JPH08283557A - 可塑化されたポリ乳酸組成物及びその成型品 - Google Patents

可塑化されたポリ乳酸組成物及びその成型品

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JPH08283557A
JPH08283557A JP8715295A JP8715295A JPH08283557A JP H08283557 A JPH08283557 A JP H08283557A JP 8715295 A JP8715295 A JP 8715295A JP 8715295 A JP8715295 A JP 8715295A JP H08283557 A JPH08283557 A JP H08283557A
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JP
Japan
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plasticizer
acid
polymer
polylactic acid
chip
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JP8715295A
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English (en)
Inventor
Masao Matsui
雅男 松井
Hidekazu Koseki
英一 小関
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Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶性を抑制し、目的や用途に応じた優れた
耐衝撃性、柔軟性、生分解性、可撓性、透明性を有し、
しかも可塑剤の浸出による表面汚れの少ない改良された
ポリ乳酸組成物及びその成型品を提供する。 【構成】 乳酸を主成分とする重合体と、脂肪族ジカル
ボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリ
エステルの可塑剤とから、可塑化されたポリ乳酸組成物
を得る。また、母体ポリマー(乳酸を主成分とする重合
体)(A)と可塑剤(B)との相互に近似性の高い成分
を導入することにより、母体ポリマー(A)と可塑剤
(B)との親和性を高めることができ、可塑剤が浸み出
して組成物の表面を汚したり、成型品の透明性や光沢が
損なうことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可塑化された生分解性
ポリ乳酸組成物及びその成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】生分解性又は自然環境下で分解するポリ
マーが、環境保護の見地から注目されている。特にポリ
乳酸は、農産物を原料とするため資源的にも有利で、更
に溶融成型性や耐熱性に優れているために最も期待され
ている。しかし、ポリ乳酸ホモポリマー(未変性品)
は、結晶性が高く分子構造が剛直であるために、硬くて
もろく、成型品が破損し易いという問題点がある。ま
た、用途によっては、高い柔軟性が求められる。
【0003】このため、従来から、第3成分を共重合し
たり混合して、柔軟性の強化や、もろさの改善が図られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、共重合法では
結晶性の低下に伴う融点、耐熱性の低下という問題が生
じる。他方、可塑剤の混合法では、可塑剤と母体である
ポリ乳酸との親和性が低いため、可塑剤が表面に浸み出
て表面を汚したり、成型品の透明性や光沢が損なわれる
という問題がある。
【0005】本発明の目的は、結晶性や耐熱性が過度に
損なわれることなく、優れた柔軟性、可撓性、透明性、
光沢を有し、しかも可塑剤の浸出による表面汚れの少な
い改良された新しいポリ乳酸組成物とその応用製品を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】上記本発明の目
的は、乳酸を主成分とする重合体(A)の中に、脂肪族
ジカルボン酸及び鎖状分子(以下、鎖状と記す)ジオー
ルを主成分とする脂肪族ポリエステルからなる可塑剤
(B)を、重量比(A/B)99/1乃至50/50の
範囲で混合した新規組成物によって達成される。
