JP7050705B2 - 耐摩耗性に優れる衣料用編地 - Google Patents
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Description
(1)編地の完全組織において表面を形成するニットループのうち、個数割合で30%以上のループが撚係数K=15581~21000の実撚を持つ仮撚加工糸からなり、表面のコース密度が40~80個/2.54cm、ウエール密度が35~70個/2.54cmであり、JIS-L1096のマーチンデール法における摩耗耐久性が4万回以上であり、JIS L1013の引張試験において初期荷重0.02mN×表示デシテックスで測定した編クリンプも含めた伸び率が45~150%である捲縮弾性糸が、編地全体に対して10~65質量%含まれることを特徴とする衣料用編地。
(2)編地の完全組織の表面を形成するニットループを形成する糸の全てが単糸繊度1.5~4.5dtexであることを特徴とする(1)に記載の衣料用編地。
(3)完全組織がニットループとウエルトのみからなり、表面を構成する隣り合う1対の糸で表面を編立てる針全てに一つ毎のニットループを形成していることを特徴とする(1)または(2)に記載の衣料用編地。
(4)少なくとも編地の表面側を構成する糸が撥水加工されていることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の衣料用編地。
(5)厚みが0.35~1.3mmであり、目付が150~300g/m2であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の衣料用編地。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の編地を用いたアウター衣料であって、ユニフォームシャツ、体操服、ジャケット、ブレザー、ユニフォーム外衣、学生服、詰襟服、又はスラックスであることを特徴とするアウター衣料。
K=T×D1/2
(ただし、K:撚係数、T:撚回数(回/m)、D:繊度(dtex)である)
適度なテンション調整装置を有するラップリール(周長1.125m)を用い、1/10(g/d)の荷重をかけて8巻きの綛を作る。これをフックにかけ、100℃の熱水中に無荷重の状態で5分間浸漬し、この試料を熱水中より取り出し湿潤状態のまま(2/10)×8×2×表示デニールのg数の荷重をかけ、1分後の長さaを測定する。次に、荷重を取り除き、無荷重の状態でフックにかけたまま60±2℃の乾燥機で30分間乾燥し、標準状態の試験室に1時間以上放置し、次に(2/1000)×8×2×表示デニールのg数の初荷重をかけ、1分後の長さbを測る。下記の式により、上記のa、bを用いて捲縮伸長率を算出する。試験回数は2回以上とし、その平均値で表わす(小数点以下1桁まで)。
捲縮伸長率(%)=(a-b/a)×100
仮撚加工糸の応力-伸長率曲線を、以下の方法・条件で測定する。
仮撚加工糸を沸騰水で30分間処理した後、乾燥する。JIS-L-1013(引張試験法)に準じて、Full応力が0.882cN/デシテックスまでの応力-伸長率曲線を描く。上記の方法・条件で測定して得た応力-伸長率曲線上で、捲縮が伸ばされる過程(初期)の曲線の接線と、繊維自体が伸ばされる過程の曲線の接線との交点を求める。この交点に対応する伸度を最大捲縮伸度とする。
JIS-L1096 8.6.2の編物の密度に準拠して編地のコース密度(個/2.54cm)、ウェール密度(個/2.54cm)を測定した。目視で測定する際、コース方向又はウエール方向に組織図上で最もニットループが多いところを選んで、そのニットループ数を測定して編地密度とした。
JIS-L1096 8.3.2A法の標準状態における単位面積当たりの質量に準拠して編地の目付を測定した。
JIS-L1096 8.4A法の厚さに準拠して編地の厚みを測定した。測定条件の一定圧力は23.5kPaで行った。
JIS-L-1096 8.26.1に規定されている通気度(フラジール形法 A法)に準拠して編地の通気度を測定した。
編地から取り出した捲縮弾性糸が、編クリンプが延ばされ、仮撚捲縮が延ばされ、そして繊維が延ばされて破断するまでの伸び率を以下のように測定する。編地から捲縮弾性糸にできる限り張力を掛けないように丁寧に取り出す。取り出した捲縮弾性糸はJIS-L-1013 8.5.1(引張試験法)に準じて伸び率を測定する。但し、測定条件は、初期荷重は0.02mN×表示デシテックス、引っ張り速度25cm/min、つかみ間隔:25cm、20℃、65%HRの環境にて行った。n=20で測定して、破断に至る応力-伸長率曲線の形状が異常なものを除外してn=10~15の平均値を採用する。
JIS L1096のマーチンデール法に準じて耐摩耗性を測定した。4万回以上の耐久性を持つものを合格とする。
JIS L1096B-1法(定荷重伸長法、荷重14.7N)に準じてタテ、ヨコの伸長率を測定した。
