JP3860163B2 - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン(PE)代替用の樹脂として優れた物性を有しており、用途や使用条件に合致するように生分解性を制御された脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを成形して得られるフィルムに関するものである。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とをエステル化して得られる、例えば、ポリブチレンサクシネート(PBS)は生分解性を有する代表的な軟質系脂肪族ポリエステル樹脂であるが、ポリエチレン(PE)、特に低密度ポリエチレン(LDPE)代替用の樹脂としては弾性率が若干高く、土壌中での生分解性が低すぎるため、マルチフィルム用途としての適用範囲は限られている。PBSにアジピン酸やカプロラクトンユニットを導入(例えば、特許2997756号公報、WO 02/44249号公報)することで、より柔軟な性質が発現し、マルチフィルムに適した物性になるが、生分解性が高くなりすぎる。
従って、マルチフィルム等に適した柔軟な物性を有し、かつ、生分解性が高い樹脂に、生分解性が低いPBSをブレンドすることで改善が図られているが、物性と生分解性が両方とも変化してしまう(すなわち、物性を維持したまま生分解性だけを制御することが難しい)。
特許3339297号公報には、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、及びポリ乳酸とから得られる脂肪族ポリエステル共重合体とポリ乳酸を20:80〜80:20の範囲でブレンドすることにより十分な強度と伸びを有するポリエステル組成物が得られた結果が開示されているが、力学物性を制御することを目的としているため高分子量ポリ乳酸が使用されており、マルチフィルム等のフィルム用途に適した柔軟な性質を有する樹脂組成物は得られていない。また、特開2003−003035号広報には、オキシカルボン酸単位を含む脂肪族ポリエステル共重合体にポリ乳酸を10重量%程度の少量ブレンドすることで生分解性を大幅に制御することが可能であることが開示されているが、使用されているポリ乳酸が高分子量体であるため脂肪族ポリエステル共重合体の特徴である柔軟性を損なうことがあるという問題があった。特に延伸フィルムに成形した場合、ポリ乳酸が配向して物性、例えば、引張り特性に異方性が発現しやすいとともに、生分解性の制御も不十分であるという問題があった。
特許2997756号公報(特許請求の範囲他) WO 02/44249号公報(特許請求の範囲他) 特許3339297号公報(特許請求の範囲他)
本発明は、アジピン酸やカプロラクトンにより変性されたポリブチレンサクシネート(PBS)系脂肪族ポリエステル樹脂の柔軟な特性を維持したまま、生分解性を制御した脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを開発することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリブチレンサクシネート(PBS)系脂肪族ポリエステル樹脂に特定の分子量のポリ乳酸をブレンドすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1は、下記一般式(1)と(2)で示される繰返し単位:
−CO−R−CO− (1)
(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R−O− (2)
(式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
及び必要に応じて加えられる一般式(3)で示される繰返し単位:
−CO−R−O− (3)
(式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
からなる重量平均分子量が70,000以上の脂肪族ポリエステル(A)80〜99重量%と数平均分子量が30,000未満のポリ乳酸(B)20〜1重量%(両者の合計は100重量%である)を溶融ブレンドしたことを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供する。本発明の第2は、脂肪族ポリエステル(A)が、副反応により形成されたエーテル結合濃度が7.0×10-6mol/g以下および/または副反応により形成された分岐点濃度が10.0×10-6mol/g以下の脂肪族ポリエステルである上記発明1に記載の樹脂組成物を提供する。本発明の第3は、脂肪族ポリエステル(A)の酸価(末端カルボキシル基含量)が2.0mgKOH/g以下である上記発明1または2に記載の樹脂組成物を提供する。本発明の第4は、一般式(1)で表される繰返し単位がコハク酸残基及び/又はアジピン酸残基を含む脂肪族ジカルボン酸類由来のものであり、一般式(2)で表される繰返し単位がエチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基を含む脂肪族ジオール類由来のものである上記発明1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を提供する。本発明の第5は、一般式(3)で表される繰返し単位のモル分率が、0.25以下である上記発明1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を提供する。本発明の第6は、一般式(3)で表される繰返し単位が、グリコール酸、乳酸、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン,4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種の残基である上記発明1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を提供する。本発明の第7は、上記発明1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるフィルムを提供する。本発明の第8は、農業用マルチフィルムである上記発明7に記載のフィルムを提供する。
