JP2008163220A - ポリ乳酸樹脂用改質剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリ乳酸樹脂に配合して優れた柔軟性および耐熱性を付与し、ブリードアウトが少ないエステル化合物;および改質されたポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 アイソタクティシティが高いポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなる数平均分子量が200〜50,000のポリエーテルエステル化合物(C)からなる改質剤をポリ乳酸樹脂に配合したポリ乳酸樹脂組成物である。
【選択図】 なし
【解決手段】 アイソタクティシティが高いポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなる数平均分子量が200〜50,000のポリエーテルエステル化合物(C)からなる改質剤をポリ乳酸樹脂に配合したポリ乳酸樹脂組成物である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリ乳酸樹脂に配合したときに、優れた柔軟性、耐熱性および耐衝撃性を付与し、ブリードアウトが少ないポリエーテルエステル化合物であり、包装材料、梱包材、フィルム、シート、テープ、ラミネート等の柔軟性や耐衝撃性が必要とされる成形品に用いられる改質剤;および改質されたポリ乳酸樹脂組成物に関する。
近年、地球環境に優しい資源循環型プラスチックが注目されている。それらの1つとして、ポリ乳酸系樹脂がある。ポリ乳酸系樹脂は、植物から得ることができるため、石油資源を使用しないカーボンニュートラルな素材、持続可能な資源として、循環型社会の構築に貢献しうるものであり、脚光を浴びている。また、ポリ乳酸系樹脂は、他の樹脂に比べて、生分解性が高く、環境に優しい樹脂として、幅広い分野での普及が期待される樹脂である。
しかし、ポリ乳酸樹脂は分子構造が剛直であるため、柔軟性や耐衝撃性を必要とする用途に対しては、改質が必要である。一般に、剛直な樹脂に柔軟性や耐衝撃性を付与する方法として、改質剤を樹脂に添加する方法が広く用いられている。
しかし、ポリ乳酸樹脂は分子構造が剛直であるため、柔軟性や耐衝撃性を必要とする用途に対しては、改質が必要である。一般に、剛直な樹脂に柔軟性や耐衝撃性を付与する方法として、改質剤を樹脂に添加する方法が広く用いられている。
ポリ乳酸を軟質化する方法としては、軟質ポリマーのブレンド、可塑剤の添加等が知られている。ポリ乳酸にブレンドする軟質ポリマーとしては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン等が開示されている(例えば、特許文献1、2)。 しかしながら、低分子量の液状可塑剤に比べ可塑効果が劣り、ポリ乳酸に十分な柔軟性を付与するためには多量の柔軟性の生分解性樹脂の添加が必要であり、その結果、耐熱性等が損なわれることとなる。
ポリ乳酸に添加する可塑剤としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂用可塑剤であるアジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジオクチル、アセチルクエン酸トリエチルが開示されている(特許文献3)。しかし、これらも、可塑化効率が小さく、十分な柔軟性が得られず、さらに、成形品からの可塑剤のブリードアウトが生じ、透明性および柔軟性が変化する。
また、ポリ乳酸への適応性を高めた可塑剤として、ポリグリセリン酢酸エステル(特許文献4)、およびロジン系エステル(特許文献5)が開示されている。しかし、耐ブリード性、可塑性が十分でないなど、いずれも性能、物性において一長一短があり、十分に満足できるものとは言えない。
また、ポリ乳酸への適応性を高めた可塑剤として、ポリグリセリン酢酸エステル(特許文献4)、およびロジン系エステル(特許文献5)が開示されている。しかし、耐ブリード性、可塑性が十分でないなど、いずれも性能、物性において一長一短があり、十分に満足できるものとは言えない。
本発明が解決しようとする課題は、十分な柔軟性を付与し、樹脂組成物からのブリードアウトが少なく、耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂用改質剤を提供することである。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、アイソタクティシティが50%以上のポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなるポリエーテルエステル化合物(C)からなり、その数平均分子量が200〜50,000であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用改質剤;および改質されたポリ乳酸樹脂組成物である。