【0007】ここで乳酸を主成分とする重合体とは、ポ
リL−乳酸、ポリD−乳酸などのポリ乳酸ホモポリマ
ー、ポリL/D−乳酸共重合物、及びこれらにエステル
結合形成性の重合原料を共重合した共重合ポリ乳酸で、
重合体中の乳酸由来の成分が50重量%以上のものをい
う。
【0008】ポリ乳酸と共重合可能なエステル結合形成
性原料の例としては、グリコール酸、ヒドロキシブチル
カルボン酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸、グリ
コリド、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラ
クトン、脂肪族及び芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジオー
ル、末端に水酸基を持つポリアルキレンエーテル及びそ
のオリゴマー、ポリアルキレンカーボネート及びそのオ
リゴマー(ジオール)などが挙げられる。脂肪族ジカル
ボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸な
ど、炭素数4〜20のものが好適である。芳香族ジカルボ
ン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、5−スル
ホイソフタル酸及びその金属(Na,Kなど)塩、テレ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0009】脂肪族ジオールとしては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサ
ンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデ
カンジオールなど、炭素数2〜20のものが好ましい例と
して挙げられる。
【0010】ポリアルキレンエーテル(グリコール)の
例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリブチレンエーテル及びそれらの共重合
物、例えば、ポリエチレン/プロピレングリコール、ポ
リエチレン/ブチレンエーテルなどが好ましい例として
挙げられ、また、それらのオリゴマー、特に分子量2000
未満、好ましくは分子量1000以下のもの、例えばジエチ
レングリコール、トリエチレングリコールなどが最も好
ましい。共重合アルキレンエーテルは、例えばポリプロ
ピレングリコール1モルに2モルのエチレンオキシドを
付加反応させて、平均重合度3のエチレン/プロピレン
エーテルグリコールを得ることができ、ブタンジオール
1モルにエチレンオキシド3モルを付加すれば、平均重
合度4のエチレン/ブチレンエーテルグリコールを得る
ことができる。同様にして、ジオール類にプロピレンオ
キシドを付加してプロピレンエーテル共重合グリコール
を得ることができる。
【0011】前記ジオールとジカルボン酸とは、ほぼ等
モルとなるように組合せられて共重合成分を形成する。
例えば、等モルのエチレングリコールとアジピン酸が反
応すれば、一方の末端が水酸基で、他端がカルボキシル
基のポリエチレンアジペートが得られ、モル比 101/100
で反応すれば、重合度 101で、両末端が水酸基のポリエ
チレンアジペートが得られ、共にラクチドと共重合して
良好なポリ乳酸/ポリエチレンアジペートブロック共重
合物を得ることができる。
【0012】こうした共重合成分は、乳酸を主成分とす
る重合体(A)の内の50重量%以下を占める。共重合成
分が多いほど重合体(A)は変性され、結晶性や耐熱性
が低下し、分解性が高まる。共重合比率は、目的、用途
によって任意に選択すればよいが、多くの場合1〜40
%、特に3〜30%がよく使われ、5〜20%が最も広く用
いられる。
【0013】一般に、脂肪族成分を共重合すると、柔軟
性、耐衝撃性が改良される効果がみられるが、ガラス転
移点や耐熱性が低下する傾向がある。他方、芳香族成分
の共重合によって、ガラス転移点や耐熱性が向上する傾
向がある。しかし、あまり融点の高い共重合成分(例え
ば、芳香族ジカルボン酸とジオールからなるポリエステ
ル)は、共重合操作や溶融成型性の観点から問題があ
り、共重合成分としては適切な融点、例えば融点 200℃
以下、特に 180℃以下のものを選択することが望まし
い。
【0014】上記共重合成分と、乳酸又はポリ乳酸との
