JP3584579B2 - 可塑化された脂肪族ポリエステル組成物及びその成型品 - Google Patents

可塑化された脂肪族ポリエステル組成物及びその成型品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑化された脂肪族ポリエステル新規組成物及びその成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、繊維、フィルム及び各種成型品として多量に消費されている合成樹脂は、自然環境下では分解速度が極めて遅く、焼却時は発熱量が大きく炉を痛めるなどの問題があり、自然環境保護の見地からその見直しが必要である。脂肪族ポリエステルは一般に自然分解性であるが、融点150℃以下の低融点脂肪族ポリエステルは耐熱性の点で実用性に問題がある。一方、融点150℃以上の高融点脂肪族ポリエステルは、ポリグリコール酸(融点約230℃)、ポリ乳酸(融点約175℃)、ポリヒドロキシブチレート(融点約180℃)及びそれらを主成分とする共重合体などが知られているが、それらは結晶性が高くまた剛直な分子構造のため、堅く脆いという欠点があり、その改良すなわち可塑化(柔軟化)が必要である。
【0003】
高融点脂肪族ポリエステルの上記欠点の改良のため、柔らかい低融点脂肪族ポリエステルやそのオリゴマーを可塑剤として混合することが考えられ、特開平7−118513号に提案されている。しかし、一般に異種のポリマーは相溶性や混和性が必ずしも良くない傾向があり、特に高融点脂肪族ポリエステルと低融点脂肪族ポリエステルとの混和性はあまり良好でなく、混合物の例えば耐衝撃性は期待されるほど改善されず、また混合物は白濁する傾向があるという問題がある。上記特開公報では、相溶性改良のため、可塑剤として用いる低融点脂肪族ポリエステル(オリゴマー)の末端を1塩基酸や1価アルコーで封鎖することが示されている。しかしこの方法は、末端封鎖がかなり困難でコスト高となる上に、相溶性改良も十分とはいえない。上記特開公報の実施例では、混合方法として複数のロールによる混練法が示されているが、もっと簡単で能率のよい例えばスクリュウ押出機などで容易に均一に混合できることが、実用的見地から好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自然分解性で環境保護の見地から好ましく、耐熱性、柔軟性、耐衝撃性および透明性が改良され、しかも例えばスクリュウ押出機などで容易に均一に混合できる、混和性が顕著に改良された新規脂肪族ポリエステル組成物及びその成型品を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、下記(1)、(2)および(3)の項目をすべて満足することを特徴とする可塑化された脂肪族ポリエステル組成物によって達成される。 (1)融点150℃以上の脂肪族ポリエステルを主成分とする高融点重合体(A)のセグメントと、融点130℃以下の脂肪族ポリエステルを主成分とする低融点重合体(B)のセグメントとが結合されたブロック共重合体(C)又はそのオリゴマー(D)と、[高融点重合体(A)、低融点重合体(B)、及びブロック共重合体(C)とは異なる共重合比率のブロック共重合体(E)]の群より選ばれた少なくとも1種の重合体又はそのオリゴマーとの混合物である。
【0006】
(2)低融点重合体(B)、そのオリゴマー及びそのセグメントの重量が、全重量の3〜60%を占める。
【0007】
(3)オリゴマーの占める重量が、全重量の50%以下である。
【0008】
ここで、脂肪族ポリエステルを主成分とする重合体とは、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチルプロピルエーテルグリコール、ビスヒドロキシエチルプロパン、ビスヒドロキシプロピルブタン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテルなどのような脂肪族ポリエーテルグリコール、それらの共重合体およびそれらのオリゴマー、(5)ジヒドロキシブチルカーボネート、ジヒドロキシヘキシルカーボネート、ポリブチレンカーボネート(グリコール)、ポリヘキサンカーボネート(同)、ポリオクタンカーボネート(同)などの脂肪族ポリカーボネートグリコール、それらの共重合体およびオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの、脂肪族ポリエステル重合原料に由来する成分を主要な成分すなわち50重量%以上(特に60%以上)とするものであって、脂肪族ポリエステルのホモポリマー、脂肪族ポリエステル共重合ポリマー、および脂肪族ポリエステルに他の成分、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどの成分を50重量%以下(特に40%以下)共重合(ブロック共重合、グラフト共重合、または/及びランダム共重合)又は/及び混合した変性体をすべて包含する。
