JP2014005574A - ポリアミド繊維織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】極細繊維と複合割繊維糸等を用いることなく、緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いおよび絹調のフィブリル外観を有するとともに、布帛強度に優れた衣料用途のポリアミド織編物を提供する。
【解決手段】染色前にベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理液中で80℃〜125℃の温度で加熱処理された後、含水率40%〜150%の湿潤状態でタンブラー加工処理を施された織編物であって、前記織編物はポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30%質量含有し、かつ、前記ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を有するポリアミド繊維織編物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、極細繊維または複合割繊維糸等を用いることなく、ポリアミド繊維の繊維表面の少なくとも一部をフィブリル化することにより、フィブリル風合い、ハリコシ風合いおよび絹調のフィブリル外観を有するとともに、布帛強度に優れた衣料用途に好適なポリアミド繊維織編物に関するものである。
婦人衣料用途の織編物においては、従来からポリエステル繊維とポリアミド繊維の複合割繊維糸、または海島型極細繊維のポリエステル繊維とポリアミド繊維の複合混繊糸などを用いた布帛を、ベンジルアルコールを含有する処理液を用いて加熱処理することにより、ポリアミド繊維を収縮させ、微起毛タッチのフィブリル風合いやハリコシ風合いを達成している。
また、ポリアミド繊維は、ベンジルアルコールを含有する処理液の加熱処理により、強力が低下するため、優れた物理的および機械特性を持つポリエステ繊維との複合と混用により、衣料用途に必要な布帛強度を維持している。しかしながら、ポリアミド繊維のみで構成された布帛においては、微起毛タッチのフィブリル風合い、ハリコシ風合いおよび布帛強度に優れた素材は得られていなかった。
また、微起毛タッチのフィブリル風合いやハリコシ風合いを得るには、複合割繊糸や極細繊維との複合が不可欠であり、そのため原糸コストにより製造コストが高くなり、汎用素材としては使用が困難であった。
このため従来、例えば、ポリアミドと、ポリアミドと親和性のない重合体からなる複合繊維を用い、ベンジルアルコール等のポリアミド膨潤剤で処理し、割繊、分割およびフィブリル化を得る方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、複合繊維を用いなければ上記の課題を達成することができず、かつ、ベンジルアルコール等のポリアミド膨潤剤でポリアミドを収縮、割繊および分割させるのみで、ポリアミド繊維自体のフィブリル化は得られていない。
また、微起毛タッチとハリコシ風合いを兼備した織物の製造方法としては、例えば、海島型ポリエステル繊維とポリアミド繊維を混用した布帛を、ベンジルアルコールで収縮処理する方法が提案されている(特許文献2参照。)。しがしながら、微起毛タッチを得るには、単繊維繊度0.5デニール以下のポリエステル繊維を用いること、ハリコシ感を得るには、ポリアミド繊維のベンジルアルコール処理による収縮が必要であり、ポリアミド繊維自体のフィブリル化による微起毛タッチを得るまでに至っていない。
また、ポリエステル繊維とポリアミド繊維が混用される織物のベンジルアルコール溶液での加熱と収縮処理による高密度化およびソフト風合いの織物を得る製造方法が提案されているが(特許文献3参照。)、いずれも同様に、ポリアミド繊維自体はフィブリル化されておらず、かつ、ポリアミド繊維のみで構成された布帛おいては、微起毛タッチのフィブリル風合い、ハリコシ風合いおよび布帛強度に優れた素材は得られていなかった。また、ポリエステル繊維との混用による繊維間の染着特性の差異により、ポリエステル繊維の染色に使用する分散染料のポリアミド繊維への汚染により、満足できる堅牢度特性を必ずしも得ることができていなかった。
特開平8−120559号公報 特開2004−60065号公報 特許第4599790号公報
上記のように、従来技術では、ポリアミド繊維自体のフィブリル化は得られておらず、ポリアミド繊維自体のフィブリル化による微起毛タッチを得るまでに至っていない。
そこで本発明の目的は、上記の従来技術の背景に鑑み、極細繊維または複合割繊維糸等を用いることなく、ポリアミド繊維の繊維表面の少なくとも一部をフィブリル化することにより、製造コストを抑え、ポリアミド繊維のみからなる織編物においても緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いおよび絹調のフィブリル外観を有するとともに、布帛強度に優れた衣料用途のポリアミド繊維織編物を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであって、本発明のポリアミド繊維織編物は、染色前にベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理液中で80℃〜125℃の温度で加熱処理された後、含水率40%〜150%の湿潤状態でタンブラー加工処理を施された織編物であって、前記織編物はポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30質量%含有し、かつ、前記ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を有することを特徴とするポリアミド繊維織編物である。
