JP2004148040A - 着用物品の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性部材の部位による伸び率のバラツキを防止して、ウエブに転写することのできる着用物品の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】弾性部材Ｘを低速度ＶＬ で取り込み一定の中速度ＶＭ で送出する供給手段１と、弾性部材Ｘを順次受け取るパッドＰｉを有する搬送手段２と、弾性部材Ｘを分割するカッタ３と、ウエブＷを中速度ＶＭ よりも大きい概ね一定の高速度ＶＨ で搬送しながら、弾性部材ＸをパッドＰｉ上からウエブＷ上に転写させる支持手段４とを備え、搬送手段２の各パッドＰｉが低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の速度Ｖ２ で弾性部材Ｘを供給手段１から受け取り、速度Ｖ２ よりも大きい高速度ＶＨ で弾性部材ＸをウエブＷ上に転写させることを特徴とする。
【選択図】 図１
【解決手段】弾性部材Ｘを低速度ＶＬ で取り込み一定の中速度ＶＭ で送出する供給手段１と、弾性部材Ｘを順次受け取るパッドＰｉを有する搬送手段２と、弾性部材Ｘを分割するカッタ３と、ウエブＷを中速度ＶＭ よりも大きい概ね一定の高速度ＶＨ で搬送しながら、弾性部材ＸをパッドＰｉ上からウエブＷ上に転写させる支持手段４とを備え、搬送手段２の各パッドＰｉが低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の速度Ｖ２ で弾性部材Ｘを供給手段１から受け取り、速度Ｖ２ よりも大きい高速度ＶＨ で弾性部材ＸをウエブＷ上に転写させることを特徴とする。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理ナプキンや紙オムツ・パンツのような使い捨て着用物品の製造装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
【０００３】
【特許文献１】
特開平８−１９７４９８号公報 （第２−７頁，第１図）
【０００４】
【特許文献２】
特表平８−５１１７０７号公報 （第２−１１頁，第３図）
【０００５】
【特許文献３】
特表平１１−５０３０６０号公報 （第２−２２頁，第２図）
【０００６】
【特許文献４】
特表平１１−５０４２２８号公報 （第２−１７頁，第１図）
【０００７】
【発明の背景】
使い捨て着用物品においては、着用者の種々の部位にフィットさせるために、シートの表面に弾性部材を配置してギャザを形成している。前記弾性部材は、可能な限り均等な伸び率でシートの表面に配置されるのが好ましい。伸び率が著しく不均等な部分があると、着用感の悪化や体液漏れなどの要因となるからである。
【０００８】
しかし、従来の着用物品の製造装置や製造方法では、弾性部材の伸び率を均等化する工夫がなされていない（例えば、特許文献１〜４参照）。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、弾性部材の部位による伸び率のバラツキを防止して、ウエブに転写することのできる着用物品の製造装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明のある製造装置は、弾性部材を低速度ＶＬ で取り込み、伸張された状態の前記弾性部材を概ね一定の中速度ＶＭ で送出する供給手段と、所定の経路を周回しながら、前記弾性部材を前記供給手段から順次受け取る複数のパッドを有する搬送手段と、前記搬送手段による前記弾性部材の搬送中に前記弾性部材を切断することで、前記搬送手段における前記複数のパッドごとに弾性部材を分割するカッタと、ウエブ（被転写部材の一例）を支持すると共にウエブを前記中速度ＶＭ よりも大きい概ね一定の高速度ＶＨ で搬送しながら、前記切断された弾性部材を前記パッド上から前記ウエブ上に転写させるのを可能とする支持手段とを備え、前記搬送手段の各パッドが前記低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の速度Ｖ２ で前記弾性部材を前記供給手段から受け取り、前記各パッドが前記速度Ｖ２ よりも大きい前記高速度ＶＨ で前記弾性部材を前記ウエブ上に転写させてもよい。
【００１１】
本発明においては、前記装置を用いて、以下のような工程を経て着用物品を製造することが可能である。
【００１２】
先行の第１パッドが弾性部材を受け取った後に、後行の第２パッドが弾性部材を受け取る。
第１パッドおよび第２パッドが弾性部材を搬送しながら、第１パッドの後端に第２パッドの前端が接近ないし接触する。
前記接近ないし接触した状態で、前記第１パッドの後端部から第２パッドの前端部の間において、前記カッタが前記弾性部材を切断する。
前記切断された弾性部材を前記第１パッドが前記ウエブに転写する位置まで増速しながら搬送する。
前記転写位置において、前記弾性部材を前記ウエブ上に転写する。
【００１３】
本発明においては、前記搬送手段の各パッドのうち、一つのパッドが前記供給手段から前記弾性部材を受け取り始めてから受け取り終わるまでの間、当該パッドの周速度Ｖ２ は概ね一定であってもよい。これにより、弾性部材の部位による伸び率（伸び）にバラツキが生じにくくなる。
ここで「伸び率」とは、弾性部材に加えられた外力によって、当該弾性部材が伸張された度合のことをいい、一般に、部材内に生じる応力に比例する。
【００１４】
前記パッドの周速度Ｖ２ は前記中速度ＶＭ に概ね等しい値に設定されていてもよい。これにより、供給手段から搬送手段に弾性部材が移送される間において、弾性部材の伸び率に変化がないので、更に、伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１５】
前記搬送手段の各パッドのうちの一つのパッドが前記ウエブ上に前記弾性部材を受け渡し始めてから受け渡し終わるまでの間、当該パッドの周速度は、概ね一定の高速度ＶＨ であってもよい。これにより、搬送手段からウエブに弾性部材が移載される間に弾性部材の伸び率の変化がないので、更に、伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１６】