本発明により、柔軟な特性を失うことなく、生分解性の制御性に優れた特性を有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを提供することができる。
上記脂肪族ポリエステル(A)は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸類および必要に応じて加えられる脂肪族ヒドロキシカルボン酸類を触媒の存在下で反応させて製造することができる。
本発明における脂肪族ポリエステル(A)において、副反応により形成されるエーテル結合濃度は7.0×10-6mol/g以下、好ましくは、3.0×10-6mol/g以下である。また、分岐点濃度は10.0×10-6mol/g以下、好ましくは、7.5×10-6mol/g以下である。反応温度が高すぎたり反応時間が長すぎたりすることにより、エーテル結合濃度が7.0×10-6mol/gを超えて上昇すると、色相が悪くなるとともに、結晶性が低下するため、融点が低下し、耐熱性が悪くなる。また、生分解性の制御に悪影響が出る。また、反応温度が高すぎたり触媒を多量に使うなどにより、分岐点濃度が10.0×10-6mol/gを超えて上昇すると、分子量分布が広くなるとともに、溶融成形時の流動特性が変わるため、成形条件を変えなければならず、運転管理が極めて複雑になる。さらに、分岐点を多く含むポリマーは、成形品の力学的特性、特に引張伸度が大幅に低下する。ちなみに、エーテル結合は使用する成分(2)の2分子以上が脱水反応することにより生じると考えられる。エーテル結合および分岐構造の形成は1H−NMR測定により分析することができ、脂肪族ジオール成分として、例えば、1,4−ブタンジオールを使った場合は3.37ppmに、エチレングリコールを使った場合には3.68ppmにエーテル結合に由来するピークが観測される。分岐点の形成される機構について詳細は不明であるが、原料としてコハク酸と1,4−ブタンジオールを使った場合は、1H−NMR測定における5.43ppmのピークにより分析することができる。
上記本発明における脂肪族ポリエステル(A)の酸価(末端カルボキシル基含量)は2.0mgKOH/g以下、好ましくは、1.5mgKOH/g以下である。酸価が高くなると、溶融成形時の分子量低下が大きくなるとともに、成形品が加水分解を受けやすいものとなってしまう。
上記本発明における脂肪族ポリエステル(A)は、必要に応じて、繰返し単位(3)をモル分率で0.25以下、好ましくは、0.01〜0.20、さらに好ましくは、0.01〜0.15含んでいてもよい。繰返し単位(3)のモル分率が高くなるに従って、得られる脂肪族ポリエステル(A)の柔軟性が高くなり、ポリエチレン代替用途に適したものとなる。繰返し単位(3)のモル分率が0.25を超えると、融点が低くなるため、実用面で支障が出ることがある。
脂肪族ジオール成分(X)と脂肪族ジカルボン酸成分(Y)の仕込み比[X]/[Y]は、1.01〜1.25の範囲であることが好ましいが、1.05〜1.20の範囲であることがより好ましい。[X]/[Y]を上記範囲内で行わないと、高分子量体が得られにくく、高分子量体が得られたとしても反応に長時間要するため、副反応により形成されるエーテル結合や分岐点を多く含むものになる。
上記本発明における脂肪族ポリエステル(A)は下記一般式(1)と(2)で示される繰返し単位:
−CO−R1−CO− (1)
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R2−O− (2)
(式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
及び必要に応じて加えられる一般式(3)で示される繰返し単位:
−CO−R3−O− (3)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
を有している。
(X)成分
繰返し単位である一般式(1)の脂肪族ジカルボン酸残基を与える(X)成分としては、脂肪族ジカルボン酸以外に、その無水物、又はそのエステル体を使用することが可能であり、下記一般式(4)で表される。
4−OCO−R1−COO−R5 (4)
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R4およびR5は水素原子、又は炭素数1〜7の脂肪族基もしくは芳香族基を表す。R4およびR5は同一でも異なっていてもよい。)
1で示される二価脂肪族基としては、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基であり、−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基が挙げられる。
4およびR5が水素原子であるときには脂肪族ジカルボン酸を表わす。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マロン酸、メチルマロン酸などが挙げられる。中でも、コハク酸、アジピン酸を使用することが好ましい。これらのものは単独で用いてもよいし2種以上組合わせて用いてもよい。
(Y)の成分
繰返し単位である一般式(2)の脂肪族ジオール残基を与える(Y)の成分としては、脂肪族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールは下記一般式(4’)で表わされる。
HO−R2−OH (4’)
(式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
