JP2006175609A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物成形体、延伸フィルム、及び用途 - Google Patents

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久義 伊藤
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徳康 矢野
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Abstract

【課題】 延伸による薄肉化がなされ、さらに弾性率と衝撃強度が高いレベルでバランスした樹脂組成物成形体を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂成分(I)としてポリ(ブチレン−サクシネート−(δ−オキシカプロエート))のような脂肪族ポリエステル共重合体(a)を99〜18重量%、及び成分(I)と成形条件下で相溶性の無い成分(II)としてポリ乳酸のような脂肪族ポリエステル(b)を1〜18重量%用いた樹脂組成物を、延伸フィルム成形することにより、成分(I)が連続相をなし、該連続相中に、成分(II)が厚み5〜50nmの板状で、各板状面が平行に分散した分散相を形成しており、かつ隣り合う分散体の板状面間距離が10〜300nmである構造を形成させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂成分(I)及び成分(I)とは成形条件下で相溶性の無い成分(II)からなる樹脂組成物を成形してなり、成分(I)が連続相、成分(II)が特定の間隔で板状分散体として、分散相を形成している樹脂組成物成形体、特に延伸により板状分散体が形成された樹脂組成物フィルムに関する。
近年、自然環境中で生分解可能なプラスチックとして、汎用性の高い脂肪族ポリエステルが注目されており、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ブチレン−サクシネート)(PBS)、ポリ(エチレン−サクシネート)(PES)、ポリ(ブチレン−サクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレン−サクシネート−(δ−オキシカプロエート))(PBSC)などが上市されている。
これら生分解性脂肪族ポリエステルの用途の一つとして包装用、農業用、食品用などのフィルム分野があり、用途に応じた高強度、耐熱性および生分解性が、基本性能として要求されている。
上記脂肪族ポリエステルの中で、PLAは、延伸あるいは高結晶化させたフィルムあるいは成形品は、高いものでは170℃付近に融点を持ち高耐熱性であるが、硬くあるいは脆いために成形品の伸度は低く、また土中で分解しにくいためコンポスト化設備が必要である。PBSおよびPESは融点が100℃付近で十分な耐熱性を有するが、生分解速度が小さく、実用的には不充分であり、また機械的性質では柔軟性に欠ける。PCLは柔軟性に優れるものの、融点60℃と耐熱性が低いために用途が限定されているが、生分解速度は非常に速い。
このように、脂肪族ポリエステルのホモポリマーでは上記課題を解決するのは困難であるが、例えば特許2997756号公報記載のポリブチレンサクシネート−ポリカプロラクトン共重合体(PBSC)のように、脂肪族ポリエステル共重合体中にカプロラクトンユニットを導入することにより、実用的な柔軟性と適度な生分解性を実現することができ、また、カプロラクトンユニットの含有量を制御することにより、融点を80℃以上として十分な耐熱性を保持することと、生分解性を制御することが可能であることが見出されている(特許文献1)。
また、生分解性高分子量脂肪族ポリエステルの改良については、数多くの提案がある。例えば、特開平8−311181号公報には、脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルと、脂肪族ジオールと、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エステル又はラクトンを触媒の存在下で重縮合反応させることにより数平均分子量が15,000〜80,000である生分解性高分子量脂肪族ポリエステル共重合体が開示されている(特許文献2)。
特開平9−272789号公報には、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸を共重合して数平均分子量が1〜30万である脂肪族ポリエステルと、数平均分子量が3万以上のポリ乳酸を溶融ブレンドした樹脂組成物が開示されている(特許文献3)。
WO 02−44249号公報には、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはその無水環状化合物(ラクトン類)の3成分からなる混合物の重縮合反応により合成した重量平均分子量40,000以上の高分子量脂肪族ポリエステル共重合体と他の生分解性樹脂を使用することにより、フィルム等の成形時の分子量安定性が良く、成形が良好であることが開示されている(特許文献4)。
上記各技術における樹脂組成物からなるフィルムは、インフレーション成形やテンター法2軸延伸などの加工法により、延伸が加えることにより、より薄肉化されて用いられる例が多いが、延伸によりフィルムに付与された収縮応力により、フィルムの弾性率は向上するものの、その一方でフィルムの柔軟性が損なわれて衝撃強度が低下するなどの問題があった。
特に、フィルムのMD、TDの延伸倍率、収縮応力に等方性を持たせることがプロセス上困難なインフレーション成形において、得られたフィルムのMD、TDの収縮応力の差によって、フィルムの衝撃強度又は引裂き強度が大きく低下してしまうという問題があった。
特許2997756号公報(請求項1〜3、実施例1〜5) 特開平8−311181号公報(請求項、実施例) 特開平9−272789号公報(請求項、実施例) WO 02−44249号公報(請求項、発明の開示の項の最終段落、表VII−1)
本発明の目的は、延伸による薄肉化がなされ、さらに弾性率と衝撃強度が高いレベルでバランスした樹脂組成物成形体を提供することである。
本発明者らは、例えば、熱可塑性樹脂成分(I)としてポリ(ブチレン−サクシネート−(δ−オキシカプロエート))のような脂肪族ポリエステル共重合体(a)を用い、及び成分(I)と成形条件下で相溶性の無い成分(II)としてポリ乳酸のような脂肪族ポリエステル(b)を特定量用いた樹脂組成物を用い、延伸フィルム成形することにより、成分(I)が連続相をなし、該連続相中に、成分(II)が厚み5〜50nmの板状で、各板状面が平行に分散した分散相を形成しており、かつ隣り合う分散体の板状面間距離が100nm以下である構造を形成させるとともに、フィルムのMD収縮応力を0.4MPa以下に制御したナノコンポジット体とすることにより、上記課題を解決し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、熱可塑性樹脂成分(I)、及び
成分(I)とは少なくとも成形条件下で相溶性の無い成分(II)1〜18重量%(成分(I)と成分(II)の合計は100重量%である。)からなる樹脂組成物を成形してなり、成分(I)が連続相をなし、該連続相中に、成分(II)が厚み5〜50nmの板状の分散体として、各分散体の板状面が平行に均一に分散した分散相を形成しており、かつ隣り合う分散体の板状面間距離が10〜300nmであることを特徴とする樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第2は、成分(I)がポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酢酸セルロース系樹脂とその誘導体から選択される少なくとも1種であること特徴とする本発明の第1記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第3は、25℃における成分(II)のヤング率が、成分(I)のヤング率より大きいことを特徴とする本発明の第1又は2に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第4は、成分(II)が熱可塑性樹脂であることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第5は、分散体の平均寸法が、短尺0.2〜200μmおよび長尺200μm以上であり、長尺/短尺比が2以上であることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第6は、分散相が、成形時に少なくとも一方向の延伸により与えられるせん断により板状に形成されていることを特徴とする本発明の第1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第7は、成分(I)が、分子鎖が、下記一般式(1)および(2)で示される繰返し重合単位各37.5〜50モル%((1)および(2)で示される繰返し重合単位の量は実質的に同じである)、