本発明においては、先行の前記パッドが前記速度Ｖ２ で前記弾性部材を受け取り終わった後に、当該先行のパッドの周速度が減速されて、当該先行のパッドの後端に、後行のパッドの前端が接近ないし接触し、該接近ないし接触した状態で前記カッタが前記弾性部材を切断して、前記弾性部材を２つのパッドに対応させて切り分けてもよい。
パッド間で弾性部材を切断することができ、パッド上の弾性部材の部位による伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１７】
前記各パッドの前端または後端に、前記カッタの刃が当接するアンビルを有していてもよい。
【００１８】
一方、本発明のある製造装置は、弾性部材を伸張し、送出する供給手段と、前記伸張された弾性部材を切断する切断手段と、前記切断された弾性部材を搬送可能な第１パッドと第２パッドを含む複数のパッドを有する搬送手段と、前記パッドにより搬送さた弾性部材を転写する被転写部材を支持する支持手段とを備え、前記第１パッドが連続した弾性部材を受け取り、当該連続した弾性部材が前記第２パッドの少なくとも一部に配置された後、前記切断手段が前記第１パッドと前記第２パッドの間の弾性部材のつながりを断ち切り、切断された弾性部材を前記第１パッドが前記被転写部材に転写する際には、前記第１パッドと前記第２パッドとが所定の距離だけ離間しており、前記切断手段が前記弾性部材を切断する際には、前記第１パッドと前記第２パッドの距離が、前記転写時の所定の距離よりも短くなるようにしてもよい。
【００１９】
本発明の前記弾性部材としては、糸ゴム、平ゴム、網目ゴム、フィルムまたは熱可塑性弾性部材を含む材料を採用してもよい。熱可塑性弾性部材を含む材料としては、ホットメルト樹脂が考えられる。また、フィルムには、複数の穴またはスリットが開けられていてもよい。
【００２０】
本発明において、弾性部材を切断する手段としては、刃をアンビルに押し付ける機械的な手段の他に、ライトカッタを用いてもよい。ライトカッタは弾性部材に赤外線および／または紫外線を照射して前記弾性部材を切断してもよい。また、圧力、熱、紫外線またはこれらの２以上によって、弾性部材が切断されてもよい。また、超音波によって弾性部材Ｆが切断されてもよい。
【００２１】
なお、着用物品には、生理用ナプキン、使い捨てオムツ、使い捨てパンツまたは包帯等の着用物品の、製品または半製品が含まれ、さらに、織布、不織布、透液性シートまたは不透液性シートなどのシートの、単体および積層体が含まれてもよい。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図１に示すように、本実施形態の着用物品の製造装置は、供給手段１、搬送手段２、カッタ３および支持手段４を備えている。
【００２３】
上流から供給された弾性部材Ｘは、前記供給手段１によって伸張された状態で下流の搬送手段２に供給される。前記搬送手段２は、弾性部材Ｘを受け取る複数のパッドＰｉを有しており、図２の受取位置ＲＰにおいて弾性部材Ｘを受け取る。前記弾性部材Ｘは、図１の前記カッタ３によって各パッドＰｉごとに分割された後、隣接するパッドＰｉ，Ｐｉ＋１の間隔が広がることにより、弾性部材Ｘ同士の間隔が広がる（リピッチされる）。前記支持手段４は、ウエブＷを支持すると共に搬送する転写ローラ４０を備えている。前記分割された弾性部材Ｘは、パッドＰｉによって、図３の受渡位置ＳＰまで搬送され、転写ローラ４０に支持されたウエブＷ上に転写されて受け渡される。
【００２４】
供給手段１：
図１に示す前記供給手段１は、たとえば、中速度ＶＭ で回転するベルトコンベヤ１０を備えていてもよい。前記中速度ＶＭ よりも遅い低速度ＶＬ で上流から搬入された弾性部材Ｘは、ベルトコンベヤ１０により中速度ＶＭ に加速される。そのため、低速度ＶＬ で搬入された弾性部材Ｘは、ベルトコンベヤ１０によって加速され、低速度ＶＬ と中速度ＶＭ との速度差により伸張される。この伸張状態の弾性部材Ｘは、下流の前記パッドＰｉ上に供給される。パッドＰｉ上の弾性部材Ｘは、カッタ３によって切断される。
【００２５】
カッタ３：
前記カッタ３は、カッタロール３０と、該カッタロール３０の周囲に設けられた複数の刃３１を有している。なお、刃３１は１つであってもよい。
図４に示すように、前記パッドＰｉの回転方向Ｙ１における後端部２６には、前記カッタ３の刃３１（図１（ａ））が当接するアンビル２３が設けられていてもよい。なお、パッドＰｉの前端部２５にアンビル２３が形成されていてもよい。以下の説明では、パッドＰｉの後端部２６にアンビル２３を形成した場合について説明する。
【００２６】
図１（ａ）の前記カッタロール３０の回転により、所定のタイミングで前記アンビル２３に刃３１が当接し、アンビル２３上において弾性部材Ｘが切断される。
なお、前記切断時におけるパッドＰｉ上の弾性部材Ｘの移動速度と刃３１の周速度とを略同じ速度に設定してもよい。速度差があると、刃３１の寿命が短くなるからである。なお、刃３１の寿命を考慮しなければ、パッドＰｉ上の弾性部材Ｘの移動速度と刃３１の周速度とを同じにする必要はない。
【００２７】
搬送手段２：
前記搬送手段２の各パッドＰｉは、たとえば、ドラム２０のまわりに設けられており、矢印で示すように、後述する速度で周回する。なお、各パッドＰｉをコンベヤ上に設けてもよい。
この種の搬送手段の構造については、特開昭６３−３１７５７６号、特表２０００−５１４０２４号に開示されている。
【００２８】
前記パッドＰｉは、たとえばカム機構などを介して、その周速度が変化することにより、前記リピッチを行うが、１つのパッドＰｉの構造について説明し、前記周速度およびその変化については、後述の製造方法の項で説明する。なお、各パッドＰｉは、所定の位相において互いに同じ動作を行う。
図１（ｂ）の搬送手段２の正面図に示すように、前記パッドＰｉを左右に一対設けてもよい。かかる場合には、前記供給手段１から供給された左右一対の弾性部材Ｘを左右の各パッドＰｉがそれぞれ受け取ってもよい。
【００２９】