本発明のポリアミド繊維織編物の好ましい態様によれば、前記の織物を構成する経糸および/または緯糸が、単繊維繊度が0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成された織物であって、前記織物のカバーファクター(CF)は1600以上4000以下であり、前記織物の経および/または緯の引裂強度)は4.9N以上である。
本発明のポリアミド繊維織編物の好ましい態様によれば、単繊維糸繊度が0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成された編物であって、前記編物は、28ケージ/2.54cm以上36ケージ/2.54cm以下の経編機、または22Gゲージ/2.54cm以上46ゲージ/2.54cm以下の丸編機で編成された編物であり、前記編物の破裂強度は280Kpa以上である。
本発明によれば、衣料用途の織編物、さらに好ましくは婦人衣料素材に要求されるソフトな表面タッチのフィブリル風合いとハリシリ感を兼備し、絹調のフィブリル外観を有するとともに、布帛強度に優れた衣料用途のポリアミド繊維織編物を、製造コストを抑え、ポリアミド繊維のみからなる織編物が得られる。
図1は、本発明の実施例1で得られたポリアミド繊維織物の表面を示す図面代用写真である。 図2は、本発明の実施例4で得られたポリアミド繊維編物の表面を示す図面代用写真である。
本発明のポリアミド繊維織編物は、染色前にベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理液中で80℃〜125℃の温度で加熱処理された後、含水率40%〜150%の湿潤状態でタンブラー加工処理を施された織編物であって、前記織編物はポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30質量%含有し、かつ、前記ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を有するポリアミド繊維織編物である。
図1は、本発明の実施例1で得られたポリアミド繊維織物の表面を示す図面代用写真であり、図2は、本発明の実施例4で得られたポリアミド繊維編物の表面を示す図面代用写真であり、いずれも、ポリアミドフィラメントがフィブリル化している状態が示されている。
本発明のポリアミド繊維織編物は、少なくともポリアミドマルチフィラメントが織編物全体の30質量%を含有し、図1と図2に示されるように、ポリアミドマルチフィラメントの少なくとも一部がフィリブリル化部を有するものである。ポリアミドマルチフィラメントの少なくとも一部がフィブリル化部を有することにより、ソフトな表面タッチのフィブリル風合いが得られる。
図1と2において、白く見える部分がフィブリル化部であり、フィブリル化部は、ポリアミドフィラメントの繊維表面に毛羽を有し、一部の単繊維表面がささくれ状に剥離、割繊している。本発明において、繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を有するとは、換言すれば、織編物の表面を構成するポリアミド単繊維の一部がフィブリル化部を有するということになる。
また、本発明のポリアミド繊維織編物は、ポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30質量%含有している。
ポリアミド繊維織編物全体に占めるポリアミドマルチフィラメントが30質量%未満では、本発明の効果であるハリコシ風合いならびに緻密感のあるソフトな表面タッチが不十分となる。ポリアミド繊維織編物におけるポリアミドマルチフィラメントの占める割合は、100質量%までの範囲で選択される。
本発明のポリアミド繊維織編物は、ポリアミドマルチフィラメント以外に、他の繊維を含有することができる。他の繊維としては、ポリスステルフィラメント、スパン糸の合成繊維、レーヨンフィラメントやスパン糸の半合成繊維、麻および綿等の天然繊維等が挙げられる。他の繊維の含有形態としては、混繊、合撚、交編および交織が挙げられる。
本発明のポリアミド繊維織編物を構成するポリアミドマルチフィラメントは、その単繊維繊度が好ましくは0.5デシテックス〜5.0デシテックスであり、より好ましくは0.5デシテックス〜3.5デシテックス以下である。また、本発明のポリアミド繊維織編物を構成するポリアミドマルチフィラメントの総繊度は、好ましくは15デシテックス〜150デシテックスであり、より好ましくは22デシテックス〜78デシテックスである。
