JP2005139602A - 潜在伸縮性空気交絡糸及びそれで製造した伸縮性スエード調織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温、湿熱処理後にも優れた伸縮性と伸縮回復性を有しかつ容易に製造することが可能な潜在伸縮性空気交絡糸、及びそれを用いて製織及び染加工した織物であって、優れた弾力性、ドレープ性、伸縮性及び伸縮回復性を有し、使用する複合糸のトータル繊度が極細化するにつれて起毛後にスエード調の軟らかい表面タッチなどの様々な特性を発現させることが可能な織物を提供すること。
【解決手段】 単糸繊度1〜6d、トータル繊度20〜300dの潜在巻縮糸と単糸繊度0.01〜0.5d、トータル繊度30〜300dの極細糸1本ないし2本とを空気交絡させて製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、潜在伸縮性空気交絡糸及びそれで製造した伸縮性織物に関するものである。
さらに具体的には、熱収縮性の異なる2種のポリマーを複合紡糸して潜在伸縮性を与えた潜在伸縮糸、直接紡糸し或いは海島型又は放射型複合糸から選んだ複合糸を空気交絡させて製造した潜在伸縮性空気交絡糸、及び前記潜在伸縮性空気交絡糸で製織した後、減量、後処理を行って弾力性、ドレープ性、伸縮性及び伸縮回復性のいずれにも優れた伸縮性織物に関するものである。
従来の伸縮性織物の中でも、仮撚糸を用いる伸縮性織物が特許文献1に開示されているが、この織物は仮撚糸の伸縮性の限界によって伸縮性と伸縮回復性が劣るという問題点があった。
韓国公開特許第1994−15000号明細書
また、特許文献2には、ポリウレタン(スパンデックス)糸を芯糸とし、単繊維紡績糸をエフェクトヤーン(effect yarn)とする伸縮性長短繊維複合コアヤーンが提案されている。
特開平6−212525号公報
ところが、このような伸縮性長短繊維複合コアヤーンを用いて製織した生地は、伸縮性に優れるが、幾つかの欠点を持っている。
すなわち、浸染の際に110〜130℃の高温、湿熱の下でスパンデックスの弛み現象(弛緩現象)が発生し、特に再染以上の作業時にはこのような弛み現象が一層加速化して工程不良率が増加した。
また、衣服の着用時に繰り返し行われるテンションによってスパンデックスの弛み現象が激しく発生するという弊害がある。
また、特許文献3に記載されているようにスパンデックス、仮撚糸又は潜在巻縮糸を使用していない従来の長短繊維複合糸の場合には、染色加工後に織物の伸縮性が発現しないという欠点がある。
韓国公開特許第1996−14443号明細書
また、特許文献4による潜在巻縮フィラメント糸と単繊維紡績糸を芯鞘(Core-Sheath)構造とした長短複合コアヤーンの場合には、精紡機による単繊維の集束と撚糸工程などがややこしいという欠点がある。
韓国公開特許第2003−040287号明細書
本発明の目的は、高温、湿熱処理後にも優れた伸縮性と伸縮回復性を有しかつ容易に製造することが可能な潜在伸縮性空気交絡糸、及びそれを用いて製織及び染加工した織物であって、優れた弾力性、ドレープ性、伸縮性及び伸縮回復性を有し、使用する複合糸のトータル繊度が極細化するにつれて起毛後にスエード調の軟らかい表面タッチなどの様々な特性を発現させることが可能な織物を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、単糸繊度1〜6d(デニール)、トータル繊度20〜300dの潜在巻縮糸と単糸繊度0.01〜0.5d、トータル繊度30〜300dの極細糸1本ないし2本とを空気交絡させて製造した潜在伸縮性空気交絡糸を提供する。
また、本発明は、潜在伸縮性空気交絡糸を含んでいる織物であって、伸張率が10〜40%、伸張回復率が80%以上である伸縮性スエード調織物を提供する。
本発明の潜在伸縮性空気交絡糸で製造した織物は、伸縮性に優れ、スパンデックス織物に比べて伸縮回復性に優れて衣類着用時に生地の弛み現象(サグ(sag)現象)が著しく少なく、染加工工程時に染色性及び堅牢度に優れ、再染以上の作業後にも伸縮性が低下する現象が現われず、染加工不良率を減らす効果が得られるだけでな<、作業が容易であり、直接紡糸による極細糸、或いは海島型又は放射型複合糸の極細繊度化によって柔らかいタッチが発現する。