図４に示すように、パッドＰｉの弾性部材Ｘを保持する保持面２１は、弾性部材Ｘの伸張方向Ｙに沿って円弧状に形成されている。前記保持面２１には、保持手段を構成する複数のエアノズル２２が開口していてもよい。前記エアノズル２２は、図示しないエア源に接続されており、所定のタイミングで、エアノズル２２からエアが吸引され、前記受け取り時において、供給手段１（図１（ａ））から搬送された前記弾性部材Ｘが保持面２１上に保持される。
【００３０】
前記カッタ３によりカットが行われた後、前記受け渡し時において、エアノズル２２の吸引が、パッドＰｉの前端部２５から後端部２６に向って順に解除されてもよい。また、パッドＰｉが前記受渡位置ＳＰに差し掛かると、エアノズル２２の前端部２５から順にエアが吐出され、弾性部材Ｘが前端から順に支持手段４上のウエブＷ上に転写されてもよい。
【００３１】
なお、前記エアノズル２２は、弾性部材Ｘの伸張方向Ｙにおいて、中央部よりも前後の端部２５，２６（両端）における保持力（吸引力）が大きくなるように設定してもよい。前記保持力を変化させる方法として、たとえば、パッドＰｉの中央付近よりも両端部分に密にエアノズル２２を形成することにより、両端の保持力を大きくしてもよい。伸張された弾性部材Ｘをより均一に近い伸張状態で保持するためである。
【００３２】
また、パッドＰｉは、エアノズル２２からなる保持手段の他に、更に以下に述べる保持手段を有していてもよい。
たとえば、弾性部材Ｘがウレタンフォーム等のように表面に微細な凹凸を有する部材の場合、図１（ｂ）の斜線で示す保持面２１（保持手段）に微細な凹凸を形成してもよい。かかる凹凸を得る方法としては、保持面２１上に紙ヤスリ等を貼付してもよいし、保持面２１に直接凹凸を刻んでもよい。
一方、弾性部材Ｘが、たとえばフィルムのように表面が平滑な部材の場合には、保持面（保持手段）２１を平滑に形成し、弾性部材Ｘを保持面２１に密着させてもよい。また、弾性部材Ｘが滑らないようにするために、保持面２１をゴム系の部材で構成してもよい。
【００３３】
さらに、前記保持手段として、たとえば、図５（ａ），（ｂ）に示すように、パッドＰｉの保持面２１から弾性部材Ｘ側に突没自在に設けた針２７ｆ，２７ｂを備えていてもよい。前記針２７ｆ，２７ｂは、第１パッドＰ１の前端部２５と後端部２６に設けられている。供給手段１から弾性部材Ｘを受け取る場合には、図５（ａ）に示すように、前記両針２７ｆ，２７ｂは突出し、弾性部材Ｘにささることにより、弾性部材Ｘの伸張状態を保持する。一方、図５（ｂ）に示すように、受渡時には、まず前端の針２７ｆが引っ込み、次に後端の針２７ｂが引っ込んで弾性部材ＸをウエブＷに転写させる。
【００３４】
また、図１（ａ）に示すように、前記ウエブＷは転写ローラ４０に巻回されて搬送されてもよいし、図５（ｂ）に示すように、転写ローラ４０の接線方向に接触しながら搬送されてもよい。なお、何れの場合にも、弾性部材ＸをウエブＷに転写させるためには、パッドＰｉと転写ローラ４０との間に弾性部材ＸおよびウエブＷを挟んで互いに押しつける必要がある。そのため、転写ローラ４０の周速度は、ウエブＷの搬送速度と略同一であってもよい。
【００３５】
また、前記パッドＰｉは、弾性部材Ｘの受け取り後、該弾性部材Ｘの姿勢を変更するリピッチターン装置であってもよい。かかる場合には、パッドＰｉの保持面２１は、円弧状に湾曲していなくてもよく、平坦に形成してもよい。
【００３６】
ところで、弾性部材Ｘがウレタンフォームである場合、該ウレタンフォームに直接接着材を塗布することは困難である。ウレタンフォーム内に接着材が浸透し、十分な接着力を得られないからである。そのため、かかる場合には、図１（ａ）の前記転写ローラ４０の上流に塗布装置４１を設け、転写するウエブＷ上に接着材を塗布してもよい。なお、フィルムや不織布には直接接着剤を塗布するようにしてもよい。
【００３７】
製造方法：
つぎに、製造方法について説明する。
〔受取工程〕
図２（ａ）に示すように、前記供給手段１は、弾性部材Ｘを低速度ＶＬ で取り込み、前記ベルトコンベヤ１０を介して、伸張された状態の弾性部材Ｘを概ね一定の中速度ＶＭ で送出する。搬送手段２のパッドＰｉ（第１パッドＰ１）は、前記受取位置ＲＰにおいて、前記中速度ＶＭ で送出された伸張状態の弾性部材Ｘを、伸張状態のまま受け取る。
【００３８】
ところで、前記伸張状態の弾性部材Ｘの伸び率を殆ど変化させないように、弾性部材Ｘを第１パッドＰ１が受け取るためには、少なくとも前記受取開始から受取終了までの間、第１パッドＰ１は中速度ＶＭ に概ね等しい一定の受取速度Ｖ２ で移動しもよい。そのため、第１パッドＰ１は、実線で示すように、弾性部材Ｘにパッドの前端部２５が接触してから、該第１パッドＰ１の回転方向Ｙの長さに対応する角度θを移動する間、一定の受取速度Ｖ２ で移動しもよい。かかる場合の前記低速度ＶＬ 、中速度ＶＭ および受取速度Ｖ２ の関係は、以下の（１），（２） 式で表される。
低速度ＶＬ ＜中速度ＶＭ …（１）
中速度ＶＭ ≒受取速度Ｖ２ …（２）
但し、受取速度Ｖ２ ＝中速度ＶＭ ±ΔＶ
なお、前記角度θの間の受取速度Ｖ２ は、中速度ＶＭ よりも若干大きな値でもよいし、中速度ＶＭ よりも若干小さな値でもよい。
【００３９】
かかる受取時の若干前から、後述する受渡時の直前まで、第１パッドＰ１のエアノズル２２からエアが吸引され、これにより、弾性部材Ｘが前記伸張状態で保持面２１上に保持される。
【００４０】
〔接近工程〕
前記受け取り後、第１パッドＰ１が第１減速開始位置Ｄｐ１に移動すると、前記受取速度Ｖ２ で移動していた第１パッドＰ１の減速が開始される。一方、図２（ｂ）に示すように、後行の第２パッドＰ２の前端２５が、受取位置ＲＰに到達し、弾性部材Ｘの受け取りを開始する。かかる時点において、先行の第１パッドＰ１と後行の第２パッドＰ２との間は、所定距離Ｄ開いており、弾性部材Ｘは、第１パッドＰ１の後端２６と第２パッドＰ２の前端２５との間の所定距離Ｄに渡って掛け渡された状態で搬送される。
その後、第１パッドＰ１は更に減速され、図１（ａ）に示すように、当該第１パッドＰ１の後端２６に後行の第２パッドＰ２の前端２５が接近する。
〔切断工程〕
かかる接近した状態で、第１パッドＰ１の後端２６が切断位置ＣＰに差し掛かると、前記カッタ３の刃３１が第１パッドＰ１の後端２６のアンビル２３に当接し、第１パッドＰ１の後端２６と第２パッドＰ２の前端２５との間において弾性部材Ｘが切断される。