−CO−R1−CO− (1)
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R2−O− (2)
(式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
及び必要に応じて加えられる下記一般式(3)で示される繰返し重合単位25〜0モル%((1)、(2)および(3)の繰返し重合単位の合計は100モル%である。)
−CO−R3−O− (3)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
で示される重量平均分子量が30,000以上である脂肪族ポリエステル共重合体(a)から少なくともなることを特徴とする本発明の第1〜6いずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第8は、板状分散体が、分子鎖が、下記一般式(4)で示される繰返し重合単位:
−CO−R4−O− (4)
(式中、R4は炭素数1〜3の二価脂肪族基を表す。)
からなり、重量平均分子量が30,000以上である脂肪族ポリエステル(b)であることを特徴とする本発明の第1〜7いずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第9は、一般式(1)が、コハク酸残基及び/又はアジピン酸残基である本発明の第7又は8に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第10は、一般式(2)が、エチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基である本発明の第7〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第11は、一般式(3)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンおよびエナントラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種に基づく基である本発明の第7〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第12は、一般式(4)が、グリコール酸、乳酸および3−ヒドロキシ酪酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の残基である本発明の第7〜11のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第13は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)中に含まれる繰返し重合単位(3)が、1〜25モル%である本発明の第7〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第14は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)が、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレン−サクシネート−(δ−オキシカプロエート))及び/又はポリ(ブチレン−サクシネート/アジペート−(δ−オキシカプロエート))である本発明の第7〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第15は、脂肪族ポリエステル(b)がポリ乳酸である本発明の第7〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第16は、本発明の第1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体であり、厚さ10〜200μmのフィルムで、少なくとも一方向に延伸されており、かつ、板状分散体の長尺方向がフィルムのMD方向と一致することを特徴とする樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第17は、フィルムのMD方向の、125℃シリコンバス中での最大熱収縮応力SFMDが、0.4MPa以下を示す本発明の第16記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第18は、フィルムが二軸延伸フィルムであり、フィルムのTD方向の、125℃シリコンオイルバス中での最大熱収縮応力SFTDと前記最大熱収縮応力SFMDとの比SFMD/SFTDが、1〜4.5である本発明の第17に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第19は、フィルムがインフレーションフィルムである本発明の第16〜18のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第20は、農業用フィルムである本発明の第1〜19いずれか一項に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明の第21は、マルチフィルム用である本発明の第20に記載の樹脂組成物成形体を提供する。
本発明によれば、延伸による薄肉化がなされ、さらに弾性率と衝撃強度が高いレベルでバランスした樹脂組成物成形体が得られる。
特に、生分解性と実用物性を有すると共に、後述する脂肪族ポリエステル共重合体(a)および脂肪族ポリエステル(b)の各単独よりも弾性率と耐衝撃性の両者に優れた脂肪族ポリエステルフィルムが得られる。これを用いて、物性バランスの良い各種用途のフィルムが得られる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
熱可塑性樹脂成分(I)
熱可塑性樹脂成分(I)としては、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及び酢酸セルロース系樹脂とその誘導体(酢酸セルロースプロピオネート樹脂、酢酸セルロースブチレート樹脂、ラクチドグラフト酢酸セルロール樹脂、ラクトングラフト酢酸セルロース樹脂等)が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、好ましくは高分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a)である。
本発明に係る高分子量の脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、分子鎖が、下記一般式(1)および(2)で示される繰返し重合単位各37.5〜50モル%((1)および(2)で示される繰返し重合単位の量は実質的に同じである)、
−CO−R1−CO− (1)
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
−O−R2−O− (2)
(式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
及び必要に応じて加えられる下記一般式(3)で示される繰返し重合単位25〜0モル%((1)、(2)および(3)の合計は100モル%である。)
−CO−R3−O− (3)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