単繊維繊度が0.5デシテックス未満では、フィブリル化タッチは得られるが布帛強度が低下したり、ハリコシ感が不十分となる傾向がある。また、単繊維繊度が5.0デシテックスを超えると、ハリコシ感とソフトな表面タッチ感が得られるものの、織編物全体の風合いが硬くなる傾向を示す。また、総繊度が15デシテックス未満では、布帛強度において問題なることがあり、総繊度が150デシテックスを超えると織編物全体の風合いが硬くなり婦人衣料用途としては適さないことがある。
マルチフィラメントのフィラメント数は、好ましくは5〜150本であり、より好ましくは5〜100本まである。フィラメント数が150本を超えると、良好なフィブリル風合いは得られるものの、ハリコシ感が不足し、実用上、求められる布帛強度を維持出来なくなる傾向を示す。
また、本発明で用いられるマルチフィラメントは、無撚り状態で用いることができるが、本発明の特長である風合いを阻害しない範囲であれば、マルチフィラメントに撚糸を実施しても良い。撚数は、好ましくは200T/mから2500T/mであり、より好ましくは300T/m〜2000T/mである。撚数が2500T/mを超えると、シャリ感が強くなりすぎ、本発明の特長であるフィブリル風合いが阻害されることがある。
本発明で用いられるポリアミドマルチフィラメントは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610およびナイロン56等からなるマルチフィラメントを用いることができ、特にナイロン6とナイロン66からなるマルチフィラメントが好ましく用いられる。
また、ポリアミドマルチフィラメントの形態は、延伸糸、仮撚り加工糸、ポリウレタン弾性繊維とのカバーリング糸、およびポリアミド繊維同士の混繊加工糸などが挙げられる。また、必要に応じて、他の合成繊維、半合成繊維、天然繊維および/または混繊、合撚されたものと交織もしくは交編してもなんら問題はない。
本発明のポリアミド繊維織物は、少なくとも経糸およびまたは緯糸が、好ましくは単繊維繊度が0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が好ましくは15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成され、そしてポリアミドマルチフィラメントで構成される織物の経およびまたは緯の引裂強度は4.9N以上であることが好ましく、より好ましくは6.8N以上である。引裂強度が4.9N未満では、実着用における織物の強度不足なり問題となることがある。
また、引裂強度が15N以上では、実用上、強度的に問題はないが、本発明の効果であるポリアミドマルチフィラメントの少なくとも一部がフィブリル化部を有することにより得られる緻密感のあるソフトな表面タッチが得難くなる。
また、本発明のポリアミド繊維織物のカバーファクターは、好ましくは1600以上4000以下であり、より好ましくは1800以上3600以下である。
カバーファクターが1600未満では、緻密感のあるフィブリル風合いが十分に得られなく、カバーファクターが4000を超えると風合いが硬くなり、また布帛としての引裂強度が維持できなくなることがある。
本発明のポリアミド繊維織物の織物組織としては、平組織、綾組織、サテン組織およびリップル組織等が挙げられる。
本発明のポリアミド繊維織物の経糸密度は、好ましくは90〜260本/2.54cmであり、経糸密度は、好ましくは60〜190本/2.54cmである。
本発明のポリアミド繊維編物は、少なくとも単繊維繊度が好ましくは0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が好ましくは15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成された編物であって、その編物は、好ましくは28ゲージ/2.54cm以上36ゲージ/2.54cm以下、より好ましくは、28ゲージ/2.54cm以上32ゲージ/2.54cm以下の経編機、または好ましくは22Gゲージ/2.54cm以上46ゲージ/2.54cm以下、より好ましくは22ゲージ/2.54cm以上36ゲージ/2.54cm以下の丸編機で編成された編物であり、破裂強度が280Kpa以上であることが好ましい。
経編地においては、28ケージ/2.54cm以上36ケージ/2.54cm以下の経編機で編成された編地であることが好ましい。28ゲージ/2.54cm未満の経編機では、緻密感とハリコシ感が不足した編地となり、一方、36ゲージ/2.54cmを超えると、風合いが硬くなり、また、生地の伸縮性が不足となり、破裂強度が低下する傾向となる。
また、丸編地においては、22ゲージ/2.54cm以上42ゲージ/2.54cm以下の丸編機で編成された編地であることが好ましい、経編地同様に、22ゲージ/2.54cm未満の丸編機では、緻密感とハリコシ感が不足した編地となり、一方、46ゲージ/2.54cmを超えると、風合いが硬くなり、また、生地の伸縮性が不足となる編地となる傾向がある。
本発明のポリアミド繊維編物の編物組織としては、ハーフ組織やデンビー組織等の経編地、および、ポンチ組織、モックロディ組織、天竺組織やフライス組織等の丸編地が挙げられる。
