、レーザ変位計5を用いてマスクMと基板Gの隙間を測定することにより、基板Gにおける薄膜の非形成面の側から測定を行うことができるので、蒸着源1の材料がレーザ変位計5に付着することがないので、レーザ変位計5に材料が付着することによる測定誤差の発生を防止できる。従って、好適にマスクMと基板Gの隙間を測定できる。
なお、マスクMと基板Gの隙間を測定する手段としては、静電容量の変化を利用して測定してもよい。このようにすれば、静電容量をマスクMと基板Gの隙間の量をとして測定できるので、容易に隙間を測定できる。また、測定対象物に対して非接触で電気的に測定しているので、測定対象物を傷つけたり、破壊したりすることがない。
なお、本実施形態においては、マスクMを蒸着用マスクとして用いる場合について説明したが、例えばスパッタリング用マスクや、CVD用マスク等、各種気相成膜法におけるパターン成膜法として用いることもできる。
(マスク蒸着装置の第1実施形態の変形例)
次に、マスク蒸着装置の第1実施形態の変形例について説明する。
上述のマスク蒸着装置の第1実施形態においては、基板密着手段としてシート磁石4を採用しているが、本変形例においては電磁石を採用している。
電磁石は、コイルに供給する電流によって、その磁力を調節することができるので、マスクMと基板Gの隙間の大きさに応じてマスクMと基板Gの密着力を変えることができる。例えば、隙間が大きくなった場合には、コイルに供給する電流量を高めることでマスクMと基板Gの密着力が高まり、これによって隙間が小さくなり、強固に密着させることができる。
また、このような電磁石を備えた場合のマスク蒸着方法としては、図3に示すフローチャートにおけるステップS6Bのマスク密着強化措置として、電磁石に供給する電流を高くする方法を採用できる。このようにすれば、磁石の交換作業を不要にすることができる。
(マスク蒸着装置の第2実施形態)
次に、マスク蒸着装置の第2実施形態について説明する。
上述のマスク蒸着装置の第1実施形態、及びその変形例においては、基板密着手段としてシート磁石4や電磁石を採用しているが、本実施形態においては、基板とマスクを荷重印加によって押圧し、密着させている。
なお、本実施形態においては、図1に示すマスク蒸着装置EXと異なる部分について説明する。また、先に記載の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を簡略化する。
図4に示すように、マスク蒸着装置EX’は、基板密着手段としての荷重印加部14と、非磁性材料からなるマスクM’を備えた構成となっている。
荷重印加部14は、重り15と、ピン16と、弾性部材17とから構成されている。
重り15には、開口部15a、15bが設けられており、開口部15aはレーザ変位計5のレーザ光が通過する部位であり、開口部15bはピン16が挿通する部位である。
ピン16は貫通穴15bを挿通するように配置されており、当該ピン16の先端には基板Gと接触部16aが設けられている。接触部16aはゴム等の樹脂材料からなり、基板Gとの接触の際に当該基板Gを傷つけないようになっている。弾性部材17は、ゴムやバネ等の公知の弾性を有する部材であり、重り15とピン16の間に設けられ、接触部16aと基板Gとの接触を緩和するようになっている。
このように、マスク蒸着装置EX’においては、荷重印加部14を備えた構成となっているので、上記実施形態と同様に基板GとマスクMを確実に密着させることができる。更に、重り15の荷重によって密着できるので、磁力により密着させる必要がない。従って、非磁性材料のマスクM’を使用することが可能となる。
なお、上述のマスク蒸着装置の第1及び第2実施形態においては、マスクと基板Gを密着する手段として、磁力を用いたものや、荷重を用いたものを説明したが、本発明はこれらをげんていするものではない。例えば、静電力によって基板GとマスクMを密着させてもよい。静電力によってマスクMと基板Gを密着させるとは、マスクMと基板Gの各々に極性のことなる電位、プラス(+)及び(−)を付加することにより行われる。
このようにすれば、マスクMと基板Gとの間で生じる静電力を利用して、両者を密着させることができる。このような静電力を用いる方法においては、基板及びマスクの表面が容易に帯電するような構成を有していることが好ましい。
(マスク蒸着方法の第2実施形態)
次に、マスク蒸着方法の第2実施形態について説明する。
図5は当該マスク蒸着方法の第2実施形態によってマスク蒸着される蒸着対象の平面図であり、図6はマスク蒸着方法のフローチャート図である。
なお、当該マスク蒸着方法においては、先に記載したマスク蒸着装置EXを用いている。また、本実施形態においては、図3に示すフローチャート図と異なる部分について説明し、図3と同一工程には同一符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態の蒸着対象は、図5に示すように複数の基板Gからなるマザー基板20である。そして、本実施形態のマスク蒸着方法においては、先に記載のマスク蒸着装置EX内にマザー基板20を配置して蒸着を施している。更に、本実施形態のマスク蒸着方法のフローチャート図は、主として先に記載のマスク蒸着方法(図3)と同じであるが、ステップS4、ステップS5、ステップS6のみが異なっている。
