JP2004075772A - 生分解性樹脂組成物、並びに、生分解性樹脂組成物用充填材及び成形体 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、強度、耐水性、成形加工性、耐熱性等の性能に優れ、かつ廃棄時には自然界に一般に存在する微生物によって速やかに分解可能であり、各種分野における成形体に好適な生分解性樹脂組成物等の提供。
【解決手段】生分解性樹脂と、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有する生分解性樹脂組成物。充填材が、マイカ、タルク及びモンモリロナイトから選択される少なくとも１種である態様、充填材の含有量が５．０〜５０．０質量％である態様、充填材の平均粒子径が０．０１〜２００μｍである態様、生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂である態様、脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸である態様、シリコーン系化合物、金属塩、金属水酸化塩及びりん系化合物から選択される少なくとも１種の難燃成分を含有する態様、ガラス繊維、カーボン繊維の少なくとも１種の繊維成分を含有する態様、等が挙げられる。
【選択図】　　　　なし

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存のプラスチックと同等の性能を有し、かつ廃棄時には自然界に一般に存在する微生物によって速やかに分解可能であり、各種分野における成形体に好適な生分解性樹脂組成物、並びに、該生分解性樹脂生物に好適に使用することができ、分散性に優れた生分解性樹脂組成物用充填材、及び各種電気製品等の筐体等として好適に用いられ、環境問題を生ずることなく容易に廃棄処分が可能な成形体に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、樹脂組成物は、筐体等として各種電気製品に使用されている。しかし、樹脂組成物は、廃棄処分時に燃焼すると高熱より燃焼炉を傷め、また、ダイオキシン等の有毒ガスを発生し、土中に埋めても分解されないため、廃棄処分が容易でなく、環境問題を引き起こす可能性があるという問題がある。
２００１年４月から「使用済み電気製品リサイクル法」が施行され、現在、ＴＶ（テレビジョン）等の大型電気製品の回収が開始されているが、回収された大型電気製品の殆どは、リサイクルされることがなく、法的規制もないことから不燃ゴミとして廃棄処分されている。一方、小型電気製品の場合、一般に大型電気製品に比し販売数が多いため、全体として多量の不燃ゴミが発生する。したがって、大型・小型の如何に拘らず、電気製品の廃棄処分は、現在、深刻な社会問題となっている。
【０００３】
近年、この社会問題を解決する策として、生分解性樹脂が注目されている。前記生分解性樹脂とは、使用後は自然界において微生物が関与して低分子化合物に、最終的には水と二酸化炭素とに分解されるプラスチックのことである（生分解性プラスチック研究会、ＩＳＯ／ＴＣ−２０７／ＳＣ３）。前記生分解性樹脂としては、分子骨格に脂肪族系ポリエステル樹脂を有するもの、ポリビニルアルコールを有するもの、多糖類を有するもの、の３種に大別される。生分解性樹脂は、これまで農林水産用資材（フィルム、植栽ポット、釣り糸、魚網）、土木工事資材（保水シート、植物ネット等）、包装・容器分野（土、食品等が付着してリサイクルが難しい物）等、主として使い捨て用品に対して実用化が進められてきている。
【０００４】
そこで、生分解性樹脂を樹脂組成物に使用すれば、土中への廃棄処分等が可能となり、環境への負荷を大幅に低下させることができる。
しかしながら、前記生分解性樹脂を電気製品に関する成形体、例えば筐体、構造材等として使用する場合には、強度、耐熱性、難燃性等に優れた物性を有することが要求されるため、単に生分解性樹脂を使用しただけでは前記物性を所望の範囲にすることができない。例えば、前記生分解性樹脂の一つである脂肪族ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度（Ｔｇ：貯蔵弾性率が常温時の約１／１０〜約１／１００に低下する温度）が６０℃付近であり、６０℃以上においては貯蔵弾性率が常温時の約１×１０^９Ｐａから約１×１０^７Ｐａへと急激に低下してしまい、機械的変形が起こり易くなるため、電気製品等の筐体等の用途にはそのまま使用することができない。
【０００５】
したがって、使用中には既存のプラスチックと同等の性能、例えば強度、耐水性、成形加工性、耐熱性等を有し、かつ廃棄処分時には自然界に一般に存在する微生物により速やかに分解可能であり、各種電気製品等の成形体に好適な樹脂組成物は、未だ開発されていないのが現状であり、かかる樹脂組成物の開発が望まれている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、強度、耐水性、成形加工性、耐熱性等の性能に優れ、かつ廃棄時には自然界に一般に存在する微生物によって速やかに分解可能であり、各種分野における成形体に好適な生分解性樹脂組成物、並びに、該生分解性樹脂生物に好適に使用することができ、分散性に優れた生分解性樹脂組成物用充填材、及び各種電気製品等の筐体等として好適に用いられ、環境問題を生ずることなく容易に廃棄処分が可能な成形体を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、後述の付記１から１１に記載した通りである。
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂と、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有することを特徴とする。
本発明の生分解性樹脂組成物用充填材は、充填材の表面が生分解樹脂でコーティングされてなることを特徴とする。