からなり、重量平均分子量が30,000以上である。
本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、また、上記組成からなり、重量平均分子量5,000以上の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)が、共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部の下記一般式(7)で表される2官能性の連結剤(e)により連結されて、重量平均分子量が30,000以上となるようにしたものであってもよい。
1−R7−X2 (7)
(式中、X1、X2は水酸基またはカルボキシル基と作用して共有結合を形成可能な反応基、R7は単結合、炭素数1〜20の脂肪族基又は芳香族基を表し、X1、X2は同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい。)
又は、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸のようなヒドロキシカルボン酸もしくはグリコリド、ラクチドのようなそれらの環状2量体エステル、又は、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状エステルを、2重量%以下を連結剤として共重合させて高分子量化したものであってもよい。
(A)成分
式(1)の脂肪族ジカルボン酸残基を与える(A)成分としては、脂肪族ジカルボン酸、その無水物、又はそのモノまたはジエステル体が挙げられ、下記一般式(1’)で表される。
4−OCO−R1−COO−R5 (1’)
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R4およびR5は水素原子、又は炭素数1〜6の脂肪族基もしくは芳香族基を表す。R4およびR5は同一でも異なっていてもよい。)
1で示される二価脂肪族基としては、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基であり、−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基が挙げられる。また、R1は反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができるし、R1は酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
4およびR5が水素原子であるときには脂肪族ジカルボン酸を表わす。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マロン酸、メチルマロン酸などが挙げられる。
4およびR5で示される脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の他、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルキル基が挙げられる。
4およびR5で示される芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
中でも、R4およびR5は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基である。このようなジアルキルエステルとしては、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、デカンジカルボン酸ジメチル、ドデカンジカルボン酸ジメチル、ジグリコール酸ジメチル、ケトピメリン酸ジメチル、マロン酸ジメチル、メチルマロン酸ジメチル等が挙げられる。これらのものは単独で用いてもよいし2種以上組合わせて用いてもよい。
(B)成分
式(2)の脂肪族ジオール残基を与える(B)成分としては、脂肪族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールは下記一般式(2’)で表わされる。
HO−R2−OH (2’)
(式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
二価の脂肪族基としては、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基は、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−等の炭素数2〜6の直鎖状低級アルキレン基である。また、二価脂肪族基R2は反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。R2は酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,2‐プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、分子量1000以下のポリエチレングリコール等を用いることができる。これらのものは単独でも、2種以上組合せて用いてもよい。さらに1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン等の三官能アルコールを少量併用してもよい。
(C)成分
式(3)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を与える(C)成分としては、下記一般式(3’)で表されるヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸エステル、又はその環状エステルであるラクトン類が挙げられる。
6OCO−R3−OH (3’)
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基、R6は水素原子または炭素数1〜6の脂肪族基又は芳香族基を表す。)
式(3’)で、二価脂肪族基R3としては、炭素数2〜10、好ましくは2〜8の鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。また、R3は反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができる。R3は酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
式(3’)で、R6は水素、又は脂肪族基もしくは芳香族基である。脂肪族基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基や、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルキル基、芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D,L−乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができる。
前記ヒドロキシカルボン酸はその2分子が結合した環状二量体エステル(ラクチド)であることができる。その具体例としては、グリコール酸から得られるグリコリドや、乳酸から得られるもの等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、例えば、上記ヒドロキシカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等や、酢酸エステル等が挙げられる。
ラクトン類としては、二価脂肪族基として、炭素数4〜10、好ましくは4〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基のものが挙げられる。また、二価脂肪族基は反応に不活性な置換基、例えば、アルコキシ基やケト基等を有することができ、酸素やイオウ等のヘテロ原子を主鎖に含有することができ、例えばエーテル結合、チオエーテル結合等で隔てられた構造を含有することもできる。