ステップS4においては、基板Gの平面内における所定位置においてマスクMと基板Gの隙間を測定している。当該所定の位置は、基板Gにおける隅部近傍の測定点P1〜P4と、その中央部の測定点P5である。更に、ステップS5においては、マザー基板20における全ての基板Gの測定点P1〜P5を測定している。ここで、測定点P1〜P5は、マスクMと基板Gの隙間が生じやすい部位であり、当該測定点P1〜P5を測定することにより、隙間が生じやすい部分の測定を実施できる。
なお、各測定点を測定するには、移動装置Tが駆動することにより、所望にレーザ変位計5を移動させて測定お行っている。
次に、ステップS5においては、各基板Gの測定点P1〜P5における隙間が規定値より小さいか、又は大きいかを判定する(ステップS5)。
当該ステップS5は、制御装置CONTにおいて行われる。制御装置CONTにおいては、規定値が予め記憶されており、当該規定値と隙間測定値が比較される。
これによって、隙間が規定値よりも大きい場合(Noの場合)には、蒸着不可能であると判断して、ステップS6に移る。また、隙間が規定値よりも小さい場合(Yesの場合)には、蒸着可能であると判断して、ステップS7に移る。
次に、ステップS6においては、隙間測定回数が3回を満たしているかどうか、制御装置CONTにおいて判定される。制御装置CONTにおいては、隙間測定回数の規定値が予め記憶されており、当該規定値と隙間測定回数が比較される。
これによって、隙間測定回数が3よりも少ない場合(Noの場合)には、ステップS6Aに移る。また、隙間測定回数が3である場合(Yesの場合)には、ステップS6Cに移る。ステップS6Aにおいては、先に記載の実施形態と同様の処理が施されるため、説明を省略する。
また、ステップS6Cにおいては、基板Gが複数取りであるか否かが判定される。
これによって、基板Gが複数取りでない場合(Noの場合)は、ステップS6Bに移り、先の実施形態と同様にマスクMと基板Gの密着力を強化するための措置が取られる。また、基板Gが複数取りである場合(Yesの場合)は、ステップ6Dに移る。
ステップS6Dにおいては、図5に示すように複数取りの例として挙げた9枚の基板Gのうち、良品の基板を取れるか否かを判定する。
これによって、良品が取れない場合(Noの場合)は、ステップS6Bに移り、先の実施形態と同様にマスクMと基板Gの密着力を強化するための措置が取られる。また、良品が取れる場合(Yesの場合)は、ステップS6Eに移る。
ステップS6Eにおいては、不良の基板をマークして、以後の工程でマークされた基板を処理しないようにする。当該ステップS6Eを経た後に、ステップS7に移り、先に記載の実施形態と同様の処理が施される。
上述したように、本実施形態においては、基板Gの隅部近傍の測定点P1〜P4、又は中央部の測定点P5のうち、少なくとも一点における隙間を測定するので、隙間が生じやすい部分の隙間を測定できる。
また、複数の基板Gのうち、不良と判定された基板は、蒸着後の工程で処理しないようにするので、蒸着工程以降の工程においては、良品の基板Gのみを製造することができる。
(有機EL装置の製造方法)
次に、図7を参照して、上述のマスク蒸着装置、及びマスク蒸着方法を用いることにより、アクティブ型フルカラー有機EL装置を製造する方法について説明する。
図7は本発明を用いた有機EL装置の製造方法の説明図である。
まず、低温ポリシリコンTFT基板30を用意し、そのITO31の表面をUVとオゾンを用いることにより洗浄し、かつITOの仕事関数が4.5eVeV〜5.2eVまで高める(図7の(a)参照)。
次に、発光部に寄与しない部分に蒸着材料が付着しないように、蒸着マスクにより遮断しながら、正孔注入材料32の銅フタロシアニン(CuPc)を10nm、正孔輸送材料33の4,4‘−ビス−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビーフェニル(NPB)を60nm成膜した後、蒸着マスクを取り去る(図7の(b)参照)。
次に、上記のマスク蒸着装置EX内に低温ポリシリコンTFT基板30を配置し、緑色を発光する画素の部分のみ開口した高精細な蒸着マスクMを使用し、緑色発光画素の位置に蒸着マスクMの開口部Maが一致するように正確にアライメントし、静かに基板30を蒸着マスクM上に置く。
次に、基板30上にシート状のゴム磁石4を静かに置き、蒸着マスクMと基板30の隙間を無くす。更に、レーザ変位計5でシート磁石4に形成された開口部4a越しにメタルマスクMと基板30の隙間を測定し、もし隙間が所定寸法以下(例えば、15μm以下)なら蒸着を開始することにする。もし、隙間が所定寸法以上のところがあるなら、もう一度、アライメントし直し、シート磁石を静かに置き、再度測定を行い、蒸着マスクMと基板30の間隔が無いことを確認してから蒸着を行う。
この状態で、緑色の発光材料のホスト材;トリス(8−キノリノラト−N1,08)−アルミニウム(Alq)と、ドープ材;N,N−ジメチルキナクリドン(DMQA)を100:1の蒸着速度比で30nmの膜厚で共蒸着することにより、緑色発光層34Gが形成される。