二価の脂肪族基としては、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基は、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基である。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,2‐プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールを使用することが好ましい。これらのものは単独でも、2種以上組合せて用いてもよい。
(Z)成分
一般式(3)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を与える(Z)成分としては、下記一般式(5)で表されるヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸エステル、又は下記一般式(6)で表されるラクトン類が挙げられる。
6OCO−R3−OH (5)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基、R6は水素原子または炭素数1〜6の脂肪族基又は芳香族基を表す。)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
式(5)で、二価脂肪族基R3としては、好ましくは、炭素数2〜10、より好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。式(5)で、R6は水素、又は脂肪族基もしくは芳香族基である。脂肪族基としては、炭素数1〜7、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基や、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D,L−乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができる。
前記ヒドロキシカルボン酸はその2分子が結合した環状二量体エステルであることができる。その具体例としては、グリコール酸から得られるグリコリドや、乳酸から得られるラクチド等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、上記ヒドロキシカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等や、酢酸エステル等が挙げられる。
ラクトン類としては、前記一般式(6)で表されるものを挙げることができる。式(6)で、二価脂肪族基R3としては、炭素数4〜10、好ましくは4〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
ラクトン類の具体例としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン;β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状エステル;グリコリド、L−ラクチド、D−ラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル等を挙げることができる。これらは2種以上のモノマーを混合して使用してもよい。
上記本発明における脂肪族ポリエステル(A)を製造する際、触媒は、原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸類1モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6〜5×10-4モルの量で用いる。この範囲より触媒量が少なくなると反応に長時間を要するようになる。一方、この範囲より多くなると重合時のポリマーの熱分解や着色、エーテル結合形成、分岐点の形成等の副反応の原因となり、また、ポリマーの成形加工において熱分解等の原因となり好ましくない。
次に、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物中のもう一方の樹脂成分であるポリ乳酸(B)について説明する。
本発明において、ポリ乳酸(B)は数平均分子量が30,000未満である。
数平均分子量が30,000以上であると、脂肪族ポリエステル樹脂組成物において生分解性の抑制効果が充分でない上、フィルムに成形した場合、脂肪族ポリエステル(A)の特徴である柔軟性が損なわれてしまう。本発明におけるポリ乳酸(B)は、例えば、Polymer Degradation and Stability,59巻,145−152頁等に記載されているようなラクチドを経由する開環重合法や、Bull. Chem. Soc. Jpn.,68巻,2125頁等に記載されているような乳酸の直接重縮合法によって製造することができる。この時、所望の分子量になった時点で反応を停止することにより、分子量30,000未満のポリ乳酸を容易に製造することが出来る。また、ラクチドを経由する開環重合法の場合は、アルコール等の開始剤の量によっても分子量を調整することが可能であり、分子量30,000未満のポリ乳酸の製造法として適している。ポリ乳酸(B)において、それを構成するL体とD体のモル比については特に制限はない。数平均分子量が30,000未満のポリ乳酸(B)の市販品としては、PURAC社製のポリ(L−乳酸)であるPURASORB PL等が挙げられる。また、数平均分子量が30,000以上のポリ乳酸(B)を加水分解やアルコール等による分解等により数平均分子量を30,000未満に調整したものを用いてもよい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は脂肪族ポリエステル(A)80〜99重量%と数平均分子量が30,000未満のポリ乳酸(B)20〜1重量%(両者の合計は100重量%である)を溶融状態でブレンドすることにより調製することができる。好ましくは、脂肪族ポリエステル(A)が85〜97重量%、ポリ乳酸(B)が15〜3重量%(両者の合計は100重量%である)である。