すなわち、本発明は、アイソタクティシティが50%以上のポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなるポリエーテルエステル化合物(C)からなり、その数平均分子量が200〜50,000であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用改質剤;および改質されたポリ乳酸樹脂組成物である。
本発明のポリ乳酸樹脂用改質剤を含有したポリ乳酸樹脂組成物は、柔軟性、耐ブリード性、および耐熱性に優れる。
本発明のポリ乳酸樹脂用改質剤は、アイソタクティシティが50%以上のポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなるポリエーテルエステル化合物(C)を必須成分とし、(C)の数平均分子量が200〜50,000であることを特徴とする。
本発明におけるアイソタクティシティが50%以上のポリオキシプロピレングリコール(A)は、(1)キラル体の(R)−プロピレンオキサイドまたは(S)−プロピレンオキサイドをそれぞれ単独で開環重合させる方法や(2)特殊なキラルの触媒の存在下でラセミ体のアルキレンオキサイドを開環重合させる方法で得られ、特に限定されない。
ポリオキシプロピレングリコール(A)のアイソタクティシティーは、得られるポリ乳酸樹脂組成物(D)の機械強度の観点から50%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは、95%以上である。
ポリオキシプロピレングリコール(A)の数平均分子量は、通常600〜6,000である。600未満では耐熱性が不十分となり、6,000を超えると柔軟性の付与は不十分となる。
本発明におけるオキシカルボン酸(B)としては、分子内に1〜3個のヒドロキシル基と1〜3個のカルボキシル基を有する炭素数1〜23のオキシカルボン酸、およびオキシカルボン酸の2〜3量体の環状エステルが挙げられる。
具体的には、例えばグリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、β−オキシ酪酸、γ−オキシ酪酸、2−オキシ吉草酸、3−オキシ吉草酸、6−オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸と、グリコール酸の二量体であるグリコリド、乳酸の二量体であるラクチド、又は6−オキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。
これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
これらの中で、本発明の改質剤が添加される対象であるポリ乳酸樹脂との相溶性の観点から、オキシカルボン酸(B)としては乳酸またはラクチドが好ましい。
具体的には、例えばグリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、β−オキシ酪酸、γ−オキシ酪酸、2−オキシ吉草酸、3−オキシ吉草酸、6−オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸と、グリコール酸の二量体であるグリコリド、乳酸の二量体であるラクチド、又は6−オキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。
これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
これらの中で、本発明の改質剤が添加される対象であるポリ乳酸樹脂との相溶性の観点から、オキシカルボン酸(B)としては乳酸またはラクチドが好ましい。
乳酸の製造方法としては、例えば、グルコースや可溶性デンプンなどの炭素源と共にアミノ酸、ビタミン、無機質などを含む生産用培地を調製し、120℃、2気圧で殺菌を施した後、乳酸生産菌を無菌的に植菌し、30〜37℃で発酵させる手法などが挙げられる
ラクチドの製造方法としては、例えば、乳酸を減圧下に加熱、脱水縮合して乳酸オリゴマーを形成し、該オリゴマーにラクチド合成用触媒としてSnOなどを添加し解重合および環化させるという手法などが挙げられる。得られたラクチドは蒸気で回収し、凝固を防ぐために60〜90℃以上の液体状で回収される。
本発明のポリエーテルエステル化合物(C)は、本発明のポリ乳酸樹脂用改質剤の必須成分であり、ポリオキシプロピレングリコールの両末端の水酸基に対して、オキシカルボン酸(B)をブロック付加重合させて得られ、しかもこのポリオキシプロピレングリコールとして、アイソタクティシティが高い結晶性のポリオキシプロピレングリコール(A)を使用することを特徴とする。
ポリオキシプロピレングリコール(A)に対する乳酸、グリコール酸などのオキシカルボン酸(B)の付加重合反応の場合の付加モル比率としては、ポリオキシプロピレングリコール(A)1モルに対するオキシカルボン酸(B)の付加モル数は、通常2〜100であり、好ましくは10〜50である。