本発明のポリアミド繊維織編物の製造に当たっては、ポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30質量%含み製織または編成された生機を、染色される前に、ベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理液中で80℃〜125℃の温度で加熱処理し、次いで、含水率40%〜150%の湿潤状態でタンブラー加工処理を施すことが重要である。
製織または編成された生機を直接、ベンジルアルコールを含有する処理液中で処理を施しても何ら問題なく、織編物の通常工程である精練、リラックス、乾燥および乾熱セットを行った後、ベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理を施してもよい。本発明の効果であるソフトな表面タッチのフィブリル風合いとハリシリ感をより得るには、乾熱セット前、さらに好ましくは生機から処理されることがより好ましい態様である。
ベンジルアルコールを含有する処理液のベンジルアルコールの濃度は、より好ましくは3%〜8%である。濃度が3%未満では、ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を得難く、一方、濃度が10%を超えると、布帛強度が維持できなくなる。
ベンジルアルコールを含有する処理液の温度は、より好ましくは90℃〜110℃である。処理温度が80℃未満の処理では、次いで実施されるタンブラー処理で十分なフィブリル化部を得難くなり、処理温度が125℃を超えると布帛強度が維持できなくなる。
また、ベンジルアルコールを含有する処理液中の処理設備は、液流染色機、または気流(ミスト)染色機、ウインス型染色機のバッチ式で染色設備を用いることが好ましい。
含水率40%以上〜150%以下の湿潤状態を得るには、布帛が均一な湿潤状態が得られるマングル処理を実施することが好ましい。
湿潤状態でタンブラー処理することにより、ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面にフィブリル化部が得られる。より好ましい含水率は、80%〜130%である。乾燥状態、または、布帛の含水率が40%未満では十分なフィブリル化部を得られない。また、含水率が150%を超えると、フィブリル化は得易いものの、タンブラー処理時に布帛の長さ方向にフィブリル化斑が発生し易く、外観が不均一となる。また、タンブラー加工機に布帛を投入する際に作業性が低下し好ましくない。
本発明で用いられるタンブラー加工とは、布帛を揉み、叩きによるリラックス処理、風合加工が可能な設備を用いた揉布処理である。具体的には、バッチ式で布帛をロープ状または拡布状態で高風速エアーで処理されるエアタンブラー加工、および連続的に拡布状で高風速エアーで処理される風合い加工である。好ましくは、高風速エアーで布帛を循環、搬送し揉み、叩きによる処理しながら、衝突板に当てて、高風速と衝撃による処理さることが好ましい。
より好ましくは、布帛の外観品位面でフィブリル化斑がなく、処理可能なバッチ式でロープ状処理が可能なエアタンブラー加工である。処理温度は、好ましくは60℃〜120℃であり、より好ましく80℃〜110℃である。処理時間は、好ましくは20分〜120分であり、より好ましく30分〜60分の処理時間である。処理温度が60℃未満では、ポリアミド繊維表面のフィブリル化は得られるものの、処理時間が長くなり過ぎ、生産効率に劣る傾向がある。また、処理温度が120℃を超えると、ポリアミド繊維が熱により劣化し易くなり、布帛の強度低下につながることがある。
タンブラー処理後の染色、乾燥、乾熱セットの条件、および設備については、一般に適用される公知の方法が適用される。さらに必要に応じて、本発明の目的を達成する範囲内で、柔軟、撥水、防汚、抗菌、制電、および透湿防水加工等の仕上樹脂加工などを施してもよい。
本発明のポリアミド繊維織編物は、婦人衣料用途のコート、ジャケット、スカート、ワンピース、ドレス、ブラウスおよびパンツ、スポーツ衣料用途のダウンジャケットおよびジャケットなどに好適に用いられる。
次に、実施例により本発明のポリアミド繊維織編物について詳細に説明する。実施例、比較例に示す各特性値は、下記の方法により測定したものである。各特性値は、3点測定し、その平均で評価をした。
(1)織物のカバーファクター(CF値):
染色し、仕上げた織物を通常の密度計を用いて経、緯密度(本/2.54cm)をそれぞれ測定し、下記式1)で算出した。
・CF値=経密度×(経糸総繊度)1/2+緯密度×(緯糸総繊度)1/2 ・・・(1)
(2)織物の引裂強度:
JIS L 1096(2010年)に規定されるD法(ペンジュラム法)を用いて測定した。
(3)編物の破裂強度:
JIS L−1096(2010年)に規定されるにA法(ミューレン法)を用いて測定した。
(4)風合い:
風合いは、5人の風合い判定者で次の官能判定し、○を合格した。
○:ハリコシ感があり緻密感のあるフィブリル風合いで良好、
△:ハリコシ感はあるが、緻密感あるフィブリル風合いは不十分、フィブリルタッチはあるが、緻密感とハリコシ感が不十分、または、風合いが硬粗、