脂肪族ポリエステル(A)が80重量%未満では、脂肪族ポリエステル(A)の優れた特性が失われ、逆に99重量%を超えるとポリ乳酸(B)を添加することによる生分解性の抑制効果が小さくなりすぎる。
溶融状態でのブレンドは一般的な方法が使用でき、単軸や多軸の押出機などの公知の溶融混合機に供給して溶融ブレンドすることができる。ブレンド時は両樹脂の融点以上の温度で行う。両樹脂をブレンドする際、生分解性樹脂組成物に通常添加される滑剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤等の樹脂添加剤を添加することもできる。
上記のようにして得られた本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を射出成形法、中空成形法、押出し成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法等通常の成形法を用いて各種成形品、例えば、フィルム、ボトル、繊維、発泡体等に加工することができる。なお、本発明においては、シートも含めてフィルムという。
フィルムの成形方法としては、特に限定は無く、従来の方法が使用可能である。具体的には、インフレーション成形、Tダイ押出成形、カレンダー成形などが挙げられ、好ましくはインフレーション成形又はTダイ押出成形である。フィルムは無延伸でも、一軸延伸でも、二軸延伸でもよい。延伸する場合には、延伸倍率は1〜20倍、好ましくは2〜5倍である。フィルムの厚みは、5〜500μm、好ましくは10〜100μm、特に好ましくは15〜50μmである。
本発明の柔軟性の高いフィルムは使用状態において複雑な方向への引裂き応力のかかる農業用マルチフィルムとして使用した場合に特に有効である。
[実施例]
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。また、実施例における各数値は以下の方法により測定したものである。
(1)分子量
検出器として示差屈折率計と差圧粘度計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンから作成した汎用較正曲線を用いて、数平均分子量(Mn)または重量平均分子量(Mw)を求めた。ポリスチレン換算の平均分子量は、通常の較正曲線を用いて求めた。溶離液にはクロロホルムを用い、カラムはShodex806Lを3本連結したものを用いた。
(2)酸価
JIS K0070に基づいて測定した。
(3)生分解性
インフレーション成形した厚さ約20μmのフィルムを用いて生分解性試験を行った。培養土/腐葉土=50/50(容量比)にブレンドした土壌を用い、ポリエチレン製の枠に固定した露出部上下長さ15cm×横幅10cmのフィルムの下半分を、35℃、最大容水量の50%の上記土壌中で3週間埋設し、取出した後の土壌中に埋設されていた部分の内、分解によりフィルムが消失した面積の割合をコンピューターによる画像処理をすることにより求めた。
(4)機械的特性
JIS K7113に基づき、フィルムの引裂き強度および弾性率を求めた。
(実施例1)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステル95重量部に、PURAC社製ポリ(L−乳酸)[PURASORB PL;重量平均分子量 22,100、ポリスチレン換算の数平均分子量27,400]5重量部加えたものを押出機を用いて下記条件で溶融ブレンドし、ペレタイザーでカットすることにより白色のペレットを得た。このペレットを下記条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
<溶融ブレンド及びペレットの製造>
上記実施例1〜3および比較例1〜2で使用された原料をタンブラーを用いてドライブレンドした後、2軸押出機でコンパウンド化しペレットを製造した。この際、押出し条件は、シリンダー温度180℃、ダイス温度180℃で行った。
<インフレーションフィルムの製造>
上記方法で得られたペレットを40mmφ押出機によって溶融させ、押出機の先端に装着した円形ダイによって、チューブ状に押出し、このチューブに空気を吹き込むことにより延伸され厚さ20μのフイルムを得た。この際の押出条件は次の通りとした。
シリンダー温度:180℃
ダイス温度:180℃
円形ダイ直径:50mmφ
リップ幅:2.5mm
引取り速度:17m/min
ブロー比:4(ブロー比=バブル直径/円形ダイ直径)
バブル直径とは、押出チューブに空気を吹き込み延伸された後のバブル状態時の直径を指す。
(実施例2)
コハク酸40mol%、アジピン酸10mol%、1,4−ブタンジオール50mol%からなる重量平均分子量210000、エーテル結合濃度1.8×10-6mol/g、分岐点濃度6.1×10-6mol/g、酸価1.0の脂肪族ポリエステル95重量部に、PURAC社製ポリ(L−乳酸)[PURASORB PL;重量平均分子量22,100、ポリスチレン換算の数平均分子量27,400]5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを、実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(実施例3)