また、ラクチド、グリコリドなどの環状エステルのオキシカルボン酸(B)との開環付加重合反応の場合のモル比率としては、ポリオキシプロピレングリコール(A)1モルに対するオキシカルボン酸(b)の付加モル数は、通常2〜100であり、好ましくは10〜50である。
付加モル比が1未満であると耐ブリード性が非常に低下する。また100を超えてもそれ以上に柔軟性がほとんど改善されない。
また、ラクチド、グリコリドなどの環状エステルのオキシカルボン酸(B)との開環付加重合反応の場合のモル比率としては、ポリオキシプロピレングリコール(A)1モルに対するオキシカルボン酸(b)の付加モル数は、通常2〜100であり、好ましくは10〜50である。
付加モル比が1未満であると耐ブリード性が非常に低下する。また100を超えてもそれ以上に柔軟性がほとんど改善されない。
本発明のポリエーテルエステル化合物(C)は、アイソタクティシティが高い結晶性のポリオキシプロピレングリコール(A)を、オキシカルボン酸(B)として乳酸またはラクチドと反応させて得られるものが、ポリ乳酸樹脂の改質効果が大きい。
そのようなポリエーテルエステル化合物(C)としては、オキシカルボン酸(B)として乳酸と反応して得られる下記一般式(1)で表されるポリエーテルエステル化合物(C1)、またはオキシカルボン酸(B)としてラクチドと反応して得られる下記一般式(2)で表されるポリエーテルエステル化合物(C2)があげられる。
そのようなポリエーテルエステル化合物(C)としては、オキシカルボン酸(B)として乳酸と反応して得られる下記一般式(1)で表されるポリエーテルエステル化合物(C1)、またはオキシカルボン酸(B)としてラクチドと反応して得られる下記一般式(2)で表されるポリエーテルエステル化合物(C2)があげられる。
(式中、mは1〜100の数; nは1〜50の数;kは1〜50の数を表す。)
式中、mはポリオキシプロピレングリコール(A)のプロピレンオキサイドの付加モル数を表し、通常10〜100、好ましくは15〜50である。
10未満であると耐熱性が不十分となり、100を超えると柔軟性付与が不十分となる。
10未満であると耐熱性が不十分となり、100を超えると柔軟性付与が不十分となる。
式中、nは乳酸モノマーの付加モル数を表し、通常1〜50、好ましくは5〜25である。通常はポリオキシプロピレングリコール(A)骨格の両側に左右対称にブロック状に同モル数付加する。50を超える柔軟性付与が不十分となる。
式中、kはラクチドの付加モル数を表し、通常1〜50、好ましく5〜25である。通常はポリオキシプロピレングリコール(A)骨格の両側に左右対称にブロック状に同モル数付加する。50を超えると柔軟性付与が不十分となる。
ポリエーテルエステル化合物(C)は、アイソタクティシティの高いポリオキシプロピレングリコール(A)とオキシカルボン酸(B)を原料に、公知の製法によって製造することができる。例えば反応温度は好ましくは80〜250℃、より好ましくは80〜200℃である。反応時間は好ましくは5〜48時間、より好ましくは 5〜24時間である。反応は脱水反応であり、反応が進行するに従い減圧下で行うのが好ましい。減圧度は好ましくは5〜100mmHgである。
本発明のポリエーテルエステル化合物(C)の数平均分子量は200〜50,000であり、400〜20,000がより好ましい。数平均分子量が200未満であると、ポリ乳酸樹脂組成物(D)を成形加工して得られた成形体の強度および耐熱性が不良であり、50,000を超えると、成形加工時の溶融粘度が極端に高くなり取扱い困難となったり、製造上不経済となったりする。分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されない。
次に、本発明の改質剤が添加される対象のポリ乳酸樹脂の製造法の具体例としては、以下の公知の方法が挙げられ、その製造方法は特に限定されない。
(i)乳酸又は乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5310865号に示されている製造方法)。
(ii)乳酸の環状二量体(ラクチド)を溶融重合する開環重合法(例えば米国特許2758987号に開示されている製造方法)。
(iii)乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の環状二量体、例えばラクチドやグリコリドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば米国特許4057537号に開示されている製造方法)。
(iv)乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5428126号に開示されている製造方法)。
(v)ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば欧州特許公報0712880 A2号に開示されている製造方法)
