JP2005049521A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光沢特性に関して高低の関係にある画像形成を行う少なくとも2つの画像形成モードを有し、高光沢特性にて画像形成する場合には、低光沢特性にて画像形成する場合に比べ、同一色相で濃度の相対的に低いトナーの使用比率を上げる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも4個以上の現像装置を具備し、多色画像を形成する電子写真方式、静電記録方式などの画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置の最近の進歩とともに、ニーズのレベルも高くなり従来の4色画像形成装置に対して色数を増やす電子写真方式などの画像形成装置が提案され、一部実現されている。
【0003】
それらは、従来の一般的なシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーに加え、インクジェット方式では一般的なように、淡いシアン、淡いマゼンタなどの色のトナーを加えるものであり、特許文献1、2等に記載されている。
【0004】
このような淡い色のトナーを加える目的は、粒状性の低減による高画質化である。
【0005】
このような4色以上(以下「多色」という。)のトナーを用いる画像形成装置の本体構成としては、様々なタイプのものがあり、一般的には、図14〜図17に示すように、リーダ部1Rとプリンタ部1Pとを有し、プリンタ部1Pは、図14に示すようなタンデム型、或いは、図15に示すような1つの像担持体型、或いは、図16に示すような、2つの像担持体型(例えば、特許文献3参照)、更には、図17に示す2つの像担持体に各々ロータリ切替の現像装置が対応しているタイプ、のものが考えられる。
【0006】
更に説明すると、図14に示すタンデム型の画像形成装置は、6つの像担持体1a、1b、1c、1d、1e、1fにそれぞれ異なる分光特性の現像剤を装填した現像装置41、42、43、44、45、46を対応させ、それらを直列に配置したものである。この方式であれば、4色の画像形成装置をベースに考えた場合においても、画像の出力速度は同じにすることが可能なため、生産性重視のタイプと言える。
【0007】
一方で、図15に示す一つの像担持体1に対して6個の現像装置41、42、43、44、45、46を対応させた画像形成装置では、現像装置41、42、43、44、45、46は、これら現像装置41、42、43、44、45、46を担持したロータリ部(回転体)4を回転することにより、現像装置41、42、43、44、45、46を切り替えながら現像を行う。従って、像担持体1に形成された各色毎の画像を中間転写体5に一次転写し、中間転写体5上で多重転写を行い、6色すべて転写し終わった段階で、給紙装置71、72、73などから送給される転写材に二次転写ローラ56の作用の下に2次転写する構成をとっている。このように構成することで、スペースを最小限にしながら6色画像を出力することが可能になっている。
【0008】
図16に示すタイプの画像形成装置は、上記図14、図15で示すタイプの折衷案の形である。つまり、このタイプの画像形成装置は、直列に配列された2つの像担持体1a、1bに対してそれぞれ2個の現像装置41、42;43、44を対応させた構成とされ、両者の特徴をバランスよく組み合わせた画像形成装置であり、小型、安価、高速のニーズを満たすものである。
【0009】
図17に示すタイプの画像形成装置は、2つの像担持体1a、1bに対してそれぞれ、3個の現像装置41、42、43;44、45、46を備えたロータリ(回転体)4a、4bを配置し、回転体4a、4bを回転することにより、現像装置を切り替えながら現像を行う。そして、像担持体1a、1bに形成された各色の画像を中間転写体5に一次転写し、中間転写体5上で多重転写を行い、6色すべて転写し終わった段階で、給紙装置71、72、73などから送給される記録媒体、即ち、転写材に二次転写ローラ56の作用の下に2次転写する構成とされる。このタイプの画像形成装置は、図16に示す画像形成装置の構成にて、更に、露光−現像間の距離を一定にすることで更なる高画質化を図っている。
【0010】
また、一方で、電子写真方式の画像形成装置では、多くのメディア(記録媒体)、例えば、一般的な上質紙から、光沢の高いコート紙や、厚紙、薄紙、OHP用紙などへの対応が求められており、それらに対応する工夫がさまざまに行われている。光沢紙には、その光沢に合わせて光沢を出したり、或いは、個性的な印象を出すように、あえて光沢を低めに抑えたりするようなニーズもある。
【0011】
一般に、出力画像の光沢を制御する方法としては、定着の速度で対応する場合が多く、例えば、高光沢出力時には低光沢での出力に比べ定着速度を遅くしたりすることが一般的である。
【0012】
【特許文献1】