×:フィブリルタッチ、緻密感およびハリコシ感なく不良。
(5)外観品位:
外観品位は、生地検反機上で次の目視判定し、○を合格した。
○:生地全体に斑がなく良好、
△:生地の一部に僅かに目立つ斑があるが、気にならない程度、
×:生地に目立つ斑があり不良。
(実施例1)
経糸に、総繊度が17デシテックスで5フィラメントの無撚りのポリアミドマルチフィラメント(単繊維繊度:3.4デシテックス)を用い、緯糸に、総繊度が33デシテックスで26フィラメントの無撚りのポリアミドマルチフィラメント(単繊維繊度:1.3デシテックス)を用いて、経糸密度が190本/2.54cmで、緯糸密度が160本/2.54cmの平組織の織物を製織した。
次いで、得られた織物を、ベンジルアルコールを8%含有する100℃の温度の処理液中で、45分間加熱処理した後、マングルで含水率が92%になるようにニップ処理し、タンブラー加工を施した。タンブラー加工は、織物をロープ状で、高風速エアーで揉み処理するエアタンブラー加工機を用い、処理温度100℃、処理時間45分で実施した。これを180℃の温度で乾熱セットした後、酸性染料を用いて液流染色機で染色し、仕上げし、経糸密度が210本/2.54cm、緯糸密度が180本/2.54cm、CF値が1900の織物を得た。得られた織物は、経糸と緯糸に用いたポリアミド繊維表面の一部がフィブリル化しており、緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いに優れたものであった。得られた織物のポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の一部がフィブリル化部を有していた。その結果を、図1に示す。経糸、緯糸を用いたポリアミドフィラメントの表面に毛羽を有し、一部の単繊維表面がささくれ状に剥離、割繊しフィブリル化が得られていた。また、引裂強度も経が5.2Nで、緯が6.8Nであり、実用上問題のない織物の強度であった。
(実施例2)
経糸に、総繊度が78デシテックスで52フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.5デシテックス)を用い、緯糸に、総繊度が56デシテックスで24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:2.3デシテックス)を用いて、経糸密度が192本/2.54cmで、緯糸密度が126本/2.54cmの綾組織の織物を製織した。
次いで、得られた織物を、マングルで含水率が86%になるように調整したこと以外は、実施例1と同様の処理を行い、仕上げを行った。得られた織物の経糸密度は255本/2.54cmで、緯糸密度は170本/2.54cmであり、CF値は3524であった。得られた織物の経糸に用いたポリアミド繊維表面の一部がフィブリル化しており、風合いは緻密感のあり、ハリコシ感のあるフィブリル風合いで優れるものであった。また、引裂強度も経が12.7Nで、緯が20.6Nであり、実用上問題のない織物の強度であった。
(実施例3)
経糸と緯糸に、総繊度が33デシテックスで34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.0デシテックス)を用いて、経糸密度が180本/2.54cmで、緯糸密度が128本/2.54cmの平組織の織物を製織した。
次いで、得られた織物を、ベンジルアルコールを5%含有する110℃の温度の処理液中で、45分間加熱処理した後、マングルで含水率が140%になるようにニップ処理し、タンブラー加工を施した。それ以外は、実施例1と同様に乾熱セット、染色および仕上げを行い、経糸密度215本/2.54cm、緯糸密度148本/2.54cmで、CF値2085の織物を得た。得られた織物は、経糸と緯糸に用いたポリアミドマルチフィラメント加工糸の繊維表面の一部がフィブリル化しており、緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いに優れたものであった。また、引裂強度も経が9.9Nで、緯が8.9Nであり、実用上問題のない織物の強度であった。
(実施例4)
総繊度が50デシテックスで40フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.3デシテックス)と、総繊度が78デシテックスで24フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:3.3デシテックス)と、総繊度が44デシテックスのポリウレタン繊維からなる無撚りのカバーリング糸を用い、22ゲージ/2.54cmのダブル丸編機を用いて、ポンチ組織の生機を編成した。
次いで、得られた編物を、精錬、リラックスおよび乾熱セットを施した後、ベンジルアルコールを8%含有する100℃の温度の処理液中で、45分間加熱処理し、マングルで含水率が75%になるようにニップ処理し、タンブラー加工を施した。次いで、酸性染料を用い液流染色機で染色し、仕上げを行った。得られた丸編地は、ポリアミドマルチフィラメント加工糸の繊維表面の一部がフィブリル化部を有しており、緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いに優れたものであった。得られた丸編地のポリアミド繊維表面の一部がフィブリル化した図面を図2に示す。また、破裂強度も380kpaであり、実用上、問題のない編物の強度であった。