【0009】
脂肪族ポリエステルを共重合や混合によって変性する目的は、結晶性の低下、融点の低下(重合温度、成型温度、加工温度の低下)、溶融流動性、強靭性、柔軟性や弾性回復性の改良、摩擦係数、表面粗さ、接着性、耐熱性やガラス転移温度の低下または上昇、ガスバリア性、透湿性、親水性や撥水性の改良、染色性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられる。
【0010】
脂肪族ポリエステルの特徴は、自然環境下(土壌中、淡水中、海水中、堆肥中など)、比較的短期間(例えば5年以内、特に2年以内)で分解することである。この自然分解性は、脂肪族ポリエステルを主成分とする共重合体や混合体でも維持されるが、共重合や混合の成分や比率を変えることにより各種分解速度のものを得ることが出来、目的や用途に応じて、適切なものを選ぶことができる。
【0011】
本発明においてオリゴマーは、重合度2〜20未満のものを意味する。同じく本発明においてセグメントは、ポリマー分子鎖の一部分を意味するもので、重合度2〜20未満のオリゴマー級のものから重合度20以上のポリマー級のものの両方を包含する。
【0012】
高融点重合体(A)は、本発明組成物の主成分であり強度や耐熱性を保持する骨格成分である。高融点重合体(A)は、融点150℃以上の脂肪族ポリエステル、たとえばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレートなどのホモポリマー、及びそれらに、融点150℃以上を維持しつつ、第2成分や第3成分を共重合したものである。
【0013】
低融点重合体(B)は、本発明組成物に好ましい柔軟性、靭性、耐衝撃性、伸度、成型性などを与える可塑成分である。しかし高融点重合体(A)に低融点重合体(B)を単に混合しただけでは、前記のように相溶性不足のためその効果は少なく、更に透明性の低下(白濁)という問題が生じる。本発明者らは、この問題解決のため、両成分の親和性の改良につき鋭意研究し、本発明を完成したものである。
【0014】
本発明の目的に好ましい融点150℃以下の脂肪族ポリエステルのホモポリマーの例としては、ポリカプロラクトン(融点約60℃)、ポリエチレンアジペート(同44℃)、ポリエチレンスベレート(同64℃)、ポリエチレンセバケート(同72℃)、ポリエチレンデカメチレート(同85℃)、ポリブチレンサクシネート(同116℃)、ポリブチレンアジペート(同69℃)、ポリブチレンセバケート(同65℃)、ポリヘキサメチレンセバケート(同75℃)などが挙げられる。勿論、ここに例示した以外の融点150℃以下の脂肪族ポリエステル、例えばジエチレングリコールとアジピン酸、トリエチレングリコールとセバシン酸との縮合体であるポリエステルエーテルなども本発明に有用である。またこれらのポリエステルを成分とする共重合体、これらのポリエステルと他の成分との共重合体も有用である。一般に、ホモポリマーやそれを主成分(例えば90%以上)とする共重合ポリマーの多くは結晶性であり、融点以下の温度に冷却されると速やかに固化するので製造や取扱いが容易で、可塑成分として好ましい。特に融点が比較的高い(融点75℃以上、特に85℃以上の)結晶性ポリマー、例えばポリヘキサメチレンセバケート、ホリエチレンデカメチレート、ポリブチレンサクシネートなどは、製品の耐熱性を高めるので好ましい。ポリマーが結晶性であれば、DSC分析において、明瞭な(例えば吸熱量10J/g以上、特に20J/g以上)溶融吸熱ピークを示す。
【0015】
他方、低融点重合体(B)として、結晶性の低い又は非晶性のものも、可塑性や柔軟性に優れており有用である。非晶性のものは融点が明瞭でないが、ここでは溶融粘度が10万ポイズになる温度を融点とする。
【0016】
