JP2015132043A - 繊維布帛の製造方法及び繊維布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】特別に太い糸を用いたり、織成や編成の段階にて負荷の大きな高密度のものを製造したりしなくとも、また、硬仕上げ樹脂加工を行わなくとも、硬い風合いの繊維布帛を提供する。【解決手段】本発明に係る繊維布帛の製造方法は、ナイロン繊維のみからなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理する繊維布帛の製造方法であって、前記布帛は、タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に6−ナイロンからなる235デシテックス以上の糸を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、硬い風合いを有する繊維布帛の製造方法に関するものである。
ナイロンやポリエステルなどを用いた繊維布帛は、絹のような風合いが求められており、柔らかくするために種々の工夫がなされている。その一つとして、例えば、繊維布帛を構成する繊維一本の太さを細くする方法が挙げられる。繊維を細くする方法としては、紡糸の段階で、細い繊維を直接曳く方法、あるいは、ナイロンとポリエステルとを複合した複合糸を紡糸し、後でアルカリを用いて、ポリエステル成分を溶解除去する方法などがある。また、ナイロンを膨潤させるベンジルアルコールなどの膨潤剤を用いて、ナイロンを膨潤させて複合糸を割繊する方法もある(特許文献1)。このような方法によって、細い繊維を製造し、柔軟な繊維布帛を得ることが行われている。
しかしながら、近年、消費者の志向が変化し、硬めの風合いを有する繊維布帛が求められるようになってきている。そこで、太い糸を用い、かつ、高密度の織物などを製造することが行われている。
しかしながら、特別に太い糸を製造することは、糸の製造に使用される樹脂量が増加し、また1ロットあたりの生産量も少なく、紡糸や糸の製造コストが上昇してしまうという問題がある。また、高密度の織物を織ることも生産性が低下し、好ましくない。
他方、メラミン樹脂などの硬仕上用樹脂を用い、汎用的な繊維布帛に付与することも行われてはいるが、樹脂を用いたものでは、樹脂特有の風合いがあらわれたり、洗濯や摩耗により樹脂が剥がれたりするため耐久性が十分ではない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、特別に太い糸を用いたり、織成や編成の段階にて負荷の大きな高密度のものを製造したりしなくとも、また、硬仕上げ樹脂加工を行わなくとも、硬い風合いの繊維布帛を得ることのできる繊維布帛の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来、ナイロンとポリエステルとの複合繊維を用いたものに対して、柔らかい布帛を製造するために用いられていたベンジルアルコールを含む処理液を用いて、ポリエステル繊維を含まないナイロン繊維からなる布帛を処理することにより、硬い風合いを有する繊維布帛が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明に係る繊維布帛の製造方法は、ナイロン繊維のみからなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理する繊維布帛の製造方法であって、前記布帛は、タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に6−ナイロンからなる235デシテックス以上の糸を含むものである。
さらに、本発明に係る繊維布帛の製造方法において、前記処理液での処理は、JIS L1096に規定される45°カンチレバー法に準じて前記繊維布帛の剛軟度を測定したときにおいて、前記繊維布帛におけるタテ方向及びヨコ方向の少なくとも一方の剛軟度が100mm以上となるように行われることが好ましい。
さらに、本発明に係る繊維布帛の製造方法において、前記ベンジルアルコールを含む処理液での処理が80℃以上であるとよい。
また、本発明に係る繊維布帛は、ナイロン繊維のみからなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理することにより得られる繊維布帛であって、前記布帛は、タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に6−ナイロンからなる235デシテックス以上の糸を含み、前記処理液で処理することによって得られる前記繊維布帛におけるタテ方向及びヨコ方向の少なくとも一方の剛軟度が、JIS L1096に規定される45°カンチレバー法に準じて測定したときに、100mm以上である。
さらに、本発明に係る繊維布帛において、前記ベンジルアルコールを含む処理液での処理が80℃以上であるとよい。