三井化学社製ポリ乳酸 レイシアH-100を、70℃−70%RHの条件下で4日間加水分解し、重量平均分子量26,200,ポリスチレン換算数平均分子量25,500の低分子量ポリ乳酸を得た。この低分子量ポリ乳酸10重量部に、コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステル90重量部を加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを、実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(実施例4)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステル95重量部に、重量平均分子量19,500、ポリスチレン換算数平均分子量15,100の低分子量ポリ乳酸5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを、実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(実施例5)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステル95重量部に、重量平均分子量4300、ポリスチレン換算数平均分子量3400の低分子量ポリ乳酸5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを、実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(比較例1)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステル95重量部に、三井化学社製ポリ乳酸 レイシアH−400を5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(比較例2)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度1.1×10-6mol/g、分岐点濃度5.2×10-6mol/g、酸価0.9の脂肪族ポリエステルをペレット化し、実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(比較例3)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度3.5×10-6mol/g、分岐点濃度27.1×10-6mol/g、酸価1.2の脂肪族ポリエステル95重量部に、三井化学社製ポリ乳酸 レイシアH−400を5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
(比較例4)
コハク酸41.5mol%、1,4−ブタンジオール50mol%、ε−カプロラクトン8.5mol%からなる重量平均分子量220000、エーテル結合濃度30.3×10-6mol/g、分岐点濃度6.5×10-6mol/g、酸価1.7の脂肪族ポリエステル95重量部に、三井化学社製ポリ乳酸 レイシアH−400を5重量部加えたものを押出機で溶融ブレンドし、白色のペレットを得た。このペレットを実施例1と同条件で成形してインフレーションフィルムを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られたフィルムの、生分解性の測定結果及び引張り特性の測定結果を表1にまとめた。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)と(2)で示される繰返し単位:
    −CO−R−CO− (1)
    (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
    −O−R−O− (2)
    (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
    及び必要に応じて加えられる一般式(3)で示される繰返し単位:
    −CO−R−O− (3)
    (式中、Rは炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
    からなる重量平均分子量が70,000以上の脂肪族ポリエステル(A)80〜99重量%と数平均分子量が30,000未満のポリ乳酸(B)20〜1重量%(両者の合計は100重量%である)を溶融ブレンドしたことを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  2. 脂肪族ポリエステル(A)が、副反応により形成されたエーテル結合濃度が7.0×10-6mol/g以下および/または副反応により形成された分岐点濃度が10.0×10-6mol/g以下の脂肪族ポリエステルである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 脂肪族ポリエステル(A)の酸価(末端カルボキシル基含量)が2.0mgKOH/g以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 一般式(1)で表される繰返し単位がコハク酸残基及び/又はアジピン酸残基を含む脂肪族ジカルボン酸類由来のものであり、一般式(2)で表される繰返し単位がエチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基を含む脂肪族ジオール類由来のものである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 一般式(3)で表される繰返し単位のモル分率が、0.25以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 一般式(3)で表される繰返し単位が、グリコール酸、乳酸、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン,4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種の残基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるフィルム。
  8. 農業用マルチフィルムである請求項7に記載のフィルム。
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