特開平5−35038号公報
【特許文献2】
特開2000−231279号公報
【特許文献3】
特開平4−204871号公報
【特許文献4】
特開平8−220821号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着速度でコントロールする際には以下に述べるような問題点がある。
【0014】
一つ目は、画像の劣化を防ぎながら光沢を出すような構成で定着速度を遅くする場合には、図18に示すような光沢特性になってしまう。これは、横軸は階調レベル(階調)、縦軸に光沢性(光沢度)を示しており、出力紙は光沢紙である。この特性は画像変調方式として一般的な面積階調方式を採用する場合に起こり易い。
【0015】
この現象が起こる際の簡単な原理を図19に示す。面積階調方式を用いる場合、トナー像には、べた画像に至るまでの間はかならず、画像に境界部分(t)が発生し、その境界部分(t)が長いほど光を乱反射させることとなり、光沢紙に画像形成する場合には、隠蔽率との兼ね合いで、中間調部分の光沢が最も低くなってしまう。
【0016】
また、二つ目としては、画像の境界部分(t)の乱反射を防ぐために、画像部分の高さ(h)を減らす方式があり、この場合の問題点としては、高さ(h)を減らすことでのノイズが発生することが挙げられる。この方式で形成した定着画像は、光沢性だけに着目すると図20に実線で示すようなほぼ理想的な光沢特性を示すが、一方で図21に示すように粒状性が大きく悪化してしまう。
【0017】
この問題を防ぐ手段として、透明トナーを使用して現像する方式が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0018】
しかしながら、この方式では、光沢性を向上させるためだけに透明トナー分のコストや透明トナーの現像装置等のコストが上乗せされてしまい、ランニングコストやイニシャルコストのアップという別の問題が発生してしまう。
【0019】
そこで、本発明の目的は、ユーザの出力したい光沢度に合わせて、光沢を適正に制御することができ、また、その他の重要な因子である、粒状性や、コストなど、どのバランスも最適な制御を行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、静電像が形成される1個以上の像担持体と、前記像担持体の静電像を可視像とするためのトナーを含む現像剤が装填された複数の現像装置と、を備え、前記複数の現像装置は、一つの現像装置に装填されたトナーとは同一色相で濃度の異なるトナーが装填された現像装置を含み、前記同一色相で濃度の異なるトナーを組み合わせて画像形成可能で、前記像担持体上に形成された可視像を記録媒体に転写する画像形成装置において、
光沢特性に関して高低の関係にある画像形成を行う少なくとも2つの画像形成モードを有し、
高光沢特性にて画像形成する場合には、低光沢特性にて画像形成する場合に比べ、同一色相で濃度の相対的に低いトナーの使用比率を上げることを特徴とする画像形成装置である。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、高光沢に画像形成する場合には、中間調以上の部分での同一色相で濃度の異なるトナーの合計使用量を一定にする。
【0022】
本発明の他の実施態様によれば、同一色相で濃度の異なる複数のトナーの組み合わせが2種類以上ある。
【0023】
本発明の他の実施態様によれば、備えられる現像装置のうちの4つの現像装置には、装填される現像剤の分光特性がそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを表現するものである。
【0024】
本発明の他の実施態様によれば、少なくとも2個の現像装置に装填される現像剤中のトナーは、その中に含まれる顔料の分光特性が等しくその量が異なるものである。
【0025】
本発明の他の実施態様によれば、同一色相で濃度の薄いトナーは記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき定着後の光学濃度が1.0未満であり、濃いトナーは記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき定着後の光学濃度が1.0以上である。
【0026】
本発明の他の実施態様によれば、高光沢に画像形成する場合には、記録媒体上の画像を定着するための定着装置の動作速度を通常の動作速度に比べ遅くする。
【0027】
本発明の他の実施態様によれば、前記像担持体は複数設けられ、各々の像担持体に対応して現像装置が1個以上配置される。
【0028】
本発明の他の実施態様によれば、2個の像担持体にそれぞれ3個づつの現像装置を配している。
【0029】
本発明の他の実施態様によれば、各像担持体の対応づけられる複数の現像装置は、回転体に具備され、回転体が回転することで、現像する現像装置を切り替える。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0031】