また、本発明に係る繊維布帛は、衣服として用いることができる。あるいは、本発明に係る繊維布帛は、収納具として用いることができる。
本発明に係る繊維布帛の製造方法によれば、硬い風合いの繊維布帛が得られる。従って、芯材等を用いなくとも形状を保持することができるので、意匠性に優れ、ニーズに適した繊維製品を得ることができる。
また、本発明に係る繊維布帛の製造方法では、汎用的な太さの糸を用いることができ、特別に高密度の織物や編物を織製したり編製したりすることなく風合いの硬い繊維布帛が得られる。従って、糸の製造や織編物を製造する段階での製造コストも低減することができる。
以下、本発明に係る繊維布帛の製造方法及び繊維布帛について、実施の形態に基づいて説明する。
本発明は、主にナイロン繊維からなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理することにより、硬い風合いを有する繊維布帛を得るものである。
本発明におけるナイロン繊維は、公知のナイロン繊維を用いることができ、例えば、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6.6、ナイロン6.10、あるいは、これらの共重合ポリアミドなどが挙げられる。中でも、ナイロン6、ナイロン6.6が染色性や強度などの繊維特性及びコストの観点より好ましい。
なお、ナイロン繊維の太さも特に限定されるものではなく、単繊維の太さでナノファイバーといわれる0.0001デシテックスから500デシテックス程度のものが挙げられる。また、ナイロン繊維は、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよく、あるいは、ステープルであってもよい。
また、糸(糸条)の太さは0.0001デシテックスから1000デシテックス程度のものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
低コストで汎用的な糸を用いかつ加工性がよいとの観点からは、単繊維の太さが0.1〜10デシテックス、糸条の太さが10デシテックス〜500デシテックスのナイロン繊維を用いることが好ましい。
さらに、ナイロン繊維は、生糸であっても、また、仮ヨリや撚糸、タスラン加工などが施こされた加工糸であってもよい。
本発明におけるナイロン繊維からなる布帛は、ナイロン繊維を主とするものである。すなわち、ナイロン繊維からなる布帛には、硬い風合いの布帛を得るとの本発明の目的を脱しない範囲で他の繊維を併用してもよいが、硬い風合いの布帛を得るとの観点からは、ポリエステル繊維等の他の繊維は含まずナイロン繊維のみからなる布帛を用いることが好ましい。
なお、従来のようなポリエステル繊維とナイロン繊維とをおおよそ50%ずつ組み合わせたものに対してベンジルアルコールを含む処理液で処理すると、硬い風合いの繊維布帛が得られない。これは、ベンジルアルコールを含む処理液で処理する際に、ナイロン繊維とポリエステル繊維とで繊維の収縮性が大きくことなるからである。すなわち、収縮性がナイロン繊維と大きく異なる繊維を併用した布帛を用いた場合には、本発明の効果である低コストで硬い風合いの繊維布帛が得られない。
本発明で用いられるナイロン繊維からなる布帛は、汎用的に使用されている繊維、糸状、織編組織であっても、硬い風合いの繊維布帛を得ることができる。
次に、本発明に係る繊維布帛の製造方法について、より具体的に説明する。
本発明では、ナイロン繊維からなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理を行うが、処理方法としては、ベンジルアルコールが10g/l〜300g/lと水とを含む処理液にて処理を行うことが好ましい。
ベンジルアルコールの量が10g/l未満では十分に硬い繊維布帛が得られないおそれがある。繊維布帛の硬化の観点から、より好ましくは、30g/l以上とすることが好ましい。一方、ベンジルアルコールの量が300g/を超えても薬剤の量の増加分ほど繊維布帛が硬化せず、逆に、ナイロン繊維の強度が低下するおそれがある。また、ベンジルアルコールの量が多くなると、処理液の廃水処理などの負荷が大きくなってしまう。
なお、ベンジルアルコールは、乳化剤などを用いて乳化したものの方が、加工の安定性の観点より好ましい。また、ベンジルアルコールを含む処理液には、消泡剤、浴中柔軟剤、あたり防止剤等を添加してもよい。
また、ベンジルアルコールを含む処理液による処理温度は、60℃〜150℃で行うことができる。
また、比較的平坦な繊維布帛を得たいときには、ベンジルアルコールを含む処理液での処理は、布帛を拡布状として行うことが好ましく、その処理温度は、80℃から130℃の温度で行うとよい。
この場合、処理温度が80℃を下まわると、十分に硬い繊維布帛が得られないおそれがある。また、ナイロンの種類にもよるが、処理温度が130℃を越えると、繊維布帛の引裂強度等の強度が低下するおそれがある。風合い硬化の観点からは、90℃から125℃、より好ましくは100℃超から120℃の温度で処理するとよい。