共重合は、ランダム共重合及びブロック共重合のいずれ
も応用できる。しかし、共重合による結晶性、融点、耐
熱性などを最小限に抑制するには、ブロック共重合が特
に好ましい。ブロック共重合は、例えば、共重合成分を
予め重合し、分子末端に水酸基を持つポリマー又はオリ
ゴマーとした後、その末端水酸基を重合開始点としてラ
クチドを重合すれば、ポリ乳酸セグメント(ブロック)
と共重合物(ポリエステル)セグメントとが結合され
た、ブロック共重合体が得られる。また、分子末端に水
酸基やカルボキシル基などを持つポリ乳酸と、同じく末
端に官能基を持つ共重合成分であるポリエステルとを、
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸ハロ
ゲン化物、ジイソシアネート、ジアミンなどの2官能性
化合物と反応させて連結し、ブロック共重合体を得るこ
とができる。
【0015】本発明組成物の母体(マトリックス)ポリ
マーは、乳酸を主成分とする重合体(A)で、それに脂
肪族ポリエステル(含オリゴマー)を主成分とする高分
子型可塑剤(B)を配合したことを特徴とする。
【0016】可塑剤(B)は、脂肪族ジカルボン酸及び
鎖状ジオールを主成分とするものである。即ち、可塑剤
(ポリマー)の構成成分の50重量%以上が、脂肪族ジカ
ルボン酸及び鎖状ジオールに由来するものである。
【0017】可塑剤(B)の構成成分の一つである脂肪
族ジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸など、
炭素数4〜50の直鎖ジカルボン酸、特に炭素数4〜20の
ものが好ましいが、側鎖や二重結合を持つものも応用で
きる。
【0018】可塑剤(B)の他の主要成分である鎖状ジ
オールは、エチレングリコール、プロパンジオール、ブ
タンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、
デカンジオールなど、炭素数2〜20の脂肪族ジオール及
びポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレンエーテ
ル及びそれらの共重合物及びそのオリゴマー、及びポリ
アルキレンカーボネート及びそのオリゴマーを包含す
る。ポリアルキレンエーテル及びポリアルキレンカーボ
ネートのオリゴマーとしては、分子量2000未満、特に分
子量1000以下のものが好ましい。
【0019】可塑剤(B)の主成分は、上記の脂肪族ジ
カルボン酸及び鎖状ジオールであるが、それら以外の成
分が副次的に含まれていてもよい。副次的成分の例とし
ては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン
酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸、ブチロラクト
ン、ε−カプロラクトンなどのラクトン、芳香族ジカル
ボン酸、その他のエステル結合形成性成分が挙げられる
が、ジアミン、ジイソシアネートなども応用可能であ
る。
【0020】可塑剤(B)の重合度及び分子量は特に限
定されないが、一般に分子量が小さいほど可塑効果が大
きい反面、安定性が低く、例えば成型品表面への浸出に
よる汚れ発生の可能性も大きい。多くの場合、可塑剤
(B)の分子量は 500以上、特に1000以上のものが好ま
しく、3000以上のものが特に好ましく、5000〜200000の
ものが最も広く用いられる。
【0021】本発明における可塑剤の特徴の一つは、脂
肪族ポリエステルを主成分とするために、ガラス転移点
が低く、大きな可塑効果を有し、成型品に高い柔軟性、
耐衝撃性を与える。また、必要に応じ高分子量の可塑剤
とすることができ、表面浸出性が少なく、安定な効果を
持続的に発揮し、可塑化に伴う強度の低下を最小限とす
ることができる。このような高分子可塑剤としての効果
は、分子量が3000以上で明瞭に発揮され、特に分子量10
000 以上で顕著であり好ましい。
【0022】可塑剤(B)の末端は、カルボキシル基、
水酸基などでもよく、また、それらがアルキル基、アリ
ール基、アルキルアリール基、その他の基を有する化合
物により封鎖されていてもよい。末端にカルボキシル基
や水酸基を持つ場合は、母体ポリマー(A)と親和性が
高いが、逆に安定性の見地からは不安定で、母体ポリマ
ー(A)と反応したり、空気中の水分を吸収して母体ポ
リマー(A)の分解を促進する傾向がある。従って、可
塑剤の末端官能基は、組成物の使用目的によって任意に