本発明の好ましい実施態様の第1グループは、高融点ホモポリマー(A)と低融点ホモポリマー(B)とのブロック共重合体(C)を、高融点重合体(A)に可塑剤として混合したもの[A+C]である。この場合、可塑剤であるブロック共重合体(C)の中に、マトリクス(母体)ポリマー(A)がセグメントとして組込まれており、マトリクスと可塑剤との親和性が大幅に改善されている。この親和性は、ブロック共重合体(C)の中の高融点重合体(A)セグメントの量が多いほど高い。一方、可塑効果は、ブロック共重合体(C)の中の低融点重合体(B)の量が多いほど、また可塑剤であるブロック共重合体(C)の添加量が多いほど顕著である。従って、使用目的に応じてブロック共重合体(C)中の高融点重合体(A)と低融点重合体(B)との重量比率(A/B)や、ブロック共重合体(C)の添加率を選べばよい。共重合比率(A/B)は3/97〜50/50程度の範囲、特に5/95〜30/70程度が好ましいことが多い。ブロック共重合体(C)をそのオリゴマーに置き換えても、同様に良好な組成物が得られる。
【0017】
具体例としては、ポリ乳酸を高融点重合体(A)とし、それに対し、ポリカプロラクトン/ポリ乳酸(例えば重量比80/20)のブロック共重合体(C)を可塑剤として、例えば5〜50%、特に10〜30%混合して、可塑化された良好なポリ乳酸組成物が得られる。
【0018】
本発明の好ましい実施態様の第2グループは、高融点ホモポリマー(A)、低融点ホモポリマー(B)、および両者のブロック共重合体(C)の3者を混合したもの[A+B+C]である。この組成物において、(A)は骨格であり、(B)は可塑剤であり、(C)は両者の混和性を改善する一種の界面活性剤である。この場合、ブロック共重合体(C)の共重合比率(A/B)は、10/90〜90/10、特に70/30〜30/70の範囲が好ましいことが多い。可塑剤(B)の添加率は例えば3〜45%、特に5〜30%が好ましいことが多い。同じく混和性改善剤(C)の添加率は、例えば3〜30%、特に5〜20%が好ましいことが多い。低融点ホモポリマー(B)又は/及びブロック共重合体(C)はそのオリゴマーに置き換えることも出来る。
【0019】
具体例としては、ポリ乳酸を高融点重合体(A)とし60〜90%、ポリカプロラクトン(以下PCLと記すことがある)を低融点重合体(B)として5〜30%、両者の1/1ブロック共重合体(C)を混和性改善剤として5〜20%混合して、可塑化された好ましいポリ乳酸組成物が得られる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様の第3グループは、高融点ホモポリマー(A)と低融点ホモポリマー(B)とのブロック共重合体(C)と、低融点重合体(B)とを混合したもの[C+B]である。この場合、ブロック共重合体(C)の主成分は高融点重合体(A)であり、それに低融点重合体(B)のセグメントが結合している。低融点重合体(B)は可塑剤であり、オリゴマーに置き換えることが出来る。
【0021】
具体例としては、ポリ乳酸に5〜20%のPCLをブロック共重合したもの(C)と、PCL(B)との、比率(C/B)95/5〜70/30の混合物が挙げられる。ブロック共重合体(C)中のPCLセグメントの比率が高いほど、可塑剤PCL(B)との親和性が強められる。また、可塑剤PCL(B)の混合率が大きいほど、可塑効果が顕著である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様の第4グループは、高融点ホモポリマー(A)と低融点ホモポリマー(B)とのブロック共重合体(C)と、同じく高融点ホモポリマー(A)と低融点ホモポリマー(B)とのブロック共重合体で共重合比率の異なるもの(E)との二つを、混合したもの[C+E]である。ここで、ブロック共重合体の一方(C)を高融点ホモポリマーを主成分(50%以上)とする骨格成分とし、ブロック共重合体の他方(E)を低融点ホモポリマーを主成分(50%以上)とする可塑成分とする組み合わせが好ましい。この組合せでは、両方のポリマーに混合相手と同じ成分(セグメント)が含まれており、最高の親和性が実現される。
【0023】
具体例としては、ポリ乳酸に3〜20%のPCLをブロック共重合したもの(C)と、PCL3〜20%のポリ乳酸をブロック共重合したもの(E)との、比率(C/E)97/3〜70/30、特に95/5〜80/20の混合物が挙げられる。
【0024】