以下、添付図面を参照して本発明に係る潜在伸縮性空気交絡糸を詳細に説明する。
図1において、本発明に係る潜在伸縮性空気交絡糸の一方は、単糸繊度1〜6d、トータル繊度20〜300のポリエステル系潜在巻縮糸2からなっている。
本発明に係る潜在伸縮性空気交絡糸の他方は、アルカリ減量後の単糸繊度0.01〜0.5d、トータル繊度30〜300dの一般複合糸1からなっている。
潜在巻縮糸2と複合糸1の割合は、重量比で潜在巻縮糸2が全体潜在伸縮性空気交絡糸の10〜40重量%である.本発明に係る潜在伸縮性空気交絡糸は1〜5kgf/cm2の空気圧で交絡を与えたものである。
本発明において、潜在巻縮糸2のトータル繊度が20d未満であれば、織物製造の際に生地の伸縮性が大きく発現せず、潜在巻縮糸2のトータル繊度が300d超過であれば、海島型又は放射型の複合糸1と複合したときの重量が重過ぎて衣類用織物の原糸としては不適である。
本発明において、潜在巻縮糸2とは、熱収縮性の異なる2種のポリマーをサイドバイサイド(side-by-side)型(図2参照)又は芯鞘(sheath-core)型に複合紡糸した後、紡糸工程又は延伸工程で熱を受けたときのポリマー間の収縮性の差によって物理的にコイル状のクリンプ(Crimp)を発現させ、スプリングと類似の原理によって高度の伸縮性を与えた糸である。
本発明の潜在伸縮性空気交絡糸に使用された潜在巻縮糸2の例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)とPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の2種のポリマーからなる、図2に示したようなサイドバイサイド型複合糸を挙げることができる。
また、本発明で使用する海島型複合糸1は、フィラメントを形成することが可能な2種の高分子物質を海島状に複合紡糸又は混合紡糸したものであって、島成分laとしては通常のナイロン−6やPETなどが使用可能であり、海成分lbとしては島成分とは溶剤溶解性の異なる共重合ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンなどが使用可能である。特に、本発明では共重合ポリエステルが有用に使用できるが、これはポリスチレン又はポリエチレンを海成分とする場合、トルエン又はパークロロエチレンを溶剤として使用するためである。一方、本発明で使用する海島型複合糸1は、図3に示す通りであり、繊維断面形状には制限されない。
海島型複合糸1は、アルカリで減量処理して極細化させた後の繊度(すなわち、不溶性成分の繊度)が0.5d以下であり、繊度が低いほど織物の柔軟性、強度、緻密感を得るのに有利である。
また、本発明で使用する放射型複合糸1′は、フィラメントを形成することが可能な2種の高分子物質を放射状に複合紡糸又は混合紡糸したものであって(図4参照)、扇形部分1′aとしては通常のナイロン−6やPETなどが使用可能であり、境界部分lbとしては扇形部分とは溶剤溶解性の異なる共重合ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンなどが使用可能である。放射型複合糸1′は極細化後の繊度(すなわち、不溶性成分の繊度)が0.5d以下であり、繊度が低いほど織物の柔軟性、強度、緻密感を得るのに有利である。
また、本発明で使用する直接紡糸によって製造される極細糸は、ポリエステル又はナイロンなどの単一成分からなるフィラメント形態の糸であって、繊度(すなわち、不溶性成分の繊度)が0.1〜0.5dであり、繊度が低いほど織物の柔軟性、強度、緻密感を得るのに有利である。一方、本発明で使用する直接紡糸によって製造される極細糸は、繊維断面形状には制限されない。
また、潜在巻縮糸2の割合は、海島型複合糸1又は放射型複合糸1′の11重量%以上、67重量%以下にすることがよい。これにより、一層優れた伸縮性空気交絡糸を得ることができる。
潜在巻縮糸2の割合を11重量%未満にした場合には、伸縮性が大きく発現せず、潜在巻縮糸2の割合を67重量%超過とした場合には、潜在伸縮性空気交絡糸の表面に潜在巻縮糸2の突出現象が著しくなる。