実施例1
図1に、本発明の画像形成装置の一実施例である電子写真方式のフルカラー画像形成装置の概略断面構成を示す。本実施例のフルカラー画像形成装置は、上部にデジタルカラー画像リーダ部1Rを、下部にデジタルカラー画像プリンタ部1Pを有する。
【0032】
リーダ部1Rにおいて、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33により、フルカラーCCDセンサ34に集光しカラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、不図示の増幅回路を経て、不図示のビデオ処理ユニットにて画像処理を施され不図示の画像メモリを介してプリンタ部1Pに送出される。
【0033】
プリンタ部1Pには、リーダ部1Rからの信号のほか、コンピュータからの画像信号、FAXからの画像信号なども同様に送出されてくる。
【0034】
本実施例では、一例として、リーダ部1Rからの信号に基づきプリンタ部1Pが動作するものとして説明する。
【0035】
プリンタ部1Pにおいて、像担持体である2つの感光ドラム1a、1bは、各々図中矢印方向に回転自在に担持され、それぞれの感光ドラム1a、1bの周りに、前露光ランプ11a、11b、コロナ一次帯電器2a、2b、レーザ露光光学系3a、3b、電位センサ12a、12b、回転式現像装置保持部、即ち、回転体4a、4b、及び、各々の回転体4a、4bに分光特性の異なるトナーを装填された3個の現像装置41、42、43及び44、45、46、転写装置5a、5b、クリーニング器6a、6bを配置する。
【0036】
現像装置41〜46にて、現像装置41にはマゼンタ(M)トナー、現像装置42にはシアン(C)トナー、現像装置43には薄いマゼンタ(LM)トナー、現像装置44にはイエロー(Y)トナー、現像装置45にはブラック(K)トナー、現像装置46には薄いシアン(LC)トナーが装填されている。その他に、金、銀などのメタリック系トナーや、蛍光剤を含むトナーを装填した現像装置を設けることも可能である。
【0037】
また、本実施例にて、現像装置41〜46にはトナーとキャリアを混合させて用いる2成分現像剤が装填されているが、トナーのみの1成分現像剤でも問題はない。
【0038】
また、現像装置の数は本実施例では6個であるが、4個以上であればいくつでも構わない。
【0039】
本実施例のように、マゼンタとシアンに対して、濃い色と薄い色とを用いた場合には、一般に粒状性の低減を達成し得ることが知られている。
【0040】
レーザ露光光学系3(3a、3b)においてリーダ部1Rからの画像信号は、不図示のレーザ出力部にて光信号に変換され、光信号に変換されたレーザ光がポリゴンミラーで反射され、レンズ及び各反射ミラーを経て感光ドラム1a、1bの面に投影される。
【0041】
プリンタ部画像形成時には感光ドラム1a、1bを矢印方向に回転させ、前露光ランプ11a、11b、で除電した後の感光ドラム1a、1bを一次帯電器2a、2b、により一様に帯電させて、それぞれの分解色ごとに露光し、感光ドラム1a、1b上に静電像を形成する。
【0042】
次に、回転体4a、4bを回転させ、所定の現像装置を感光ドラム1a、1b上の現像位置に移動させ、その後に現像装置を作動させて、感光ドラム1a、1b上の潜像を現像し、感光ドラム1a、1b上に樹脂と顔料を基体とした可視像(トナー像)を形成する。
【0043】
本実施例の画像形成装置は、このように構成することで、露光部から現像部までの距離を常に色によらず一定にすることが可能となり、色による出力画像特性の差が発生しにくい構成になっている。
【0044】
また、現像装置内のトナーは、図1に示すようにレーザ露光光学系3a、3bの間、及び、レーザ露光光学系3bの横に配置された各色毎のトナー収容部(ホッパー)61〜66から現像装置内のトナー比率(或いは、トナー量)を一定に保つように所望のタイミングにて随時補給される。
【0045】
感光ドラム1a、1b上に形成されたトナー像は、それぞれの転写装置5a、5bにおいて中間転写体としての中間転写ベルト5に一次転写され、そしてこの中間転写ベルト5上でそれぞれのトナー像が順次重ねられる。
【0046】
中間転写ベルト5は、駆動ローラ51、従動ローラ52、及び、ローラ53、54の間に張設され、駆動ローラ51によって駆動されている。また、中間転写ベルト5を挟んだ対向位置に転写クリーニング装置50を配置し、駆動ローラ51に対して接離可能に構成する。
【0047】
また、従動ローラ52の対向位置には、それぞれの感光ドラム1a、1bから転写された画像の位置ズレ及び濃度の検知を行う検知センサ55が配置されており、随時各画像形成部に画像濃度、トナー補給量、画像書き込みタイミング、及び画像書き込み開始位置等に対して補正を行っている。
【0048】