なお、上記の第1〜第4グループは、本発明の好ましい実施態様を具体的に示したもので、本発明はそれらに限定されるものではない。上記本発明の好ましい実施態様の第1〜第4グループの具体例では、高融点ホモポリマー(A)としてポリ乳酸のみを、また低融点ホモポリマー(B)としてポリカプロラクトン(PCL)のみを示したが、それらを他の高融点ホモポリマーや他の低融点ホモポリマーに置換えても、同様な効果が得られる。同じく、ポモポリマーの代わりにそれを主成分とするコポリマーに置換えることもできる。また、可塑剤や混和性改善剤はポリマーでもオリゴマーでもよく、さらにオリゴマーとポリマーとを併用(混用)することも出来る。一般に、オリゴマー型可塑剤は可塑効果が高く、ポリマー型可塑剤は混合物の安定性が優れる。従って使用目的に応じて、骨格成分および可塑成分(ポリマー、オリゴマー、セグメント)の分子量および添加率を選べば良い。
【0025】
本発明組成物は、前述のように、骨格である高融点脂肪族ポリエステル成分と、可塑剤である低融点脂肪族ポリエステル成分とからなる。必要な可塑効果を得るためには、可塑成分すなわち低融点脂肪族ポリエステル(B)、そのオリゴマーおよびそのセグメントの合計重量が、組成物の全重量の3〜60%の範囲である必要があり、5〜50%の範囲が好ましく、8〜40%の範囲が最も広く用いられる。可塑成分が少な過ぎると可塑効果が不足し、多過ぎると耐熱性が不足するからである。
【0026】
オリゴマーは、可塑剤として用いればその効果が高いが、あまり多く用いると組成物の強度や耐熱性が低下する傾向がある。従ってオリゴマーは、可塑成分や親和性改善剤として用いられる低融点脂肪族ポリエステル(B)及びそれを主成分とするブロック共重合体(E)には有効であり広く適用可能であるが、骨格成分である高融点脂肪族ポリエステル(A)およびそれを主成分とする共重合体には不適である。すなわちオリゴマーは、組成物全体の重量の50%以下である必要があり、40%以下が好ましく、多くの場合30〜0%とする。
【0027】
本発明組成物を構成するポリマー及びオリゴマーの末端は、カルボン酸基、水酸基などの官能基でもよいが、アルキル基その他の基で封鎖や置換されていてもよい。一般に可塑剤、特にオリゴマーは安定性に劣る傾向があるから、末端官能基を脂肪族1塩基酸や脂肪族モノアルコールなどで封鎖したものが好ましいことが多い。同様に、特に安定性の劣る水酸基にモノイソシアネートやジイソシアネートを反応させて封鎖することもできる。
【0028】
本発明組成物の重要成分であるブロック共重合体は、重合工程でブロック共重合して製造することが出来る。例えばラクチドを溶融重合してポリ乳酸を製造する工程において、片末端または両末端に水酸基を持つPCLを反応させれば、ポリ乳酸/PCLのブロック共重合体が得られる。片末端に水酸基を持つ低融点ポリエステル(またはそのオリゴマー)を用いればAB型ブロック共重合体が得られ、両末端に水酸基を持つものを用いれば、ABA型のブロック共重合体が得られる。ただし反応系の水分率を例えば100ppm以下とし、反応時間も短めとしてエステル交換反応によるランダム共重合を防ぐことが望ましい。グリコリドを溶融重合してポリグリコール酸を製造する場合も、同様に低融点脂肪族ポリエステルをブロック共重合させることが可能である。勿論、低融点脂肪族ポリエステルとして、PCL以外のものも、水酸基を持つものは、同様に容易にブロック共重合させることが出来る。
【0029】
ブロック共重合の他の方法は、末端に官能基を持つ高融点脂肪族ポリエステル(又はオリゴマー)と、末端に官能基を持つ低融点脂肪族ポリエステル(又はオリゴマー)とに、多官能化合物を反応させて、両者を結合する方法である。例えば末端水酸基にジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、またはジイソシアネートなどを継ぎ手として反応させることができる。同じく末端アミノ基にジカルボン酸、ジカルボン酸誘導体、ジイソシアネートなどを継ぎ手として反応させることもできる。同じく末端カルボキシル基に、ジアミン、ジオールなどを反応させることが出来る。この方法はあらゆる組み合わせに適用可能で、例えばポリヒドロキシブチレートと低融点脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体の製造にも、応用出来る。
【0030】