均一な交絡度を与えるとともに毛羽の発生などを抑えるために、インタレーシング(Interlacing)時の空気圧は、選択した糸種に応じて適宜に設定しなければならず、単糸繊度が小さくてマルチフィラメントのフィラメント数が多い原糸を使用する場合には2〜3kgf/cm2、単糸繊度が大きくてマルチフィラメントのフィラメント数が少ない原糸を使用する場合には3kgf/cm2以上に設定することがよい。
このように製造された本発明の潜在伸縮性空気交絡糸を原糸として製織し、製織された生地は、内部の熱分布を均等にした熱処理機によって20〜60秒間150〜190℃の乾熱にセットしながら熱処理前の布地に比べて20%内に拡布させ、オーバーフィード率を3〜25%の範囲に調節し、通常の精錬、減量及び縮小、染色、起毛などの加工を行った後、再び20〜60秒間150〜190℃に形態安定化乾熱セッティングを行った。
この際、150℃未満の温度に乾熱セッティングを行うと、形態安定化のセッティングが足りなく、190℃超過の温度にセッティング加工を行うと、加工後の伸縮性が低下し、触感も軟らかくない。
また、熱処理時間が20秒未満の場合には、セッティングが足りなく、熱処理時間が60秒超過の場合には、布地の伸縮性が低下し、触感も軟らかくない。
本発明の潜在伸縮性空気交絡糸で製織した生地は、前記染色加工を経ることにより潜在伸縮性空気交絡糸固有のクリンプが発現して15〜40%の伸縮性、85%以上の伸縮回復性、弾力性及び優れたドレープ性を有し、また海島型又は放射型複合糸の減量によって生成された極細糸によって軟らかい触感を発現させる。
また、前記潜在巻縮糸2は、PET、PTTの2種のポリマーからなる複合糸であって、PTTはPETに比べて染加工時に20℃程度低い温度でも濃色発現が可能であり、分子構造的にモジュラスが低くてPETに比べて一層ソフトなので、染色性及びソフト性に一層優れる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明の潜在伸縮性空気交絡糸で製織した織物に対する諸般物性及びその測定方法は次の通りである。
(1)伸張率及び伸張回復率
織物の伸張率はJIS L 1096B法(定荷重法)の測定方法で測定する。
織物の伸張回復率はJIS L 1096B−1法(定荷重法)の測定方法で測定する。
(2)織物の表面効果(織物の弛み現象:サグ現象)
7.5cm×30cmサイズの試料をKSK 0520の引張強度測定器(UTM)のクランプにより把持して5KGの荷重を10秒間与えた後、荷重を除去し、10分経過後に織物の表面効果を次のように外観から評価する。
◎:9〜10点、○:7〜8点、△:5〜6点、×:5点以下(総10点満点)
(3)再染後の伸縮性
1次加工した生地をさらに液流染色機で130℃、30分間湿熱高温染色を行った後、伸縮性をKSK 0352 5.2.2の測定方法で測定する。
実施例1
単糸繊度2.1d、トータル繊度75dのPET/PTT潜在巻縮糸(2)1本と減量前の単糸繊度2.1d、トータル繊度75dの海島型複合糸1(減量後の単糸繊度0.04d)2本とを用い、オーバーフィード3%、3kgf/cm2の空気圧で交絡を与えて225dの潜在伸縮性空気交絡糸を製造した。
経糸に75dのポリエステル仮撚糸を用い、緯糸に前記のように製造した原糸を用いてレピア織機で朱子織(satin weave)に製織した後、連続式水洗、液流減量及び縮小、熱固定(プリセット(Pre-Set))、染色、熱固定(ファイナルセット(Final Set))、起毛又はバッフィングの順序で染加工を行った。
製織された織物の伸縮性、伸縮回復性の物性を前記測定方法でそれぞれ10回ずつ測定し、従来の伸縮性スパンデックス織物と比較してその結果を表1に示した。
実施例2
平織で製織したことを除いては、実施例1と同一に製造した。
実施例3
経糸に単糸繊度2.1d、トータル繊度75dのPET/PTT潜在巻縮糸を使用したことを除いては、実施例1と同一に製造した。
実施例4
単糸繊度2.1d、トータル繊度75dのPET/PTT潜在巻縮糸(2)1本と単糸繊度2.5d、トータル繊度90dの放射型複合糸1′(一般PET−易溶性PETであって、分割後の単糸繊度が0.3dである)2本とを用い、オーバーフィード3%、3kgf/cm2の空気圧で交絡を与えて255dの伸縮性空気交絡糸を製造した。