ラクトン類の具体例としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン;β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体エステル;グリコリド、L−ラクチド、D−ラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル;その他、1,3−ジオキソラン−4−オン、1,4−ジオキサン−3−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン等の環状エステル−エーテル等を挙げることができる。これらは2種以上のモノマーを混合して使用してもよい。
脂肪族ポリエステル共重合体(a)
本発明における上記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて加えられる(C)成分の重合反応によって得られる脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は低分子量の脂肪族ポリエステル共重合体(a’)は、ランダムであっても、ブロックであってよい。上記モノマーの仕込は、一括仕込み(ランダム)、分割仕込み(ブロック)、あるいは、ジカルボン酸−ジオールのポリマーにラクトン類を重合させたり、あるいは、ポリラクトンにジカルボン酸とジオールを重合させてもよい。
本発明における上記(A)、(B)および(C)の3成分の重合反応によって低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)を合成する場合には、合成工程は、使用する原料の種類によって、例えば、前半の脱水反応が主に進行するエステル化工程と、後半のエステル交換反応が主に進行する重縮合工程とに分けることができる。
エステル化工程は80℃〜250℃、好ましくは100℃〜240℃、さらに好ましくは145℃〜230℃の反応温度で、0.5〜5時間、好ましくは1〜4時間、760〜100Torrの条件下で行うことが望ましい。触媒は、必ずしも必要としないが、原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸又はジエステル1モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6〜5×10-4モルの量で用いてもよい。
後半の重縮合工程は、反応系を減圧しながら反応温度を高めて2〜10時間、好ましくは3〜6時間で終了することが望ましく、最終的には180℃〜270℃、好ましくは190℃〜240℃の反応温度で減圧度3Torr以下、好ましくは1Torr以下とすることが望ましい。この工程では、一般的なエステル交換反応触媒を用いる方が好ましく、原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸又はジエステル1モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6〜5×10-4モルの量で用いる。この範囲より触媒量が少なくなると反応がうまく進行せず、反応に長時間を要するようになる。一方、この範囲より多くなると重合時のポリマーの熱分解、架橋、着色等の原因となり、また、ポリマーの成形加工において熱分解等の原因となり好ましくない。
合成工程において、脱水反応が主に進行するエステル化工程と、後半のエステル交換反応が主に進行する重縮合工程との両者において用いることのできる触媒としては、以下のような具体例を挙げることができるが、これらの触媒は単独で用いても、2種以上組合せて用いてもよい。
触媒としては、WO 02−44249号公報に記載のものが使用可能である。
また、必要に応じて前記の3官能以上の多価カルボン酸、多価アルコール、多価ヒドロキシカルボン酸類の原料を用いることもできる。
脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)を合成する工程において、原料(A)成分および(B)成分の仕込み比は、以下の条件式(i)に合致するように選択することが望ましい。
1.0≦[B]/[A]≦2.0 (i)
(式中、[A]は(A)成分のモル数、[B]は(B)成分のモル数を表す。)
[B]/[A]の値が1より小さいと、過剰の酸の存在によって加水分解反応が進行し、所望の分子量の脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)を得ることが難しく、また[B]/[A]の値が2より大きい場合は前半のエステル化工程終了時点での分子量が過度に小さく、後半の重縮合工程に長時間の反応時間が必要となる。
本発明では、最終的に実用的な強度を有する脂肪族ポリエステル共重合体(a)を得るために、溶融状態の低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)に前記式(7)で表される2官能性の連結剤(e)を加えて重量平均分子量を40,000以上に高めるようにしてもよい。
重合工程で得られる共重合体(a’)は、重量平均分子量が5,000以上、好ましくは10,000以上であり、酸価と水酸基価の値の合計が1.0から45の間であり、さらに酸価が30以下であることが望ましい。
共重合体(a’)の酸価と水酸基価の値の合計は、共重合体(a’)の末端基の濃度に比例しており、分子量は重量平均分子量が5,000以上の場合、実質上酸価と水酸基価の値の合計は45以下である。酸価と水酸基価の値の合計が45より大きい場合、共重合体(a’)の分子量が低く、連結剤の添加によって所望の分子量まで高めようとするのに、多量の連結剤が必要となる。連結剤の使用量が多い場合には、ゲル化などの問題が生じやすい。酸価と水酸基価の値の合計が1.0以下の場合には、共重合体(a’)の分子量が高いために溶融状態の粘度が高くなる。この場合は、連結剤の使用量も極少量となるために均一に反応させることが困難で、やはりゲル化などの問題が生じやすい。また、均一に反応させることを目的として溶融温度を上げるとポリマーの熱分解、架橋、着色等の問題が生じる。
本発明に用いる連結剤(e)は前記式(7)によって表される。連結剤(e)の反応基X1、及びX2としては、実質上水酸基とのみ反応して共有結合を形成可能な式(9)〜(11):
で表される反応基群及び/又は、実質上カルボキシル基とのみ反応して共有結合を形成可能な一般式(12)〜(15)
で表される3〜8員環の環状反応基群から選ぶことができる。X1とX2は同一の化学構造であってもよいし、異なってもよい。
連結剤(e)としては、一連のジイソシアネート化合物のような、WO 02−44249号公報に記載の各種の連結剤が使用可能である。
連結剤(e)の反応基X1とX2を、実質上水酸基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式(9)〜(11)で表される反応基群から選ぶ場合、前駆体となる低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)の酸価は2.0以下、好ましくは1.0以下である。酸価が2.0より大きい場合は、共重合体(a’)の水酸基末端濃度が小さく、連結反応が効率的に行えなかったり、連結反応後、すなわち最終生成物の酸価が大きく、成形加工時の分子量低下が起こり易いなどの問題が生じる。
連結剤(e)の反応基X1とX2を、実質上カルボキシル基とのみ反応して共有結合を形成可能な前記式(12)〜(15)で表される3〜8員環の環状反応基群から選ぶ場合、共重合体(a’)の酸価は0.5以上30以下であることが好ましい。酸価が0.5より小さい場合は、連結剤の使用量も極少量となるために均一に反応させることが困難となる。酸価が30より大きいと、最終生成物の酸価を低くすることがで出来なかったり、多量の連結剤を用いてゲル化が生じる危険があるなどの問題が生じる。
上記ジイソシアネート化合物としては、好ましくは脂肪族ジイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル{OCN-(CH24-CH(-NCO)(-COOCH3)}、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示されるが、中でもヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。またウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、重量平均分子量40,000以上、通常10万〜25万、好ましくは12万〜20万の範囲のものである。