本発明の組成物は、少なくとも2種のポリマー又は/及びオリゴマーの混合物である。混合方法は、特に限定されないが、例えばスクリュウ押出機、2軸混練押出機、ニーダー、ギアポンプ、混練ロール、攪拌機を持つタンクなどによる機械的攪拌でも良く、流れの案内装置により分流と合流を繰り返す静止混合器を応用してもよく、それらを併用してもよい。混合は、バッチ法でもよく、連続式でもよいが、勿論連続式、例えばスクリュウ押出機、2軸混練押出機、静止混合器などが、高能率で好ましい。混合は、例えば重合工程で行ってもよく、重合工程の後で、成型工程の前または成型工程中で行ってもよい。
【0031】
例えば、末端を封鎖した低融点脂肪族ポリエステルと、末端に水酸基を持つ低融点脂肪族ポリエステルとを混合して、ラクチドの溶融重合系に供給すれば、末端に水酸基を持つ低融点脂肪族ポリエステルはラクチドと反応してブロック共重合体となり、末端を封鎖した低融点脂肪族ポリエステルは未反応で残り、両者の混合した本発明組成物が1工程で製造可能であり、その連続化も可能である。
【0032】
本発明の組成物には、必要に応じ、顔料、染料などの着色剤、無機系または有機系粒子、ガラス繊維、ウイスカー、雲母などの充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、滑剤、離型剤、撥水剤、可塑剤、抗菌剤その他の副次的添加剤を配合することが出来る。
【0033】
【実施例】
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量比である。脂肪族ポリエステルの分子量は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析において、分子量500以下の成分をのぞく高分子成分の分散の重量平均値である。DSC測定は、試料10mg、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/minの条件で行った。衝撃強度は、試料ポリマーから、射出成型機によりV字形切り欠き付き試験片を作成し、JIS K 7110 アイゾット衝撃試験法により測定した。
【0034】
実施例1
光学純度99.5%以上のL−ラクチド95部、分子量155000(重量平均分子量70000)で片末端が水酸基のPCL5部、重合触媒オクチル酸錫100ppmを2軸混練押出機に連続的に供給し、195℃で平均18分間反応させたのち口金より押出し、水中で冷却した後、切断乾燥してチップC1を得た。さらにチップC1を140℃の窒素気流中で4時間加熱(固相重合)してポリマーP1を得た。
【0035】
ポリマーP1は、PCLが約5%ブロック共重合されたポリL−乳酸で、分子量175000、融点172℃であった。ポリマーP1中のPCLセグメントの分子量は明らかでないが、共重合中に一部加水分解して原料PCLの分子量より低下していると推測される。DSC分析やGPC分析では、ポリマーP1中に(未反応の)PCLは認められず、また機械的性質なども単なる混合物よりも優れており、共重合による融点の低下もわずかであることなどから、ポリマーP1は、実質的にポリ乳酸/PCLブロック共重合体であると認められる。
【0036】
ポリマーP1とほぼ同様にして、但しPCLを共重合しないで得たポリL−乳酸ホモポリマーをP2とする。ポリマーP2の分子量は195000、融点は173℃であった。ポリマーP1とほぼ同様にして、ただしPCL95部、L−ラクチド5部、オクチル酸錫20ppmを混合、以下同様に重合して得たポリマーをP3とする。ポリマーP3は分子量3500程度のポリL−乳酸セマメントが約5%ブロック共重合されたPCLで、分子量153000、融点58℃、溶融吸熱量は45J/gであった。
【0037】
ポリマーP1(チップ)90部、分子量155000の上記PCL(チップ)10部を混合し、2軸混練押出機で210℃で連続的に溶融混合し、口金より押出し冷却切断して混合ポリマーMP1を得た。同様にして得た、ポリマーP2とポリマーP3との90/10の混合ポリマーをMP2とし、ポリマーP1とポリマーP3との90/10の混合物をMP3とする。比較のため、同様にして得たポリマーP2とPCLの90/10の混合物をMP4とする。
【0038】
混合ポリマーMP1、MP2、MP3、MP4、および未変性ポリ乳酸P2を用い、それぞれ射出成型機で機械的性能試験用の試験片を作成し、引っ張り、曲げ、衝撃強度を測定した。また、試験片の透明度を目視で評価した。測定および評価結果を表1に示す。表に見るように、本発明の組成物は、比較例の未変性品や単純な混合品に比べ、伸度、衝撃強度、透明性などが格段に優れている。