処理時間は、処理温度やベンジルアルコールの濃度にもよるが、5分〜180分程度がよい。処理時間が5分未満であると、硬化部分がムラ状となったり、十分に硬い風合いを有する繊維布帛が得られないおそれがあり、処理時間が180分を超えると、生産性の観点より好ましくない。
さらに、処理時間は7分以上120分以内とする方が、風合いの硬化の均一性、硬さ及び生産性の観点より好ましい。
なお、平坦な繊維布帛を得る場合の加工機としては、常圧ジッカーや高圧ジッカーなどが挙げられる。
一方、膨らみ感やシワ感、やや強めの凹凸感を有する繊維布帛を得たいときには、ベンジルアルコールを含む処理液での処理は、布帛をロープ状として行うことが好ましく、その処理温度は、80℃から130℃の温度で行うとよい。
この場合、処理温度が80℃を下まわると、十分に硬い繊維布帛が得られないおそれがある。また、ナイロンの種類にもよるが、処理温度が130℃を越えると、繊維布帛の引裂強度等の強度が低下するおそれがある。風合い硬化の観点からは、90℃から125℃、より好ましくは100℃超から125℃の温度で処理するとよい。
なお、シワ感や、やや強めの凹凸感を有する繊維布帛を得たいときに用いる加工機としては、高圧液流染色機や高圧型ウインスなどが挙げられるが、硬化の均一性の観点からは液流染色機を用いることが好ましい。
また、本発明に係る繊維布帛の製造方法は、衣服又は収納具などの形状をした繊維布帛に適用することもできる。
例えば、ナイロン繊維からなる布帛を用いて得られた衣服又は収納具などの縫製品などを硬化させる場合には、ワッシャー(ドラム式処理装置)を用いて、80℃から130℃の温度で5分〜180分程度、ベンジルアルコールを含む処理液で処理してもよい。より好ましくは、90℃から125℃の処理温度で処理するとよい。
以上、本発明に係る繊維布帛の製造方法の実施形態について説明してきたが、本発明において、ナイロン繊維からなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理した後は、ソーピングを行なうことが好ましい。
ソーピングは、水洗又は40〜100℃程度の湯洗による処理、又は、常温の水又は40〜100℃程度の湯に、苛性ソーダ、ソーダ灰又はトリポリリン酸ソーダなどのアルカリ剤、界面活性剤あるいはキレート剤などを添加したソーピング溶液による処理である。
また、ソーピングは、複数回行ってもよい。この場合、1回目のソーピングには、アルカリ剤や界面活性剤を添加したソーピング溶液を用い、2回目のソーピングは、水のみで処理するようなソーピングを行なってもよい。
さらに、ソーピングを行った後は、必要に応じ、乾燥や熱セットを行なったり、染色加工、撥水加工、抗菌加工、消臭加工、吸水加工、紫外線遮蔽加工又は制電加工などの加工を施したりしてもよい。
なお、これらの染色加工等は、縫製等を行った後に行ってもよい。また、補足的に、ポリエステル樹脂などを用いて硬仕上加工を行なってもよい。
また、ベンジルアルコールを含む処理液にて処理されたナイロン繊維からなる布帛に対して予備セットや仕上セットなどの熱処理を行う場合、当該熱処理の温度は、本発明の目的とする、風合い、外観、目付、密度等に合わせて、120℃〜200℃程度にて任意に設定すればよい。
本発明では、上記の製造方法により、硬い風合いを有する繊維布帛を製造することができる。
本発明の製造方法で得られた繊維布帛は、「JIS L1096」に規定される45°カンチレバー法に準じて、測定時の環境を20℃×40%RHとして測定したタテ方向及びヨコ方向の少なくとも一方の剛軟度が100mm以上であることが好ましい。さらに、繊維布帛におけるタテ方向及びヨコ方向の少なくとも一方の剛軟度は、150mm以上であることが、より好ましい。また、タテ方向及びヨコ方向のいずれの剛軟度も100mm以上あるとよく、さらに、タテ方向及びヨコ方向のいずれの剛軟度も150mm以上であると、より好ましい。
このように、剛軟度が100mm以上であると、従来の硬仕上加工と比べ、硬い風合いとすることができ、仕立て栄えの観点からも好ましい。
また、剛軟度が100mm以上であると、従来は別途芯地と組み合わせて製造されていたシャツの襟、カフス、帽子又は靴などの衣服において、芯地(芯材)を用いなくとも、本発明における繊維布帛のみで形状を保持したシャツの襟等を製造することができる。
さらに、剛軟度が100mm以上であると、本発明における繊維布帛を用いて、鞄、あるいは、雑誌ラック、収納ボックス又は衣装ケースなどの収納具を製造する場合も、繊維布帛に硬質の樹脂をコーティングしたり含浸させたり、また、繊維布帛に、ダンボール、プラスチック板、木、金属又は樹脂製などの芯材と組み合わせなくとも形状を保持した靴や収納ボックスなどの収納具を得ることができる。