連結剤(e)と低分子量脂肪族ポリエステル共重合体(a’)の反応は、共重合体(a’)が均一な溶融状態又は少量の溶剤を含有した状態で、容易に攪拌可能な条件下で行われることが望ましい。用いる連結剤(e)の量は、共重合体(a’)100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが望ましい。これより連結剤(e)の量が少ないと、所望の分子量の最終生成物を得ることが困難であり、多いと、ゲル化などの問題が生じやすい。
連結剤(e)を用いて高分子量化する反応は、共重合体(a’)の融点以上で行い、270℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは、230℃以下で行うことができる。この反応は、低分子量脂肪族ポリエステルを製造した反応器に連結剤(e)を添加することにより、重縮合反応と同じ反応器内で実施することができる。また、低分子量脂肪族ポリエステルと連結剤を、通常の押出機あるいはスタティックミキサー等を用いて混合することにより実施することもできる。
本発明において、成分(C)が用いられる場合は、分子鎖が、下記一般式:
−(−CO−R1−COO−R2−O−)−
(式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
で表される繰り返し単位(P)、及び下記一般式:
−(−CO−R3−O−)−
(式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
で表される繰り返し単位(Q)から構成される場合も含めて、原料(A)成分および(C)成分の仕込み比は以下の条件式(ii)に合致するように選択することが好ましい。
0.02≦[C]/([A]+[C])≦0.40 (ii)
(式中、[A]は(A)成分の使用モル数、[C]は(C)成分の使用モル数を示す。)
上記式中の[C]/([A]+[C])は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)中に含まれる成分(C)のモル分率を表し、繰り返し単位(P)および繰り返し単位(Q)から構成される場合には、繰り返し単位Qのモル分率を表している。上記範囲は、好ましくは0.02〜0.30、更に好ましくは0.02〜0.25の範囲である。この値が0.02より小さい場合は、得られるポリマーは結晶性が高く柔軟性のない硬いものとなり、さらに生分解性の点でも速度が遅く不十分のものとなる。また、0.40より大きい場合は、得られるポリマーの融点が低く、さらに結晶性が極端に低下するために耐熱性が無く実用に不向きである。
本発明において、原料(A)成分、(B)成分および(C)成分の仕込み比は以下の条件式(ii’)に合致するように選択することが好ましい。
0.01≦[C]/([A]+[B]+[C])≦0.25 (ii')
(式中、[A]、[B]、[C]は、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分の使用モル数を示す。)
上記式中の[C]/([A]+[B]+[C])は、脂肪族ポリエステル共重合体(a)又は(a’)中に含まれる成分(C)のモル分率を表し、この値が0.01より小さい場合は、得られるポリマーは結晶性が高く柔軟性のない硬いものとなり、さらに生分解性の点でも速度が遅く不十分のものとなる場合が、成分(C)の種類等によってはある。また、0.25より大きい場合は、得られるポリマーの融点が低く、さらに結晶性が極端に低下するために耐熱性が無く実用に不向きである場合が、成分(C)の種類等によってはある。
成分(C)のモル分率は、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜14である。
本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体(a)は、重量平均分子量が30,000以上、通常、50,000〜350,000、好ましくは70,000〜250,000の範囲である。また、融点は、通常80℃以上と高く、しかもその融点と分解温度との差は100℃以上と大きく、熱成形も容易である。
前記本発明に使用される脂肪族ポリエステル共重合体において、特に、前記一般式(1)におけるR1およびR2が(CH22または(CH24で、R3が(CH25であるものは、融点が高くかつ結晶性の高いものである。
成分(II)
上記成分(I)の連続相中に均一に板状に分散される成分(II)の物質としては、成分(I)と少なくとも成形条件下に相溶性の無いものであり、無機物でも有機物でも、結晶でも非結晶でも、低分子量物でも高分子量物でもよく、これらの二種以上の混合物でもよい。
25℃における成分(II)のヤング率が、成分(I)のヤング率より大きいことが好ましい。
成分(II)は、具体的には、脂肪族ポリエステル(b)等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル(b)
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル(b)としては、前記一般式(4)で示される繰返し重合単位を有するものであり、具体的にはグリコール酸、乳酸および3−ヒドロキシ酪酸の残基が挙げられる。これらは合成及び/又は天然高分子であってもよい。
本発明に係る脂肪族ポリエステル(b)は、重量平均分子量が30,000以上、通常、50,000〜350,000、好ましくは70,000〜250,000の範囲である。また、融点は、通常140〜220℃と高く、熱成形も容易である。
ポリ乳酸(PLA)
脂肪族ポリエステル(b)としては、好ましくはポリ(ヒドロキシアルキレン(炭素数1〜10)カルボン酸)、特にポリ乳酸(PLA)を使用する場合は、剛性の他に、生分解性速度を制御したり物性を調節する目的でも使用される。
上記ポリ乳酸としては、MFR(ASTM D−1238による。荷重2160g、温度190℃)が0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜10g/10分のものが使用される。
また、ポリ乳酸の種類としては、L−又はD−ポリ乳酸共重合体、好ましくはD,L−ポリ乳酸共重合体であり、さらに好ましくはD体含有率が5〜50%、特に好ましくは10〜20%の範囲にあるポリ乳酸共重合体である。
ポリ乳酸としてかかる範囲の共重合体を用いることにより、脂肪族ポリエステル共重合体(a)との組成物から得られるT−ダイフィルム化後、延伸したフィルムが得られる。
ポリ乳酸(共重合体)の融点は好ましくは160℃以下、さらに好ましくは非晶質のものである。
本発明の樹脂組成物成形体は、前記熱可塑性樹脂成分(I)と成分(II)からなる樹脂組成物を、成分(II)が特定の状態で分散するように成形して得られる。
具体的には原料樹脂ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。また特にフィルムを成形するときの成形方法としては、上記組成物をT−ダイフィルム成形方法、インフレーションフィルム成形方法、カレンダーフィルム成形方法、押出ラミネートフィルム成形方法等によりフィルム成形して得られる。
本発明の成形体中では、成分(I)が連続相となり、その中で成分(II)は板状の分散体として均一に分散した分散相を形成している。板状分散体は、厚み5〜50nm、好ましくは10〜30nmで、各板状面が平行に均一に分散しており、かつ隣り合う板状分散体の板同士の面間距離が10〜300nm、好ましくは50〜200nmである。
成分(II)の板の厚みが上記範囲より厚すぎると応力を受けた際の成分(I)と成分(II)の界面の大きな剥離が起こりやすくなるため、成形体の衝撃強度を低下させる。
板状分散体面間距離が上記範囲より長すぎると応力を受けた際に成分(I)と成分(II)の界面以外での破壊が起こりやすくなり、短かすぎると界面から成分(I)への亀裂の成長が起こりやすくなり、ともに衝撃強度を低下させる結果となる。
