JP2005049698A - 偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホウ酸で硬膜したポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の少なくとも片側に、保護膜が貼合され、該偏光子が膜厚が20μm以上60μm以下のポリビニルアルコール系フィルムを5倍以上に縦一軸方向に延伸して形成されたものであり、ヨウ素を含有し、かつ膜厚が8μm以上18μm以下であり、クロスニコル時の410nmの透過率が0.001%以上0.1%以下である偏光板。
【選択図】 なし
Description
近年、液晶表示装置のサイズが大型化するに伴い、偏光子の経時での収縮に基づく色ムラや色ヌケが問題になっている。大型液晶表示装置における色ムラや色ヌケを改善するため、偏光子の薄膜化により収縮力を低下させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)
従来、偏光板の色相の改良法としては、例えば染色浴内での染色・延伸処理時に浴温制御と900nmの波長光でのフィルムの位相差制御による方法(特許文献2)、I-イオンを含む水溶液中への浸漬により偏光子中のI-イオン含有量を調整する方法(特許文献3)、製造条件を適切に選択して、得られる偏光フィルムの波長440乃至670nmの範囲における平行透過率の最大値TMaxと最小値TMinとの差ΔTを6%以下とする方法(特許文献4)などが提案されている。しかしながら、特許文献2乃至4に記載された方法は、薄膜偏光子での色相改良効果が乏しいことが、本発明者の検討により判明した。
1.ホウ酸で硬膜したポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の少なくとも片側に、保護膜が貼合された偏光板であって、
(i)該偏光子が、膜厚が20μm以上60μm以下のポリビニルアルコール系フィルムを5倍以上に縦一軸方向に延伸して形成されたものであり、ヨウ素を含有し、かつ膜厚が8μm以上18μm以下であり、
(ii)クロスニコル時の410nmの透過率が0.001%以上0.1%以下である、
ことを特徴とする偏光板。
2.偏光子が、ヨウ素および水溶液の吸収スペクトルが300nm乃至500nmの波長域に極大を示す二色性染料を含有することを特徴とする上記1に記載の偏光板。
3.水溶液の吸収スペクトルが300nm乃至500nmの波長域に極大を示す二色性染料を0.001質量%以上1.0質量%以下含有する接着剤を用いて偏光子と保護膜を貼合することを特徴とする上記1または2に記載の偏光板。
4.上記1乃至3のいずれかに記載の偏光板に位相差フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
5.上記1乃至3のいずれかに記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
該偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを5倍以上に縦一軸方向に延伸して得られ、ヨウ素を含有する。原反となるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚は20μm以上60μm以下であり、偏光子の膜厚は8μm以上18μm以下である。
また、偏光板は、クロスニコル時の410nmの透過率が0.001%以上0.1%以下である。
本発明者の知見によれば、大型液晶表示装置における色ムラや色ヌケを改善するためには、偏光子の膜厚を18μm以下として偏光子の収縮力を低下させることが好ましい。一方、偏光子の膜厚を8μm未満にすると、偏光度および単板透過率を維持することが困難になる。従って、偏光子膜厚は8μm以上18μm以下であることが好ましい。偏光子の膜厚を8μm以上18μm以下とするためには、原反として使用するポリビニルアルコール系フィルムの膜厚を、20μm以上60μm以下とすることが好ましい。
偏光子を薄膜化した場合の色相変化(青味化)を調整するためには、後述する主吸収を300nm乃至550nmに有する二色性染料をヨウ素と併用する態様が好ましい。
(1)偏光板の構成
まず、本発明の偏光板を構成する偏光子、保護膜について説明する。
(1−1)偏光子
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許第2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号明細書に記載されている45乃至52.5%も好ましく用いることができる。
ポリメチン色素については、M.Okawara, T.Kitao, T.Hirashima, M.Matsuoka著のOrganic Colorants(Elsevier)を、シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素については、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocyclic Chemistry」,第18章,第14節,482〜515頁、米国特許第5,340,694号等に記載されている化合物を好ましく使用することができる。また、アゾ系色素としては、入江正浩監修「機能性色素の最新応用技術」シーエムシー、永田 良「偏光フィルムの応用」シーエムシー、特開昭62−70802号公報、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開2000-48105号公報、特開2000-65205号公報、特開平7−261024号公報、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。本発明ではアゾ系色素を使用することが特に好ましい。
また、特開2002−082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
偏光子は、両面あるいは片面に、透明なポリマーフィルムを保護膜として、接着剤あるいは粘着剤を用いて貼り合わせて使用されることが好ましい。保護膜には、透明性、低複屈折性、適度な剛性といった物性が求められる。
本発明の保護膜に用いる透明ポリマーフィルムの透過率は80%以上が好ましく、87%以上であることがさらに好ましい。透明ポリマーフィルムのヘイズは2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明ポリマーフィルムの屈折率は1.4乃至1.7であることが好ましい。
透明ポリマーフィルムの素材は特に制限は無いが、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、セルロースアシレートを挙げることができる。市販のポリマーフィルムとしては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノアや、日本合成ゴム(株)製ARTONや、富士写真フィルム(株)製フジタックなどがあり、中でもフジタック(富士写真フィルム(株)製)、ゼオノア(日本ゼオン(株)製)が特に好ましい。偏光子の両面の透明ポリマーフィルムは同じであっても異なっていてもよい。これらの市販ポリマーフィルムは参考資料:特開昭63−218726号公報、特開平5−25220号公報、特開平9−183832号公報、特開20004051号公報、特開平5−97978号公報、特開平7−11055号公報、発明協会公開技法2001−1745などに記載されている。
数式(1):Re値=(nx−ny)×d
数式(2):Rth値=((nx+ny)/2−nz)×d
(ここで、nxはフィルム面内における遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内におけるnxと直交する方向の屈折率、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率、dは透明支持体の厚みを表す。)