この共蒸着の最中も隙間測定のモニタをして隙間が所定寸法以下であることを確認している。もしも隙間が所定寸法以上になったら、直ぐに蒸着を中断し、蒸着マスクMを外してアライメントし直し、シート磁石4を静かに置き、再度測定を行い、蒸着マスクMと基板30の隙間が無いことを確認してから蒸着を再開させる。
更に、赤色を発光する画素の部分のみ開口した精密な高精細蒸着マスクMを使用し、赤色発光画素の位置に蒸着マスクMの開口部Maが一致するように正確にアライメントし、静かに基板30をマスクM上に置く。次に、基板30上にシート状のゴム磁石4を静かに置き、蒸着マスクMと基板30の隙間を無くす。
更に、レーザ変位計5でシート磁石4に形成された開口部4a越しにメタルマスクMと基板30の隙間を測定し、もし隙間が所定寸法以下なら、蒸着を開始することにする。この状態で赤色の発光材料のホスト材;トリス(8−キノリノラト−N1,08)−アルミニウム(Alq)とドープ材;ルブレン及びドープ材のDCJTBを100:5:1の蒸着速度比で40nmの膜厚で共蒸着することにより、赤色発光層34Rが形成される。もちろん、蒸着時は緑の時と同様に必ず隙間のモニタリングを行う。最後に、青色を発光する画素の部分のみ開口した高精細蒸着マスクMを使用し、青色発光画素の位置に蒸着マスクMの開口部Maが一致するように正確にアライメントし、静かに基板30を蒸着マスクM上に置く。
次に、基板上にシート状のゴム磁石を静かに置き、蒸着マスクと基板の隙間を無くす。更に、緑と赤の発光材料蒸着時と同様にレーザー変位計5でシート磁石4に形成した開口部4a越しにメタルマスクMと基板30の隙間を測定し、もし隙間が所定寸法以下なら蒸着を開始することにする。
この状態で青色の発光材料のホスト材;DPVBiとドープ材;BczVBiを100:1の蒸着速度比で20nmの膜厚で共蒸着することにより、青色発光層34Bが形成される。この時も同様に、蒸着時は必ず隙間のモニタリングを行う。
こうして、マスクを取り除くと、発光層が正確に塗り分けされた有機EL装置が形成される(図7の(c)参照)。
次に、発光部に寄与しない部分に蒸着材料が付着しないように、蒸着マスクにより遮断しながら、電子輸送材料のトリス(8−キノリノラト−N1,08)−アルミニウム(Alq)を30nm成膜することにより電子輸送層35が形成される。更に、電子注入材料のフッ化リチウムを1nm成膜することにより電子注入層36が形成される。更に、Alを200nm蒸着することで陰極37が形成される。(図7の(d)参照)。
こうしてできた有機EL装置を湿気、酸素から守るために、乾燥剤38を入れるための窪みを形成した封止ガラス39に乾燥剤38を入れ、外周に接着剤を塗布し、低温ポリシリコンTFT基板に貼り付ける(図7の(e)参照)ことによりパネル製造工程は完了となる。
本発明に係る有機EL装置の製造方法で製造した有機エレクトロルミネッセンス装置は蒸着マスクの隙間が無いため、発光色の混ざりがなく、非常に鮮やかであり、非常に高い歩留まりで製造できることを確認した。
上述したように、マスクが浮いて他の色の画素に材料が混ざることによる発光色のにじみ等の不良がなく、非常に高い歩留まりで有機EL装置を製造できる。
なお、有機EL装置に限定するものではなく、色素蒸着法による液晶用カラーフィルタの製造や有機トランジスタ等の製造にも用いることができる。
(電子機器)
次に、上記実施形態の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。
図8(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図8(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
図8(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図8(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
図8(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図8(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
図8(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施の形態の有機EL装置を備えているので、混色のない画素を有し、鮮やかな画像表示が可能な表示部を備えた電子機器となる。
なお、電子機器としては、前記の携帯電話などに限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、ノート型コンピュータ、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することができる。