板状分散体の寸法は、短尺0.2μm以上、好ましくは0.3〜200μm、および長尺200μm以上、好ましくは400μm〜10mmであり、長尺/短尺比が2以上、好ましくは2〜250である。
短尺が、短かすぎると成形体の面方向の衝撃強度が低下してしまう。
長尺が上記範囲より短かすぎる場合も、成形体の面方向の衝撃強度が低下してしまう。
ここで、板状分散体面間距離、分散体の厚みおよびその短尺及び長尺は、実施例の各種測定方法の(6)〜(8)に記載した方法により測定される。
本発明に係る樹脂組成物は、成分(I)99〜82重量%、及び、成分(II)1〜18重量%(成分(I)と成分(II)の合計は100重量%である。)からなる。
本発明では脂肪族ポリエステル共重合体(a)と脂肪族ポリエステル(b)の場合には、その重量比は97/3〜82/18であり、より好ましくは95/5〜82/18、更に好ましくは90/10〜82/18、特に好ましくは90/10〜85/15である。
ポリ乳酸の重量比率が上記範囲より少なすぎると剛性や耐落球衝撃性や生分解遅延効果が認められず、上記範囲を超えると脂肪族ポリエステル共重合体(a)本来の特徴である柔軟性が失われ、脆いフィルムとなるおそれがある。
樹脂添加剤
本発明において、樹脂組成物には必要に応じて樹脂添加剤を添加することができる。樹脂添加剤としては可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼライン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジピン酸エステル等のポリエステル系可塑剤であり、これらは一種または二種以上の混合物で用いられる。
これら可塑剤の添加量としては、フィルムであると、5〜15重量部の範囲が好ましい。3重量部未満であると、破断伸びや衝撃強度が低くなり、また30重量部を超えると、破断強度や衝撃強度の低下を招く場合がある。
熱安定剤としては、脂肪族カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天然に存在するものが好ましい。
塩としては、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられる。これらは、一種または二種以上の混合物として用いることができる。
添加量としては、共重合体100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲である。上記範囲で熱安定剤を用いると、衝撃強度(アイゾット衝撃値)が向上し、破断伸び、破断強度、衝撃強度のばらつきが小さくなる効果がある。
滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤として一般に用いられるものが使用可能である。例えば、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリクリセロール、金属石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂等が挙げられる。
滑剤を選択する場合には、ラクトン樹脂やその他の生分解性樹脂の融点に応じて、その融点以下の滑剤を選択する必要がある。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂の融点を考慮して、脂肪酸アミドとしては160℃以下の脂肪酸アミドが選ばれる。
配合量は、フィルムとして、樹脂100重量部に対し、滑剤を0.05〜5重量部を添加する。0.05重量部未満であると効果が充分でなく、5重量部を超えるとロールに巻きつかなくなり、物性も低下する。
フィルム用として、環境汚染を防止する観点から、安全性が高く、且つFDA(米国食品医薬品局)に登録されているエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましい。
上記光分解促進剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロシアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エチレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩との増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、1種又は2種以上併用できる。
上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸などの炭素数2〜6程度の低級飽和ジカルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸と炭素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1種又は2種以上併用できる。
上記充填剤(増量剤、ブロッキング防止剤を含む)としては、種々の充填剤、例えば炭酸カルシウムやタルクの他に、マイカ、珪酸カルシウム、微粉末シリカ(無水物)、ホワイトカーボン(含水物)、石綿、陶土(焼成)、麦飯石、各種の酸化チタン、ガラス繊維等の無機充填剤や、天然素材の粒子等の有機充填剤を挙げることができる。
ブロッキングを防止する場合には、粒子径は0.1〜7μmのものが好ましい。
無機充填剤としての微粉末シリカは、湿式法でつくられたシリカや、四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水分解により製造されたシリカでもよい。
無機充填材を添加することにより生分解性が更に向上すると共に溶融強度(粘度)が大きくなるので、溶融成形時のドローダウンが防がれ、真空成形、ブロー成形、インフレーション成形等の成形性が向上する。
充填剤の添加量は特に限定するものではないが、樹脂(a)と(b)の合計に対して、充填剤/樹脂の重量比が5〜50/95〜50、好ましくは10〜45/90〜55、更に好ましくは20〜40/80〜60、特に好ましくは25〜35/75〜65である。
有機充填剤としては、直径が50ミクロン以下の、紙より製造した微粉末粒子が挙げられる。有機充填剤の添加量や粒径は上記無機充填剤の場合と同じである。
増量剤としては、木粉、ガラスバルーン等が挙げられる。増量剤の添加量は無機充填剤の場合と同じである。
脂肪族ポリエステル共重合体(a)と脂肪族ポリエステル(b)及び/又はその他添加剤とは混練しても混練せずにフィルム成形してもよい。混練方法は、一般的な方法が好ましく使用でき、具体的には原料樹脂ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。
本発明の樹脂組成物成形体は、前記成分(I)及び成分(I)とは少なくとも成形条件下に相溶性の無い成分(II)との組成物を成形してなる。
成形方法としては、押出成形、射出成形、射出押出成形等が挙げられる。
成形体としては、フィルム、シート、板などが挙げられる。
本発明のフィルムは、上記組成物をT−ダイフィルム成形方法、インフレーションフィルム成形方法、カレンダーフィルム成形方法、押出ラミネートフィルム成形方法等によりフィルム成形して得られる。
インフレーションフィルムは好ましい成形体の一例である。
本発明のフィルムは、厚さ10〜200μmである。
本発明のフィルムは、少なくとも一方向に延伸されており、板状分散体の長尺方向がフィルムのMD方向と一致している。
本発明のフィルムは、分散相が、成形時に少なくとも一方向の延伸により与えられるせん断により前記の寸法の板状に、前記の面間隔で形成され、均一に分散されている。
本発明のフィルムは、フィルムのMD方向の最大熱収縮応力SFMDを、125℃シリコンバス中で測定すると、0.4MPa以下、好ましくは0.35MPa以下を示す。SFMDが上記範囲より大きい場合は、応力を受けた際に発生する亀裂が、成分(II)により形成される板状分散体の長尺方向に、すなわちフィルムのMDに平行に成長し、板状分散体によりその成長が止められないため、衝撃強度を著しく低下させてしまう。
フィルムが二軸延伸フィルムである場合は、フィルムのTD方向の、125℃シリコンバス中での最大熱収縮応力SFTDと前記最大熱収縮応力SFMDとの比SFMD/SFTDが、1〜4.5、好ましくは1.2〜4.0である。SFMD/SFTDが上記範囲外であると、板状分散体と延伸による成分(I)の配向状態の相乗効果による衝撃強度の向上が発揮されない。