なお、剛軟度の上限は特に限定されるものではなく、衣服や鞄などのデザインなども考慮し、必要な剛軟度のものを用いればよい。なお、JIS L1096に規定された剛軟性45°カンチレバー法に従って測定によると、本発明における繊維布帛の剛軟度は150mmが上限となっているが、これを超える物であっても用いることができる。
また、硬い風合いを有するシワを形成した場合、剛軟性の測定時にそのシワ部において、測定用試料が折れ曲がってしまい、剛軟度が100mm未満と測定されることがある。その場合は、剛軟性の測定に影響の少ない箇所から測定用試料をサンプリングし、剛軟性を測定するとよい。
以上、本発明の製造方法で得られた繊維布帛は硬い風合いを有するので、この繊維布帛を用いて、ジャケット、帽子、靴などの衣服を製造すれば、従来にない風合いを有し、外観も粗野な力強いものが得られる。また、芯材を用いなくとも、形状を維持することができる衣服が得られる。
また、本発明の製造方法で得られた硬い風合いを有する繊維布帛を用いて、鞄、袋、雑誌ラック、収納ボックス又は衣装ケースなどの収納具を製造することにより、布帛の質感を有していながら、芯材を用いなくとも形状保持性に優れた、新規な収納具が得られる。
以下に、本発明に係る繊維布帛の製造方法について、実施例及び比較例に基づいて、より具体的に説明を行う。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例における剛軟度は、JIS L1096に規定される45°カンチレバー法に準じて、測定時の環境が20℃×40%RHの雰囲気にて測定を行なった。
(実施例1)
まず、実施例1について説明する。実施例1では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を78デシテックス/34フィラメントとし、ヨコ糸を235デシテックス/34フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=244本/2.54cm×77本/2.54cmである。)を用いた。
まず、実施例1について説明する。実施例1では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を78デシテックス/34フィラメントとし、ヨコ糸を235デシテックス/34フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=244本/2.54cm×77本/2.54cmである。)を用いた。
そして、この織物を精練した後に、水にベンジルアルコールの乳化分散液を投入し、150g/lのベンジルアルコールを含む処理液にて、常圧ジッカーを用いて室温から98℃まで40分かけて昇温し、98℃を維持して40分間の処理を行った(拡布状)。その後、引続き、ソーピングとして80℃のお湯にて2回湯洗いをおこなった。
次に、常圧ジッカーを用い酸性染料にて黒色に染色(95℃×60分)し、ソーピング、合成タンニンを用いたフィックス処理をおこなった。その後、引続き、乾燥、すなわち140℃での仕上セットを行なった。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=270本/2.54cm×88本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は148mmであり、ヨコ方向の剛軟度は118mmであり、硬い風合いの繊維布帛が得られた。
また、得られた繊維布帛を用いて鞄を作製すると、得られた鞄は、芯材を用いなくとも繊維布帛のみで鞄の立体的な形状を維持でき、見栄えのするものであった。
(比較例1)
次に、比較例1について説明する。比較例1では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして繊維布帛を得た。
次に、比較例1について説明する。比較例1では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして繊維布帛を得た。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=250本/2.54cm×79本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は42mmであり、ヨコ方向の剛軟度は85mmであり、柔らかい風合いの繊維布帛が得られた。
また、得られた繊維布帛を用いて鞄を作製すると、得られた鞄は、芯材を用いなかったため、鞄の立体的な形状を維持できなかった。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=95本/2.54cm×62本/2.54cmである。)を用いた。
次に、実施例2について説明する。実施例2では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=95本/2.54cm×62本/2.54cmである。)を用いた。