転写クリーニング装置50は、中間転写ベルト5上に必要色だけ画像を重ね終えた後に、駆動ローラ51に加圧され、転写材に転写した後の中間転写ベルト5上の残トナーをクリーニングする。
【0049】
一方、転写材は、各収納部71、72、73、或いは、手差し給紙部74から各々の給紙手段81、82、83或いは84によって一枚ずつ搬送され、レジストローラ85にて斜行を補正し、所望のタイミングにて中間転写ベルト5上のトナー像を転写材に転写する二次転写部56に搬送される。
【0050】
二次転写部56にて転写材上にトナー像が転写され、転写材は搬送部86を通り、熱ローラ定着装置9にてトナー像を定着され、排紙トレー或いは後処理装置に排出される。
【0051】
本画像形成装置にて、定着装置9の熱ローラの表層はゴムではなく、フッ素系樹脂チューブで覆っている。このような構成にすることで、長寿命化を図っている。
【0052】
定着の圧力としては、トナー高さをつぶさないような軽圧の設定を採用している。
【0053】
他方、二次転写後の中間転写ベルト5は、前述のように転写残トナーを転写クリーニング装置50にてクリーニングされ、再び各画像形成部の一次転写工程に供する。
【0054】
また、転写材の両面に画像を形成する場合には、定着装置9を転写材が通過後すぐに搬送パスガイド91を駆動し、転写材を搬送パス75を経て反転パス76にいったん導いた後、反転ローラ87の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに退出させ、両面搬送パス77へと送られる。その後、両面搬送パス77を通過し両面搬送ローラ88にて斜行補正とタイミング取りを行い、所望のタイミングにてレジストローラ85へと搬送され、再び上述した画像形成工程によってもう一方の面に画像を転写する。
【0055】
ここで、本画像形成装置の画像形成モードに関して説明する。
【0056】
本画像形成装置は、前述したようにシアン、マゼンタに関しては、同一色相で濃度の異なる濃いトナー(以下「濃トナー」という。)と、薄いトナー(以下「淡トナー」という。)の2種類を具備している。
【0057】
尚、同一色相で濃度の異なるトナーとは、通常、樹脂と発色成分(顔料)とを基体とするトナーの中に含まれる発色成分(顔料)の分光特性が等しく、その量が異なるトナーをいう。淡トナーとは、同一色相で濃度の異なるトナーの組み合わせの中、濃度が相対的に低い方のものをいう。
【0058】
また、同一色相とは、上述のように、発色成分(顔料)の分光特性が同一であるものを言うが、厳密に同一でなくても、一般的にマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックなどのように、通常の色概念上同一色と呼べる範囲とする。
【0059】
本発明にて、同一色相で濃度の薄いトナー(淡トナー)は記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき、定着後の光学濃度が1.0未満であり、濃いトナー(濃トナー)は記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき、定着後の光学濃度が1.0以上である。
【0060】
本実施例では、濃トナーは、トナーの記録媒体上での載り量が0.5mg/cm2の際に定着後光学濃度が1.6となるように顔料の量を調整している。また、淡トナーは載り量0.5mg/cm2で定着後の光学濃度が0.8となるように設計されている。この濃淡2種類のトナーをうまく混合させて、シアン、マゼンタの階調を再現している。
【0061】
本画像形成装置における画像信号処理の基本的なフローチャートを図2に示す。
【0062】
本実施例によると、図2に示すように、入力されたRGB等の画像信号は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に色変換し、そのC、M、Y、Kの画像信号を、例えば、詳しくは後述するが、図6、図7に示すようなルックアップテーブル(以下「LUT」という。)処理で濃淡分割する(濃淡分割LUT処理)。その後、濃淡それぞれのガンマ補正変換処理を行い、レーザドライバを駆動し、画像出力している。
【0063】
また、本画像形成装置の画像変調方式は200lpiを用いており、一般に光沢紙に画像形成した場合のトナー載り量(濃度)と光沢との関係は図3に示すような形になっている。
【0064】
ここで、本実施例に従った画像形成動作について説明する。
【0065】
図4に本実施例での画像形成動作のフローチャートを示す。本実施例によれば、図4の制御フロー図に示すように、光沢に関しては2つのモード、即ち、標準モードと、高光沢モードとを持って画像形成を行っている。
【0066】