アニール処理
上記で得られたフィルムは、アニール処理を行ってもよい。
アニール処理温度としては、組成比にもよるが、通常、30〜60℃、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは35〜45℃の範囲にある。
60℃より高すぎるとフィルムが軟かくなりすぎてブロッキングするおそれがある。
アニール処理時間としては、温度にもよるが、通常、10時間以上、好ましくは24〜480時間、さらに好ましくは72〜360時間である。上限は特には限定されないが、480時間を超えると効果の発現が飽和する。
本発明のフィルムは、機械物性等が次のようである。
(i)厚さ20μmのフィルムにおいて、
引張弾性率:50〜500MPa、好ましくは100〜400MPaである。
破断点応力:10〜40MPa、好ましくは15〜30MPaである。
破断点伸び:100〜2000%、好ましくは300〜1500%である。
引裂強度:0.2〜5N、好ましくは0.5〜3Nである。
落球衝撃試験(試験方法は後述する):
Φ41mm、286gにおけるH(P(20))が5cm以上、好ましくは8〜50cmである。
Φ19mm、28gにおけるH(P(20))が50cm以上、好ましくは70〜500cmである。
なお、脂肪族ポリエステル共重合体(a)のみからなる同一条件のフィルムでは、Φ41mm、286gにおけるH(Q(20))は1cm以上、好ましくは3〜10cmである。従って、H(P(20))/H(Q(20))は3以上、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、Φ19mm、28gにおけるH(Q(20))は20cm以上、好ましくは30〜500cmであり、H(P(20))/H(Q(20))は1.5以上、好ましくは3以上である。
(ii)厚さ40μmのフィルムで
引張弾性率:50〜500MPa、好ましくは100〜400MPaである。
破断点応力:10〜40MPa、好ましくは15〜30MPaである。
破断点伸び:100〜3000%、好ましくは500〜2000%である。
引裂強度:0.2〜5N、好ましくは0.5〜3Nである。
落球衝撃試験(試験方法は後述する):
Φ41mm、286gにおけるH(P(40))が75cm以上、好ましくは100〜1000cmである。
Φ19mm、28gにおけるH(P(40))が180cm以上、好ましくは200〜2000cmである。
なお、脂肪族ポリエステル共重合体(a)のみからなる同一条件のフィルムでは、Φ41mm、286gにおけるH(Q(40))は60cm以上、好ましくは60〜100cmである。従って、H(P(40))/H(Q(40))は1.2以上、好ましくは1.6以上である。
任意の厚さのフィルムの上記各物性値を、厚さ20μm又は40μmのフィルムの物性値から正確に推算する式は無いので、或る任意の脂肪族ポリエステル樹脂組成物のフィルムが本発明に係る脂肪族ポリエステル樹脂組成物のフィルムの範囲内に入るか否かを判断する基準として、厚さ20μmのフィルムを成形した場合の物性値を判断基準とする。本発明では、「厚さ20μmに換算した場合に」とは、この意味のことである。
本発明のフィルムとしては、シート、フィルム、テープを含む。またフィルムは単層でも用いられるが、他の基材との積層体であってもよい。積層フィルムを得る場合には、本発明に係る樹脂組成物から得られる熱融着性を有するフィルムと他の基材とを多層ダイを用いて共押出フィルムとしてよい。また予め得られた基材に該樹脂組成物を押出しラミネートして積層フィルムとしてもよいし、あるいは夫々別個に得たフィルム等を貼り合わせて積層フィルムとしてもよい。尚、基材としてはポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルから得られるフィルム、シート、カップ、トレー状物、あるいはその発泡体、ガラス、金属、アルミニウム箔、紙等が挙げられる。基材が熱可塑性樹脂からなるフィルムの場合は、無延伸であっても一軸あるいは二軸延伸フィルムであってもよい。勿論、基材は1層でも2層以上としてもよい。
本発明のフィルムは透明性に優れており、買い物袋製袋用原反フィルム、包装袋製袋用原反フィルム、又はごみ袋製袋用原反フィルムや、2次成形して農業用ハウスフィルム、農業用マルチフィルム、ラベル用フィルム等に加工することができる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
フィルム原料
成分(I)として下記のものを用いた。
脂肪族ポリエステル共重合体(a)
ダイセル化学工業(株)社製ブタンジオール−コハク酸−カプロラクトン三元共重合体、PBSC-17(ポリスチレン換算Mw20.8万、MFR(190℃)1.8、Tm108℃、ヤング率340MPa(25℃))
昭和高分子(株)社製ブタンジオール−コハク酸/アジピン酸三元共重合体、#3001(ヤング率340MPa(25℃))
成分(II)として下記のものを用いた。
脂肪族ポリエステル(b)
ポリ乳酸(PLA)としては三井化学社製、レイシアH100(ヤング率3700MPa(25℃))を使用した。
フィルム成形:下記の押出機とインフレーションフィルム成形機を用い、下記条件でフィルムを得た。
(1)押出機仕様
スクリュー径:40mm、一軸
シリンダーL/D:28
ダイ径:50mmφ
ダイリップ開度:2.5mm
(2)押出条件
スクリュー回転数:50rpm
押出機シリンダー設定温度:170℃
ブロー比(TD延伸倍率):4.0倍
MD延伸倍率:31倍(フィルム厚み20μm)及び15.5倍(フィルム厚み40μm)
引き取り速度:17.0(フィルム厚み20μm)及び8.5m/分(フィルム厚み40μm)
本発明における各種測定方法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量:GPCにより測定し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)引張試験:試験片として、フィルムからMD方向又はTD方向の短冊状フィルム片(長さ150mm、巾15mm)を採取して、チャック間距離100mmで、引張試験を行い、降伏点及び破断点における強度(MPa)、伸度(%GL)、ヤング率(MPa)を求めた。なお、伸度(%)はチャック間距離の変化とした。
測定条件は以下の通りである。
使用機器:オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225
クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分で行った。)
測定値は5回の平均値である。
(3)引裂強度:試験片としてフィルムを幅50mm、長さ(MD方向)100mmにカットし、幅の一端に、真中から長さ方向に30mmの切込みを入れたものを用いた。
試験片は、23℃×50%RHの恒温恒湿機にて24時間調湿して、測定に供した。
測定条件は以下の通りである。
サンプル長さ:30mm(チャック間距離)
使用機器:OLIENTEC社製、商品名RTA−500
ロードセル:5kgf(49N),20%
クロスヘッドスピード:500mm/分
試験回数:n=3とし、結果をその平均値で示した。
(4)落球衝撃試験:フィルムを10cm角の枠に固定し、23℃、50%RH雰囲気下で、下記球を電磁石方式の重錘離脱装置を用いて落下させた時の試験片の数の50%が破れる時の球の落下高さH(P(d))、H(Q(d))(ここでPは樹脂(a)と(b)の組成物である場合を示し、Qは樹脂(a)単独である場合を示し、dはフィルム厚さ(μm)を示す。)を測定する。繰返し試験回数n=20である。
落球(イ)Φ41mm、質量286g。
落球(ロ)Φ19mm、質量28g。
以下の実施例では、「落球高さ(cm)」として表示してある。
(5)熱収縮応力:所定厚みのフィルム状試験片を幅1cm、長さ10cmの短冊状に切り出し、合計厚みが100〜200μmの範囲になるよう複数枚重ねたものを測定サンプルとして使用する。東洋精機(株)製伸張粘度計を用いて、チャック間距離を10cmとして、125℃のオイルバス中に浸漬した際にチャック間発生する応力を測定し、応力が最大になった点を以って熱収縮応力とする。