(vi)乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行うことによりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法。
(i)乳酸又は乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5310865号に示されている製造方法)。
(ii)乳酸の環状二量体(ラクチド)を溶融重合する開環重合法(例えば米国特許2758987号に開示されている製造方法)。
(iii)乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の環状二量体、例えばラクチドやグリコリドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば米国特許4057537号に開示されている製造方法)。
(iv)乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5428126号に開示されている製造方法)。
(v)ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば欧州特許公報0712880 A2号に開示されている製造方法)
(vi)乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行うことによりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法。
これらのポリ乳酸樹脂を製造する際の重合触媒としては、通常、周期律表のIA族、IVA族、IVB族およびVA族からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属または金属化合物からなる触媒である。
周期律表のIVA族に属する金属または金属化合物からなる触媒としては、例えば有機スズ系の触媒(乳酸スズ、酒石酸スズジカプリル酸スズ、ジラリウル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフエト酸スズ、β−ナフエト酸スズ、オクチル酸スズ等)の他、粉末スズ等を挙げることができる。
周期律表のIVA族に属する金属または金属化合物からなる触媒としては、例えば有機スズ系の触媒(乳酸スズ、酒石酸スズジカプリル酸スズ、ジラリウル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフエト酸スズ、β−ナフエト酸スズ、オクチル酸スズ等)の他、粉末スズ等を挙げることができる。
本発明で改質されるポリ乳酸樹脂の重量平均分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されない。
本発明のポリ乳酸樹脂用改質剤とポリ乳酸樹脂との配合比率は、柔軟性、耐ブリード性の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して改質剤5〜150重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。改質剤が5重量部未満であると、柔軟性がほとんど改善されない。また改質剤が150重量部を超えると耐ブリード性が極度に悪化する。また実用的な機械強度も得ることができない。
本発明でのポリ乳酸樹脂用改質剤とポリ乳酸樹脂との混合方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法で混合することができる。
例えば、1軸又は複数軸の攪拌機が設置された縦型反応容器又は横型反応容器、1軸あるいは複数軸の掻き取り羽が配設された横型反応機、また、1軸又は複数軸のニーダーや、1軸又は複数軸の押出機等の反応装置を単独で用いて溶融混合すればよく、又は複数機を直列又は並列に接続して用いてもよい。この溶融混合は、通常120〜220℃程度の温度で行われる。
例えば、1軸又は複数軸の攪拌機が設置された縦型反応容器又は横型反応容器、1軸あるいは複数軸の掻き取り羽が配設された横型反応機、また、1軸又は複数軸のニーダーや、1軸又は複数軸の押出機等の反応装置を単独で用いて溶融混合すればよく、又は複数機を直列又は並列に接続して用いてもよい。この溶融混合は、通常120〜220℃程度の温度で行われる。
本発明の改質されたポリ乳酸樹脂組成物(D)には、例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤、例えば、安定剤(エポキシ化大豆油、カルボジイミド等)、酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール等)、防曇剤(グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリル等)、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤効果を持つ無機添加剤(クレイ、タルク、シリカ等)、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラック、群青等)、滑剤、天然物等を添加することができる。