標準モードは、上質紙などのような光沢の低い紙に画像形成する場合を想定しており、光沢性やランニングコストなどのバランスの良いレベルで制御している。このモードにおいては、濃淡分割LUT処理を図7に示すようなLUTを用いて行う。これにより、上質紙や、光沢の低い紙ではまったく問題のない光沢性を得ることができる。しかし、光沢の高い紙を用いた場合には、図5に実線で示すような光沢特性になってしまう。
【0067】
そこで、本実施例では、標準モード以外に高光沢モードを持ち、上述した問題に対応している。
【0068】
高光沢モードでは、主に光沢の高い紙への画像形成を想定しており、濃淡分割LUT処理を図6に示すようなLUTを用いて行う。
【0069】
図8に入力信号に対する濃淡分割後のトナーの載り量の合計の関係を示す。高光沢モードは、図6に示すように、濃トナーを画像形成し始める階調を図7に示す標準モードより遅くすることにより、図8のように、より早くトナーの載り量が飽和し、光沢が均一な領域が増える。この高光沢モードでの光沢特性のグラフを図9に示す。ここでの光沢度は、60度光沢計を用いて測定している。
【0070】
ここまで述べてきた色変換・濃淡分割LUT処理を図10に示すようなフローチャート中に示すダイレクトマッピング処理部で代替することも可能である。この場合の標準モードと高光沢モードでの差異は前記したものと同様である。ここでのダイレクトマッピング処理はRGB入力をC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)、LC(淡シアン)、LM(淡マゼンタ)の6色に直接変換するものである。そのマッピングの内容をモードにより変えており、標準モードに比べ高光沢モードの淡トナー使用量を高くするように設計している。
【0071】
また、粒状性に関しては、本画像形成装置の定着構成としてトナー高さを減少させない軽圧の設定を採用しているために、光沢特性を向上させても粒状性の劣化は生じない。つまり、光沢特性と粒状性の両立が可能となっているのである。
【0072】
以上、説明したように本発明により、濃淡分割を適正に行うことで粒状性の劣化無く高光沢の紙に画像形成する際の光沢特性を良好にし、また、必要に応じた光沢性を得るために濃淡分割処理を行うことにより、ランニングコストと画質の両立を図ることが可能となる。
【0073】
実施例2
図11に、本発明の他の実施例の画像形成装置の概略断面構成を示す。本実施例の画像形成装置は、6つの像担持体1a、1b、1c、1d、1e、1fを備えたタンデム型の構成とされる。
【0074】
本実施例の画像形成装置にて、実施例1の画像形成装置と同様の作用をなす部材には同じ参照番号を付し、次に、本実施例の画像形成装置の構成を説明する。
【0075】
図11に示すように、画像形成装置は、6個の現像装置と、6つの像担持体としての感光ドラムを持つ。
【0076】
つまり、本実施例によると、フルカラー画像形成装置は、上部にデジタルカラー画像リーダ部1Rを、下部にデジタルカラー画像プリンタ部1Pを有する。
【0077】
リーダ部1Rにおいて、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33により、フルカラーCCDセンサ34に集光しカラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、不図示の増幅回路を経て、不図示のビデオ処理ユニットにて画像処理を施され不図示の画像メモリを介してプリンタ部1Pに送出される。
【0078】
プリンタ部1Pには、リーダ部1Rからの信号のほか、コンピュータからの画像信号、FAXからの画像信号なども同様に送出されてくる。
【0079】
本実施例では、一例として、リーダ部1Rからの信号に基づきプリンタ部1Pが動作するものとして説明する。
【0080】
プリンタ部1Pにおいて、像担持体である6つの感光ドラム1(1a、1b、1c、1d、1e、1f)は、各々図中矢印方向に回転自在に担持され、それぞれの感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1fの周りに、前露光ランプ11(11a、11b、11c、11d、11e、11f)、コロナ一次帯電器2(2a、2b、2c、2d、2e、2f)、レーザ露光光学系3(3a、3b、3c、3d、3e、3f)、電位センサ12(12a、12b、12c、12d、12e、12f)、分光特性の異なるトナーを装填された6個の現像装置40(41、42、43、44、45、46)、転写装置5A(5a、5b、5c、5d、5e、5f)、クリーニング器6(6a、6b、6c、6d、6e、6f)を配置する。
【0081】
本実施例では、6つの像担持体1(1a、1b、1c、1d、1e、1f)、及び、各像担持体1(1a、1b、1c、1d、1e、1f)の回りに配置された前露光ランプ11、コロナ一次帯電器2、レーザ露光光学系3、電位センサ12、6個の現像装置40、転写装置5A、クリーニング器6などにて6つの画像形成部が形成されているが、画像形成部の数は本実施例の6個に限定されるものではなく、4個以上であればいくつでも構わない。