なお、前記切断時に第１パッドＰ１の後端２６に第２パッドＰ２の前端２５が接触してもよい。
【００４１】
ここで、前記接近工程において、両パッドＰ１，Ｐ２の間に掛け渡された弾性部材Ｘの部分Ｘａは、前記両パッドＰ１，Ｐ２の接近により、その伸張状態が緩められる。前記弾性部材Ｘは、前記切断工程において、前記カッタ３により、当該緩められた部分Ｘａをカットされるので、カットされた瞬間に張力の大きな変動が生じないから、前記パッドＰ１，Ｐ２上に保持された弾性部材Ｘの伸張状態を変化させることなく弾性部材Ｘを切断することができる。
【００４２】
〔増速搬送工程〕
前記切断後、第１パッドＰ１が加速開始位置Ａｐに移動すると、第１パッドＰ１が増速され、図３（ａ）に示すように、後行の第２パッドＰ２との間隔が開く（リピッチされる）。
〔転写工程〕
その後、前記第１パッドＰ１が受渡位置ＳＰを通過する際に、前端２５から後端２６に向って順次、エアノズル２２（図４）からエアが吐出されると共に、パッドＰｉの保持面２１により弾性部材Ｘが前記転写ローラ４０上のウエブＷ上に押し付けられて転写される。
【００４３】
ところで、図３（ｂ）に示す第１パッドＰ１上の弾性部材Ｘの伸び率を概ね均等に保った状態で、弾性部材ＸをウエブＷ上に転写するためには、少なくとも前記受渡開始から受渡終了までの間、第１パッドＰ１は一定の受渡速度Ｖ３ で移動すると共に、ウエブＷが該受渡速度Ｖ３ に概ね等しい一定の速度で移動されてもよい。そのため、第１パッドＰ１は、少なくとも、該第１パッドＰ１上の弾性部材Ｘの前端がウエブＷに圧接してから、該第１パッドＰ１の進行方向Ｙの長さに対応する角度θを移動する間、一定の受渡速度Ｖ３ で移動してもよい。かかる場合の受渡速度Ｖ３ は、受取速度Ｖ２ よりも大きな高速度ＶＨ に設定するのが好ましい。前記高速度ＶＨ と受渡速度Ｖ３ との関係は、以下の（４） 式で表される。
高速度ＶＨ ≒受渡速度Ｖ３ …（４）
但し、受渡速度Ｖ３ ＝高速度ＶＨ ±ΔＶ
【００４４】
したがって、前記搬送手段２の各パッドＰｉは、前記低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の受取速度Ｖ２ で弾性部材Ｘを供給手段１から受け取り、受取速度Ｖ２ よりも大きい前記高速度ＶＨ で弾性部材ＸをウエブＷ上に転写させる。
なお、弾性部材ＸおよびウエブＷの搬送速度と、パッドＰｉの周速度との関係は、以下の（５） 式で表される速度としてもよい。
低速度ＶＬ ＜中速度ＶＭ （≒受取速度Ｖ２ ）＜高速度ＶＨ （≒受渡速度Ｖ３ ）…（５）
【００４５】
前記受け渡し後、第１パッドＰ１が第２減速開始位置Ｄｐ２に移動すると、第１パッドＰ１が減速され、該第１パッドＰ１が少なくとも図２（ａ）の前記受取位置ＲＰに差し掛かる前に、前記受取速度Ｖ２ まで減速される。
【００４６】
なお、アンビル２３は、必ずしもパッドＰｉの前端２５や後端２６に設ける必要はなく、たとえば、パッドＰｉの前部や後部に設けてもよい。
【００４７】
また、以下に説明するように、アンビルの位置を設定してもよい。
すなわち、図１に示すように、各パッドＰｉは、１つのドラム（回転体）２０を介して、１つの回転軸Ｏを中心に円運動を行ってもよい。前記各パッドＰｉは、支柱１１を介して、それぞれ前記ドラム２０に接続されている。
かかる構成において、図５（ａ）に示すように、前記回転軸Ｏを中心とする１つの円Ｃ上において、前記アンビル２３から前記支柱１１の中心までの距離が、前記アンビル２３が配置されている方とは反対側のパッドＰｉの端部から前記支柱１１の中心までの距離よりも短く設定されてもよい。
すなわち、回転軸Ｏを中心として、アンビル２３と支柱１１の中心とがなす角度θ１が、当該支柱１１の中心とパッドＰｉの前端２５とがなす角度θ２よりも小さく設定されていてもよい。
【００４８】
このように、アンビル２３の位置を設定すれば、アンビル２３にカッタ３による衝撃が加わった際に、支柱１１に生じるモーメントが小さくなるので、装置の耐久性が向上し得る。
【００４９】
なお、アンビルと支柱との距離の関係は、前述の関係とは逆であってもよい。
また、支柱としては、揺動可能なアームのような部材を採用してもよい。
【００５０】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、供給手段において伸張された弾性部材を各パッド上に取り込むので、パッド上の弾性部材の伸び率にバラツキが生じにくい。そのため、得られる製品のギャザの収縮度合が均一に近づく。
また、各パッドごとに弾性部材を切り分けるので、パッド上の弾性部材の伸び率が局所的に小さくなったり、大きくなったりするおそれもない。
更に、各パッドは受取時の速度Ｖ２ よりも大きい高速度ＶＨ で弾性部材を転写させるから、所定の伸び率の弾性部材同士がウエブ上で互いに離間した状態で、弾性部材をウエブ上に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）は本発明にかかる着用物品の製造装置の一実施形態を示す概略側面図、（ｂ）は同搬送手段を示す概略正面図である。
【図２】着用物品の製造方法を示す概略側面図である。
【図３】着用物品の製造方法を示す概略側面図である。
【図４】弾性部材の受け渡し方法を示す概略側面図である。
【図５】他の例にかかる弾性部材の受け渡し方法を示す概略側面図である。
【符号の説明】
１：供給手段
２：搬送手段
３：カッタ
４：支持手段
１１：支柱
２１：保持面（保持手段）
２２：エアノズル（保持手段）
２３：アンビル
２０：ドラム（回転体）
Ｐ１：第１パッド
Ｐ２：第２パッド
Ｐｉ：パッド
Ｖ２ ：受取速度
ＶＨ ：高速度
ＶＬ ：低速度
ＶＭ ：中速度
Ｗ：ウエブ
Ｘ：弾性部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理ナプキンや紙オムツ・パンツのような使い捨て着用物品の製造装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
【０００３】
【特許文献１】
特開平８−１９７４９８号公報 （第２−７頁，第１図）
【０００４】