本発明の一実施形態のマスク蒸着装置の概略構成を示す側断面図。 本発明の一実施形態のマスク蒸着装置における要部構成を示す側断面図。 本発明の一実施形態のマスク蒸着方法のフローチャート図。 本発明の一実施形態のマスク蒸着装置における要部構成を示す側断面図。 本発明の一実施形態のマスク蒸着方法における蒸着対象を示す平面図。 本発明の一実施形態のマスク蒸着方法のフローチャート図。 本発明の一実施形態の有機EL装置の製造方法を説明するための工程図。 本発明の有機EL装置を備える電子機器を示す図。
符号の説明
1…蒸着源(材料源、薄膜形成手段)
3…シャッター(薄膜形成手段)
4…シート磁石(基板密着手段)
5…レーザ変位計(隙間測定手段)
14…荷重印加部(基板密着手段)
G、30…基板
M…マスク
L…レーザ光
T…移動装置(移動手段)
EX、EX’…マスク蒸着装置(薄膜形成装置)
CONT…制御装置(制御手段)

Claims (18)

  1. 基板と材料源の間にマスクを配置して、前記材料源の材料を前記基板に薄膜として形成する薄膜形成方法であって、
    前記マスクと前記基板を密着させる基板密着工程と、
    前記マスクと前記基板の隙間を測定する隙間測定工程と、
    当該隙間測定工程の測定結果に応じて前記薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    を有することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記薄膜形成工程の前に、前記隙間測定工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 前記薄膜形成工程と同時に、前記隙間測定工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
  4. 前記隙間測定工程の測定結果に応じて、前記薄膜形成工程を停止することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  5. 前記隙間測定工程の測定結果に応じて、前記基板密着工程の密着力を変えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  6. 前記基板密着工程は、磁力によって前記基板と前記マスクを密着させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  7. 前記基板密着工程は、前記基板を前記マスクに押圧して密着させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  8. 前記基板密着工程は、静電力によって前記基板と前記マスクを密着させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  9. 前記隙間測定工程は、レーザ光を用いることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  10. 前記隙間測定工程は、静電容量の測定により行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  11. 前記隙間測定工程は、前記基板における前記薄膜の非形成面の側から行うことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  12. 前記隙間測定工程は、前記基板の主面内の隅部近傍、又は中央部のうちの少なくとも一方における前記隙間を測定することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の薄膜形成方法。
  13. 基板と材料源の間にマスクを配置して、前記材料源の材料を前記基板に薄膜として形成する薄膜形成装置であって、
    前記マスクと前記基板を密着させる基板密着手段と、
    前記マスクと前記基板の隙間を測定する隙間測定手段と、
    前記基板に薄膜を形成する薄膜形成手段と、
    を具備することを特徴とする薄膜形成装置。
  14. 前記基板と平行な方向に前記隙間測定手段を移動させる移動手段を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の薄膜形成装置。
  15. 基板密着手段、前記隙間測定手段、前記薄膜形成手段、及び前記移動手段の少なくともいずれかを制御する制御手段を更に具備することを特徴とする請求項14に記載の薄膜形成装置。
  16. 複数の異なる各々の材料を基板に対して所定のパターンで付着させることにより形成された有機EL装置の製造方法であって、請求項1から請求項12のいずれかに記載の薄膜形成方法を用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  17. 請求項16に記載の製造方法を用いることにより製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  18. 請求項17に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。
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