【0082】
本実施例では、現像装置41〜46にて、現像装置41には薄いマゼンタ(LM)トナー、現像装置42には薄いシアン(LC)トナー、現像装置43にはイエロー(Y)トナー、現像装置44にはマゼンタ(M)トナー、現像装置45にはシアン(C)トナー、現像装置46にはブラック(K)トナーが装填されている。
【0083】
また、本実施例にて、現像装置41〜46にはトナーとキャリアを混合させて用いる2成分現像剤が装填されているが、トナーのみの1成分現像剤でも問題はない。本実施例では、実施例1と同じ現像剤、即ち、マゼンタ(M)トナー、シアン(C)トナー、イエロー(Y)トナー、薄いマゼンタ(LM)トナー、薄いシアン(LC)トナーを用いた。
【0084】
レーザ露光光学系、即ち、スキャナー3(3a、3b、3c、3d、3e、3f)において、リーダ部1Rからの画像信号は、不図示のレーザ出力部にて光信号に変換され、光信号に変換されたレーザ光がポリゴンミラーで反射され、レンズ及び各反射ミラーを経て感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1fの面に投影される。
【0085】
プリンタ部画像形成時には感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1fを矢印方向に回転させ、前露光ランプ11a、11b、11c、11d、11e、11fで除電した後の感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1fを一次帯電器2a、2b、2c、2d、2e、2fにより一様に帯電させて、それぞれの分解色ごとに露光し、感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1f上に静電像を形成する。
【0086】
次に、現像装置41、42、43、44、45、46を作動させて、感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1f上の潜像を現像し、感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1f上に樹脂と顔料を基体とした可視像(トナー像)を形成する。
【0087】
現像装置内のトナーは、図11に示すように、レーザ露光光学系3に隣接して配置された各色毎のトナー収容部(ホッパー)61〜66から現像装置内のトナー比率(或いは、トナー量)を一定に保つように所望のタイミングにて随時補給される。
【0088】
感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e、1f上に形成されたトナー像は、それぞれの転写装置5a、5b、5c、5d、5e、5fにおいて中間転写体としての中間転写ベルト5に一次転写され、そしてこの中間転写ベルト5上でそれぞれのトナー像が順次重ねられる。
【0089】
中間転写ベルト5は、駆動ローラ51、従動ローラ52、及び、ローラ54の間に張設され、駆動ローラ51によって駆動されている。また、中間転写ベルト5を挟んだ対向位置に転写クリーニング装置50を配置し、駆動ローラ51に対して接離可能に構成する。
【0090】
転写クリーニング装置50は、中間転写ベルト5上に必要色だけ画像を重ね終えた後に、駆動ローラ51に加圧され、転写材に転写した後の中間転写ベルト5上の残トナーをクリーニングする。
【0091】
一方、記録媒体である転写材は、各収納部71、72、73、或いは、手差し給紙部74から各々の給紙手段81、82、83或いは84によって一枚ずつ搬送され、レジストローラ85にて斜行を補正し、所望のタイミングにて中間転写ベルト5上のトナー像を転写材に転写する二次転写部56に搬送される。
【0092】
二次転写部56にて転写材上にトナー像が転写され、転写材は搬送部86を通り、熱ローラ定着装置9にてトナー像を定着され、排紙トレー或いは後処理装置に排出される。
【0093】
他方、二次転写後の中間転写ベルト5は、前述のように転写残トナーを転写クリーニング装置50にてクリーニングされ、再び各画像形成部の一次転写工程に供する。
【0094】
また、転写材の両面に画像を形成する場合には、定着装置9を転写材が通過後すぐに搬送パスガイド91を駆動し、転写材を搬送パス75を経て反転パス76にいったん導いた後、反転ローラ87の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに退出させ、両面搬送パス77へと送られる。その後、両面搬送パス77を通過し両面搬送ローラ88にて斜行補正とタイミング取りを行い、所望のタイミングにてレジストローラ85へと搬送され、再び上述した画像形成工程によってもう一方の面に画像を転写する。
【0095】
このように、本実施例の画像形成装置も又、実施例1にて説明した図1に示す画像形成装置と同様の作用を行い、画像形成を行う。