本発明の成形体は、前記生分解樹脂組成物で形成されたことを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】
（生分解性樹脂組成物及び生分解性樹脂組成物用充填材）
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂と、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分などを含有してなる。
本発明の生分解性樹脂組成物用充填材は、前記生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材であり、前記生分解性樹脂組成物の説明の中で併せて説明する。
【０００９】
−生分解性樹脂−
前記生分解性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、天然物由来のもの、化学合成されたもの、その他のものなどが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。
【００１０】
前記天然物由来のものとしては、例えば、キチン・キトサン、アルギン酸、グルテン、コラーゲン、ポリアミノ酸、バクテリアセルロース、プルラン、カードラン、多糖類系副産物などが挙げられる。
【００１１】
前記化学合成されたものとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族・芳香族ポリエステル、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリウレタン（ＰＵ）、生分解性樹脂とのブレンドなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリヒドロキシブチレート（ＰＨＢ）系、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）系、ポリブチレンサクシネート（ＰＢＳ）系、ポリブチレンサクシネートアジペート（ＰＢＳＡ）系、ポリエチレンサクシネート（ＰＥＳ）系、ポリグリコール酸（ＰＧＡ）系、ポリ乳酸（ＰＬＡ）系などが挙げられる。
前記生分解性樹脂とのブレンドとしては、デンプンを基材とするものなどが挙げられる。
【００１２】
前記その他のものとしては、例えば、脂肪族ポリエステルのカーボネート共重合体、脂肪族ポリエステルとポリアミドとの共重合体などが挙げられる。
【００１３】
前記生分解性樹脂の中でも、化学合成されたものが好ましく、その中でも成形性・耐熱性・耐衝撃性等に優れる点で脂肪族系ポリエステル樹脂がより好ましく、その中でもポリ乳酸（ＰＬＡ）系脂肪族系ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリ乳酸が最も好ましい。
【００１４】
前記ポリ乳酸（ＰＬＡ）系脂肪族系ポリエステル樹脂としては、例えば、乳酸、りんご酸、グルコース酸等のオキシ酸の重合体、これらの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂が特に好適に挙げられる。
【００１５】
前記ヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合によるラクチド法、乳酸直接脱水縮合法、などが挙げられる。また、製造時に使用する触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム化合物などが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。これらの中でも、錫、アルミニウム化合物などが好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトネートがより好ましい。
【００１６】
本発明においては、前記生分解性樹脂を２種以上の生分解性樹脂の組合せとする場合、ポリ乳酸と、ポリカプロラクトン、ポリヒドリキシブチレート及びポリブチレンサクシネートから選択される少なくとも１種との組合せが好ましい。
【００１７】
−充填材−
前記充填材としては、特に制限はなく、公知のものから、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化アルミニウム、アルミニウム、炭酸石灰、珪酸石灰、カオリン、マイカ、二硫化モリブデン、タルク、モンモリロナイト、グラファイト、カーボンブラック、また、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ等の金属酸化物、などが挙げられる。
これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。これらの中でも、価格、汎用性、強度などの点で、マイカ、タルク及びモンモリロナイトから選択されるのが好ましい。
【００１８】
前記充填材の前記生分解性樹脂組成物における含有量としては、５．０〜５０．０質量％であることが好ましく、５〜３０質量％であることがより好ましく、１０〜２０質量％であることが特に好ましい。
前記充填材の含有量が５．０質量％以下であると、前記生分解性樹脂組成物の機械的強度が低下することがあり、一方、５０．０質量％以上であると生分解性が低下することがある。
【００１９】
前記充填材の平均粒子径としては、０．０１〜２００μｍが好ましく、１〜５０μｍがより好ましい。
なお、前記充填材は、より微粒子で粒度分布が揃っているものが、均一分散性が向上する点で好ましい。
【００２０】
本発明においては、前記充填材は、前記生分解性樹脂によって表面がコーティングされており、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた前記充填材が前記生分解性樹脂中に添加されて前記生分解性樹脂組成物が調製される。
前記生分解性樹脂で表面がコーティングされた前記充填材が、本発明の生分解性樹脂組成物用充填材である。
本発明の生分解性樹脂組成物用充填材における前記生分解性樹脂の前記充填材表面へのコーティング量、面積等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【００２１】