そして、この織物を精練した後に、水にベンジルアルコールの乳化分散液を投入し、60g/lのベンジルアルコールを含む処理液にて、液流染色機を用いて室温から50分かけて110℃まで昇温し、110℃を維持して40分間の処理を行った(ロープ状)。
次に、ソーピングとして、90℃で10分間、ソーダ灰と界面活性剤を添加したお湯で湯洗いを行った後、水のみで水洗し、乾燥した。
次に、160℃で予備セットを行なった後、酸性染料を用い黄色に染色(105℃×30分)、合成タンニンを用いたフィックス処理を行ない、引き続き、120℃にて乾燥した。
次に、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)からなるフッ素系撥水剤の5%水溶液を用いて撥水処理をした後、140℃にて仕上セットを行なった。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=116本/2.54cm×85本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は148mmであり、ヨコ方向の剛軟度は117mmであり、膨らみ感があり、かつ、硬い風合いを有する繊維布帛が得られた。
また、得られた繊維布帛を用いてコートを作製すると、得られたコートは、全体がごわついた感じがあり、力強い外観品位のコートが得られた。
(比較例2)
次に、比較例2について説明する。比較例2では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわなかった以外は、実施例2と同様にして(液流染色処理あり)、繊維布帛を得るとともに、コートを作製した。
次に、比較例2について説明する。比較例2では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわなかった以外は、実施例2と同様にして(液流染色処理あり)、繊維布帛を得るとともに、コートを作製した。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=98本/2.54cm×69本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は40mmであり、ヨコ方向の剛軟度は35mmであり、柔らかい風合いの繊維布帛が得られた。また、コートは、風合いが柔らかく、ドレープ感が有り、やさしい感じの得られる外観のコートが得られた。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では、ナイロン繊維からなる織物(平織物、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=89本/2.54cm×42本/2.54cmである)を用いた。
次に、実施例3について説明する。実施例3では、ナイロン繊維からなる織物(平織物、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=89本/2.54cm×42本/2.54cmである)を用いた。
そして、この織物を精練した後に、水にベンジルアルコールの乳化分散液を投入し、50g/lのベンジルアルコールを含む処理液にて、液流染色機を用いて室温から50分かけて115℃まで昇温し、115℃を維持して10分間の処理を行った(ロープ状)。
次に、ソーピングとして、90℃で10分間、ソーダ灰と界面活性剤を添加したお湯で湯洗いを行った後、水のみで水洗し、乾燥した。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=109本/2.54cm×59本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は150mm以上であり、ヨコ方向の剛軟度は105mm以上となり、膨らみ感があり、かつ、硬い風合いを有する繊維布帛が得られた。
次に、得られた布帛を用いて鞄を縫製した後、酸性染料を用いて赤色に染色し(105℃×30分)、合成タンニンを用いたフィックス処理を行い、その後、120℃にて乾燥した。得られた鞄は、芯材を用いなくとも繊維布帛のみで鞄の立体的な形状を維持でき、見栄えのするものであった。
(比較例3)
次に、比較例3について説明する。比較例3では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわず、また、縫製後の染色処理を行なわなかった(液流染色機での処理なし)以外は、実施例3と同様にして繊維布帛及び鞄を得た。