【特許文献２】
特表平８−５１１７０７号公報 （第２−１１頁，第３図）
【０００５】
【特許文献３】
特表平１１−５０３０６０号公報 （第２−２２頁，第２図）
【０００６】
【特許文献４】
特表平１１−５０４２２８号公報 （第２−１７頁，第１図）
【０００７】
【発明の背景】
使い捨て着用物品においては、着用者の種々の部位にフィットさせるために、シートの表面に弾性部材を配置してギャザを形成している。前記弾性部材は、可能な限り均等な伸び率でシートの表面に配置されるのが好ましい。伸び率が著しく不均等な部分があると、着用感の悪化や体液漏れなどの要因となるからである。
【０００８】
しかし、従来の着用物品の製造装置や製造方法では、弾性部材の伸び率を均等化する工夫がなされていない（例えば、特許文献１〜４参照）。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、弾性部材の部位による伸び率のバラツキを防止して、ウエブに転写することのできる着用物品の製造装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明のある製造装置は、弾性部材を低速度ＶＬ で取り込み、伸張された状態の前記弾性部材を概ね一定の中速度ＶＭ で送出する供給手段と、所定の経路を周回しながら、前記弾性部材を前記供給手段から順次受け取る複数のパッドを有する搬送手段と、前記搬送手段による前記弾性部材の搬送中に前記弾性部材を切断することで、前記搬送手段における前記複数のパッドごとに弾性部材を分割するカッタと、ウエブ（被転写部材の一例）を支持すると共にウエブを前記中速度ＶＭ よりも大きい概ね一定の高速度ＶＨ で搬送しながら、前記切断された弾性部材を前記パッド上から前記ウエブ上に転写させるのを可能とする支持手段とを備え、前記搬送手段の各パッドが前記低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の速度Ｖ２ で前記弾性部材を前記供給手段から受け取り、前記各パッドが前記速度Ｖ２ よりも大きい前記高速度ＶＨ で前記弾性部材を前記ウエブ上に転写させてもよい。
【００１１】
本発明においては、前記装置を用いて、以下のような工程を経て着用物品を製造することが可能である。
【００１２】
先行の第１パッドが弾性部材を受け取った後に、後行の第２パッドが弾性部材を受け取る。
第１パッドおよび第２パッドが弾性部材を搬送しながら、第１パッドの後端に第２パッドの前端が接近ないし接触する。
前記接近ないし接触した状態で、前記第１パッドの後端部から第２パッドの前端部の間において、前記カッタが前記弾性部材を切断する。
前記切断された弾性部材を前記第１パッドが前記ウエブに転写する位置まで増速しながら搬送する。
前記転写位置において、前記弾性部材を前記ウエブ上に転写する。
【００１３】
本発明においては、前記搬送手段の各パッドのうち、一つのパッドが前記供給手段から前記弾性部材を受け取り始めてから受け取り終わるまでの間、当該パッドの周速度Ｖ２ は概ね一定であってもよい。これにより、弾性部材の部位による伸び率（伸び）にバラツキが生じにくくなる。
ここで「伸び率」とは、弾性部材に加えられた外力によって、当該弾性部材が伸張された度合のことをいい、一般に、部材内に生じる応力に比例する。
【００１４】
前記パッドの周速度Ｖ２ は前記中速度ＶＭ に概ね等しい値に設定されていてもよい。これにより、供給手段から搬送手段に弾性部材が移送される間において、弾性部材の伸び率に変化がないので、更に、伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１５】
前記搬送手段の各パッドのうちの一つのパッドが前記ウエブ上に前記弾性部材を受け渡し始めてから受け渡し終わるまでの間、当該パッドの周速度は、概ね一定の高速度ＶＨ であってもよい。これにより、搬送手段からウエブに弾性部材が移載される間に弾性部材の伸び率の変化がないので、更に、伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１６】
本発明においては、先行の前記パッドが前記速度Ｖ２ で前記弾性部材を受け取り終わった後に、当該先行のパッドの周速度が減速されて、当該先行のパッドの後端に、後行のパッドの前端が接近ないし接触し、該接近ないし接触した状態で前記カッタが前記弾性部材を切断して、前記弾性部材を２つのパッドに対応させて切り分けてもよい。
パッド間で弾性部材を切断することができ、パッド上の弾性部材の部位による伸び率のバラツキが小さくなる。
【００１７】
前記各パッドの前端または後端に、前記カッタの刃が当接するアンビルを有していてもよい。
【００１８】
一方、本発明のある製造装置は、弾性部材を伸張し、送出する供給手段と、前記伸張された弾性部材を切断する切断手段と、前記切断された弾性部材を搬送可能な第１パッドと第２パッドを含む複数のパッドを有する搬送手段と、前記パッドにより搬送さた弾性部材を転写する被転写部材を支持する支持手段とを備え、前記第１パッドが連続した弾性部材を受け取り、当該連続した弾性部材が前記第２パッドの少なくとも一部に配置された後、前記切断手段が前記第１パッドと前記第２パッドの間の弾性部材のつながりを断ち切り、切断された弾性部材を前記第１パッドが前記被転写部材に転写する際には、前記第１パッドと前記第２パッドとが所定の距離だけ離間しており、前記切断手段が前記弾性部材を切断する際には、前記第１パッドと前記第２パッドの距離が、前記転写時の所定の距離よりも短くなるようにしてもよい。
【００１９】
本発明の前記弾性部材としては、糸ゴム、平ゴム、網目ゴム、フィルムまたは熱可塑性弾性部材を含む材料を採用してもよい。熱可塑性弾性部材を含む材料としては、ホットメルト樹脂が考えられる。また、フィルムには、複数の穴またはスリットが開けられていてもよい。
【００２０】
本発明において、弾性部材を切断する手段としては、刃をアンビルに押し付ける機械的な手段の他に、ライトカッタを用いてもよい。ライトカッタは弾性部材に赤外線および／または紫外線を照射して前記弾性部材を切断してもよい。また、圧力、熱、紫外線またはこれらの２以上によって、弾性部材が切断されてもよい。また、超音波によって弾性部材Ｆが切断されてもよい。