(6)板状分散体面間距離:フィルムを、マイクロトームを用いてTD方向及び厚み方向を含む断面に対して、平行に厚さ0.05〜0.2μmの超箔切片を切り出し、未染色で透過型電子顕微鏡により20000倍の倍率にて撮影像を得た。透過型電子顕微鏡の撮影像中の、糸状に配列した分散体のうち、連続して並んでいる10個を一組として選択した。選択した一組を構成する両最外側(1番目と10番目)の分散体間の距離を測定し、この距離を9で除することにより分散体間の平均距離を得た。測定は、無作為に選択した10組に対して行い、その平均値を板状分散体面間距離とした。
(7)板状分散体の厚み及び短尺:上記(6)と同様の手順により得た透過型電子顕微鏡撮影像を用いた。無作為に抽出した100個の分散体の長さと厚みを測定し、その平均値をそれぞれ分散体の平均短尺、平均厚みとした。
但し、分散体の短尺の最大値は、撮影倍率を下げて見いだしたものであり、本発明では短尺の限界は0.2〜200μmである。
(8)板状分散体の長尺:フィルムを、マイクロトームを用いてMD方向及び厚み方向を含む断面に対して、平行に厚さ0.05〜0.2μmの超箔切片を切り出し、未染色で透過型電子顕微鏡により20000倍の倍率にて撮影像を得た。無作為に抽出した100個の分散体の長さを測定し、その平均値をそれぞれ分散体の平均長尺とした。20000倍の撮影における最大視野範囲(4μm)に分散体の両端が入りきらない場合は、平均長尺を>4μmとした。
但し、分散体の長尺は、撮影倍率を下げて見いだしたものであり、本発明では長尺の限界は200μm以上である。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
上記脂肪族ポリエステル共重合体(a)PBSC-17及び脂肪族ポリエステル(b)としてPLAを表1に示す割合で用い、インフレーション成形機を使用して厚さ約20μmのフィルムを得た。フィルムの組成及び物性を表1に示す。

Claims (21)

  1. 熱可塑性樹脂成分(I)、及び
    成分(I)とは少なくとも成形条件下で相溶性の無い成分(II)1〜18重量%(成分(I)と成分(II)の合計は100重量%である。)からなる樹脂組成物を成形してなり、成分(I)が連続相をなし、該連続相中に、成分(II)が厚み5〜50nmの板状の分散体として、各分散体の板状面が平行に均一に分散した分散相を形成しており、かつ隣り合う分散体の板状面間距離が10〜300nmであることを特徴とする樹脂組成物成形体。
  2. 成分(I)がポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酢酸セルロース系樹脂とその誘導体から選択される少なくとも1種であること特徴とする請求項1記載の樹脂組成物成形体。
  3. 25℃における成分(II)のヤング率が、成分(I)のヤング率より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物成形体。
  4. 成分(II)が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  5. 分散体の平均寸法が、短尺0.2〜200μmおよび長尺200μm以上であり、長尺/短尺比が2以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  6. 分散相が、成形時に少なくとも一方向の延伸により与えられるせん断により板状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  7. 成分(I)が、分子鎖が、下記一般式(1)および(2)で示される繰返し重合単位各37.5〜50モル%((1)および(2)で示される繰返し重合単位の量は実質的に同じである)、
    −CO−R1−CO− (1)
    (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を表す。)
    −O−R2−O− (2)
    (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を表す。)
    及び必要に応じて加えられる下記一般式(3)で示される繰返し重合単位25〜0モル%((1)、(2)および(3)の繰返し重合単位の合計は100モル%である。)
    −CO−R3−O− (3)
    (式中、R3は炭素数1〜10の二価脂肪族基を表す。)
    で示される重量平均分子量が30,000以上である脂肪族ポリエステル共重合体(a)から少なくともなることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  8. 板状分散体が、分子鎖が、下記一般式(4)で示される繰返し重合単位:
    −CO−R4−O− (4)
    (式中、R4は炭素数1〜3の二価脂肪族基を表す。)
    からなり、重量平均分子量が30,000以上である脂肪族ポリエステル(b)であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  9. 一般式(1)が、コハク酸残基及び/又はアジピン酸残基である請求項7又は8に記載の樹脂組成物成形体。
  10. 一般式(2)が、エチレングリコール残基及び/又は1,4−ブタンジオール残基である請求項7〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  11. 一般式(3)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンおよびエナントラクトンからなる群から選ばれた少なくとも1種に基づく基である請求項7〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  12. 一般式(4)が、グリコール酸、乳酸および3−ヒドロキシ酪酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の残基である請求項7〜11のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物成形体。
  13. 脂肪族ポリエステル共重合体(a)中に含まれる繰返し重合単位(3)が、1〜25モル%である請求項7〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  14. 脂肪族ポリエステル共重合体(a)が、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレン−サクシネート−(δ−オキシカプロエート))及び/又はポリ(ブチレン−サクシネート/アジペート−(δ−オキシカプロエート))である請求項7〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  15. 脂肪族ポリエステル(b)がポリ乳酸である請求項7〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体であり、厚さ10〜200μmのフィルムで、少なくとも一方向に延伸されており、かつ、板状分散体の長尺方向がフィルムのMD方向と一致することを特徴とする樹脂組成物成形体。
  17. フィルムのMD方向の、125℃シリコンバス中での最大熱収縮応力SFMDが、0.4MPa以下を示す請求項16記載の樹脂組成物成形体。
  18. フィルムが二軸延伸フィルムであり、フィルムのTD方向の、125℃シリコンオイルバス中での最大熱収縮応力SFTDと前記最大熱収縮応力SFMDとの比SFMD/SFTDが、1〜4.5である請求項17に記載の樹脂組成物成形体。
  19. フィルムがインフレーションフィルムである請求項16〜18のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。
  20. 農業用フィルムである請求項1〜19いずれか一項に記載の樹脂組成物成形体。
  21. マルチフィルム用である請求項20に記載の樹脂組成物成形体。
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