次に、比較例3について説明する。比較例3では、ベンジルアルコールを含む処理液による処理を行なわず、また、縫製後の染色処理を行なわなかった(液流染色機での処理なし)以外は、実施例3と同様にして繊維布帛及び鞄を得た。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=96本/2.54cm×45本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は56mmであり、ヨコ方向の剛軟度は45mmとなり、柔らかい風合いの繊維布帛が得られた。
また、得られた鞄は、芯材を用いなかったため、鞄の立体的な形状を維持できなかった。
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。実施例4では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=91本/2.54cm×62本/2.54cmである)を用いた。
次に、実施例4について説明する。実施例4では、ナイロン繊維からなる織物(ツイル、タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロンが100%であり、タテ糸を355デシテックス/192フィラメントとし、ヨコ糸を355デシテックス/192フィラメントとした。織り上げ密度は、タテ密度×ヨコ密度=91本/2.54cm×62本/2.54cmである)を用いた。
そして、この織物を精練した後に、水にベンジルアルコールの乳化分散液を投入し、40g/lのベンジルアルコールを含む処理液にて、液流染色機を用いて室温から50分かけて105℃まで昇温し、105℃を維持して20分間の処理を行った(ロープ状)。
次に、ソーピングとして、90℃で10分間、ソーダ灰と界面活性剤を添加したお湯で湯洗いを行った後、水のみで水洗し、乾燥した。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=120本/2.54cm×85本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は150mm以上であり、ヨコ方向の剛軟度は116mm以上となり、膨らみ感があり、かつ、硬い風合いを有する繊維布帛が得られた。
次に、得られた布帛を用いて帽子を縫製した後、酸性染料を用いてネイビーに染色し(105℃×30分)、合成タンニンを用いたフィックス処理を行い、その後、120℃にて乾燥した。得られた帽子は、芯材を用いなくとも繊維布帛のみで帽子の立体的な形状を維持でき、見栄えのするものであった。
(比較例4)
次に、比較例4について説明する。比較例4では、ベンジルアルコールを含む乳化分散液を投入しなかった以外は、実施例4と同様にして(液流染色機での処理あり)、繊維布帛を得た。
次に、比較例4について説明する。比較例4では、ベンジルアルコールを含む乳化分散液を投入しなかった以外は、実施例4と同様にして(液流染色機での処理あり)、繊維布帛を得た。
得られた繊維布帛の密度は、タテ密度×ヨコ密度=102本/2.54cm×72本/2.54cmであった。
また、剛軟度を測定すると、タテ方向の剛軟度は40mmであり、ヨコ方向の剛軟度は30mmとなり、柔らかい風合いの繊維布帛が得られた。
また、得られた繊維布帛を用いて帽子を作製した。得られた帽子は、芯材を用いなかったため、帽子の立体的な形状を維持できなかった。
本発明は、コートや靴などの衣服、鞄や衣装ケースなどの収納具など、繊維布帛を用いた繊維製品に広く利用することができる。
Claims (6)
- ナイロン繊維のみからなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理する繊維布帛の製造方法であって、
前記布帛は、タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に6−ナイロンからなる235デシテックス以上の糸を含む
繊維布帛の製造方法。 - 前記ベンジルアルコールを含む処理液での処理が80℃以上である
請求項1に記載の繊維布帛の製造方法。 - ナイロン繊維のみからなる布帛を、ベンジルアルコールを含む処理液で処理することにより得られる繊維布帛であって、
前記布帛は、タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に6−ナイロンからなる235デシテックス以上の糸を含み、
前記処理液で処理することによって得られる前記繊維布帛におけるタテ方向及びヨコ方向の少なくとも一方の剛軟度が、JIS L1096に規定される45°カンチレバー法に準じて測定したときに、100mm以上である
繊維布帛。 - 前記ベンジルアルコールを含む処理液での処理が80℃以上である
請求項3に記載の繊維布帛。 - 請求項3または4に記載された繊維布帛を用いた衣服。
- 請求項3または4に記載された繊維布帛を用いた収納具。
Priority Applications (1)
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