【００２１】
なお、着用物品には、生理用ナプキン、使い捨てオムツ、使い捨てパンツまたは包帯等の着用物品の、製品または半製品が含まれ、さらに、織布、不織布、透液性シートまたは不透液性シートなどのシートの、単体および積層体が含まれてもよい。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図１に示すように、本実施形態の着用物品の製造装置は、供給手段１、搬送手段２、カッタ３および支持手段４を備えている。
【００２３】
上流から供給された弾性部材Ｘは、前記供給手段１によって伸張された状態で下流の搬送手段２に供給される。前記搬送手段２は、弾性部材Ｘを受け取る複数のパッドＰｉを有しており、図２の受取位置ＲＰにおいて弾性部材Ｘを受け取る。前記弾性部材Ｘは、図１の前記カッタ３によって各パッドＰｉごとに分割された後、隣接するパッドＰｉ，Ｐｉ＋１の間隔が広がることにより、弾性部材Ｘ同士の間隔が広がる（リピッチされる）。前記支持手段４は、ウエブＷを支持すると共に搬送する転写ローラ４０を備えている。前記分割された弾性部材Ｘは、パッドＰｉによって、図３の受渡位置ＳＰまで搬送され、転写ローラ４０に支持されたウエブＷ上に転写されて受け渡される。
【００２４】
供給手段１：
図１に示す前記供給手段１は、たとえば、中速度ＶＭ で回転するベルトコンベヤ１０を備えていてもよい。前記中速度ＶＭ よりも遅い低速度ＶＬ で上流から搬入された弾性部材Ｘは、ベルトコンベヤ１０により中速度ＶＭ に加速される。そのため、低速度ＶＬ で搬入された弾性部材Ｘは、ベルトコンベヤ１０によって加速され、低速度ＶＬ と中速度ＶＭ との速度差により伸張される。この伸張状態の弾性部材Ｘは、下流の前記パッドＰｉ上に供給される。パッドＰｉ上の弾性部材Ｘは、カッタ３によって切断される。
【００２５】
カッタ３：
前記カッタ３は、カッタロール３０と、該カッタロール３０の周囲に設けられた複数の刃３１を有している。なお、刃３１は１つであってもよい。
図４に示すように、前記パッドＰｉの回転方向Ｙ１における後端部２６には、前記カッタ３の刃３１（図１（ａ））が当接するアンビル２３が設けられていてもよい。なお、パッドＰｉの前端部２５にアンビル２３が形成されていてもよい。以下の説明では、パッドＰｉの後端部２６にアンビル２３を形成した場合について説明する。
【００２６】
図１（ａ）の前記カッタロール３０の回転により、所定のタイミングで前記アンビル２３に刃３１が当接し、アンビル２３上において弾性部材Ｘが切断される。
なお、前記切断時におけるパッドＰｉ上の弾性部材Ｘの移動速度と刃３１の周速度とを略同じ速度に設定してもよい。速度差があると、刃３１の寿命が短くなるからである。なお、刃３１の寿命を考慮しなければ、パッドＰｉ上の弾性部材Ｘの移動速度と刃３１の周速度とを同じにする必要はない。
【００２７】
搬送手段２：
前記搬送手段２の各パッドＰｉは、たとえば、ドラム２０のまわりに設けられており、矢印で示すように、後述する速度で周回する。なお、各パッドＰｉをコンベヤ上に設けてもよい。
この種の搬送手段の構造については、特開昭６３−３１７５７６号、特表２０００−５１４０２４号に開示されている。
【００２８】
前記パッドＰｉは、たとえばカム機構などを介して、その周速度が変化することにより、前記リピッチを行うが、１つのパッドＰｉの構造について説明し、前記周速度およびその変化については、後述の製造方法の項で説明する。なお、各パッドＰｉは、所定の位相において互いに同じ動作を行う。
図１（ｂ）の搬送手段２の正面図に示すように、前記パッドＰｉを左右に一対設けてもよい。かかる場合には、前記供給手段１から供給された左右一対の弾性部材Ｘを左右の各パッドＰｉがそれぞれ受け取ってもよい。
【００２９】
図４に示すように、パッドＰｉの弾性部材Ｘを保持する保持面２１は、弾性部材Ｘの伸張方向Ｙに沿って円弧状に形成されている。前記保持面２１には、保持手段を構成する複数のエアノズル２２が開口していてもよい。前記エアノズル２２は、図示しないエア源に接続されており、所定のタイミングで、エアノズル２２からエアが吸引され、前記受け取り時において、供給手段１（図１（ａ））から搬送された前記弾性部材Ｘが保持面２１上に保持される。
【００３０】
前記カッタ３によりカットが行われた後、前記受け渡し時において、エアノズル２２の吸引が、パッドＰｉの前端部２５から後端部２６に向って順に解除されてもよい。また、パッドＰｉが前記受渡位置ＳＰに差し掛かると、エアノズル２２の前端部２５から順にエアが吐出され、弾性部材Ｘが前端から順に支持手段４上のウエブＷ上に転写されてもよい。
【００３１】
なお、前記エアノズル２２は、弾性部材Ｘの伸張方向Ｙにおいて、中央部よりも前後の端部２５，２６（両端）における保持力（吸引力）が大きくなるように設定してもよい。前記保持力を変化させる方法として、たとえば、パッドＰｉの中央付近よりも両端部分に密にエアノズル２２を形成することにより、両端の保持力を大きくしてもよい。伸張された弾性部材Ｘをより均一に近い伸張状態で保持するためである。
【００３２】
また、パッドＰｉは、エアノズル２２からなる保持手段の他に、更に以下に述べる保持手段を有していてもよい。
たとえば、弾性部材Ｘがウレタンフォーム等のように表面に微細な凹凸を有する部材の場合、図１（ｂ）の斜線で示す保持面２１（保持手段）に微細な凹凸を形成してもよい。かかる凹凸を得る方法としては、保持面２１上に紙ヤスリ等を貼付してもよいし、保持面２１に直接凹凸を刻んでもよい。
一方、弾性部材Ｘが、たとえばフィルムのように表面が平滑な部材の場合には、保持面（保持手段）２１を平滑に形成し、弾性部材Ｘを保持面２１に密着させてもよい。また、弾性部材Ｘが滑らないようにするために、保持面２１をゴム系の部材で構成してもよい。
【００３３】
さらに、前記保持手段として、たとえば、図５（ａ），（ｂ）に示すように、パッドＰｉの保持面２１から弾性部材Ｘ側に突没自在に設けた針２７ｆ，２７ｂを備えていてもよい。前記針２７ｆ，２７ｂは、第１パッドＰ１の前端部２５と後端部２６に設けられている。供給手段１から弾性部材Ｘを受け取る場合には、図５（ａ）に示すように、前記両針２７ｆ，２７ｂは突出し、弾性部材Ｘにささることにより、弾性部材Ｘの伸張状態を保持する。一方、図５（ｂ）に示すように、受渡時には、まず前端の針２７ｆが引っ込み、次に後端の針２７ｂが引っ込んで弾性部材ＸをウエブＷに転写させる。