なお、本発明の生分解性樹脂組成物用充填材を生分解性樹脂組成物中に添加して使用する場合には、該生分解性樹脂組成物用充填材における前記生分解性樹脂と、前記生分解性樹脂組成物に含まれる前記生分解性樹脂組成物との種類が同系統のものであると、該生分解性樹脂組成物用充填材の前記し分解性樹脂中での分散性に優れ、結果としてが曲げ弾性率等の性能を向上させることができる点で好ましく、同じものであるのがその効果が顕著である点で特に好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物用充填材は、本発明の生分解性樹脂組成物に特に好適に使用することができる。
【００２２】
−難燃成分−
前記難燃成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系化合物、金属塩、金属水酸化塩、りん系化合物などが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。
前記難燃成分の前記生分解性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、前記生分解性樹脂、前記充填材等の種類・含有量等に応じて適宜決定することができる。
【００２３】
−繊維成分−
前記繊維成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、麻繊維、キチン・キトサン、椰子殻繊維、及びこれらから誘導された短繊維乃至粉体、石綿、カーボン繊維、ガラス繊維、セルロース、α−セルロース、綿、ナイロン、オーロン、レーヨンなどが挙げられる。
これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。これらの中でも、生物由来で生分解性を示す点で麻繊維、キチン・キトサン、椰子殻繊維、及びこれらから誘導された短繊維乃至粉体が好ましく、また、曲げ弾性率向上の観点からは、ガラス繊維、カーボン繊維が好ましい。
前記繊維成分の前記生分解性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、前記生分解性樹脂、前記充填材等の種類・含有量等に応じて適宜決定することができる。
【００２４】
−添加剤−
本発明の生分解性樹脂組成物は、目的に応じて適宜選択した添加剤を含有することができる。
前記添加剤としては、例えば、前記生分解性樹脂の加水分解を抑制させることができる物質として、ポリエステル樹脂の末端官能基であるカルボン酸、及びカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物などの水酸基との反応性を有する化合物、さらに耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、結晶核剤、滑剤、離型剤、着色剤、相溶化剤などが挙げられる。
【００２５】
本発明の生分解性樹脂組成物は、各種分野において好適に使用することができ、各種成形体、例えば電気製品の筐体などに特に好適に使用することができる。
【００２６】
（成形体）
本発明の成形体は、本発明の生分解性樹脂組成物を用いて形成されたこと以外は特に制限はなく、その形状、構造、大きさ、用途等については目的に応じて適宜選択することができる。
前記成形体の成形方法としては、特に制限はなく、公知の方法から適宜選択されるが、ポリ乳酸の結晶化度を上げて強度を向上させる点で射出成形が好ましい。前記射出成形の条件としては、金型の温度を９０〜１００℃に３０秒〜５分程度維持するのが好ましい。
本発明の成形体は、各種分野において好適に使用することができ、例えば、電気製品の筐体などに特に好適に使用することができる。
【００２７】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【００２８】
（実施例１）
−生分解性樹脂組成物の調製−
本発明の生分解性樹脂組成物Ｅ〜Ｇ及びＬ〜Ｎ、並びに、比較例の組成物Ａ〜Ｄ及びＨ〜Ｋを調製し、各曲げ弾性率を評価した。結果を表１に示した。
なお、生分解性樹脂としては、ポリ乳酸（三井化学製、レイシアＨ−１００Ｊ）を用いた。また、充填材の組成物全体における含有量は、各組成物で等しくなるようにした。表中の「％」は、「質量％」を意味し、「Ａ」等のアルファベットは、生分解性樹脂組成物Ａ等を意味し、「ポリブチレンサクシネート」は、昭和高分子製（ビオノーレ）である。また、Ｅ〜Ｇ及びＬ〜Ｎにおける各充填材は、表面がポリ乳酸でコーティングされたものである。
【００２９】
【表１】

【００３０】
以上のように、生分解性樹脂でコーティングしたマイカ、タルク又はモンモリロナイト、即ち本発明の生分解性樹脂溶充填材を含有する本発明の生分解性樹脂組成物は、表面が生分解性樹脂でコーティングされていないマイカ、タルク、モンモリロナイト等の従来の充填材に比し、生分解性樹脂組成物中での分散性が極めて良好であり、該生分解性樹脂組成物の曲げ弾性率を大きく向上することできることが判った。
【００３１】
（実施例２）
実施例１において、良好な曲げ弾性率が得られた本発明の生分解性樹脂組成物Ｅ〜Ｇと、比較例の樹脂組成物Ａとについて、ガラス繊維（日東紡績製、ＣＳ−３ＰＥ９４１）又はカーボン繊維（三菱レーヨン製、ＴＲ−０６Ｕ）を添加して、各曲げ弾性率を評価した。結果を表２に示した。なお、表２中の「％」は、「質量％」を意味する。
【００３２】
【表２】

【００３３】
以上のように、本発明の生分解性樹脂組成物にガラス繊維又はカーボン繊維を添加すると、曲げ弾性率を顕著に向上させることができることが判った。
【００３４】
（実施例３）
実施例１において、良好な曲げ弾性率が得られた本発明の生分解性樹脂組成物Ｅ〜Ｇと、比較例の樹脂組成物Ａとについて、難燃剤としてシリコーン系化合物ＤＣ４−７０８１（東レ・ダウコーニングシリコーン製）、水酸化マグネシウム又は赤リンを添加して、炎分離後の状況、ガーゼへの着火状況に基づき難燃性を評価した。試験片は成形機により１２．７×１２．７×３．１（ｍｍ）のサイズで作成した。なお、表３中の「％」は、「質量％」を意味する。