添加量は目的、種類によって異なるが、好ましくは本発明の改質されたポリ乳酸樹脂組成物(D)100部に対して0〜5部である。
添加量は目的、種類によって異なるが、好ましくは本発明の改質されたポリ乳酸樹脂組成物(D)100部に対して0〜5部である。
得られたポリ乳酸樹脂組成物(D)は、柔軟性、耐熱性が付与され、良好な成形性を有し、従来公知の各種成形方法、例えば射出成形、押出成形、プレス成形、フィルム延伸などによりフィルム、シート、構造体などを容易に作製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
製造例1
(S)−プロピレンオキサイド120gとKOH30gを1Lのオートクレーブに入れ、48時間室温で攪拌させた。その後50℃に昇温し、トルエンを100g、水100gを加え分液を3回した。その後、0.1mol/Lの塩酸で中和、水100gを加え分液を3回行なった。ろ液から溶媒をエバポレーターで留去することで白色のポリオキシプロピレングリコール(A−1)を100g得た。アイソクタクティシティーは、93%で、数平均分子量は4000、水酸基価28.1mgKOH/g、融点53℃であった。
(S)−プロピレンオキサイド120gとKOH30gを1Lのオートクレーブに入れ、48時間室温で攪拌させた。その後50℃に昇温し、トルエンを100g、水100gを加え分液を3回した。その後、0.1mol/Lの塩酸で中和、水100gを加え分液を3回行なった。ろ液から溶媒をエバポレーターで留去することで白色のポリオキシプロピレングリコール(A−1)を100g得た。アイソクタクティシティーは、93%で、数平均分子量は4000、水酸基価28.1mgKOH/g、融点53℃であった。
実施例1
撹拌装置、温度制御装置付きの容積10Lのガラス製反応器に、製造例1で得られたポリオキシプロピレングリコール(A−1)3,000重量部、オキシカルボン酸としてL体ラクチド(B−1)3,000重量部、オクチル酸錫7重量部を投入し、窒素気流下、反応温度130〜140℃に保持しながら時間反応させた。反応後、ゆっくりと減圧とし、過剰のL体ラクチドを留去した。さらに140℃/30mmHgで5時間留去して、数平均分子量が8,000のポリエーテルエステル化合物を6,000重量部を得た。このポリエーテルエステル化合物をそのままポリ乳酸樹脂用改質剤(C−1)として使用した。
このポリ乳酸樹脂用改質剤(C−1)20重量部を、L体ポリ乳酸(三井化学社製レイシアH−400)100重量部に加えて、ラボプラストミルを使用し190℃で10分間混練し、本発明のポリ乳酸組成物(D−1)を得た。(D−1)をテーブルタイプテストプレスを使用して温度200℃、圧力10Mpa、時間30秒の条件で厚さ200μmのシートに成形した。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積10Lのガラス製反応器に、製造例1で得られたポリオキシプロピレングリコール(A−1)3,000重量部、オキシカルボン酸としてL体ラクチド(B−1)3,000重量部、オクチル酸錫7重量部を投入し、窒素気流下、反応温度130〜140℃に保持しながら時間反応させた。反応後、ゆっくりと減圧とし、過剰のL体ラクチドを留去した。さらに140℃/30mmHgで5時間留去して、数平均分子量が8,000のポリエーテルエステル化合物を6,000重量部を得た。このポリエーテルエステル化合物をそのままポリ乳酸樹脂用改質剤(C−1)として使用した。
このポリ乳酸樹脂用改質剤(C−1)20重量部を、L体ポリ乳酸(三井化学社製レイシアH−400)100重量部に加えて、ラボプラストミルを使用し190℃で10分間混練し、本発明のポリ乳酸組成物(D−1)を得た。(D−1)をテーブルタイプテストプレスを使用して温度200℃、圧力10Mpa、時間30秒の条件で厚さ200μmのシートに成形した。
比較例1
実施例1のアイソタクティシティの高いポリオキシプロピレングリコール(A−1)を、通常の数平均分子量4000のポリオキシプロピレングリコール(ニューポールPP−4000 三洋化成工業社製)(A’−1)に変更した以外は同様の条件にてポリ乳酸樹脂用改質剤(C’−1)を得た。
さらにこのポリ乳酸樹脂用改質剤(C’−1)を実施例1と同様の条件下でL体ポリ乳酸と混練し、比較のためのポリ乳酸樹脂組成物(D’−1)を得た。
実施例1のアイソタクティシティの高いポリオキシプロピレングリコール(A−1)を、通常の数平均分子量4000のポリオキシプロピレングリコール(ニューポールPP−4000 三洋化成工業社製)(A’−1)に変更した以外は同様の条件にてポリ乳酸樹脂用改質剤(C’−1)を得た。
さらにこのポリ乳酸樹脂用改質剤(C’−1)を実施例1と同様の条件下でL体ポリ乳酸と混練し、比較のためのポリ乳酸樹脂組成物(D’−1)を得た。
ブランク樹脂
物性評価の比較のブランクとして、改質剤を添加しないL体ポリ乳酸のみ(D’−2)