【００３４】
また、図１（ａ）に示すように、前記ウエブＷは転写ローラ４０に巻回されて搬送されてもよいし、図５（ｂ）に示すように、転写ローラ４０の接線方向に接触しながら搬送されてもよい。なお、何れの場合にも、弾性部材ＸをウエブＷに転写させるためには、パッドＰｉと転写ローラ４０との間に弾性部材ＸおよびウエブＷを挟んで互いに押しつける必要がある。そのため、転写ローラ４０の周速度は、ウエブＷの搬送速度と略同一であってもよい。
【００３５】
また、前記パッドＰｉは、弾性部材Ｘの受け取り後、該弾性部材Ｘの姿勢を変更するリピッチターン装置であってもよい。かかる場合には、パッドＰｉの保持面２１は、円弧状に湾曲していなくてもよく、平坦に形成してもよい。
【００３６】
ところで、弾性部材Ｘがウレタンフォームである場合、該ウレタンフォームに直接接着材を塗布することは困難である。ウレタンフォーム内に接着材が浸透し、十分な接着力を得られないからである。そのため、かかる場合には、図１（ａ）の前記転写ローラ４０の上流に塗布装置４１を設け、転写するウエブＷ上に接着材を塗布してもよい。なお、フィルムや不織布には直接接着剤を塗布するようにしてもよい。
【００３７】
製造方法：
つぎに、製造方法について説明する。
〔受取工程〕
図２（ａ）に示すように、前記供給手段１は、弾性部材Ｘを低速度ＶＬ で取り込み、前記ベルトコンベヤ１０を介して、伸張された状態の弾性部材Ｘを概ね一定の中速度ＶＭ で送出する。搬送手段２のパッドＰｉ（第１パッドＰ１）は、前記受取位置ＲＰにおいて、前記中速度ＶＭ で送出された伸張状態の弾性部材Ｘを、伸張状態のまま受け取る。
【００３８】
ところで、前記伸張状態の弾性部材Ｘの伸び率を殆ど変化させないように、弾性部材Ｘを第１パッドＰ１が受け取るためには、少なくとも前記受取開始から受取終了までの間、第１パッドＰ１は中速度ＶＭ に概ね等しい一定の受取速度Ｖ２ で移動しもよい。そのため、第１パッドＰ１は、実線で示すように、弾性部材Ｘにパッドの前端部２５が接触してから、該第１パッドＰ１の回転方向Ｙの長さに対応する角度θを移動する間、一定の受取速度Ｖ２ で移動しもよい。かかる場合の前記低速度ＶＬ 、中速度ＶＭ および受取速度Ｖ２ の関係は、以下の（１），（２） 式で表される。
低速度ＶＬ ＜中速度ＶＭ …（１）
中速度ＶＭ ≒受取速度Ｖ２ …（２）
但し、受取速度Ｖ２ ＝中速度ＶＭ ±ΔＶ
なお、前記角度θの間の受取速度Ｖ２ は、中速度ＶＭ よりも若干大きな値でもよいし、中速度ＶＭ よりも若干小さな値でもよい。
【００３９】
かかる受取時の若干前から、後述する受渡時の直前まで、第１パッドＰ１のエアノズル２２からエアが吸引され、これにより、弾性部材Ｘが前記伸張状態で保持面２１上に保持される。
【００４０】
〔接近工程〕
前記受け取り後、第１パッドＰ１が第１減速開始位置Ｄｐ１に移動すると、前記受取速度Ｖ２ で移動していた第１パッドＰ１の減速が開始される。一方、図２（ｂ）に示すように、後行の第２パッドＰ２の前端２５が、受取位置ＲＰに到達し、弾性部材Ｘの受け取りを開始する。かかる時点において、先行の第１パッドＰ１と後行の第２パッドＰ２との間は、所定距離Ｄ開いており、弾性部材Ｘは、第１パッドＰ１の後端２６と第２パッドＰ２の前端２５との間の所定距離Ｄに渡って掛け渡された状態で搬送される。
その後、第１パッドＰ１は更に減速され、図１（ａ）に示すように、当該第１パッドＰ１の後端２６に後行の第２パッドＰ２の前端２５が接近する。
〔切断工程〕
かかる接近した状態で、第１パッドＰ１の後端２６が切断位置ＣＰに差し掛かると、前記カッタ３の刃３１が第１パッドＰ１の後端２６のアンビル２３に当接し、第１パッドＰ１の後端２６と第２パッドＰ２の前端２５との間において弾性部材Ｘが切断される。
なお、前記切断時に第１パッドＰ１の後端２６に第２パッドＰ２の前端２５が接触してもよい。
【００４１】
ここで、前記接近工程において、両パッドＰ１，Ｐ２の間に掛け渡された弾性部材Ｘの部分Ｘａは、前記両パッドＰ１，Ｐ２の接近により、その伸張状態が緩められる。前記弾性部材Ｘは、前記切断工程において、前記カッタ３により、当該緩められた部分Ｘａをカットされるので、カットされた瞬間に張力の大きな変動が生じないから、前記パッドＰ１，Ｐ２上に保持された弾性部材Ｘの伸張状態を変化させることなく弾性部材Ｘを切断することができる。
【００４２】
〔増速搬送工程〕
前記切断後、第１パッドＰ１が加速開始位置Ａｐに移動すると、第１パッドＰ１が増速され、図３（ａ）に示すように、後行の第２パッドＰ２との間隔が開く（リピッチされる）。
〔転写工程〕
その後、前記第１パッドＰ１が受渡位置ＳＰを通過する際に、前端２５から後端２６に向って順次、エアノズル２２（図４）からエアが吐出されると共に、パッドＰｉの保持面２１により弾性部材Ｘが前記転写ローラ４０上のウエブＷ上に押し付けられて転写される。
【００４３】
ところで、図３（ｂ）に示す第１パッドＰ１上の弾性部材Ｘの伸び率を概ね均等に保った状態で、弾性部材ＸをウエブＷ上に転写するためには、少なくとも前記受渡開始から受渡終了までの間、第１パッドＰ１は一定の受渡速度Ｖ３ で移動すると共に、ウエブＷが該受渡速度Ｖ３ に概ね等しい一定の速度で移動されてもよい。そのため、第１パッドＰ１は、少なくとも、該第１パッドＰ１上の弾性部材Ｘの前端がウエブＷに圧接してから、該第１パッドＰ１の進行方向Ｙの長さに対応する角度θを移動する間、一定の受渡速度Ｖ３ で移動してもよい。かかる場合の受渡速度Ｖ３ は、受取速度Ｖ２ よりも大きな高速度ＶＨ に設定するのが好ましい。前記高速度ＶＨ と受渡速度Ｖ３ との関係は、以下の（４） 式で表される。
高速度ＶＨ ≒受渡速度Ｖ３ …（４）
但し、受渡速度Ｖ３ ＝高速度ＶＨ ±ΔＶ
【００４４】
したがって、前記搬送手段２の各パッドＰｉは、前記低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の受取速度Ｖ２ で弾性部材Ｘを供給手段１から受け取り、受取速度Ｖ２ よりも大きい前記高速度ＶＨ で弾性部材ＸをウエブＷ上に転写させる。