【0039】
【表1】
Figure 0003584579
実施例2
実施例1のポリマーP1とほぼ同様にして、ただしラクチドに対して分子量126000、片末端が水酸基のポリブチレンサクシネート(以下PBSと記す)を5%共重合して得たブロック共重合体で、分子量173000、融点173℃のものをポリマーP4とする。
【0040】
同様にして得たブロック共重合体で、但しラクチド/PBSの比率を50/50、反応時間を30分としたもので、分子量83000のものをポリマーP5とする。
【0041】
実施例1の混合ポリマーMP1と同様にして、但し上記ポリマーP4とPBSとを90/10の比率で混合して、混合ポリマーMP5を得た。同じく実施例1のポリマーP1、上記PBSおよびポリマーP5とを90/10/5の比率で混合して、混合ポリマーMP6を得た。比較のため、上記ポリマーP1とPBSとを同様に90/10の比率で混合して、混合ポリマーMP7を得た。
【0042】
混合ポリマーMP5、MP6およびMP7を用い、実施例1と同様にして試験片を作成し力学的性質を測定し、透明度を評価した。その結果を表2に示す。表2に見るように、本発明の組成物は優れた力学的性質と透明性を持っていた。
【0043】
【表2】
Figure 0003584579
【0044】
【発明の効果】
本発明により、力学的性質および透明性が改良された自然分解性の新規ポリマー組成物が提供可能となり、多くの用途に好適に利用され更に自然環境の保護に大きく貢献することが期待される。すなわち耐熱性には優れるが、堅く脆いという高融点脂肪族ポリエステルの欠点が、加塑成分との親和性を高めることにより大幅に改良され、優れた耐衝撃性、伸度、柔軟性、透明性、耐熱性などが実現される。またこれらの加塑効果は、加塑成分の比率の変更により、大幅かつ任意に調節可能であり、多様な用途に好ましく応用可能である。
【0045】
本発明の組成物は、繊維、編物、織物、不織布、紙、網、ロープ、紐、シート、フィルム、板、棒、チューブ、各種容器、袋、皿、食器、各種部品その他の各種成型品に用いることが出来る。

Claims (7)

  1. 下記(1)、(2)および(3)の項目をすべて満足することを特徴とする可塑化された脂肪族ポリエステル組成物。
    (1)融点150℃以上の脂肪族ポリエステルを主成分とする高融点重合体(A)のセグメントと、融点130℃以下の脂肪族ポリエステルを主成分とする低融点重合体(B)のセグメントとが結合されたブロック共重合体(C)又はそのオリゴマー(D)と、[高融点重合体(A)、低融点重合体(B)、及びブロック共重合体(C)とは異なる共重合比率のブロック共重合体(E)]の群より選ばれた少なくとも1種の重合体又はそのオリゴマーとの混合物である。
    (2)低融点重合体(B)、そのオリゴマー及びそのセグメントの重量が、全重量の3〜60%を占める。
    (3)オリゴマーの占める重量が、全重量の50%以下である。
  2. (1)ブロック共重合体(C)、(E)及びそれらのオリゴマーを構成する高融点重合体(A)セグメントと低融点重合体(B)セグメントとの重量比が、5/95〜95/5の範囲であり、且つ(2)低融点重合体(B)、そのオリゴマー及びそのセグメントの重量が、全重量の5〜50%を占める請求項1記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  3. 請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル組成物よりなる成型品。
  4. 請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル組成物よりなる繊維。
  5. 請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル組成物よりなる不織布。
  6. 請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル組成物よりなるフィルム。
  7. 請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステル組成物よりなる各種容器。
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