選択すればよいが、組成物の安定性の見地からは封鎖し
たものが好ましい。例えば、両末端をステアリール基の
ような高級アルキル基で封鎖すれば、高級アルキル基自
体の可塑効果も加算され、安定性と可塑効果の双方共に
優れた組成物が得られる。
【0023】更に本発明において、可塑剤(B)の構成
成分に近似する脂肪族ジカルボン酸及び鎖状ジオール
を、母体ポリマー(A)の共重合成分として使用するこ
とにより、母体ポリマー(A)と可塑剤(B)との分子
構造の近似性を高めることができる。
【0024】ポリマー相互の分子構造の近似性は、主鎖
を構成する構成単位(ジカルボン酸、ジオール、ヒドロ
キシカルボン酸など)の炭素原子数及び酸素原子数の近
似性で現わすことができる。例えば、2種の構成単位の
炭素及び酸素原子数の差が4以下なら近似性が認めら
れ、2以下ならかなり近似性が高く、同一なら最も近似
性が高い。例えば、エチレンアジペート、エチレンセバ
ケート、ブチレンアジペート、ブチレンセバケートなど
は相互近似性が高い。同様に、ジエチレングリコールと
アジピン酸とのポリエステルエーテルは、ポリブチレン
アジペートと近似性が高い。
【0025】ポリ乳酸の主鎖の繰返し単位の原子数は、
炭素2、酸素1であり、グリコール酸のそれと全く同一
で、両者は最も近似性が高い。同様に、ヒドロキシブチ
ルカルボン酸も乳酸にかなり近い。ジカルボン酸とジオ
ールからなるポリエステルで、繰返し単位中の原子数の
少ないものの例は、エチレンサクシネートで、炭素6、
酸素2であるが、その中に2つのエステル結合を含むか
ら、エステル結合間の平均原子数では、炭素3、酸素1
で、ポリ乳酸にかなり近いといえる。即ち、炭素数6以
下、特に4以下のジカルボン酸やジオールからなるポリ
エステルは、ポリ乳酸に近似性が高い。
【0026】いずれにせよ、分子構造の近似性の高いも
のを、母体ポリマー(A)及び可塑剤(B)に導入する
ことにより、優れた混和性、可塑効果、透明性などを実
現することができる。母体ポリマー(A)と可塑剤
(B)の分子構造の近似性が高いほどその作用効果が優
れ、両者が同一の構成成分を持つ場合最も効果が著し
い。例えば、母体ポリマー(A)中の共重合成分の少な
くとも一つが、可塑剤(B)の構成成分である脂肪族ジ
カルボン酸又は/及び鎖状ジオールと同じであれば、両
者の親和性が極めて高く、ジカルボン酸成分とジオール
成分の両方が同一であれば、最も高い親和性が実現され
る。即ち、同一の脂肪族ジカルボン酸/鎖状ジオールか
らなる同種のポリエステルを、母体ポリマー(A)中の
共重合成分とすると同時に、可塑剤(B)の主成分とす
ることにより、最高の親和性が得られ、本発明の目的に
最も好ましい。勿論、母体ポリマー(A)と可塑剤
(B)が共有する脂肪族ポリエステル(セグメント)
は、その構成成分であるジオールとジカルボン酸とが同
じであれば十分であり、その重合度は異なっていても構
わない。可塑剤(B)の母体ポリマー(A)への混合率
は、目的によって異なるが、一般に、混合率が大きいほ
ど可塑化が著しい。成型品の耐熱性をあまり損なわない
で耐衝撃性を付与するには、可塑剤の混合率は1〜15%
程度、特に3〜10%程度がよく用いられる。他方、大幅
な柔軟性が必要な場合は、可塑剤の混合率は10〜50%程
度、特に15〜40%程度がよく用いられる。母体ポリマー
(A)中の共重合成分も可塑剤的に作用するから、共重
合成分が多い場合は、可塑剤(B)の混合率は比較的少
量でもよい。組成物全体の中の共重合成分と可塑剤
(B)との重量分率の合計は、多くの場合2〜70%、特
に5〜50%、最も多くの場合8〜40%が好ましい。
【0027】可塑剤(B)は、多くの場合、母体ポリマ
ー(A)の重合後、混合される。母体ポリマー(A)の
重合原料や重合工程中に混合することも不可能ではない
が、エステル交換反応により母体ポリマーと共重合した
り、可塑剤が分解するのを防ぎ、所望の混合率と可塑効
果を正確に実現するには、母体ポリマーの重合後、成型
前又は成型工程で混合することが好ましい。
【0028】混合方法は任意であるが、溶融状態や溶液
で機械的撹拌や静止混合器で混合してもよく、粉末状や
粒子状で混合して溶融又は溶解してもよい。本発明の組
成物は、母体ポリマー(A)と可塑剤(B)との親和性
が高く、容易に均一に混合することができる。
【0029】本発明組成物中には、主成分である母体ポ
リマー(A)と可塑剤(B)の他に、副次的に他の成分