を、実施例1と同様の条件下でテーブルタイプテストプレスを使用してシートに成形した。
物性評価の比較のブランクとして、改質剤を添加しないL体ポリ乳酸のみ(D’−2)
を、実施例1と同様の条件下でテーブルタイプテストプレスを使用してシートに成形した。
(1)引張伸び率
柔軟性の指標として、JIS−K−7127に従って測定し、引張伸び率を評価した。但し、試験片タイプ5を使用し、引張速度は10mm/分で測定した。
柔軟性の指標として、JIS−K−7127に従って測定し、引張伸び率を評価した。但し、試験片タイプ5を使用し、引張速度は10mm/分で測定した。
(2)耐ブリードアウト性
実施例で作成した厚さ200μmのシートを直径8cmの円状に切り、その両面を濾紙で完全に密着させて挟んでホッチキスで固定化した後に、シャーレに入れて、100℃の循風乾燥器中で24時間加熱した。乾燥器から取り出し、シート表面にブリードアウトしてきた余計な改質剤を濾紙に密着させて吸着させるようにした。デシケータ内で室温まで放冷後、濾紙をシートから剥がし、加熱前後のシートの重量を測定し、その減量率をブリードアウト率として算出した。
実施例で作成した厚さ200μmのシートを直径8cmの円状に切り、その両面を濾紙で完全に密着させて挟んでホッチキスで固定化した後に、シャーレに入れて、100℃の循風乾燥器中で24時間加熱した。乾燥器から取り出し、シート表面にブリードアウトしてきた余計な改質剤を濾紙に密着させて吸着させるようにした。デシケータ内で室温まで放冷後、濾紙をシートから剥がし、加熱前後のシートの重量を測定し、その減量率をブリードアウト率として算出した。
なお、ブリードアウト率と、濾紙で挟まずに乾燥器から取り出した直後のシート表面の外観の相関は以下の通りである。
表面にブリードアウトが認められない : 2.0%未満
表面にねばつきを感じる :2.0%以上、5.0%未満
目視で明らかに表面にブリードアウトしたカスミが確認できる :5.0%以上
表面にブリードアウトが認められない : 2.0%未満
表面にねばつきを感じる :2.0%以上、5.0%未満
目視で明らかに表面にブリードアウトしたカスミが確認できる :5.0%以上
(3)耐熱性 (荷重たわみ温度)
耐熱性は、荷重たわみ温度として評価した。
実施例、比較例で得られたポリ乳酸樹脂組成物(D−1)、(D’−1)、(D’−2)を、射出成形温度190℃、金型温度60℃で、射出成形機により、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を作製した。本試験片を用いJIS−K7191に基づいて荷重たわみ温度を測定した。
得られた結果を表1に示す
耐熱性は、荷重たわみ温度として評価した。
実施例、比較例で得られたポリ乳酸樹脂組成物(D−1)、(D’−1)、(D’−2)を、射出成形温度190℃、金型温度60℃で、射出成形機により、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を作製した。本試験片を用いJIS−K7191に基づいて荷重たわみ温度を測定した。
得られた結果を表1に示す
表1から明らかなように、本発明のポリ乳酸樹脂用改質剤(C−1)をL体のポリ乳酸樹脂に混合して得られるポリ乳酸樹脂組成物(D−1)は柔軟性、耐ブリード性、および耐熱性に関して、改質剤を含まないポリ乳酸樹脂(D’−2)はもとより、従来のポリ乳酸樹脂組成物(D’−1)に比べ優れている。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、フィルム製造に用いた場合の該フィルムの用途としては、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、農業用、食品用の包装材用途が挙げられる。またシート、射出成形品では、日用雑貨、食品容器、養生シート、苗木ポット、産業資材、工業用品等用品等のシート、射出成形品として有用である。
Claims (5)
- アイソタクティシティが50%以上のポリオキシプロピレングリコール(A)およびオキシカルボン酸(B)を反応させてなるポリエーテルエステル化合物(C)からなり、該(C)の数平均分子量が500〜20,000であることを特徴とするポリ乳酸樹脂用改質剤。
- 該オキシカルボン酸(b)が乳酸またはラクチドである請求項1記載のポリ乳酸樹脂用改質剤。
- 該ポリオキシプロピレングリコール(A)のアイソタクティシティが90%以上である請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂用改質剤。
- ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、請求項1〜4いずれか記載の改質剤を5〜150重量部含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物(D)。
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