生地をジャケットになるように縫製した後、中肉中背の30才男性が着用して、両手を横に拡げて、背骨を軸に両手/両肩を水平に回旋したときの動きやすさ(動きに対する生地の抵抗)を感覚値として、動きやすい:○>△>×:動きにくいの順で三段階評価を行った。
酸化チタン微粒子を0.5重量%練りこんだ(SD)丸断面のポリエチレンテレフタレート繊維である84dtex(T)、36フィラメント(f)のフリクション仮撚加工糸(単糸繊度2.33dtex、Z仮撚)をダブルツイスターを用いて追撚し、仮撚追撚糸1を作製した。追撚条件としては、同じ撚方向のZ撚で撚数1700回(T)/m施した。また、同様にして同じZ方向で、2200T/mの仮撚追撚糸2、1200T/mの仮撚追撚糸3を作製した。
108T24fのポリブチレンテレフタレート半延伸糸(POY)を三軸摩擦型ディスク式仮撚装置を用いて、延伸倍率を1.29倍、延伸速度を820m/分として、ディスク回転数を7000rpmとして仮撚加工(Z撚方向)を行い、84T24fのポリブチレンテレフタレート(PBT)の捲縮弾性糸1を得た。同様にして108T24fのポリトリエチレンテレフタレートのPOYを延伸仮撚して、84T24fのポリトリエチレンテレフタレート(PTT)の捲縮弾性糸2を得た。
30インチ、36ゲージのダブル丸編機(福原精機製作所製、V-4AL)を用いて、リブゲージングで図1に示す完全組織F1~F12からなるモックロディ柄の生機を製編した。その際、表裏両面を構成する糸として給糸口F1、F4、F7、F10には仮撚追撚糸1を用いた。裏糸になるF2,F5,F8,F11には酸化チタン微粒子を0.5重量%練りこんだ丸断面のポリエチレンテレフタレート繊維(SD)である84T72fのフリクション仮撚加工糸(捲縮伸長率25.3%)を用いた。そして、表面を構成する糸としてF3、F6、F9、F12にはPBTの捲縮弾性糸1を用いた。各フィーダーの糸長は、F1、F4を280mm/100Wとし、F2、F5、F8、F11の糸長を140mm/100Wとし、F3、F6の糸長を105mm/100Wとし、F7、F9、F10,F12の糸長を188mm/100Wとした。
精練処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて里田加工 ノニゾールN 1g/l、日華化学 ネオクリスタル CG1000 0.5g/l、ソーダ灰0.5g/l、浴比1:15、95℃×30分。
染色処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプ、浴比1:15 130℃×45分で酢酸0.2g/l pH=4、明成化学 ディスパーN 700 0.5g/l、日華化学 ネオクリスタル GC1000 0.5g/l、分散染料Kayalon Polyester Blue BD-S conc 2.0%owf で染色後、遠心脱水、乾燥(120℃×3分)を行ない、以下の条件で仕上げ剤を付与した。仕上げ剤のピックアップは70%であった。
アサヒガード AG-082(明成化学工業製 撥水加工剤)2% ows(on the weight of solution)
その後、最終セットをピンテンター160℃×2分の条件で行ない、性量調整し、最終生地を得た。仕上げでは縦に若干引っ張って仕上げた。仕上がった編地の密度はコース密度54個/2.54cm、ウェール密度46個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
実施例1において、仮撚追撚糸1(追撚数1700T/m)を仮撚追撚糸2(追撚数2200T/m)に変更した以外は実施例1と同様に編み立てて、染色加工を行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
実施例1において、仮撚追撚糸1(追撚数1700T/m)を仮撚追撚糸3(追撚数1200T/m)に変更した以外は実施例1と同様に編み立てて、染色加工を行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
実施例1の生機においてF3、F6、F9、F12にPBTの捲縮弾性糸1の代わりに、PTTの捲縮弾性糸2を用いた以外は実施例1と同様にして生機を作製し、更に染色加工を行って仕上げを行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