を添加してもよい。副次的添加剤の例としては、安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色材、各種無
機粒子、各種フィラー、撥水剤、親水剤、離型剤、可塑
剤、生理活性剤、防腐剤、抗菌剤、その他の類似のもの
が挙げられる。
【0030】以下の実施例において、部、%は特記しな
い限り、重量比率で示す。ポリ乳酸及びポリ乳酸共重合
物の分子量は、試料のクロロホルム 0.1%溶液のGPC
分析で、分子量 500以下のものを除く高分子物の分散の
重量平均値である。
【0031】
【実施例】
《実施例1》光学純度99%以上のL−ラクチド95部に対
し、共重合成分として両末端が水酸基で分子量9000のポ
リエチレンアジペート5部、直径0.05μmの酸化チタン
粒子0.5 %、オクチル酸錫0.05%、チバガイギー社イル
ガノックス1010を0.2 %混合し、2本のスクリューが互
いに噛み合う二軸混合送液器で、窒素雰囲気中180 ℃で
連続的に平均30分間反応(予備)重合し、更にオクチル
酸錫を 0.1%添加し、互いに噛み合うスクリュー群と、
互いに噛み合う長円形(2フライト型)の撹拌素子群か
らなる2軸混練機を用い、190 ℃で平均15分間重合した
後、最終ベント孔より、溶融し水分率 10ppm以下とした
可塑剤P1を5%供給して混合し、更にケニックス社の
静止混合素子60個を内蔵した円筒中を通過させた後、口
金孔より押出し、水で冷却、固化、切断して、チップC
1を得た。
【0032】可塑剤P1は、分子量約4000のポリエチレ
ンアジペートの両末端水酸基をステアリン酸でエステル
化、封鎖した分子量約4500のもので、他に固相重合開始
剤用にトリエチレングリコールを 0.3%混合したもので
ある。
【0033】チップC1を 120℃、圧力1.5kg/cm2 の窒
素中で12時間加熱し、更に 160℃、48時間常圧熱処理
(固相重合)して、チップC2を得た。チップC2の平
均分子量は162000、残存モノマー(ラクチド)は 0.2%
であった。
【0034】チップC2を用い、それを射出成型してV
字形ノッチの付いた衝撃試験片を作成した。同じくチッ
プC2をスクリュー押出機で 210℃で溶融し、T型口金
のスリットより押出し、冷却した後、90℃で縦方向に
3.1倍、横方向に 2.9倍延伸して、厚さ50μm のフィル
ムを作成した。
【0035】チップC2と略同様にして、但し、ラクチ
ド重合時に共重合成分を加えずに得たポリ乳酸ホモポリ
マーに、可塑剤P1を5%添加、混合して得たものをチ
ップC3とする。チップC3の分子量は163000で、残存
モノマー量は 0.2%である。チップC3から、チップC
2と同様にして衝撃試験片及び延伸フィルムを作成し
た。
【0036】チップC2と略同様にして、但し、ラクチ
ド重合時に共重合成分を加えずに得たポリ乳酸ホモポリ
マーに、可塑剤も添加しないでチップC4を得た。チッ
プC4の分子量は169000で、残存モノマー量は 0.2%で
ある。チップC4から、チップC2と同様にして衝撃試
験片及び延伸フィルムを作成した。
【0037】チップC2と略同様にして、但し、可塑剤
P1の代わりに分子量約4500のポリε−カプロラクトン
を添加混合し、以下固相重合を同様に行って得たものを
チップC5とする。チップC5の分子量は153000、残存
モノマー量 0.3%であった。チップC5から、チップC
2と同様にして衝撃試験片及び延伸フィルムを作成し
た。
【0038】チップC2と略同様にして、但し、ラクチ
ド重合時に共重合成分を加えず、重合後可塑剤P1の代
わりに分子量約4500のポリε−カプロラクトンを添加し
て混合し、以下同様に固相重合して得たものをチップC
6とする。チップC6の分子量は154000、残存モノマー
は 0.3%であった。チップC6から、チップC2と同様
にして衝撃試験片及び延伸フィルムを作成した。
【0039】チップC2〜C6から得た各試験片を用い
て、衝撃強度を測定し、また各延伸フィルムの透明性を
肉眼判定した。その結果を表1に示す。表1に見るよう
に、本発明組成物の衝撃強度及び透明度は、比較例より
も優れ、特に母体ポリマーと可塑剤が同一の共重合成分
を持っているチップC2から得たものが最も優れた性能
を示している。
【0040】
【表1】 《実施例2》実施例1のチップC2と略同様にして、但
し、ラクチド重合時に、ジエチレングリコールとアジピ
ン酸を重合したポリエーテルエステルで、分子量約900