なお、弾性部材ＸおよびウエブＷの搬送速度と、パッドＰｉの周速度との関係は、以下の（５） 式で表される速度としてもよい。
低速度ＶＬ ＜中速度ＶＭ （≒受取速度Ｖ２ ）＜高速度ＶＨ （≒受渡速度Ｖ３ ）…（５）
【００４５】
前記受け渡し後、第１パッドＰ１が第２減速開始位置Ｄｐ２に移動すると、第１パッドＰ１が減速され、該第１パッドＰ１が少なくとも図２（ａ）の前記受取位置ＲＰに差し掛かる前に、前記受取速度Ｖ２ まで減速される。
【００４６】
なお、アンビル２３は、必ずしもパッドＰｉの前端２５や後端２６に設ける必要はなく、たとえば、パッドＰｉの前部や後部に設けてもよい。
【００４７】
また、以下に説明するように、アンビルの位置を設定してもよい。
すなわち、図１に示すように、各パッドＰｉは、１つのドラム（回転体）２０を介して、１つの回転軸Ｏを中心に円運動を行ってもよい。前記各パッドＰｉは、支柱１１を介して、それぞれ前記ドラム２０に接続されている。
かかる構成において、図５（ａ）に示すように、前記回転軸Ｏを中心とする１つの円Ｃ上において、前記アンビル２３から前記支柱１１の中心までの距離が、前記アンビル２３が配置されている方とは反対側のパッドＰｉの端部から前記支柱１１の中心までの距離よりも短く設定されてもよい。
すなわち、回転軸Ｏを中心として、アンビル２３と支柱１１の中心とがなす角度θ１が、当該支柱１１の中心とパッドＰｉの前端２５とがなす角度θ２よりも小さく設定されていてもよい。
【００４８】
このように、アンビル２３の位置を設定すれば、アンビル２３にカッタ３による衝撃が加わった際に、支柱１１に生じるモーメントが小さくなるので、装置の耐久性が向上し得る。
【００４９】
なお、アンビルと支柱との距離の関係は、前述の関係とは逆であってもよい。
また、支柱としては、揺動可能なアームのような部材を採用してもよい。
【００５０】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、供給手段において伸張された弾性部材を各パッド上に取り込むので、パッド上の弾性部材の伸び率にバラツキが生じにくい。そのため、得られる製品のギャザの収縮度合が均一に近づく。
また、各パッドごとに弾性部材を切り分けるので、パッド上の弾性部材の伸び率が局所的に小さくなったり、大きくなったりするおそれもない。
更に、各パッドは受取時の速度Ｖ２ よりも大きい高速度ＶＨ で弾性部材を転写させるから、所定の伸び率の弾性部材同士がウエブ上で互いに離間した状態で、弾性部材をウエブ上に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）は本発明にかかる着用物品の製造装置の一実施形態を示す概略側面図、（ｂ）は同搬送手段を示す概略正面図である。
【図２】着用物品の製造方法を示す概略側面図である。
【図３】着用物品の製造方法を示す概略側面図である。
【図４】弾性部材の受け渡し方法を示す概略側面図である。
【図５】他の例にかかる弾性部材の受け渡し方法を示す概略側面図である。
【符号の説明】
１：供給手段
２：搬送手段
３：カッタ
４：支持手段
１１：支柱
２１：保持面（保持手段）
２２：エアノズル（保持手段）
２３：アンビル
２０：ドラム（回転体）
Ｐ１：第１パッド
Ｐ２：第２パッド
Ｐｉ：パッド
Ｖ２ ：受取速度
ＶＨ ：高速度
ＶＬ ：低速度
ＶＭ ：中速度
Ｗ：ウエブ
Ｘ：弾性部材
Claims (4)
- 弾性部材を低速度ＶＬ で取り込み、伸張された状態の前記弾性部材を概ね一定の中速度ＶＭ で送出する供給手段と、
所定の経路を周回しながら、前記弾性部材を前記供給手段から順次受け取る複数のパッドを有する搬送手段と、
前記搬送手段による前記弾性部材の搬送中に前記弾性部材を切断することで、前記搬送手段における前記複数のパッドごとに弾性部材を分割するカッタと、
ウエブを支持すると共にウエブを前記中速度ＶＭ よりも大きい概ね一定の高速度ＶＨ で搬送しながら、前記切断された弾性部材を前記パッド上から前記ウエブ上に転写させるのを可能とする支持手段とを備え、
前記搬送手段の各パッドが前記低速度ＶＬ よりも大きい概ね一定の速度Ｖ２ で前記弾性部材を前記供給手段から受け取り、
前記カッタは前記弾性部材を先行のパッドの後端部から後行のパッドの先端部の間において切断して、前記弾性部材を２つのパッドに対応させて切り分け、
前記各パッドが前記速度Ｖ２ よりも大きい前記高速度ＶＨ で前記切断後の弾性部材を前記ウエブ上に転写させる着用物品の製造装置。 - 弾性部材を伸張し、送出する供給手段と、前記伸張された弾性部材を切断する切断手段と、前記切断された弾性部材を搬送可能な第１パッドと第２パッドを含む複数のパッドを有する搬送手段と、前記パッドにより搬送された弾性部材を転写する被転写部材を支持する支持手段とを備え、
前記第１パッドが連続した弾性部材を受け取り、当該連続した弾性部材が前記第２パッドの少なくとも一部に配置された後、前記切断手段が前記第１パッドと前記第２パッドの間の弾性部材のつながりを断ち切り、
切断された弾性部材を前記第１パッドが前記被転写部材に転写する際には、前記第１パッドと前記第２パッドとが所定の距離だけ離間しており、
前記切断手段が前記弾性部材を切断する際には、前記第１パッドと前記第２パッドの距離が、前記転写時の所定の距離よりも短い、着用物品の製造装置。 - 前記第１パッドの後部または前記第２パッドの前部に、前記弾性部材を切断する際に使用されるアンビルが配置されている、請求項２に記載の着用物品の製造装置。
- 前記第１および第２パッドが少なくとも１つの回転体を介して１つの軸線を中心に円運動を行い、前記第１および第２パッドが支柱を介して前記回転体に接続されており、前記軸線の位置を中心とする１つの円上において、前記アンビルから前記支柱の中心までの距離が、前記アンビルが配置されている方とは反対のパッドの端部から前記支柱の中心までの距離よりも短い、請求項３に記載の着用物品の製造装置。
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