保護膜の遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
透明ポリマーフィルムの透湿係数(25μm、25℃、90%RH)は、0.0001乃至1000g/m2・dayが好ましく、温度収縮率は2×10-5/℃乃至9×10-5/℃が好ましく、湿度収縮率は7×10-5/%RH以下が好ましい。また、特開2001−235625号公報に記載されているような、40℃、90%RHの透湿度が0.04g/cm2・24h以下の透明ポリマーフィルムを保護膜に好ましく用いることもできる。
また、6位のアシル基の置換度が0.9以上のものが、Re、Rthのばらつきの発生を抑制する観点から、好ましく用いられる。なお、本特許におけるアシル基の置換度はASTM D817に従って算出した値を採用する。
セルロースアシレートの溶解法は、冷却溶解法、高温溶解法のいずれか、あるいは両方を用いても良い。冷却溶解法、高温溶解法に関する具体的な方法は、発明協会公開技法2001−1745等に記載されている公知の方法を用いることができる。上記で得られたセルロースアシレート溶液は場合により、低い濃度で溶解した後に濃縮手段を用いて最適な濃度に濃縮する方法で調製することも好ましく行うことができる。
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後の乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
架橋剤(硬膜剤)としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。また、硬膜工程に前述の二色性染料を添加する場合の好ましい濃度は0.001質量%以上0.5質量%以下である。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
(3)偏光板の特性
(3−1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であり、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。下記数式(4)で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。パラニコル時の透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下である。
下記数式(5)で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上500以下であるが、さらに好ましくは53以上150以下である。
上述の単板透過率はJIS Z 8701に基づいて、下記数式(3)で定義される。
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002−174728号公報に記載されている範囲内であってもよい。
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*は、上述のX、Y、Zを用い下記数式(6)で定義される。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は−2.0以上0.2以下であり、さらに好ましくは−1.8以上0以下である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は2以上4.5以下であり、さらに好ましくは2.5以上4.3以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は−3.6以上0以下であり、さらに好ましくは−3.4以上−0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.5以上7.5以下であり、さらに好ましくは3以上6.5以下である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は−0.3以上0.8以下であり、さらに好ましくは0以上0.7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は−1.5以上1.5であり、さらに好ましくは−1以上0.5以下である。
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号公報や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520乃至640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(3−4−1)湿熱耐久性
特開2001−116922号公報に記載されているように60℃、90%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(3−4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(3−4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように、80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値が特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2乃至1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差が少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数が0.65乃至0.85としたり、I3やI5の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8乃至1.0とすることも好ましく行うことができる。
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力が4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さが中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率n0を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
本発明の偏光板は、LCDの視野角拡大フィルム、反射型LCDに適用するためのλ/4板、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
本発明の偏光板と上述の機能性光学フィルムを複合した構成例の概略断面図を図1に示した。偏光板の片側の保護膜として機能性光学フィルムを用い、該機能性光学フィルムと偏光子を接着剤を介して接着しても良いし(図1(A))、偏光子の両面に保護膜を設けた偏光板に粘着剤を介して機能性光学フィルムを接着しても良い(図1(B))。前者の場合、もう一方の保護膜には任意の透明保護膜が使用できる。機能層や保護膜等の各層間の剥離強度は特開2002-311238号公報に記載されている4.0N/25mm以上とすることも好ましい。機能性光学フィルムは、目的とする機能に応じて液晶モジュール側に配置したり、液晶モジュールとは反対側、すなわち表示側もしくはバックライト側に配置することが好ましい。
(4−1)視野角拡大フィルム
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている視野角拡大フィルムと組み合わせて使用することができる。視野角拡大フィルムは光学補償シートと同義である。