0、両末端が水酸基のものを5%共重合し、共重合後、
可塑剤P1の代わりにジエチレングリコールとアジピン
酸とを重合したポリエーテルエステルで両末端をラウリ
ン酸でエステル化、封鎖した分子量約6000のものを5%
添加し、以下同様にチップ化、固相重合してチップC7
を得た。チップC7の分子量は171000で、残存ラクチド
は 0.1%であった。チップC7から得た試験片の衝撃強
度は 6.3kg・cm/cm 、延伸フィルムの透明度はチップC
2から得たフィルムと同等で、極めて優れていた。
【0041】
【発明の効果】本発明によって、母体ポリマー(A)及
び可塑剤(B)の組成の広範な組み合わせが可能とな
り、目的や用途に応じて、多様な可塑化されたポリ乳酸
組成物が得られる。特に母体ポリマーに親和性の高い可
塑剤を組み合わせることにより、優れた柔軟性、衝撃強
度、透明感を持つ成型品が得られ、可塑剤の表面浸出に
よる汚れなどを抑制できる。同様に分子量の高い可塑剤
を用いることにより、可塑効果の永続性、安定性に優
れ、表面汚れの少ない組成物を得ることができる。これ
らの優れた効果は、母体ポリマーである乳酸を主成分と
する重合体(A)と可塑剤(B)とに、相互に近似性の
高い成分を導入することにより、一層著しくなり、同一
の成分を導入することにより最も顕著な効果が得られ
る。
【0042】また、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオー
ルは分解性に優れ、それらから得られる脂肪族ポリエス
テルも生分解性に優れ、それを導入した母体ポリマー
(A)及び可塑剤(B)も生分解性に優れる。一般に、
脂肪族ジカルボン酸やジオールが有するアルキル基の炭
素数が多くなると、撥水性が高まり、それらを構成成分
とする母体ポリマー(A)や可塑剤(B)の生分解性が
抑制される傾向があるが、それらの組成物は長寿命、低
分解性を必要とする用途に適している。
【0043】ポリアルキレンエーテル、特にそのオリゴ
マー、例えば、ジエチレングリコールやトリエチレング
リコール、低分子量ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなどを応用した場合は、可塑効果、特
に柔軟性に優れた成型品が得られる。また生分解性も十
分に認められ、環境保護その他の目的にも合致する。更
に、可塑剤の添加率を変化することにより、成型品の分
解性や物性を大幅に変化させることができ、広範な用途
に好適に用いることができる。特に高分子量の可塑剤を
用いると、可塑剤を多量に混合しても低分子可塑剤に比
べて特性(例えば強度)の劣化が少なく、優れた柔軟な
製品を得ることができる。
【0044】本発明の組成物は、繊維、編物、織物、不
織布、紙、フェルト、網、ロープ、フィルム、シ−ト、
板、棒、チューブ、多孔質成型品、各種容器、各種部
品、各種複合材料、その他各種の成型品の用途に応じ
て、最適な特性に改良して用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸を主成分とする重合体(A)の中
    に、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分
    とする脂肪族ポリエステルからなる可塑剤(B)が、重
    量比(A/B)99/1乃至50/50の範囲で混合さ
    れていることを特徴とする可塑化されたポリ乳酸組成
    物。
  2. 【請求項2】 乳酸を主成分とする重合体が、ポリ乳酸
    に対して、脂肪族ジカルボン酸と鎖状分子ジオールとを
    成分とする脂肪族ポリエステルをブロック共重合したも
    のである、請求項1記載の可塑化されたポリ乳酸組成
    物。
  3. 【請求項3】 乳酸を主成分とする重合体を構成する共
    重合成分である脂肪族ポリエステルが、可塑剤の主成分
    である脂肪族ポリエステルと同一のものである、請求項
    1記載の可塑化されたポリ乳酸組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の組成物からなる繊
    維、編物、織物、不織布、紙、フェルト、網、ロープ、
    フィルム、シ−ト、板、棒、チューブ、多孔質成型品、
    各種容器、各種部品、その他の成型品。
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