(実施例5)
総繊度が78デシテックスで52フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.5デシテックス)と、総繊度が44デシテックスのポリウレタン繊維を用い、28ゲージ/2.54cmのトリコット編機を用いてハーフ組織の生機を編成した。得られたトリコット編地を、マングルで含水率が90%になるように調整したこと以外は、実施例4と同様の処理を行い、仕上げを行った。得られたトリコット編地は、ポリアミドマルチフィラメント加工糸の繊維表面の一部がフィブリル化しており、緻密感のあるフィブリル風合い、ハリコシ風合いに優れたものであった。また、破裂強度も353kpaであり、実用上、問題のない編物の強度であった。
実施例で得られた織編物の評価結果を、表1と表2に示す。
(比較例1)
実施例1で得られた生機を用い、乾燥状態でタンブラー処理を実施したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた織物は、緻密感とハリコシ感は得られるものの、ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面には、フィブリル化が得られておらず、フィブリル風合いのないものであった。
(比較例2)
実施例2で得られた生機を用い、マングルで含水率を200%に調整したこと以外は、実施例2と同様に実施した。得られた織物は、得られた織物の経糸に用いたポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の一部がフィブリル化しており、風合いは緻密感のあり、ハリコシ感のあるフィブリル風合いに優れるものであったが、得られた織物の全体品位は斑状にフィブリル化しており、外観が不均一となり、実用上、使用できる品位ではないものであった。
(比較例3)
経糸に、総繊度が84デシテックスで72フィラメントのポリエステルマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.2デシテックス)を用い、緯糸に、総繊度が84デシテックスで24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:3.5デシテックス)と、総繊度が78デシテックスで52フィラメントのポリアミドマルチフィラメント加工糸(単繊維繊度:1.5デシテックス)を配列で用い、経糸密度が192本/2.54cm、緯糸密度が110本/2.54cmで、ポリエステルマルチフィラメント加工糸74質量%、ポリアミドマルチフィラメント加工糸26質量%の綾組織の織物を製織した。
次いで、得られた織物を実施例2と同様に実施した。得られた織物の経糸密度は250本/2.54cmであり、緯糸密度は132本/2.54cmでCF値は3971であった。得られた織物のポリアミド繊維表面の一部はフィブリル化が得られているものの、ハリコシ風合い、緻密感のあるソフトな表面タッチが不十分なものであった。
(比較例4)
16ゲーシ/2.54cmのダブル丸編機を用いたこと以外は、実施例4と同様に実施した。得られた丸編地は、ポリアミドマルチフィラメント加工糸の繊維表面の一部にフィブリル化が得られ、フィブリル風合いがあるものの、緻密感とハリコシ感が不十分なものであった。
比較例で得られた織編物の評価結果を、表3と表4に示す。

Claims (3)

  1. 染色前にベンジルアルコールを3%〜10%含有する処理液中で80℃〜125℃の温度で加熱処理された後、含水率40%〜150%の湿潤状態でタンブラー加工処理を施された織編物であって、前記織編物はポリアミドマルチフィラメントを少なくとも30質量%含有し、かつ、前記ポリアミドマルチフィラメントの繊維表面の少なくとも一部がフィブリル化部を有することを特徴とするポリアミド繊維織編物。
  2. 経糸および/または緯糸が、単繊維繊度が0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成された織物であって、前記織物のカバーファクター(CF)が1600以上4000以下であり、前記織物の経および/または緯の引裂強度が4.9N以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド繊維織物。
  3. 単繊維繊度が0.5デシテックス〜5.0デシテックスで、総繊度が15デシテックス〜150デシテックスのポリアミドマルチフィラメントで構成された編物であって、前記編物は、28ケージ/2.54cm以上36ケージ/2.54cm以下の経編機、または22Gゲージ/2.54cm以上46ゲージ/2.54cm以下の丸編機で編成された編物であり、前記編物の破裂強度が280Kpa以上であることを特徴する請求項1記載のポリアミド繊維編物。
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