本発明の偏光板は、λ/4板と積層した円偏光板として使用することができる。円偏光板は入射した光を円偏光に変換する機能を有しており、反射型液晶表示装置やECBモードなどの半透過型液晶表示装置、あるいは有機EL素子等に好ましく利用されている。
本発明に用いるλ/4板は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4のレターデーション(Re)を有する位相差フィルムであることが好ましい。「可視光の波長の範囲において概ね1/4のレターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどレターデーションが大きく、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が80乃至125nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が120乃至160nmである関係を満足する範囲を示す。Re590−Re450≧5nmを満たすことがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmを満たすことが特に好ましい。
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,may,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満足することが好ましい。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
低屈折率層の屈折率は1.20乃至1.55であり、好ましくは1.30乃至1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、含シリコーン化合物や、含フッ素化合物などの素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]乃至[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]乃至[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]乃至[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30乃至200nmであることが好ましく、50乃至150nmであることがさらに好ましく、60乃至120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤を併用する(例、特開平11−153703号公報、米国特許6210858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
高屈折率層の屈折率は、1.70乃至2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm乃至10μmであることが好ましく、10nm乃至1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50乃至1.70であることが好ましい。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
本発明の偏光板には、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は相互に、また前述の反射防止層や光学異方性層等と同一層内で複合して使用することも好ましい。
本発明の偏光板は、耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を、透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光または熱による硬化性化合物の架橋反応、あるいは重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2乃至100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K 5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K 5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3乃至30%であることが好ましく、5乃至20%であることがさらに好ましく、7乃至20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05乃至2μm)を少量(0.1乃至50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等)等を好ましく使用することができる。
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例を示す模式図である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(5〜9)、および該液晶セルを挟持して配置された上側偏光板1と下側偏光板12とを有する。偏光板は偏光子および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は図示されていない。液晶セルは、上側基板5および下側基板8と、これらに挟持される液晶分子7から形成される液晶層からなる。液晶セルは、ON・OFF表示を行う液晶分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに分類されるが、本発明の偏光板は透過および反射型によらず、いずれの表示モードにも使用できる。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板8のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子7が上下基板に垂直に配向する。
上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板12の吸収軸13の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と上側基板5のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。
<偏光子Aと偏光板Aの作製>
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して10質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素/ C.I.Direct Yellow 44(λmax=420nm)/芒硝(質量比10:1:0.2:2)の水溶液に浸漬して1.5倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、50℃の4.25%のホウ酸水溶液中で、総延伸倍率が7倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ12.5μmの偏光子Aを得た。
この後、偏光子Aの両面に、PVA((株)クラレ製 PVA−124)4%水溶液を接着剤として、保護膜(ケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm、膜厚80μm))を貼り合わせ、さらに70℃で30分間加熱して偏光板Aを作製した。
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して12質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して2倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、ホウ酸4.25質量%の50℃水溶液中で、総延伸倍率が6.5倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ16μmの偏光子Bを得た。