33インチ、36ゲージのダブル丸編機(福原精機製作所製、LPJ)を用いて、リブゲージングで図2に示す完全組織F1~F12からなるツイル柄の生機を製編した。その際、表裏両面を構成する糸として給糸口F1、F4、F7、F10には捲縮弾性糸1を用いた。裏糸になるF2,F5,F8,F11には酸化チタン微粒子を0.5重量%練りこんだ丸断面のポリエチレンテレフタレート繊維(SD)である84T48fのピン仮撚加工糸(単糸繊度1.75dtex、捲縮伸長率30.5%)を用いた。表面を構成する糸としてF3、F6、F9、F12には仮撚追撚糸1を用いた。各フィーダーの糸長は、F1、F4、F7、F10を240mm/100Wとし、F3、F6、F9、F12の糸長を150mm/100Wとし、F2、F5、F8、F11の糸長を130mm/100Wとした。実施例1に準じた工程で染色加工を行い、その後同様の仕上げを行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
実施例5において、給糸口F1、F4、F7、F10にはPBTの捲縮弾性糸1の代わりに裏糸と同じ84T48fのピン仮撚加工糸(単糸繊度1.75dtex、捲縮伸長率30.5%)を用いた以外は実施例5と同様に仕上げた。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
30インチ,40ゲージのシングル丸編機(福原精機製作所製3FA)を用いて図3に示す完全組織F1~F4からなるウエルトニットの生機を製編した。その際、給糸口F1,F3に仮撚追撚糸1を用いた。また、給糸口F2,F4にはPBTの捲縮弾性糸1を用いた。F1~F4の糸長は145cm/inchとした。この生機を染色せずオフ白で仕上げた。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
実施例1において、給糸口F1、F4、F7,F10の仮撚追撚糸1の代わりに、追撚する前の84T36fのフリクション仮撚加工糸を用いた以外は実施例1と同様にして編み立て、染色加工を行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
仮撚追撚糸の追撚前の元糸として84T36fの仮撚加工糸の代わりに、SD丸断面のポリエチレンテレフタレート繊維である84T72fのフリクション仮撚加工糸(1.16dpf、捲縮伸長率25.3%)を用いた。この糸を仮撚追撚糸1と同様に追撚を行った糸を給糸口F1、F7に用いた。また、給糸口F4、F10には裏糸と同じ84T72fのフリクション仮撚加工糸を用いた。これ以外は実施例1と同様にして編み立て、染色加工を行った。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
オーストラリア産メリノ種の羊毛50重量%、単糸繊度2.0dtex、54mmカットのポリエステル短繊維50重量%を混綿して、カード、練条、粗紡、精紡工程を通して1/52番手(メートル番手)の紡績糸を作製した。この紡績糸を経緯に用いて図4に示す織組織のサージ(2/2ツイル)を作製した。この生機を一般的な羊毛混用織物の一般的な工程条件で整理加工した。染色については、羊毛保護剤を併用して染色温度を120℃として羊毛の損傷を抑える以外は実施例1と同様に行ってポリエステルを染色した。この織物は目付250g/m2、経密度62本/2.54cm、緯密度56本/2.54cmであった。出来上がった織物の詳細と評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- 編地の完全組織において表面を形成するニットループのうち、個数割合で30%以上のループが撚係数K=15581~21000の実撚を持つ仮撚加工糸からなり、表面のコース密度が40~80個/2.54cm、ウエール密度が35~70個/2.54cmであり、JIS-L1096のマーチンデール法における摩耗耐久性が4万回以上であり、JIS L1013の引張試験において初期荷重0.02mN×表示デシテックスで測定した編クリンプも含めた伸び率が45~150%である捲縮弾性糸が、編地全体に対して10~65質量%含まれることを特徴とする衣料用編地。
- 編地の完全組織の表面を形成するニットループを形成する糸の全てが単糸繊度1.5~4.5dtexであることを特徴とする請求項1に記載の衣料用編地。
- 完全組織がニットループとウエルトのみからなり、表面を構成する隣り合う1対の糸で表面を編立てる針全てに一つ毎のニットループを形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の衣料用編地。
- 少なくとも編地の表面側を構成する糸が撥水加工されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の衣料用編地。
- 厚みが0.35~1.3mmであり、目付が150~300g/m2であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の衣料用編地。
- 請求項1~5のいずれかに記載の編地を用いたアウター衣料であって、ユニフォームシャツ、体操服、ジャケット、ブレザー、ユニフォーム外衣、学生服、詰襟服、又はスラックスであることを特徴とするアウター衣料。
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