【００３５】
前記炎分離後の状況は、以下のようにして評価した。
燃え続ける・・・有炎又は無炎燃焼である状態
消える・・・完全に失火している状態
【００３６】
前記ガーゼへの着火状況は、以下のようにして評価した。
着火する・・・有炎燃焼する状態
着火しない・・・燃焼しない状態
【００３７】
【表３】

【００３８】
以上のように、本発明の生分解性樹脂組成物に難燃剤を添加すると、他の特性を劣化させずに難燃性を向上させることができることが判った。
【００３９】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
（付記１）　生分解性樹脂と、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有することを特徴とする生分解性樹脂組成物。
（付記２）　充填材が、マイカ、タルク及びモンモリロナイトから選択される少なくとも１種である付記１に記載の生分解性樹脂組成物。
（付記３）　充填材の含有量が５．０〜５０．０質量％である付記１又は２に記載の生分解性樹脂組成物。
（付記４）　充填材の平均粒子径が０．０１〜２００μｍである付記１から３のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記５）　生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂である付記１から４のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記６）　脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸である付記５に記載の生分解性樹脂組成物。
（付記７）　生分解性樹脂が、２種以上の生分解性樹脂の組合せである付記１から６のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記８）　シリコーン系化合物、金属塩、金属水酸化塩及びりん系化合物から選択される少なくとも１種の難燃成分を含有する付記１から７のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記９）　麻繊維、キチン・キトサン、椰子殻繊維、及びこれらから誘導された短繊維乃至粉体から選択される少なくとも１種の繊維成分を含有する付記１から８のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記１０）　ガラス繊維、カーボン繊維の少なくとも１種の繊維成分を含有する付記１から９のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記１１）　生分解性樹脂が、ポリ乳酸と、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート及びポリブチレンサクシレートから選択される少なくとも１種との組合せである付記６から１０のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記１２）　筐体の材料として用いられる付記１から１１のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
（付記１３）　充填材の表面が生分解樹脂でコーティングされてなることを特徴とする生分解性樹脂組成物用充填材。
（付記１４）　付記１から１２のいずれかに記載の生分解樹脂組成物で形成されたことを特徴とする成形体。
【００４０】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、強度、耐水性、成形加工性、耐熱性等の性能に優れ、かつ廃棄時には自然界に一般に存在する微生物によって速やかに分解可能であり、各種分野における成形体に好適な生分解性樹脂組成物、並びに、該生分解性樹脂生物に好適に使用することができ、分散性に優れた生分解性樹脂組成物用充填材、及び各種電気製品等の筐体等として好適に用いられ、環境問題を生ずることなく容易に廃棄処分が可能な成形体を提供することができる。

Claims (10)

1. 生分解性樹脂と、該生分解性樹脂で表面がコーティングされた充填材とを含有することを特徴とする生分解性樹脂組成物。
2. 充填材が、マイカ、タルク及びモンモリロナイトから選択される少なくとも１種である請求項１に記載の生分解性樹脂組成物。
3. 充填材の含有量が５．０〜５０．０質量％である請求項１又は２に記載の生分解性樹脂組成物。
4. 充填材の平均粒子径が０．０１〜２００μｍである請求項１から３のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
5. 生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂である請求項１から４のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
6. 脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸である請求項５に記載の生分解性樹脂組成物。
7. シリコーン系化合物、金属塩、金属水酸化塩及びりん系化合物から選択される少なくとも１種の難燃成分を含有する請求項１から６のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
8. ガラス繊維、カーボン繊維の少なくとも１種の繊維成分を含有する請求項１から７のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
9. 充填材の表面が生分解樹脂でコーティングされてなることを特徴とする生分解性樹脂組成物用充填材。
10. 請求項１から８のいずれかに記載の生分解樹脂組成物で形成されたことを特徴とする成形体。