この後、偏光子Bの両面に、PVA((株)クラレ製 PVA−124)/ C.I.Direct Yellow 28(λmax=400nm)=4質量%/0.15質量%水溶液を接着剤として、保護膜(ケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm、膜厚80μm))を貼り合わせ、さらに70℃で30分間加熱して偏光板Bを作製した。
平均重合度2400、けん化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して12質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して2倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、C.I.Direct Yellow 12(λmax=389nm)/芒硝/ホウ酸=0.1質量%/1.2質量%/4.25質量%の52℃水溶液中で、総延伸倍率が6.5倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ16μmの偏光子Cを得た。
この後、PVA膜の両面に、PVA((株)クラレ製 PVA−124)4%水溶液を接着剤として、保護膜(ケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm、膜厚80μm))を貼り合わせ、さらに70℃で30分間加熱して偏光板Cを作製した。
染色液からC.I.Direct Yellow 44および芒硝を除いた以外は、実施例1と同様にして比較用の偏光子Dと偏光板Dを作製した。
原反膜厚を75μmとした以外は、比較用偏光板Dと同様にして比較用偏光子Eと偏光板Eを作製した。偏光子Eの厚さは23μmだった。
偏光板Aを2×5cmにサンプルカットし、島津自記分光光度計UV3100にて透過率を測定した。2枚の偏光板吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率をH0(%)、吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率をH1(%)として、次式により偏光度P(%)を求めた。
P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
また、単板透過率は1枚のサンプルを用い、400乃至700nmの透過率を視感度補正して求めた。クロスニコル時の410nmの透過率も本測定により行った。
島津製の分光光度計UV−3100PCを用いて、CIELAB表色系におけるa*、b*を求めた。結果を表1に示す。
<光学補償フィルム(視野角拡大フィルム)Aの作製>
直鎖アルキル変性PVA(MP−203、クラレ(株)製)30gに水130g、メタノール40gを加えて攪拌、溶解した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、配向層用塗布液を調製した。
一方、ゼラチン薄膜(0.1μm)の下塗り層を有する100μmの厚さの支持体であるトリアセチルセルロースフイルム(富士写真フイルム(株)製)を用意し、この支持体上に、上記配向層用塗布液をバーコーターを用いて塗布した。塗布後、60℃で乾燥した後、長手方向にラビング処理を行って、厚さ0.5μmの配向層を形成した。
次いで、液晶性ディスコティック化合物として下記構造の化合物LC−1を1.6g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(M−101、東亜合成(株)製)0.4g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.05g及び光重合開始剤(イルガキュア−907、チバガイギー社製)0.01gを3.65gのメチルエチルケトンに溶解した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、光学異方性層用塗布液を調製した。
前述の実施例1において、延伸後70℃で4分乾燥した後、偏光子Aの両面に、PVAを接着剤として保護膜を貼り合わせる工程を以下の工程に置き換えた。 すなわち、延伸後70℃で4分乾燥した後、偏光子Aの両面に、PVA(前述のPVA−124A)を接着剤として一方の面をケン化処理した保護膜(富士写真フイルム(株)製フジタック、セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm、膜厚80μm)を、他方の面をけん化処理した光学補償フィルムAを用いて貼り合わせ、さらに70℃で30分間加熱した。この際、光学補償フィルムAの配向層のラビング方向が偏光子Aの延伸方向と一致するように、また光学異方性層が形成されている側と反対側の支持体面が偏光子Aと貼合されるようにして本発明の楕円偏光板Aを作製した。
<楕円偏光板B、C、D、Eの作製>
上述の実施例2において、偏光子Aを偏光子B、C、D、Eに変更した以外は、実施例2と同様にして楕円偏光板B、C、D、Eを作製した。この際、光学補償フィルムの配向層のラビング方向が偏光子の延伸方向と一致するように、また光学異方性層が形成されている側と反対側の支持体面が偏光子と貼合されるようにした。
図2の透過型液晶表示装置において、楕円偏光板Aを液晶セル(5〜9)を挟持する2枚の偏光板として、いずれも光学補償シートの光学異方性層の面側を、接着剤を介して液晶セル(7)に向けて貼合して透過型の液晶表示装置Iを作製した。なお、液晶セルは20インチ用のものを用いた。
楕円偏光板をB乃至Eに変更した以外は同様にして、透過型の液晶表示装置II乃至Vを作製した。
(液晶表示装置の光漏れ評価)
作製した液晶表示装置を40℃、30%RHで1ヶ月間の使用したのち、液晶表示装置のバックライトを点灯させ、1時間後に全面を黒表示にして、光漏れを目視で観察した。下記の4段階評価を行った。
◎:光洩れなし
○:四辺の縁にわずかに光洩れあり
△:四辺の縁にはっきりとした光洩れあり
×:フィルム中央近くまで光洩れあり
2 上偏光板吸収軸
3 上視野角拡大フィルム
4 上光学異方性層配向制御方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板配向制御方向
10 下視野角拡大フィルム
11 下光学異方性層配向制御方向
12 下偏光板
13 下偏光板吸収軸
Claims (5)
- ホウ酸で硬膜したポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の少なくとも片側に、保護膜が貼合された偏光板であって、
(i)該偏光子が、膜厚が20μm以上60μm以下のポリビニルアルコール系フィルムを5倍以上に縦一軸方向に延伸して形成されたものであり、ヨウ素を含有し、かつ膜厚が8μm以上18μm以下であり、
(ii)クロスニコル時の410nmの透過率が0.001%以上0.1%以下である、
ことを特徴とする偏光板。 - 偏光子が、ヨウ素および水溶液の吸収スペクトルが300nm乃至500nmの波長域に極大を示す二色性染料を含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 水溶液の吸収スペクトルが300nm乃至500nmの波長域に極大を示す二色性染料を0.001質量%以上1.0質量%以下含有する接着剤を用いて偏光子と保護膜を貼合することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光板に位相差フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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