【0096】
次に、本実施例における、光沢性に関するモードでの画像形成装置の画像形成動作制御に関して説明する。
【0097】
本実施例における光沢に関するモードは、本実施例での画像形成装置のフローチャートを示す図12にて理解されるように、低光沢モード、中光沢モード及び高光沢モードの3モードあり、光沢の高さに応じて分けている。
【0098】
つまり、本実施例によると、入力されたRGB等の画像信号は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に色変換し、そのC、M、Y、Kの画像信号を、3つのモードに従って、ルックアップテーブル(LUT)処理で濃淡分割する(濃淡分割LUT処理)。その後、濃淡それぞれのガンマ補正変換処理を行いレーザドライバを駆動し、画像出力する。
【0099】
更に説明すると、本実施例では、図12に示すように、画像形成モードの1つ目は上質紙などに画像形成することを想定した低光沢モード、2つ目は光沢度が40までの中光沢モード、3つ目は光沢度が40以上の高光沢モードである。本実施例にて、濃淡分割LUTは、低光沢モードが図7に示すものを使用し、中光沢モード及び高光沢モードは図6に示すものを使用する。
【0100】
次に、それぞれのモードでの画像形成装置の動作速度に関する制御に関して述べる。
【0101】
本画像形成装置は、図12に示すように、標準の低光沢モード時は200mm/secで動作している。しかし、その速度で、定着を行うと、光沢紙における光沢が20程度までしか上がらず、やや低めとなってしまう。そこで、本実施例においては、画像形成装置の画像形成速度、即ち、少なくとも定着速度を変化させ、中光沢モードでは150mm/sec、高光沢モードでは100mm/secで動作させている。
【0102】
このように構成することで、それぞれのモードでの光沢特性が図13に示すようになり、最適化されている。これは、画像形成装置の定着速度が大きく影響している。
【0103】
また、一般的に出力用紙の厚さに応じて画像形成速度、即ち、少なくとも定着速度を変えることが行われているが、本画像形成装置でも同様の制御を行っており、150g/m2以上の紙においては標準の低光沢モードでの画像形成速度が100mm/secとなるため、中光沢モードの画像形成速度は75mm/sec、高光沢モードの画像形成速度は50mm/secとされる。
【0104】
このように画像形成速度(少なくとも定着速度)を濃淡の分割割合に合わせて制御することで、適正に光沢特性を制御することが可能となる。
【0105】
上記実施例1、2では、本発明の画像形成装置は、図1及び図11に示す構成の画像形成装置であるとして説明したが、図15及び図16に示す構成の画像形成装置においても同様に実施することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、静電像が形成される1個以上の像担持体と、像担持体の静電像を可視像とするためのトナーを含む現像剤が装填された複数の現像装置と、を備え、複数の現像装置は、一つの現像装置に装填されたトナーとは同一色相で濃度の異なるトナーが装填された現像装置を含み、同一色相で濃度の異なるトナーを組み合わせて画像形成可能で、像担持体上に形成された可視像を記録媒体に転写する画像形成装置において、光沢特性に関して高低の関係にある画像形成を行う少なくとも2つの画像形成モードを有し、高光沢特性にて画像形成する場合には、低光沢特性にて画像形成する場合に比べ、同一色相で濃度の相対的に低いトナーの使用比率を上げる構成とされるので、
(1)高光沢に画像形成する場合には、通常の画像形成する場合に比べて、光沢特性を向上させ、また高光沢の必要がない場合にはトナー消費量を低減させることで、光沢性とランニングコストの両立を可能とする。
(2)また、光沢の高さに応じて、画像形成速度(少なくとも定着速度)を制御することでより最適な光沢特性を得ることが可能である。
といった効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるフルカラー画像形成装置の概略構成断面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の制御方法の基本的なフローチャートである。
【図3】本発明の実施例1におけるトナー載り量と光沢との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例1における制御フローチャートである。
【図5】本発明の実施例1における標準モードで光沢の高い用紙に画像形成した場合の光沢特性を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における高光沢性モードでの濃淡分割LUTの形を示す図である。
【図7】本発明の実施例1における標準モードでの濃淡分割LUTの形を示す図である。