経糸に75dのポリエステル仮撚糸を用い、緯糸に前記のように製造した原糸を用いてレピア織機で朱子織に製織した後、連続式水洗、液流減量及び縮小、熱固定(プリセット)、染色、熱固定(ファイナルセット)、起毛又はバッフィングの順序で染加工を行った。
実施例5
放射型複合糸1′の分割前の単糸繊度が2.5dであり、トータル繊度が120d(分割後の単糸繊度0.3d)であることを除いては、実施例1と同一に製造した。
実施例6
単糸繊度2.1d、トータル繊度75dのPET/PTT潜在巻縮糸(2)1本と直接紡糸によって製造された単糸繊度0.32d、トータル繊度204dの極細糸1本とを用い、オーバーフィード3%、3kgf/cm2の空気圧で交絡を与えて279dの潜在伸縮性空気交絡糸を製造した。
経糸に75dのポリエステル仮撚糸を用い、緯糸に前記のように製造した原糸を用いてレピア織機で朱子織に製織した後、連続式水洗、液流減量及び縮小、熱固定(プリセット)、染色、熱固定(ファイナルセット)の順序で染加工を行った。
実施例7
PET/PTT潜在巻縮糸2のトータル繊度が150dであることを除いては、実施例1と同一に製造した。
実施例8
単糸繊度3.3d、トータル繊度30dのPET/PTT潜在巻縮糸(2)1本と減量前の単糸繊度2.1d、トータル繊度75dの海島型複合糸1(減量後の単糸繊度0.04d)1本とを用い、オーバーフィード3%、3kgf/cm2の空気圧で交絡を与えて105dの潜在伸縮性空気交絡糸を製造した。
経糸に前記のように製造した原糸を用い、緯糸に単糸繊度2.1d、トータル繊度150dのPET/PTT潜在巻縮糸を用いてレピア織機で朱子織に製織した後、連続式水洗、液流減量及び縮小、熱固定(プリセット)、染色、熱固定(ファイナルセット)、起毛又はバッフィングの順序で染加工を行った。
比較例1
経糸に75dのポリエステル仮撚糸を用い、緯糸に単糸繊度2.1d、トータル繊度75dの海島型複合糸と単糸繊度2.5d、トータル繊度30dの高収縮糸との空気交絡糸を用いてレピア織機で朱子織に製織した後、連続式水洗、液流減量及び縮小、熱固定(プリセット)、染色、熱固定(ファイナルセット)の染加工、バッフィング又は起毛を行った。
比較例2
海島型複合糸の代りに単糸繊度2.1d、トータル繊度75dの一般ポリエステル仮撚糸を使用したことを除いては、実施例1と同一に製造した。
比較例3
70dのスパンデックスを芯糸とし、150dのポリエステルを鞘糸とするコア糸を緯糸として使用したことを除いては、実施例1と同一に製造した。
Figure 2005139602
本発明の潜在伸縮性空気交絡糸の構成を示す拡大断面図である。 本発明に使用したPET/PTTの2成分のポリエステル潜在巻縮糸の拡大断面図である。 本発明に使用した海島型複合糸の拡大断面図である。 本発明に使用した放射型複合糸の拡大断面図である。
符号の説明
1 複合糸
2 潜在巻縮糸

Claims (5)

  1. 単糸繊度1〜6d、トータル繊度20〜300dの潜在巻縮糸と単糸繊度0.01〜0.5d、トータル繊度30〜300dの極細糸1本ないし2本とを空気交絡させて製造したことを特徴とする潜在伸縮性空気交絡糸。
  2. 前記潜在巻縮糸が、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の2種のポリマーからなるサイドバイサイド(side-by-side)型の複合糸であることを特徴とする請求項1記載の潜在伸縮性空気交絡糸。
  3. 前記極細糸が、海島型複合糸、放射型複合糸、又は直接紡糸によって製造された極細糸の中から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の潜在伸縮性空気交絡糸。
  4. 潜在巻縮糸の割合が極細糸の重量に対し11重量%以上、67重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の潜在伸縮性空気交絡糸。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の潜在伸縮性空気交絡糸を含んでいる織物であって、伸張率が10〜40%、伸張回復率が80%以上であることを特徴とする伸縮性スエード調織物。
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