【図8】本発明の実施例1における入力信号に対する濃淡合計のトナー載り量を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例1における高光沢モードで光沢の高い用紙に画像形成した場合の光沢特性を示す図である。
【図10】本発明の制御フローチャートの他の実施例である。
【図11】本発明の実施例2におけるフルカラー画像形成装置の概略構成断面図である。
【図12】本発明の実施例2における制御フローチャートである。
【図13】本発明の実施例2における高光沢モード、中光沢モード及び低光沢モードで光沢の高い用紙に画像形成した場合の光沢特性を示す図である。
【図14】6色画像形成装置の構成をタンデム型で実現した画像形成装置の概略断面構成図である。
【図15】6色画像形成装置の構成を1つの感光ドラムで実現した画像形成装置の概略断面構成図である。
【図16】2つの感光ドラムで実現した画像形成装置の概略断面構成図である。
【図17】2つの感光ドラムで実現した回転現像装置が設けられた画像形成装置の概略断面構成図である。
【図18】従来のトナー載り量と光沢との関係を示す図である。
【図19】面積階調方式での光沢特性のメカニズムを説明する図である。
【図20】従来のトナー高さを減らす方式での光沢特性を示す図である。
【図21】トナー高さを減らす方式での光沢特性と粒状性との関係を示す図である。
【符号の説明】
1(1a〜1f) 感光ドラム(像担持体)
2(2a〜2f) 帯電器
3(3a〜3c) 露光装置
4(4a、4b) 回転体(回転式現像装置保持部)
5 中間転写ベルト(中間転写体)
9 定着装置
40(41〜46) 現像装置
Claims (10)
- 静電像が形成される1個以上の像担持体と、前記像担持体の静電像を可視像とするためのトナーを含む現像剤が装填された複数の現像装置と、を備え、前記複数の現像装置は、一つの現像装置に装填されたトナーとは同一色相で濃度の異なるトナーが装填された現像装置を含み、前記同一色相で濃度の異なるトナーを組み合わせて画像形成可能で、前記像担持体上に形成された可視像を記録媒体に転写する画像形成装置において、
光沢特性に関して高低の関係にある画像形成を行う少なくとも2つの画像形成モードを有し、
高光沢特性にて画像形成する場合には、低光沢特性にて画像形成する場合に比べ、同一色相で濃度の相対的に低いトナーの使用比率を上げることを特徴とする画像形成装置。 - 高光沢に画像形成する場合には、中間調以上の部分での同一色相で濃度の異なるトナーの合計使用量を一定にすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 同一色相で濃度の異なる複数のトナーの組み合わせが2種類以上あることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 備えられる現像装置のうちの4つの現像装置には、装填される現像剤の分光特性がそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを表現するものであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像形成装置。
- 少なくとも2個の現像装置に装填される現像剤中のトナーは、その中に含まれる顔料の分光特性が等しくその量が異なるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 同一色相で濃度の薄いトナーは記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき定着後の光学濃度が1.0未満であり、濃いトナーは記録媒体上でのトナー量が0.5mg/cm2につき定着後の光学濃度が1.0以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 高光沢に画像形成する場合には、記録媒体上の画像を定着するための定着装置の動作速度を通常の動作速度に比べ遅くすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体は複数設けられ、各々の像担持体に対応して現像装置が1個以上配置されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 2個の像担持体にそれぞれ3個づつの現像装置を配していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 各像担持体の対応づけられる複数の現像装置は、回転体に具備され、回転体が回転することで、現像する現像装置を切り替えることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
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